04/03/12 第35回労働政策審議会雇用均等分科会            第35回労働政策審議会雇用均等分科会 1.日時 平成16年3月12日(金)10:00〜 2.場所 経済産業省別館827号会議室 3.出席者    労側委員:稲垣委員・岡本委員・片岡委員・佐藤(孝)委員・吉宮委員    使側委員:川本委員・吉川委員・前田委員・山崎委員・渡邊委員    公益委員:若菜会長・今田委員・佐藤(博)委員・樋口委員・横溝委員 ○若菜分科会長  定刻になりましたので、ただいまから労働政策審議会雇用均等分科会を開催させてい ただきます。本日は奥山委員がご欠席でございます。  それでは本日の議題に入りますが、まず最初の議題は、「雇用均等分科会の公開の取 扱い」ということです。最初に事務局のほうから説明をお願いいたします。 ○中村総務課長  それでは資料No.1をご覧ください。当分科会の公開についての取扱いについて変更 したいということを提案するものです。「当分科会の公開については、平成14年9月17 日の第7回の分科会で了解を得て、現在は会議、それから議事録及び資料を公開する。 ただ、特段の事情がある場合には、分科会の議決をもって会議または議事録を非公開と することができる」という取扱いになっております。  今回ご提案しますのは、議事録のうち、現行については委員の発言について、会長、 会長代理が司会の場合には会長代理、あるいは公益委員、労側委員、使側委員という形 で表示させていただいて、個別の委員名は表示しないという取扱いにさせていただいて おりますが、この間、1年半くらいの間に、他の労働政策審議会の分科会、部会では、 議事録について委員名の公表が行われるような取扱いになってきておりますし、また、 去る2月27日に衆議院の厚生労働委員会の質疑の中でも、委員名を公表してくださいと いう質疑がありましたので、今回、議事録の公開に当たって、委員のご発言について 「会長」、「○○委員」というような形で、発言者名を表示するということにさせてい ただければと思いますが、よろしくお願いいたします。 ○若菜分科会長  それではただいまの公開の取扱いについてのご説明について、ご意見あるいはご質問 ございましたらどうぞ。特にございませんでしょうか。なければ、いまご説明があった ような方針で取り扱うということにしたいと思います。よろしいですね。                  (異議なし) ○若菜分科会長  では、今回の議事録から、そのような取扱いにしたいと思いますので、よろしくお願 いします。  2つ目の議題に入ります。2つ目の議題は「雇用保険法施行規則等の一部を改正する 省令案要綱について」ですが、これは、平成16年度予算に盛り込まれた制度改正に係る 案件でございます。  これについて、本日厚生労働大臣から、労働政策審議会長宛に諮問がございました。 これを受けて、当分科会において審議を行うことにしたいと思います。  最初に事務局のほうから説明をお願いいたします。 ○宮野職業家庭両立課長  それでは私のほうから、参考資料No.1、No.2に基づいてご説明させていただきま す。今回ご諮問いたしますのは、「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱 」(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則 関係)です。  これは、ただいま分科会長のほうからお話がございましたとおり、平成16年度予算の 執行に際して、雇用保険三事業関係で実施している各種助成金、これはそれぞれ要件と か助成率、助成額等の見直しを行うものでございます。こういったものについては、要 件、助成率、額等については基本的には各種省令で措置がされております。したがっ て、今回この省令について改正を行うものでございます。  そのうち本日は、当分科会の所掌である育児・介護関係の部分について、諮問をする ことになっております。具体的には、先ほど申し上げた括弧の中の「育児・介護休業法 施行規則」の改正をする部分でございます。  まず具体的な内容ですが、これは各種助成金の中でも、「育児・介護費用助成金」 「看護休暇制度導入奨励金」、この2つの助成金・奨励金について、その支給額、支給 率を改正する内容です。  まず、この2つの助成金・奨励金の内容について、簡単にご説明させていただきま す。参考資料No.2をご覧ください。まず、「育児・介護費用助成金」です。こちらは 平成7年度から実施している助成金ですが、具体的な助成の内容としては、例えば育児 について、託児施設の利用、あるいは労働者の方がベビーシッターの利用等をした場合 について、その費用の一部を事業主が助成した場合について、その事業主が助成した費 用の一定割合を助成するという内容です。  具体的な助成の仕方としては、2つの内容に分かれております。参考資料No.2の 「育児・介護費用助成金」の1「受給できる額」のところにあるように、まず、1つの 形としては、毎年度、労働者が利用した育児・介護サービス費用のうち、事業主が負担 した額について助成をするという部分です。ここにあるように、1年間、事業主がこう いった労働者が利用したサービスの費用を負担した額について、現行では中小企業で助 成率3分の2、大企業で助成率2分の1で助成するものです。  ただし、労働者1人当たり、あるいは1事業所当たり、30万円、360万円と、それぞ れ限度額が定められております。また、もう1つの助成の仕組みとしては、新たにこう いった育児・介護サービスの制度を設けて、最初の利用者が生じた場合については、中 小企業40万円、大企業30万円を助成するという部分です。すなわち、こちらの部分につ いては、こういった制度を導入する、導入奨励の助成措置ということです。  この助成金の予算額等は、その下にあるように、平成15年度の予算額で約8億2,000 万円です。平成16年度の予定額ですが、これはこれから申し上げますように、助成率に ついて変更をするのに合わせて、6億1,700万円余となっております。  なお、この助成金についての平成14年度の実績は、約7億9,700万円です。したがっ て、ほぼ予算額に見合う実績が出ているという内容です。  また、平成14年度の実績について、大企業、中小企業の利用の状況について先ほどの 7億9,700万円の金額ベースで申し上げると、中小企業が約49%、大企業が約51%です。 したがって、この育児・介護費用助成金については、大企業、中小企業がほぼ半々の利 用状況になっているということです。  もう1点、看護休暇制度導入奨励金は、ご案内のとおり、平成13年の育児・介護休業 法の改正によって、子の看護休暇制度が努力義務になったのに伴って、子の看護休暇制 度を導入した事業主に対する奨励措置として、平成14年度から設けられている助成金で す。  具体的な内容はここにあるように、労働者1人当たり年5日以上の子どもの看護のた めに利用できる休暇制度を新たに設けて、制度の利用があった場合、具体的にはここに あるように、制度の利用を希望した労働者に、企業全体で延べ10日以上利用させた場 合、かつ、その利用者がいずれも利用後1カ月以上雇用されている場合について、事業 主に支給するという内容になっております。  受給できる額がここにあるように、中小企業40万円、大企業30万円です。予算額は、 平成15年度の予算額で1億1,800万円。平成16年度の予定額については、ほぼ倍増にな っていますが、約2億600万円を予定しております。  なお、平成14年度の実績ですが、こちらは予算に比べてかなり実績が出ております。 平成14年度の実績としては、約6億4,000万円の実績が出ております。  これは、中小企業・大企業別に見てみると、金額ベースで、この「看護休暇制度導入 奨励金」については、中小企業がほぼ98%、大企業が2%ですので、こちらの看護休暇 制度奨励金については、一言で言うと、利用としては、ほとんど中小企業の方が利用し ているという内容になっております。以上が、まず今回見直しを行いたいと思ってい る、「育児・介護費用助成金」「看護休暇制度導入奨励金」の内容です。  続いて、今回の具体的な見直しの内容についてご説明させていただきます。参考資料 No.1をご覧ください。これは資料No.1に省令の要綱がありますが、その内容をそのま ま横書きにしたものです。ここにあるように、具体的な今回の見直しの内容ですが、育 児・介護費用助成金については、年間の費用助成の部分について、中小企業の助成率3 分の2を2分の1に、大企業の助成率2分の1を3分の1にするという内容です。な お、制度導入の部分については、これまでと同一です。  続いて看護休暇制度導入奨励金、こちらは中小企業の助成額現行40万円を20万円に、 大企業の助成額30万円を15万円にするという内容です。施行期日としては、平成16年4 月1日からを予定しております。  今回こういった見直しをする理由、背景について説明させていただきます。前回の雇 用均等分科会でも、雇用均等・児童家庭局の関係の平成16年度予算についてご説明させ ていただきました。その折にもご説明があったと思いますが、「仕事と家庭の両立支援 対策」、これは平成16年度予算においても、次世代育成支援対策の推進という観点も含 めて、重点的に取り組む課題というふうに位置づけております。  ただ一方で、依然として厳しい雇用失業情勢、あるいは経済情勢が続く中で、今回の 助成措置も含めて、この仕事と家庭の両立支援対策の主たる財源である労働保険特別会 計についても、今回の助成金の財源となっている雇用保険三事業の平成16年度予算額 が、前年度と比べて11.5%減となるなど、非常に厳しい状況にあります。  こういった中で、この「仕事と家庭の両立支援対策」にかかる平成16年度予算につい ても、いま申し上げたような状況を踏まえて、一部事業の見直しを行いつつ、必要性の 高い事業に重点的に予算を配分することにより、厳しい財政状況の中、できる限り大き な効果が見込めるように腐心しているところでございます。  本日お諮りするこの両立支援関係の助成金についても、両立支援関係全体の予算額、 これは前回、樋口先生からご質問いただいたときにお答えしたと思いますが、全体の予 算額としては前年度マイナスになっておりますが、この助成金全体としては、ほぼ前年 度と同額の予算を確保しております。  具体的に申し上げますと、本日お諮りした2つの助成金を含める育児・介護雇用安定 助成金全体の予算額で申し上げて、平成15年度は約24億300万円の予算を計上しており ます。平成16年度については23億8,000万円の予算ということで、前年度比でいうと99 %強ですので、ほぼ横這いの予算を計上しております。  こういった、全体としてほぼ前年度と同額の予算を確保しております中で、特に「次 世代育成支援」に関する当面の取組み方針に掲げた育児休業の目標値等々にかかる助成 金については、大幅増の予算額を計上する等々と併せて、今回お諮りするような形で一 部の助成金について、一定の見直しをしたいというものでございます。  具体的には、いま申し上げたとおり、育児・介護費用助成金について、助成率の見直 しを行うわけですが、これについては、いま申し上げたような状況の中で、制度導入の 支援については従前のとおりの助成額を確保して、引き続きその制度の導入促進を図っ ていくとともに、すでに制度として順調に企業に導入されている部分については、助成 率について見直しを行いたいというものです。  また、看護休暇制度導入奨励金については、こちらはご案内のとおり、昨年12月の当 分科会でとりまとめていただいた建議を踏まえて、育児・介護休業法の改正法案を、今 国会に提出させていただいております。ご案内のとおり、その内容の1つとして、子の 看護休暇について、育児休業、あるいは介護休業と同じような形で制度化する内容が盛 り込まれております。  したがって、現在国会に提出している育児・介護休業法の改正法案が成立すれば、平 成17年度4月からは、この子の看護休暇制度については、すべての労働者が取得できる 休暇になります。仮に成立すれば、平成17年度からはこの看護休暇制度導入奨励金自体 を廃止の方向で見直す、ということになりますが、平成16年度においても、新法施行前 に、一方で相当数の企業がこの看護休暇を制度化するということが見込まれるところで す。  本助成金についても、早期の導入を促進する呼び水とするという観点から、助成額に ついては引き下げをさせていただきますが、より多くの事業主に対して助成を行うとい うことにしたいと考えているものです。そういった状況を踏まえて、先ほど申し上げた とおり、看護休暇制度導入奨励金の平成16年度の予算額については、前年度に比べて約 75%増のアップとしているものです。  以上のような背景の中で、この2つの助成金について見直しをしたいというもので す。私からの説明は以上でございます。 ○若菜分科会長  それでは、ただいまのご説明について、ご意見あるいはご質問がございましたら、ど うぞお願いします。 ○樋口委員  1点は、この財源の話ですが、いま三事業のほうから、特別会計から支出するという ようなお話だったと思うのですが、本来趣旨が、次世代育成という内閣の掲げているも のにかかわるのであれば、今度は一般財源のほうから拠出していただくというのが筋で はないかと思います。これは、厚生労働省よりも、主計局に言わなければいけないのか もしれませんが、という感じをもっていますが、いかがでしょうか。  もう1点、この雇用保険法の改正に関する省令で、それをここの部会で議論するの か、雇用保険部会のほうで議論するのかということがあると思うのですが、これは向こ うでも行うということになるのでしょうか。 ○宮野職業家庭両立課長  1点目は大変難しい問題ですが、今回、育児・介護休業法の改正も含めて、次世代育 成支援対策の一環として、こういった法律の見直し等も行ってきているわけですが、育 児・介護休業法の目的自体は、あくまでも雇用の継続ということで、法律の目的が位置 づけられております。  また、この法律の施行に際して、いろいろ活用されている助成金についても、同じく 雇用の継続のためという位置づけで、雇用保険の三事業から措置がされております。現 行の育児休業法の仕組み、位置づけの中では、雇用保険三事業の中で支弁することが適 当であろうと考えております。  2点目については、今回私どものほうでご諮問するのは、育児・介護休業法の施行規 則の改正にかかる部分です。  一方、平成16年度予算の執行に際しては、ほかの各種助成金についても見直しを行う 部分がございます。雇用保険法の施行規則を改正するものがあるので、それはそれぞれ 関係の分科会において議論されております。 ○若菜会長  よろしいですか。それでは、吉宮委員、どうぞ。 ○吉宮委員  1つはいま樋口委員がおっしゃったように、財源が少ない中で、三事業分野において も、必要度の高いものに重点配分するという考え方なのでしょうけれども、私ども育児 ・介護休業に伴う休業所得保障、経済的支援について、雇用保険からの支出は、いまま での経過からすると、そういうふうになるのでしょう。  国全体として、次世代育成対策というものを強化するとすれば、いままでの経過は経 過としてという場合があるのでしょうが、抜本的に見直す必要があるのではないかとい うことからすると、こういう制度奨励を目的とした助成金も、内閣全体が実施している 施策とすれば、財源というものを今後検討していく、新しい組替えを考えていく必要が あるのではないかというのが第1点です。  2つ目に、今回の見直し案は、中小企業の3分の1を2分の1、大企業は2分の1を 3分の1として、介護についても40万円から20万円へ、30万円から15万円ということ で、育児・介護助成金のほうは、大企業、中小企業ほぼ半々の実績ということなのです が、看護休暇については、大企業が2%、中小企業が98%という実績から見ると、例え ば看護休暇制度の40万円を20万円にした場合に、中小企業事業主の方々が、制度導入の インセンティブは40万円のほうが高いとすれば、20万円にすることによって、この意欲 が殺がれるということはないのか。  むしろ大企業のほうが、同じ半分にしても、もっと減らして中小企業をそのままにす るということもあり得るのだと思いますが、その辺のメリハリの考え方をちょっと、い ずれにしても半分半分という、平等性を確保した率の変更なのですが、そこはどう考え るか。  3つ目が、労働者本人に対する直接の助成ではなくて、事業主の介在した助成金とい うことで、新聞等で不正受給や実態がないにもかかわらず、形式だけ整えて受け取ると いう意見がいろいろ国民から出ているわけです。例えば育児・介護助成金というのは、 1人当たり30万円で、事業主総額360万円という枠組みがあるのですが、1年間、例え ば申請時に労働者の人数を書いて、あとはご本人の了解をもらいます。その間、受給者 が申請時より減ったとか増えたとか、いろいろあるのでしょうけれども、その場合は引 き続き申請時の金額をそのまま給付されるということなのでしょうけれども、これは事 業主の方々が負担している雇用保険から出ているわけですが、そういう不正受給との関 係で、従来の運用でいいのかどうか、その3点について伺います。 ○宮野職業家庭両立課長  1点目については、現行の仕組みとしては、先ほど樋口先生のご質問にお答えしたと おりです。  2点目については、同じ率で、あるいは率で下げなくても、やはり、1つはこのイン パクトがどうなのかということですが、これは先ほど申しましたとおり、平成17年度か ら、この子の看護休暇については、労働者の権利という形で位置づけられることになり ます。  したがって、いまの育児休業と同じような形で、会社での規定の有無にかかわらず、 労働者としては、年5日間の休暇が取得できることになるわけですが、しかし、企業と してこういった規定を整備しておいていただいているほうが、もちろん望ましいことは 確かです。  そういう中で、平成16年度については、私どもとしても法律の施行の中で、こういっ た、新たに改正法が成立すればという前提ですが、平成17年度からこういった制度が制 度化されるということを周知していく中で、助成金の効果だけではなく、この子の看護 休暇制度について、平成17年度の施行がより円滑にできるような形で、周知方法を進め てまいりたいと考えております。  看護休暇制度導入奨励金については、中小企業の利用がほとんどですが、他の助成金 との横並び等々も考えると、そこだけ大きくメリハリを付けるというのも難しいのかな というふうに考えております。  3点目の「不正受給」の問題ですが、これは、私どもの助成金ではありませんが、こ の三事業の助成金で、いろいろ大きな不正受給の事案が発生していることは確かです。  そういう中で、実際に支給事務を行っているのは、21世紀職業財団ですが、そういっ た不正受給の点については、十分気をつけてチェックしております。  例えば、いまご質問がありました育児・介護休業助成金についても、具体的に1年間 において何人の労働者、従業員の方にどういった費用を負担したのかということをチェ ックしなければなりません。具体的に対象となる労働者の方が誰かというような名簿を 出していただいたり、それについてはその労働者の方に確認をそれぞれしていただいた りというような形で、チェックをしているところでございます。 ○中村総務課長  補足して一言申し上げます。財源問題のご質問について、全体状況について少しお話 させていただきたいと思います。  次世代育成支援についての財源というのは、それぞれの制度の沿革もあって、ネック になっていることはご指摘のとおりだろうと思います。  社会保障制度全般の改革ということが、いろいろな所で進んでいるわけですが、特に 平成16年度においては、年金について現在国会に法案を出しておりますし、平成17年度 については介護保険の問題についての議論がございます。また、平成18年度までには医 療保険についても、改革を進めているということになっております。次世代育成支援に ついての議論も、そういう大きな社会保障制度全体の流れの中で考えていくということ になるのかなというふうに思っております。  社会保障制度を見ていくときの財源の問題については、日本の場合は、保険制度とい うことで、社会保険制度をつくってきたということもありますし、一方で、税金を投入 して、この辺りはドイツとかの保険型の国とはかなり違った、ミックスした形になって いるわけです。  今日、局長が出席できておりませんのは、三位一体改革の法案の審議をただいま国会 でしていただいているのですが、例えば保育所の経費についても、国と地方の財源負担 の割合ということについてのご議論もあるわけです。そういう形で、公費で持つとした ときに、国でどれだけ持つか、あるいは地方でどういう形で持つか。それから、保険財 源をどういう形で入れていくか、そういう議論全体として進めなければいけないのでは ないかと思っております。この次世代育成支援の問題については、こういう形で進めて いくというものは、現在のところはできていない状況でございます。  ただ、この場でもお話したかもしれませんが、保育所の問題については、幼稚園との 関係で、総合施設をつくっていくということが決まっておりまして、それについては、 平成16年度中には基本的な考え方を整理して、平成17年度はモデル事業、あるいはその ために必要な法的な整備をし、平成18年度からは本格実施をすることになっております ので、単に社会保障制度のみならず、教育についての費用負担のあり方とか、そういう ことも含めて議論していかなければいけないということがございます。  ただ、そうした総合施設のことを考える場合でも、現在、こちらのほうは社会保障審 議会の児童部会で審議を始めておりますが、単に総合施設と、こういう単体の議論だけ でなく、子育てなりについての全体の仕組みを背景にもちながら議論していくことが必 要ではないかというご指摘もございます。他の社会保障制度のように、かなり明確に、 いつまでにこういう議論をするという枠組みは決まっておりませんが、私どもとしては そうした社会保障制度の議論の展開、あるいは国と地方の問題、それから教育とのかか わり、そういうことを総合的に勘案しながら議論を進めていくことになるのかなと思っ ております。 ○佐藤(博)委員  今回、財政の制約ということがあって、助成率や助成額、奨励金の額を見直すという ことですが、両立支援の仕組みを事業主の方に導入していくことを後押ししていくこと だと思うのですが、そのときに、例えば奨励金の額40万円が、中小企業では20万円にな るわけです。薄く広くということですが、例えば20万円にしてしまうと、手続等のコス トを考えると使わない。40万円なら使うという、何かその事業主が使うインセンティブ になる金額というのがあって、想定しているのだと思うのです。  就業規則を変えるとすると、例えば社会保険労務士にかかる一定の金額を見て、もし かしたら40万円を30万円にすれば、ある程度のインセンティブになる。20万円にした ら、手続等を考えたら導入しないとなるのかもしれないような気もするので、一律に半 分というのは、半分にしたときに、インセンティブ効果はどうなんだろうかという気が していて、そういう議論であるのかなということです。  それとも、財政が減って、利用数を一定維持するというので、2分の1ということな のかですね。難しいとは思うのですが、当初の趣旨からすると、インセンティブの導入 意欲を促進する程度の助成率なり奨励金ということも他方で考えないといけないと思い ます。一律に下げてしまうと、今度は利用が減ってしまう。その辺の議論、検討という のはされたのかどうか。 ○宮野職業家庭両立課長  これはなぜ40万円なのかという、そもそもの根拠ですが、基本的な考え方としては、 これは、大体1カ月の1人の人件費相当額ということで、40万円という額を設定してお ります。  ただ、それをなぜ下げるのかということですが、先ほども申しましたとおり、いまま でですと、努力義務の中でこういった仕組みをつくってくださいということでお願いし ているわけです。平成17年度から具体的にこの仕組み自体が今度法律で義務化されるの で、それに向けて、私どもとしてもより具体的に、この規定の整備等々についても、周 知・広報をいままで以上にしていくつもりでおります。  そういう中で、それぞれの事業主の方にとっても、こういった規定を整備する負担の 部分は、いままでよりは少なくなるであろうといった意味からも、この額については見 直しを図ってもいいのではないかというふうに考えております。 ○若菜分科会長  ほかにご意見あるいはご質問ございますか。 ○岡本委員  いまの部分と関連しているのですが、やはり私も、額としてインセンティブが非常に 薄くなったなということは率直に思います。  もともと、制度導入奨励金のあり方といいますか、今回のこの看護・介護だけではな くて、中小企業と大企業に必ずしも奨励金というものを、特に大企業に支給していくと いうことが必要なのかなということは、率直に思います。  むしろ、その額でインセンティブにしていくというよりは、やはり大企業の場合は、 社会的責任において、努力義務の中で制度を導入していくということを、積極的に奨励 していく、指導していくということのほうが、私は必要なのだろうということだけ申し 上げて、奨励金のあり方ということについては、是非今後の課題にしていただければと 思います。 ○山崎委員  いまの奨励金のことですが、お金を差し上げた後に、いろんな会計処理があると思う のですが、そのほかに何か使い勝手だとか、手続のこういうところは直したらいいと か、事業主から聞かれるようなことはないのですか。 ○宮野職業家庭両立課長  具体的には・・・。 ○山崎委員  手続についてどうですか。いわゆる使用に当たってのアンケートみたいなものがあれ ば、それに基づいて、30万円ではちょっとどうもアレだし、40万円くらいいただければ というような議論ですか。 ○宮野職業家庭両立課長  残念ながら、そこはアンケートみたいな形でどうなんだというところは、したことが ないので、そこはちょっとわからないです。 ○稲垣委員  いまのこととは外れるのですが、今回、地方の中小企業において、制度がどれだけそ れぞれの企業で、経営者の方にまで知られているかということですが、育児休業したと きの給付金が、40%というような制度がありますね。あれすらも知らなかった所があっ たのです。  ですから、そういう意味でいくと、こういう助成金の制度についても、それぞれの地 方レベルできめ細やかに周知徹底ということを是非お願いしたいと思います。 ○若菜分科会長  ほかにございますか。ほかに特にございませんでしたら、本日諮問のございました雇 用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について、おおむね妥当と認めること にしまして、その旨を私のほうから労働政策審議会長に報告するということにしたいと 思いますが、よろしいでしょうか。  それではこれについて事務局から案文の配布をお願いします。                  (案文配布) ○若菜分科会長  それではお手元に配布させていただいたとおり、「厚生労働省案をおおむね妥当と認 める」という内容ですが、この案文どおりでよろしいでしょうか。                  (異議なし) ○若菜分科会長  それではご賛同いただきましたので、このとおりの案文で報告したいと思います。  ほかに何かございますか。特になければ、本日の分科会はこれで閉会にさせていただ きたいと思います。署名委員は、片岡委員と前田委員にお願いいたします。本日はお忙 しい中、ありがとうございました。 照会先:雇用均等・児童家庭局 総務課 企画調整係 (内線:7826)