04/03/04 社会保障審議会年金部会第27回議事録              第27回社会保障審議会年金部会                               議事録                                  平成16年3月4日                第27回 社会保障審議会 年金部会 議事録 日時  :平成16年3月4日(木) 13:30〜15:30 場所  :ホテルはあといん乃木坂会議場「フルール」 出席委員:宮島部会長、井手委員、今井委員、小島委員、近藤委員、杉山委員、      堀委員、矢野委員、山口委員、渡辺委員 ○高橋総務課長  それでは、ただいまより第27回社会保障審議会年金部会を開会いたしたいと思います 。まず、お手元の資料の確認をさせていただきます。座席図、議事次第の他、以下のと おりでございます。  資料1「平成16年年金制度改正案の概要」、資料2「年金制度改革案の概要(国民年 金法等の一部を改正する法律案)」、資料3「年金積立金の運用組織の改革案(年金積 立金管理運用独立行政法人法案)」、資料4「国民年金法等の一部を改正する法律案要 綱」、資料5「年金積立金管理運用独立行政法人法案要綱」でございます。あと参考資 料が全部で7部ございます。  その他、昨年9月の意見書の取りまとめに至るまでの配付資料及び議事録をファイル にとじて机の上に乗せております。適宜御参照いただきたいと思います。  それから、今日は資料としてお出ししておりませんが、近々閣議決定する案件といた しまして、日本とアメリカとの間の年金の二重加入の防止及び年金加入期間の通算を目 的とする日米社会保障協定の実施に伴う特例に関する法律案、それから、日本と韓国と の間での日韓社会保障協定の実施に伴う特例に関する法律案がございます。年金の国際 協定は、今までにイギリスとドイツと締結しておりますが、これに加えて、新たにアメ リカと韓国と協定を結びたいと考えております。  委員の出欠状況でございますが、本日は大澤委員、大山委員、岡本委員、神代委員、 山崎委員、若杉委員につきましては、御都合により御欠席とのことでございます。翁委 員は途中で退席される御予定と伺っております。出席いただきました委員の皆様方が3 分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。  では、以降の進行に関しましては、部会長、よろしくお願いいたします。 ○宮島部会長  それでは、これから年金部会を始めたいと思いますが、昨年9月12日以来半年、かな り時間が開きましてお久しぶりでございまして、欠席の委員の方も多い印象であります けれども、今日の部会の位置付けは、既に私の方から皆さん方に事務局を通じてある程 度お伝えしていたところであると思います。昨年9月12日に年金部会としての意見を取 りまとめまして、その後、11月に厚生労働省案が公になったわけでございます。私は、 そのとき一度部会を開ける時間があればと考えておりましたけれども、取りまとめ案の 折衝がかなり急ピッチで入りましたために時間をとることができませんで、この点は私 の方からおわびをしなければいけないかと思っております。  今回、年金改正につきましての改正法律案が内閣のもとでまとめられましたので、こ のタイミングを外してしまいますと、国会にほとんど拘束されてしまって、年金部会を 開くのがかなり難しい状況になりますので、このタイミングを選んでいただいたという ことであります。  本日は、国民年金法でありますとか厚生年金法の改正法そのものを審議するというこ とは我々のミッションではございません。年金部会の意見を踏まえて、その後の厚生労 働省及び内閣の間で設定されたこの案につきまして、事務局の方から1時間ほど詳しい 説明をいただきまして、その後、それぞれ御出席の委員の方からは、これにつきまして の御意見あるいは御感想等をお聞きしておきたいと考えております。そのような位置付 けで本日の部会は進めさせていただきたいと思っておりますが、そういった部会の位置 付けは皆様方よろしゅうございましょうか。               (「異議なし」と声あり)              ○宮島部会長  それでは、これから1時間ほどの予定でございますけれども、かなり大部な資料でご ざいますが、ポイントを絞っていただいて全体で1時間程度、事務局の方から説明をし ていただきたいと思います。 ○高橋総務課長  それでは、まず、私の方から経緯の御説明を申し上げたいと思います。参考資料3を お願いいたします。「与党における合意等」という大部の資料でございます。  昨年9月12日に部会の意見書をいただきまして、その後、私ども厚生労働省の中で年 金改革の検討を行ったわけでございますけれども、厚生労働省案は11月17日に公表いた しまして、その後年末までほぼ1か月という短い期間の中で、政府及び与党の間で議論 を続けてきました。それから、年明けに予算に関連する事項以外の事項について更に議 論を重ねるということでやってきたわけでございます。  参考資料3の1枚目を御覧いただきたいと思いますが、まず、昨年の年末までに主に 給付と負担に関する問題について、政府・与党間で合意したということでございます。  保険料水準固定方式の導入が前提ということでございますけれども、まず、1ページ を御覧いただきますと、2番にありますように、国庫負担の引上げについては平成16年 度から着手し、平成21年度までに2分の1にする、それから、平成17年、平成18年度に おいて国庫負担の割合を適切な水準に引き上げるということであります。  それから、給付の水準については、保険料水準固定方式導入によって調整される将来 の給付水準については、少なくともモデル世帯で見た年金額を、現役世代の平均収入の 5割以上を確保する。負担面につきましては、各論の議論を積み重ねて更に検討するこ とになっておりましたけれども、最終保険料率を18.35%と置いたということでございま す。  一方、国庫負担に関する議論は与党の税制調査会でなされておりまして、2枚目、3 枚目が与党の幹事長・政調会長レベルの合意書でございますが、3ページをごらんいた だきますと、国庫負担につきましてより詳しく書いてあるわけであります。  1の(1)を御覧いただきますと、基礎年金国庫負担割合については、国民年金法等の改 正法案の本則において2分の1に引き上げると規定し、平成21年度までに完了する。そ の財源については、平成19年度を目途に政府の経済財政運営の方針との整合性を確保し つつ、社会保障全般の改革の動向等を勘案し、所要の安定財源を確保する税制の抜本改 革を行った上で施行するとしております。  それから、(2)で平成16年度着手分は年金課税の見直しによるということを言っており ます。  それから、平成17年、平成18年については、所要の税制改正を行って適切な水準に上 げるということでございますが、その税制の改正の内容につきましては、6ページの与 党税制改正大綱を御覧いただきたいと思います。基礎年金国庫負担割合の引上げの財源 について、与党の税制改正大綱ではこのような記述になっております。  まず、1で平成16年度税制改正において年金課税の適正化を行い、これによって確保 される財源を、平成16年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担割合の引上げに充て る。平成16年度は初年度ということになりますので、見直し後の年金課税の適用は平成1 7年の所得税からになります。したがいまして、実は平成16年度といっても平成17年の1 、2、3か月分しかございません。年金の支払いで申しますと2月の支払い分に課税関 係の変化が表れるわけでございまして、これは満年度ベースで見ますと全体で2,400億円 、地方交付税に回す分を除いた約1,600億円が年金課税の見直しによる財源となります。 ただし、平成16年度はその6分の1ということですので、272億円という数字になります 。今現在、国会で審議中の平成16年度予算案の中に既にこの数字は盛り込まれておりま す。  それから、平成17年、平成18年度につきましては、個人所得課税の抜本的見直しによ って適切な引上げの財源を確保するということでございます。  それから、平成19年度を目途に年金、医療、介護等の社会保障給付全般に要する費用 の見通し等を踏まえつつ、あらゆる世代が広く公平に負担を分かち合う観点から、消費 税を含む抜本的税制改正を実現するということで、税制の将来の改革の話を言及して、 こうしたことで基礎年金の財源の確保をするということになっております。  それから、年が明けまして、給付と負担以外の改正事項である在職老齢年金あるいは 次世代育成支援、第3号被保険者の問題、それから、短時間労働者の問題などを一月ぐ らいの間に議論してきたわけでございます。その結果が7ページ以降の与党年金制度改 革協議会の2月4日の合意文書であります。5ページ以下が具体的な制度内容の言及に なっております。これは後で、年金課長の方から詳細を御説明申し上げます。  10ページを御覧いただきたいと思いますが、その結果として、昨年末に18.35%と仮 置きをしておりました厚生年金の保険料率については、最終保険料率18.30%ということ で決着を見ております。国民年金保険料の最終保険料は、平成16年度価格ベースで16,9 00円ということであります。  2月4日の与党年金制度改革協議会の合意文書の1枚目の冒頭の部分でございますけ れども、前半で国庫負担の引上げ、保険料の上限固定・給付水準の調整、それから、給 付水準を最終的に5割確保することを基本原則にしたということが書いてございますが 、今後の課題ということで、短時間労働者への厚生年金の適用の問題あるいは厚生年金 、共済年金の統合の問題を含めてどのようにしてより公平な年金制度としていくかとい った課題について、社会保障制度全体の在り方の検討を続け、税制の抜本的改革の動向 を視野に入れながら、5年後を目途に結論を得るものとするということで、与党として もこういった問題について取り組んでいるということが言われております。  昨年末、それから、この2月に与党・政府間で合意した事項につきまして、2月10日 に法案を提出した次第であります。それが国民年金法等の一部を改正する法律案、年金 積立金管理運用独立行政法人法案の2法案でございます。  詳細につきましては、年金課長の方から御説明申し上げます。 ○木倉年金課長  それでは、続きまして、まずは公的年金関係の改正内容について申し上げます。  まず資料1を御覧いただきたいと思います。左側の方、これが今回の改正の1つの柱 、社会経済と調和した持続可能な制度によって信頼の確保を図っていくということでご ざいまして、この主な事項が年末の予算編成に伴う合意として決定したということでご ざいます。国庫負担の2分への1の引上げ、100年程度の期間での財政の均衡を図ること 、厚生年金保険料の平成16年10月からの段階的な引き上げ、保険料水準を固定した下で スライド調整を行う仕組みの導入がございます。それから、右側の方でございますが、 もう一つの改正の趣旨でございます、生き方、働き方の多様化に対応した制度の構築と いうことで、こちらの事項が、年を明けましてからの与党合意を踏まえて閣議決定され たというものでございます。  それでは、資料2を御覧いただきたいと思います。今回の国民年金法等の改正法案の 概要でございます。1ページ目にありますように、まずは改正の趣旨として2つの柱を 立てております。  IIでございますが、まず、基礎年金国庫負担割合の引上げということで、今、与党の 税制改革等を踏まえた合意を御説明申し上げましたように、年金法の改正法案では国庫 負担割合は2分の1と明記いたします。それに至る段階として3段階の手順を追うとい うことでございます。  横長の「参考資料1」を御覧いただきたいと思います。「平成16年年金制度改正案に ついて参考資料」というものでございますが、1ページ目に給付水準、保険料負担、基 礎年金国庫負担割合について書いてございますが、まず一番右の国庫負担でございます 。平成16年、これは今税制改正の審議をしていただいておりますけれども、これにより ましての初年度、年が明けて1月からが税制施行期間ですので、2月の年金の支払い分 に影響するということで、満年度でありますと1,600億円の税収が見込まれるところを、 その6分の1、2月分ということで、各制度合わせて3分の1の国庫負担プラス272億円 という形になるということでございます。  具体的には、国民年金の方で57億円程度、厚生年金の方で206億円程度、それから、各 共済の方で数億円ということで、それが法律上明記されます。3分の1プラスアルファ ということで明記されます。  これは平成17年度以降につきましては満年度になりまして、1600億円が税収効果とし て表れるということでございますが、平成17年度以降につきましては3分の1プラス1,0 00分の11、1.1%程度に当たりますので、その率が法律上記載されるということにしてお ります。  2段階目ですが、平成17年、平成18年度更に個人所得課税等の抜本的見直しの中で御 議論をいただきまして、適切な水準までもう一段階引き上げる。この水準については、 今後の議論ということになっております。  そして、平成21年度に至る最後の手順として、平成19年度を目途に消費税を含む抜本 的な税制改革を実現するということでございまして、今回の改正法案の附則に、3段階 でこのような議論を経た上で引上げをするということを明記させていただくということ でございます。  次に、「財政検証の実施」ということでございますけれども、今回は保険料水準を固 定いたしますので、保険料を改正のたびに設定し直すという財政再計算はなくなります が、保険料水準固定の下での財政の均衡の状況あるいはスライド調整の進捗の状況等を 少なくとも5年ごとに、100年程度の間の財政均衡の期間にわたる収支の見通し等を作成 し、公表するということを法律上明記しております。これは、審議会の9月の段階の御 意見では、従来からの永久均衡のやり方と、一定の有限の期間をとりながら、その時点 での必要な積立額が保たれているかどうかを見ていくというやり方と両方あるけれども 、十分な検討が必要という御指摘をいただいておりました。これは11月の厚生労働省案 の段階におきまして、おおむね100年程度をとりまして、その最終年度におきまして積立 金1年分程度を残すということで、新しい人口推計等によって、おおむね100年程度見通 していくということでチェックを繰り返すという有限均衡方式でやっていくことを承認 していただき、その旨を与党でも合意をいただいて改正案に盛り込んでおるということ でございます。  次に、2ページを御覧いただきたいと思います。「保険料水準固定方式の導入等」と いうことでございますけれども、まずは保険料の水準を段階的に引き上げることとし、 その保険料水準を法律上明記する。最終的な保険料水準を固定した上で給付水準を調整 する仕組みを導入するということでございます。  その前提としての厚生年金の保険料率でございますけれども、改正案では平成16年10 月から毎年0.354%ずつ引き上げて、2017年度以降18.30%に固定するというように法律 上規定させていただいております。厚生労働省案の段階では20%という提案をさせてい ただいておりました。これにつきまして、その後の与党等の調整の中で年末の段階では1 8.35%、これを更に取りまとめの段階までに在職老齢年金等を見直してもう一段階の抑 制を図るということで、最終的に18.30%で合意をいただいたということでございます。  次に、国民年金保険料でございますが、これは従来から年度単位、4月からの引上げ ということでございましたので、平成16年度予算そのものには直接影響はないというこ とでございましたが、この2月の最終的な与党合意の中で、平成17年4月から毎年280円 ずつ引き上げて、厚生年金の保険料率が固定される2017年度以降は16,900円とする。こ の保険料は平成16年度価格でございますので、賃金等の上昇に合わせましてスライドさ せる必要がありますが、そのような合意がなされておるところでございます。厚生労働 省案の段階では、前回の再計算で示しました毎年600円の引上げで、厚生年金20%と同じ ようなレベルまでの給付水準の調整を図っていくとすれば、2011年度以降17,300円での 固定となると申し上げておりましたが、厚生年金保険料率が見直されたこと、厚生年金 の保険料率の段階的な引上げの期間と同程度の期間で引上げを図るべきであるという与 党の合意もありまして、2017年度までに引き上げということで設定しますと、600円のと ころが280円、最終的な保険料水準が16,900円という結果になったということでございま す。  そのような収入の前提の下でマクロ経済スライドでございますが、新規裁定者は一人 当たり手取り賃金の率で改定し、既裁定者は物価の変動で改定をすることが原則でござ います。これに対しまして財政の均衡を図るべき期間につきましては、スライドの調整 率というもので少し伸び率を小さくして均衡を図るという、従来から御説明申し上げて おりました方式を改正案に盛り込んでおるところでございます。  なお、このスライド調整率といいますのは、まずは、公的年金全体の被保険者数の減 少率、これは審議会の御意見をいただきました段階では、例えば共済年金、厚生年金の 被保険者数の減少率で見てはというようなことを申し上げておりましたが、改正案では 基礎年金も同程度に調整していくという考え方に基づきまして、国民年金の被保険者数 の変動もすべて入れた減少率をとらせていただきたいということでございます。これは 実績をとっていきたいということでございますが、今の見通しでいきますと毎年0.6%前 後ではないかと考えております。  もう一つは、これは意見書の段階から指摘をいただいておりましたけれども、平均余 命の延び、受給期間の延びの率についても早目に調整をすべきではないかという御指摘 を踏まえたもので、これも省案の段階から提示しておりましたが、今後の2025年程度ま での平均余命の延びは、おおむね毎年0.3%程度というようなことでございますので、こ の0.3%という数字については法律上固定の数字として書き込んだ形で再調整をさせてい ただきます。この2つの数字を調整させていただくということでございますが、このや り方は実際の一人当たり賃金あるいは物価が伸びているとき、上昇の幅の中でスライド の調整をさせいただくということで、スライド調整をしても年金額が減るということは ないような仕組みにしております。なお、物価等が下がる場合には、下がった分だけは 反映させる規定を置かせていただいております。  このような調整をさせていただいた上で、スライド調整をやっていく場合でも公的年 金の水準については下限を設けるべきであるという点につきましては、9月の審議会の 意見書の段階でも一定の水準を確保して下限を設けるべきであるという御指摘をいただ いておりましたが、厚生労働省案でも、標準的な給料で夫だけが40年働く夫婦の世帯で 見ましたときに、おおむね50%は下回らないようにするという提示をさせていただき、 与党での合意におきましても、スライド調整が原則であるけれども、その場合にあって も50%を下回らないようにしていくという合意をいただいておるということでございま す。これを法律に明記するという合意でございましたので、法律の規定を見ていただき たいと思いますが、資料4「国民年金法等の一部を改正する法律案要綱」でございます 。改正法の附則におきまして「給付水準の下限」とありますが、(1)で数字の取り方とし ては審議会の合意をいただきましたように、夫だけが40年働いている世帯だけではなく て、多様な世帯を見るべきであるということでございますが、どのような世帯でありま しても、このスライド調整は同じ調整の率でやらせていただくということでございます 。ここでは基準として、夫だけが40年働くという世帯のものを使わせていただいており ますが、その場合のものが100分の50を上回るようにしていくということでございます。  (2)の方で、先ほど申し上げました5年ごとの財政の見通しの作成という場合に、次の 5年の財政の見通しを作成するまでに、その時点での経済前提や人口等を見て、新規裁 定者のモデルの方が100分の50を下回るようなものが出てくる可能性があるということに なりますと、ここでは調整期間を終了させて、その他の措置を講ずるとございまして、 スライド調整を一旦終了する、あるいはその進み方を緩めて再度国会でこのやり方につ いての検討をいただくということで、(3)の方では、この措置を講ずる場合に給付と負担 の在り方についての検討を行って所要の措置を講ずるということを書いてございます。 その中身については、その時点での御審議でございますけれども、スライド調整のやり 方で給付水準が50を下回ることについて再度検討をいただき、もう一度やり方について の合意をし直した上で均衡を図っていくということが合意されている、この旨を盛り込 ませていただいているということでございます。  また、戻っていただきまして、資料2でございますが、3ページ「多様な生き方、働 き方に対応した制度の導入」ということでございます。まず、在職老齢年金制度の見直 しでございますが、60歳台前半、特別支給の厚生年金についての在職調整、一律2割支 給停止を廃止するということが意見書で書かれておりますが、そのまま改正案にも盛り 込んでおります。  次の70歳以上の在職調整の仕組みでございますが、これは厚生労働省案の段階から経 済財政諮問会議等での指摘等も踏まえまして提案をさせていただいているものでござい ます。65〜70歳未満につきましては、前回の改正で、65歳から厚生年金は支給されます が、職場にとどまっていらっしゃる方については被保険者にとどまっていただいて、保 険料の御負担もいただきながら、基礎年金は支給停止されませんが、厚生年金の部分に ついて賃金と厚生年金を足して男子の現役の平均賃金を上回るという部分につきまして は、賃金が2増えると年金を1支給の調整をさせていただくという仕組みを導入いたし ておりました。これと同じものを70歳以降についても現役世代との均衡を図る上で御協 力を願いたいということを提案しておりましたが、これは最終的には与党との合意の中 では支給調整の仕組みは同じものを導入する。ただし、保険料の負担については、現在 の60歳台後半に納めた保険料は、実際に退職された場合に年金額の方に更に退職時の改 定として反映される仕組みではございますが、70歳を超えて働いている方々について退 職時に改定されるといっても寿命等を考えると短い期間になってしまうのではないか、 そこまでは適当ではないのではないかということでございまして、保険料の負担までは 求めないという合意で、その旨を改正案に盛り込ませていただいているところでござい ます。  それから、2番の短時間労働者への厚生年金の適用拡大でございますが、結論から申 しますと5年後に結論を得る、更に検討を行っていくということでございますが、これ は与党での御議論の中でも、実際に各経済界、学識の方々に御参加もいただきましてヒ アリング等も行っていただいて検討いただきましたが、もう少し慎重に検討した上で結 論ということでございまして、そこに書いてありますとおりの文言を、先程の要綱の一 番最後のページになりますが、このとおり改正法の附則に明記させていただいて検討を 行っていくということでございまして、趣旨としては、短時間労働の被用者の年金保障 の充実、企業間の厚生年金等の負担の公平を図ることはまず必要な観点であるというこ とでございますが、配慮すべき事項として、社会経済の状況や短時間労働者が多く就業 されている企業への影響、雇用への影響等を配慮する。それから、これは「等」で省略 されておりますが、附則の方ではその短時間労働者御自身の意識・就業実態等を踏まえ ながら検討していくということです。いずれにしても、雇用の選択にできる限り中立的 な仕組みになるように、施行後5年を目途として検討を加え、必要な措置を講じるとい うことでございます。この旨を明記し、更に検討いただくということで改正案を出させ ていただいているところでございます。  次に3で、次世代育成対策でございますけれども、これも意見書の段階で御指摘いた だいておりました趣旨で省案を出させていただいております。省案の段階では、育児休 業期間、これは現在でも努力義務としては3歳まで育児休業に準ずるものがとれるとい う仕組みがあるわけでございますが、この3歳までの間につきまして育児休業をとられ た場合には本人の保険料を免除して納付してもらうということ、それから、休みはとれ ないけれども時間を短くして働き続けておられるという方々につきましても、育児休業 に入られる前の標準報酬で保険料を納付されたものとみなすという措置を同時に入れる ということの改正を盛り込ませていただいているところでございます。  次に、4で女性と年金の部分でございます。まず、第3号被保険者の部分でございま すけれども、これにつきましては、審議会では意見の一致までは見ておりませんが、い ずれにしましても将来の在り方を展望しながら、これからのライフコースの多様化に対 応できるような方向で見直しをしていくべきだと、3号制度に限らず、離婚、遺族年金 等同じような考え方のもとに見直していくべきだという御指摘をいただいております。  この中で厚生労働省案の段階では、厚生年金の分割の案で提案をしておりました。婚 姻期間中、共同して保険料を負担されたものとみなすという前提のもとに、65歳を迎え られた段階で基礎年金がそれぞれの名義で出ますように、厚生年金につきましても被扶 養配偶者については2分の1ずつ保険料を納めたと計算して、それぞれの名義での受給 をしていただくという提案、あるいは離婚時にそういうふうにしていただくという提案 をしておりましたけれども、これは与党の議論の中で共同して納付をしておるというこ とは認識をきちんと持って、それを法律案に明記していこうということでございまして 、その期間については共同して負担したものであるという基本的認識を法律上に明記し 、その上で第3号被保険者期間につきましては、これから法律を施行された後の期間で ございますけれども、そのような認識の規定を前提に分割をするわけでございますが、 これは実際に婚姻が続いている間まではその必要性はまだないのではないかということ で、離婚をされた場合に基礎年金同様に、その期間の厚生年金についてもそれぞれ2分 の1で計算されたものとして、それぞれの名義が持てるという形にすべきではないかと いうことで、離婚した場合あるいは離婚に順ずる行方不明等の場合でございますが、そ の場合について配偶者の方からの請求があった場合に2分の1に分割するというように 本人の記録として書き直すという規定を置かせていただいているところでございます。  それから、次の離婚時の厚生年金の分割、これは離婚の一般的なものでございますが 、これも審議会で御議論いただきましたように、共働きの方もあるいは2号と1号の御 夫婦の場合も含めて、3号もすべて含めてでございますけれども、離婚した場合の厚生 年金につきまして、両者の間での同意がある場合、あるいは同意が得られない場合には 裁判所の決定を踏まえて分割できるということでございます。その期間の保険料の記録 、婚姻期間について、それぞれの2階の報酬比例部分につきまして合算をして、半分ま でを上限としながら分割ができるという規定を置かせていただくということで改正案に 盛り込ませていただいております。  次に3番、遺族年金制度でございますが、これにつきましても意見書の段階から御指 摘いただいておりましたように、まずは、両方が老齢厚生年金を持っていらっしゃった 段階で片方が亡くなったという場合に、まずは自分自身の老齢厚生年金を満額受給して いただいた上で、従来の計算方法でそれ以上の遺族年金が出るということでございまし たら、その差額は遺族年金として受けていただく。まずは自分の年金をきちんと使える という仕組みにするという部分を盛り込ませていただきました。  それから、子どもさんがいらっしゃらなくて若い時代に遺族になられた場合の厚生年 金でございますけれども、30歳未満の場合の遺族には、遺族厚生年金を5年程度の期限 を付して給付するというものでございます。  併せまして、40歳以降の中高齢寡婦加算につきましても、今は35歳以降で配偶者が亡 くなった場合に40歳から出るとしてございますが、これを40歳以降で夫が亡くなった場 合に40歳から支給するということで、少し要件を見直させていただいておるということ でございます。  障害年金につきましては、御指摘いただいておりましたように、障害の基礎年金と障 害を持ちながら働かれた場合の老齢厚生年金の併給を可能とするということを盛り込ん でおります。  それから、国民年金保険料の徴収対策でございますが、これにつきましては法律事項 でないものも踏まえましていろいろ盛り込んでおります。まず、きちんと納付の義務を 果たしていただかなければいけないということで保険料納付意識の徹底ということで、 強制徴収、滞納処分も既に着手を今年度もさせていただいておりますけれども、きちん と払える方については義務を果たしていただくということを徹底していきます。それか ら、御本人が未納であった、あるいは免除を受けられていた方で、必要がある場合には 御本人から所得の情報をしっかり求めるとともに、御本人から所得の情報を出していた だけない場合には、市町村から所得の情報を得ることができるという規定を置かせてい ただき、その情報に基づきまして免除に当たる方にはきちんと免除を促す、あるいは納 付できる方には納付を督励していく、それでも納付されない場合には、滞納処分も進め てさせていただく場合があるということで、きちんと情報に基づいた手続をとらせてい ただきたいということを盛り込ませていただいております。あるいは税制改正の中で、 社会保険料の控除というのはきちんと社会保険料納付がなければ適用されないというこ とで、税務当局との間での未納についての情報をきちんと伝えるということをやらせて いただきたいと思います。  それとともに、左側にございますが、保険料の負担が重いという中でなかなか納付い ただけないという方につきましては、免除制度等をよりきめ細かにしていきたいという ことでございまして、これも審議会から御指摘がありましたように、免除制度について 今の2段階全額免除から多段階に、4分の1、4分の3というものを入れさせていただ いて、多段階免除でその時々の所得に応じて納付をいただきたいということ、それから 、免除の基準は、世帯人数が多い方を基準に設定されておりますので、単身の方にきつ くなっているものについては、単身を少し見直すことによって免除がきちんと適用され るようにしていく。あるいは、未納者に関係する中で学生で今、納付猶予の仕組みは10 年間の後納の仕組みがございますけれども、同じように卒業したけれども働けない、定 職に就けないという方も増えている中で、30歳未満の方につきましては、その納付猶予 の仕組みの導入について盛り込みました。  あるいは、3番にありますように、きちんと地域の中でネットワークをもう一度再構 築していただいて納付のお願いをしていきたいということで、例えば、農協あるいは商 店街でありましたら商工会なり、同業者の組合というようなところを通じまして、きち んと納付をしていただくような協力関係をもう一度確認したいと考えております。  あるいは自分の納付した保険料をきちんと理解していただき、それが年金に反映され ているということをきちんと理解していただくということのために、毎年年金の個人情 報の通知を本人にしていき、その際には、簡便に年金額を想定し、計算できるような体 制を整え、ポイント制の導入も同時に進めていきたい。このようなものを総合的に徹底 して講じさせていただき、国民年金2分の1の国庫負担割合引上げとともに、きちんと した御検討をいただくというようなことも盛り込ませていただいているところでござい ます。  最後、資料2の5ページでございますが、3号の被保険者の特例届出ございます。過 去に届出漏れがあった、御本人が知らない間に3号期間であったけれども届出ができな かったというような事例があるということを踏まえまして、今後の届出で将来に向けて その期間は3号期間だったということをみなす措置を入れさせていただきたいと思って おります。  それから、去年1月から12月まで物価がまた0.3%低下をしております。これを踏まえ た4月以降の年金額の改定は、この1年間分を踏まえたものとさせていただきたいとい うことで、別途物価スライド特例法案を提案させていただいておりますが、もともと平 成12年、平成13年、平成14年と3年間物価が1.7%下がったけれども、それが下げられて いないという部分の影響につきましては、今回の改正案の中で、この特例措置分につい て、今後物価が上がってくるときに解消するという措置を入れさせていただいていると ころでございます。  おおむね以上のものが公的年金分でございます。 ○松岡企業年金国民年金基金課企画官  続きまして、企業年金関係について御説明させていただきたいと思います。お手元の 資料2の5ページについて引き続き御説明させていただきたいと思います。  主な柱といたしましては、厚生年金基金の安定化、免除保険料の凍結解除、それから 、解散時の特例措置というものが1点目でございます。2点目が、確定拠出年金の改善 、拠出限度額の引上げ等でございます。それから、3つ目が企業年金のポータビリティ の向上でございます。詳しくは参考資料1で御説明したいと思います。参考資料1の25 ページをお開きいただければと思います。基本的に今回の内容につきましては、年金部 会の意見書の報告を踏まえまして、政府案として作成させいただいております。  1点目が、免除保険料率の凍結解除でございます。平成12年の改正では厚生年金本体 の保険料率の引上げが凍結されましたので、連動いたしまして免除保険料率も凍結をい たしております。したがいまして、予定利率5.5%を前提といたしまして、免除保険料率 は平均2.8%、上下限2.4〜3.0%ということで現在動いておるわけでございます。  今回この凍結を解除いたしまして、直近の平均寿命や厚生年金本体の予定利率の見通 しに基づいて見直し設定するものでございます。具体的には、予定利率は本体と同様の3 .2%、その他平均寿命の延びというものも勘案いたしまして、平均して3.7〜3.8%程度 の免除保険料率の設定ということでございます。これにつきましては、上下限も広げ、 下限が2.4%から上限が5.0%ということでございます。  なお、免除保険料は将来分についての措置でございますけれども、免除保険料率の凍 結解除に伴いまして予定利率の見直しを行いますが、これによりまして過去加入期間に ついての給付債務が増大することになります。これにつきましては最低責任準備金が代 行給付原価の2分の1を下回った場合につきましては、この下回った部分の5分の1を 各年度に財源手当をして支給に支障がないようにするという措置も盛り込んでおります 。  また、代行給付部分として保有すべき最低責任準備金につきましては、平成12年の改 正の際からとられている算定方式を継続していくことといたしております。これらにつ きましては、平成17年4月に施行ということでございます。  2点目が、厚生年金基金の解散の特例措置でございます。現行では解散時に最低責任 準備金の積立不足額を一括して母体企業が拠出をいたしまして、最低責任準備金が全部 そろったところでお返しをいただいて解散するといったことになっておりますけれども 、なかなかこれが難しいといった基金もございます。したがいまして、今回の特例措置 といたしまして、分割納付と納付額の特例措置というものを設けることにいたしており ます。ここにございますように、解散時に最低責任準備金を確保していなくても解散を 認めまして、不足分は分割納付を認めるといったものが1点目でございます。  2点目が納付額の特例でございまして、通常の最低責任準備金の計算の仕方といたし ましては、将来の給付が幾らになるかというものを予定利率で割引をしまして、それで 準備金が幾らになるかということを出しますけれども、今回の特例措置におきましては 、その基金が当初から厚生年金本体のみに加入していたならば、本体で形成されていた 積立金がどれだけになったかということを計算するというものです。保険料から給付費 を引いて、厚生年金本体の運用利回り実績で付利をするという形で特例額を計算いたし まして、これと最低責任準備金の2つを比べて少ない方の額で納めていただくというこ とでいいということにするものでございます。これにつきましては、一定の要件を課す 予定でございまして、これまでの運営努力、それから、今後の運営の困難性などといっ たことを要件といたしております。これらにつきましては、あくまで特例措置というこ とでございますので、3か年の時限措置ということにいたしております。また、積立金 の返還につきましては、国の方にお返しいただくということいたしております。これに つきましても、平成17年4月からの施行ということでございます。  続きまして確定拠出年金の充実でございます。これにつきましては、昨年の年末の与 党の税制大綱で決定されたものでございまして、これを法律に盛り込んでおるわけでご ざいます。  まず、1点目が拠出限度額の引上げでございます。年金制度の改革における公的年金 の給付水準の見直し、所得代替率が将来的には下がっていくといったようなことを踏ま えまして、公的年金を補完いたしまして老後所得の確保を図るということで拠出限度額 の引上げを行うというものでございます。企業型、個人型と2つございますが、企業型 のうち、ほかの企業年金がない場合については現行3.6万円でございますが、これを4.6 万円に引き上げるということでございます。ほかに企業年金がある場合はこの半分でご ざいます。個人型でサラリーマンの方については1.5から1.8万円へ引き上げるというこ とでございます。これらにつきましては、政令事項でございますけれども、年金制度改 革の一環ということでございまして、年金改正法公布後、平成16年10月目途施行を予定 しております。  もう一つ、ほかの厚生年金基金などから確定拠出年金へ制度移行するといった場合に 、移換限度額というものが設けられておりましたけれども、これにつきましては今般撤 廃をするということでございます。これは平成16年10月からの施行を法律で予定いたし ております。  もう一つは、中途引出し要件の緩和でございます。資産が少額の方につきましては中 途脱退の要件を緩和するということでございまして、ここに掲げているようなことを設 け、平成17年10月からの施行を予定いたしております。  もう一つは、企業年金のポータビリティの確保といったものでございます。厚生年金 基金や確定給付企業年金などの加入者の年金原資の資産移換を可能とするといったもの でございます。基本的に企業から企業同士で移すといったことができるようにするとい うことでございますが、これが難しい場合もございますので、厚生年金基金連合会の方 に移換をして、そこで引き受けをできる道もつくるということでございます。また、確 定給付型の方から確定拠出年金の方へも資産が移換できるといったことも行えるように するということでございます。  厚生年金基金連合会につきましては、これに伴いまして名称も「企業年金連合会」に 改称するということにいたしております。これらについては平成17年10月の施行という ことで予定しております。  以上でございます。 ○松田運用指導課長  運用指導課長でございます。それでは、引き続きまして私の方から年金積立金の運用 組織の改革案につきまして説明申し上げます。お手元の資料3を御覧いただきたいと思 います。  まず、この改革案でございますけれども、なぜ今、見直しが必要なのかということで ございまして、その経緯についてまず御説明したいと思います。  特殊法人等整理合理化計画が平成13年12月に閣議決定をされています。この計画の中 で、年金積立金の運用の在り方について検討し、具体的な運用組織の在り方につきまし ても検討するとされてでございまして、これらの検討につきまして平成16年の年金財政 再計算の際に検討し決定するといったことが、この計画の中で具体的に指摘を受けたわ けでございます。これを受けまして、運用の在り方、それから、運用の組織の見直しを 今回行い、改革案を取りまとめたというものでございます。  まず、運用の在り方について御説明したいと思います。まず、基本的な運用の在り方 なり基本的な目的でございますが、専ら被保険者の利益のために長期的な観点から安全 かつ効率的に行うということでございまして、その際には市場への影響に留意し、安全 ・確実を基本とし、特定の運用方法に集中しないということがございます。これは具体 的には分散投資ということでございまして、リスク・リターンの特性が異なる資産を組 み合わせて運用するということが基本的な在り方なり目的であろうと考えてございます 。  こういった考え方を受けまして、現状でございますけれども、大臣の方で分散投資の 考え方に基づきまして長期的に維持すべき資産の構成割合、具体的には基本ポートフォ リオと言っておりますけれども、これを定めまして運用しておるということでございま す。この資産構成割合、現在のポートフォリオでございますが、平成11年財政再計算の 際に設定したものでございまして、具体的な割合につきましては、ここに記載させてい ただいているとおりでございます。  具体的な市場運用でございますけれども、長期的に市場平均の収益率を確保すること を目標とするということでございまして、こういった基本的な運用方針に従いまして、 具体的な積立金の管理・運用につきましては、特殊法人の年金資金運用基金が具体的な 業務を実施しているという形になってございます。  実際の運用でございますけれども、資金の管理運用につきまして、約9割が民間の運 用機関に委託して実施しているということでございまして、年金資金運用基金では一部 債券の、これはインデックス運用でございますけれども、これを実施しているという現 状でございます。  今後の運用の在り方でございますが、先ほど申し上げましたような閣議決定で運用の 在り方について検討しなさいという宿題をいただいたわけでございまして、その背景に は、ここ最近非常に低迷しておったという状況にある中で、特に株式の運用の是非につ いての議論がございまして、社会保障審議会に年金資金運用分科会、この部会のメンバ ーでは若杉委員が分科会長ということですけれども、この年金資金運用分科会で閣議決 定を受けまして運用の在り方につきましては十二分に議論をいただいたところでござい ます。その議論の結果につきましては、昨年3月に分科会の意見ということで意見を取 りまとめていただいておりまして、基本的には債券を中心といたしますけれども、国内 外の株式等を一定程度組み入れた分散投資が必要という意見を取りまとめていただいて おります。したがいまして今後、基本的にはこの考え方を踏まえながら、具体的な株・ 債券等の構成割合につきましては専門的な観点から検討を行いたいと考えております。  ただし、その際には、現在積立金は150兆円の規模でございますけれども、まだ旧大蔵 省の資金運用部、現在の財政融資資金でございますが、こちらの方に預託分が100兆円を 超える額がございまして、これが順次平成20年度までに償還されて資金運用に回ってく るということになりますので、特に市場への影響なり安定的な運用収益の確保といった ことにも留意しながら検討していきたいと考えております。  具体的な運用組織の方でございますけれども、年金資金運用基金は、運用業務以外の グリーンピア等の業務をやってございますけれども、これにつきましては廃止をし、運 用業務に特化した専門の組織にしたいと考えております。  具体的な組織の関係でございますが、今申しましたような経緯を踏まえまして、組織 につきましては現在の年金資金運用基金を廃止しまして、独立行政法人を創設するとい うことで考えてございます。現在、政府全体の流れとしまして、特殊法人について見直 しをし、可能なものにつきましては独立行政法人にしていこうというのが基本的な方向 になっておりまして、「年金積立金管理運用独立行政法人」という独立行政法人を創設 するということでございます。  運用についてでございます。ここにまず、運用委員会と運用の基本方針を書いてござ いますけれども、新しく設置します法人におきまして、まず運用の基本方針でございま すが、中期計画を独立行政法人で定める形になっております。現在、基本ポートフォリ オ等の基本的なルールにつきましては厚生労働大臣の方で定めておりますが、新法人で は基本ポートフォリオ等の運用の基本方針を定めるということで考えてございます。そ の際に、専門的にきちんと議論するという観点から、前の方に書いてございますけれど も、運用委員会、これは大臣の任命の経済金融の専門家で構成する委員会でございます が、法人内部に運用委員会を置きまして、今申し上げました中期計画等を審議するとい うことをやっていくという位置付けにしたいと考えております。  また、加えまして、この運用委員会におきましては、運用状況等の監視をするという 位置付けにしたいと考えております。  運用方法、受託者責任等につきましては、現在と同じような形での位置付けを考えて いるところでございます。  厚生労働大臣等の関与の部分ですけれども、新しい法人は独立行政法人という仕組み の法人にするわけでございまして、独立行政法人につきましては共通の仕組みとしまし て、大臣の方から中期目標を示し、これを受けまして先ほど申し上げたような中期計画 を法人の方でつくり、この目標を目指して業務を執行していくという形になってまいり ます。その業績の評価につきましては、評価委員会、これは厚生労働省に置く評価委員 会でございますが、ここで毎年業務の実績について評価し、必要に応じて業務の改善等 を勧告するという位置付けにしたいと考えております。  それから、特に必要がある場合につきましても厚生労働大臣から業務の改善措置等に ついての要求を行い、さらには、年金財政につきまして毎年度検証するという形の位置 付けにしたいと考えております。  2番目でございますが、先程も触れましたけれども、現在の年金資金運用基金の業務 でございます。運用業務以外にグリーンピア関係の業務、住宅融資の業務、教育資金の 貸付のあっせんの業務をやってございますが、グリーンピア、それから、住宅融資につ きましては閣議決定でも触れられておりますけれども、平成17年度までに廃止するとい うことで考えてございます。また、教育資金の貸付のあっせんの業務につきましては、 新法人から切り離しまして独立行政法人の福祉医療機構の方に年金資金運用基金から承 継して、こちらの福祉医療機構の方で業務を実施するという形にしたいと考えておりま す。  以上のような組織の見直しをします。この法人の設立日でございますけれども平成18 年4月ということで考えてございます。  最後に、今回の組織の改革案のポイントを現行との比較をしますと、今回の改革は、 専門性の徹底と責任の明確化を図るという観点から見直しをするということでございま す。ポイントは現在、大臣の方で投資割合の決定等について、審議会意見を聞きながら やっておるわけでございますが、これにつきまして新法人の方に運用委員会を置きまし て、新法人の方で決めていくということでございます。大臣の方からは中期目標を示し 、これに基づいて新法人の方で投資割合等を決定するということでございまして、事後 的に評価委員会の方で実績を評価するという形で考えているわけでございます。  以上が改革案の内容でございますけれども、具体的な投資割合、いわゆる基本ポート フォリオ等につきましては、この法案が成立すれば今後、具体的に検討する形になるわ けでございますけれども、今回の見直しのポイントは、従来は大臣の方で審議会の意見 を聞きながら決定したわけでございますが、検討の主体が改革案では新法人の方になっ てくるということでございますので、こういった検討主体が変わってくるということを 踏まえまして、今後、専門的な観点から検討を進めていきたいと考えております。  以上でございます。 ○高橋総務課長  それから、この法案の閣議決定後、与党の間で更に現在御議論が行われております が、年金の保険料を使った病院あるいは会館などの福祉施設の問題につきまして議論が ございました。これは、私どもの厚生労働省案でも福祉施設につきましては今後、施設 整備について保険料財源を投入しないことを基本とするなどとする見直しを行うと言っ ておりましたけれども、与党2党でそれぞれで御検討が進みまして先月末、基本的には 今後はこういった病院、会館等の福祉施設については、保険料財源を投入しない、それ から、施設について売却を進めていく、それから、グリーンピアあるいは住宅融資とい ったものについても、確実に平成17年末までに廃止するという方針を言われております 。私ども政府といたしましても、それに沿って進めていきたいと思っております。  以上でございます。 ○宮島部会長  ありがとうございました。今回の改正組織のことでございますが、一連の説明をいた だきました。既に委員の方々には、その都度資料としてお送りしておりますので、それ ぞれお読みいただいていることかと思います。残りの時間は先ほど申し上げましたよう に、今回の改正案につきまして御質問あるいは御意見を伺いたいと思っております。  翁委員は、時間の関係で早目に退席されたいということでございますので、初めに翁 委員から。 ○翁委員  4点ほど申し上げたいのですけれども、1つは、年金制度の改革についての与党の合 意の中で、課題として挙げられていることと関連しますが、年金の体系について今後ど う考えていくのかということについては、個人年金化ということも含めて、例えばスウ ェーデンのような所得比例年金のような形を目指していくのか、どういう方向を目指し ていくのかということについて、今後も議論が必要ではないかという意見がここでも非 常に強かったように思います。そういう意味で、ここでは被用者と自営業者についての 制度の問題についていろいろ考えていくと書いてございますけれども、より広く年金の 体系の議論を今後も続けて、きちんとした将来像というものが目に見えるような形にし ていく努力が欠かせないのではないかと思っておりますので、それが1点目でございま す。この話は税の議論とも非常に関連いたしますので、やはり今後の議論というのは税 の議論を視野に入れるというか、むしろ縦割りでなく、税の議論とも十分連携をとりな がらこういったことを議論していく必要があるのではないかというのが1点目です。  それから、2点目ですが、やはり今回、女性の年金の議論とか、働き方が多様になっ ていく中で、どのように年金制度で対応していくかという点については、必ずしも十分 に対応し切れていない部分が多いと思います。働き方の多様化や女性も含めたライフス タイルの多様化に、年金制度としてどう対応していくのかという課題により真剣に取り 組んで、5年と言わず、なるべく早くこの2つについては議論をしていく必要があるの ではないかというのが2つ目でございます。  それから、3点目は、国民年金保険料の収納対策の強化ということで御説明があった のですが、これはいずれも非常に重要な点で、当然今ある制度において納付意識を徹底 して、収納を強化していくということは非常に重要だと思っているのですが、同時にこ れはどのくらい年間にコストを掛けるものなのかということが非常に懸念されるという ことです。非常にコストの高い制度になっていくのではないかという感じを持っていて 、あめとむちと言いますけれども、よりインセンティブをつけるような形でコストを抑 えていかに効率的に収納できるような体制をとっていくかということも極めて重要なの ではないかという感想を持ちました。実際にどのくらいのコストを掛けるおつもりなの かということについて、何かお考えがあったらお聞かせいただきたいというのが3点目 です。  それから、4点目は、年金の積立金の運用のことなのですが、私はこの年金積立金の 運用の改革案というのは大変評価しているのですけれども、国民全体がこれだけ年金に ついて非常に大きな関心を持ち、そして、高齢化社会においてどの程度自分がもらえる のだろうかという率直な心配を持っている中で、本当に安全な運用ということについて 心掛けていただくということが本当に重要なことだと思っております。今回、大きく積 立金の位置付けというものも年金改革によって変わったと思います。その意味で、やは り資産の運用の在り方というものも、安全第一で考えていただきたいと思います。  この点で先程のお話で引っ掛かったのですけれども、去年3月にこの審議会で決めた 運用方針に基づいて、これからも運用をするというような感じに聞こえたのですが、実 際はどうなのでしょうか。去年3月の方針というのがこれからも変わるのか、変わらな いのか、そこについて教えていただきたいと思いました。私個人といたしましては、従 来の考え方とは少し積立金の位置付けも変わりましたので、もう一回根本的に見直す必 要があるのではないかと考えているのですが、そこについても確認をさせていただきた いと思います。 ○宮島部会長  ありがとうございました。委員の方にこれから御意見を聞くと重複する問題が出てく ると思いますが、翁さんは退席される関係がありますので、今の質問についてとりあえ ずお答えをいただきたいと思います。どうしましょうか、今後のこういう議論の仕方に ついて、ちょっと私も感想はありますがそれは最後に述べるとして、それから、特に国 民年金の徴収効果、徴収コストなりインセンティブについての意見、それから、年金運 用に関する意見の3つについて、今の段階でもし事務局の方から何かあれば。 ○松田運用指導課長  それでは先に、翁委員の方から御指摘のありました運用の関係についてお答えしたい と思いますけれども、先ほど御説明しました昨年3月に取りまとめていただいています 年金資金運用分科会の意見書でございますが、このエッセンスは先程も御説明いたしま したが、いわゆるリスク・リターンの特性の異なる複数の資産の組み合わせであろうと 考えております。これは1つには、いわゆる理論の教えるところの分散投資という意味 もございますし、もう一つは、年金の運用の目的が、ちょっと専門的になるかもしれま せんけれども、いわゆる賃金上昇率を上回る実質的な運用利回りをとっていくというこ とから考えましたときに、例えば債券だけであれば賃金上昇率が低い、いわゆるデフレ 状況であればまた違いますが、少しインフレ、賃金あるいは物価が上昇したような局面 におきましては、なかなか債券だけではこの目標である運用利回りをとっていくことが 難しいという観点から、基本的には債券を中心に置くとするのだけれども、一定程度株 式等も組み入れる必要がある、こんなことをエッセンスとしまして取りまとめられた意 見であると考えております。したがいまして、基本的にはこの意見書の考え方を踏まえ るということでございますが、御指摘がございましたように、あるいは今回の改革案を 取りまとめる議論の過程におきまして、やはり安全をもう少し重視すべきではないかと いういろいろな御意見がございますので、具体的な資産構成割合、基本ポートフォリオ を定めるに当たりましては、委員の御指摘もございますけれども、安全という観点から も十分に検討しながら専門的な議論をしていきたいと考えております。 ○渡邉社会保険庁・年金保険課長  平成14年度の納付実績等を見ると、平成13年度と比べて8.1ポイント下がっていたわけ ですが、その4ポイント分は免除制度の問題でございましたので、今回の多段階免除の 導入あるいは若年層の納付猶予制度の導入によって相当程度カバーされるのかなという 状況があります。  また、強制徴収の実施に当たりましても、今年度一部実施をしておりまして、既に沖 縄県では差し押さえ等も一部実行しております。このような状況から、所得情報もとれ るような状況になりますと、見直し対策としては相当程度カバーされるのではないかと 考えています。  また、コストの面でございますけれども、新聞等でよく出ておりますが、国民年金に ついては1万円を徴収するのに810円かかるということで出ております。しかし、これは あくまでも適用、それから、被保険者の記録の管理、給付、年金相談等を合わせた全体 の事務費を徴収額を割り戻して出している数字でございまして、基本的には徴収だけに 掛かるコストということではないということであります。  それから、当然として国民年金については一人一人が対象者ということもあり、コス ト的にはやはり余分に掛かっておりますが、社会保険全体、いわゆる政管健保、厚生年 金を含めると、1万円取るのに111円というのが今の事務費を単純に割り戻したという状 況になっております。国税との比較がよく行われるわけでございますが、国税も徴収額 を事務費総額で割り戻した場合、1万円について136円というのが今の状況でございます 。したがって、社会保険全体としては被用者分、それから、国民年金を合わせて111円な ので、コストが非常に高いという状況にはなっていないと考えています。 ○高橋総務課長  与党の2月4日の合意文書にある、将来の課題について、今、翁委員からお話がござ いました。翁委員の方からはすべてが所得比例体系というお話が出ましたけれども、与 党の議論の中ではどういった体系がいいという何らかのベクトル、方向性がはっきりし ているわけではなくて、そこはまだ与党の中の議論は今の体系でいいのだという意見も 強いですし、あるいは2階も要らないとかいろいろな議論がありますので、そこはまだ 百家争鳴状態ですので、それについてはまだ与党の議論の中では何らかの方向性が見え た議論をこれからされていくということではありません。現実問題、社会保障の根幹か ら勉強を始めようかというような作業が始まっているというのが現段階だということで ございます。 ○宮島部会長  まだ追加すべきことはございますか。 ○吉武年金局長  この問題は、つまり制度体系の問題と給付と負担、給付と負担は保険料、給付水準、 国庫負担、この3つの要素でほぼ基本が形づくられているものでありまして、大臣が申 し上げておりますのは、急速に少子高齢化が進むという非常に厳しい状況がありますの で、その状況については年金制度としてはしっかり直視して、給付と負担の安定を図る ということは今避けられない課題であろうと。この問題としては、できるだけ早く安定 した状態が実現できるようにして、そのことによって年金制度の持続可能性をつくって いって、そのことによって年金制度に対する安心感につなげるということを申し上げて おります。  どういう制度体系をとるにいたしましても、例えば税の負担あるいは社会保険料の負 担にいたしましても、トータルとしての負担と給付の関係というのは多分同じような検 討が必要だろうということ、それから、この自民党・与党の年金制度改革協議会での議 論に即して申し上げているわけではありませんが、先ほどお話がございましたパートの 方の適用の問題も含めまして、所得比例というふうに申し上げているわけではありませ んが、年金受給権の個人単位化のような問題、基本的な議論でありますけれども、それ をどう考えていくかというのは非常に大きな課題だろうと考えております。その場合に 、翁委員がおっしゃいましたように、個人単位化と言いましても、現実に例えば第3号 の方の場合は典型的でありますし、それから、自営業者の方などもそうですけれども、 どちらかといいますと世帯として所得を考える場合と、例えば、共働きみたいな場合に は割と個人として所得を考えやすいという、その両方の世帯類型というのが現に存在す るわけですので、そういう中で税で考える所得なり保険料の賦課となるベースと、社会 保障なり年金で考える賦課ベースというものをどう考えるのかというのは多分、密接不 可分な問題であるでしょうし、社会保障なり社会保険のサイドで税のような形での所得 枠を現実にやるのは多分、社会保険組織自体では無理でしょうから、そういう議論と密 接不可分な議論になっていくのではないかということだけ申し上げます。  それから、もう一つ、個人単位化を考えますと、例えば、男性と女性で平均賃金が現 状で違います。そこを例えば所得比例的に考えていった場合に、ある意味で同世代の中 の所得再分配を行う基礎年金の機能、厚生年金の体系で申し上げれば、給与の高い方が 基礎年金についてはより拠出をしていただいて、そのことによって給与が低い方に対し ても6万6,000円という基礎年金が給付されるという機能を果たしているわけであります ので、今後の社会保障のベースとなります、例えば男女の賃金の違いはどうなってくる かというようなこともよく検討に入れながらやる必要があるのではないかというのは大 臣が申し上げている点です。そういう意味で、個人単位化をどうするかという問題は、 ある意味で簡単そうに見えて非常に難しい課題だろうということを大臣は国会で率直に 申し上げております。 ○宮島部会長  それでは、この後はそれぞれの方にまず御意見を一通り伺いまして、最後に局長なり 事務局の方から、それに関して今の段階で答えることがあればお願いすることにいたし ますので、どうぞ。 ○渡辺委員  では、手短に言います。意見としまして、私は今回のこの政府案というものは、昨年 の私たちが出した意見書とはかなり本質的に違うものだと感じています、大変残念であ ります。まさに、与党の数字をつじつま合わせした結果としてのかなりびほう的な案だ と思います。ましてや、今少し話があったけれども、与党の中でも自民党が政調会長を 中心として6月ごろにまたまとめるといいましたが、何のために国会に法案を出してい るのだといったことで、そうであるならば、またこちらとして何らかの検討をする必要 があるのではないかという意味で、極めて与党の対応について私は不信を感じておりま す。これは意見であります。  質問として、素朴な質問を2点ほどしたいのですが、1つは、高橋総務課長から御説 明があった国庫負担2分の1引上げの問題なのですが、来年度272億円というのはわかる のだけれども、その後1,600プラス定率減税の見直し等々と、この数字の議論というのは あったのかどうか。つまり、これまでは一挙に上げると2兆7,000億円、これを6年間で やるとなりますと単純平均すると4,500億円。勿論、年度が下がると当然その金額は上が っていくと思いますが、例えば2005年度、1,600プラス定率減税をどのくらい見込んでい るのか、最終的には消費税の引上げというものが当然与党の議論でもあったのですが、 その辺の数字がもしあったら教えていただきたいということが1点あります。  もう一点、企業年金に絡んで今度、免除料率を7段階から27段階に引き上げたことは 大変評価します。つまり、財政中立あるいは代行デメリットをなくすということで大変 いいのですが、下限1,000分の24を据え置いたということは、逆に言いますと代行メリッ トをそのまま残したということで、上下限の見直しという言葉があったのですが、今回 は上限の見直しだけで下限は据え置いた、この理由についてお伺いしたいと思います。 以上です。 ○宮島部会長  どうしましょうか。比較的に簡単なお答えを今直接いただきましょうか。国庫負担の 引上げについての、特に平成17年度、平成18年度辺りの拡大的な数字について、いかが でしょうか。 ○高橋総務課長  昨年、与党の税制、これはむしろ年金というより税制の協議ですが、平成17年度、平 成18年度、具体的に所得税をどうするかについての数字は承知しておりません。ただ、 表に出たところでは平成17年度、平成18年度の所得税制の見直しと言っているだけで、 数字についてどうなるかというのは一切わかりません。具体的な議論は、参考資料の6 ページですが、平成17年度、平成18年度の所得税制の議論を具体的にどうするかは、今 年の秋から年末に掛けて、恐らくは年末の決着になると思いますけれども、もう一度、 特に平成17年度の個人所得課税の見直しをどうするか、これは三位一体とも絡みますが 、そこをどうするかというのは今年の年末までに議論になるかと思います。 ○松岡企業年金国民年金基金課企画官  免除保険料の状況ですけれども、大体今度の新しい予定利率で見ていったときに、こ の中に収まってくるということになろうかと思います。全体的に免除保険料が高くなり ますので、今まで24であったところなども高くなるといった傾向がございますので、基 本的にはこの中に収まってくるのではないかと考えております。 ○矢野委員  意見を3つと、質問を3つ申し上げたいと思います。  1つは、社会保障制度全体の一体改革という問題です。これから申し上げる点は翁委 員の言われたことと共通性もありますが、本当の意味で今後、国民が安心でき、持続可 能な制度をつくるというためには、将来にわたって国民負担率を50%以下に抑制すると いう大枠に対する考え方が必要であります。税制大綱の中で示されている消費税を含む 抜本改革は、平成19年度を目途となっていますが、それへの道筋をつけていくとともに 、年金制度だけでなく、医療や介護を含めた社会保障制度全体を税制や財政の改革と一 体に検討する必要があると考えております。こう考えますとそれほど時間はありません 。個人的な意見でありますが、ここ1〜2年のうちに全体の方向付けをするという取り 組みが必要だと思いますし、そのためにどういう場が最もふさわしいのかということも 併せて検討して、やはりオープンな議論をしていく必要があるだろうと思っております 。こうした改革が行われていくことになりますと、今回法案に記載される保険料の引上 げ並びにスケジュールでありますが、これを見直しするための法的な措置が必要であり ます。  2つ目の意見は、給付水準の下限であります。附則で所得代替率50%を将来にわたっ て下回らない旨の記述がありますが、先程もお話が出ているように、片働きモデルが本 当にモデル足り得るのか、50%という基準を維持することにどれだけの意味があるのか という疑問を強く感じております。  3点目の意見は年金積立金であります。独法化の方向性は非常にいいと思いますが、 今後、運用について効率性を追求すると同時に、運営についても透明性を確保していく ということが必要であります。積立金を本来の目的である年金給付以外に使うことはよ くない。そういう意見がいろいろな場で出始めていることは結構なことですが、是非そ ういう方向で仕組みや運営を考えていくことが大事ではないかと思います。  次に、質問ですが3つあります。1つは、公的年金制度の一元化の問題ですが、これ は平成13年に閣議決定があって、21世紀初頭の間に結論が得られるよう検討を急ぐとな っておりますが、これがどうなっているのか、また、これからどういう予定であるのか ということであります。  第2の質問は社会保険事務費についてです。今年度までの時限措置で年金の特別会計 から賄われておりますが、これは1年延長されると聞いております。特別会計負担とな った経緯や、延長となった理由についてお伺いしたい。仮に延長された場合に、平成17 年度には本来の一般会計負担に戻せるのか、その場合どういう形で戻すのかについても お伺いしたいと思います。  3番目は、データ・資料の公表についてのお願いであります。前回の再計算時に公表 されて今回は未発表となっているものなども含めまして、幾つか申し上げたいと思いま す。  1つは、法案の作成段階で財政見通しに用いた被保険者数、受給者数、基礎年金拠出 金対象者数の見通し。  2つ目は、厚生年金の給付債務と財源構成についてのバランスシートです。  3つ目が、国民年金保険料の多段階免除制度について、新たな免除者数の見込み。納 付率8割という目標について御説明がありましたが、新たな免除者数の見込みについて のデータをいただきたい。これをリクエストしたいと思います。  以上でございます。 ○宮島部会長  初めに、できれば質問をまとめて伺って後でと言ったのですが、そういうわけにもい かないようなので、後の方はなるべく重複しないように御質問いただくことにして、今 の中で一元化の見通しの話と、それから、事務費の特別会計負担の話がありましたが、 これだけ今もし答えられるようでしたら、お願いします。 ○木倉年金課長  まず、一元化の方でございますけれども、今、委員御指摘のように、平成13年3月の 農林年金ですけれども、閣議決定に基づきまして、まずは平成16年度の財政再計算時を めどに国家公務員共済、地方公務員共済における財政単位の一元化を図り、それから、 私学共済の保険料の見直し、位置付けの明確化を図るということでございます。その上 で、21世紀初頭までの間に厚生年金等との財政一元化も含めて更なる財政単位の拡大、 費用負担の平準化を図るということについて検討すると規定されております。  今回、共済年金の方も2月20日でございましたか、まずは国家公務員共済、それから 、私学共済の閣議決定が国会に提出されております。地方公務員共済は予算非関連法案 でございますので、間もなく3月9日に閣議決定予定と聞いておりますが、この国共済 、地共済の中で段階的に保険料を一本にしていくということは記載されております。そ の給付水準の調整は厚生年金と同一の比率で行うという考え方は記載されておるところ でございますし、私学共済の方についても、保険料は定款事項ではありませんので、改 正を踏まえて今後の制定になりますが、見直しをしていくということになっておると伺 っております。その上での一元化の議論というのは、この審議会でも御指摘をいただい ておりますし、与党の今の合意書の中でも検討をするということは御指摘いただいてお ります。今回の再計算の結果も踏まえながら、全体の在り方の議論をまたお願いしてい きたいと思います。 ○中野社会保険庁・運営部企画課長  社会保険庁の企画課長でございます。社会保険事務費の件でございますが、そもそも 社会保険事務費の取扱いにつきましては、平成10〜15年度までの6年間は、財政構造改 革法に基づき、当面の財政状況が大変厳しいということを踏まえ、事務費のうちの人件 費以外の部分を保険料財源で負担するという取扱いがなされたところでございます。こ の財政構造改革法が平成15年度で時限が切れるという状況となり、平成16年度予算に向 けて社会保険庁として、本来の原則であります国庫負担に戻すことを財務省に対してお 願いしてきたところでございます。昨年末の予算編成の過程で、当面の財政状況を踏ま えると、この措置をもう1年度継続させる必要があるということとなり、平成16年度の 1年度に限り、特例法を出す形で引き続き措置を継続するということになったところで ございます。平成17年度以降でございますが、財務省側からは今後も引き続き保険料財 源での負担とすべきとの主張もあったわけでございますけれども、平成17年度以降につ きましては、改めてその時点で再度調整することになっております。 ○宮島部会長  先程の資料については、できるだけ用意して、今日は難しいと思いますけれども、部 会の場ではなくても委員の方に送付していただきたいと思います。 ○小島委員  私もなるべく重ならないように、意見を2点と質問を3点ほどさせていただきます。  第1点目の意見として、この部会の意見書が取りまとめられた9月12日に、最後に私 は、今後のこの部会の運営の在り方あるいは年金改革の議論の在り方としまして、やは り厚生労働省案がまとまる段階あるいは政府案がまとまる段階、その段階で年金部会と しての意見を反映できる場を持つべきあるいは国民的な議論をすべきだという意見を言 ってきました。年金局を中心に対話集会を全国何か所かでやってきましたけれども、や はり厚生労働省案が示された段階で、具体的な案についてそういう場を持つべきだとい う趣旨で発言しましたが、そういう機会がなかったということで大変残念だということ を、まず、一言指摘させていただきます。  2つ目は、今回の法案の内容ですけれども、全体的に見まして、私も今回の案という のは意見書で出された内容から言うと、さまざまな面で後退しているのではないかと考 えております。特に今回の政府法案の中では、国庫負担の2分の1の引上げについても2 009年度まで、実質的には5年先送りになっているという内容でありますし、それから、 パートへの適用拡大、これも5年後をめどに検討するという話になっておりますし、そ の関係で第3号被保険者制度をどうするかということについては、具体的には何も示さ れていないといいますか、このパート適用の問題で縮小するということについても後退 しております。それと、何よりも空洞化対策が国民年金の多段階免除制度とあるいは徴 収強化ということだけでは解決できないと思っておりますので、そういう中で結果的に 保険料のアップと給付水準の引下げという形が先行する内容でしかないと思っておりま す。果たしてこれで国民が今抱いている年金に対する不信感というものが払拭できるか と考えますと、逆に不信感が高まるのではないかと、そういう評価をしているところで あります。  それが法案に対する基本的な考え方だと思っておりまして、あと質問が3つほどあり ます。  1つは、この法案の中で具体的に今回の離婚時の厚生年金の分割問題、3号について 2分の1にするということについては問題があると私は思っているのですが、協議離婚 あるいは裁判所の決定において年金を分割するという件について従来、年金分割問題に ついては一身専属性の問題をどうクリアするかという話が出ていたと思います。今回そ れは広く保険料納付の記録を分割するという形で一身専属性の条項はクリアできるとい う説明だと思いますが、そこをもう一度確認したいと思います。  それと、年金部会での議論あるいは意見書の段階では協議離婚、合意のもとに離婚し た場合には年金分割を可能にするということであって、争いがある場合については引き 続き検討というような内容になっていましたけれども、これは結果的に裁判所との関係 だと思いますが、そこも十分ここはクリアできるのかということについて確認をしたい と思います。  あと質問がもう一つ、障害年金のところですけれども、今回の障害年金と老齢厚生年 金の併給が可能になるということで、そこは前進だと思いますが、従来から指摘されて いました無年金障害者の問題、これは従来から福祉的措置で対応すると言われておりま すが、直接には今回の年金法案ではないと思いますけれども、福祉的対応というのはど ういう形で今検討されているのかということをお聞きしたいです。  それから、最後になりますけれども、先ほど矢野委員が指摘されましたが、年金の保 険料を社会事務費に活用するという点、特例法で今年1年間の援助となっていましたけ れども、やはり本来、国の制度でありますので、公費で事務費を賄うのは当然だと思っ ております。私としては、やはり早急に本来の形に戻すべきだと思っておりますので、 ここはきちんとけじめが必要だと思っております。  それと、国会質疑あるいは新聞などを見ますと、保険料の使われ方についてもさまざ まな指摘がされておりますので、そこはきちんと示すべきだろうと思います。国民年金 、厚生年金の保険料を、先程の説明では物件費に活用するのだということになったおり ましたが、では、物件費というのはどういうものに使っているのかというようなことを 明らかにすべきだろうと思っております。もしわかれば、今年度は保険料から幾ら物件 費に回っているのかということを示してもらいたいと思っております。以上です。 ○宮島部会長  今の離婚時の分割の件だけ、一身専属性の議論ですから何かあればお願いします。 ○木倉年金課長  まず最初の離婚時の分割でございますけれども、一身専属性の関係でございますが、 御指摘のとおりでございまして、今回のものは分割をいたしまして、納付のときの記録 そのものを、妻の方であれば妻の名義という形で書き直しをすると言っておりますので 、その記録に基づきまして、その後その方が実際に働かれたら厚生年金の給付も含めま して、結果的にはその方の記録としてきちんと計算されて給付されるということでござ いますから、違う方の年金を譲渡する等を禁止されている規定との矛盾はない、その方 のもので給付されるという整理でございます。  それから、審議会の段階で裁判の手続を経ての離婚の場合について、少し検討させて いただきたいということを申し上げましたが、これは法務省も含めてきちんと準備をし ていこうということで整理をしておりまして、2007年以降の施行といいますと、やはり 考え方の整理あるいは実際の体制の問題もございますので、それも整理した上で、法施 行後の離婚についての適用で準備をさせていただきたいということで整理いたしており ます。 ○宮島部会長  ほかにも御質問がございますので、とりあえず堀委員からどうぞ。 ○堀委員  3点、今回の改正案について意見、感想を述べたいと思います。  1点目は、パートの適用についてですが、この年金部会でも多数の委員は恐らく適用 拡大に賛成していたと思います。労働者のパート化がとうとうと進んでいるわけですの で、適用が拡大されないと、パートの年金というのは基礎年金だけになるわけです。そ れだけではなくて、厚生年金を支える被保険者が少なくなるといった問題もありますの で、是非とも次回改正には実現をしてほしい。  2点目ですが、厚生年金の保険料率は18.3%ということで決着しましたが、これは政 治的なもので事務局も大変御苦労したと思います。しかし、これで大丈夫かという懸念 が私はあります。というのは、今の予測でいくと現在の高齢化率、65歳以上の総人口に 対する割合は、現在19%、それが2050年には36%になるという段階で、18.3%で本当に 大丈夫と言えるのか。みじめな年金になるのではないかという懸念を持っております。  3点目は今の小島委員の質問とも関わるのですが、女性の年金、特に離婚時の分割に ついてたくさん疑問があります。資料2の3ページの一番下に「被扶養配偶者を有する 被保険者が負担した保険料については、被扶養配偶者と被保険者が共同して負担したも のであることに基本認識とする」と書いてあります。片働き夫婦だけが共同分をし、共 働き夫婦は共同負担しない、しかも妻の年収が130万円未満の片働き夫婦だけが共同負担 をする、と認識をするというのは、私のような法律家にとってはやや奇妙に思えます。 それだけではなくて、共同負担したものが即2分の1に分割されるということがなかな か理解できない。2分の1にしたなら、例えば遺族年金も今の4分の3ではなくて、2 分の1にする必要があるのではないか。あるいは離婚した場合だけ2分の1にし、離婚 しない場合には2分の1にしないのも意味がわからない。協議離婚する場合には3号期 間だけ2分の1、その他の期間は協議によるとか、さまざまな問題があって、どうも整 理し切れていないという感じがします。ですから、この問題は次回改正で、もう少し整 理を要するのではないかという疑問、意見を持っております。 ○杉山委員  女性と年金の問題に関しては、ほかの委員の方がおっしゃられたとおり、ちょっと先 送り感があるというか、もうちょっとパートの適用の問題などについても、ここで決め ていただきたかったというような気持ちがございます。5年を目途として検討するとい うことですけれども、そう言わず、引き続き検討を続けていただいて、できるだけ早く に適用拡大ができるように進めていただければと思っております。  もう一点が、世代間の格差の問題についてですが、参考資料1の30ページに厚生年金 の世代間における給付と負担の関係の再計算も出ているのですが、2005年に生まれた0 歳の赤ちゃんと2005年で30歳ぐらいの人というのが大体若い人だと思うのですが、そう いう人たちのことをどれぐらい頭に入れて御検討いただけているのかなと思っておりま して、これでは若い人たちがどれくらい年金制度というものを信頼したり、理解したり 、納得しているのかというのが、この負担給付比率を見た限りではちょっと難しいので はないかと思わざるを得ません。  例えば、参考資料3の与党における合意の中に、9ページになりますが、次世代育成 支援の拡充ということで「すべての子育て世帯を対象とした次世代育成支援対策の今後 の展開に合わせた年金制度の果たすべき役割についても、引き続き検討する」と3行お まけと言うと語弊があるかもしれませんが、書き添えていただいております。そういう ことを本当に本気でやっていただかなければ、この給付比率を見て子どもをもう一人産 もうという人は多分おいでにならないのではないかと思いますので、本当に連帯という のか若い人が弱者にならないような制度の有様を是非御検討いただければと思っており ます。以上です。 ○宮島部会長  ありがとうございました。他にございますか。 ○近藤委員  2点あります。1つは、参考資料1の22ページに「若年者に対する納付猶予制度を創 設」と書いてあるのですが、今、就職して30歳ぐらいで学生時代に払わなかったという 人が10年という期間の中にだんだん外れてくるわけです。これについて多分考えている と思いますが、もうちょっと期間を延ばして、気がついたときにさかのぼって払えるよ うな形をお願いしたいと思います。  それから、もう一つ、今、杉山さんがおっしゃったことなのですけれども、31ページ を見ていて、このままだとやはり誤解が出てくるのかなと思います。常に数字で8.3と2. 3が得か損かという話になりかねないということで、本当はこの中で70歳の方は二十何歳 で入ったときの平均余命による差がどのくらい出ているのか。インフレその他で賃金が 上がって再評価による差がどのくらい出ているのか。段階保険料を取っていることによ って出てくる差等があるわけです。そうすると、段階保険料については一応解決するこ とになるのだと思いますが、10歳とか0歳の方は将来平均余命だとか再評価で変わって きて、この数字ではなくなるわけですね。全体が変わるわけで、この数字が独り歩きす るのは非常に怖いので、前のときの計算もあるのですけれども、これで損得の議論とい うのは、しないようにしてもらいたいなと私は思います。 ○山口委員  重なる部分もありますけれども、感想ですので重ねて申し上げたいと思いますが、や はりこの部会で議論してきたこと、それから、それをまとめた厚生労働省案と今回の与 党・政府の案というのは全く違うものということを考えますと、本当に審議会とか部会 の議論というものはどういうふうにとらえられるのだろうということに対しての口惜し さを非常に感じているところです。この部会の中でもすべてスムーズに合意したという ことではなくて、時間を掛けて議論して、最終的に意見書としてまとめるまでのプロセ スを考えますと、それをいとも簡単に変えられてしまっているという部分でございます 。  そういう中で特に、今回私の印象では、この厚生労働省案、それから、政府・与党の 改革案が出てから、本当にテレビを見ても、新聞・雑誌を見ても、すべて年金、年金、 年金のオンパレードで、これは実態としてはいいことだと思います。年金というのは大 変難しいし、素人がタッチしてもわからないものだから一部の人たちが議論して、一部 の中で意思決定されているというようなイメージが強かったところを、難しいながらも 非常に自分たちに関係あることだからということで興味を持ったものがメディアの中で 大きく取りざたされていたということだと思います。ただ、その中でやはり集中してあ るのは負担と給付というようなところとか、あとは世論受けするようなところだけに絞 られたみたいなところがありまして、負担と給付についてもこの中でも議論したときに 、やはり保険料が20%までいかないと、あるべき給付に到達しないというような議論も されました。それからあと、給付の部分についても、先程もありましたけれども、50% は上回るようにというようなことで表現されていますが、誰の50%を守るのかというこ とで言えば、多く新聞等にも出ていましたが、今では少数である世帯ということで、余 計世の中が注目した結果、もっと不信感が高まってしまったのではないかと思いまして 、先程もありましたけれども、大きく後退ではないかと考えております。これは信頼と 不信ということを考えますと、一度不信になったものを信頼に持っていくのは非常に大 変なエネルギーを使うと思いますが、同様のことを年金の改革には課せられたのではな いかと思います。  最後に、女性と年金のところですが、これは今まで議論してきた中では、なかなか具 体的な案とか改革に結びつかなかった中で、年金分割というものが具体的に出てきたと いうことについては、部会の中でも議論をしましたし、私としては評価したいと思って おります。ただ、たくさんある中ですべてに対して十分に議論ができなかったというよ うなことについて、それからあと、結果、年金分割なりの具体的なものが出てきたので すが、資料によると実施時期が例えば4年先、5年先というようなことを考えますと、 これは本当に早急に議論しなくてはいけないことだと、どこの場で議論するのだという ところもありますけれども、そういう感想を持ちました。  以上です。 ○井手委員  今の山口さんがおっしゃった意見に大分重なるところもありますので、それ以外のこ とで申し上げます。先ほど持続可能な制度の構築というところで、これは広義・狭義が あったとして、給付と負担に限った話というような局長の方からの御説明があったかと 思うのですが、私も改正の基本的な考え方をどのようにとらえるべきかということにつ いて、広い意味でとらえると、何となくこれで安心だから頻繁に制度改正を繰り返す必 要がないというようにも読めてしまうわけですが、体系まで含んだ意味での持続可能な 制度の構築というところまで今回の法案でグランドデザインが描かれたわけではないと 思いますので、保険料の水準を固定した上で給付水準を自動的に調整する仕組みを入れ たということで、頻繁に財政再計算のたびに給付と負担を見直さなくてもいいという意 味だろうと思うのですが、何かこれが決まったので今後の見直しはどのタイミングでや るのかというのが逆にわからなくなってしまったように見えるのではないかという感想 を持ちました。  それから、そうなったときに、きっかけを失うといいますか、短時間労働については 5年後に検討ということが明示されておりましたが、平成12年度改正で残された課題と して大きかった女性と年金については、多くの委員の方がおっしゃっているように、ご く少ない部分でしか改正がされていないという中で、多様な生き方、働き方に対応した 制度の構築というものをいち早く取り組むならば、どのタイミングでやるのかというこ とに関して、少し何か展望が見えるようなものが欲しいなという感じがいたしました。 以上でございます。 ○今井委員  重なる部分がたくさんありますが、感想になりますけれども、さっき翁委員がおっし ゃったように、いろいろな面で、例えば個人単位化ということを考えたときに、所得把 握とか賃金格差ということで難しい問題はたくさんあるかと思いますが、制度体系とい うことを引き続き検討していただきたいということを思いました。  それと、先ほど近藤委員もおっしゃったのですが、若年者に対する猶予制度というこ と自体は本当に評価するのですが、できれば私も10年ということではなく長ければいい かなという気がいたしました。  それと、杉山委員のおっしゃったように、次世代の支援は評価しますが、こういうこ とになりますと厚生年金、国民年金の格差がまた広がるので、できればここですべての 子育て世帯を対象ということで考えていただきたいと思います。以上です。 ○宮島部会長  ありがとうございました。時間を5〜6分延長させていただきたいと思います。  いろいろ御意見をいただきまして、私はどうかということは余り申し上げるつもりは ございませんけれども、与党の案の中で短時間労働者の扱いについてはここの中に書き 込まれているわけです。ですから、どこかの段階でなるべく早くという意見がございま したので、これは議論しなければいけないと思います。  年金制度につきましては、先ほど矢野委員からありましたように、どういう舞台が設 定されるのかということですが、社会保障全体の話でございます。それから、税制の動 向ということもありますので、これは年金部会そのものというのは少し舞台としては狭 いのかなという気がいたしておりまして、勿論、その中で議論することは可能かもしま せんけれども、どういう形でこの舞台が設定されてくるか。これは先程もお話がありま したように、5年ぐらいを目途に考えるということと併せて、今後、恐らく一番大事な 部分になろうかと思っております。  私の率直な感想を申しますと、保険料率の上限と、それから、給付水準のモデル世帯 での下限を想定して、その中でマクロ経済スライドを動かすのは非常に窮屈になったと いう印象を持っております。ですから、この中の前提になっている経済前提ですとか人 口変動、これが今考えられている標準的と言うとおかしいですが、こういうことが進む ということが1つの前提になっているわけですね。ですから、これ以上よくなるような 方向に動いてもらわない限り、いずれ全体の見直しというのは、先程の附則の第2項の 形が出てくる可能性もありまして、その辺のところはとにかく国の経済政策、それから 、今後の出生率の低下ということに対して、どういう形で効果的な対応が政府によって 、国民の側もそうですが、行われるかということにかかっている部分が非常に大きいと 思います。その点は、むしろ我々からは、そういう前提のもとで非常に狭い範囲で動く ような仕組みになっているということがありますので、特に経済政策なり人口問題に関 して、与党がこういうことを合意したならば、そういうことへも与党はきちんとした責 任を持って対処してほしいというのが私の率直な意見です。  それから、先程の社会保険事務費、これは典型的な隠れ借金でありますので、通常こ ういう場合は実施年度、従来から交付しなかった分は追加して払うとか、通常そういう 特別会計に持ってくるような話というのは、そういう形できちんと処理する努力をして もらうことは当然必要になるだろうと思っています。  あと、皆さんもそうだと思いますが、この間いろいろなところで年金の議論がかなり 行われておりまして、給付と負担だけをとらえて議論することもできるし、あるいは女 性と年金や、その他の各論だけをとらえることもできるということでありますので、我 々が考えてきた議論のレベルとは随分違った形で行われることに対しては、私なりにも 率直な感想はありますけれども、最後に私は、もし、例えば年金部会がここでまとめた 意見が重みを持って、それが政策に直接つながっていくということが勿論一番望ましい ことではありますけれども、ただ、そうなると今度は、その議論の仕方自身が非常に制 約を受けて、とにかくミニ国会みたいにして一本化したきちんとしたものを出せという ようなことが問われるようになってしまいます。逆にそうなると、ここの議論は非常に やりにくくなるという面が私はあると思いますので、メリット・デメリットの両方があ ると思います。逆に言うと、語弊があるかもしれないけれども、ある意味ではこういう 議論に対して我々は非常に自由な立場で論評を加えられるということでもあると思って おりますので、私はむしろ、そういう点を委員の方としては共有された方がよろしいの ではないかと思っております。  これまでいろいろ出ました議論を含めまして、最後に局長から若干、今の中の回答も 含めて最後にお話しいただきたいと思います。 ○吉武年金局長  1点だけ是非、御説明を申し上げる必要があると思っております。参考資料1の10ペ ージをごらんいただきたいと思います。所得代替率でございますが、基礎年金がござい ますので所得代替率は、例えば奥様が働いておられない世帯で考えましても、所得がい くらかによって変わってまいります。今のモデルは男性が平均賃金を得ておられる方の モデルでございまして、平均賃金より低くなれば当然代替率は上がってまいります。賃 金が高ければ代替率は下がってまいります。それはもともと基礎年金制度によって、先 ほど来申し上げております同じ世代の中でも所得の高い人はより基礎年金に貢献してい ただいて、そのことによって所得の低い人の基礎年金をある程度保険料負担ではカバー しようという仕組みから出てきているわけであります。この点は是非、御理解をいただ く必要があるかと思います。先程からございます、所得比例年金で本当に割り切ること ができるかどうかということについては、この年金の価値を巡る国民的な価値観がある だろうと思っております。  その仕組みがございますので、ここを御覧いただきますと、右に行くと、例えば子育 てをされるまでお仕事をしておられて、子どもさんができると辞職した場合というのは( 4)でございます。それから、女性の単身の場合、それから、子育てをしておられる間だ け家庭で育児をされて、その後また仕事に戻られる場合、一番右側は40年間完全に共働 きをされた場合、これは男性の平均賃金と女性の平均賃金を書いてございます。40年間 共働きの場合に、現行では45.9%でございますが、年金額をごらんいただきますと夫婦 で29万6,000円、1人14万8,000円という形でございます。したがいまして、所得代替率 とともに年金額をどのようにして考えるかというのは、この基礎年金制度によってある わけでございます。ですから、給与が非常に高い方の場合でも、年金額の上昇は基礎年 金の構造によって緩やかに上昇していくということになっています。ですから、一人当 たりの年金額の価値と所得代替率トータルを見て考える必要があるだろうと考えており ます。  なぜ、いわゆる片働きと言われるモデルを基本としているかと申しますと、全ての世 帯類型を御覧いただきますと、奥様が働けば働くほど一人当たりの年金が上がってまい りますから、ある意味で共働きの方あるいは一時働いた方のモデルタイプの中で一番低 いところで50%ということを考えて、一人当たりの額を考えると、そこが平均的な額に なるということで考えておるということでございます。ですから、所得代替率と年金額 の両方を御覧いただく必要があるかと思います。  以上が御説明でございますが、今日御説明をいたしまして1年9か月年金部会で御審 議をいただきまして、2つの非常に大きな点があったのではないかと思います。1つは 、先ほど申し上げました将来のトータルとしての負担と給付をどう考えるかということ でございます。この点につきましては、年金制度でございますので、私どもは勿論、厚 生労働省としても考え方を示させていただきましたし、それは更に国会で御審議をいた だくということでございますから、これから御審議をしていただいて最終的な決定に至 るということでございますが、その中で勿論、与党としても責任を持ってこの給付と負 担について御議論していただいたと思っております。与党の中でもいろいろな御意見が ありますが、その御議論の結果として保険料率18.3%、それから、確かに部会長がおっ しゃいますとおり、今後の経済成長あるいは今後の少子化あるいは今後の次世代育成支 援対策というものが総合的にどう進むかということにも掛かってまいるわけでございま すが、将来とも今申しましたモデル世帯としての年金の給付水準は50%を確保したいと いうことを法案に盛り込むということでございます。勿論、先ほど御説明申し上げまし たように、仮にそれが非常に悪い数値になりまして、なかなか50%を達成できないとい うときは、そこでまた国会で御審議をいただきまして、この調整をどうするのかという ことを決めていただき、そこでまた給付と負担の関係も御論議いただくということにな ってございます。  それから、それぞれの特に女性の年金問題を中心としまして、例えば短時間労働者へ の厚生年金の適用の問題でありますとかあるいは年金分割の問題を見ますと、私どもの 印象としましては、これは与党の中においても非常に集中して御議論いただいたと思っ ています。特に、短時間労働者の問題は私どもの坂口厚生労働大臣も国会で申し上げて おりますが、実際に働いておられる相当多数の方から、この適用に反対あるいは保険料 負担はなかなか難しいという御意見がございました。それは与党の中でもある程度議論 されておりまして、ある方の分析によりますと、子どもさんが小さい方の場合には多分 、御主人もまだ若い方でありますので、どちらかといいますと、子どもさんが小さくて 短時間労働者で働いておられる方は、むしろ保険料負担が起きること自体について非常 に大変だという感情をお持ちだということをおっしゃる方もいましたし、それから、む しろ小学生ぐらいになられて、御自分が最初、短時間労働者として働くけれども本格的 な就業を考えておられる方は、保険料負担があっても是非厚生年金を適用してほしいと 言う方もおられるということでございまして、この点は、法案の中にも入れてございま すけれども、実際に働いておられる方の意識あるいはお考えというものを、よくよく丹 念に探りながら議論していく必要があるだろうと思っております。  そういう意味で、基本的な給付と負担の問題と、それから、今の短時間労働者の問題 にもありますように、今後引き続き、丁寧に丁寧に検討していくような問題があるだろ うと思っております。これから年金法案の国会での御審議が始まると思いますが、私ど もも国会でこの年金法案について与野党で十分御審議をいただいて、是非成立をしてま いりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○宮島部会長  それでは、時間を若干過ぎましたけれども、今日はこういう趣旨、最初に申しました ように説明を受けてということでございますので、本日の会議は終了させていただきた いと思います。  どうもありがとうございました。 (照会先) 厚生労働省年金局総務課企画係 03-5253-1111(内線3316)