04/03/02 医薬品・医療用具等対策部会第7回議事録             第7回 医薬品・医療用具等対策部会                        日時 平成16年3月2日(火)                           10:00〜12:00                        場所 経済産業省別館944会議室 ○部会長  定刻になりましたので、第7回医薬品・医療用具等対策部会を始めます。御多忙のと ころお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は12名の委員が御出席で、 原田委員、堀江委員、望月委員が御欠席です。検討ワーキンググループの代表の先生方 として、規格ワーキンググループのあすか薬局の原先生、注射薬の外観類似ワーキング グループの金沢大学の古川先生、輸液ワーキンググループの昭和大学の村山先生、眼科 用剤ワーキンググループの東京証券業健康保険組合診療所薬剤部長の中村先生に、御出 席いただいております。配付資料の確認はよろしいですね。議事録が後のほうに付いて おります。ホームページで出すそうですので、先生方の御確認をお願いしたいというこ とです。  本日の議題は前回に引き続き、医薬品類似性検討ワーキンググループの検討結果、2 番目にヒヤリ・ハットの報告、そのほかということになっております。まず医薬品類似 性検討ワーキンググループの中の規格ワーキンググループ、あすか薬局の原参考人にお 願いしたいと思います。 ○原参考人  それでは規格ワーキンググループの報告をさせていただきます。お手元の資料の7− 1−(1)になります。検討の目的、メンバー等はそこにあるとおりですので、検討結果 について御報告させていただきます。まず(1)の「販売名における規格の表記の検討 についてを付すことということで、第935号通知をベースとして、現在使用されている 医薬品について検討を行いました。各製薬企業においては、順次このルールに基づいた 整備が進められているわけですが、複数の規格があるにもかかわらず、規格が片方にし か付いていないものなどが、まだ残っていると思われます。それと散剤において、未だ に「倍散」表現を使用しているものが、調べたところ約30品目ほど残っているというの が現状です。販売名のルールにおいては、ブランド名に剤形及び有効成分の含量(又は 濃度等)」となっておりますが、その点の表示・表記について、以下の検討を行いまし た。  (1)として、注射薬については「1容器中の有効成分含量又は濃度」となっておりま す。また注射の特性でもありますが、分割投与されることが想定されていないプレフィ ルド製剤については、表記としては1容器当たりの有効成分の総量を用いることが適当 であるということです。これは単位当たりが、1ml当たりの表記であったり、総量であ ったりというのが混在するような場合、ミスにつながることが考えられますので、容器 当たりで使用するものについては、総量を記載することが適当であると考えます。(2) はごく限られた製剤になるかと思いますが、散剤の原末について、販売名または表示に おいて、原末であることが明示されるべきであろうと。いわゆる倍散10%、あるいは1 %という製品と混在することがないように、原末であることを明示する必要があると考 えます。  (2)は、「規格に係る誤りを防止するための効果的な包装等への表示方法」です。 販売名というのは、ものを特定するのに使われるわけですが、実際に医師が処方する段 階、薬剤師が調剤する段階、そして看護師等が患者の所で与薬する段階で、表示をどの ように見るかというと、それぞれ必要となる見方が違う場合が十分考えられます。そこ で、それらの両方を満足するような表示を、表示の中に含んでいる必要があると考えま した。それが換算間違いなどを防ぐことになると思われます。  例として(1)にありますように、調剤を行う散剤や液剤については、調剤時の採取単 位となる基準単位(g、ml)当たりの有効成分量を表示します。散剤の例では100mg/g、 液剤の例では50mg/mlといった基準単位当たりの成分量になります。注射剤では販売名 に濃度情報が付いた場合、包装への表示事項として、容器当たりの有効成分量及び容量 を記載します。販売名「○○2%」5mlアンプルの例の場合、できる限り販売名の近く に視認性のよい状態で、「100mg/5ml」という総量を記載することにより、確認しや すくなると考えられます。また従来もそういう製品がありますが、例えば「100mg」と 「5ml」の文字の大きさが非常に極端に違っていて、片方のものが目に飛び込んできて しまうということもあるようです。  (3)は、「複数規格の存在を示す手段及び医療機関や薬局等における規格確認のた めの方策」です。前回の部会でも御報告させていただきましたが、後ろの資料に添付さ れておりますように、規格ワーキングのほうでステレオタイプ、あるいは規格表示タイ プというものを検討してまいりました。しかし実際に現場、薬剤部、あるいは病棟にお ける保管の段階で、表示の古いものについては、新しい規格が存在した場合、そこでま た誤った判断をする可能性があります。ですからパッケージにリアルタイムなメンテナ ンスをするというのは、やはり情報が混乱してくる可能性もあるかと思い、これはでき るだけ現場のほうで対応できるように努力すべき、という視点のほうに切替えを行いま した。当然ステレオタイプ等については、有用な手段ではあるかと思います。ただ、こ れについては現在検証を行っておりますので、その結果を待ちたいと思います。  では、どのように対策すべきか。ステレオタイプと規格表示タイプの複数規格ありと いう、ただそれだけの表示の部分でも、複数規格があるという存在のきっかけはつくれ るだろうと思います。ですから現場の薬剤部や病棟において、保管してある調剤をする 所に「複数規格あり」という表示をすることも、一方ではあろうかと思います。しかし 1つのブランド名や剤形に対し、何が複数規格あるのか、あるいは複数規格にはどのよ うな単位があるのかということを現場のほうで調査するのは、なかなか手間がかかった り、漏れてしまったりということも考えられます。今後は製薬企業等の協力も得て、例 えば複数規格のある医薬品のリストがベースにできましたら、それを基に現場で「複数 規格あり」、あるいは独自で作成したステレオタイプ等を、現場の者の所に貼る等の対 策を講じるのがよいのではと考えました。  (4)は、「特にリスクの高い医薬品に関する具体的提案」です。(1)のフェノバル ビタールについては、従来のヒヤリ・ハット事例等でも、いくつかの医療事故に関連し た医薬品として周知されているところです。こちらもやはり原末、あるいは10%の取り 誤りということがあります。ほとんど原末は白、10%はピンク色が付いておりますが、 製品の中の一部には10%においても白というように、原末と同じ色を使用している製薬 メーカーがあります。ですから識別に関しては従来の劇薬という観点からも、倍散にお いてはピンクという方向で統一していくことが必要であろうと思います。医療機関等に おいては処方箋記載の薬品名として、やはり原末または10%の別を明記していただくこ とが必要かと思います。  (2)の糖尿病用薬、抗悪性腫瘍剤のジギタリス、ワーファリンの規格の取り誤りにつ いては、重篤あるいは致命的な事故につながるおそれが高いので、複数規格などの注意 を促すもの、再度確認をするきっかけをつくる注意シール等の掲示などを作ることが、 現場の対策として必要であろうと思います。タグ等は装置瓶などにもときどき付けられ るわけですが、薬局で調剤をするときに装置瓶にタグを付け、そこに注意事項や常用量 を記載していくような工夫も有効であると考えます。  (3)は、その他、長年単一の規格で使用されているもの等です。それが臨床上必要に なったということで、新たな規格が製品として出たときは、現場としては従来使用され ていた規格に慣れてしまっているという点から、特に複数規格であることに気付かず、 あるいはその情報が的確に伝達されなかったということで、取り誤りを起こす場合が考 えられます。医療機関においても調剤棚や病棟での保管場所に、注意シール等の対策を 講じることが必要であると思います。  (5)は、「その他規格に係る安全確保のための対策」です。ワーキングではさまざ まな広範囲の検討になったわけですが、その検討の中で出てきたことがあります。今 後、対策を講じる上で参考としていただければと思いますので、報告させていただきま す。  まず散剤の原末において、通常倍散を調整して使用する医薬品については、一般的に 調剤、あるいは服用に適した量のものであることが好ましいと思います。非常に微量で あったり、通常原末で使用しないものについては、今後は適正な製品を検討していただ きたいと思います。  また散剤や液剤については、現場では2規格あるものが非常に誤りやすいリスクを持 っているかと思います。散剤で10%、50%と2種類があるものが、何製品かあります。 そういうものはやはり臨床上好ましいほうの一方に整理していただくのが、ミスを防ぐ ことにつながると思います。また今後開発されるときにも、本当に臨床で必要な規格と はどのような規格なのかということを、十分検討していただきたいと思います。  錠剤や散剤の分包については、ほとんどの企業で識別記号というものを付けておりま す。ただしまだものの特定ができない、いわゆる識別記号が刻印されていないものが存 在します。やはり調剤をする上でも、病棟や患者のほうで、ものの識別をする上でも、 識別記号というのは必要かと思います。製剤的に困難なソフトカプセル等もあります が、やはりすべてに識別記号を付けるという方向で進めていただきたいと思います。ま た半錠が適切かどうかというのはあるのですが、錠剤等で割線があり、半錠とすること が可能なものを半錠にした場合、識別ができなくなるものがかなり多いと思われます。 それにおいても識別が可能な工夫を講じていただければと思います。  安全対策等、規格の変更、名称の変更等があった場合の移行期は、現場としては非常 に混乱し、リスクを抱えるわけです。そのときに注意対象品目である旨の表示やマーク を付けることが必要ではないかと思われます。また製品に付けられる注意警告マークや 表示は、マークばかりになってしまいますと、またそこが混乱し、注意のレベルが下が ったりします。できるだけ排他性のあるものとして、似たようなマークが混在すること がないようにしていただきたいと思います。  最後に、これまでのヒヤリ・ハット事例の情報等を集め、今回のいろいろな検討も含 め、「使用の安全」のデータベースというものがしっかり構築され、現場でそれが使え る環境を用意することが重要かと思います。できるだけ早い段階の構築を望むところで す。 ○部会長  ただいまの原参考人の御報告について、何か御意見、御質問があれば承りたいと思い ます。いかがでしょうか。また最後に総合的に御意見を承りたいと思いますが、よろし ゅうございますか。では一応先に進めたいと思います。  次に名称類似ワーキンググループと、注射薬の外観類似ワーキンググループの報告 を、併せて土屋委員からお願いします。 ○土屋委員  名称類似と注射薬の外観類似というのは、かなり共通した部分がありますので、共同 の報告書といたしました。目的、メンバー、その他はそこにあります。2頁の3から検 討結果に入りたいと思います。  まず「名称の類似性を評価するための手法の確立と新薬申請までに類似性を避ける具 体的手順の確立」については、私のほうで一昨年作成したデータベースを運用するとい うことで、昨年11月から本年1月まで、日本医薬情報センター(通称JAPIC)にお いて、製薬企業を対象として、パイロットスタディを行いました。ただパイロットスタ ディが終わったから、そこでストップというのでは、今後のためになりませんので、そ の後も引き続き暫定的な使用が続けられております。ここら辺から出てきたデータも揃 えて、今後こういう名称類似用の評価システムの開発が必要だということです。  この名称類似評価システムを基に、今後さらに類似性の評価手法を検討していくこと が必要かと思います。別にこれが決定ということではありませんが、その場合の評価フ ローの一例として、8頁を見ていただきますと、例えばいちばん最初に「edit」とか、 その後に「head」など、いろいろ書いてあります。これはシステムの中の係数を示すも のです。こういったフローチャートを作って、その妥当性も含めて検討していくべきだ ろうということで、一つの叩き台として出したのが、このフローチャートです。見た目 の類似性とエラーをする類似性というのは、ひょっとしたら違うのかもしれませんが、 今ここに示したフローは、少なくとも見た目の類似性を回避しております。したがって 今後はそういったことを評価しながら、こういうフローについても先ほどのシステムと 同様、検討されることが望まれると思います。  新規の名称については、入口で、これからは類似した名称を増やさないということで の判断ができますが、一方、昨今問題になっている、市場にもうすでに流通してしまっ たものをどうしたらいいのかという問題があります。本システムは新しい名前を入れる と、それによって係数が出てくるようになっていますが、過去のものを入れても、もち ろんその係数が出てまいりますので、そういったことを利用していくのも一つの方法だ と思います。  もし名称を変更するとしたら、基本的にどういうことを考えればいいのか。今後承認 されるものについては入口論として、ブラッシュアップをして先ほどのシステム等を使 いながら、類似性のあるものの新規参入を防ぎます。では既存のものはどうするのか。 ここについては、実はワーキングの中でもいろいろ検討し、さまざまな議論がなされま した。結局、すでに定着して記憶に入ってしまった名称を変更するというのは、医療現 場の混乱もある程度予想されますし、実際にそういう事例も見られるわけですから、単 純に名前だけのファクターというわけにはいかないのではないか。  いままでも報道等、いくつかの事故事例があるわけです。こういった誤使用事例のさ らなる詳細な解析を含め、誤使用の実態をもう1回きちんと把握すること、あるいは名 称変更により新たなリスクが生じる、つまり名称を変えたことで、今度はまたその記憶 違いなどが起きるということですが、そういったことについても検討し、それに対する 対応を考える。それからやはり患者を含め、関係者が誤使用を防止するために行うべき 役割分担や対応についても、明確にすることを十分に検討して、慎重に対応すべきで す。  ただ我々は、名称を変えてはいけないと思っているわけではありません。名称の類似 が決定的な意味を持つと思われる、口頭指示というものがあります。本来、口頭指示と いうのは避けるべきではありますが、医療の場において完全に排除することは無理で す。口頭指示に基づいて投薬が行われる救急医療で使用される医薬品で、かつ重大な結 果を招くような事例が報告された場合は、積極的に変更を検討すべきであろう。しかし その変更するというルールは、どういうようにしたらいいのか。Aという名前を全く違 うBという名前にするのではなく、販売名を変更する場合は現場の混乱を最小限にする ために、一般名を利用することが適当であると考えます。また翻訳違いということがあ って、Aという名前にBという一般名ではなく、また新しい名前を付けますと、そこと の混乱が考えられますので、変更するということは、一般名を利用するということにし てはどうかというのが一つの提言です。  取り違えることによってリスクの高い医薬品として、よくこの会議にも出ていたもの に、タキソール・タキソテール、アマリール・アルマール、ウテメリン・メテナリン、 キシロカインの10%と2%、カリウム製剤というのがあります。これらについては日本 病院薬剤師会で、「処方点検や調剤時、病棟への供給時に注意を要する医薬品」という ことで、いくつか事例を示しましたが、これが11月27日の医政局長、医薬食品局長連名 の通知で添付されております。こういった危険なものについてどうしたらいいかという ことで、実際に3頁に示してあるタキソールからキシロカインまでについて、関係企業 からヒアリングを行いました。以下にそのときの結果を示します。資料の9頁から後 に、実際の写真が載っておりますので、それも御参照いただきながら御覧いただきたい と思います。  まず1つが、タキソールとタキソテールです。ヒアリングを行ったところ、結局両剤 とも一般名をより強調した表示に変更するということです。例えば9頁を見ていただき ますと、これはタキソールの例ですが、「パクリタキセル」という字がより大きくなっ ております。10頁、11頁辺りにもありますが、こういった一般名を中心とした書き方に 表示を改めていくということです。  一方、表示を改めるだけでなく、両方とも薬効的には同じですので、今度は量違いに よる事故をなくすために、医療機関に対してレジメンなどのような、もともと計画的な 処方や薬歴管理に関連した調剤体制をとって、薬剤部での用量チェックを厳しく行うこ とを周知徹底することが必要です。この薬はもともと普通にどんどん使われている薬で はありませんので、医療機関の中でチェック体制を厳しくしていくということです。特 にこの場合は処方違いがあるかもしれないということも含めた、量のチェックを考えて いくということかと思います。  抗がん剤については処方する医師を、もともと専門性の高い医師にのみ処方を可能と するような対応が、ほかのものでも取られておりますので、こういった対応も考えてい いのではないでしょうか。また製薬企業は識別性を高めるためのシール等を、現在配付 しておりますので、こういった面での情報管理。従来は薬剤部で一括管理をしておりま したが、一方、今は医療安全管理室等のリスクマネージメントを扱う部門もありますの で、そういった所にも情報提供を行って、二重の安全性を保つと言いますか、医療機関 の中でもそういったことをやっていくことが必要ではないでしょうか。  アマリールとアルマールについては、12頁と13頁に実物の写真があります。「糖尿病 用薬」という表示がしてあることは、一つ評価に値するのではないでしょうか。薬効を しっかりと明示することによって、患者が飲む直前に「あれっ」ということで気が付く 対策も必要だろうと思います。もちろん元が間違えないことが大事ですが、やはり患者 参加型というか、最後のところでそういった形で、患者にも分かっていただくようなや り方が必要であろうということです。  そもそも名称類似ということで、アルマールとアマリールについては、後発品の医薬 品に採用することを検討しているようなところもあって、現実に日本病院薬剤師会の調 査でも、アルマールを中止した所が結構あります。そもそもの対策は、アルマールが出 されているのにアマリールが出たということは、処方もされていない糖尿病の薬が患者 に渡るというプロセスのところに問題があるわけです。これは相手の薬を採用中止にす るとかしないということだけでなく、そもそも処方されてもいない糖尿病薬、あるいは 抗がん剤といった危険な薬が、患者の手に簡単に渡ることのないような仕組みをきちん とすることが必要です。調剤手順には、薬歴に従って調剤する、あるいは初回投与時に は医師に確認するといったことがあるわけですが、そういったことをより徹底していく ことが必要でしょう。  ウテメリンとメテナリンについては、作用の全く逆のものをどうするかということで す。結局これもヒアリングを行いましたが、ここについてはより表示を大きくするとい う対策があるわけです。後ろで言えば14頁、15頁です。この取り違えは逆だとは言うも のの、時間の経過によって妊婦が産婦になるといった、要するに、この両方が使われる 場面というのが必ずしも明確に、こちらの人は絶対に使わないという形で、時間経過に よって変わり得るということもありますので、こういった背景をもう少しきちんとよく 見ないと、対応を簡単にとることはできないのではないかということもありました。こ れについては私が前にいた病院もそうでしたが、一般名処方にするというのも、一つの やり方だと思いますし、そういった工夫はあり得るのかなと思います。全般的に先ほど の名称類似の場合の対応の仕方ということですし、医療機関からのさまざまな事例を見 ても、そういった対応をとっている医療機関もあるようです。  次は、キシロカインの10%と2%です。10%製剤については、日本病院薬剤師会等に おいても、病棟に在庫をしないようにという警告を出しましたし、その徹底を図ってい るわけですが、どうしてもある特定の病棟や特定の部署においては、これを撤去するこ とができないというのも、また現状かと思います。そういう場合はやはり管理の徹底が 必要だと思います。  一方、リドカイン製剤についての規格違い、あるいは剤形の問題があります。これに はプレフィルドシリンジのものがあって、今度は対策を取ってプレフィルドを採用した ところ、実はそちらの名前を言わなくてはいけないときに、つい「キシロカイン」と言 ってしまったと。「リドクイック」と言うべきところを、「キシロカイン」と指示違い をして、そのとおりキシロカインが出てしまったという事故事例があったわけです。し たがって規格違いや剤形違いを、医療機関でどのように取り扱っていくのかということ についても、やはり十分な対応が必要かと思います。  名称変更と一部同じことですが、結構多くの医療機関でそのようにしている所がある かと思います。2%についてはプレフィルドシリンジを使って、それによって名前を変 えて対応をとったけれど、つい昔の名前を言ってしまったという指示のエラーの事例も ありましたので、そういったことがなかなか難しいわけです。結局、記憶をウォッシュ アウト出来ないことの難しさを示した事例かと思います。ただ、この製剤については間 違っても重大な事故にならないように、抜本的な対策として、例えば規格を変更すると いったことが必要ではないかという認識があって、製剤の規格の妥当性ということも、 今後引き続き検討すべきと思われます。本来、医薬品の場合の情報提供は、医薬品情報 室で一元管理をしているわけですが、念のためということもあって、特に使用の安全に ついての部分は、医療安全管理室等に対しても情報提供をして、より使用の安全を図っ ていくべきでしょう。  カリウム製剤については、それがワンショットで行ってしまうという事故が、過去年 に何回か起きております。カリウム製剤については今回、希釈製剤が製造承認され、近 々発売されるということもありますので、今後の推移を見守りたいと思います。実は現 在のカリウム製剤にも、さまざまな注意書きがしてあり、裏から見ても分かるようにと いうところまで、対応しているものもあります。しかし、そういうことが起きていると いうこともありますし、少なくとも希釈製剤というものが出てきたということは、迅速 審査で世の中へ出てきたわけですから、そういったものの利用がこの4月以降起きるか と思いますので、そこら辺の推移を見守りたいと思います。  一方、既発売の医薬品にはカリウムを含有しないのに、発売名に「K」という記号が 含まれているものがあります。これは「キット」の略で「K」とか、製薬企業が「かき くけこ」で始まる場合に、「K」というのが付くことがあります。しかし「K」と付く と、やはり医療関係者は通常、カリウムかなと思ってしまうことがあります。そういう 事例が起きたわけではありませんが、今後名前の付け方として、カリウム製剤以外に 「K」という記号を使用しないということは、検討してもいいのではないかと思いま す。  こういったことでリスクの高い組合わせについて、個別の企業を呼び、そういった所 を含めて検討したわけです。防止対策というのは個々の組合わせによって、名称類似な どという話になりますと、やはり少しずつ対応が違ってくることがあります。ですから 企業の部分と医療機関、みんながいろいろと協力関係と言いますか、役割分担をしなが ら、総合的にやっていかなくてはいけません。さりとて、いままで使用実態がほとんど 把握されることなく、製品が開発されてきました。有効性や有用性、安全性というとこ ろはあったけれど、使用の安全という観点からの情報収集があまりなされないまま、開 発されてきたという経緯があります。今後より使用の安全を図るためには、何らかの場 で緊密な情報交換を行って、使用の安全も含めた意味での安全性の高いものを開発して いくことが必要ではないでしょうか。一方、医療機関側もさまざまな対応をとっていく 必要があります。  注射薬の外観類似については、私どもでプロトタイプを作成いたしましたので、今後 はこういったものを整備していけばいいのではないかと考えております。  注射薬のラベル表示ですが、注射薬についてはアンプルに直接印字をしているものが 見られます。これはやはり非常に見にくいことがあります。またラベルがあっても透明 なラベルで、ちょっと見にくいということもあります。例えば不透明なラベルにすると か、必ずしもラベルでなく直接印字であっても、地の色を塗ってきちんとやるというよ うに、視認性ということを考えた表示であってほしいと思います。  表示の項目のあり方については、現在ラベルの中の項目の重みづけ等の研究が行われ ております。例えば薬剤師と看護師では、重みづけの順位が少し違うという結果も出て いるようですので、今後はこういった研究をきちんと進めた上で、最終的な表示のあり 方を検討すべきです。この種の使用の安全については、残念ながら今まであまり研究が なされていなかったというのが現状で、いま一生懸命研究が始まったところです。その 段階でこれから先の研究の進展度合を、少し見ることが必要だろうと。  一方、医療機関や薬局における確認手段、誤使用防止のための取組み推進策というの は、非常に重要なことです。医療機関側の対策として、我々ヒヤリ・ハット事例を扱っ ておりますと、3分の1が同一ブランド名の中の規格違い、剤形違い、記号違いといっ たものです。それは先ほど規格のほうでお話のあった、ステレオタイプのようなさまざ まな表示方法、その他でやっていくということもあると思いますが、そもそもこういっ た中で医療機関については、処方の誤りを防止するためにオーダリングなどの処方を。 必ずしもオーダリングシステムでなくても、薬剤部のほうのシステムでもいいのです が、チェック機能を充実させると。  抗悪性腫瘍剤、糖尿病用薬の処方時の警告や投与量というのは、やはり厳しく処方監 査の所でやれるようにしておくことが必要でしょう。抗悪性腫瘍剤については、結果の 重大性ということを考えますと、やはりレジメン処方というものをもう少し活用する、 あるいは処方医を専門医に限定すると。一方、薬剤部のほうは薬歴の管理を徹底し、初 回投与時には厳しくチェックをする。また投薬間隔のエラーというのも、結構起きてお りますので、その後もプロトコールに従って、休薬期間を含めたさまざまな二重三重の チェック機構を講じることが必要でしょう。  糖尿病用薬についても、やはり誤使用による結果が重大ですので、医療機関としても 処方チェック、あるいは薬歴に従った調剤等を必ずやるようにしておくことが必要かと いう気がいたします。  まとめですが、そこにありますように、評価システムというものを早期に完成させ て、とにかく入口で新しいものをストップすることが必要でしょう。既存のものについ ては、現在はさまざまな問題がありますので、原因や背景、状況について、もう少し十 分な情報を収集し、それぞれ個別の組合わせに対して、適切な対応策を検討することが 必要ではないでしょうか。既存の製品の名称の変更ということから言えば、変更に伴う リスクも考慮し、慎重に対応することが必要ですが、口頭指示が行われる救急医療にお いて、重大な事故が生じたような事例については、積極的に名称変更を検討すべきであ ろうということです。事故防止は、表示だけで解決できることではありません。医療機 関において、あるいは薬局において、処方時、調剤時、投薬時の段階で、事故防止のた めの取組みを併せて講じていくことが重要ではないかということです。 ○部会長  ありがとうございました。ただいまの御報告に対して、何か御意見はございますか。 ○古川参考人  いま土屋委員から、「使用の安全」というキーワードが出てきましたが、まずパワー ポイントを見ていただきます。使用の安全という視点から見ますと、薬が自分勝手に事 故を起こすことはありませんので、そこには必ず使用者がいるわけです。ワーキングで もいろいろな議論が出てきましたので、試みに使用者を対象した調査をしてみました。  まず、2001年に本院のナースの大体7割に当たる350人を対象に、規格表示が%に起 因する計算エラーの経験の有無について聞いてみました。すると約18%のナースが、 「ある」と回答しました。これを単純に計算しますと、本院のナースは500人いますの で、90人にエラー経験があるということになります。%表示は、問題があるのではない かと思います。  私は金沢市にある医療技術専門学校で、非常勤講師をやっているのですが、そこの学 生100人を対象に、テストをしてみました。左のほうが、「1mL当たり20mg」のアン プルで、もう一方が「2%5mL」のアンプルです。1週間空けて記憶をなくしてテス トしてみました。その結果を見ますと、非常に残念ですが、まず2%という%表示の場 合、80%の人が計算できないのです。つまり医師から「キシロカイン50mgを静注しろ 」と言われたときに、計算できない人が80%、正解が20%だったのです。ところが「m L当たり20mgのアンプル」と表示すると、41%が正解します。それでも60%ぐらいは正 解でありません。悲しい話ですが、これが現実なのです。  そこで、教育の効果を見てみました。次の所から講義資料があります。若い学生です ので、大胆な表現がいいのではということで、ちょっとケバケバしいスライドになって います。まずw/v%とかv/v%という表示が、医薬品のラベルにあるのでその説明と、そ れがどういう意味を持っているのかという説明をしました。続いて2%のキシロカイン 5mLの中には、一体どれだけのmgのリドカインが入っているのかを説明し、「では キシロカイン40mgは何mL?」という感じで、試験問題とはちょっと違う数字にして、 翌日の定期試験の中に織り込んだ結果が次です。  「2%10mL入りのアンプルとして、医師からキシロカイン70mg静注との指示が出ま した。さて、患者さんに何mL投与すればいいですか?」と。%表示ですから、前は20 %ぐらいしか正解でなかったのですが、62%と正解率が上がったわけです。この試みか ら見ますと、注射薬の規格表示が%というのは計算のプロセスから見ると、どう考えて も長いですね。それでmg/mLの方が計算が容易であることが推測されます。  もう一つ重要なポイントは、どれだけラベルを変えて、表示を変えたところで、教育 をしないと、やはり効果が上がらなということです。これも土屋委員と相談しておりま す。卒前教育の中に何かを盛り込むようにすることが求められています。これは薬剤師 もナースもだと思いますが、ドクターも含めてかもしれません。卒後教育については、 今日もいろいろな提案がありましたが、医療現場でしかわからないエラー原因について も教育を通じて十分理解していただくことが重要です。最近、土屋委員と相談している ことですが、安全管理教育を全国で同一にやるということで、教育ビデオを作るといい のではないかと考えております。 ○星委員  まず規格ワーキングのほうです。結局、最終的に注意シールを貼らないと駄目だとい う話になってしまっているような気がして、大変残念ではあるのですが、今後の検討の 方向として示された、本当にこの規格が必要なのかどうかという議論については、積極 的に働きかけをしていくということがありますね。私の口からは言いにくいのですが、 どちらかというと非常に個人的な要求でつくられている規格があるやに聞いています。 これがなければ使わないわけです。開発段階における必要性については、先ほどもお話 がありましたが、その辺は是非とも議論を詰めていただきたいと思います。  また、これが治験の中でやる話かどうかは分かりませんが、製造承認の時点において も、有効性や安全性はやるけれど、本当に必要かどうかという議論も、使用についての 議論をしないで製品が市場に出てきていたというお話が、先ほどもありました。考えて みれば確かにそうだったという気がします。それについては非常に危険だなと思いまし たので、是非ともそこをお願いしたい。  それと私は立場上、ちょっと言わせてもらいたいことが1点あります。土屋委員のレ ポートの4頁と6頁に、専門性の高い医師のみに処方させろというお話がありました。 これは2つの話がごっちゃになっているので、明確にしてほしいのです。まず抗がん剤 の使用方法については、なかなか難しいところがあるので、そういう人たちをトレーニ ングするということが重要だという話ですね。取違えに関して言えば、専門性が高かろ うが低かろうが取り違えるわけです。これらの薬について言えば、むしろ病院の中では 単独の人の印鑑では出しません、という意味での処方のチェックの仕方を決めましょう ということならば、我々も理解しますので。ここは多分筆が走ったのだと思いますが、 このあたりは御検討いただきたいと思います。  もう1回前の話に戻りまして、5頁に開発のときの話が書いてありますが、踏込み不 足のような気がします。具体的に言えば、承認のときにはこのようなことを調べてきな さい、使用の安全についてはこのようなことを検討してきなさいというものについて、 その条件みたいなものを設定していただくと、医薬品を開発する人たちにとっても一つ の大きな指標になるでしょうし、我々が実際にこれから使用医薬品を選択、あるいは自 分の所の収載薬品を選択していくときにも、非常に参考になると思うのです。そういう あたりで核心の部分がこれからの検討になっているので、私としては大変欲求不満です から、ひとつよろしくお願いします。 ○古川参考人  星委員のお話に関連するのですが、必要性のない規格はともかく、なぜ医療機関が複 数規格を採用しなければならないかと言いますと、例えば10mgと20mgの2規格があ った場合、薬価がパラレルでないことが理由としてあげられます。ですから、医療機関 では、事故対策のために規格を減らしなさいと言われて、減らすとした場合、どうして も低用量のほうに合わせたほうが汎用性が高いと判断します、今度は保険請求すると請 求額が高くなるという問題があるわけです。  もう1つ。今日数字は出せないのですが、2規格あると現場でどういうエラーが起き るかということです。私の調査では、よく処方される規格のほうに手が行ってしまうの です。人間というのは、やはりそういうものなのです。そうなると処方されない方の規 格はなくしたいのですが、そこにはいま言った薬価差の問題に加えて、規格によって、 微妙に適用が違うという問題があるのです。これはこの部会の直接の検討課題ではない かもしれないのですが、そういう現実的な問題もあるということだけは、一応御理解い ただければと思います。 ○部会長  土屋委員、何かございますか。 ○土屋委員  先ほどの専門医云々という話は、まさにそういうことです。例えばオーダリングで、 もし専門性のある人だけがオーダリングできるというようにやりますと、病棟はほとん ど駄目という話になってしまいますので、そういう意味ではありません。チェックをき ちんと働かせるようにしようという意味です。  また、いまお話のあった複数規格、複数剤形の件については、いま医療機関ではどん どん品目を減らすということをやっておりますが、一つ悩ましいのが保険の問題です。 先ほどのように小さいほうの含量を採用するようにしますと、実は儲けようとしている のではないかと。要するに5ミリは10ミリの2分の1なのに、2分の1の値段でないと いうところで、やはりこういうものには保険の問題というのが結構絡んでくるのではな いかと思います。処方箋の書き方もそうですが、基本的には保険との兼ね合いというの が、現実に結構あるのです。これはここで解決する話ではないかもしれませんが、全体 として考えていかなくてはいけない話ではないかと思います。 ○外委員  規格ワーキンググループの報告書の中で、注射薬のプレフィルドシリンジについて書 いてあるのですが、最近、このプレフィルドシリンジが多く出回るようになりました。 この記載でちょっと気になった言葉として、「分割投与されることが想定されない」と 書いてある所です。しかも、それを「1容器当たりの有効成分の総量を用いる」という ようになっているのです。プレフィルドシリンジは希釈する必要がないので、便利性が あってこういうものが作られていると思うのですが、分割投与なり持続投与なりの目的 で、よく使われるのではないかと思うのです。ですから総量が書いてあるだけでは不十 分で、単位容量当たりのミリグラム数と言いますか。先ほど1cc当たり何ミリグラムと ありましたが、この記載は必ず必要ではないかと思います。そのトータルが20なのか10 なのかは、使って残された量でしか分からないわけですから、残された量の濃度が必ず 分かるようにして、しかもミリリットル当たりのミリグラム数というのも必要だろうと 思います。  それからもう1つ。先ほど古川参考人は、ミリグラムの指示で計算間違いをすると言 われましたが、もともと10%キシロカイン、2%キシロカインで間違っているのは、医 師がミリグラムオーダーするのではなく、3cc投与しなさい、5cc投与しなさいという ような指示を出すのです。そうすると1cc当たり100mgのものと、20mgのものが2つあ るために、100mgを出してしまい、それで大きな間違いが生じるわけです。ですから、 この解決には、そこはなかなか結び付かないのです。そういう規格が存在することがや はり問題なのです。報告書でも「今後」というようになっておりますが、場所を置かな いというそちらでの解決策もあるけれど、根本的にはやはり10%は日本の医療の現場か らは、私はなくすべきだと前から主張しているのです。 ○部会長  原参考人、何かありますか。 ○原参考人  実際に検討している際、例えば医師の処方でいきますと、成分量の指示であったり、 例えば100mgという指示であったりします。これが薬剤部のほうへ行きますと、何アン プルという感覚への読み替えをして、看護師のほうへ行きますと、例えば1アンプルの 中から何cc取り出すのかというように、1つのものに対してそこでの単位というのがい ろいろ使い分けられるという意見が出てまいりました。そのときにそれぞれのシーンで どの表示が使われるのかということを、やはりもう少し調べて。これは製品ごとになる 場合もあるかと思います。一概に分割投与されることを想定する、しないというのも、 ちょっとアバウトな表現なのかもしれませんが、総量、1アンプルの中にどれだけ入っ ていて、それが何ミリリットルかということが正確に把握できることが、まず重要でし ょう。  先ほど古川参考人は、1cc当たりということも言われていました。実際にいま小さく ではありますが、注射薬にも確かにそういう表示があります。アンプルの大きさなど、 いろいろありますが、それをもっと確認しやすくするとか、その場その場の状況で確認 しやすい表示というのを、検討する必要があると思います。  それと、これは販売名との絡みが出てまいりますが、先ほどの報告の中にも少し入れ ましたように、例えば販売名のほうに1cc当たり100という単位が付いていると、見方 によると1投中に100入っているという解釈をしてしまわれる危険性がありますから、 例えば1cc中には1,000mg入っているというのが、しっかり表示されるべきだという観 点で、そういうことをちょっと考えました。 ○外委員  プレフィルドシリンジというのは、ある意味で希釈された状態なのです。現在の状況 におけるミリリットル当たりのミリグラム数というのが、ある注射薬には小さく書いて あると言いましたが、そこのところが非常に重要なのです。どのような注射薬も希釈す る際は、必ずその単位量当たりのミリグラム数を必ず書くように、いま私たちも指示し ているわけですが、当然そこがいちばん重要なポイントだと思うのです。ですから、こ こに書いてある総量ではなく、必ず単位量当たりのミリグラム数というのが必要だろう と、私は思っております。 ○北澤委員  今日の古川参考人のパワーポイントを拝見して、私も参考人のお話の前にやってみた のですが、確かに計算できないですね。すごく時間がかかりました。学生さんたちで8 割が不正解というのはものすごいですよね。100人やったら80人が間違えているわけで すが、その間違いを訂正してくれる人がいなかったら、間違えた数字が患者のほうに行 ってしまうわけです。こういうことがいまも現場で行われているというのは、すごくシ ョックを受けました。それでよくみんな黙っているなと思いました。医療を受ける側の 立場の者は、通常こういうことはよく知らないので、看護師や薬剤師や医師の方々が、 このようなことをやらざるを得ない状況、そういうことを黙ってやっているというの が、かえって不思議だなと感じてしまいました。こういうものをなぜ今まで誰も言わな いのかなと思ってしまいました。これが感想です。  以前、川村治子先生の御講演を聞いたときに、やはり医師の指示のやり方にも問題が あるというお話を聞きました。特に注意すべきなのが、「ミリ」という言葉だそうで す。医師が「何ミリ何々しておいて」と言うのですが、看護師はそのミリがミリグラム なのか、ミリリットルなのかよく分からなくてミスを犯してしまう、あるいはミスを犯 しそうになってしまうということを聞きました。特に年度始まりの4月などが危ないそ うで、これからはあまり病院に行きにくいのではないかと感じるほどでした。そういう 医師の指示の不徹底というのも、こういったエラーを生む要因なのかなと思いました し、今日の古川参考人のお話も聞きながら、相乗効果と言いますか、ミスが重なる原因 なのかなと私なりに理解しました。  その対策について今日いろいろ説明があったのですが、総じて薬剤師や看護師が見や すい表示、目につきやすい表示に変えようということで、それはそれなりに意味がある ことだと思います。しかし私自身の雑誌校正の経験からすると、見やすい表示になって いても、間違えるときは間違えるということがあると思うのです。要するに、書いてあ っても見ていない、見えていないということがあります。ですから、表示を変えるとい うのは重要なことではあるのですが、これは抜本対策ではないということもまた言える と思います。  前回の会議でしたか、厚労省のほうから、アメリカではバーコードの義務化が進んで いるという紹介があったのですが、結局、人間の目に頼るのには限界があるので、機械 というかテクノロジーというか、そういうふうに変わっていかないと解決にはならない のではないか。今日の発表を聞きながら、最終的にはそちらかなと感じました。 ○目黒委員  実は、臨床工学技士もカリウムなりキシロカインは非常にお世話になる薬なので、教 育というのは非常に大事だと思います。私も、最初に40mgEqのカリウムと10mgEqのカリ ウムで先生から指示が出たときに、どちらを使うべきかと悩みました。抗不整脈薬のキ シロカインも同じです。ですから、外委員が言われるように、あることで問題が起きて いるわけですから、あることで起こるデメリットと、無くすことによって出る有益性と いうのは何か検討されてもいいのかなという気が私はしています。 ○星委員  いまのお話と同じなのでしょうけれども、今回の名称類似のものも、いくつかの組み 合わせを何回にもわたってお話させていただき、いろいろそのPRをして、これからヒ ヤリ・ハットの中にどういうふうな変化が起きてくるのかということを知りたい。いま の10mgと2mgの話もそうです。そういう変化を見ながら、これから慎重に検討していき ましょうというのも回答の1つだろうとは思うのです。  救急の現場で使われるものについては、緊急にやめるべきだという提言がなされてい ながら、実は具体的に何だということが示されていないのです。何か遠慮している風が 見えるのですが、この際ですから、折角ここまでしていただきましたので、少なくとも 委員の方々がワーキンググループで検討されていた内容で緊急に世に問うて、それに反 対、つまりその規格を無くされては困るという人たちがもしいるのであれば、その人た ちからもきちんとヒアリングをして、なぜ困るのかというようなことについて、やはり 止まらずに引き続き努力を続けていただきたいというのが私どもの願いです。  なお、先ほど提案のあったバーコードの件で、私どももいろいろ検討しております し、勉強させていただいているのですが、バーコードの元データを入力するのは人間な のです。そうすると、バーコードの元データで間違うとデュプリケートされる。下手を すると日本中で間違うということが起こらないとも限らないので、そのバランスです。 人間のセンサーに頼り切らない、そして機械のセンサーにも頼り切らない。それをどう いうところで融合させるのかが我々にとって非常に重要な事項で、機械の使い方、それ から我々のトレーニングの限界とその融合ということは大きな課題なのでしょう。もし かしたら、ここでの議論がまた打ち返されて、ヒューマンエラーだとか、我々現場サイ ドへのメッセージになるのではないかと思っております。 ○藤上委員  本日はいままでと違って、例えばものの名前をどうする、規格をどうするというとこ ろから一歩踏み込んで、医療側の考えるべきことが提案されたことは非常によかったと 私は思います。ただ、提案された対策を生かす環境をつくっていくことも必要なのでは ないかと思います。  私は薬剤師ですから、薬剤師の視点から言えば、患者さんの状態をきちんと常に薬剤 師が確認する意識を持つこと。もう1つは、常に薬剤師が患者さんの状態を確認できる システムをつくることも必要なのではないかと思います。  先ほどカリウム製剤のことがありました。希釈した製剤が出来るということも必要だ と思いますが、必要とするカリウム量は患者さんによって違うわけですので、やはり原 液も必要だろうと思います。カリウム製剤を希釈しないで使われることが危険であるな らば、緊急性のあるもの、1分2分を争って使わなければならないものはまた別とし て、希釈して、使用する現場に提供することも考えていく必要性があると思います。カ リウム製剤に関しては、1分2分を争って使われる場面が非常に少ないのではないかと 思いますので、そういう対応もとっていただきたいと思います。  それから、一度とった対策ですべてが解決するものではないということを考えておか なくてはいけないのではないか。常に見直しをしていく必要もあるのではないかと思い ます。たとえいろいろな対策をしても、人間ですから間違えることがあります。誰かが ミスを起こしても、最終的に患者さんに投与されて事故につながる前に、ワンクッショ ン必要とするようなシステムと工夫も必要なのではないかと私は考えました。 ○部会長  あと2アイテム残っていますので、輸液ワーキンググループについて、村山参考人か ら報告していただきます。 ○村山参考人  昨年の5月に輸液ワーキンググループが立ち上がり、合計5回の会議を開き、途中で 経過を報告した経緯がございます。そのときの報告とそれ以降の進捗状況を併せて今回 報告いたします。  まず目的です。輸液製剤については、成分や組成の違いを表す記号や、容器であるバ ッグなど、名称や規格または外観の類似性に起因した医療事故が発生しておりますの で、類似する輸液製剤を識別するための方策などについて検討を進めました。最終的に は医療側や製造業者側あるいは行政側で行っていただきたいという対策までいけばよろ しいかということで検討を進めました。十分満足するまでには至りませんが、一応の結 論まで申し上げます。規格、名称類似、注射薬の外観類似ワーキンググループの報告を 聞いた結果、輸液ワーキンググループはすべてに関わってきます。ですから、すべての ことを総合してお考えいただくと、もっとわかりやすくなってくると考えます。  検討した手順ですが、輸液に関するエラー報告に基づいて、人間工学的に解析を進め ました。輸液製剤で発生するインシデント・アクシデントについては、単槽バッグ、シ ングルバッグという名称を使わせていただきました。それからツインバッグ、ダブルバ ッグと呼ばれる、2槽に分かれているものは、今後多槽式のバッグが増えてくる可能性 がありますので、2槽バッグとここでは呼ばせていただきます。  単槽バッグの輸液シリーズ製剤の取り違えと、2槽バッグの輸液製剤の開通忘れ、こ の2点が非常に多いということに気が付きました。報告されている事例から抽出した、 これら大きな2つのインシデントとアクシデントを人間工学的に解析しますと、取り違 える要因が異なっていることがわかりました。それは「錯誤」と「失念」という2つの 大きな分類になります。輸液製剤の包装、容器、形態のあり方を「錯誤」と「失念」の 両面から検討して進めることにしました。  「錯誤」は「し間違い」で、類似した商品があれば必ず取り違えが発生するというこ とです。製品の識別には、それぞれの製品で医療職が確認する「識別子」(外観、商 標、単位等の表示事項)の明瞭性が重要であるけれども、識別子が互いに排他的でない 場合に問題が多かったのです。本来、作業者は識別子全体をしっかり確認すべきである が、実際には一部しか確認しない。グルノンと書いてあれば「グ」しか見ないで使って しまう場合が多いのです。  それから、2つの製品があって類似しているものは、識別子が多いほど取り違えの発 生が多いのです。外観が似ていて、商標も同じ、単位のみが違うという場合には、単位 違いの製品の取り違えが発生しやすいのです。ソリタT3は200ccと500ccがあります が、それの取り違えもあるのです。ソリタT1とソリタT3がある。ソリタT3とT3 Gというのがあります。非常に紛らわしい名前がたくさん付いていて、そこでの取り違 えがあるわけです。  ダブルバッグの場合には開通線がわかりにくいので、開通を忘れるのです。そのこと については以下に示します。  2槽バッグの開通忘れは、しなければならない行為を「し忘れ」ているという「失念 」と考えられるわけです。作業者が無意識で行動するから、対策が非常に難しいのだと いうことで、対策を検討するに当たっては、失念させないこと、失念に気付かせること の2つに分けて考えることが重要であろうということになります。失念させないための 対策としては、2槽バッグであることを気付かせること、単層バッグとの排他性を持た せること、2槽バッグであるという表示を明確に出すこと、この両方を同時に行うわけ です。  失念に気付かせるための対策としては、開通しないと混注できない、あるいは液が出 ないということを考えたわけですが、未開通であると、混注時に針刺しの手ごたえ、そ れからバッグの手ごたえがおかしい、バッグが膨れていて明らかに不自然であるなどの 対策も考えられます。「錯誤」と「失念」、大きくこの2つの概念を持って進めていき たいということです。  単槽バッグの輸液ボトルやバッグ製品の取り違え防止策ですが、こちらの輸液シリー ズでは、電解質輸液の名称と表示が極めて類似しているということから取り違えが多い のです。従来から慣例的に、輸液開始液を1号液、脱水補給液を2号液、維持液を3号 液、術後回復液を4号液と、多くの医薬品種ではすでに分類されています。各輸液にも 「開始液」「維持液」とすでに記載されています。ただ、文字の表示が非常に小さいの で、見落としてしまうのです。販売名及び表示上の1、2、3、4の数字の違いだけで 製品を区別していることが多く、数字の識別子を誤認するために、取り違えが発生する のです。ですから、単なる数字による区別ではなくて、それぞれの治療目的を明確にし て、合目的的な製品表示をすれば、よりリスクは減ると考えられたわけです。  そこで、従来の1号液は「開始液」、2号液は「脱水補給液」、3号液は「維持液 」、4号液は「術後回復液」、従来の3号液に糖類を追加したものは「維持液加糖」と いう表示をしていただきたいのです。もしこの表示が共通になっていけば、オーダリン グの名称も、「開始液」「脱水補給液」「維持液」「術後回復液」と入力していただく ことになろうかと思います。  2槽バッグ輸液の開通忘れの防止策ですが、その抜本的な対策としていちばんいいの は、開通しなければ液が出ないことですが、技術的にはまだ短期間での変更は難しいと いうことです。いま実際に製造業者等は取り組まれているということから、今後長期展 望で、期限は明確に出来ませんが、実現にむけ試みを続けるという回答は得られまし た。  短期及び中期的な対策としては、2槽バッグ輸液と単槽バッグ輸液を識別できるよう に排他性を持たせる。そのために、2槽バッグ輸液には、共通アイコンとして、資料の 5頁に並べてあるような開通確認シールを、輸液バッグを吊り下げる孔をふさぐように 張るという提案を申し上げます。  開通確認シールの色は、赤地に白抜きが妥当であろうということになっています。世 界的な信号機文化で赤は「止まれ」ですから、シールの地色を是非赤にしていただきた いのです。シール貼付の場所は吊架孔にシールしていただきたいのです。上室と下室の 一方が若干違う色で出来ているものもありますので、そういう場合には諸般の事情でそ の色に合わせるといったことも可能としますが、原則として、赤地に白抜きの文字でや っていただきたいということです。  資料の5頁左側の開通確認のポスターですが、真ん中の輸液バッグのおなかの所に、 点線で赤線が引いてあります。ここを開通させろということで、太い赤色の点線を明記 して2槽であることを明確にするということです。この安全使用共通認識ポスターを全 医療機関に配布して注意を喚起します。  製品上のことだけをいくら変えても、医療機関内で浸透しないと全く意味がありませ ん。製品を変えてどのようになるかということも必要ですが、なぜ変えなければいけな いかという医療機関内の教育啓発用ツールに基づいて、研修会等で浸透させていただき たいのです。そのツールを「輸液使用向上方略ツール」と勝手に名前を付けさせていた だきました。これはまだプロトタイプで、実際にはまだ使えませんが、こういう教育ツ ールを使った研修会の実施を是非義務づけていただき、安全文化を定着させて下さるこ とを切にお願いします。  また、その研修会には医師、薬剤師、看護師はじめ、栄養師等全職種のたくさんの方 に参加していただいてディスカッション中心で進めたい。そのためのツールを是非開発 していきたいわけです。  そのほかに、(2)と(3)の対策を実行して、医療の担い手1人ひとりの「医療安 全の文化」を定着させていきたいということで、方略ツールを用いて適切な研修会を実 施されることが推奨されるわけです。  資料の6頁は「アミノトリパ2号」と開通確認シールを実物に張った写真ですが、実 際にはこのくらいの大きさになるということです。輸液ワーキンググループで進めた検 討事項は以上です。 ○部会長  続いて眼科用剤ワーキンググループの報告を中村参考人にお願いいたします。 ○中村参考人  本ワーキンググループは、容器が類似する点眼剤をはじめとする眼科用剤に関する医 療事故防止のため、これまで7回にわたって検討会を開催しました。この間、委員によ る点眼剤容器の誤認に関する調査をはじめ、点眼剤製品及び類似品に関する実態調査を 行い、収集した個別事例等をさらに解析し、その対策を検討しました。  2.検討対象の範囲ですが、注射剤と同様、眼科用剤においても外観類似及び剤形類 似が多く見られたことから、点眼剤に類似した容器の外用液剤、例えば水虫薬のような 抗真菌剤等まで範囲を拡大しました。また、視覚障害者であっても取り違えが生じない ための方策、患者の介護者が高齢であるために誤使用される可能性を考慮して、容器等 のハード面(形、表示、色調など)について製品設計を検討しました。  4.検討結果。(1)「点眼剤容器の誤認に関する調査」は、(1)点眼剤に関連した 誤認事例について、1)医療安全対策ネットワーク整備事業により収集されたヒヤリ・ ハット事例(第1回〜6回までの集計)、2)国民生活センターから報告された一般家 庭での事例、及び3)くすり相談研究会による調査を集計しました。これらの詳細は平 成15年9月18日の本委員会で報告しましたので省略いたしますが、点眼剤類似の外用剤 の誤使用が多く見られ、特に水虫薬の点眼が多く指摘されています。  (2)眼科医によるアンケートにおいても、点眼剤以外の誤認が多く、その薬剤の種類 は表4に記してありますが水虫薬が多いことがわかります(表4)。  (3)視覚障害者援護促進協議会利用者35名を対象にした電話アンケートでは、点眼剤 容器に似た薬剤等として、うがい薬・マニキュア除光液・水虫薬・弁当の醤油入れ・ト イレの携帯用におい消し・点耳剤・化粧品のサンプル・眼軟膏・コンタクトレンズ洗浄 液・便秘薬等が報告されております。  (2)「点眼剤及び類似製品の実態調査」では、調査したところ、一部の製品を除 き、大部分の容器は5ml以下の円筒状の、共通性の高い容器であることが確認されまし た。一方、水虫薬その他の外用剤、化粧品、雑貨等では、点眼剤に類似した容器形状が 少なくないことが確認されました。  (3)「点眼剤の容器形状等の排他性に関する検討」です。上記の事例を参考に、点 眼剤の取り違え防止策として、キャップ・容器等の形状、ラベルデザイン等の表示、容 器容量、投与方式等について、点眼剤独自のものとして共通化し、排他性を持たせる対 応が考えられ、その実施の可能性について検討しました。  (1)はキャップ、容器形状による対策です。点眼剤を含めた医療用外用剤、OTC製 品、化粧品、雑貨等の容器形状は多種多様であり、この中から点眼剤のみを特異な形状 として他の外用剤と排他性を持たせることは容易でないことは予想されましたが、キャ ップの天面加工(ロゴを入れるなど)、ローレット加工(キャップの溝の数。「四角」 とあるのは四本の意味)、また、容器の一部に一定の特徴(独自の彫刻や刻印を持たせ る)などで排他性を確保することができないかを検討しました。  しかし、キャップ天面の面積は小さく、天面に眼科用のアイコンを施したキャップが 水虫薬など他の製剤のキャップと取り間違えられた場合、大きな事故を誘発する恐れが あります。  図1の容器のキャップ類は、ワーキンググループでつくったものです。いちばん左に 石膏、2番目が木製、3〜5番目はビニール製のシリコンです。このような四角のキャ ップをワーキンググループで試作しましたが、アンケート調査の結果、十分な識別性を 持たせることは困難であり、これも逆に水虫薬などの製品との取り違えによる事故発生 の懸念があり、検討を断念しました。  次の(2)はラベルデザイン等の表示による対応です。ラベルデザインの工夫により、 視覚による識別性を高め、取り違え防止効果が得られる可能性があり、すべての点眼剤 に共通して使用することで識別性がより高まることが予想されます。さらに、「目」を アイコン化したものをラベルに表示して注意喚起を促すことがすすめられます。  水虫薬を含む点眼剤に類似した容器の外用剤については、赤枠・赤字で「目に入れな い」旨の文字を目立つように記載するよう厚生労働省から指定されておりますが、事故 事例はその後も報告されており、より視認性の高い表示方法として、赤地白抜き文字な どを検討することが必要です。  また、医療機関において患者へ交付する際に、赤枠・赤字の注意喚起記載の趣旨を説 明するとともに、点眼前に容器表示の確認を行うよう、投薬時に繰り返し指導すること が必要であると考えられます。  (3)は容器容量の制限による対応です。医療用の点眼容器はほとんど5mlと少量容器 でしたが、点眼剤と誤認された場合に問題となる恐れのある水虫薬については、医療用 の製剤を中心に、10ml程度の製品があり、これら少容量製剤が点眼剤と誤認されやすい ことが懸念されます。誤認防止のためには、それぞれの容器容量の差を大きくし、差別 化することが適当と考えられます。  (4)は投与方式の検討です。点眼剤と誤認されやすい類似製品のほとんどは現在、点 眼剤と同様に滴下して投与する方法を採用していますが、特に誤認された場合に問題と なる恐れのある水虫薬については現在、すでに一部の製品で採用されている、押し当て て薬液が漏出するプッシュ方式やスプレー式など、点眼されにくい方式へ変更すること が望まれます。  以上ワーキンググループでの検討を踏まえ、誤認事例の報告されている医療用の点眼 剤及び水虫薬について、(1)〜(4)までの防止対策を講じることとしました。水虫 薬以外の点眼剤類似の外用剤についても、水虫薬に準じた対策を今後講じていくことが 適当であると思われます。  まとめの(1)は医療用点眼剤の具体的な事故防止対策です。(1)容器容量を原則5ml 以下に統一する。その容器に対応できない点眼剤は、表示内容をさらに大きくして注意 を喚起する。  (2)点眼剤のノズル(中栓)の色は、水虫薬で使用することとする赤、黒、茶色は使 用しない。  (3)点眼剤専用のアイコンを決定し、点眼剤容器への記載を行う(図2)。  (4)医療機関、薬局における投薬時に、すべての製品について点眼剤であること、他 の薬剤と混ぜたり入れ替えたりしないこと等保管上の注意、眼科専用のアイコンを表示 した専用の投薬袋を添付し、服薬指導を強化、徹底する。  (5)視覚障害者における防止策として、容器本体の側面や底に点字で凸面を付ける等、 触っただけで識別可能とする方法を検討する。  (2)水虫薬の具体的な防止策として、(1)プッシュ方式、スプレー方式など滴下で きない投与方式とする。プッシュ方式への移行までの経過措置として、ノズルを赤、 黒、茶色に着色する。  (2)容器容量は10ml以上とし、プッシュ方式の投与方式の改善に伴って容器の高さが 高くなることで、原則5ml以下の点眼薬との差別化を図る。  (3)注意表示は赤枠・赤字、または赤地で白抜き文字とし、文字の大きさは8ポイン ト以上とする。  (4)容器や個装箱に記載するための水虫薬専用の注意喚起アイコンを今後検討する。  (3)含嗽剤、滴下型の緩下剤等水虫薬以外の薬剤の具体的な事故防止策として、水 虫薬の表示方法に準じて対応する。  その他、医療機関及び薬局における服薬指導は徹底して行う必要があり、情報提供も 製薬企業だけの取組みとはせずに、学会、職能団体等も積極的に取り組むことが望まれ ます。以上です。 ○部会長  どうもありがとうございました。全体を含めて何か御意見、御質問がございますか。 ○村山参考人  輸液ワーキンググループのほうで言い忘れたことがあるのです。先ほど、1号液から 4号液までの名称を統一していただきたいと言いました。これは委員の皆さんはもう御 存じだと思うのですが、昔、第1世代の湿布薬で、サリチル酸メチルが入っているもの には、たくさんの商品名がありましたが、あれも商品名がたくさんあるということで統 一規格になったことは記憶に新しいかと思います。旧来から使われて、あまり変更がな いものは、今後は統一規格で、名称も規格を統一すればいいのです。  ここで申し上げている1号と3号とを取り違えるというのはどういうことかという と、1号と3号のカリウムの濃度が非常に違うのです。1号の中にはカリウムは入って いませんが、3号液には20ミリモルぐらいのカリウムが入っているので、これを取り 違えると、心臓の悪い方は不整脈を引き起こす可能性があるのです。輸液だから大きな 違いはなく、身体への侵襲は少ないであろうという考えは全く違うわけです。同一分類 間での取り違えはあっても、さほど影響がないだろうということですが、違った電解質 の濃度にカテゴライズされているものは危ないので、是非これは統一規格にしていただ きたい。過去にそういうことがありますので、よろしくお願い申し上げたいのです。  今回、輸液のほうからご提案申し上げた件は特に薬事法に抵触するようなことはあり ませんので、やっていただけるという方針さえ決めていただければ、すべて実行してい ただける分野ではないかと考えます。その点についても、できるところは早急にお願い したいのです。 ○外委員  いまの輸液剤の話ですが、従来から、1号から4号というのが非常にアバウトな分類 だったと思うのです。しかも、それ以外の輸液剤もいくらでもあるわけで、今回また、 それをある統一をして表示する。ここには4つ統一した名前があって、それに糖を加え たものを「加糖」という言葉を付けているのですが、これ以外にも、いくらでも輸液剤 の目的は存在するわけです。透析で使うものもあれば、手術中の細胞外液補充液は私た ちが手術中によく使う輸液剤なわけですが、こういう統一表示に限るわけではなくて、 ほかにも表示すべき輸液剤の種類も、いくらでもあるように思うのです。 ○村山参考人  外委員がおっしゃるように、たくさんありますが、いま挙げた1〜4号液の電解質の 取り違えが具体的に多いのです。ですから、まずこれを統一する。透析液などは特殊性 が高いものですから、取り違えの頻度は少ないのです。院内でも薬剤師の目を通って、 これはこういう用途で使うということをちゃんと確認して診療科で使っていただくケー スが多いものですから、この電解質4種に限ってまず統一していただきたいという見解 です。 ○寺井委員  いま各ワーキンググループから、1年間の成果として、医療現場にいる者としては非 常に期待できるさまざまな対策を提示していただいたと思いますが、これらが早く具現 化していくことが何より期待されるところだと思うのです。こういったことはどのよう にメーカーや医療機関あるいは薬局に伝えられ、現実化していくのか、そのことが気に なるのですが。 ○事務局  ここで取りまとめていただいたワーキンググループの結果は、こういうことが取りま とめられたということを企業側に適宜伝えたいということ。また、必要があるものにつ いては行政から通知を発送するようなことも検討することを考えています。 ○星委員  前回の水虫の話も、プラスチックの入れ物に入った錠剤の話もそうでしたが、一体ど れぐらいのシェアで、どのぐらいの製品について改善が終わっているのかという質問を したら、厚生労働省としてはあずかり知らんと。そして、業界団体が調べたところによ れば、こうだというお話があったように私は記憶しております。  今回のこの話はもう少し開かれた形で議論しましたし、みんなが共通の認識を持てる という、ごく近いところまで来ているのだろうと私は思います。このまま「さあ、やれ 」と言って突きつけてできるものかどうか、これで十分かどうかという議論があるのだ と思いますが、ある時点でとるべき対策が明示され、それについて、ある時点でどのぐ らいの製品が、あるいは、どの会社のどの製品がどういう改善をしたのかがわかる仕組 みを最初から組み込んでおいていただかないと、いまの問いには答えられないと思うの です。通知を出しました、業界団体が調査しましたということでは不十分だろうと思い ます。私は1年前にこの話をしているはずですので、行政側の課題として、その辺りの 仕組みを一体どうやって検証していくのか。そして、それに応じないメーカーならメー カーをどうやって指導するのかということを明示するべきだと、私どもはそういうふう に考えています。  個別事例の件で、バッグを開かなければいけないということですが、下に入っている 液が単独に入っていったら危ないということがないようにしましょうというのは、大体 守られつつあると思うのです。吊り下げるときに、孔をあける所にシールを張るという のは良いアイディアのような気がするのですが、我々はほとんど盲目で刺します。大 体、孔の位置を手で確認しながら、これをこう持ってズブっとやるものですから、どう も、これだけでは十分ではないだろうと。  しかし、ゴムのキャップの所に針を刺すときには必ず見ます。見ないと、自分の手を 刺しますから。ですから、むしろ針を刺す所に「ちゃんと開いたかな」と書いていただ くようなことも考え得るのではないか。  私はジップロックという製品が好きで使うのですが、あれは黄色と青で裏表になって います。開くと黄色と青なのですが、閉じるとグリーンに見えるというので密閉が確認 できる。これは逆のアイディアで、表と裏には別の色を付ける。製品によっては青とピ ンクのものがありますが、剥がすと色が変わるというようなものも考えられるかと。  混合液について言えば、最後の部分をもう1段区切っておけば、少なくともそこを開 通しなければ通らない。つまり、液が出てこないということもし得るだろうと思うの で、この件に関して言えば、もう少しアイディアを練っていただきたい。  やめてしまえという議論がありました。そもそも開通するのを間違うのだから、ある いは忘れるのだから、やめてしまって混注するようにすればいいではないかという議論 があったのですが、現場からすると、無菌的な状況で取り扱うという意味から言えば、 この混合バッグは非常に目的に合ったものですし、非常に使いやすいものなのです。し かし一方でミスをおかすことを誘発しているということで、人間の視覚や感覚あるいは 使い方の、実際の対応に合わせた、もう一歩踏み込んだ検討をしていただけると、私ど もとしては大変ありがたいと思います。 ○村山参考人  ただいま星委員から非常に貴重な御意見をいただきました。正直なところ、たくさん の議論をしましたが、色が変わるというのは、いまのところ検討の範疇には入っており ませんでした。ただ、フールプルーフ式のバッグはいかがかといったことについて、当 初から検討していただきたいということを一貫してお願いしていたのです。しかし現状 ではなかなか難しいということと、たとえ、できたということであっても承認、要する にその規格がOKになるまで相当時間がかかるであろうという2つのことがあります。 レギュレーションの絡みもあって、今後の長期展望になってしまうということでした。  差し当たって開通をどうするかが問題で、解決策としては、現状ですぐに対応できる こととして、ポスターを各医療機関に配布する。配布しただけではほとんど読まれな い、張って終わりというケースが多々あると思いますので、啓発という大げさなもので はないにしても、必ず張っていただいて、そのポスターを必ず読んでいただくような仕 組みを医療機関内で考えていくべきではないか。具体的には目と手と頭を使う啓発ツー ル等を使って喚起していけばと結論しました。 ○星委員  いまの件で私も申し上げようと思ったのですが、私もこの間ちょっと具合が悪くなっ て点滴を、自分でしたわけではなくて、してもらったのです。そのときに、これは大丈 夫か、あれは大丈夫かと、すごく気になるのです。私の場合は自分の所の看護師に、こ れは大丈夫か、あれは大丈夫かと聞きやすいのですが、一般の患者さんは、やってもら っているのに、これは大丈夫か、あれは大丈夫か、これ通じてないんじゃないかと言い にくいのではないかと思うのです。そういう意味で、啓発と言ったときに、医療従事者 に対する啓発だけではなくて、患者さんの参加ということを前々から我々は議論してい るわけで、物を作る側とそれを使う側、受ける側、三者にとって有益な教育ツールを開 発していただく。入院のときに、いまこういうミスが報告されていて、我々も努力する けれども、患者さんにも参加してもらうという意味で、こういうことは必ず聞いてく れ、そのときに、我々は絶対に嫌な顔をしないというような、業界全体を挙げた、患者 さんも含めてみんなをまき込むようなツールを是非とも考えていただく。もちろん我々 も考えなければいけないのですが、協力してやっていけたらいいと思います。 ○土屋委員  規格のところにも少しありましたが、使用の安全のためのデータベースが必要なのか と思います。実は、いまプロトタイプをつくっているのですが、わざわざ業界が調査す るとか行政が調査するということなしに、そこで自動的にわかるようにしよう。例えば 通知について、これは対応しているのか、していないのかということがわかるようにす る。折角行政から通知が出されても、対応していないのだったら、それがわかるように する。それも企業自身がメンテをしていただくことを想定したものをいまつくっており ます。対応品かどうかというようなことがすぐにわかることが大事なのかと。そして、 使う側にしてみたら、同じ成分で、ほかのものだったら対応しているものがあるかどう かとかいうことが公開されて目で見えるということがすごく大事だと思います。こうい うことが出ても、守る、守らないというのは企業の問題かもしれませんが、それが守っ ているか、守っていないか。対応できないのであれば、その理由が何なのかがはっきり とわかる仕組みをつくっておくことが、結果として相互監視みたいな話になっていくの かという気がいたします。 ○古川参考人  いまの輸液バッグですが、資料の5頁を見ていただきますと、左側の下にいろいろな 会社のものが載っています。その中の右から2つ目、テルモ社の「フルカリック」は、 上が黄色で下が透明です。これが出たときに、私は、先ほど星委員が言われた色という 面から「あっ、企業も考えたな」と思ったわけです。ところが、これはいいんじゃない かと言って私が病棟に持っていくと、かなりベテランのナースが、「それは意味ない、 全くないとは言わないけれど」と言うのです。その理由は、IVHにはビタミン剤を混 入する。そうすると、遮光袋を掛けるから、開通しているかどうか確認できないという わけです。なるほどと思うわけです。だから、こちらサイドだけで考えていると、「色 を分けたのは非常にいい」で終わってしまいます。私はテルモにすぐそれを伝えて、分 解する波長は決まっているので、それをシャットアウトする透明の材質がないか検討し て、もし解決出来たら、「フルカリック」という名前にしてもいいというような冗談を 言っています。  企業の工夫も評価できるのですが、それが現場でどのように使われているかというこ とを一方で評価しないと、こっちだけで「うん、いいなあ」と満足してしまうことにな ります。今回のことでも、いろいろな工夫をしても、それが本当に現場で受け入れられ るのかどうか、理解されるのかどうかを評価しないと意味がないと強く感じています。 ○菊地委員  隔壁の開通のことですが、現場でこれと同じような「し忘れ」が何度も起こったこと があります。特に三方活栓の開通忘れですが、そのミスがかなり頻繁に起こったもので すから、ベテランナースは忘れないためにどう工夫しているのかを調べてみました。工 夫の1つとして、ルートを止めるのに、常に携帯しているペアンを使うというものがあ りました。それは、たとえ、ペアンの外し忘れで開通の「し忘れ」があったとしても、 他の病室等へ移って、そこで使おうとした際に、いつも胸のポケットに入れているはず のペアンがないことで、三法活栓の開け忘れに気づくというのです。このように、よく 起こるミスについて、忘れないために行っている工夫などを集めたことがあるのです が、大変有効でした。  隔壁の問題も、行動を起こす際に、その行動が起こせない状況を作ることができると いいのではないかと思います。 ○古川参考人  決定した後で医療機関から文句を言われると会社も努力が報われないので、案の段階 で問題点を指摘できればと考えます。そうでないと、ものすごい無駄させていて申し訳 なく思います。 ○村山参考人  今回の開通確認の大きな目的は、要するに2槽式バッグだという目印なのです。まず 大きなところで共通認識をしないと、安全文化は定着しないものです。したがいまして それはその先の話になろうかと思うのです。まず日本中にある2槽式バッグは「開通確 認」というシールが張ってあるものだという認識を共通で持っていただきたいというと ころが大きなポイントなのです。ですからそのほかに、容器をどうしたらいいかという のはセカンドステップになろうかと思いますが、是非共通認識を持っていただきたいと いうところを強調したいのです。 ○吉澤委員  今日はそれぞれのワーキンググループから具体的な方向性が示されたと思うのです が、これで「さあ、企業は対応しなさい」と言うのはちょっと。企業ごとに解釈が異な ってくると、1つの統一にならないのでもう少し、さらに通知が出せるだけの検討をし ていただいて、通知として、できるだけ具体的なものを出していただきたいと思いま す。  通知を出していただく際には、それぞれの団体でその防止対策についての内容を、例 えば会誌などで会員に知らせるというようなことは是非お願いしたいと思います。製薬 企業のMRだけで100万人を超えると思われる医療関係者1人ひとりに伝達して歩くとい うのはとてもできません。また、こういうものは二重三重にお知らせして理解していた だかないと、対策の本当の効果がなかなか発揮できないのではないかと思いますので、 是非よろしくお願いいたします。 ○奥田委員  ワーキンググループの御努力には敬服申し上げますし、そのとおりだと思いますけれ ども、やはり現場とのずれ。それは「教育」という言葉に尽きるかもしれませんが、現 場とのずれをできるだけ早く無くしていただきたい。それには、通知、通達とあります が、行政のされることが伝わるのには時間がかかる部分がございます。  ここは経済産業省ですから言うことはないのかもしれませんが、歯科機器にはJIS 規格というのがたくさんありますし、ISOも批准している部分がたくさんあります。 それで、医科のメーカーのJIS規格とかそういったものはどうなのでしょうか。私は 存じ上げませんので教えていただきたいのですが。 ○部会長  それはJISよりもICH(International Conference of Harmonization)かも しれませんが、いまちょっとわかりません。 ○山本委員  先ほど土屋委員から、新しく対策を施したものがわかるようにしたらよいのではない かというお話がありました。医療用具のほうでは、対策を施したものには業界の自主的 なマークとして、安全対策適合品マークというのを貼付することにしているのですが、 これはあくまで自主的なマークですので、医療機関にちょっと存在感が薄いというか、 信頼感が足りないような気がします。むしろこういうものを公的な存在として貼付する ことにする、また、サイトなり、どこかで十分に見られるような仕組みをつくっていた だくことが重要ではないかと思います。  もう1つ。用具の場合には古い機器があるわけです。新しい対策を施しても、古い機 器が医療機関に残っている。そういうものについてどうするかが非常に大きな問題にな るのですが、例えば英国の場合には行政庁で、すぐに廃止すべき機器、それから廃止を 検討すべき機器という形で分類して、それを行政庁のホームページに公開するシステム が出来ているわけです。ですから、古い医療機器について安全対策をどうするかという ことについて、どこからもアクセスできるような形で明らかにするシステムをつくるこ とも重要ではないかと思います。 ○部会長  私から、今日伺った感想を1、2分述べさせていただきます。1つは技術革新という 問題があります。検討ワーキンググループでの御議論は大変熱心になさっているので敬 服するのですが、現状での対応、5年先の対応あるいは10年先の対応といったようなフ ェーズドな感じも必要なのではないかと思うのです。  たしか前回6月のときに、FDAで医薬品バーコード規制案が2003年3月に発足し て、去年の暮れから実行されるという話が披露されたように思うのですが、いくつかの 方法論の中でバーコードとかICチップとかがあれば、何だ、こんなつまらないことを 議論していたのかというような問題も随分出てくると思うのです。だから、5年先、10 年先のフェーズドな感じの御議論もいただけたらいいのではないかという気がしまし た。  もう1つは国際協調の問題で、これが相当問題になってくると思うのです。ネーミン グにしても、非関税障壁等うるさいことを言い出すかもしれないし、そういう問題も考 えておかなければならないと思います。  3番目は、御議論いただいている中で総論が大事なのか、各論が大事なのかという仕 分けをきちっとしたほうがいいのではないか。要するに、総論としてこういう方法論が ある。だけど各論としてはこういうことが大事なのだと。現実に緊急性があるのは各論 のほうだと思うので、それを踏まえて、総論のほうもきちんとやっていくという感じか と思います。  古川参考人や北澤委員から、全国統一ビデオなど教育の問題が出されましたが、これ は非常に大事なことで、何かそういうアクションを起こしていただければよいのではな いかと思います。やはり全部が揃わないと、例のリービッヒの法則で、樽のいちばん短 い所から水が漏れるということで、そういうところがあるといけないわけです。  薬価の問題は厄介な問題だと思うのです。あとは情報の徹底、あるいは星委員から再 三にわたって、評価の仕組みをつくりなさいという御提案がありましたが、これは早急 に厚生労働省のほうで何かお考えいただいて、のれんに腕押しではつまらないので、ど のくらいのリアクションがあったのかがわかるような仕組みをつくっていただければ大 変いいのではないか。  このワーキンググループの今後について事務局からお話がありますか。 ○事務局  本日は、これまで検討していただいた5つのワーキンググループの検討結果を御報告 いただいたのですけれども、その中で今後も検討するべき事項も御提言いただいていま す。それで、各ワーキンググループの検討事項で、共通の視点で検討するというような 御意見もありましたので、今後、医薬品類似性検討ワーキンググループという1つのワ ーキンググループを設置して、来年度も御検討いただければと考えております。ワーキ ンググループの委員の構成ですが、現在名称類似と注射薬の外観類似ワーキンググルー プのリーダーをされている土屋委員を中心に、今後のワーキンググループのメンバーに ついて相談して決めさせていただければと考えております。 ○部会長  1つにまとめるということですが、土屋委員、何かお話をいただけますか。 ○土屋委員  今回5つに分かれておりましたが、現実としては非常に重なる部分が多数ありまし た。それで、今後は1つで、それぞれ必要なときに必要なことをまたやっていけばいい という気がいたします。先ほど星委員が御指摘のような点を、評価方法も含めて検討し ていくことは必要かと思います。 ○部会長  事務局から報告事項について説明していただきます。 ○事務局  資料7−2−(1)が第7回医薬品・医療用具・諸物品等情報の分析についてです。2 医薬品関連情報の要因別件数を見ていただきますと、規格違いがいちばん多く報告され ております。第7回では、先ほど名称類似WGでお話がありましたアマリール・アルマー ルが2件ほど、輸液WGでお話がありました隔壁の未開通が3件、このようなものが報告 されております。  資料7−2−(2)は第8回の分析です。こちらについても、要因別では前回と同様の ものが多く報告されていると思います。名称でいいますと、アミパレン・アミノレバン が4件、タキソール・タキソテールが1件、輸液の隔壁の未開通が2件となっていま す。  資料7−2−(2)の3頁ですが、左側の「今回」が第8回の集計分で、右側の「前回 」の所に9カ月分ほど集計したものを記載し対比しております。こちらでも要因別の傾 向は大体同様のものであると考えております。  資料7−3は平成16年度予算(案)についてです。2頁に医薬食品局として、対策部 会の費用とともにバーコード化に関するものが若干新設されております。バーコードに 関してFDAのほうは先月25日に、約2年後に完全実施という形の通知が出ておりま す。医薬食品局としても、今後医薬品にバーコードを表示するため、どのようなコード 体系にするのか、どういったバーコードあるいはICタグ等にするのかを検討する検討 会を設置するための予算を要求しております。また、名称や外観に関するデータベース の整備を含めて予算要求しているところです。  参考資料について説明します。参考資料の7−1は、平成15年11月に医政局長、医薬 食品局長の、両局長から通知として出ているものですが、これは日本病院薬剤師会で出 されている処方点検や調剤時、病棟への供給時に注意を要する医薬品について、各医療 機関において採用状況や対策を確認していただくための通知です。  7−2は、平成15年11月、同時期に出された、医薬品を製造していただいている製造 メーカーに販売名や外観の類似性等に関する情報を医療機関等に繰り返し注意喚起して いただく。リスクの高いものはリスク軽減策を講ずることなどと通知しているもので す。  7−3は平成15年12月24日に厚生労働大臣から出されている、医療事故対策の緊急ア ピールで、医療安全に関して更なる御尽力をいただきたい旨がアピールされておりま す。  7−4として前回部会の議事録を付けておりますが、今後ホームページに掲載するこ ととしておりますので、御承知おき願いたいと思います。以上足早ですが、説明させて いただきました。 ○部会長  大臣が緊急アピールまで出しているわりには予算が、どうなんでしょうか。たぶん役 所的考え方をすると、6億5,100万円が9億8,300万円に増えたというのは30%近い増加 で、大手柄だというようなことだろうと思うのですが、こういうことは、これまでの何 パーセントというような感じではないのではないか。全く新しく必要になってきたとい うことで、いままでのヒストリーというか、アナムネーゼの上に乗っかったような話と 違うので、やはり、予算を立てる上で考えていただく必要があるのではないかという気 がいたします。  ほかに御意見がなければ、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございま した。 照会先 医薬食品局安全対策課安全使用推進室 電話 03-5253-1111(内線2751)