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II 介護保険料について

介護保険における1号保険料算定について

保険料基準額に影響を与える要因

【給付面の要因】
給付総額 = 単価 (一人当たりサービス利用額)
(1)
×量 (利用者数)
  ↓
要介護認定者数
  要介護認定率  (2)
  後期高齢者の割合  (3)
【負担面の要因】
保険料基準額=
給付総額 × 1号保険料負担率
────────────────
被保険者数(所得段階別に補正)
  (4)

調整交付金による調整

 ◎「後期高齢者の割合」及び「所得状況の格差」は調整交付金により調整

  ○ 後期高齢者の割合に係る調整
 当該市町村の実際の後期高齢者の割合に関わらず、
後期高齢者割合が全国平均と同じになるよう調整

後期高齢者割合  →  要介護認定者数  →  給付費
  高い
  低い
   多い
   少ない
  多い
  少ない

全国平均
との乖離
  ○ 所得状況の格差に係る調整
 当該市町村の実際の被保険者の所得状況に関わらず
所得段階別被保険者割合が全国平均と同じになるよう調整

調整交付金に
よる調整

所得分布  →  保険料所得段階  →  保険料基準額
  高い
  低い
   多い
   少ない
  多い
  少ない

全国平均
との乖離

人口規模及び高齢化率との関係

 ◎人口規模及び高齢化率の高低は保険料水準には影響しない。

(例) 人口規模、高齢化率は異なるが、(1)1人当たりサービス利用額、(2)要介護認定率、(3)後期高齢者の割合、(4)所得段階別被保険者割合、の4条件が同じ保険者における保険料基準額の比較(粗い試算)

  A市 B町
人口 10万人 1,000人
高齢化率 10% 30%
後期高齢者割合 40% 同左
要介護認定率
  前期高齢者
  後期高齢者

5%
25%

同左
同左
1人当たり利用額 15万円 同左
調整交付金 5% 同左
被保険者数(※) 9,500人 285人

※第1段階:5%、第2段階:30%、第3段階:50%、 第4段階:10%、第5段階:5%と仮定

保険料基準額= 給付費総額×1号保険料負担割合÷被保険者数
 └1人当たり利用額 ×要介護認定者数
(前期高齢者数×認定率+後期高齢者数×認定率)
〔A市における保険料基準額〕
 15万円× 1,300人× 18%÷ 9,500人
3,695円
〔B町における保険料基準額〕
 15万円× 39人 × 18%÷ 285人
3,695円

(まとめ)
  (1) 「人口規模」「高齢化率」は保険料基準額に影響しない。
  (2) 「後期高齢者割合」「1号被保険者の所得状況」は調整交付金により全国平均並となるよう調整
 →  市町村の保険料水準の格差は、以下の2要因の全国平均との格差による。
  (1) 要介護認定率
  (2) 1人当たりサービス利用額



各都道府県の在宅・施設別保険給付の状況と保険料水準の関係
(介護保険事業状況報告(月報)・15年9月サービス分) 各都道府県の在宅・施設別保険給付の状況と保険料水準の関係の図

 ※ 県名が枠で囲まれている県は、県平均の保険料月額(各県の公表値)が3,500円を超える県。



市町村における第1号保険料決定のプロセス

高齢者の介護保険料は、地域ごとの介護サービスの状況に基づき、被保険者や住民の意見を反映して決定される。

被保険者の意見を反映した計画策定作業(法第117条)

 介護保険事業計画作成委員会等の設置・被保険者代表の参加
 聞き取り調査、公聴会の実施
(「介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針」)
介護保険事業計画の策定(法第117条)

 各年度(5年間)における介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込み
 その確保のための方策等
計画上のサービス量に基づく給付費の見込み(法第129条)
介護保険料の算定(法第129条・令第38条)

<3年間の財政の見込>
(歳出)給付費、その他費用(安定化基金拠出額等)
(歳入)国・都道府県・市町村の負担、第2号被保険者の保険料(介護給付費交付金)
 →  第1号被保険者が負担する費用の見込
 →  保険料の算定
議会における介護保険条例の改正

介護保険料の決定(法第129条)



第1号保険料について

○ 第1号保険料は、所得段階別の定額保険料の仕組みとなっており、各市町村ごとに5段階または6段階の設定となっている。

段階 対象者 保険料
第1段階 生活保護受給者
市町村民税世帯非課税かつ老齢福祉年金受給者
基準額
×0.5
第2段階 市町村民税世帯非課税 基準額
×0.75
第3段階 市町村民税本人非課税 基準額
×1.0
第4段階 市町村民税本人課税
(被保険者本人の合計所得金額が200万円未満)
基準額
×1.25
第5段階 市町村民税本人課税
(被保険者本人の合計所得金額が200万円以上)
基準額
×1.5

 老齢退職年金受給の高齢者は、年収266万円までは市町村民税非課税。したがって、夫婦それぞれの年金がこの額未満(計 532万円)までは、市町村民税非課税となる。

 第2段階〜第5段階の該当者のうち、それぞれの段階の保険料を適用すると生活保護の被保護者となってしまう者については、被保護者とならないようより低い段階の保険料を適用する。

○ 基準所得金額(第4段階と第5段階の境界所得)については、第1段階と第2段階における軽減分と、第4段階と第5段階の増額分が均衡するように設定する

第1号保険料の図
 ※ 設定変更保険者数は15年4月1日現在。



介護保険の第一号被保険者の保険料の算定方法

<介護保険法第129条>
第百二十九条(抄)
 市町村は、介護保険事業に要する費用(財政安定化基金拠出金の納付に要する費用を含む。)に充てるため、保険料を徴収しなければならない。
2 前項の保険料は、第一号被保険者に対し、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより算定された保険料率により算定された保険料額によって課する。
3 前項の保険料率は、市町村介護保険事業計画に定める介護給付等対象サービスの見込量等に基づいて算定した保険給付に要する費用の予想額財政安定化基金拠出金の納付に要する費用の予想額第百四十七条第一項第二号の規定による都道府県からの借入金の償還に要する費用の予定額及び保健福祉事業に要する費用の予定額第一号被保険者の所得の分布状況及びその見通し並びに国庫負担等の額等に照らし、おおむね三年を通じ財政の均衡を保つことができるものでなければならない。

<保険料設定の方法>

保険料設定の方法の図


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