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平成16年 2月 25日

厚生労働省医薬食品局血液対策課御中

(財)化学及血清療法研究所

「血漿分画製剤の製造体制について」の問合せに対する回答
 平成16年2月17日の事務連絡で提起されました、「血漿分画製剤の製造体制について」に対し、弊所としては以下のように回答申し上げます。

−記−
第1 現に製造又は輸入している血漿分画製剤に関する新たな安全技術導入の予定に関する以下の事項。
1)新たな安全技術導入について一部変更承認申請をしているものがある場合は、その製剤の種類(「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律施行規則(昭和31年厚生省令第22号。以下「規則」という。)」別表第一の三の(1)及び(2)並びに(8)から(39)までに掲げる製剤の種類をいう。以下同じ。)
2)検討中のものがある場合は、その製剤の種類及びその検討状況

回答第1の1)
 新たな安全技術導入について一部変更承認申請しているものは無い。
回答第1の2)
 現在、弊所は既存の安全対策技術を拡充、或いは強化する形で血漿分画製剤の安全性の向上を図りつつある。具体的には、昨年新たにアルブミン製剤へのウイルス除去膜(15nm)の導入を開始した所である。更に、近年19nmのウイルス除去膜が開発された事に伴い、これまで35nmのウイルス除去膜を使っていた製剤について、19nmのウイルス除去膜に置き換えるための検討を行っている。今後19nmのウイルス除去膜の導入を予定している製剤は、静注用免疫グロブリン製剤(商品名:ベニロン)、血液凝固第VIII因子製剤(商品名:コンファクトF)、フィブリン糊製剤(商品名:ボルヒール)である。

第2 血漿分画製剤に関する以下の事項。
1)既に製造又は輸入している製剤の種類及び今後の製造又は輸入の方針
2)新たに製造又は輸入を予定しているもののうち、承認申請を提出している製剤の種類
3)新たに製造又は輸入を予定しているもののうち、臨床治験を実施している製剤の種類
4)その他検討中のものがある場合は、その製剤の種類及びその検討状況

回答第2の1)
 弊所は現在、別表第一の三の中の以下の13品目を製造している。今後もこれらの製剤を製造し、供給していく方針である。
 弊所で製造している製剤:(2)人血清アルブミン、(9)フィブリノゲン加第XIII因子、(11)乾燥濃縮人血液凝固第VIII因子、(13)乾燥濃縮人血液凝固第IX因子、(17)トロンビン(人由来)、(18)人免疫グロブリン、(20)乾燥スルホ化人免疫グロブリン、(23)乾燥ペプシン処理人免疫グロブリン、(26)抗HBs人免疫グロブリン、(32)乾燥抗破傷風人免疫グロブリン、(35)ヒスタミン加人免疫グロブリン(乾燥)、(36)乾燥濃縮人アンチトロンビンIII、(37)乾燥濃縮人活性化プロテインC
回答第2の2)
 製造承認申請中: (15)人血漿由来乾燥血液凝固第XIII因子
回答第2の3)
 臨床治験中の製剤: 該当する製剤は無い。
回答第2の4)
 前臨床試験中: バイパス製剤(血液凝固第X因子加活性化第VII因子)

第3 (国内の献血に由来する血液を原料として血漿分画製剤を製造している会員に限る。)現に国内の献血に由来する血液を原料として製造されていない血漿分画製剤のうち、以下1)から4)に該当する製剤の種類如何。4)に該当するものについては、その詳細如何。
1)製造技術の導入に特許料等、多額の資金が必要。
2)国内の患者数が少なく、利益が見込めない。
3)国内の献血に由来する血液では力価が不足。
4)その他

回答第3
 弊所では、上記1)、2)、4)に該当するために国内献血から製造していないという製剤は無い。しかしながら、「3)国内の献血に由来する血液では力価が不足」に該当するため、弊所で国内献血原料から製造できない製剤として、(26)抗HBs人免疫グロブリン、(32)乾燥抗破傷風人免疫グロブリンがある。

第4 (現に以下に掲げる製剤を製造又は輸入している会員に限る。)抗HBs抗体、抗D抗体又は抗破傷風抗体の力価の高い血液(現に確保しているものに限る。)について、そのような血液を持つ供血者の募集方法(対象者を発見する方法、供血を呼び掛ける方法、供血者を確保する方法等)。
1)抗HBs人免疫グロブリン
2)乾燥抗HBs人免疫グロブリン
3)ポリエチレングリコール処理抗HBs人免疫グロブリン
4)乾燥ポリエチレングリコール処理抗HBs人免疫グロブリン
5)乾燥抗D(Rho)人免疫グロブリン
6)抗破傷風人免疫グロブリン
7)ポリエチレングリコール処理抗破傷風人免疫グロブリン
8)乾燥ポリエチレングリコール処理抗破傷風人免疫グロブリン

回答第4
 弊所の製造する抗HBs人免疫グロブリン、乾燥抗破傷風人免疫グロブリンの原料血漿に限定して回答する。これらの原料血漿については、米国の採漿センターにおいて夫々の特殊免疫グロブリンを目的とした採漿プログラムがあり、供血者に各プログラムへの参加を呼びかけ、同意者にB型肝炎ワクチン、或いは破傷風トキソイドの接種を行い、抗体価が一定レベル以上に上昇した時点で採漿している。

第5 (1)から(3)に掲げる血液製剤代替医薬品について、以下の1)から4)に掲げる事項。
  (1) 遺伝子組換え活性型血液凝固第VII因子
  (2) 遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子
  (3) その他
1)既に製造又は輸入しているもの及び今後の製造又は輸入の方針
2)新たに製造又は輸入を予定しているもののうち、承認申請を提出しているものの種類
3)新たに製造又は輸入を予定しているもののうち、臨床治験を実施しているものの種類
4)その他検討中のものがある場合は、その種類及びその検討状況

回答第5の1)
 弊所は(1)、(2)、(3)に該当する製剤について、現在製造又は輸入しているものは無い。
回答第5の2)
 (1)、(2)、(3)に該当する製剤について、承認申請を提出しているものはない。
回答第5の3)
 (3)その他の遺伝子組換え製剤について、弊所はアベンティス・ベーリング社と共同で組換えアルブミン製剤の開発を進めている。現在第I相の安全性試験を終了しており、本年(平成16年)には第II相の臨床試験に入る予定である。
回答第5の4)
 (2)遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子製剤については、現在基礎研究の段階である。

第6 血漿分画製剤の製造・輸入販売事業の収支状況及び当該事業の将来展望如何。当該事業の収支状況を明らかにすることができない場合は、その理由如何。

回答第6
 1)血漿分画製剤の製造販売事業の収支状況
平成14年度に於ける弊所分画製剤部門の収支状況
 
  平成14年度
売上高 100%
売上原価率 56%
 (内訳)  
  原材料費 35%
  減価償却費 11%
  経費 5%
  労務費 5%
販売管理費率 17%
研究開発費率 17%
営業利益率 10%
*売上高(平成14年度):166億円

 2)当該事業の将来展望
 「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」に示された理念に基づき、献血による血漿分画製剤の製造と安定供給を確実に推進していく事が、弊所の当面の重要な事業課題であると考えている。血漿分画製剤の安定供給と新たな法規制への対応のために、一昨年、弊所は新たに血漿分画棟を建設し、昨年より実生産を開始した所である。日本に於ける血漿分画製剤の市場環境が厳しくなる中で、このような設備投資や種々の安全対策の費用が負担になっているが、弊所は製品ラインとして13品目を有しており、夫々の製剤のコスト・シェアリングや自給化の推進と効率経営で困難を乗り切りたい。

第7 その他血漿分画製剤の製造・供給体制に関する見解如何。

回答第7
 弊所としては、高品質で、安全性の高い血漿分画製剤が、出来るだけ多く国内の献血から効率的に製造され、日本の医療機関に充分量供給出来る事が重要であると考えている。また血漿分画製剤の供給については、現状のあり方で問題は無いと判断している。

以上


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