04/02/26 障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会第15回議事録       障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会(第15回)           日時:平成16年2月26日(木)10:00〜12:20           場所:厚生労働省5階 共用第7会議室  江草座長  おはようございます。ただいまより、第15回の障害者(児)の地域生活支援の在り方 に関する検討会を開催させていただきたいと思います。事務局から本日の委員の出欠状 況、進め方、資料などについての御説明をいただきたいと思います。  高原課長  今日は朝早くお忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます。本日の委 員の出欠の状況でございますが、今日は大谷委員、早崎委員、森祐司委員が御欠席で す。高橋委員と竹中委員は少し遅れて来られるということです。今日は久しぶりに大森 委員にも御出席をいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。本日の傍聴 の関係ですが、今回は多数の御希望をいただいておりますので、抽選をさせていただい ております。  次に本日の進め方ですが、お手元の次第と資料を御覧いただきたいと思います。ま ず、本日は議論に先立ちまして、この委員会で御了解をいただき、3つの作業班を立ち 上げ、検討を進めておりますので、事務局から開催状況などについて御報告をさせてい ただきたいと思っております。  本日は、支援費制度の施行状況につきまして、中間的にはなりますが、本年度の総括 的な状況の御報告をさせていただき、その上で16年度以降の事業運営についてお諮りを させていただきたいと思っております。それから、いくつか御報告ということで、障害 者の福祉的就労から一般就労への移行の促進などの議論を行うということで、雇用サイ ドと福祉サイドの連携を強めるため、つい最近、省内に検討会議を設けておりますの で、これにつき、事務局から御報告をしたいと思っております。  最後に、大熊委員から、週末に滋賀県の大津で開かれましたアメニティーフォーラム の資料の御提出をいただいておりますので御説明をいただきたいと思っております。以 上でございます。  次にお手元の資料の確認ですが、資料1が作業班の関係の資料、資料2が支援費制度 の施行状況と平成16年度以降の事業運営についての資料、資料3が障害者の就労支援に 関する省内検討会議の設置に関する資料、資料4が第14回検討会の議事概要、最後に、 資料番号はつけておりませんが、大熊委員からいただいた資料を付けております。資料 の不足などございましたら事務局の方にお申し付けください。  江草座長  ありがとうございました。それではまず本日の議論に先立ちまして、事務局から作業 班の検討状況について御説明をいただきたいと思います。  高原課長  それではお手元の資料1を御覧いただきたいと思います。3つの作業班を設けさせて いただいております。まず最初に、視覚障害者・聴覚障害者に関する支援の在り方の作 業班ということで、委員につきましては、そこに6名の名簿を出させていただいており ますが、有留委員、実質的には、芦田在宅福祉課長に御出席をいただいております。安 藤委員、実質的には、大杉本部事務所長に御出席をいただいております。板山委員、笹 川委員、高橋委員、山路委員でございます。取りまとめ役の議長役は、板山委員にお願 いをしております。検討状況でございますが、2月9日に初回を開き、これまでの議論 の整理や検討項目の確認を行いました後、2回目は一昨日ですが、委員以外の関係者か らのヒアリングもさせていただいて意見交換を行い、3月25日に3回目の作業班の予定 をいたしております。  次に2枚目ですが、知的障害者・障害児に関する支援の在り方作業班ということでご ざいます。有留、板山、高橋、山路の4委員につきましては3つの作業班に横断的に御 参画をいただいております。この作業班につきましては、小泉渉委員、佐々木信行委 員、それぞれ育成会の本人活動代表委員会、あるいは、ピープルファースト東京事務局 長ということで、当事者代表ということでお二方にお入りをいただいております。加え まして、本検討会の村上委員、室崎委員に御参画をいただいております。この作業班に つきましては、山路委員に議長役をお願いをしております。検討状況ですが、2月17日 に初回の会合を開いております。今後、3月3日、3月23日に開催を予定しておりま す。  3枚目ですが、全身性障害者を始めとする長時間の介護が必要な方に対する支援の在 り方作業班ということでございます。共通する4委員の他には、本検討会の太田委員、 大濱委員、谷口委員、中西委員、森祐司委員に御参画をいただいております。この3つ 目の作業班につきましては、高橋委員に取りまとめ役をお願いをいたしております。今 週2月23日に第1回を開催をいたしまして、3月10日、3月29日に開催を予定しており ます。この全体会には、4月に入りまして、それぞれの作業班の検討の結果を御報告を させていただくという段取りを予定いたしております。  江草座長  ありがとうございました。ただいまの御説明に御質問はございませんでしょうか。ご ざいませんようでしたら用意されております議題に従いまして進めていきたいと思いま す。それでは、支援費制度の施行状況と平成16年度以降の事業運営につきまして、事務 局から御報告をいただきたいと思います。  高原課長  それでは、お手元の資料2を御覧いただきたいと思います。支援費制度は障害者の自 己決定の尊重、利用者本位のサービス提供ということを基本理念として、昨年4月にス タートいたしました。1年近く経ったわけでございますが、その間のある意味で中間的 な総括的な状況の御報告をさせていただきたいと思っております。  特に居宅のサービスについて、当初の予想を上回るサービス利用の伸びが見られると いうことでございます。例えば、ホームヘルプサービスについて言いますと、平成14年 度までは、国で用意していた予算を使い切らずに残ってしまうという状況であり、平成 15年度は14年度に比べますと、事業費ベースで約3割増に耐えられる予算措置を講じて いたわけですが、実績の見込み、これは年度が終ってみないと確定的なことは申し上げ られないわけですが、現時点では14年度に比べて事業費ベースで6割から7割増という 見通しでございます。グループホームも相当大きく伸びているという状況でございま す。  この資料の4頁を御覧いただきたいと思います。これが各月ごとに見ました居宅生活 支援費の関係の実績の推移でございます。この数字につきましては、全国の各自治体か らいただいた資料をそのまま整理しております。現段階では、全国的に11月までの実績 を把握をいたしております。それで御覧をいただきますと、ホームヘルプ、ショートス テイ、デイサービス、グループホームという区分けになっております。  この各月ごとの数字でございますが、これは事業費ベース、全体の数字でございま す。したがいまして、単純に言えば、国費はこの半分ということでお考えをいただけれ ばと思います。併せましてホームヘルプサービスにつきましては、国庫補助基準という ものがあるわけですが、国庫補助基準による対象額を上回る分も含めた全体の事業費の 状況でございます。  これを御覧いただきますと、特に推移として見ますと、全体的には、制度が始まりま した4月から7月にかけて相当大きく伸びているという状況が見ていただけるかと思い ます。特に一番下にありますホームヘルプの事業費の伸びが大きいということが見てい ただけるかと思います。7月以降につきましては、月ごとの報告がございますが、全体 として見れば微増傾向ということが御覧をいただけるのではないかと思っております。 ちなみに、この11月までの実績額を単純に足し合わせてみますと、例えば、一番大きな 比重を占めるホームヘルプの事業費でございますが、約520億という数字になります。 国費ベースで言うと、この半分の額でございます。  現時点で、各自治体の方から12月、1月、2月も含めました年度の所要額の見込みを いただいておりますが、これを見てみますと、ホームヘルプにつきましては、単純に市 町村からいただいている額を足し合わせますと、約760億という数字、国費ベースで見 ますと約380億という数字でございます。これは、単純に10月、11月実績の73億とか72 億とか、この辺りで単純に同額で12月1月2月を伸ばしますと、740億という数字にト ータルがなるわけでございます。今、私ども各市町村ごとの11月までの伸びに比べて、 非常に伸びの見込みを大きく見込んでおられるところについては、特殊事情があるのか どうか、そういう個別のお問い合わせなどもさせていただいて、全体としての経費の伸 びを精査をさせていただいております。併せまして、ホームヘルプにつきましては、こ のうち国庫補助基準による対象額がいくらになるのか、そういう精査の作業をさせてい ただいております。  現状を申しますと、15年度の予算の執行といたしましては、15年度の当初の予算額が ホームヘルプにつきましては278億という数字でございます。利用の伸びが大きく見ら れるということで、省内の流用等で追加財源の工面の見通しが立っておりますのが、ホ ームヘルプだけで、今、70億強ということでございますので、全体として国費で言いま すと、ホームヘルプにつきましては約350億の予算額ということでございます。この予 算額を完全にこの国庫補助基準による必要額が100%賄えるのかどうか、これについて、 今、精査の作業をいたしております。  具体的な配分の方法などにつきましては、今後、地方自治体の皆さんの御意見なども 聞きながら最終的に作業を進めていくことになろうかと思いますが、いずれにいたしま しても3月の下旬には最終的な予算の執行をすることになりますので、この検討会に は、4月以降数字が固まりましたら、しかるべく御報告をさせていただきたいと思って おります。これが全体の居宅生活支援費の今年度の推移ということでございます。  1頁に戻っていただきたいと思います。これからこの実績について、いろんな角度で 分析をしていく必要があるかと思っておりますが、全体的な今の状況で申しますと、知 的障害者や障害児の利用の伸びが大きく、身体障害者の方についても1人当たりの利用 時間数の伸びが見られるということがございます。ちなみに、知的障害者のホームヘル プを実施していただいている市町村につきましては、支援費が始まる直前では、全国の 自治体数の約3割という状況だったものが、この4月には5割近くまで増えているとい うことで、おそらく現時点ではもっと増えていると思いますが、各自治体に非常に御努 力をいただいたということかと思います。  それから、2頁目のところを見ていただきますと、平成15年度のホームヘルプサービ スの支払い額の推移、当初の制度が始まった4月と、直近で私どもが把握しております 11月分で比べてみますと、事業費ベースで特に増加率が高いのが知的障害者と児童とい うことです。全体としては35%程度の増加率でございますが、知的障害者の場合は7割 を超える伸び、それから児童につきましては120%近い伸びという状況でございます。 身体障害者のホームヘルプサービスの1人当たりの利用時間数につきましては、平成13 年度の実績と平成15年の4月で見てみますと、日常生活支援の場合は5割以上の伸びが 見られるという状況でございます。  それから、サービス利用の現状を見ますと、地域差が大きいということがございま す。具体的なグラフの形で5頁目以降に整理をさせていただいております。例えば5頁 目ですが、これは人口1万人当たりで見たホームヘルプサービスの支給決定者数の割合 です。これを見ていただきますとお分かりいただけますように、一番高い滋賀県、これ が人口1万人当たり26.8人ということでございます。これに対して一番低いところは福 井県の3.4人ということで、ほぼ8倍近い差があるという状況でございます。  それから、その次の頁ですが、ホームヘルプを実際に利用されている方の数で見ます と、これも4月時点でございますが、一番多い大阪は1万人当たり16.8人という状況で ございます。一番低いのが宮城県の1.9人ということで、これは9倍近い差があるとい う状況でございます。これは4月のスタート時点ですので、現状では、また変わってき ている可能性は高いと思いますが、そのような状況でございます。  それから、7頁目以降の平均の利用時間数で見ますと、やはり東京都が高くなってお ります。一番高い東京都の約40.8時間に比べまして、石川県が一番低くて8.6時間とい うことで、5倍近い差があるという状況でございます。この辺りの要因につきまして は、これからいろいろと分析していく必要があるかと思っておりますが、サービス利用 のすそ野の広がりに、かなり大きな地域的な差が見られるということは、やはり、知的 障害者や障害児の方を中心に、まだまだ今後もサービス利用の伸びの潜在的な可能性が 高いということが言えるのではないかと思っております。以上が、ごくごく大雑把な今 年度の支援費制度の施行状況についての御報告でございます。  次は3頁にお戻りいただきたいと思います。こういう状況も踏まえました平成16年度 以降の事業運営ということでございますが、平成16年度、居宅生活支援費の関係の予算 につきましては大変厳しい財政状況の中で、対前年度比全体で見ますと、約17%弱の増 を確保して、今、国会で審議中の政府予算案に計上いたしております。特にホームヘル プサービスとグループホームにつきましては、それぞれ2割を超える、あるいは3割近 い伸びの予算を計上をいたしております。ちなみに別紙3、お手元の10頁を御覧をいた だきたいと思います。  平成12年度以降で見ました場合の予算額の推移というのを付けさせていただいており ますが、国の一般歳出は12年度以降、ほぼ横ばいという状況でございます。むしろ若干 減っている面もあるわけですが、ほぼ横ばい、その中で特にグループホームにつきまし ては、16年度で見ますと12年度との比較では2倍以上の予算額になっております。ホー ムヘルプにつきましては、ほぼ5割増ということで、こういう予算の伸びで見ますと、 かなり他の国全体の予算に比べまして、例外的に高い伸びを確保しているという状況で ございます。  3頁に戻っていただきますと、しかしながらということでございますが、支援費制度 がスタートいたしまして、サービスの利用が、先ほど見ていただきましたように非常に 大きく伸びているということでございます。そういう意味で言いますと、平成16年度以 降、ある意味で財源との関係で言いますと、極めて厳しい事業運営が見込まれるという ことで、私ども、今後サービスの質を確保しながらサービス利用の伸びに耐えられる仕 組みの導入や工夫をしていくことが不可欠であろうと考えております。  私ども、地方自治体の皆様といろいろ意見交換をしたり御意見をいただいたりしてお りますが、その中では、国庫補助を含めた安定的な財源の確保をきちんとすべきである という御要望に加えまして、事業運営上の工夫に関しましても、多くの提案をいただい ております。どういう御提案をいただいているかということで少し中身を御紹介いたし ます。お手元の資料11頁目でございます。  私ども、各都道府県、指定都市、中核市及び定点自治体ということで、日常的に意見 交換や情報交換をさせていただいている77の市町村の意見を聞いてみましたところ、延 べにしますと365件の具体的な提案をいただいております。特に数多く御提案いただい てるものを御紹介いたしますと、支援費の支給決定に当たって、支給量やサービス類型 の適用等に係る詳細な基準や専門機関を設けるべきである。これは36の自治体からいた だいております。おそらく専門機関ということで念頭に置いておられるのは、介護保険 の認定審査会のようなものであるのかなと思っております。  それから、同じく御意見が多い項目としては、利用者負担を応益負担に見直すこと や、負担額の引き上げ、あるいは負担額の上限の廃止をすべきだという御意見が多くご ざいます。それから、これは若干実務的な話になりますが、早朝・夜間・深夜における 加算額の算定方法が、今現在、サービスの利用の開始時点での一律の算定になっている わけですが、これを実際の提供時間による算定に変更すべきではないか、こういう実務 的な御意見も多くいただいております。それから、制度上位置付けられてないケアマネ ジメントをきちんと制度化すべきであるという、こういう御意見も多くいただいており ます。  あるいは、これも実務的な問題ですが、移動介護、家事援助等についても、身体介護 と同様に30分未満の単価を設定すべきではないかという御意見もいただいております。 意見交換をさせていただく中では、例えば、マンションの5階から1階に移動するとい うような短時間の利用サービスにも対応していくようなことを考えたらどうかという御 意見もいただいております。後は、移動介護の身体介護ありとなしの区分をなくして一 本化すべきではないかという御意見。この辺りは、かなり多くの自治体から御意見をい ただいております。  12頁以降にも、いくつか複数の自治体からいただいた御意見を列挙させていただいて おります。グループホームについて御紹介をいたしますと、12頁の下から6番目の項目 のところにございますが、グループホームの世話人の業務とグループホームでのホーム ヘルパーの業務を明確にすべきであるとか、1つ飛びまして、グループホームの程度区 分を2区分から3区分へと変更すべきではないかという御意見などをいただいておりま す。  こういう多数の御意見ですが、この御意見は制度改正を伴うようなものもあれば、運 用上の実務的な問題まで、かなり多岐にわたっているという状況でございます。私ど も、前回の検討会で基本的な考え方について御説明をさせていただき、意見交換をさせ ていただいたわけでございますが、別紙5の15頁を御覧いただきたいと思います。  基本的な視点ということでございますが、前回、大濱委員、あるいは、森祐司委員か らいただいた御意見を受けまして、少し文章表現は整理をさせていただいております が、基本的な視点としては、支援費の必要度に応じたサービス内容をより適切に評価す る視点、支援の必要度に関する客観性を高める視点、地域間格差のうち不合理なものに ついて是正する視点、より適切な利用者負担を求める視点、サービス提供の効率性を高 める視点、その他、一層の公平性の確保や制度運営の合理化を図る視点というふうに、 6つの基本的な視点から具体的な工夫を講じていきたいと考えております。  お手元の資料の16頁でございますが、平成16年度に実施をしていきたい事項として以 下の項目を整理をさせていただいております。まず最初はホームヘルプ、グループホー ムに共通する事項として、市町村に対して専門的な技術的援助指導等を行う更生相談 所、あるいは、既に予算化している障害程度区分の決定円滑化事業、これは、市町村で 障害程度区分の決定等のために、みんなで集まってケース検討の会議をするとか、そう いう会議について補助をするという事業で、現にある事業でございます。あるいは、都 道府県による巡回指導事業、このような予算を新たに16年度は計上をしておりますの で、これは当たり前のことかもしれませんが、こういうものを活用して事務の円滑化・ 適正化を図るということをやっていきたいと思っております。  それから、ホームヘルプサービスでございますが、1つは短時間の利用ニーズに対応 した30分未満単価の設定を考えてはどうだろうかということで、ただ、これにつきまし てはもう少し具体的な利用ニーズの中身も少し吟味してみる必要があるのかなと思って おります。  それから、2番目として、移動介護における単価差の区分、今、「身体介護を伴う場 合」と「身体介護を伴わない場合」ということで、約2倍の単価差があるわけですが、 要件が不明確で判断に困っているという声をたくさん聞いていますので、単価差の区分 の要件の明確化を図っていくということを考えてみたいと思っております。自治体から は、そもそも一本化を図るべきではないかという御意見もいただいているわけですが、 一方で、非常に大きな変更した場合に、事業所運営への影響というものも考慮する必要 があるのではないかということで、こういう要件の明確化を図る方向で検討をしたいと 思っています。  あるいは、知的障害者や障害児の特性やニーズに応じたサービス類型等で適切な工夫 があれば導入を図っていきたいということで、今、作業班でも知的障害者・障害児の分 野のサービスの在り方を御議論いただいておりますので、そういう作業班のお知恵や関 係者のお知恵をお借りして、いい工夫があれば、16年度に導入を図っていきたいと思 っております。  それから4番目として、身体介護の単価を現行の介護報酬の単価に合わせるというこ とです。ただし、障害者のサービス利用の現状や事業所運営の影響を考慮し、長時間利 用の場合の単価の逓減について緩和措置を講じる。移動介護、身体介護を伴うものにつ いても同様の見直しを行うということを考えてはどうだろうかということで、これにつ きましては、19頁のところに具体的な案を書かせていただいております。  参考として、右のところに現行の介護報酬の単価を載せておりますが、私ども、16年 度の見直し案としましては、この身体介護について、基本的に現在の介護報酬に合わせ るということを考えてはどうか。ただ御覧をいただきますと、介護報酬の場合、90分以 上の場合の間差が830円ということで、逓減がかかるような形になっているわけですが、 私ども、年末以降いろいろな関係者の皆さんの利用状況のデータですとか、実施要件の データですとか、いろいろ聞かせていただく中で、高齢者の介護保険の場合には90分を 超える利用というのが例外的だということに対しまして、障害者のホームヘルプの場合 は長時間の利用がかなり多い、3時間4時間という身体介護もかなりの割合あるという ことで、単純にこの介護報酬に合わせてしまいますと、事業所の運営に極めて大きい影 響が生じるということで、具体的なデータなどもいただいております。そういうことも 考慮をいたしまして、90分以上のところも1,820円ということで基本的にずっと同じ額 加算をするということを緩和措置として考えていったらどうかというふうに考えており ます。  これで15年度の支援費基準と比べますと、一定の縮減効果というのは見込めるのでは ないか。ただ、先ほど申し上げましたように、せっかく育ってきつつある事業基盤の芽 を摘まないようにという意味で、事業所経営に対する影響も総合的に考慮して、こうい う形でやってはどうかということでございます。  元に戻っていただきまして、17頁のところでございます。早朝・夜間及び深夜におけ る加算額の算定方法について合理化を図るということでございます。これは具体的には どういうことを考えているかというのは、20頁のところに出ておりますが、要するに、 時間帯によってその加算率が違うわけでございますが、これを現在は、サービスを提供 した開始時刻で一律に計算しているわけです。それを時間に応じて加算率を算定してい こうということで、事務の合理化を図るという考え方でございます。  次は17頁ですが、今、新聞報道などでも御覧かと思いますが、厚生労働省と国土交通 省の間で、いわゆる福祉タクシーについて、道路交通法上の位置付け、取扱いを整理を していこうという動きがございます。こういう動きも踏まえまして、今、介護保険でも 単価が設定されております車からの乗り降りの介助の単価というものを設定してはどう だろうかということでございます。  それからグループホームでございますが、今は、単価区分が2つの区分ということで あるわけですが、入所者の支援の必要度に応じたもう少しきめ細かな単価区分というも のを設定してはどうかとか、あるいは、適用する単価ごとに支援体制の明確化などを図 ることでサービスの質の確保を図ってはどうか、あるいは、そもそも支援の必要度をよ り的確に反映するような判断項目の設定なり、判断基準についても明確化を図っていっ たらどうだろうかということを考えております。  18頁のところですが、これは16年4月からやれそうな項目と、あるいは、実際実施し ていくにあたってもう少し実態の把握なり、検証をしたり、システムの変更作業などに 物理的に時間を要するものもございますので、関係者と調整の上、16年10月、年度後半 からの実施をメドに検討を進める項目と仕分けをしていきたいと思っております。  具体的に4月から実施をしたいと思っております項目ですが、先ほど見ていただいた (1)の(1)、これは既存の予算を活用して事務の円滑化・適正化を図るという、これ はごくごく当たり前の話でございます。後は、ホームヘルプの一番下のところでござい ますが、身体介護の単価の見直しを行うという項目、それから次の17頁の早朝・夜間等 の加算額の算定方法の合理化を図る、こういうことにつきましては、4月から実施をし ていきたいと思っております。  いずれにしても、先ほど自治体からの御意見も見ていただいたように、もっと検討し なくてはいけないことがいろいろとあるかとは思いますが、例えば、ケアマネジメント の制度化や利用者負担の応益化といったような項目につきましては、これはやはり制度 改正も必要になってまいります。  そういう意味では、当面、16年度に実施できるものは実施し、平成17年度以降、必要 に応じて制度改正を行うことも念頭におきまして、引き続き支援費制度について安定的 な運営に向けて工夫をしていきたいと思っております。今、並行して地方自治体の皆さ んの御意見も聞かせていただいております。来月の初めには全国課長会議も予定してお りますので、そういう場での意見交換というものも経まして、具体的に実施に移してい きたいと考えております。長くなりましたが、以上でございます。  江草座長  ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御質問はございませんで しょうか。  太田委員  日本障害者協議会の太田です。日本障害者協議会といたしましては、今後とも障害者 の地域生活の在り方について積極的に議論することはやぶさかではないという立場を表 明しつつ、ただいまの課長の御説明については大きな不満を持って伺いました。  まず以前の検討会におきまして、障害者の福祉として所要額は国ベースで確保したと いうような説明があったかと思います。そういう説明があったにも関わらず、20数億 円、現段階で不足しているというような報告は、以前の検討会での報告があたかもなか ったかのようにサラッと行われたことは、誠に如何なものか。もう少し丁寧に、前の発 言に対してどうなのかということをきちんと説明されるべきではないか。  その以前の報告を受けて、障害者団体の代表として日身連の森委員がお礼の発言をし ているところでございます。そういうような経緯がありながら、そういうプロセスはな かったかのような報告というのは非常に遺憾に思います。  そして、去年、私たち障害者団体が厚生労働省をお訪ねし、2週間にわたる話し合い の末約束をした、国庫補助基準という金額は保障するという点について言えば、その約 束とは異なる内容であるということについて、障害者1人1人の立場に立った時に、日 常生活や何やらで様々なしんどい思いをしながら、かつ、自分たちの、そして仲間の生 活を考えて自分を犠牲にして厚生労働省に訪れて、そして約束をしたという経緯等を思 い返して、その重みをきちんと捉えていただきたい。  その重みということについて、残念ですが今の御報告では感じることはできませんで した。2003年度はまだ2カ月残っています。やはり、私たち団体と政府、厚労省との約 束は引き続き守られるように努力されるように要望すると共に、それについて、私の質 問と要望に対する回答をまず求めたいと思います。  高原課長  ただいまの太田委員の御指摘でございますが、私も時間の関係で少し端折った説明を してしまったことをお詫びを申し上げたいと思います。その上で御説明をさせていただ きますが、まず太田委員から御指摘のあった昨年のやりとりの中でのお約束、それか ら、それを踏まえた国庫補助基準、これは私ども当然それを念頭に置いて今年度の予算 執行を考えております。  具体的には、先ほど御指摘のありました、いわゆる従前額の保障ということで、支援 費制度がスタートする直前の時点、平成15年3月の利用の状況はちゃんと確保するとい う、そういう意味での従前額の保障ということは、当然、私ども念頭に置いておりま す。これは、私が先ほど申し上げました国庫補助基準に基づく必要な額という中に入っ ております。まずこの点を御理解をいただきたいと思います。  ただ、それにしましても、市町村からいただいている、あるいは市町村から支出され ている事業費全体の中には、それをさらに上回る、国庫補助基準を上回る額が現実にご ざいます。この点につきましては具体的な数値については現在精査をさせていただいて おるわけですが、この部分につきまして、4月以降この検討会の大事な検討事項である ホームヘルプサービスの国庫補助基準の在り方について、見直しが必要かどうかという 御議論の中で具体的なデータも御提示をしながら御議論をいただきたいと思っておりま す。それがまず1点でございます。  それから、私ども、今ある国庫補助基準、先ほど申し上げました従前額保障も含めた 意味での国庫補助基準でありますが、やはり今年度の予算の執行につきましては、それ をベースに考えていくということが基本だと思っております。それに基づく所要額につ きまして、先ほど、現段階でお話できるだけの御説明をいたしましたが、3月下旬の最 終的な執行に向けまして、現在、最終的な額の精査の作業をいたしております。これに つきましては、各自治体の皆様とも意見交換をしながら適切な予算執行をさせていただ きたいと思っておりますし、この検討会にも4月以降きちんと御報告をさせていただき たいと思っております。  ただ、いずれにしましても先ほど申しましたように、国庫補助基準に基づく必要額と いうものにつきましては、本当に100%対応できるかどうか、それは、今後精査してい く作業の中の不確定要素はございますが、私どもとしては、概ね、ほぼ何とか確保でき る状況なのではないか。いずれにしましても、当初の予算額に加えまして、ホームヘル プで70数億の追加財源の工面をし、居宅生活支援費全体でいいますと、100億を超える 追加財源の確保、これは省内各局の御協力をいただいて、そういうメドが立ったわけで ございますが、そういうことで何とか今年度やりくりしているという状況でございま す。  江草座長  次は中西さん、どうぞ。  中西委員  10月にこの件については国庫補助基準を超える見込みになってきてるということで、 その超えた分をどう工面するかという話になって、超えた分について、塩田さんが頑張 って集めて来てくださったということでここに御報告があったわけですね。それで我々 の方からもお礼を申し上げて、その件は決着したと思ったわけです。その時の見積もり というのが、集める金額の目標は甘過ぎたのではないか。  ですから、市町村からあの当時、もう6月7月まで終わっていたわけで、その実績を 踏まえて、十分それ以上の伸びを含めて財源補填をされるということを我々は期待し て、それが達成されたということを聞いたわけですね。ですから、そういうふうな見込 み違い、スタートから見込み違いで、この支援費制度自体が非常に不安定なものにして しまっている。これは市町村に対しても非常に失礼なことだと思うし、市町村がこの支 援費制度に対する信頼感だけではなくて、厚労省に対する信頼感を失っていくという実 態だと思うんです。  2〜3日前に高崎コロニー閉鎖のテレビニュースで、その中で高原課長も出られて、 高崎コロニー閉鎖に伴って地域にグループホームを作ったり、地域にホームヘルプサー ビスを整備したりして、地域への移行をやっていくんだと、基本的な厚労省の方針です よね。その中でグループホームの肝心の金額は削られたということで、削られそうだと いうことで,えらい反対運動が起こったわけですね。  それに対する高原課長の答えがテレビの中で、我々は非常に驚いたんだけれども、こ の問題についてどういうふうに考えていたのかとテレビのキャスターが聞いて、高原さ んがそこで「この問題についてあまり考えないで,どういう根拠でこういうグループホ ームの切り下げたのか、あまり考えもなくやってしまった」というふうな答えをされた んですよね。この重要な、基本的な施設から在宅への移行の中で、減額について基本的 な考えを持たれないということでは困るわけで、このホームヘルプサービスについても 地域移行を考える時に親も非常に心配しているわけですよね。グループホームのお金は 大丈夫なのか、ホームヘルプサービスのお金は大丈夫なのかという時に、そこで特に考 えもなく減らしたということを言われてしまっては、我々これは在宅本当にやって大丈 夫なのという心配をしますよね。  そこのところはちょっと基本的な方針にのっとってやるのであれば、施設から在宅へ 戻る時のホームヘルプは確実に保障しますよ、グループホームのお金も確実に保障しま すよということがあって、我々ははじめて施設から出て来れるので、根本的な問題なの で、そこのところをきちんとお答えいただきたいと思います。  高原課長  一昨日の高崎ののぞみの園に関する報道に関してのお話がありましたが、2時間ぐら い取材を受けて、いろいろ全体お話をしたわけですが、そのうちのごく一部の私自身の 発言について、取り上げられておるということでございます。私としてはこれからの地 域生活を本当に力を入れてやっていこうということで、グループホームやホームヘルプ についても力を入れているということも御説明しましたが、全体のお話をする中で、特 定の部分だけが取り上げられたことについては、地域移行を進めていくことに対する、 ある意味で否定的で不安をあおるようなトーンの報道だったことについて、私自身は非 常に残念に思っております。  グループホームにつきましては、年末に私ども事務的な案として総額としては3割近 い額を確保しても、もっとそれを幅広く数を増やしていくことを合わせて考えたいとい うことで、重度の区分の単価についての引き下げということを御提案をしたのは事実で ございますが、提供されるサービスの質に関わらず、一律の引き下げをするというのは 問題があるということで、一旦その案については考え直すということで、それで今回お 示ししているようなサービスの質と量の確保と両面から工夫したものをグループホーム については16年度の見直し案として御提示しているわけでございます。この点について は、これから具体的なことは関係者の御意見も聞きながら、16年10月の実施を念頭 に置いて、夏に向けて十分検討をしていきたいと思っておるわけで、そこは、質と量と 両方をどうやって確保するか、真剣に考え取り組んでいくという考え方であることをま ず御理解をいただきたいと思います。  それから、前段の点につきましては、私ども9月までの実績として各自治体からいた だいたものをベースに、今年度の一定の見込みを立て、年末にいろいろ努力をしたわけ でございます。一口に居宅サービス全体として100億を超える追加財源の省内の財源確保 ということですが、これは本当に大変な数字でございまして、これは制度の施行の初年 度ということで、私ども、大臣の指示の下、官房各局はじめといたしまして、ある意味 で緊急避難的に最大限の努力を局長部長以下努力のもとで何とか確保をしたという、こ ういうものでございます。そこの点については十分に御理解をいただきたいと思いま す。  加えて、12月以降の実績につきましても、今、市町村からいただいた数字について精 査の作業をしているわけでございます。そのうち国庫補助基準とも照らし合わせて対処 していくということで、全体として見ますとほぼ何とか対応できるのではないか。ただ 100%かどうかという点については、これは精査をし、実際確定してみないと分からな いという点がございますので、これについては、また、きちんと御報告をさせていただ くということでございます。  江草座長  はい、大濱さん、どうぞ。  大濱委員  まず第1点ですが、工夫の内容ということで先ほど御説明がありました件についてで すが、この内容が案の段階で自治体の首長に配布されたという、そこら辺について非常 に不信感を抱いてるというのが現状です。これは何故あのような段階で配布されたの か。自治体に案の段階で配ったあとに、今になってこういう形で直してきた。自治体に はこの案のペーパーが全部行ってるわけですよね。まずそれが第1点です。  それから、先ほど太田委員、中西委員からいろいろありましたが、私たち11月末に足 りないというのは、国庫補助金を踏まえて足りないという意味合いでは捉えてなくて、 実績を踏まえると足りないという御説明を受けていたと思います。この国庫補助金につ いては、これは検討会の中でこの基準について見直すことになっていまして、そういう 文言があるわけです。  それを先ほど高原課長は、4月以降にやりますと言いましたが、本来でしたらもっと 早い時点でこの検討会の中で国庫補助基準の見直しをやるべきであったのではないか。 それで、国庫補助基準というのはどういうふうにすべきか。これは、1年間実績を取れ ということでなくて、これは、去年出されたペーパーによりますと、国庫補助基準は、 現在の平均的な利用状況を踏まえて設定するものであり、今後、支援費制度施行後の利 用状況を踏まえ、見直すこととするとなっています。  ですから、支援費が実際に走り出して早い時点でこの補助基準はどうするのか、検討 会で諮るべきであった。1年間の実績でないとダメだというのは、そんなことはないは ずです。今、急に国庫補助基準という数字が出てきたりとか、どうも検討会のこの場を あまりにも意味ない場所にしているのではないか、無視しているのではないかという、 そういう疑念を抱いているということです。  自治体に対して足りないということをペーパーで配られて、支援費は財源が非常に問 題があるということは前から聞いております。ただ、今年度については大臣の発言でも 確保できました、塩田部長もほぼ確保できたんだというような御発言があったわけで す。今後、財源論は非常に問題になるのかもしれないですが、すでに確保できたにも関 わらず、これがまた、今、足りないと言っている。このようなことは首長との信頼関係 ももちろんですが、障害者団体との信頼関係、障害者との信頼関係を失わせるようなも のになるのではないでしょうか。  こういうことがずっと続いていくということになりますと、本当に介護保険統合議論 そのものにいろんな影響を与えかねない。私たちが、今、心配しているのは、介護保険 の統合議論の中で、これが老健局主導でいろいろ議論がなされているということに非常 に疑念を抱いています。この件は障害保健福祉部主導でやっていただきたいということ は前から何回か申し上げたいと思っていました。検討会の場で持ち出すのはどうかと思 っていたのですが、今日は改めてこれは言わせていただきます。以上です。  高原課長  大濱委員の御指摘は大きく分けて3つあるかと思います。まず、案の段階で自治体に 配るのはおかしいのではないかという御意見だったかと思います。これは私は関係団体 の皆さんの御意見を聞いて相談することも大事だと思っておりますし、ただ、この制度 を運用して実際に運用していただいている現場の自治体の御意見を案の段階で聞くとい うのは、これは当たり前の話だと思っていまして、同じタイミングで並行して御意見を 聞くことは、私は、当然の進め方ではないかと思っております。そういう意味で、これ まで同時並行的に御意見を聞き、取り入れるべきところは取り入れ、見直すところは見 直すということで作業をしてきているつもりでございます。これが、現段階までのいろ いろな調整の御意見を踏まえた結果のもの、現時点での案が、今日お示ししているもの だと御理解をいただきたいと思います。  それから、第2点目のところでございますが、現行の国庫補助基準の在り方について 見直す必要があるかどうか検証する、これがこの検討会の大切な役割なわけですが、こ れは、やはりある一定のデータに基づいて、それからそれを最低限の分析もして議論を していただくということが、やはり必要なのではないか。これが、もちろん丸々1年間 のデータが完全に出ないと議論が始められないということかどうかは別問題だと思いま す。現時点で言いますと、今のこの2月末の時点で言いましても、実績としては昨年の 11月末のデータまでしか網羅的には取れてないというふうなことでございます。  一定の評価というか、分析も加えて、今日御報告いたしましたけれど、私としては、 もう少し整理をした上で、ただ、4月以降できるだけ早いタイミングで、この検討会で 現行の国庫補助基準について御議論をいただくという段取りで進めさせていただきたい と思っております。いずれにしましても、今年度の予算の執行につきましては、私ど も、昨年のお約束を踏まえた国庫補助基準に基づく必要額、これは何とか確保したいと いうことで、昨年後半、本当に努力をさせていただいたつもりでございます。これにつ いては繰り返し申しませんが、それが第2点でございます。  それから第3点は、介護保険との議論が、老健局主導で進んでいるのではないかとい うふうな御指摘もございましたが、私ども、例えば、本当に障害の重い、地域での生活 を支えていく上で本当に大変な方、特別なニーズを持っている方に対しては、これは、 介護保険による標準的なサービスだけではなくて、やはり特別の対応をこれから真剣に 考えていき、議論をしていきたいということを今週の初め、塩田部長、私も、別の場で そういうことを申し上げております。そういう部分につきましては、今後、具体的な議 論を進めていく中できちんと整理すべき点は整理して、やっていきたいという気持ちで 臨んでおります。  江草座長  それでは次は森さん、どうぞ。  森貞述委員  私は、この会に、将来とも持続可能な制度というものをどうしたら作れるかというこ と、これを期待をして参加をさせていただいております。今、それぞれの当事者の団体 の方たちから、ある面では指弾をするようなことでありましたが、努力をしていただ く、それをやはり良しとして、では、どうしたらやれるかということをみんなで考えて いくというのが、私は、この検討会だと思います。  そういう中で今回、例えば、三位一体改革の中で地方財政、いろんな意味でこれがま だ初年度です。これで2年3年と続くわけです。そうすると、現場を預かる者として は、どうしても財源論の問題というのは避けて通れない。私は、持続可能な制度を作っ ていくためには、やはりそういう問題を皆さんで議論をしていただきたいというのが率 直な気持ちです。  ですから、いろんな意味で今まで、今日は15回ですが、積み上げてきた、そして、 今、作業班がいろんな意味で精力的に問題点を洗い直していただいておる、そういうも のの中で結果としてどういう方向がいいものかということをやはりやっていただきた い。それが私自身の率直な気持ちですので、一つよろしくお願いいたします。  江草座長  では有留委員、どうぞ。  有留委員  東京都でございます。東京都は26市23区、それから町村を抱えていまして、その自治 体の声も踏まえましてちょっとコメントを出したいと思います。今回、国庫補助金の配 分額が示されましたが、最終的に東京都では実際の実績に対して12億円足りない、市レ ベルで人口10万規模300億円ぐらいのところ、ほとんど経常収支率というのは義務的経 費が96〜7%で、そういう中で1億円という財源不足が市によって生じているという実 態がございます。  先ほど、案の段階でいろいろ示された、それはいいんですが、私どもが問題にしてい るのは、案の段階で明確な所要額、必要額が満たされたというのは何かというのが示さ れないまま、団体さんも自治体も、あるいは学識者の皆さんもそうかもしれませんが、 本当に実績に基づいた必要額が確保されたというふうに理解をして私もお礼を申し上げ たと思うんですが、蓋を開けてみたら、年が開けて区市町村が使ってしまった後、従前 額の保障というのは15年3月の従前額ですよ、そこまでは国庫補助基準を超えても認め ましょう。ところが問題なのは4月以降の支援費制度発足以降の伸びですから、確か に、案の段階で御相談をいただいたということはいいんですが、本当に必要額を確保し ましたという大臣コメントなり、この検討会のコメントで、肝心の大事な要件を示され なかったことによって、私ども都議会、区市町村に説明しましたけれども、ちょっと言 葉はきついのですが、これは騙し討ちじゃないかというような声を聞いております。  私ども再々主張してきましたように、やはり東京都は、長い時間をかけて基盤整備を 続けて高い水準でやってきました。高きを削って低きに流すという発想が支援費制度の 理念なのかどうかということを改めて申し上げたいと思います。ですから、森委員がお っしゃったように、きちんとした持続可能な制度を作るための議論、中長期的な財源論 をどうするのか、そういう検討をする必要があるし、大事だと思います。  その点については東京都はもうすぐ介護保険に関する提言を、大森先生が書いてらっ しゃいますが、その中で盛り込んで出す予定でございます。やっぱり当面の対応とし て、最大限ギリギリの努力、70億とか、努力をされたと思うんですが、なおギリギリの 努力を示すことが、国と地方自治体の信頼関係の構築の上で非常に大事じゃないかと思 います。ちなみに東京都は事業費の伸びに関わらず、全額について実績に基づいて東京 都の応分の負担、4分の1ということになりますが、それについて執行するように考え ております。  それから2点目、団体の方は全然言われないんですが、施設整備費の問題がありま す。16年度の施設整備費の国庫補助、協議が始まっておりますが、大変厳しい状況にな っております。国の予算が1,300億円で、都道府県全体で需要が2,200億ある。なおか つ、国予算の半分の700億円が前年度からの継続ということになります。今までは、5 か年連続で補正予算を組んで、東京都でもここ数年採択されなかった例はない。  東京都では地域生活を支えるサービス基盤として、障害者地域生活支援緊急3か年プ ラン、都独自事業も含めて8分の7助成という高率の補助率で地域サービス基盤の整備 を進めております。しかしながら、これも1月の段階でこういう状況で、地方のサービ ス基盤の整備の動きが崩壊しかねないような部分が施設整備の面でも来ているというこ とを御報告させていただきたいと思います。  例えば、単年度事業原則とか、いろいろ言われておりますが、大都市で3〜4階建 て、土地が高いわけですから立体的な利用をしなければいけない。単年度事業で済むわ けはないんですね。そういうことについて単年度事業が原則だとか、在宅サービスの基 幹的なサービスであるホームヘルプサービス、それから、具体的に、地域生活を支える 基盤の社会福祉整備費の両面において支援費制度、初年度において財政的に破綻すると いうような状況に対しては、やはり厳しく受け止めていただきたいと思います。  何回か申し上げておりますが、昨日の読売新聞も出ていますように、東京都は全障害 者施設を民間移譲する、通所施設についても11か所ございましたが、これも民間移譲と いうことで、サービスの向上と財政効果の両面から上げていく、こういう財源を地域支 援に向けていくという形で自助努力をしているわけです。私どもの障害者施設には、 1,400人の職員が働いているんです。その職場を奪う形になるわけです。そういうよう な知恵と汗と血を流すような努力を国においてもしていただきたい。これは、全区市町 村の声を代弁として申し上げておきたいと思います。以上でございます。  高原課長  ただいまの有留委員の御指摘でございますが、まず第1点の地方自治体、それから関 係団体、きちんと本当に丁寧に説明をすべきではないかという点については、私ども、 その御意見を真摯に受け止めて、これまで以上に丁寧な説明責任を果たしていきたいと 思います。  それから第2点でございますが、国庫補助基準の問題でございますが、1人当たりの 平均利用時間数、先ほどのデータを見ていただきましたが、やはり東京は、非常に平均 利用時間数も長いわけですね。ある意味で、これまで本当にサービスの提供基盤も整い 進んでおられた地域だろうと思うわけですが、では、これを国全体としてホームヘルプ の国庫補助基準の中でどういうふうに対応していくのか、これは、今後の国庫補助基準 の在り方としてまさにこの検討会で御議論をいただくべき項目だと思っております。今 年度の実施につきましては、現在の国庫補助基準で、これは、お約束の従前額保障も含 めた国庫補助基準という意味でありますが、その基準に基づいて実施をしていくという ことだと私は思っています。  それから、3点目に施設整備費の話がございましたが、これは、この場であまり議論 をするようなテーマではないと思っております。すでに東京都からは、私ども、厚生労 働省にお話もいただいておりますし、御趣旨は十分承っておるつもりでございます。  江草座長  次は佐藤さん、どうぞ。  佐藤委員  今日、この支援費制度の施行状況と平成16年度以降の事業運営ということで、具体的 な提案もあったわけで、一部4月から実施をしたいというものもあるわけですが、それ に入るための議論としては一部必要かと思いますが、私は、厚生労働省寄りと思われる のは大変心外なんですが、あえて申し上げますが、このギリギリ頑張れ、ギリギリ頑張 りますということを何度もこんなやりとりをしていても仕方がないと思いますので、こ んなことをしていたら、誰かが最後に死んじゃうんじゃないかという心配になるぐらい に、やや不毛になりつつあると思います。  そこは、とにかくギリギリ頑張るということで、この制度自身がもう最初からうまく いかないんじゃないかということは、かなり共通の認識で、次のステップとしてどこに 行くかということが1つの議論だろうし、もう1つは非常に限られた中で、まさに運営 上の工夫をしながら新しい展望が出てくるまでに、すっかり、地域生活支援なんてもう ダメなんだというふうに白けきってしまわないために、不十分な支援費制度であっても 何とか頑張って、地域生活支援という灯を消さないということのために、とりあえず、 向こう1年2年の事業運営をどういうふうにしていくかということに関して議論をすべ きではないでしょうか。でないと、これは責任がどうだとかこうだとか、私自身は、こ の段階で今の障害福祉課を責めても、もう最初から間違っていたと言えば、私の認識は そうなものですから、ちょっと今の議論の仕方に時間のこともあるので、座長の方でお 考えいただければと思います。  京極委員  今の御発言と大体同じなんですが、この支援費制度がスタートした時点で、財政的な 制約というのを前提にスタートしていたと思うんですね。これは、財政状況は非常に厳 しいということは当然だったわけで、私も障害者部会では、厚労省に対して、スタート 時点の財政的な確保ということをきちっとやらないと、とてもスムーズなスタートはで きないということを申し上げたわけですが、実際には、財務省という相手のあること で、どれだけ確保できるかというのは、本当にこれは力業で、私は、相当努力されたと 思います。ただ、関係団体の方、いろいろ御批判があったようですが、これは神のみぞ 知ることで、やってもできないことはあるわけなんで、ある程度ギリギリ頑張るという ことで、当面については誠意ある回答と私は受け止めたいと思います。  しかしそうは言っても、当面のことだけじゃなくて、将来的に毎年毎年こんなことを やっていて本当に展望があるかどうか。これは団体の方々もそうだと思うんですが、は っきり言いますと、ない。したがって、どういう方向がいいかというと、いくつか当面 差し当たりできることについては今回提示されているわけで、これについてこの中で議 論して、できるところはやっていこう。しかし、長期持続的にやれる道としては、もう ちょっと幅広い観点から考え直した方がいいんじゃないかという御議論もありましたの で、そういう点で少し整理をして、中身に入っていったらどうかと思います。  江草委員  では、次は村上さん、安藤さん、笹川さんに発言していただいた後、塩田部長にそれ らをお聞きいただいた上でのお話をしていただくということにしたいと思います。それ では村上さん、どうぞ。  村上委員  私も同様の意見を持っておりました。3つのことがこれまでも明らかになってきたと 思います。1つはもう予算はどんなに集めてきても限られているんだ。それから2つ目 はサービスを必要としている方はまだまだいらっしゃって、なおかつ1人当たりの利用 時間数は、まだまだ十分でないということが分かってきました。それから3つ目です が、だからといって事業者の収入を減らしていっても、今度はサービス提供基盤が成り 立たなくなるという、この3つのことが明らかになったということは皆さん共通認識さ れたことだと思います。それと、まだまだ使ってない方もいらっしゃるということも分 かってきました。  そうすると、更により多くの人々にサービスを利用していただいて、そういうことで 地域生活を安心して送っていただきたい、その思いはどなたも一緒だと思います。そう したことからすると、もうこれは、当面とにかく、まずどうやってこれを乗り切るかと いうことで、利用の仕方の工夫だとか、そういうことに入っていかないといけないんじ ゃないか。それを話しつつ、先ほど京極委員さんもおっしゃっていたように、もっと目 先のことだけじゃなくて、大きな仕組みも考えていく必要があるんじゃないかというふ うに思いました。  笹川委員  まず、この年度はあと1カ月ですから、一つ最大限努力をしていただいて、我々利用 者に不安を与えないように、是非、お願いしたいと思います。それから、16年度以降の 取組で先ほどいろいろ御提案がありました。残念ながら私がこれまで要望してきたもの はほとんど入っておりませんが、単価の見直しだけは、是非、お願いをしたいと思いま す。各自治体からも一本化というような声が出ておりますし、このままですと特に視覚 障害者を中心とした移動介護はもう完全に行き詰まってしまいます。ですからこの点 は、是非、お願いしたい。その中で1つ、少なくとも1級、それが無理であればいわゆ る介護保険でいう40歳以上の特定疾患と65歳以上の1級については、身体介護の対象に していただきたい。そうしませんと事業はもう成り立ちませんから、この辺は、是非、 1つ検討していただきたいと思います。以上です。  安藤委員  安藤です。障害者福祉の実際の窓口は厚生労働省であるのですが、厚生労働省だけじ ゃなくて政府全体の施策の中で考えていかなければならない面もあると思うんです。 今、三位一体の改革で国庫補助金の削減とか、地方交付税の見直しなどが行なわれてい るわけです。その中で、16年度予算について、地方自治体でも深刻な様子を見せている わけですね。したがって、この資料の11頁ですが、利用者負担の応益化や負担額の引き 上げ、負担額の上限廃止を示すというような提案が34自治体もあるということに衝撃を 受けています。このようなものは、16年度予算について地方自治体の方でも対応が非常 に困難であるということです。  このような深刻な状態をどう克服するか。それは高原課長さんがいろいろ話していま すが、厚生労働省だけではもう限界ではないか。政府の一体的な解釈というものを考え ることができないかということです。また、今の支援費の予算についても伸びが大きく て、もうこれ以上対応が困難な状態が報告されましたが、17年度以降については、制度 そのものの改革に向けて検討が必要というお話です。  その中で、この前も朝日新聞に介護保険との統合とか、利用者の時間については介護 保険と性格が違うので、今の時点で見ている性格そのものを検討したいというような、 実際に厚生労働省が検討を始めているというような記事が出ているわけですね。そのよ うな基本的な問題を国で討論すべきではないかと思うんですが、厚生労働省も政府全体 もこの中で今はこれしか選択がないんだというような、きちんと踏み込んだ提案で討議 しないとまとまることは非常に難しいのではないかと思うんです。  江草座長  ありがとうございました。それでは、ただいままでの御意見をお聞きいただいており ます塩田部長からお話をいただきたいと思います。  塩田部長  委員の皆様から、いろんな立場から貴重な御意見をいただきましてありがとうござい ました。いずれも私どもに対する叱咤激励の御意見として受け止めたいと思います。支 援費制度についての私の認識は、1人1人の障害者の方が地域生活をできるような仕組 みをどう作るかという、これが支援費制度の究極的な目標だと思います。  そういった観点で、実際にすでに地域で生活されている1人1人の障害者、あるい は、これから地域で生活しようとする障害者の方々、それから現場で苦労されている市 町村の皆さん、それから事業者の方々からすれば、今の支援費制度の現状、あるいは財 源確保の状況等々、いろいろまだまだ不満足というか、課題が山積みされていると思い ますし、私どもの認識もそのとおりでございます。  それで15年度、今年の財源不足の話ですが、これは、ざっくばらんに申し上げまし て、皆さんの協力をいただきましたが、政府の一員としてはやってはいけないこともや り、ギリギリの努力であって、省内には批判の声がゴウゴウだと聞いております。大臣 はこのようにおっしゃいました。中の会議の話ですが、「予算で決められてないこと を、ここまで、国会の承認も得なくて100億円を超える額を集めることは許されるか。 」。そこの危険を超えてまで我々はやったわけでありまして、今年の100億円という額 は本当にギリギリの額であります。これ以上望むのは、少なくとも今の日本の法律制 度、予算制度の下では不可能だと思います。  ですから、私どもの認識は、この与えられた財源を、今年度の話としてはいかに公平 に全国津々浦々の市町村に配分するかというのが、今現在、私に与えられているすべて であるということです。問題は、森市長が言われたように、これから支援費制度が目指 した目標を本当に、継続して実現していくためにどうするかということを考えることだ と思います。  私もこのポストについて半年になりますが、この前、浅野知事に会ったら、半年も経 ってまだ何も出ないのかと叱責されました。その感想を申し上げますと、今の支援費制 度は、理念は非常に優れていると思いますが、残念ながらその理念を中長期的に継続し て実現するためには、財源の部分、エンジンの部分が力不足ということだろうと思いま す。このエンジンの補強なり、強化をしない限り、いくら理念を繰り返し述べても、実 際の理念は、やはり財源、エンジンなくしては実現しないわけでありまして、このまま 毎年、例えば、来年度もこんな議論をするのであれば、おそらく本当にこの支援費号と いう車はエンストを起こすことは目に見えていると思います。  私も30年間行政官をしておりますが、今の状況が続けば、この支援費制度は行き詰ま ると言わざるを得ないと、これは、私の行政官としての見立てでございます。それにつ いてはいろんな批判もあると思いますが、私自身は、障害保健福祉部長として、何とか この支援費のエンジン部分の強化を1日も早くしないと、せっかくの支援費のねらいが 実現しないと思っております。  そこで介護保険の議論がありましたが、介護保険をそのまま支援費に導入しようと か、あるいは、介護保険にそのまま障害者サービスを統合してもらおうという観点から 議論をしたいと思っているわけではありません。介護保険にはいくつか優れた考え方が 私はあると思っています。1つは、市町村の責任というのが非常にはっきりした制度で あるということであります。市町村が計画を作ってサービスについて責任をもって提供 するという仕組みが、制度としてできていると思います。  それから2つ目に優れているのは、公費と保険料のセットということでありますか ら、いろんな財源を、いろんな関係者が、自分自身の問題として持ち寄るという考え方 のもとに制度が設計されているということでございます。  それから3番目は、皆さん関係者も含めて苦労しているのは、支援費制度の在宅サー ビスの部分が、いわゆる裁量的経費になっている。法律では予算の範囲内で補助できる としか書いてくれていないわけです。厚生省が当時そういう法案を提案したので、責任 は厚生省にあると思いますが、そういう法律制度しか、私たちは、今、与えられており ません。それから、予算は国会で議決した予算しか与えられていないわけですが、介護 保険は、少なくとも制度を何年間に1度見直して、その期間については、必要なサービ スにかかった経費については国が責任を持って負担をするということが制度として確立 されております。  それから、介護保険になれば、今、支援費の対象になってないような精神障害者も含 めて、ユニバーサルな最低限のケアの保障はできるのではないかと思っています。そう いった介護保険の優れた理念とか仕組みを、どう障害者福祉サービスに入れ込むかとい うのがこれからの議論のポイントだと思っております。  その際、介護保険の優れた考え方を導入するに当たって、支援費制度は、障害者の方 が地域生活ができるかどうかという観点から始まったわけですから、私たちの考え方の 物差しは、介護保険の枠内でそういうサービスを提供できるものになるのかどうか、仮 に、介護保険という制度の中で障害者の方が地域で生活するサービスの水準を確保でき ないならば、それと組み合わせの補完するシステムを合わせて考えていくというような ことが重要なことであります。  いずれにしても、これから議論は本格化しますし、ある意味では、議論の期間は限ら れているわけでありまして、そういった中で、過去の私たちへの批判は甘んじて受けま すけれども、これからどうすれば支援費制度のねらいを本当に実現できるかという観点 で、率直な立場で、是非、御議論をしていただきたいと思います。  それから、大濱さんの意見には全く賛成でありまして、これから高齢者の介護保険を 議論する立場の人たちと我々は議論しなければいけないわけでありまして、障害者福祉 の充実を願う人たちは気持ちを1つにして力を合わせて、是非、高齢者の介護保険の立 場から議論する人たちとやっていけるような体制を1日も早く作っていただきたいと思 います。  それから、この検討会は介護のケアの部分を中心の議論をしていますが、後ほど村木 課長からも御説明申し上げますが、障害者が地域で生活していくためには介護の話だけ ではなくて、就労とか住まいとか、いろんな問題がございます。これについては、来週 から社会保障審議会の障害者部会の方でも議論してもらうつもりでおります。いずれに しても、これから半年1年というのは結構正念場ですので、是非とも前向きな観点から 議論をしていただければと思います。  江草座長  ありがとうございました。ただいまお話がありました村木課長から、障害者の就労支 援に関する省内検討会議について御報告をいただきたいと思います。  村木課長  それではお手元の資料3を御覧いただきたいと思います。ごく簡単に御説明をいたし ます。部長からも申し上げましたように、このケアの議論と並んでもう1つ大きな車の 両輪として大事なものが障害者の就労支援であろうというふうに思っております。2月 18日、省内に、厚生労働審議官をトップとする検討会議を立ち上げました。検討会議を 立ち上げるに当たっての問題意識でございますが、たくさんの障害者の方々が企業での 就労、あるいはその他の働く場を求めていらっしゃる。しかしながら現実には福祉的就 労から一般的就労へ移行する方というのは年に1%ぐらいしかいないという状況でござ います。また、盲、ろう、養護学校から御卒業の方の進路を見ると、就職ができるのは 2割に過ぎないという現状でございます。  こういった現状を改善いたしまして、福祉的就労から一般就労への移行の流れを早く 作りたいということで、雇用の分野と福祉の分野の連携を深めるために制度横断的な省 内の会議を作ったものでございます。厚生労働省内の職業安定局、職業能力開発局、そ れから社会・援護局3局が中心になりまして議論を進めていくつもりでございます。  主な検討項目でございますが、その3のところを御覧いただきたいと思います。1つ には雇用支援策、企業で働く方をいかにサポートをして、そこに定着をしていっていた だくか、企業で働く人を増やすかということ。それから、2つ目に働く場の拡大でござ います。在宅就労や、その他幅広に働く場の確保、拡大の方策を検討したい。3つ目、 福祉的就労から一般就労へ、今、福祉の場から一般就労へ年1%しか動いていかない、 このパイプを格段に太くしたいということで、そのための施策。この3つについて検討 していきたいというふうに思っております。以上でございます。  江草座長  ありがとうございました。大変発展的といいましょうか、希望の持てるお話だと思う んですが、何か御質問はありませんか。  山路委員  1点、今の話で伺いたいのですが、非常に結構な話だと思うんです。ただ、一般就労 への重要性ということを認識されて、こういう形で作られたということを評価したいと 思うんですが、その一般就労の促進については御承知のように障害者雇用の促進法がご ざいます。現実にこの促進法ができて、おそらくもう20年以上経っていると思うんです が、この促進法で決めた法定雇用率と実際の雇用率との乖離があって、それがなかなか 埋まらない。その埋まらない部分について、企業は納付金という形でお金を払って、何 とか堪えてくださいという話になっているわけですが、それが本当に有効に機能してい るのかどうかということを改めて見直していただきたいと思うんです。  本当に法定雇用率というならば、お金ではなくて、その法定雇用率に達してない企業 に対してはきちっとしたペナルティを課すというふうな形で、具体的な罰則なりペナル ティを強化していく方が雇用率のアップということにつながるのではないかというふう に私はかねがねから思っておりまして、その基本的な検討も是非お願いしたいというこ とが1点です。  それからもう1点、ちょっと余計なことを申し上げますと、これだけ雇用と福祉の連 携の重要性ということを言われるのであれば、厚生労働省の中でなぜその局が分かれて いるのか。障害者雇用の対策課は旧労働省の職業安定局であり、障害者福祉については 社会・援護局になっているという、2001年1月の厚生労働省の合併以前の体制をなぜ維 持されておられるのか。むしろ制度横断的な調整というのが、一本化されれば必要なく なるのではないかということをあえて申し上げたいと思います。以上2点であります。  村木課長  1点目の法定雇用率が達成をされていない現状をどうするかという問題でございます が、ペナルティを強めるというやり方、北風のやり方もございますし、雇えない企業に どういうサポートをするかという太陽施策もございましょうし、両面からきちんと省内 の議論を深めたいというふうに思っております。  それから組織でございます。今、申し上げたように職業能力開発局、それから職業安 定局、それから私どもの社会・援護局がございますが、組織の組み方はこれが正解とい うのはなくて、いろんなやり方があろうかと思います。障害者の対策をやるところは、 雇用の一般対策をするところから切り離し、みんなの能力開発をするところから切り離 し、障害だけで組織を作るということが、プラスの面とマイナスの面と両方あろうかと 思います。その点も考えながら今の体制が施策を円滑に実施していくためによくないと いう結論が出れば、そういうことも検討していくべきかというふうに思っております。  江草座長  ありがとうございました。次は高橋さん、どうぞ。  高橋委員  ちょっと一言、やや評論家的で、ここで発言することが適切なのかどうかは分からな いのですが、私は、障害者雇用の問題を障害者雇用としてだけ議論する視点では障害者 雇用って進まないと思います。これは、法定雇用率の問題とまさに関係していて、実は これも助成の問題と全く同じだと思いますが、大企業の取締役なり社長に重度障害者が 現れて当然、あるいは、日本の行政組織の長に重度障害者がなる。これは、スウェーデ ン、ヨーロッパ等は当たり前でございますが、ここで拝見していて、大企業の取締役に なっておかしくない方々が現実にたくさんいらっしゃるわけです。  そういうプロモーションの問題、日本の企業風土、障害者を排除して、障害者は特別 の雇用の対象で、恩恵的雇用の対象であるという、そういう風土。これはもう何年の話 じゃなくて何十年の話でございます。そこにチャレンジするぐらいの気概を持っていた だかないと、これは障害者差別禁止法の問題と関わると僕は思っておりますが、これは まさに厚生省ではなくて、やはり内閣、だから内閣府に障害者施策担当があるといえば それまでですが、そういうことをやるような議論の場があるとは聞いておりませんし、 まさにその問題が、実は企業、雇用者側の障害者問題に対する基本的な認識の、これは 例の介護保険の議論等も含めまして、我々には関係のないものだという、そういう認識 がございますが、そこら辺にも是非チャレンジしていただかないと問題は解決しないの ではないかというふうに、これはやや評論家的な発言で大変口幅ったいのですが、障害 者の問題を障害者の問題として解決する時代ではないなということを、ちょっと付け加 えさせていただきたいと思います。  江草座長  ありがとうございました。それではオブザーバーの方、どうぞ。  山田氏  いろんな議論を聞かせていただいて、今、確かに就労の問題とかいろいろあるんです が、まず、知的障害者本人がいろんなところで委員として参加できるというのはいいこ とだと思います。今回、作業班では委員として2名入らせていただきました。それから 私はオブザーバーという形で参加させていただきました。この検討会の方にも、是非是 非、委員として本人を参加させてほしい。  そして、今言いました就労の部分で、確かに一般就労は、今、難しくて、リストラと か、いろんな事情で福祉就労、作業所に戻ってきてしまったり、授産所に戻ってくるよ うになってきている。もっともっと本人をいろんなところで就労して働かせていただき たい。それには、アメリカのジョブコーチみたいに本人と一緒に研修があって、それか ら企業の採用という形で、まず練習をさせてもらって、本人が就労ができたらいいなと 思います。  それから、この支援費の削減というのは、我々にとってもすごく響くことだし、東京 都でいえば、今年度から1,000人分のグループホームを作るという考えがあるようです が、それがまた減らされてしまうと、地方から帰ってくる仲間たち、今、全国的に東京 委託という形でいろんなところに行っている仲間が東京に帰ってきて、グループホーム で暮らせるようになったら、私は素晴らしいことだなと思います。以上です。  小田島氏  この間、滋賀に行った時に介護保険のことが出ました。施設の職員のお金を少なくす るとか、お金の話がだいぶされたんですが、どうも納得がいかないのは、施設の職員が 何でそんなお金を持っていて、地域に回さないのかとか、それから、タバコの税金はど うしてるのかとか、それから、お酒の税金とか、いろいろあると思います。高速道路の お金とかそういうお金を使って、もうちょっと楽になると、僕はいいと思います。  江草座長  それでは中西さん、どうぞ。  中西委員  今まで自立生活センターは、就労の問題についてはあまり積極的にできなかったんで すが、ある1つの理由として、就労問題、教育問題というのは、社会意識を根本的に変 えていかないと最終的な解決ができないというところにあるんですね。そのために、 今、権利条約の問題が議論され、国内で差別禁止法の問題が議論され、この法的整備を 厚生労働省としても推進していただきたいということです。これは、国連の方にも日本 は積極的に、今、関与してくださっているようなので、そこでの大きな役割を果たして いただきたいと思います。もう1点、議論が進んでしまっているのですが、単価問題に ついてはもうちょっと時間を取っていただければと思います。          (※太田委員が検討会の議事運営に意見し退出)  江草座長  それでは室崎さん、どうぞ。  室崎委員  私の考えですが、以前、中西さんが、作業班、小さな会をもって議論をしたらどうか という御提案がありまして、この度作業班ができたということは非常に私たちとして も、また本人さんたちも委員になってそこで発言が十分出来て、気持ちが出るというこ とで、本物の部分が出てくるのではないかなと思っております。  それで先ほどの就労の件ですが、私は、今、課長さんがおっしゃったように、やはり 車の両輪だろうと思っています。在宅というのは、働くということが一方にありなが ら、やはり自分で、きちっと社会の中に立つ、そういう部分が非常に知的障害の部分で は遅れていたと思っております。ですから、私は、この検討会議が設置されることに大 賛成です。  ただし、ここでいわゆる福祉的就労から一般就労へ移行したものは約1%に止まって いるとおっしゃっていますが、この福祉的就労とは何なのかという意識でやっていかな いと、8時間労働に耐えられるために福祉就労を前段としてしっかりとやる。そこの中 で、今度はジョブコーチでいろいろなことをしていくということでないと、なかなか福 祉就労の部分で、もうできないよね、重度だからというので、私も施設を運営していま すが、そういう意向に今までは流れておりました。  それから、雇用率の問題を先ほどからおっしゃっていますが、雇用率に関するお金の 罰則で、我々は結構、雇用制度の施設を作っていただいたりで、喜んでいる部分も一方 ではあります。それからこの間から職業訓練校の中に障害者の教室を作って3年間国が 補助します、ただし、県は3年間は一銭もお金は要りませんよというようなことで、い いお話だと思って私なんかは、早速、県に行って、こんないいお話があるんだよという ことを話したんですが、我々、中山間地域の長い島根県でありますと、20名の定員の1 カ所の職業訓練校に入学してもらって訓練をするというのは、その20人の確保が非常に 難しいということ、そこのところをもう少し手を上げた各企業に20人をバラしていきな がら、そして、就労・生活に関して、アフターケア、相談をしていくというようなやり 方で、もっと地域に合わせたものをやってもらえば、より嬉しいと思います。  江草座長  ありがとうございます。この検討会議に対して大変賛意を示し、かつ、具体的提案が 次々にあったことを嬉しいことだと思っております。さて、それでは京極先生、どう ぞ。  京極委員  先ほど、厚労省の方で事業運営上について説明がありまして、いろんな議論があった んですが、前提の議論が多くて、中身にはそれほど入ってないんですが、今後、それぞ れ個別の検討会がありますので、それを踏まえて座長メモでよろしいので、これを基本 的に受け止めてどうするかということについて、委員会の見解を全員で一致というのは なかなか難しいので、座長にお任せしたいと思いますが、それを1つ提案したいと思い ます。  それから、もう1つは就労の問題ですが、新しい障害者基本計画を私たちが内閣府で まとめた時に、ここにも委員の方が何人か参加されていますが、経済産業省なんかも、 障害者自身が作る会社、企業、こういうものも認めていこうということになったので、 どうしても厚労省でありますと、大企業とか中小企業に雇用させるということだけを考 えますが、障害者自ら会社を作って、障害のない方も一緒に作るというようなことで、 それも視野に入れて1つ検討をしていただきたいと思います。直接所管は、経済産業省 かもしれませんが、それに対するバックアップといいますか、若干、一般的就労と今の 雇用制度だけじゃなくて、広く考えていただきたいと思います。  江草座長  それでは佐藤さん、どうぞ。  佐藤委員  私は、今日出た提案に関して意見を述べたいと思います。もう話がバラバラで、これ またこのまま議論をしないで時間が過ぎていって、どこかで団体とのいろんな話し合い があって、これが通りました、これがダメでしたと、今までのようなことがあると、私 たちは何のためにこの検討会に来ているのかわからないので、少なくとも4月から実施 したいという案についての部分に意見を述べたいと思います。  1の(1)は特に異論はありません。1の(5)も早朝、夜間及び深夜の加算の算定方法で すが,極めて合理的だと思って賛成です。ただ、(4)に関しては私はこの単価の逓減につ いて、必要な緩和措置を講じるという部分は、先ほど課長の話の中にあった今後の基盤 整備のことを考えると、事業者にあまり大きな激変、痛みがあってはいけないという配 慮だということは理解しつつも、現実にホームヘルパーの派遣の仕事をしておりまし て、身体介護と、実際に一番多いのは我々のケースで言いますと、身体障害を重複する 方の入浴のサービスなんかが多いわけなんですが、5時間も6時間もそういう方のとこ ろに滞在をしてホームヘルプをするというケースはあまりないんですね。私は、それだ ったら日常生活支援との組み合わせ、ないしは日常生活支援でやればいいと思うので、 私自身は、もう少し、この提言というのは踏み込んで検討しても、事業者はそう痛まな いという感じがしています。  それぞれの事業者によって特徴がありますので、一概には言えないかもしれません が、そんな印象を持っていますので、もう少し、現実のいろんなパターンの利用者の使 い方と、それから、事業者の実態とをお調べいただいたら、もう少し合理的な案が出る のではないか。私自身の問題意識は、できるだけ多くの人が使えるようにするべきであ るということです。事業者でありながら、単価のことに関心がないわけではありません が、あまりこだわりたくないと思っています。  もう1つは、今日、議論が不十分だったのですが、私は、この検討会があって、この 検討会でいろんなものを通過させるという性格のものとは認識していないんですが、で も逆に、この検討会に全然出ないうちに、あるいは少し議論をしたかどうかも分からな いのに、それがどっちが公式でどっちが非公式かわかりませんが、ガツンと力と力で、 ごめんなさい、撤回します、じゃあこれやらせてくださいとあまりやらないでいただき たい。段々この会議に参加する意欲が減退しますので、是非、よろしくお願いします。 以上です。  江草座長  ありがとうございました。どうぞ意欲を失わないように頑張って下さい。そして今の お話で、議論が不十分なままで、このまま4月に入るのはというふうな話もありました が、本当に時間があまりないんですが、その間、何か工夫をして御意見を伺うことがで きるようなことも、私自身としては考えなければいけないのかなとは思っておりますの で、佐藤さん少々御辛抱を。気長に持続可能なものも作ろうということでありますの で、お願いいたしたいと思います。では、谷口さんどうぞ。そして。大森先生の後で竹 中さんということにして、これで全員ともかく一口ずつは喋ったということにします。 では谷口さん、どうぞ。  谷口委員  2点ばかりお話しさせてください。1つは雇用問題なんですが、アメリカの自立生活 運動の1つの精神の中に「タックスペイヤーになろう」というのがあります。日本の自 立生活運動には、私も含めましてその掛け声が非常に弱かったんじゃないかなという気 がしてなりません。それでアメリカのADAの第1項目で雇用問題を取り上げているわ けです。ADAが決まる時に昔のブッシュ大統領は、障害者の人たちというのは、まだ 開発されていない人材の宝庫であるというようなことを言ってこのADAを決めまし た。私は、そういう考え方をやっぱりこの政策の中に取り上げていただきたいし、障害 を持っている方自身が、やっぱりタックスペイヤーになろうという精神をもっと持って いただきたいというのが1点です。  もう1つは支援費制度なんですが、私が現場で援助しておりまして、支援をしており まして、やっぱり皆さん幸せになっています。なっていると思います。この評価という のは絶対にしなければあいけないんじゃないかなと思っています。それで地域に生きて いる、本当に障害を持っている方々というのは、予算のことはあまり関心はありませ ん。今の介護がどう受けられるということに非常に関心を持っています。そうしたら何 が問題かというと、事業所の単価が上がる下がるというのは、事業所の問題であって、 障害を持っている方自身は、それでやらなくなる事業所は選ばなかったらいいんですよ ね。私はそういうことだと認識しています。  江草座長  ありがとうございました。会場から異議なしという声もありましたが、では、大森委 員さん、どうぞ。  大森委員  授業が重なっていてなかなか出られなくて大変御無礼をいたしました。お詫びいたし ます。本日、事業運営上の工夫についての案が出ていますので、これに絞ってちょっと 考え方をお話ししたいと思います。私は、この支援費制度は始まった途端に深刻な危機 に陥った珍しいものだと、こういうタイプの行政は珍しくて、これについて、もうそれ 以上のことは言わない、何とかしてこの支援費制度をいいものに変える、変えていきた い、その1点でいろいろ考えられるべきだと思っていますので、そういうことでよろし いんじゃないかと思っております。  それで具体的に、この事業運用上の工夫の別紙5のところを見ると、まず大きく、仮 にこれをおまとめになって、あるいは、もしかしたら座長メモが出るかもしれません が、何らかの成案が出る時に、これを出している相手方は、まず、区市町村と都道府県 事業者及び、その前に障害者の皆さんがお出でになるわけですから、したがって、まず どうしてこういう工夫が必要なのかについて、もうちょっと正直に、この仕組みが始ま った途端に危機に陥っている、危機の内容について分かりやすく説明すべきだ、正直に 言うべきだというふうに思います。  その上で、まず基本的な視点ですが、この前の議事録を拝見してみると、この視点を 巡ったいろいろ表現についていろいろ疑問が出ていまして、それもあるのですが、まず 第1番目に、この基本的な視点の構成の仕方が羅列的です。もっと構成的に組み立てら れるべきだと思うんです。このままでいきますと、それぞれが等しい基本的視点ですか ら、基本的視点が6つあって、それぞれがみんな羅列的になっているんです。  したがって、受け取る方は、まず第1番目にそれぞれの基本的な視点の意味内容が明 確でないと困る。これを巡っていろいろ解釈が起こってしまうと困りますので、最低 限、基本的な視点のそれぞれの項目の内容はどういうことなのかということについて、 若干なりとも説明の文書がいるんじゃないかと思うんです。  この前の議事録を拝見すると若干それが出ているのですが、このままだと一体何を意 味するかということが分かりにくい。様々な誤解が生じますので、まず、基本的な各視 点の内容を、こういうことを考えているんだということを、分かりやすい言葉で説明す る必要があるということが1つです。  それから、できれば全体として支援費制度の理念に合わせて、若干なりともこの視点 の間に優先順位があって然るべきじゃないかと思っていますので、若干構成的になるな らば、並べ方についても工夫がいる。全体を読んでみて説得的でなければいけないんじ ゃないかと思っています。  その上で、この基本的な視点を適用して、16年度及び前半と後半以降と今後について の提案がなされているんですが、これを見るとこの基本的な視点のうち4と5は出て来 ない。1、2、3、6は出てくるけど、4と5は出て来ない。16年度工夫の内容のこと を見ると出て来ないものですから、出て来ない視点がどうしているのかという簡単な素 朴な疑問を思いますの。一体4と5を適用するような具体的な工夫はないのかというこ とについても、このままだと変な基本的な視点と工夫の関係になっているというふうに 思いますので、そこをきちっと、もし、それがないならば、基本的な視点は今後こうい う形で出てくるということを言わなくちゃあいけないんです。  このままだと不整合になっているんじゃないか。これほど重要なことを世の中に発表 する時に、基本的な視点と工夫の項目の間に空白が起こっているというのは、いかにも 形が悪い。そのことについても、ちゃんとお考えくださって、しかるべき説明をしてく ださい。あるいは、そういうことが必要な項目があるならば、今後こういう形で検討を したいということを言わなきゃあいけないと思うんです。  これは、様々な制度を今後どうするかということもすべて関係してくる。非常に重要 な項目を含んでいますので、より丁寧に、誰でも分かりやすく、できるだけ誤解が生じ ないように、そして、具体的にどうしてここが出発点であるのかということが分かりや すく説明される必要があるんじゃないかというふうに私は思っていまして、この前出て 来れなかったのですが、今日伺っても、なおかつこの部分が解けていませんので、一言 申し上げて工夫をしていただきたい、強くしていただきたいと要請したいと思っていま す。これは座長にお話しする話なのか、当局か分かりませんが、お2人にその旨をお願 いしたいと思います。以上でございます。  江草座長  ありがとうございました。それでは竹中さん、どうぞ。  竹中委員  今まで福祉とか社会保障とかというと、どう出すかとか、どう配るかとかいう、支出 のお金の話が出るばかりで、だけど、当然、出には入りがないといけないわけで、その 入りの議論の方がほとんどされないで、出る話に終始して、私は大変残念だなと思って いたんですが、逆に今日は委員の皆さんから、そういう意味では、入りのこともきちん と考えよう、それは、委員の皆様もこちらの厚労省の方からも両方から出まして、私は 大変嬉しく思います。  谷口さんもおっしゃったように、納税者になれるという、これは障害者に「お前ら勝 手に納税者になれよ」と言うんじゃなくて、納税者にできる政策こそが、今、求められ るという、日本であれ、アメリカであれ、世界各国であれ、私は、これは共通の考え方 になっていいのだろうと思います。  それと先ほど高橋さんもおっしゃいましたが、障害者の問題だけじゃなくて、女性の 問題もすべて含めて、社会の支え手をどうやってみんなで増やしていくのかということ を考えるふうに、お話を障害者に限定とかじゃなくて、普遍化しないといけないだろう とおっしゃったことにもまた私は大変同感です。  これは根本的なことですが、この障害者という「障」の字も「害」の字も、その方の できない部分、マイナスの部分に着目をしているんですね。手話でも障害者というのは 折れる人と、こうやるわけですね。つまり、その感覚がある限り、私はダメなのだと思 います。これは差別用語だといって言葉狩りをするつもりではなくて、そういうふうに 障害を持つ人を見てしまうすべての福祉政策の根幹が、これからきちっと見直されなく てはいけない。その人の中にあるマイナスの部分ではなくて、むしろ可能性のところ、 この人はこれならできるじゃないか、こうやればできるじゃないかというところをもっ ともっと工夫し、そこに逆に予算的な措置がされること。私は、これが福祉なんだろう と思います。  アメリカで handicapped と、disabled person を challenged という言葉に変えて きた意味が、まさにそこにあるんだと思うんですね。プロップがやってきたことは、あ くまで実験的ではあるんですが、大変重症の、本当に全身介護の必要な方が、今、働い てタックスペイヤーに近い状態になられているのですが、その人がおっしゃったことが とても印象的で、「日本では障害者で重度であれば生きて行けます、絶対に殺されるこ とはない社会なんです。だけど僕は働きたいんです。」とおっしゃったんですね。私 は、やっぱりそういう気持ちをたくさんのチャレンジドの方がお持ちだと思うし、是 非、それを実現できる政策に向けて、この場でもお話し合いをしていただければ嬉し い。そして決して障害者だけではなくて、女性、高齢者の支え手になる人を増やしてい く政策にもつなげていただきたいなというふうに思います。  江草座長  ありがとうございました。長い間待っていただきましたが、大熊委員さんには資料を 出していただいております。大熊委員さんにやっていただきたいと思います。  大熊委員  では、大急ぎで話します。実は今までの流れで、自治体から工夫の提案というのが出 されていましたが、もっと現場の、しかも、地域で暮らすことを支えている現場の方た ちからの提案、工夫を取り入れていただきたい。たまたま、今朝いただいたメールです が、施設にしか認められてないショートステイを、草の根事業所の、民家でもできるよ うにできないだろうか。夜中、発作頻発の人が、施設ではケアしてもらえないので、 「ふわり」という、これは愛知県の方なんですが、「ふわり」というところで、マンツ ーマンで添い寝をしてケアをする。でも、お金は一銭も入らない。高齢者介護の基準該 当みたいな仕組みでできないでしょうかというような、非常に現場に根ざした提案がた くさんあります。そしてそういうものを集めるグループホーム学会というのもこの土曜 日に発足することになっていますので、そういう声も吸い上げていただきたいと思いま す。  それから、お配りした資料でございますが、これは、この中の委員3人も加わってい るアピールというのが3枚目に書いてございます。これまで障害を持ってらっしゃる方 は厚生労働省に非常に不信感を持ち、厚生労働省側は、何か怖い人たちだというふうに 思い、何となくにらみ合い、凍結状態が続いていて、それを何とか突破しようというこ とで、1カ月ぐらいかけて練り上げていき、このような形にまとまったものです。  当日は、老健局から、それから障害福祉の方からは高原さんがお出でになって、老健 局の方からは、決して今の介護保険制度が十分なものではなく、発展途上のもので、た くさんの問題を抱えているという話がありました。それから高原さんの方からは、特別 なニードをもっている人については、市町村ごとの上乗せというのでは不安だという声 に応えて、それは、国税の方で上乗せすることも考えてみよう。決して高齢者福祉の35 万円以上は出さないなんてことはありませんということが繰り返しお話をされ、みんな も非常に安心した表情をしておりました。  これの大事なところは2頁目の、論点(1)〜(7)というところで、これから財源のこと も含めて本気で介護保険の制度を成長させ、支援費制度を成長させ、両方のいいところ をとって、当日は堂本さんなどが高齢者の方の介護保険の欠点を支援費制度でより改善 できるのではないかというようなお話もありましたが、冒頭に吸収合併ではなくて、ど んなに重度の障害があっても地域での生活が可能となる、地域での新しい人的支援サー ビスを作るとか、最後のところに障害者差別禁止法、障害者総合福祉法といった大きな 法制度やサービスの体系を作るとか、その前に、先ほどの村木さんからの働くというこ とについも書いてございまして、こういう様々な条件をきちんと考えながら、やっぱり 一緒にテーブルについて、前回も申し上げたように、透明性、不信感を招くようなこと のない情報公開をしながら、新しい一歩を、にらみ合い状態を脱して作り上げないと、 ここにいる人たちは少なくとも地域で障害を持った人たちがその人らしく暮らしていく ことについては異論がない人ばかりが集まっているのに、その中で喧嘩しちゃっている と、到底、財務省とか世間とか、この間も久米宏さんが馬鹿なことを言っていました が、あのような人たちを説得することができないのではないかというふうに思いまし て、これをまた後でお読みいただけると幸いでございます。  江草座長  ありがとうございました。やっと発言を最低限していかなければいけない方にしてい ただきました。もちろん、中西さん、太田さんももっともっと言いたいということなん ですが、限られた時間でありますので、今日はこれぐらいにしたいと思いますが、繰り 返して申しますが、これが最後ではありませんので、それぞれの作業班で御協議をいた だき、御審議をいただき、さらに近いうちに、また次回のこの検討会をやりたいという ふうに思います。それでは次回の検討会につきましてお願いいたします。  高原課長  次回の日程につきましては、まだ今の段階で具体的な日取りは固まっておりませんの で、早急に調整をさせていただきたいと思います。4月に入ってからということになる と思います。それから、今日いろいろ御指摘をいただきました。大森先生からは少し全 体わかりやすいメッセージとしてまとめてみたらどうかという御指摘をいただきまし た。これは、工夫をさせていただきたいと思います。  一方で、当面4月から実施する内容については、時間がございませんので、この点に ついては早急に案を確定的なものに固めていきたいと思っております。特に、今日御意 見のありました単価の逓減のところをどうするかについては、佐藤委員から御指摘をい ただいたわけですが、私自身は正直申しまして、年末以降、いろいろ具体的に事業者の 方からいただいているデータを見ますと、この辺りがいいところなのかなと思っておる のですが、もう少し逓減をきつくするようなことが本当に可能なのかどうか、この点 は、もう少しデータも見せていただきますし、最終的には自治体の皆さんの意見を、 今、並行して聞いておりますので、3月の初旬までに私どもの責任において決めまし て、実施に移させていただければと思っております。  それ以降の分につきましては、今日出た御意見も踏まえて、引き続き検討をしていき たいと思います。後は、この段階での整理として、もう少し背景なり、必要性なり、考 え方なり、これは工夫をして、また改めまして、各委員には座長とも御相談をして、御 意見を頂戴するようにしたいと思います。以上でございます。  江草座長  ありがとうございました。これで閉会いたします。 照会先           [障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会事務局]                            厚生労働省社会・援護局                            障害保健福祉部障害福祉課                             川端、藤原(内線3043)                             TEL 03−5253−1111                             FAX 03−3591−8914