04/02/26 第4回がん検診に関する検討会議事録           がん検診に関する検討会(第4回)議事次第   日時 平成16年2月26日(木) 13:58〜16:06   場所 厚生労働省・省議室 1.開会 2.議題   ○論点整理 3.その他 4.閉会 ○麦谷老人保健課長  委員の先生方に御案内した時間よりまだ少し早うございますが、始めさせていただき たいと思います。  本日は、11名の委員全員御出席の御連絡をいただいておりまして、全員既に御出席で ございます。  本日は、乳がん検診における乳房エックス線検査(マンモグラフィ)のわが国の受入 れ体制につきましての御意見をいただくため、参考人として聖マリアンナ医科大学より 今村先生に御出席をいただいております。今村先生、よろしくお願いいたします。  それでは、垣添座長、よろしくお願いいたします。 ○垣添座長  皆さんこんにちは。5月を思わせるほどの暖かい陽気で、しかも、大変美しい天気の 中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。2時間集中して、第4回のが ん検診に関する検討会を進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げま す。  それでは、初めに、委員の皆様方のお手元に配られていると思いますが、第2回と第 3回の検討会の議事録につきまして御了解いただきたいと思います。この議事録は、既 に皆様方のお手元に配付されておりますので、既に校正、その他はいただいた方も多い のですが、完全ではありませんので、もし校正が必要な部分がありましたら、後ほど事 務局の方に御連絡いただければ幸いです。第2回、第3回の議事録に関しては、座長一 任という形で御承認いただければ幸いでございます。よろしゅうございましょうか。               (「異議なし」と声あり) ○垣添座長  ありがとうございます。  それでは、議事に移ります前に、まず、事務局より配付資料の説明をお願い申し上げ ます。 ○椎葉課長補佐  それでは、配付資料につきまして、御説明させていただきます。  まず、議事次第でございます。委員名簿と検討会の開催要綱、スケジュールも添付し ております。  資料については、お手元の「第4回がん検診に関する検討会資料一覧」を御参照いた だきながら御確認をいただきたいと思います。  資料1でございますが、今村参考人の発表資料でございます。これにつきましては 「マンモグラフィ実施機関についての施設認定」という『新医療』掲載の論文も添付し ておりますので、御確認いただければと思います。  資料2でございますが、「論点整理メモ」でございます。  資料3でございますが、「これまでの主な意見(案)」でございます。  それから、参考資料といたしまして、参考資料1「検討の視点について」を今回の議 論で御参照いただけるよう、用意してございます。  参考資料2は、大内委員御提出の資料でございます。これは、後ほど大内委員の方か ら御説明いただけると思います。  また、先ほど座長からお話のありました、第2回と第3回の検討会の議事録について は委員の先生方のみの配付となっております。  以上でございます。 ○垣添座長  ありがとうございました。よろしいでしょうか。  それでは、議事に移ります。本日は、只今、御案内がありましたように、乳がん検診 と子宮がん検診についての議論ということでありますけれども、初めに、焦点の1つで ありますマンモグラフィの実施体制につきまして、今村先生に御発表いただきたいと思 います。その質疑応答の後に論点整理メモに従って、乳がん、子宮がんの検診に関して 話を進めてまいりたいと思います。  それでは、今村先生、よろしくお願い申し上げます。 ○今村参考人  御紹介いただきました今村です。では、着席して御説明させていただきます。  私に与えられた課題は、マンモグラフィの撮影装置とその精度管理についての報告で あります。スライドは1ページの上段、下段というふうに進めていきます。  では、1ページの下のスライドをごらんください。まず、マンモグラフィのシステム ですけれども、X線装置を用いて放射線技師が撮影して、写真ができます。それを医師 が読影するという体制です。本日の報告では、X線装置に対する仕様基準、装置はどの ような条件を備えなければいけないかを主な項目にいたします。それから、実際の全国 の設置状況を御説明します。その次に、X線装置と放射線技師、そして、得られた写真 をトータルとしてとらえた施設画像評価、いわゆる施設認定について進めてまいりま す。  2ページをごらんください。マンモグラフィ装置の仕様基準が上段にありますけれど も、これは日本医学放射線学会で定められたものです。1から9の項目にありますの は、すべて装置に関する細かい規定であります。これが設けられた目的は、安定したい い画質の乳房の写真を提供するためであります。  この仕様基準のすべての項目に合致したものを適合装置と呼んでおります。1つでも 合致しませんと、それを不適合に分類しています。わが国におけます、これらの数は2 ページの下段にお示ししますように、適合装置が約1,500台、不適合装置が約1,700台で あります。しかし、不適合装置の「*」で示しましたように、これにはかなり古い装置 も多いものですから、実際には更新が進んでおります。非公式なデータですけれども、 約300台は既に使われておらず、実際には新しいものに更新されていて、それがデータ としてまだ上がってきていないのではないかと想像されます。しかし、公表されている データではこのような数値になります。つまり、適合した装置は、ほぼ全体の半分とい うわけです。  3ページの上段は、先ほど申しました乳房X線撮影装置の設置状況を都道府県別に見 たものです。この表で「装置台数」は、仕様基準に適合した装置であります。これは装 置の数ではなくて、その都道府県の全女性人口に対する比で見たものです。左が上位の 5県、右が下位の5県です。左の上位5県の表を見ていただきますと、女性1万人に対 する比が最高で0.45ですから、これは女性2万人に1台弱という割合です。それに比べ まして、下位5県の下の方の県をごらんいただきますと、大体その3分の1、4分の1 という設置状況であります。したがって、都道府県による差が非常に大きいということ がはっきりしております。  もう一つは、添付しました資料をごらんいただきたいのですけれども、どちらかとい うと、人口が多い東京や神奈川や大阪という都道府県が、意外に装置の設置状況が女性 の人口から見て手薄です。今申しました3つの都府県はいずれも半分より下にありま す。  3ページの下段になりますけれども、マンモグラフィの撮影装置を持っていて、実際 にどのくらい検診に使用されるかというところが関心のあるところであります。これは 少し古いのですが、大がかりなアンケートが1997年から1998年にかけて行われました。 マンモグラフィを持っている大多数の施設に送られました。その結果、回答された中で 撮影装置を持つ施設が約1,000施設ありまして、そのうち検診に対応しているとのお答 えが738施設でした。したがって、乳房X線撮影装置を持っている施設の約73%が検診 に対応しているという結果であります。これは検診専門と、いわゆる臨床マンモグラ フィとの兼用を含んだ数値であります。  では、果たしてこの状況でどれだけ検診のための撮影ができるかという問題が重要で すけれども、そのアンケートで検診の受診者何人に対応できるかという問いに対して は、88%が一週間あたり50人以下というお答えでした。この平均像を出すのはなかなか 難しいのですけれども、全回答をざっと見ますと、平均して1年間に検診の受診者1,400 人ぐらいを撮影しているように解釈できます。そういたしますと、現在、全国に配置さ れている装置を全部稼働しますと、約300万人を撮影できます。最近のデータでは、マ ンモグラフィを使った検診を受診した方は1年間で30万人だそうです。したがって、能 力的にはその10倍に対応できる能力を既に持っていることになるかと思います。つま り、検診対象人口の10%をカバーできるレベルに今、達していると推定されます。これ またいろいろな要因がありますので、これだけでは断定できないと思いますけれども、 装置だけから推定しますと以上のような具合です。  4ページに進みます。先ほどマンモグラフィ装置の仕様基準といったものを9項目お 見せしましたけれども、これはいずれも大事な項目ではありますが、その中で特に3番 目の項目、移動式グリッドを備えるという項目は非常に重要です。ほかの項目もおろそ かにするわけではないのですが、仕様基準外の装置でも、特に移動式グリッドを備えて ないものは画質、写真の質が芳しくありません。  先生方には復習になってしまいますが、4ページの下段をごらんください。グリッド と申しますのは散乱線を除く役目を持っています。X線が人体に当たりますといろいろ な角度で散乱されます。その散乱されたX線がフィルムに届いてしまいますと、コント ラストが著しく低下して、いい写真を撮ることはできません。したがって、グリッドを 装着するということが仕様基準の中でも重大な項目になってくるわけです。グリッド は、外国製の装置では既に1977年に臨床用の実機に搭載されてはいますが、なかなか普 及という点からは足踏みしている面があります。  5ページの上段は、グリッドがない装置とある装置で撮影した写真を比べて示したも のです。これは模擬的な石灰化でありますけれども、左はグリッドをつけた装置で撮影 したもので、6つの山として見えますのが石灰化です。鋭く見えています。右は、グリ ッドがない装置で撮影した画像です。鋭さが消えて、コントラストが著しく低下しま す。これはまだ500ミクロン以上の石灰化ですので、画質が劣っても見えるわけであり ますけれども、マンモグラム、乳房の写真で標的とする微細石灰化は通常300から200ミ クロンだろうと思いますので、それらは全く見えなくなります。  以上をまとめますと、グリッドなしの装置で撮影しますと、画像の質は50%低下しま す。その結果、得られた写真というものは非常に劣っておりまして、現在の標準的な画 質のレベルには到底及ばない性質のものです。  グリッドの有無はこういう影響を持つわけなのです。そこで、仕様基準に適合してい ない装置の中でグリッドの装着状況はどうなのだろうかということが問題になるわけで す。5ページの下段をごらんいただきます。これは、グリッドのあるなしの観点から整 理したデータです。仕様基準に適合していない機種の中で、グリッドがないあるいは一 部ないかもしれないと言われているのが約半数あります。問題なのは、日本ではグリッ ドを装着していない装置がまだ依然として多いということであります。  6ページの上段をごらんください。先ほどのデータ、これは添付資料にもございます けれども、全国では600台近い装置がグリッドを装着せずに撮影が行われていると推定 されます。それは、円グラフで左上に飛び出した部分です。全体の2割弱で、かなり高 い割合かと思います。  以上、今までは撮影装置のことを述べてまいりましたけれども、まとめますと、ま ず、日本国内では仕様基準外の装置が約半分占めるということです。そのうち更に半分 弱がグリッドを装着しておりません。もう1つは、地域差がかなりあることです。先ほ ど申しましたように、女性の人口から見ますと、3倍から4倍の違いがあるということ です。それから、実際に検診に対応している装置は全体の70%強と推定されますけれど も、それらの処理件数は平均しまして1年間に約1,400人と推定されます。  次に、写真の質とX線の線量の精度管理に移っていきたいと思います。7ページの上 段をごらんください。装置の仕様基準を決めておきながら、なぜ精度管理なのかという ことですけれども、理由は2つあります。1つは、写真が出るまでには何段階ものステ ップを経てきます。つまり、X線装置、それから乳房、これはどのように圧迫して、ど のようにポジショニングするかという問題があります。それから、適切なフィルムが使 われているか、現像条件は適切かといった段階があります。したがって、たとえ装置が 仕様基準に合っていたとしても、実は思いがけない画像が出てくる可能性があります。 それで精度管理が必要になってまいります。  7ページの下段をごらんください。これは線維分とか石灰化分とか、それから、淡い 腫瘤とかそういったものを埋め込んだファントムと称するものの画像です。左側は非常 に質の高い画像で、皆様ごらんいただけるように細かい石灰化とか、下に4つ並んでい ますけれども、淡い影がくっきり出ているのをごらんいただけると思うんです。しか し、右の画像をごらんいただくと、何かワッと流れたような感じがして、石灰化もはっ きり見えない。300ミクロンの石灰化は全く見えていません。それから、コントラスト の低いものの影はすっかり流れてしまっています。これは現像不良のために起きたもの です。装置が仕様基準にあっていても、このようなことが起きる可能性がありますの で、撮影システム全体の精度管理とが必要になってまいります。  8ページの上段をごらんください。そのような背景のもとで、マンモグラフィの施設 認定が2001年からスタートしております。そこでは、写真の質とX線の線量を審査しま して、すべてがクリアしますと良好な施設として認定されております。そこに挿入した 写真は、臨床の写真を複数の委員が審査しているところです。このようにして実施して おります。  8ページの下段に移っていただきますと、スタートしてから大体2年半後の現状です が、認定された施設は219施設。認定された施設を有する自治体は126であります。マン モグラフィ併用検診をしている自治体が1,600ありますので、この自治体の中で認定施 設を持っているのは10%に満たないんですね。1つの施設が確かに複数の自治体をカバ ーしているということもありますけれども、それにしても7%といいますのは低い数字 ではないかと考えます。  9ページの上段をごらんください。やはり認定施設も地域によって差がありまして、 左の表で「*」をつけましたのは認定施設が全くない県があるところです。例えば、九 州では認定施設を持たない県が3県あります。右の棒グラフは、女性1万人当たりの認 定施設数を自治体別に見たグラフです。これをごらんになりますと、どちらかというと 小規模の施設で比率がよくて、つまり、よく認定を受けておられて、むしろこれからは 大都市の方にもっと努力していただきたいなと存じます。  精度管理は撮影システム全体ですので、放射線技師の技能ということも問題になりま す。9ページの下段ですけれども、これは放射線技師が講習会を受けた施設では非常に 認定される率が高いということを示しております。申込み97のうち86です。かなり高い です。つまり、放射線技師の技能を磨くことが重要だということが示されていると思い ます。  10ページの上段をごらんください。撮影装置の仕様基準と認定の関係を示しましたけ れども、確かに適合装置を使用している施設は認定される割合が高いのですが、それで もその1割は認定されませんでした。また、適合していない装置をお使いでも7割が認 定されております。これは、認定基準外と申しましても、どちらかといいますと仕様基 準にかなり近い直近の装置かなと考えます。  以上をまとめますと、問題点としましては、撮影装置の約半分が仕様基準外であるあ るということ。それから、グリッドなしの撮影装置が全体の数の2割近いです。これ は、画像の質は全く劣っておりまして、現在の画質の基準以下であるということは確か なエビデンスがあります。  もう1つ、認定された施設が依然として非常に少ないという問題があります。マンモ グラフィ検診を実施している自治体の7%です。したがって、これらに対する何らかの 対策が必要かと思います。  最後の11ページをごらんください。やはりマンモグラフィ検診は有効でありますけれ ども、それは精度管理を前提として、それを一体としてとらえていただきたいというこ とです。それから、先ほどお見せいたしましたように、マンモグラムの質というものは 非常に変動するものでありまして、それを受診者並びに社会に対して保証するのは、施 設なり自治体なり関係各位の義務というか、しなければならない点であろうかと思いま す。具体的には、自治体などが検診を各施設に委託なさっていると思いますけれども、 是非、認定施設であることを必要条件にしていただけたらと思います。「がん予防重点 健康教育及びがん検診実施のための指針」(老健第65号)という立派な通知があります から、是非その拘束力を強めていただければ、いろいろな問題の解決につながるかと思 います。  最後ですが、そういったことを実行に移しますには、精度管理システムの充実ですけ れども、まず精度管理システムはどうあるべきかという研究のフェーズが終了して、今 は実施体制を確立しつつあるフェーズだと思います。今後、数多くの施設に入ってい く、つまり普及のフェーズととらえていいと思いますけれども、それについては是非と も専従の専門職を配置していただくよう厚生労働省の皆様方の御支援をお願いしたく存 じます。  以上です。 ○垣添座長  今村先生、どうもありがとうございました。冒頭に御案内がありましたように、今村 先生はマンモグラフィの検診精度管理中央委員会の委員でもあられますし、それから、 聖マリアンナ医大の放射線医学の助教授で、医学物理士と理学博士の両方をお持ちであ るという背景から、精度管理の話と機器の管理、両方の面でお話をいただきましたが、 ただいまの今村先生の御講演に関して、何か御質問等がありましたらどうぞ。 ○笹子委員  ちょっと確認をさせていただきたいのですが、仕様基準を満たすというものは9項目 をすべて満たすというふうにおっしゃったように最初思ったんですが、その中に移動式 グリッドというのが入っているんですけれども、それと更に別個に仕様基準を満たして いてグリッドなしが云々という別に扱われてお話もされたので、その辺の関係がよくわ からなかったんですが。 ○今村参考人  そうですか。もし、そのように私が申しましたとしたらそれは誤りでして、仕様基準 を満たしている装置はすべて移動式グリッドを備えています。移動式グリッドがついて いない装置は、仕様基準外の不適合装置になります。よろしいでしょうか。資料の方で は間違ってはいないと思いますけれども。 ○垣添座長  ほかにいかがでしょうか。 ○田中委員  最初の方で、今は設置台数からいくと300万人ぐらいの人を検診する能力があるとお っしゃいました。それで、すごいなと喜んでいましたら、発表の最後の方になってくる と認定された施設が少なくて、今は併用検診している自治体の7%ぐらいしか認定され ている施設がないということで、実際に、今我が国にある施設数でもってどのくらい検 診に対応できるような台数があるのでしょうか。 ○今村参考人  それは、検診に対応できるということの定義がはっきりしていない面があります。老 健第65号(「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」)によりますと、 画質及び線量の基準をクリアしていること、それを厳密に解釈しますと相当少なくなり ますけれども、それを取り払いますと、いかなる装置でも検診に使ってよろしいわけで すから、検診に使っていい装置のしっかりした定義が欲しいところです。 ○垣添座長  ほかにいかがでしょうか。  今村先生、もう一度確認ですけれども、1台適合した機械がありますと、年間に1,400 人ぐらいの検診ができるとおっしゃったんですか。 ○今村参考人  はい。大体そのくらいは推定されます。しかし、これは適合外装置も含めた、全国の 平均的な数です。 ○垣添座長  そうすると、日本全体として見ると300万人、マンモグラフィを実際に受けている人 が30万人ということは、対象年齢の10%を現状でカバーする能力があると。 ○今村参考人  はい。装置の方だけからは、そのように推定されます。 ○垣添座長  もし、この後の議論でマンモグラフィを乳がん検診にちゃんと使うべきだという結論 になった場合に、日本中の対象人口をカバーしようとすると、大ざっぱに言って、更に この10倍が必要になるということですか。 ○今村参考人  そうですね。あともう1つは、1台当たりの撮影件数の問題はありますけれども。 ○遠藤委員  今、今村先生の御発表の中で、1台当たり1,400人という1年間の撮影対象者数とい う御発表でしたけれども、検診に特化した場合には、仮に200日稼働するとしますと、 1日当たり7人ということで非常に少ないと思われるのです。検診の場合には勿論、可 動日数が年間200日あるのかという問題もありますし、また集団検診という場もありま すし、施設検診という場もありますけれども、この統計をおとりになられたのが数年前 のデータということと、そのころのマンモグラフィに対する女性の認識、つまりニーズ がまだ現在ほどは多くなかったと推定されると考えます。1台当たりに何人に対応でき るかといいますのは、技師のトレーニング、また、体制、ニーズ、それらによると考え られます。 ○大内委員  この平成9年度の報告書ですが、これは全国にアンケート調査しましたのは、平均線 量とか設置台数も含めて、それから、仕様基準に関して、主に保険診療機関を対象とし た調査です。調査対象のほとんどは、いわゆる病院でして、なぜこのように1週間に50 人以下になるかといいますと、通常の診療の合間を縫って人間ドックないし、乳がん検 診を行った場合の見込み数であります。先ほど遠藤先生が言われましたように、例え ば、がん検診を主体とする機関、対がん協会等、こういったところはまた別に考えなけ ればいけないと思います。具体的には、例えば、対がん協会ベースでいきますと、可動 日数が年間200日で、1日に大体1台で100〜200人をこなしていますので、およそ年間 に2〜4万人ぐらい処理可能になります。そういったデータで確認しないと全体の処理 能力というのは見えてこないと思いますので、追加いたします。 ○垣添座長  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。  それでは、今村先生、御講演どうもありがとうございました。  それでは、続きまして、論点整理メモに従いまして、これから議論を進めていただき ますが、まず、事務局からこれまでの論点の整理をしていただきます。その説明が終わ りましたら乳がん検診、子宮頸がん検診、子宮体がん検診の順番で議論を進めてまいり たいと思います。それでは事務局から説明をお願いします。 ○椎葉課長補佐  それでは、お手元の資料のうち、資料2「論点整理メモ」と資料3「これまでの主な 意見(案)」、それから、参考資料1「検討の視点について」につきまして、ご説明い たします。  まず参考資料1「検討の視点について」からまいります。  2ページを開いていただければと思います。今回、論点を整理するに当たりまして、 5つの検討の視点から整理をさせていただいております。  1つ目でございますが、検診自体の有効性。これまで得られた科学的根拠などでござ います。  それから、御指摘いただいている検診の受診率の向上の問題が2点目でございます。  3つ目の(1)疾病の特性に応じたきめ細やかな対応で、特に疾病の特性で原因がわか っているものについては、その特性に基づいた対応。それから、最近の罹患状況とか死 亡状況、今後の動向予測に基づいた対応が大事であるということでございます。 (2)介 入による予後の改善で、特に診断技術や治療技術の進展により、これまで以上に予後の 改善が図られるものを重視しております。ハイリスク層に対する重点的なアプローチ、 といった対象の明確化という観点も入っております。  そして、4つ目はリプロダクティブヘルスの推進の観点からで、生涯にわたる女性の 健康とQOLの向上や、特に次世代への影響の観点から妊娠・出産へのかかわりを重視 しております。  5つ目でございますが、実施体制ということで、検診に従事する人材や機器の量的・ 質的な確保と検診の精度管理の充実や、その啓発普及、健康教育、個人の相談といった ものも含めて検討の視点といたしております。  乳がんと子宮がんに関しまして、それぞれの5つの視点からまとめたのが1ページ目 の資料でございます。乳がんについては、その方法につきまして議論になっております 視触診、マンモグラフィ、そして超音波に分けて、それぞれわかる範囲で記載しており ます。また、子宮がんにつきましては、子宮頸がんと子宮体がんにつきまして、それぞ れ整理をさせていただいております。  参考資料に関しましては、3ページでございますけれども、女性の年齢階級別の人 口、4ページでございますが、年齢階級別で全国および都道府県別の、30歳以上は何千 万人いるかという累積した人口がわかる資料です。  それから、5ページ、6ページでございますが、実際に乳がん検診、子宮がん検診の 都道府県別の受診状況について整理してございます。  そして、7ページでございますが、最近の医療技術の中で診療報酬上でも評価された 項目ということで、がん検診に関連性のある乳がんについてと、前立腺がんについての 資料を用意してございます。  続きまして、資料3をごらんいただきたいと思います。これまでのこの検討会の中で の意見を整理させていただいております。それぞれのがん検診につきましては総論部分 と各論部分に分けております。  まず、1ページでございますが、乳がん検診の総論部分でございます。乳がんは女性 のがんの罹患率第1位でございまして、早期発見による早期治療が重要だということ、 早期発見がなされれば乳房を温存した治療が中心となることから、女性のQOLの向上 の観点からも推進すべきだということ、我が国の乳がん検診は受診率が低いということ や中心として実施されている視触診単独の検診では、死亡率減少の観点から効果が少な いこと等が指摘されているということを記載しています。  さらに、近年、我が国においては特に40歳代後半の罹患率が急増しており、40歳代の 検診の充実が必要であること、30歳代の乳がん検診については発見率が低いということ が指摘されており、見直しが必要ではないかということ、そして、諸外国の乳がん検診 は40〜69歳に対するマンモグラフィの隔年の実施が主流であるということでございま す。  乳がん検診の各論でございますが、検診方法については、視触診単独よる検診は今後 廃止すべきではないかという御意見と、それから、40歳以上には視触診とマンモグラフ ィの併用による検診を実施すべきではないかという御意見がありました。  そして、検診の間隔でございますが、2年に1度とすべきではないかということ。  体制でございますが、医師や技師の研修の充実や十分な精度管理、それから、啓発普 及や教育の実施、相談の充実という意見がございました。  2ページでございますが、子宮頸がん検診でございます。総論部分でございますが、 子宮頸がん検診による死亡率は減少傾向にありますが、特に子宮頸がんの20歳代の罹患 率の上昇が問題となっていること、早期発見により子宮の温存が可能となり、妊孕能が 維持される観点からも重要であるということ、そして、諸外国の子宮頸がんの検診は、 20歳以上65歳以下の方に対して、3年に1度の頻度で実施するというのが主流になって いるということでございます。  各論でございますけれども、対象者については20歳以上とするべきではないかという 意見がありましたが、その前提として今の30歳以上の対象者の受診率を引き上げるべき であるという点は、各先生方全員の御指摘事項ではないかと思っております。  それから、検診方法は、現在の方法を継続すべきではないかということ。  検診の間隔でございますが、受診率を低下させない観点から毎年とすべきではないか という御意見と、ヒトパピローマウイルス感染から発がんまでの進展モデルや諸外国の 状況を踏まえて、低リスク者で3年連続して正常と判断された方は、3年に1度とすべ きではないかと、これは主に諸外国の状況を踏まえた御意見でございます。  そして、体制ということで、危険因子たるヒトパピローマウイルスの感染予防の普及 啓発を図るべきではないかということと、若年者の性教育と連動した健康教育を充実さ せるべきではないかということでございました。  3ページは子宮体がん検診でございます。女性の子宮体がんによる死亡率は低いとい うことでございますが、最近の子宮体がんの罹患率は増加傾向にあるということでござ います。また、現時点においては、諸外国ではこの検診は導入されていない。そして、 検診の死亡率減少効果の有無については根拠がないと書いてありますが、現時点では報 告がないということでございます。この「根拠がない」は訂正させていただきます。  各論でございますけれども、対象者については、現在のハイリスク者の選定について 十分に標準化が図られていないのではないかという御意見がございました。  検診方法でございますが、今の子宮体部の細胞診には吸引法や擦過法がございます が、特に6か月以内に出血があったというような有訴者に対して行う検査として、十分 な感度があるとは言えないのではないかという御意見がございました。そして、有訴者 に対しては医療機関において症状等に応じて子宮内膜全面掻爬や画像診断等の多様な検 査を組み合わせて行い、見落としのない精度の高い診断を行うべきではないかという御 意見がありました。  体制でございますけれども、子宮体がんの予防や症状、早期治療に関する知識につい て、普及啓発を十分に図るべきではないかという御意見がございました。これはあくま でも事務局のまとめでございまして、不足等につきましてはこれからの御議論の中で御 発言をいただければと思います。  そして、資料2でございますが、「論点整理メモ」でございます。論点となるものに つきまして簡単にまとめております。  1ページ目は乳がん検診でございます。まず、検診方法でございますが、視触診とマ ンモグラフィの併用検診であるべきか、マンモグラフィ単独検診であるべきか、視触診 単独検診であるべきかといったことについて御議論いただければと思います。  それから、検診頻度でございますが、従来の毎年か隔年か、もしくはそれ以外の3年 ごとというような頻度について御議論いただければと思います。  3番目は、対象とする年齢でございますが、これについても現行の30歳以上か、もし くは増えている40歳以上。現在、マンモグラフィの対象は50歳でございますが、こうい った対象年齢について御議論いただきたいと思います。  4番目でございますけれども、実施体制については機器の整備や検診技術、人の確保 も含めた問題、そして、精度管理についても御議論いただければと思います。  そして、何よりも受診率が低いという御指摘でございまして、今後どのように啓発普 及を行ったらよいかという点や、その費用などについても御議論いただければと思いま す。  あと、6番目はその他、ここに入っていないものについて御議論いただければと思い ます。  2ページ目は子宮頸がんでございます。これにつきましては、方法論自体は特に議論 がなかったと承知しておりますので、まず、検診の頻度でございます。毎年なのか、隔 年か、もしくは3年毎か、その辺について御議論いただきたいと思います。  それから、対象とする年齢でございますが、現行の30歳以上というのが(3)にありま すが、この年齢を引き下げる場合は、20歳以上とすべきか、25歳以上とすべきかという ところを御議論いただければと思います。  3番目は、受診率の向上で、啓発普及をどうすべきかということと、特に性交渉との 関係が指摘されておりますが、特に若年者に対する教育についてどのように行うべきか ということでございます。  4番のその他は、これに入っていないその他重要事項について御議論いただければと 思います。  最後でございますが、3ページ目は子宮体がん検診でございます。子宮体がん検診に つきましては、検診について継続なのか廃止すべきなのかといった意義についても御議 論いただければと思います。  そして、検診対象でございますけれども、今は有訴者、いわゆるハイリスク者に実施 しておりますが、これについての御議論。  3番目でございますが、年齢について、現行は30歳以上でございますけれども、例え ばハイリスクたる50歳以上とするといったことについて。  4番目としましては、その他子宮体がん検診に関する重要な事項についても御議論い ただければと思います。  かなり簡潔に整理いたしましたので、ここに記載の無いものにつきましては、今後の 御議論の中で御発言いただければと思います。  以上でございます。 ○垣添座長  ありがとうございました。 ○櫻井委員  検討に入る前に、一番初めに説明された参考資料1の1ページの表で、「×」とか 「−」とか「○」とか「◎」とか、こういう表をつくると、これが独り歩きするので非 常に問題なので、この表を撤回することを求めたいと思うんです。例えば、乳がん視触 診の検診の有効性が「×」というのはどういう意味ですか。検診の有効性を今議論して いるのであって、前の報告のとおり、確かに視触診単独では検診による死亡率減少効果 がないとする相応の根拠があるという結果が出ていることは認めますけれども、それが 検診の効果「×」には結びつかないはずで、総合評価の表もきちんと見てほしいんです けれども、このことを議論したら、いわゆる無作為割付比較対照試験というのはこれに ついては行われていないわけですから、この部分については、検診を受ける人自体が既 にバイアスがかかっているとかそういう議論が全然入っていないわけだから。それか ら、「−」というのはなんですか。 ○椎葉課長補佐  これは、久道研究班のクラスIIに当たるもので、これまでそういう報告が得られてい ないという分類でございます。 ○櫻井委員  得られていないものが「−」なんですか。超音波に関して何も根拠となる報告が得ら れていないんですか。 ○椎葉課長補佐  久道研究班の報告によるとII群に分類されておりまして、「検診による死亡率減少効 果を判定する適切な根拠となる研究報告が現時点では得られていないもの」となってお ります。 ○櫻井委員  だから、それは死亡率減少効果の話でしょう。検診の有効性の話ではないですよ。こ っちは検診の有効性と書いてあるんですよ、検診の有効性を死亡率減少効果だけでなぜ 論じるんですか。こんなものは全くひどい表ですよ。この表は撤回してください。これ を基に議論するのはおかしいですよ。 ○椎葉課長補佐  これにつきましては、次の2ページに「検討の視点」というものがございまして… …。 ○櫻井委員  検討の視点を議論しているんじゃない。今はこの表を議論しているのです。 ○椎葉課長補佐  一番上の「検診の有効性」のところに、これまでに得られた科学的根拠で検診による 死亡率減少効果についてということで、こちらの表に載せていないのはこちらのミスで ございますが、あくまでも検診の有効性というのは死亡率減少効果についてのものでご ざいます。 ○櫻井委員  それだったら、こっちも「死亡率減少効果」と書きなさいよ。「検診の有効性」と書 くのはおかしいですよ。検討の視点も方もおかしいです。それは検診の有効性じゃない から。こういう間違ったものを出されると、これが独り歩きして国民に誤解を与えます から、これをきちんと訂正しないうちは、私は議論をやるべきではないと思います。 ○斎藤委員  第1回のときにも申し上げましたけれども、population basedのがん検診の有効性と いうものは死亡率を下げるということで、これは世界的なコンセンサスでありますか ら、これは何も不適切なことはないと思います。 ○櫻井委員  そうすると、この報告が出たのは相当前なんですよね。それから変わっていないのだ と思うんですけれども、現在のがん検診の指針を出したときには既にそれがわかってい たわけですから、そうすると、今出ている指針は間違ったものを出しているということ になるわけです。それから、この間も議論しましたけれども、そうすると自己検診は否 定するという前提に立って話をするということになるのかどうかを確認してほしいんで す。 ○垣添座長  それはこの前も議論がありましたけれども、自己検診に関してはこれは一切触れてお りません。それから、先ほど事務局から説明のあった、これまでの主な意見の乳がんの ところに自己検診のことが触れていないのは、私もちょっと発言しようと思っていまし た。  今、櫻井委員が御指摘の参考資料1の1ページ目の表に関しては、確かにちょっとわ かりにくいところもありますし、これはとりあえずこの場では外しておいて議論に入ら せてください。  それで、今、事務局から御説明いただきましたように、資料3の「これまでの主な意 見(案)」の中で乳がん検診の中でこういう議論が欠けていたのではないかとか、ある いは書き方が不適当であるといった御議論がありましたら御発言ください。今の自己検 診のことが触れていないというのは、私から1つあります。  それから、もう一つ、総論の一番最初の「○」のところにあります「乳がんは女性の がん死亡の第1位であり」というのは、我が国では本当ですか。 ○大内委員  これは、罹患率が第1位でして、死亡率でいきますと30〜64歳までの壮年層という縛 りに入ります。 ○垣添座長  そうですね。全体で見ると胃がん、肺がんの順番になりますから、これもちょっと誤 解を招くと思いますので修正をお願いしたいと思います。  ほかに、これまでの主な意見というところで乳がんに関して御発言がありましたら、 お願いいたします。よろしいでしょうか。  それでは、この流れに沿いまして、資料2「論点整理メモ」の乳がん検診に関して、 まず、(1)検診方法の(1)視触診とマンモグラフィの併用検診、(2)マンモグラフィ単独 検診、(3)視触診単独検診に関して御意見があったらお願いしたいと思います。順次こ れを固めていって、できましたら次回の第5回の検討会で乳がん、子宮頸がん、子宮体 がんに関するこの検討会としての結論をまとめるつもりでおりますので、大筋を本日固 めることができれば大変ありがたいと思います。そういう視点で御発言いただければと 思います。よろしくお願いします。 ○大内委員  対象年齢ごとに少し、例えばマンモグラフィの場合でも視触診でもそうですが、50歳 以上と50歳未満で整理された方がよろしいかと思います。ですから、この(1)(2)(3)は すべてリンクしますので、年齢階級ごとの議論から開始していただければと思います。 ○垣添座長  わかりました。国際的にこれまでもたびたび御発言いただきましたように、50歳以上 の女性に対しては、欧米では2年に一遍マンモグラフィでという話がほぼコンセンサス として得られているのではないかと思いますが、この辺りに関してまず御発言いただけ ればと思いますが。 ○櫻井委員  ここにいらっしゃる先生方には勿論言うまでもないですけれども、一応、現状どうい う指針で乳がん検診が実施されていて、いつから実施されているかということをもう一 遍復習の意味で事務局から言っておいてほしいんです。現状の乳がん検診が、いつから どういう方針でというか、これは老人保健法に基づく市町村事業ですから、国は指針を 出しているだけで、がん検診が個人的に行われているのであれば、それはまた別ですけ れども、恐らく議論になるのは老人保健法に基づいて市町村がやっているがん検診事業 の問題だと思うので、それに対して国がいつからどういう指針を出しているかというこ とを確認のために事務局から言っておいてほしいんですけれども。 ○垣添座長  わかりました。では、事務局お願いします。 ○椎葉課長補佐  がん検診でございますけれども、老人保健事業が始められた昭和57年度に胃がんと子 宮がんの検診が導入されております。そして、昭和62年度から保健事業第2次5カ年計 画が始められましたが、このときに視触診による乳がん検診が導入されております。そ して、平成10年度にがん検診に関しまして、老人保健事業の一環として国の補助金でや ってきたものが一般財源化ということで、市町村が行う事業として組み替えられまし た。そして、平成12年度から保健事業第4次計画が始められたわけですが、乳がん検診 については、50歳以上の対象者についてはマンモグラフィと視触診の併用が原則としな がらも、地域の実施体制を勘案してマンモグラフィを実施しない場合にあっては、引き 続き、視触診による検診を実施することとしておりました。30歳以上50歳未満の対象者 については視触診単独による検診ということとしております。これについてはお手元に ファイルがございますが、平成15年12月3日の第1回がん検診に関する検討会の資料の 参考資料1が現行のがん検診の指針でございまして、8ページからが、「がん予防重点 教育及びがん検診実施のための指針」でございます。そこの5ページから6ページにか けて乳がん検診とがございます。ここに現在の対象と内容が載っております。 ○垣添座長  櫻井委員、よろしいでしょうか。 ○櫻井委員  それを確認した上で議論を。 ○垣添座長  わかりました。 ○櫻井委員  つまり、現状はこうだということの上で今後の議論が行われるのだと思いますので。 ○垣添座長  そのとおりですね。この検討会が始まる第1回のときに、この検討会に求められてい る目標は、既に久道研究班、その他で明らかにされている日本のがん検診の在り方に関 して現実的にどう対応していくかという、非常に具体的な結論を出すということを目標 にしているということを申し上げたとおりであります。  さて、今の乳がん検診でありますが、確かに大内委員御指摘のように、検診方法と検 診間隔と検診対象年齢、これは相互にリンクした話でありますが、この(1)(2)(3)に関 して年齢階級別に論ずるべきであるという御指摘がありましたが、ちょうど大内委員が 資料を提出しておられますから、この部分が関係すると思いますので、簡潔に資料の御 説明をいただければと思います。 ○大内委員  参考資料2ですが、これは2つの資料がございまして、1つは、放射線被曝によるリ スクについてです。もう1つは50歳未満のマンモグラフィを導入した場合の精度につい てです。  放射線被曝リスクといいますのは、マンモグラフィを使えば明らかにリスクはゼロで はないわけですが、対象年齢を拡大することによってその被曝リスクが蓄積されますの で、この点について整理しておく必要があります。そこで、放医研、埼玉工業大学の方 々の研究論文をここに参考として提出しました。詳しくは後で読んでいただきたいので すが、8ページの図3をごらんください。これは、検診によって得られる救命効果、利 益ですが、それとマンモグラフィ撮影によって受ける不利益、リスクが乳腺の吸収線量 を基に示されております。具体的に申しますと平成9年度の、先ほど今村参考人の出さ れました資料の中にもありますが、日本人での平均乳腺吸収線量は1.5mGyでございま す。それを2年に1回としますと0.75mGyで、この1mSv、これは表記が違っていますけ れども、およそ同じと考えてください。この1mSv以下になります。この線をたどって いきますと、利益とリスクが25歳前後でクロスします。50歳で見ますと、利益がリスク の約110倍です。それから、40歳で見ますと利益がリスクの約80倍という結果でありま す。したがって、放射線リスクは少ないということが言えます。これが第1点です。40 歳代に適用してもリスクは軽微であるということです。  次に、12ページ以降ですが、これは第2回の本検討会において、私のプレゼンテー ションの後に清水委員から質問を受けたことに対する返答になろうかと思いますが、40 歳代の検診においてマンモグラフィに、視触診をなぜ併用する必要があるのかという御 質問がありました。15ページの2段目の右上からですが「大内らによる」という部分で あります。  マンモグラフィ所見の解析では、マンモグラフィ単独での病変発見率は40歳代では76 %、50歳以上では92%となっています。この詳しいデータが後ろの方についています。 後ろから2枚目です。これが研究報告書の中身でございまして、20ページの表1でござ いますが、この表は上が40歳代で、下の表2は50歳以上であります。マンモグラフィ単 独によって発見される群は40歳代を見ますと、合わせて25例で76%であります。これが 視触診を加えることによりまして、91%がマンモグラフィと視触診の併用による病変検 出能ということになります。  一方で、表2ですけれども、これは対象年齢で議論になったときに参考になるかと思 いますが、50〜69歳までのマンモグラフィと視触診のデータを見ていただくと、マンモ グラフィ単独で92%であります。視触診を加えることによって、100%になります。マ ンモグラフィでマイナス、視触診でプラスの3例といいますのは、すべて55歳未満でご ざいます。したがいまして、60歳以上の乳がんについてはすべてマンモグラフィ単独で 検出しております。  以上です。 ○垣添座長  ありがとうございました。今の乳がん検診の方法と検診対象年齢を考える上で非常に 参考になるデータかと思いますが、今の大内委員の資料も含めて乳がん検診の在り方に 関する御発言をいただきたいと思います。  年齢を考えなくてはいけないというのは御指摘のとおりでありましょうから、1つ は、まず議論の少ないところで、60歳以上であれば、今の大内先生のデータからいって もマンモグラフィ単独でよろしいのではないかと思いますが、これはいかがでしょう か。よろしいでしょうか。  それでは、50歳以上となると、国際的にはマンモグラフィ単独でということになって いますが、今の大内先生のデータからしても、50歳以上だとこれも一応マンモグラフィ 単独ということになるんですね。 ○大内委員  50〜59歳までは、やはり現時点では、視触診は外せないと考えます。 ○垣添座長  そういうことですね。60歳以上はマンモグラフィ単独、40〜59歳はマンモグラフィと 視触診の併用が必要であるというのが今の御発表の趣旨かと思いますが、それ以外にこ れまでの検討会でいろいろ御専門の方から御発表いただいた内容、その他を勘案します と、今の年齢階層別のリスク、あるいは検出能力、その他を考えますと、40〜59歳に関 してはマンモグラフィに視触診の併用、60歳以上であればマンモグラフィ単独による検 診という整理ではいかがでしょうか。 ○清水委員  何歳でどちらを使うかということは、結局その効果がどうかということに帰結すると 思うんですけれども、現在の議論は、ある腫瘤があったときにマンモグラフィ単独か視 触診単独かあるいは両方でやったらどちらが見つかるかという議論ですね。だから、見 つかっても効果がなければ、それは意味がないということなりますので、見つかるから 導入するというのは、ちょっと短絡かなと思いました。  それから、質問ですけれども、40歳よりも50歳以上になると視触診での検出が落ちて いるということになるんですが、これは高齢になればなるほど視触診では見つかりにく くなるのでしょうか。そこがわからないのです。若いところでdensityが高くマンモグ ラフィで見つけにくいということはわかるのですが、高齢になると視触診でも見つかり にくくなっている。どうして高齢になると視触診でも見つかりにくくなるのか。どうも その辺がすっきりしないんですけれども。 ○大内委員  これは検出能ですので、先生がおっしゃるように、いわゆる救命効果についての問題 ではないのですが、なぜ50歳以上でも視触診での陰性例が多いのかについては、はっき りした答えはありません。恐らくは同等だと思います。これは、検定すれば有意差は出 てこないと思います。 ○清水委員  同等だというのが先生の結論でございますか。というのは、もう一つは、ここでは視 触診でプラス・マイナスしか書いていないんですけれども、当然腫瘤の大きさにもよる はずなんですね。それが一切無視して表にしてありますので、そこも考慮しないと、ど こで見落としたかということについては議論にならないのではないかと思います。です から、先ほどの20ページの表1、表2から、どらちがよく見つかったという結論にする には、どうも資料が足りないのではないかと思えて仕方がないのです。 ○大内委員  視触診に関する評価は、厚生科学研究富永班の中で、もう10年以上前ですけれども、 かなり詳しく生存率の比較による研究の中で検診受診歴等についても含めて調べていま す。それから、病期ごとにもチェックされているはずです。その中では、詳しく覚えて いませんけれども、年齢階級別に視触診による乳がんのいわゆる死亡率減少効果に差が あるというデータはなかったと思います。 ○櫻井委員  視触診の乳がんの死亡率減少効果がなかったという議論になっているんですけれど も、どう考えても前の報告では、確かに「相応の根拠がある」というI-cの分類であっ て、ないのはI-dではっきりと否定しているんです。だから、もしそうであればI-dで分 類されていなければおかしなはずなのに、全くないというような議論が行われて、さっ きの表は撤回するとおっしゃったから言わなかったんですけれども、斎藤先生がおっ しゃったように、たとえ死亡率減少効果が非常に重要だとしても、完全にないとは報告 も言い切っていないし、それから、更にこの間、岡山県の岡崎先生でしたか、ヒアリン グにありましたように、今までの自己検診で相応の根拠が得られなかった場合にどう考 えるかといったら、やめると考えないで検診方法を改善すれば良い結果が出てくるかも しれないという解決方法も十分あるわけです。レントゲンを撮ることだってそうなの で、精度がきちんとしたレントゲンでなければだめだということが出ているのと同じよ うに、検診方法の改善ということを検討しないで、今までやっていた検診で相応の根拠 がないからやめるんだという議論になるのは絶対におかしいと思うんです。検診の効果 というのはそんなもので議論するのではないということを前から申し上げているんで す。 ○垣添座長  そうすると、櫻井先生としては例えば、乳がん検診の論点整理メモに従うと、乳がん 検診の検診方法あるいは検診対象年齢に関して、どんなふうにお考えですか。 ○櫻井委員  さっき確認してもらいましたように厚生労働省の指針があります。これは平成12年に 指針をつくって、平成13年ぐらいから始めたところなんです。それをまず続けるんだけ れども、今の議論で40歳以下についてもマンモグラフィ併用が進められるという議論が あるのだったら、そこの拡大をして、それで、マンモグラフィ併用の視触診を進める と。当座の間その準備が整わない場合は視触診だけでも続けるということをやりなが ら、それで視触診の方法の改善とかそういうことをやっていくということが一番妥当だ と。だから、今の指針に40歳から50歳からの分と同じ内容を加えればいいと私は思いま す。 ○垣添座長  結局、この次の検診実施体制の機器の整備とかそのところが関係してきますけれど も、マンモグラフィを仮に取り上げるとしても、現実問題としては直ちに対応できない という我が国の状況がありますから、そのことを考えると、今の櫻井委員の御指摘は十 分考慮しなくてはいけない御発言ではないかと思います。 ○櫻井委員  機械の整備だけではないんです。これも前の議論でやったように、検診というのはい かに受けやすいか。何でもない人が受けるんですから。例えば、マンモグラフィを実際 に受けている女性がどれだけ痛い思いをしたり、つらい思いをしているかということを わかっていないと思うんですよ。それから、さっきは機械の話があって、機械が何台あ れば何人できると言いましたけれども、それを撮るレントゲン技師さんをどのくらい整 えるかというような問題とか、すごくいろいろな問題があるので、単に機械がどうだか らという話だけではないということで私は発言しているつもりです。更に、マンモグラ フィというのは当然、最後に読影する医師の問題も入ってくるわけですから、機械があ れば理論的に検診をやれば200人撮れますとか、そういう話ではないと思うんです。 ○垣添座長  それは御指摘のとおりだと思います。基準にかなった機械と、それを撮影する技師さ んの技量とフィルムの現像の問題もありますし、しかもそれを読影する医師の技量の問 題がありますから、非常に複雑な問題ではありますけれども、それを私は一言で「機械 」と申しましたが、意図するところはそういうことですので御了解ください。 ○笹子委員  どこかの資料で先ほどちょっと書いてあったのですが、検診するお医者さんが誰かと いう先ほどの技量の問題について触れさせていただきます。消化器や、一般の循環器の 先生が急遽乳腺の検診に借り出されてやるのではおぼつかない、それは当然ですが、で は、そういう乳腺の検診が十分やれる医者をつくることに努力するべきか、あるいはマ ンモグラフィがちゃんとできる技師あるいは読影できる医者を養成する方のどっちが将 来的に効果が高く望めるだろうかといえば、明らかに後者だろうと思います。なぜ年代 によって触診の効果が変わってくるかというのは、年をとってくると乳房内に線維化変 性が起こってきて、乳腺症というのがバックに必ず出てきますから、触診による診断と いうのは当然加齢によって難しくなるわけですね。そういうことが背景には必ずありま す。私は外科医ですから乳房の触診はたくさんやります。やはりそれは若い人ですと全 体が変性していませんので、固いしこりというのは見つけやすいわけですね。そういう ことを抜きにして、技術だとかどうとかと言ってもしようがない。その背景というもの があって出てきていると思うわけです。したがって、その限られたものの中でどういう 方向で将来を見据えて向かうべきかといえば、やはりマンモグラフィの方が全体として の効果は絶対将来的には意味があるだろうと思います。 ○垣添座長  ありがとうございます。  ほかにいかがでしょうか。 ○大内委員  櫻井委員の御発言のように、私はまず、現行で行われている50歳以上の対象者に対す るマンモグラフィ併用が2年に1回ですけれども、その点について確認をしていただき たい。その上で、40歳代においてどのようにマンモグラフィ導入を図っていくか、その ことの議論を深めていただきたいと思います。40歳代においては、前にもお話ししまし たように、乳腺密度の観点から50歳以上で今行われています1方向撮影では不十分であ ります。ですから、2方向撮影を原則とするとか、そういった観点の議論も必要ですの で、まず、50歳以上についての御確認をお願いしたいと思います。 ○垣添座長  50歳以上の乳がんの検診として、マンモグラフィプラス視触診併用という現行既に勧 告がなされていて、必ずしも日本全国で見ると十分いっていない状況を見据えながら、 この検診体制として50歳以上はマンモグラフィプラス視触診でよろしいかどうか。 ○清水委員  これまでの議論をずっと続けていきますと、50歳以上はマンモグラフィ単独で十分と いうことになるように私は思いますが。 ○大内委員  そこは60歳以上ということで、私は研究班の中間報告でも基準案として出させていた だきました。50〜59歳については、視触診はまだ外せないという結論です。 ○櫻井委員  今、60歳以上の部分がもし問題になるとすれば、確かに乳腺症がどうという話はある のでしょうけれども、検診と最終的に乳がんの診断をつけるという話ではなくて、大変 俗っぽい言い方をすれば、どうやってしこりを見つけるかということだと思うんです。 まさに自己検診の勧めというのはそうなのだと思うので、その上で更にそれがチェック されて、それがどうだったかという、それが検診なんだということと、さっきおっしゃ ったように、確かに最終診断するには乳がんの専門の先生が必要なんですが、検診とい うのは岡山県の方式でも言えるように、ある程度、何時間かの研修だけでもぐっと発見 率が上がっているという事実が出ているわけです。それから、これはいろいろなことが あるわけですけれども、実際に検診の受診率が低いということで私みたいな内科の医者 のところへも、ひどい進行がんが放置された人が来たりしているわけですから、そうい う見落としもないためには、やはり少なくとも視触診という、自己検診を進めるのも結 構でしょうけれども、自己検診でさえ岡山県の発表では視触診を実施するときに一緒に 自己検診の指導をする、これは朝日新聞のコラムにも出ていました。実際にモデルとい うかそういうものを使って触ってみて、どこにあるかわかりますかというのをやって、 それを女性のコラムニストが、1つ見つけてこんなの簡単だと思ったら、実は1つは見 落としていたということが書かれていたんですけれども、そういうことをやること、つ まり一種の健康教育というか、そういうことも視触診をやっていれば進められる。それ で、だんだんに機械がそろったり、レントゲン技師がそろったり、いろいろなことが整 えば将来は完全に併用方式に移行するということで現状方式でやるということを、た だ、40歳から50歳の話が出ていたから、私はその部分を拡大すればいいのではないかと 申し上げました。 ○遠藤委員  ただいまの櫻井委員の御発言の中で、検診はしこりを見つけるんだという前提があっ たように拝聴したのですがよろしいでしょうか。マンモグラフィを使う場合は、しこり がどうしても触らないという段階でも見つかるというところが……。 ○櫻井委員  私が言ったのは視触診でという意味です。 ○遠藤委員  はい。それが、マンモグラフィ導入の利点でございますので、必ずしもしこりを前提 ということではなくて、早いがんを見つけるという前提での検診ということで御議論を 進めていただきたいと思います。 ○櫻井委員  私は、視触診で見つけるのはしこりを見つけるという意味で言ったんです。検診全体 を言ったのではありませんから、私の言い方が悪かったのだと思いますけれども。 ○垣添座長  マンモグラフィは今、遠藤委員が御指摘のように、あるいはこれまでたびたび御専門 の方から御発表のように、腫瘤として触れない石灰化を検出する極めてすぐれた方法と いうことでありますので、その部分の意見の一致はいただけるかと思います。 ○田中委員  この検診が今現実にできることと、それから、将来あるべき姿、そのための見直しだ と思いますので、やはり40歳以上のマンモグラフィと視触診の併用というのは明記すべ きで、このような方向に検診体制を持っていかざるを得ないと思います。ただし、それ が現時点でできるかというと話は別だと思います。 ○垣添座長  そのとおりですね。私が現状の体制ということをたびたび申し上げているのはそうい うことで、ここで決めたからといって直ちに日本全国でできるという状況にはないとい うことを踏まえながら、しかし、将来を見据えて結論を出すということがこの検討会に 求められている結論かと思いますが、もし、差し支えなければ、この乳がんの検診に関 して、50歳以上に関してはマンモグラフィと視触診の併用ということでよろしゅうござ いましょうか。 ○清水委員  私にはどうしても50歳以上で併用しなければならないという理由がよくわからないの です。マンモグラフィだけで十分ではないか。まだ数字がはっきりわからないんですけ れども、先ほどの笹子先生の御意見を踏まえますと、視触診が要るのはむしろ40歳代で あって、高齢者では視触診がそれほど機能しないのではないかという印象も受けまし た。笹子先生は数字ではなくて経験談をお話しになったと思いますが。併用しなければ ならないという結論になるのが、私にはどうもわかりません。マンモグラフィで十分。 視触診を併用する人的・経済的な費用をマンモグラフィ充実に向けた方が効果的である と私は思います。 ○垣添座長  40歳代に関してはいかがですか。 ○清水委員  40歳代に関しては、視触診に関するこれまでの死亡減少効果のデータが出ていないと いうところで首をかしげるのですが、先ほどの大内先生のお話によりますと、発見とい うことだけに限って言えば、40歳代ではマンモグラフィではdensityの影響でなかなか 見つからないところがある、視触診でしか見つからないというのがあるということです ので、それを考えると40歳代には視触診をむしろ導入した方がいいかなと今、揺れてい るところです。50歳以上には、私はマンモグラフィ単独の方がいいと思います。 ○櫻井委員  ちょっとよろしいですか。マンモグラフィ単独の方がいいという根拠は何なのでしょ うか。 ○清水委員  視触診での効果が私にはよくわからないということと、視触診に掛ける人的・経済的 な費用をマンモグラフィに注いだ方が、日本のためにいいと思ったからであります。 ○櫻井委員  お金の話を是非持ち込まないでほしいんです。検診というものの意味をよくわかって ほしいんです。検診というのは、国民が自発的に受けやすい状態で受けられること、そ の前提があることが検診なのであって、積極的に誰か病気の人が来て治療するとかそう いう話とは全く違うということが、おわかりになっていないのだと思うんですよ。だか ら、検診の効果というものをきちんと考えて議論していただかないといけないと思いま す。 ○清水委員  失礼しました。視触診という方法があるということを国民の皆様にお知らせして、そ れを望む方があればやっていただいてよろしいですが、国あるいは県そのほかの行政が やるべきだというふうに言うことではないのではないかと私は思いました。 ○笹子委員  恐らく、先ほどもちょっと言いましたけれども、自己検診をするレベルと専門でない 医師が検診として視触診をするときのレベルの差が、年をとってくるほどなくなってい くというようなことが、多分あるのではないかと思います。欧米では非常に大きな乳房 の方々がマンモグラフィ単独で検診がやれているということは、それだけ携わっている 技師とか撮影方法とかいろいろな精度管理の面、今このデータが出てきているときのバ ックグラウンドとなっている機械の設備、それから、読影する医師、その他全部含めた ものが、もう少し進んだ段階にあるのかなという感じがするのです。日本人であれば、 若い人でも見落としがもっと少なくてもいいのではないかという気がするんですけれど も。 ○垣添座長  視触診の技術の向上ということに関しましては、先ほど来の櫻井委員が御指摘のとお りですし、それから、これまでの参考人の御発言にもありましたから、視触診を取り入 れる場合には研修、その他、そういう技術の向上というのは当然の前提として御議論く ださい。 ○大内委員  放射線科医の遠藤先生の方がふさわしいかもしれませんけれども、今の笹子先生の御 意見の中で欧米人と日本人の乳房の比較ですが、欧米人はほとんどが脂肪性でありま す。dense breastというのがそう多くありません。ですから、欧米人ではマンモグラ フィ単独ということがあり得るのです。日本人女性は乳腺実質が多くて、50歳代も最近 ホルモン補充療法を行っている方がかなり多いということで、相当densityが高いです。 そういう意味で乳がんの検出率が落ちると言えます。欧米人と日本人のデータで比較し ても明らかに日本人の方がdensityが高く、そういう意味から、やはり視触診の意義と いうことがそこに残ってくると思います。 ○垣添座長  遠藤委員、何か御発言ございますか。 ○遠藤委員  そのとおりでございます。 ○垣添座長  ほかに御発言ございましょうか。 ○渡邊委員  検診というのは私の理解ですと、多分false-positiveがあってもいいと。 false-negativeをなるべく減らすことが一番のねらいではないかと思うんです。そうい う意味では、手持ちの診断方法としてはマンモグラフィと視触診があって、どちらも相 補的な関係にあるのであるならば、これを外すわけには多分いかないのではないかと思 います。 ○垣添座長  ありがとうございました。  ほかに御発言ありましょうか。 ○土屋委員  確かに、マンモグラフィの効果は清水先生がおっしゃるようなことは理論的には言え ると思うんですが、先ほど今村参考人にお示しいただいたマンモグラフィの現状からい くと、今のような理想的なマンモグラフィ単独でやるという体制に持っていくにはかな りの努力が必要ですし、期間も明日できるという問題ではないというのが今日の御報告 ではないかと思うんです。そうしますと、やはり現状で視触診で見つかっているものが 数としてたくさんあるとすれば、やはり当面何をやるかと言えば、マンモグラフィの導 入ということがあり得ますけれども、いきなり視触診を全くなくすというのは現状から は難しいのではないかという気がいたします。 ○垣添座長  ありがとうございました。  ほかに御発言ありましょうか。よろしいでしょうか。  今の御議論を聞いておりますと、乳がんに関しては50歳以上はマンモグラフィと視触 診併用、それから、40歳代に関してこれまでは特に規定はなかったわけですけれども、 この検討会としてはマンモグラフィを導入すると、それに加えて視触診も併用するとい う結論でよろしゅうございましょうか。当然のことながら、マンモグラフィの実施に関 して言えば、機器の整備とか技師あるいは医師の技量の向上というのが前提になります し、視触診に関しても技術の向上に関する研修等の重要性は揺るがないということがあ ります。それから、もう一つ自己検診に関して、これを否定するものでは決してないと いうことでありますが、そういう取りまとめでよろしゅうございましょうか。 ○清水委員  附帯というのは変ですけれども、少なくとも我が国では視触診での死亡率減少効果が 認められておりませんので、関係の先生方にこれを行政として普及させるからには、き ちんとした証拠を示していただく努力をお願いしたいと思います。 ○櫻井委員  何度も申していますように、相応なという結論なので、私は今後、視触診による死亡 減少効果が本当にどうかということは、さっき申し上げたように視触診のやり方の改善 とかそういうことも含めて、あるいはきちんとした割付ができれば一番いいけれども、 日本では視触診だけやって何年か待ちましょうというわけには、なかなかいかないでし ょうから難しいのでしょうけれども、それをきちんとやるべきだと思います。前の報告 を踏まえた上でも、さっき申しましたように、確認をした現在の指針を出したというこ とは、国もあるいはそのときに参加された学者の先生も、それが正しい方向だとお考え になったわけで、そうでないなら平成12年のときに既に変更していなければいけないん です。併用とかそういういろいろなことを。  それから、何回も言いますけれども、検診というのは机の上で受けた人のパーセント がどうだという話ではないんです。まだ、受けていない人が80%もいる現状とか、そう いうものをどう考えるかということを考えて検診の効果を考えなくてはいけないという ことを是非忘れないでいただきたいと思います。机の上で数字だけ並べて何か言ってい る場合ではないんです。検診というのは実践なんですから。 ○大内委員  清水委員の御意見は将来的な意味で十分検討すべきことだと思います。マンモグラフ ィ単独検診についての余地は、附帯事項として記載すべきだと思います。特に60歳以上 においては、ほとんどマンモグラフィ単独でもいけるというデータがかなり出ています ので、そういったことを踏まえて、将来性も含めてマンモグラフィ単独検診への検討と いうことを考えていただきたいと思います。 ○垣添座長  マンモグラフィ単独検診に関することを附帯条項として記すということですか。 ○大内委員  そうですね。 ○田中委員  ちょっと座長の御説明で理解できなかったんですが、視触診単独はあくまでもテンポ ラリーのものとしての取扱い、あるいはそれとも将来的にもずっと残すということです か。 ○垣添座長  そうは申しておりません。ですから、この検討会としてはマンモグラフィを導入する ということを明確にする。ただし、いろいろな事情もありますから、視触診を併用して いくと。それから先、視触診をどうするかということに関しては、また別な課題になる のではないかと考えています。よろしゅうございましょうか。  あと、検診間隔、検診頻度と言いましょうか、毎年、隔年あるいは3年ごとというの が一応この取りまとめの中に入っておりますが、これに関してもう少し御議論いただけ ますでしょうか。欧米でも多くは2年ごとというような形で実施されているようです ね。我が国でこれをどうすべきかということに関して御発言がありましたら、お願いい たします。 ○大内委員  まず、第2回の資料で示しましたように、研究班の基本的な案としましては、50歳以 上も40歳代も含めて2年に1回の隔年検診というものを提言しています。その根拠とし まして、費用効果分析あるいはリスク効果分析等に基づいております。 ○垣添座長  隔年検診では具合が悪いという御意見の方はおられますか。 ○田中委員  現状では受診率がそれほど高くないことを見ますと、一般住民の方々が隔年検診にす ると、なお受診率が下がるということはございませんでしょうか。例えば、新潟県にお いては子宮がん検診を前は通年受診することができたんですが、検診時期を3か月ぐら いに限ると、それだけで受診率が下がったという経緯がございましたので、それも御高 配いただければと思っております。 ○大内委員  宮城県あるいは仙台市における隔年検診の実施状況で見ますと、特に仙台市医師会が 平成13年度から導入していますが、隔年にすることによって受診者数が減ったかといい ますと逆に増えています。それは恐らく、市民へのそういった情報提供の在り方もあり ますが、具体的にマンモグラフィ併用検診というものがすぐれたものであるということ がわかれば、検診間隔ではなくて、そのプログラムに沿った受診者が増えると思ってい ます。受診者は、初年度1万3,000人程度だったのが、2年目には1万7,000人。今年度 は2万人を超えようとしています。 ○垣添座長  それは当然、別な人たちが受けているということですね。 ○大内委員  2年に1回ですので、例えば、今年度受けた人へは来年度は検診の案内通知が行きま せん。それでも受診者が増えているということです。 ○土屋委員  今、隔年かどうかで受診率という話が出たんですが、受診率の向上そのものを考える のであれば、やはり若い方を対象に広げていくということを考えますと、女性の就業率 が上がっているということと併せますと、やはり検診の時間というのが大きな問題だろ うと思うんです。アフター5かあるいは土日やれば、こういう方が受診できるので、日 中で幾ら努力しても受診率が上がらないのではないかと思います。 ○垣添座長  受診率の最後の向上、(5)の部分に関係する御発言かと思いますが、実施する上での 問題はありますけれども、御意見はおっしゃるとおりだと思います。  検診間隔に関してこれまでの議論からしますと、隔年ということでよろしゅうござい ましょうか。               (「異議なし」と声あり) ○垣添座長 ありがとうございます。  そうすると、受診対象者に対してどういう働き掛けをするか、最後の啓発普及あるい は受診率の向上に関して御意見がありましたら、お願いします。これは行政としては何 か御発言ありますか。 ○麦谷老人保健課長  前回、お約束したアメリカ合衆国の受診率の件ですが、アメリカが7割近くて、我が 国が十数%というその差は何かというプレゼンテーションをお願いするということでし た。そこで、アメリカのThe Susan G. Komen Breast Cancer Foundationに連絡を取っ ておりますが、本日は間に合わなかったものですから、次回には必ずアメリカの受診率 がなぜ向上したかという沿革と実情を、どなたかに来ていただいて発表していただきま す。それをお聞きになってから、日本ですぐできるかどうかわかりませんが、どうした らいいかというのをまた考えていただきたいと思います。 ○垣添座長  ありがとうございます。  検診間隔については一応2年ごとということに関して、実際に働きかけをする部分は どうするかということに関しては、一応この場では結論を出さないでおくことにいたし ましょうか。よろしゅうございましょうか。  それでは、時間が大分押してまいりましたが、2番目の子宮頸がんに関して御発言い ただきたいと思います。まずは、これまでの主な意見として子宮頸がんの部分、資料3 の2ページにあります内容でよろしいでしょうか。特に委員の皆さんから過不足ないと いうことでありましたら、これまでいただいた意見の取りまとめとして、子宮頸がん検 診に関して論点整理メモの2ページ、検診頻度、毎年にするか、隔年にするか、3年ご とにするか。それから、検診対象年齢を20歳以上にするか、25歳以上にするか、30歳以 上にするか。それから、受診率の向上をどうするか、この辺りに関して御意見をいただ ければと思いますが、まず、検診頻度に関してはいかがでしょうか。 ○斎藤委員  前回、田中委員だったと思いますが、エビデンスを調べてみるべきではないかという 御発言があったと思うんですけれども、私は婦人科は専門外ですが最近の論文を調べて みました。そうしますと、昨年注目すべき論文が2つ出ておりまして、『The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE』と『British Journal of Cancer』ですが、1つは 後ろ向きコホート研究で、94万人のややハイリスクの集団で年齢階層別の有病率を測定 しています。それを用いてモデル集団にいろいろな検診で行ったときの前がん病変やが んの発見率を推定しています。2番目の方は、症例対照研究で1,305組の症例対照の受 診歴を解析しています。  結果を簡単に申し上げますと、前者の研究では30〜64歳までの人で3回以上続けて Pap smearがマイナスの場合は、その後のがんリスクというのは30歳代、45〜60歳、60 歳以上のそれぞれで10万対1〜2ということなんですね。非常に低い。これを3年更に あけた場合どうなるかというと、それが10万分の3上がるだけであると。したがって、 3回続けて陰性の場合には、その後3年開けるrationalがあるというふうなことです。  2番目の論文に関しましては、やはり年齢階級別にリスクを計算しているんですが、 若い年齢ではリスクは余り低下しないんですが、中年以降は1回のPap smearがマイナ スであると、その後のリスクの低下が非常にはっきりしているということです。それぞ れ30%から70〜80%のリスクの低下がありまして、特に40歳以上を取り上げますと1 年、3年、5年のリスクの低下は70〜85%で、毎年ことによる利益が3年ごとにやるも のに比べてそれほど大きくないという結果です。  これら2つを総括しますと、これは私の統括ですが、年代によって同じようなスクリ ーニングのrecommendationをするよりは軽重をつけるという根拠と、それから、Pap smearが続けて陰性の場合は、その後のリスクは非常に低いということで、こういった 過去の受診歴、それから、年齢といったことを加味した検診間隔の設定ということが可 能ではないかと思います。 ○垣添座長  ありがとうございます。今のは、どちらも最近の論文ですね。 ○斎藤委員  そうです。どちらも2003年です。 ○垣添座長  なるほど。検診間隔を設定する上で非常に貴重な論文だと思いますので、もしよろし ければ次回でも簡潔な資料として御提出いただければ、委員の方に参考になると思いま す。  今の口頭で御説明いただきました斎藤委員の御指摘も含めて、もう少し御議論いただ ければと思います。欧米、特に米国では3回続けて陰性だったら、たしか3年に一遍と いう形でやっているかと思います。今の斎藤委員の御発言はそれを支持するような形の 最近のかなり大量の症例を対象にした解析の結果と理解いたしましたが、何か御発言あ りましょうか。 ○櫻井委員  検診の1つの意義は、これは考え方なんでしょうけれども、やはり進行がんを見落と してしまうというのが一番困る。早期がんでも見落とすとはよくないことですし、早期 がんなら見落としていいとは言っていませんが、進行したものを見落とすのは怖いとい うことが非常に強くあるのではないかと思っています。特に、私は専門ではないからわ かりませんけれども、当然早く見つけた方がいろいろな意味で後々の対応としてもQO Lの確保も含めていいはずなんですが、検診間隔と見つかるがんのステージの問題とい うのは余り関係ないのでしょうか、それともそういうことはあり得るのでしょうか。こ れは御専門の先生に教えていただきたいと思います。 ○垣添座長  どなたかお答えになられますか。 ○田中委員  通常は、子宮頸がんは上皮内がんから進行がんにまで移行するには2年か3年かかる と言われておりますので、ケース・バイ・ケースだと思いますが、今、斎藤委員が言わ れた2年あるいは3年という間隔はreasonableだと思います。  ただし、私が1つ懸念しておりますのは、30歳、40歳代以上の方は、それでいいので はないかと思いますが、今は若年者、特に10歳代、20歳代に急激に増えております。そ の若い人たちに対する教育的な観点から見て、3年に一遍の感覚で良いと言うと、まだ 検診に行かなくてもいいわと思われるとまた困る。その辺の教育的な効果ということを もう少し考えた方がよろしいのではないかと思っております。 ○垣添座長  その点で、最初に例えば3年続けて陰性だったらという御発言は非常に重要なのでは ないかと思いますが。 ○斎藤委員  ちょっと説明が足りなかったんですが、2番目の症例対照研究は、30歳代については それを言っていないです。30歳代では浸潤がんも出てくるということで、40歳以上につ いてはそういう勧告ができるだろうという解釈をしていますけれども、30歳代について は間隔をあけることについてはかなり控え目な言い方です。 ○垣添座長  この場合もやはり年齢が関係するわけですね。なかなか難しい問題ですね。 ○清水委員  私も斎藤先生のお話に基づいて、30歳代、40歳代ですか、3年OKだったらあとは3 年ごととか、その考え方に基本的に賛成です。 ○垣添座長  その年齢はどうされますか。 ○清水委員  若いところは、もう少し厳密にやらないといけないのかなと思っておりますが、なぜ かと言われると、決定的な根拠はありません。なぜそうしなければならないかというの は、その辺になってきますと私自身の根拠がぼけてきます。しかし、先ほどの乳がん検 診のことも含めて、私の考え方の自己弁護をするようですが、私が疫学をやっているか らかもわかりませんが、机の上で数字の確率を基にしております。先生方が今、言われ ております3年やって陰性だったら、3年ごとでいいかというのは、その後は確率が極 端に減るからなんですね。それだって、1人の人のfalse-negativeがあってはいけない と言えば、それから後も毎年毎年やらなければならない。お金のことを無視したら、毎 年毎年やらなければならない。だけれども、それは投ずるお金、合理性、そのほか効 果、確率的に考えて、余り効果がないだろうとおっしゃるから3年飛ばしてもいいとお っしゃった。先ほどの乳がんのときには、そういうことは言ってはいけないと言われな がら、子宮がんのときにはそちらを導入するというのは、理屈の上ではおかしいと私は 思います。 ○櫻井委員  まさにおっしゃるとおりなので、やはり毎年やった方がいいんだったらいいと言って 欲しい。その確率はこうだということを皆さんはおっしゃればいいんです。実際にやる のは行政がやるのですが、行政が予算に組めるかどうかは行政がそのデータを合わせて 考えればいいことですから、おっしゃるように3年やって放っておくとこういう確率 で、でも毎年やったらこうだと。例えば、そうしたら1人のがんを見つけるのに1,000 万円掛かりますよという話になるというだけのことですから。 ○清水委員  ですから、私は乳がんのときも子宮がんのときも確率を基にした同じ根拠に基づい て、同じトーンで話しているつもりです。ですから、乳がんも3年に一遍でもOKと言 っております。 ○垣添座長  今の頻度の問題は置いておきまして、対象年齢。これまでの御発表で日本人の若年者 の子宮頸がんが急激に増えているということがあって、今は30歳以上ということを対象 にしていますが、この年齢を下げるべきではないかということで、それに関しては御賛 成をいただいているかと思いますが、実際問題として例えば20歳以上にするのか、25歳 以上にするのか、この辺りに関して御発言があったらお願いします。 ○田中委員  極端な意見かもしれないんですが、性交渉との関連があると言われております。ま た、その教育をするなら、年齢ではなくて当然個人差があるわけです。ですから、性交 渉が始まったら検診を受けると。平たく言えば、コンドームが必要になったらがん検診 というような体制の方が、よりpracticalではないかと思っておりますが。 ○垣添座長  それは非常に説得力のある話ではないかという感じがいたしますが、ほかに御意見あ りましょうか。 ○安達委員  検診ということで考えれば、私は20歳が良いと思っております。実際に今の性交開始 年齢を考えますと、18歳で40%を超えてきているわけですので、初交年齢も人によって いろいろ違っていますし、一概に言えなくて、もっとずっと早い方もいらっしゃるわけ です。  あともう1つは、20歳代で始めていただきたくて、それが20歳がいいか25歳がいい か、いろいろな問題はあるかと思うんですが、やはり1つのけじめとして20歳というも のが検診の窓口を広げる点から言ってもよろしいのではないかと思っております。 ○垣添座長  その場合、性交渉の問題は抜きにしてということですか。 ○安達委員  結論から言うとそういうことになります。勿論それを考えているからこそ、20歳とい う設定を挙げさせていただきました。 ○垣添座長  ほかに御発言、御意見ございませんか。 ○大内委員  有病率のことを第3回の本検討会でもお伺いしましたが、がん検診になじむか、なじ まないかの最初の前提として、それが国民にとって重大な健康事象であるかどうかが入 り口にあると思うんです。また、費用効果とか言うと櫻井委員におしかりを受けそうで すが、まず、25歳以上なのか、20歳以上なのかについての議論の中で確認していただき たいのは、その有病率であります。厚生労働省がん研究助成金の研究班に津熊班があり ますが、その最新のデータで子宮がんの罹患率を年齢階級別に見た場合、20歳代では3 名弱です。25歳で8名ぐらいになっています。ですから、そういった観点も含めて議論 しないといけないかと思います。先ほど来、議論になっています40歳代のマンモグラフ ィ導入による乳がん検診ですが、40歳代の乳がんの罹患率、有病率は、人口10万人対120 〜150名ということになっています。 ○垣添座長  この検討会としてそれぞれがんに関する結論を出していく際に、それぞれにきちんと したエビデンスをつけるような形で結論をまとめていきたいと思いますので、今の大内 委員の御指摘は当然、有病率を考えながら対象年齢あるいは検診間隔を決めたという根 拠になりますが、それは是非そうしたいと思います。  今の大内委員の御発言からすると、子宮頸がんに関して言えば、25歳以上が有病率の 観点からすると妥当ではないかという御意見と伺ってよろしいですか。  ほかに御意見ありましょうか。しかし、これはなかなか難しいですね。 ○斎藤委員  前回か前々回の繰り返しになりますが、さっき田中委員のお話にも出てきましたけれ ども、やはり若年が問題になっているのは、上昇してはいるということなんですが、ま だそれほど高いわけではないんですね。しかし、対策はしなければいけない。そのとき に、検診を検討するのは勿論いいのですが、また繰り返しになりますが、まず一次予防 の教育が必須だと思います。 ○垣添座長  それは、この検討会の報告書の中で必ず入れるべき話だと思います。どうもありがと うございます。前々回でしたか、前回でしたか、田中委員からも御指摘のあったとおり だと思います。この啓発あるいは教育の部分が、受診率向上だけではなくて子宮がん検 診の若年齢に対するシフトという観点からすると、その部分が非常に重要であると私も 考えております。  さて、一応の結論として、30歳以下にするのはよいとして、それを20歳以上にするか 25歳以上にするか、その辺りに関してこの検討会としてどういたしましょう。あるいは そういう年齢規定をしないで、性交渉の開始という観点でまとめるか。 ○笹子委員  年齢を決めても結局、受診をするかどうかは本人が決めるわけですね。したがって、 リスクの教育を一緒にして、20歳から検診の案内通知を出すというのがよろしいのでは ないでしょうか。自分でリスクが高いと思う人は受ける、そういうシステムでいいので はないですか。 ○垣添座長  非常に現実的な対応ですね。 ○安達委員  私の申し上げたのは、まさに笹子委員の意見と同じです。性交渉開始時に、検診の案 内通知をどうやって出すかという問題があるわけで、これは全く自分にしかわからない わけですから、そういうことは現実的にはなかなか難しいことです。実際に先ほど言い ましたが18歳で性交経験者は大体40%以上になってきている時代です。地域差もありま すが、20歳になりますと60%を超えるような形になります。さっきの教育の話ですが、 20歳で検診をするということで自分のリプロダクティブヘルスについても考えていただ くという1つのチャンスにもなります。前回も申し上げましたが、やはり妊娠したとき に初めてがんが見つかるというようなことは、本当は私たち臨床家としてはあってほし くないと考えます。窓口を広げる意味では、妊娠の最初の診断のときに勿論がん検診は していただきたいんですが、そういうような支援システムは欲しいんですけれども、そ の前にチェック機構があった方が良いと思います。ただし、それに関しては自分が性交 渉も全くなくて、リスクがないと判断すれば、20歳のときに検診の案内通知があっても 自分の判断でもって受けないということがあるかもしれません。 ○垣添座長  ありがとうございます。  そうしますと、子宮頸がんの検診に関しては20歳以上の方に御案内を差し上げると。 それを受けるか受けないかに関しては、その検診の案内通知をもらった方が考えるとい うことにいたしましょうか。よろしいでしょうか。               (「異議なし」と声あり) ○垣添座長  ありがとうございました。  そうすると、もう一度戻って、検診間隔に関してもう少し御発言いただけますか。 ○笹子委員  先ほどの資料の中にも、低リスクの者では3年連続してマイナスであればというよう なことが書いてありましたが、こういうようにすると結局、かなり個別化してリスクを evaluationしているものの1つのファクターが3年連続マイナスということですよね。 そうすると、例えば、ヒトパピローマウイルスの感染とかいろいろなリスクファクター のようなものを加味して決めるという方法はないのですか。 ○垣添座長  でも、検診となるとそれはなかなか難しいのではないですかね。学問としてはおっし ゃるとおりだと思うんですけれども。やはり非常にわかりいい形になっていないと、受 けていただけないというところがあると思いますから。 ○櫻井委員  もし3年連続したら3年おきでいいというようなことを論じたとしても、それこそ相 当教育が必要ですよね。つまり、検診の案内通知だけ3年続けてきて、その後来なくな ったということではないでしょうから、3年連続して陰性だったということをどうやっ て確認して検診の案内通知を出すとか、さっきの20歳代の人に検診の案内通知を出して 性交渉のある場合あるいは多い場合とか、そういう場合には受けなさいということを勧 めるのと同じように、今までどおり毎年検診の案内通知を出して、しかし、何歳以上と いう、それは先生方が学問的に決められるんですけれども、何十歳以上の人は3年間連 続で陰性になった場合には、その後は少し間を開けても結構ですよというような話がそ こに書いてあるということでいいのではないですか。そのあとは自己の判断しかない。 ○遠藤委員  今の議論を拝聴しておりますと、マンモグラフィ検診におきましても、年齢でスパッ と切るというわけにはいかない部分があるのを承知で年齢ということで議論してまいり ました。将来的には、かなり検診の個別化ということ、非常に若い方でもマンモグラフ ィ単独でも保障ができるほど脂肪性の乳房になられる方もいらっしゃるということ、そ れと議論が同じようなところにあるかと思います。現実にはまだ教育が普及していない ということで、そこの個別化までは行かないのではないかと思いますが、将来的な方向 としては、そういう個人個人の健康状態あるいはリスク等について、全体的に教育でき るようなというのが検診のゴールというか、1つの要件ではないかと思います。方向性 としての発言ですが。 ○垣添座長  ありがとうございます。 ○今村参考人  座長、よろしいですか。伺いたいことがあるのですけれども、子宮頸がんは存じませ んが、言わば30歳代以上、40歳代以上の検診でも受診率は非常に低い状況だと思いま す。更にそれを20歳代に下げましたら、何といいますか、若い女性の感覚として果たし てまともにとらえて受診を受けるのかなという心配があるんです。検診方法として、例 えば郵送法なりそういったものは開発されているものなのでしょうか。全然存じません ので。 ○垣添座長  今村参考人の御質問は非常に現実的な御質問で、一般の方からすればそういう疑問を 持たれるのは当然だと思うんです。ですから、20歳代に下げたとして、いわゆる検診を 受けることの羞恥心みたいなものをどうするか。それを克服するために郵送法とか簡便 な方法はないのかとか、そういう方法論上の工夫もあるべきではないかという御指摘だ と思いますが、何か御発言いただくことはありましょうか。 ○田中委員  郵送法というのは、結果を郵送ということですか。 ○今村参考人  いいえ、申しましたのは、標本といいますか採取した検体でございます。 ○田中委員  実は昔、タンポンを入れてそれを送ると、がんが診断できるというのがありました が、現在、それは有効性の観点では認められていません。ですから、現実はPap smear をやる、あるいはコルポスコープで診るということがベストだと思います。また、私の 経験では、若い女性には教育を受けられている方はたくさんいらっしゃいますので、今 村参考人が言われたようなことは、そんなに心配されなくてもよろしいのではないかと 思っております。 ○垣添座長  ありがとうございました。  ただ、この検討会で結論を出しても受診率が全然向上しないということになると検討 した意味がありませんので、非常に現実的にということを繰り返しお話し申し上げてい ますけれども、意味のある結論を出したいということで御議論いただいているわけです が、そろそろ時間になりましたので、この検診間隔あるいは検診頻度に関しては、次回 に持ち越させていただきます。それから、子宮体がんの議論に関しては本日できません でしたので、これも次回に持ち越させていただきます。  いずれにしましても、これまでまとまった部分に関して言えば、報告書の素案のよう なものを、部分的ではありますけれども、事務局の方でつくり始めていただけませんで しょうか。例えば、こういうことに決めたということに関しては、その背景となるエビ デンスをつけるような形で取りまとめていただければと思います。  それから、乳がんに関しても子宮頸がんに関しても、教育の重要性というのは繰り返 し御指摘いただいておりますし、それから、研修の重要性ということもありますので、 その部分も含めた報告書の形にしたいと思いますので、その辺もよく御配慮いただけれ ばと思います。  それでは、座長の不手際で予定された議論が十分尽くせず、誠に申し訳ありませんで したが、一応、予定された時間ですので、本日の検討会はこれで閉じさせていただきま すが、事務局から何かありましたらお願いいたします。 ○麦谷老人保健課長  どうもありがとうございました。  実は、次回は3月12日の午前10時ということで予定しています。座長から今日の冒頭 で御説明があったように、ここでまとまれば12日は報告書を皆さんに見ていただいて終 わる予定だったんですが、今日の御議論で議論の持越しがございますので、12日にすべ て終わるというわけにはなかなかいかなくなりましたので、もしできましたら、恐縮で すが、今日この場で3月中にあと1回日程をご了解いただければと思います。 ○垣添座長  予備日をとってありませんでしたか。3月18日。 ○麦谷老人保健課長  それでは、予備日でございましたけれども、3月18日の15時、1週間しか間隔はあり ませんが、そこを活用したいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○垣添座長  そのように御準備いただければと思います。  以上でよろしゅうございましょうか。  それでは、これで閉じさせていただきます。どうもありがとうございました。                                      以上                         照会先:老健局老人保健課                         担当者:西村泰人                         連絡先:03-5253-1111 内線3946