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生活保護制度の概要


1 目的
 ○ 生活に現に困窮している国民に、その困窮の程度に応じ必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立の助長を図ること。

2 対象者
 ○ 資産、能力等すべてを活用した上でも、生活に困窮する者。
 各種の社会保障施策による支援、不動産等の資産、扶養義務者による扶養、稼働能力等の活用が保護実施の前提。

 ○ 困窮に至った理由を問わない。

3 保護の内容
 ○ 保護は、生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助及び葬祭扶助から構成。
 医療扶助及び介護扶助は、医療機関等に委託して行う現物給付が原則。それ以外は金銭給付が原則。

 ○ 各扶助により、健康で文化的な生活水準を維持することができる最低限度の生活を保障。扶助の基準は、厚生労働大臣が設定。

(平成15年度生活扶助基準の例)
  東京都区部等 地方郡部等
標準3人世帯(33歳、29歳、4歳) 162,490円 125,940円
高齢者単身世帯(68歳) 80,980円 62,760円
高齢者夫婦世帯(68歳、65歳) 122,180円 94,690円
母子世帯(30歳、9歳、3歳) 158,960円 123,200円

4 保護の実施機関
 ○ 都道府県知事及び市町村長により設置される福祉事務所の長。

5 保護受給に至る手続
 ○ 申請による場合
事前の相談
―→
保護の申請





保護費の支給
生活保護制度の説明
生活福祉資金、障害者施策等各種の社会保障施策活用の可否の検討
預貯金、保険、不動産等の資産調査
扶養義務者による扶養の可否の調査
年金等の社会保障給付、就労収入等の調査
就労の可能性の調査





医療機関への入院、保護施設等への入所

 ○ 職権による場合
行き倒れ等
―→
急迫保護
(職権保護)
―→
医療機関への
入院、保護
施設への入所
―→
事後の要否判定
預貯金、保険、不動産等の資産調査
扶養義務者による扶養の可否の調査
年金等の社会保障給付、就労収入等の調査

6 保護の要否の判定と支給される保護費
 ○ 厚生労働大臣が定める基準で測定される最低生活費と収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に保護を適用。最低生活費から収入を差し引いた差額を保護費として支給。
※ 収入:就労による収入、年金等社会保障の給付、親族による援助、交通事故の補償等を認定。

図

 ○ 収入としては、上記のほか預貯金、保険の払戻し金、不動産等の資産の売却収入等も認定するため、これらを使い尽くした後に、初めて保護適用となる。

7 保護適用後の調査及び指導
 ○ 世帯の実態に応じ、年2〜12回の訪問調査。
 ○ 収入・資産等の届出を義務付け、定期的に課税台帳との照合を実施。
 ○ 就労の可能性のある者への就労指導。


最低生活費の体系

 ○ 最低生活費を計算する尺度となる保護基準は、厚生労働大臣が、要保護者の年齢、世帯の構成、
 所在地等の事情を考慮して扶助別に(8種類)に定める。

図
「第14回社会保障審議会(平成16年2月2日)」配付資料より抜粋


生活保護制度における最低生活費の算出方法


(1) 生活扶助基準(第1類費)
(単位:円)
年齢 1級地 2級地 3級地
1級地-1 1級地-2 2級地-1 2級地-2 3級地-1 3級地-2
0 15,000 14,330 13,650 12,980 12,300 11,630
 1 〜 2 21,830 20,850 19,870 18,880 17,900 16,920
 3 〜 5 27,000 25,790 24,570 23,360 22,140 20,930
 6 〜 8 32,090 30,650 29,200 27,760 26,130 24,870
 9 〜11 36,520 34,880 33,230 31,590 29,950 28,300
12 〜 14 44,100 42,120 40,130 38,150 36,160 34,180
15 〜 17 47,400 45,270 43,130 41,000 38,870 36,740
18 〜 19 42,090 40,200 38,300 36,410 34,510 32,620
20 〜 40 40,050 38,250 36,450 34,640 32,840 31,040
41 〜 59 38,260 36,540 34,820 33,090 31,370 29,650
60 〜 69 36,170 34,540 32,910 31,290 29,660 28,030
70 〜 32,400 31,180 29,480 28,360 26,570 25,560



(2) 生活扶助基準(第2類費)
(単位:円)
人員 1級地 2級地 3級地
1級地-1 1級地-2 2級地-1 2級地-2 3級地-1 3級地-2
1人 43,520 41,560 39,600 37,640 35,690 33,730
2人 48,170 46,000 43,830 41,670 39,500 37,330
3人 53,400 51,000 48,590 46,190 43,790 41,390
4人 58,100 55,490 52,870 50,260 47,640 45,030
5人以上1人を増す
ごとに加算する額
440 440 400 400 360 360
(1)級地別に入院患者、施設入所者、出稼者を除いたすべての世帯員を合計する。
(2)冬季(11月〜翌年3月)には地区別に冬季加算が別途計上される。



(3) 加算額
(単位:円)
加算できる対象 加算額
1級地 2級地 3級地
老人 70歳以上 17,930 16,680 15,430
68、69歳の病弱者 13,450 12,510 11,570
障害者 身体障害者障害程度等級表
の1・2級に該当する者等
26,900 25,020 23,150
身体障害者障害程度等級表
の3級に該当する者等
17,930 16,680 15,430
母(父)子世帯 児童1人の場合 23,310 21,680 20,060
児童2人の場合 25,150 23,400 21,670
3人以上の児童1人に
つき加える額
940 870 800
(1)該当者がいるときだけその分を加える。
(2)入院患者、施設入所者は金額が異なる。
(3)このほか、「妊婦・産婦」などがいる場合は、別途、妊婦加算等あり。
(4)児童とは、18歳になる日以後の最初の3月31日までの間にある者。



(4) 住宅扶助基準

実際に支払っている家賃・地代
1級地
円以内
13,000
2級地
円以内
13,000
3級地
円以内
8,000



(5) 教育扶助基準

区分 基準額
小学生
2,150
中学生
4,180

このほか必要に応じ教材費などの実費が計上される。



(6) 介護扶助基準

居宅介護等にかかった介護費の平均月額



(7) 医療扶助基準

診療等にかかった医療費の平均月額

このほか、出産、葬祭などがある場合は、それらの経費が一定額加算される。



最低生活費認定額

社会・援護局作成 「第1回社会保障審議会福祉部会生活保護制度の在り方に関する専門委員会(平成15年8月6日)」説明資料より抜粋


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