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多発性骨髄腫と放射線被ばくとの因果関係について



I .疫学調査の概要
 放射線被ばくと多発性骨髄腫との因果関係については、これまで種々の疫学調査が実施されているところである。そこで、最新の医学的知見について、文献を系統的に検索し、検索された文献を基にして多発性骨髄腫と放射線被ばくとの因果関係を判断することとした。
 文献は、主として、米国国立衛生研究所(the National Institutes of Health(NIH))の一部門である国立医学図書館(the National Library of Medicine(NLM))にある文献検索システム(National Center for Biotechnology Information(NCBI))を用い、キーワードとして放射線(radiation)、多発性骨髄腫(multipl myeloma)、疫学(epidemiology)を用いて検索した。
 放射線被ばくに伴う多発性骨髄種に関する疫学調査は、
(1)  広島・長崎の原爆被爆者を対象にした疫学調査
(2)  原子力施設の作業者を対象にした疫学調査
(3)  核実験に参加した作業者(ベテラン)を対象にした疫学調査
(4)  放射線診療を受けた患者を対象にした疫学調査
(5)  原子力施設等の周辺住民を対象にした疫学調査
に大別される。
 上記の疫学調査の結果の概要を以下に示す。なお、多発性骨髄腫に関する文献と各文献の概要を表1に示す。

 広島・長崎の原爆被爆者を対象にした疫学調査
 広島・長崎の原爆被爆者(LSSコホート、広島:73,313人、長崎:24,231人)を対象にした1950年から1976年までの追跡調査(Ichimuraら,1982)1)の結果では、29例(内7例はNIC ATB(not in either city at time of bombings))の多発性骨髄腫による死亡が確認されている。被ばく線量(T65D)が1-49rad群のO/E(observed/expected)は10/11.2に対して、50rad以上群のO/Eは5/1.8で、RR(relative risk)はそれぞれ1.0、3.2で有意な線量反応関係(線量の増加とともに、死亡率が増加する傾向)が認められ(0.05<p<0.1)、直線性を仮定した場合の過剰リスクは、0.48/106PY(人年)/radであるとしている。被ばく時年齢が高くなるにしたがって、多発性骨髄腫の死亡例が増加し、特に、被ばく時年齢が40-59歳の被ばく群が高い。多発性骨髄腫の発症年齢は、60-69歳が48.3%、70歳以上が27.6%と60歳以上の占める割合が高いとしている。
 さらに追跡期間を1982年まで延長した追跡調査(D.L.Prestonら,1987)2)の結果では、47例(内12例はNIC ATB)の多発性骨髄腫による死亡が確認されており、線量反応関係(線量はT65D)は統計的に有意(p=0.02)で、過剰リスクは0.06/104PY(人年)/Gy(90% CI: 0.01-0.16)であり、寄与リスクは15.9%(90% CI: 0.7-38.3)であるとしている。
 広島・長崎の原爆被爆者の線量は、上記の報告では1965年に策定されたT65Dが用いられていたが、1986年に改訂され、これ以降の報告ではDS86が用いられるようになった。
 広島・長崎の約120,000人の原爆被爆者(DS86による線量評価が行われている被爆者:75,991人)について1950年から1985年までの追跡調査(Y.Shimizuら,1990、Y.Shimizuら,1991)3)4)の結果では、多発性骨髄腫(死亡例:36例)に関して、統計的に有意な線量反応関係(p =0.002)があり、遮蔽カーマでRR(at 1Gy)は2.86(90% CI: 1.55-5.41)であり、寄与リスクは32.5%(90% CI: 11.3-59.5 %、0.01Gy以上)、臓器吸収線量でRR(at 1Gy)は3.29(90% CI: 1.67-6.31)であり、寄与リスクは31.8%(90% CI: 11.0-57.6 %、0.01Gy以上)であると報告されている。
 1950年から1987年までの追跡調査(D.L.Prestonら,1994)5)の結果では、従来のコホート120,321人から26,625人(NIC ATB及び健康情報が入手できない者)を除いた93,696人(2,778,000PY(人年))のうち、被ばく線量が4Gy以下の86,293人を対象にして分析している。59例(0-4Gy)の多発性骨髄腫による死亡が確認されているが、有意な線量反応関係は認められていない(p=0.12)。4Gy以上の多発性骨髄腫(1例)の事例を追加して分析した場合も有意な線量反応関係は認められていない(p=0.10)。また、多発性骨髄腫のEAR(Excess Absolute Risk)は、性(p=0.4)、被ばく時年齢(p=0.4)に着目した分析結果でも差が認められていない。
 D.L.Prestonら(1994)の分析結果が、以前のM.Ichimaruらの分析結果(多発性骨髄腫と線量の間には有意な関係が認められる)と異なる点は、以前の分析には、診断が疑わしい事例が含まれていた(特に高い線量群)こと、死亡診断書のsecond primariesが含まれていたこと、線量評価の不確実性が高い高線量被ばくの事例も含めて解析されていたことなどが大きく関係している。

 原子力施設の作業者を対象にした疫学調査
 アメリカ、イギリス、カナダ、日本などで原子力施設の作業者を対象にして放射線とがんの因果関係を明らかにするための疫学調査が継続して実施されている。さらに、個々の施設ごとの疫学調査では、多発性骨髄腫をはじめとしたがんの発生数が少なく、統計的な検出力が低いので、検出力を高めるために複数の施設の調査結果をまとめて解析(combined study)したものも報告されている。
(1 )アメリカ原子力施設等の作業者を対象にした疫学調査
 アメリカのHanford施設は1944年から稼働した施設であり、この施設の作業者を対象にした疫学調査の結果が、経時的に報告されている。
 15,992人の白人作業者を対象に1945年から1979年までの追跡調査(H.D.Tolleyら,1983)6)の結果では、7例の多発性骨髄腫が確認されており、被ばく線量と死亡率との傾向分析の結果、有意な線量反応関係が認められたとしている(p<0.01)。
 1945年から1981年までの追跡調査(E.S.Gilbertら,1989)7)の結果では、全死亡数7,249例、悪性新生物による死亡数1,603例が確認されており、それぞれのSMR(standardized mortality ratio)は、0.79、0.85であり、healthy worker effectsが認められており、多発性骨髄腫に係るSMRは0.87であった。多発性骨髄腫による死亡例16例について被ばく線量に着目して傾向分析(trend test statistics)を行った結果は、潜伏期間を10年(1955年から1981年の死亡例を解析)と仮定するとtrend statisticsは4.40(p=0.002)、潜伏期間を2年(1947年から1981年までの死亡例)と仮定すると3.50でそれぞれ統計的に有意な傾向が認められた。RR(0-19.9mSvに対する比として表す)は、50mSv-150mSvで8.52、150mSv以上では14.2となり統計的に有意である。しかし、それぞれの症例数は、2人と1人である。10mSv当たりのERR(excess relative risk)は55%であり、広島・長崎の51%(D.L.Prestonら,1987)に比べて高い。
 1945年から1986年までの追跡調査(E.S.Gilbertら,1993)8)の結果では、全死亡数9,452、悪性新生物による死亡数2,195で、それぞれのSMRは、0.82、0.86であり、healthy worker effectsが認められている。32例の多発性骨髄腫による死亡が確認されており、SMRは0.91である。被ばく線量と多発性骨髄腫の死亡との傾向分析の結果は、潜伏期間を10年と仮定すると、trend statisticsは1.54(p=0.10)で統計的に有意ではないが、潜伏期間を2年と仮定すると、2.23(p=0.03)で統計的に有意である。さらに、1987年から1989年までに多発性骨髄腫で死亡した2例を加えると、この2例が高い集積線量(100mSv以上)であったために、傾向分析の結果は、潜伏期間を10年と仮定すると2.50(p=0.03)、潜伏期間を2年と仮定すると2.95(p=0.007)であり、両者ともに統計的に有意である。
 アメリカの4つの原子力施設(Hanford、Los Alamos、ORNL及びSavannah River site)の作業者(115,143人)を対象にした追跡調査(S.Wingら,2000)9)の結果では、98例の多発性骨髄腫による死亡が確認されており、同一集団から性、年齢などをマッチングさせた対照群(多発性骨髄腫でない者)391例を選択し分析した結果、10mSv当たりの多発性骨髄腫の増加率は、潜伏期間を5年と仮定すると、1.13%(標準誤差:1.65%)、潜伏期間を10年と仮定すると、0.66%(標準誤差:1.83%)、潜伏期間を15年と仮定すると、0.03%(標準誤差:2.33%)で、それぞれゼロに近く集積線量と多発性骨髄腫との間には有意な関係は認められなかった。しかし、高年齢での被ばく線量と多発性骨髄腫による死亡との間には有意な関係が認められる。45歳以上の集積線量に着目したオッズ比は、10mSv未満で1.0、10-50mSvで0.77、50-100mSvで3.55、100mSv以上で5.15であり、集積線量と多発性骨髄腫の間には有意な関係が認められる。ただし、50-100mSvは3例、100mSv以上は7例であり、全てがHanfordの作業者である。
 45歳以上の被ばく線量10mSv当たりの多発性骨髄腫の増加率は6.90%(標準誤差:2.90%)である。
 アメリカのHanford、ORNL、Rocky Flatsの3施設の作業者(23,704人、6,332人、5,897人)を対象にした追跡調査(E.S.Gilbertら,1989)10)の結果では、多発性骨髄腫のSMRはそれぞれ0.90(95% CI: 0.5-1.5)、0.41(95% CI:0.0-2.3)、 0.00(95% CI:0.0-2.2)であった。3施設の疫学調査をまとめて解析した結果、被ばく線量(各施設における作業者の被ばく線量の平均は、それぞれ、32.3mSv、20.9mSv、40.8mSv)と多発性骨髄腫による死亡とのtrend test statisticsの結果は、4.32で、統計的に有意な関係が認められた。これは、Hanford 作業者の12例、特に50mSv以上の作業者群に発生した3例が大きく寄与している。
(2 ) イギリスのセラフィールド(BNFL)の作業者を対象にした疫学調査
 セラフィールドの原子力施設は1947年から稼働した施設である。この施設で働く作業者を対象にした疫学調査結果が経時的に報告されている。
 14,327人の作業者を対象に1983年までの追跡調査(P.G.Smithら,1986)11)の結果では、7例の多発性骨髄腫による死亡が確認されており、放射線作業者の多発性骨髄腫に関するSMRは165(7/4.23)で統計的に有意ではない。internal analysisすなわち、外部被ばくの集積線量と多発性骨髄腫の線量反応関係について検討した結果、潜伏期間を15年と仮定するとtrend scareが2.66で統計的に有意である(p=0.0115)。ただし、潜伏期間を0年、2年と仮定すると、それぞれ0.89、1.05で統計的に有意な関係は認められない。症例数が7例で少ないこと、うち2例の集積線量は、565.1mSv、865.7mSvであることに注意する必要がある。
 14,282人の作業者を対象に1988年までの追跡調査(A.J.Douglasら,1994)12)の結果では、7例の多発性骨髄腫による死亡が確認されており、SMRは、104で統計的に有意な増加は認められない。集積線量と多発性骨髄腫による死亡との関係は、潜伏期間を10年と仮定すると、p=0.058で、線量反応関係は統計的に有意ではない。1971年から1986年の癌登録による分析結果では、3例の多発性骨髄腫の発生があり、このSRR(standardized registration ratio)は、53である。
 14,319人の作業者を対象に1992年までの追跡調査(R.Z.Omarら,1999)13)の結果では、8例の多発性骨髄腫による死亡事例があり、SMRは87でイングランド・ウェールズ(コントロール)の死亡率と有意な差は認められない。外部被ばくの集積線量と死亡との関係は、潜伏期間を20年と仮定するとp=0.02で有意な線量反応関係が認められる。外部被ばく線量50-99mSvのO/Eは3/1.2で、400mSv以上のO/Eは2/1.0である。プルトニウムを取り扱っていた作業者の多発性骨髄腫のSRRは94でイングランド・ウェールズ(コントロール)の発生率と有意な差は認められない。
 イギリスの原子力施設の作業者をまとめた解析も報告されている。
 1992年の第1回目の分析(G.M.Kendallら,1992)14)では、95,217人の作業者(平均線量:33.6mSv)を解析した結果、external analysisでは、多発性骨髄腫のSMRは71(17人、潜伏期間0年)、65(12人、潜伏期間10年)で、healthy worker effectが認められる。internal analysisでは、score statisticが、1.63でp=0.06で統計的に有意である。ERR/Svは6.9(-0.03-46)である。
 1999年の第2回目の分析(C.R.Muirheadら,1999)15)では、124,743人の作業者(平均線量:30.5mSv)を解析した結果、external analysisでは、多発性骨髄腫のSMRは74(95% CI: 53-101、40人、潜伏期間0年)、76(95% CI: 53-106、35人、潜伏期間10年)で、healthy worker effectが認められる。internal analysisでは、多発性骨髄腫の傾向分析の結果は、1.67(score statistic)で、p=0.059で、弱い線量反応関係が認められ、1Sv 当たりのERRは、4.11(90% CI: 0.032-14.8)であり、第1回の分析結果とほぼ同様の結果である。
(3 ) 3か国の原子力発電施設等の作業者を対象とした疫学調査
 統計的な検出力を高めるために、アメリカ(Hanford、ORNL、Rocky Flats nuclear weapon plant)、イギリス(BNF、Atomic Energy Authority、Atomic Weapons Establishment)、カナダ(AECL)の3か国の7か所の原子力施設で働く作業者95,673人(平均集積線量は40.2mSv)を対象にした疫学調査をまとめて分析した結果(E.Cardisら,1995)16)が報告されている。この結果では、2,124,526PY(人年)、15,825例の死亡、3,976例のがん死亡がカバーされている。全死因及び全がん死亡と放射線との間には明らかな関係は認められていない。31種類のがん別に解析した結果では、多発性骨髄腫(44例)のみが、集積線量と死亡との間に有意な関係(trend statistics 1.87、p=0.037)が認められた。また、多発性骨髄腫1Sv当たりのERRを求めると、4.2(90% CI: 0.3-14.4)となり、白血病(2.18、90% CI: 0.1-5.7)、白血病を除く全がん(-0.07、90% CI: -0.4-0.3)のそれに比べて高い値である。
(4 ) 日本の原子力発電施設等の作業者を対象とした疫学調査
 日本の原子力施設の作業者を対象にした疫学調査が1990年から開始された。
 176,000人の作業者を対象に1986年から1997年の間で平均7.9年の追跡調査(T.Iwasakiら,2003)17)が行われ、5,527例の死亡が確認されており、全がんのSMRは、0.94(2,185例、95% CI: 0.90-0.98)で、多発性骨髄腫のSMRは、1.12(20例、95% CI: 0.69-1.74、p=0.685)であった。120,000人の作業者に対して前向き調査が実施されており、1991-1997年の全がんのSMRは、0.98 (1,215例、95% CI: 0.92-1.04、p=0.465)で、多発性骨髄腫のSMRは、0.79(8例、95 % CI: 0.34-1.57、p=0.662)であった。多発性骨髄腫に対する傾向分析の結果、潜伏期間を考慮しない場合は、p=0.047(O/E: <10mSv;1.00、10-20mSv;0.00、20-50mSv;0.00、50-100mSv;3.63、100mSv<;4.22)で線量と多発性骨髄腫の発生との間には統計的に有意な関係が認められる。しかし、潜伏期間を10年と仮定すると、p=0.070(O/E: <10mSv;1.10、10-20mSv;0.00、20-50mSv;0.00、50-100mSv;0.00、100mSv<;15.8)で統計的に有意な関係は認められない。いずれにしても、多発性骨髄腫の事例は8例で、6例が集積線量10mSv以下で、50-100mSv、100mSv以上でそれぞれ1例である。
(5 ) その他の作業者
 医療従事者、ウラン鉱山鉱夫を対象にした疫学調査(J.X.Wangら,1988、L.Tomazekら,1993)18)19)が実施されている。中国の放射線医、放射線技師27,011人の中から多発性骨髄腫は発生していない。ボヘミアのウラン鉱山鉱夫4,320人を対象にした疫学調査の結果では、3例の多発性骨髄腫による死亡例があり、集積線量(WLM(Working Level Month))と死亡率との間に統計的に有意な傾向(p=0.03)を認めているが、症例が少なく330WLM以上の2例がこの傾向に大きく寄与している。O/Eは、1.08(95% CI:0.02-3.13)でp>0.10で有意ではない。

 核実験の開発に従事した作業者(ベテラン)を対象にした疫学調査
(1 ) イギリスの大気圏核実験に参加した作業者(約20,000人以上)を対象にした疫学調査の結果では以下のような結論が出されている。
 1982年末までの追跡調査(V.Beralら,1988)20)の結果では、多発性骨髄腫の死亡は9例(うち線量評価されている作業者は2例)で、SMRは87 で統計的に有意な増加は認められていない。internal analysisの結果でも、線量反応関係には統計的に有意な結果は認められていない(2例はともに10mSv以下)。
 1984年までの追跡調査(S.C.Darby,1988)21)の結果では、22,347人の核実験参加者の中から6例の多発性骨髄腫による死亡が確認されており、統計的には有意ではない(p=0.83)が、SMRは111である。一方、22,326人の対照群からは多発性骨髄腫が発生していない(SMR=0、p=0.006)。RR(無限大)は、統計的に有意(p=0.009)である。
 1990年まで及び1998年までの追跡調査(S.C.Darbyら,1993, C.R.Muirheadら,2003)22)23)の結果でも、核実験に参加した作業者のSMRは93に対して、対照群のSMRは92で、RRは1.14(90% CI: 0.74-1.74)で有意な増加は認められていない。また1991年から1998年までの7年間の結果でも、RRは0.79 (90% CI: 0.45-1.38)で、多発性骨髄腫の有意な増加は認められていない。
(2 ) ニュージーランドで行われた大気圏の核実験に従事した作業者(528人)を対象にした疫学調査(N.Pearce,1990)24)では、1957年から1987年までの追跡期間中に多発性骨髄腫の事例は発生していない。

 放射線診療を受けた患者を対象にした疫学調査
(1 ) 1986年から1989年の間に多発性骨髄腫と診断された30歳から79歳までの540人に対してインタビューにより放射線診断に関する情報を入手した報告(J.L.Hatcherら,2001)25)では、性、年齢、人種、居住地をマッチングさせた対照群として1,998人にインタビューを行った。
 エックス線診断の回数別(-5、5-10,10-20,20-)のOR(odds ratio)は、それぞれ1.0、0.9、1.0、0.9で エックス線診断と多発性骨髄腫との関係は認められなかった。患者の被ばく線量により放射線診断を3つのカテゴリーに分けてORを求めたが全て1.0以下であった。
(2 ) 婦人科領域の良性疾患患者12,955人(放射線治療(平均の赤色骨髄線量:199cGY)を受けた9,770人と放射線治療以外の手術、ホルモン療法等を受けた3,185人)を対象にした平均25年間の追跡調査(P.D.Inskip,1993)26)の結果では、多発性骨髄腫に係るSMRは放射線治療群では1.1(O/E=14/12.44)、放射線治療以外の群では1.8(O/E=7/3.98)で、RRは0.6(90% CI: 0.3-1.4)であり、放射線治療の寄与は認められなかった。ちなみに、白血病のRRは2.5(1.4-5.2)であった。
(3 ) 子宮不正出血に対して放射線治療を受けた患者2,067人の追跡調査(S.C.Darbyら,1994)27)の結果では、多発性骨髄腫による死亡は9例で、SMRは2.59(1.19-4.92)で統計的に有意(p<0.05)であることが報告されている。骨髄線量は1.3Gy(1.0-1.6Gy)である。
(4 ) 強直性脊椎炎患者
 放射線治療を受けた患者を対象にした追跡調査(S.C.Darby,1987)28)の結果では、最初の治療からの年数が経過するにしたがって、多発性骨髄腫のリスクが増加することが報告されている。
(5 ) 子宮頚がん患者
 子宮頚がんに対して放射線治療それ以外の治療を受けた患者を対象にした調査(J.D Boiceら,1985)29)が行われており、8か国のデータをまとめて解析した結果では、治療後10年未満では統計的に有意な増加は認められないが、15年以上経過した後に放射線治療患者における多発性骨髄腫のリスクが統計的に有意に増加することが報告されている。
(6 ) トロトラスト投与患者
 デンマークで脳血管造影のためにトロトラストを投与された患者の追跡調査(M.Anderssonら,1992)30)の結果では、多発性骨髄腫(999人から4例)のSIR(standardized incidence ratio)は4.6(95% CI: 1.2-12)で、発生率は統計的に有意であるとされている。

 原子力施設周辺の住民を対象にした疫学調査
 イギリスのセラフィールド、フランスのラアーグ、ウラン鉱山の周辺の住民を対象にした疫学調査(D.Formanら,1987、M.Dousset,1989、J.D.Boice Jrら,2003)31)32)33)が実施されているが、多発性骨髄腫の統計的に有意な死亡、発生の増加は認められていない。
 スペインの原子力発電所(7か所)及び核燃料施設(5か所)の周辺の住民を対象にした調査(G.Lopez-Abenteら,1999)34)の結果、1原子力発電所周辺住民(30km以内)の多発性骨髄腫の死亡率が50-100kmの住民に比べて高い(0-15kmのRR=5.653,0-30kmのRR=4.354)ことが認められ、原子力施設の距離別のRR(50-100kmとの比較で求められた)は距離が遠くなるにしたがって有意に減少する(p=0.0164)ことが認められている。

II .疫学調査のまとめ
 疫学調査手法としては、コホート調査、ケースコントロール調査が使われており、対象者数、追跡期間等は各調査研究によって異なり、観察指標(SMR、RR、オッズ比など)、統計的な検出力も異なる。
 各疫学調査の結果は一致しておらず、放射線被ばくとの関係を認めているものと、有意な関係が認められないものとがある。これは、多発性骨髄腫が、稀ながんであり、比較的大きな集団を長期間にわたって追跡している調査研究でさえも、死亡数、発生数が少ないことが関係している。
 同じコホート調査(広島・長崎の原爆被爆者、ベテランの疫学調査など)でも、結果が報告された時期によって結論が違っている。
 多くの疫学調査では、external analysis(例えば、国全体の死亡率や発生率と比較する)の結果からは、統計的に有意な死亡率(又は発生率)の増加は認められていないが、internal analysisの結果では、有意な線量反応関係を認めているものが多く、高線量群に発生した少数の症例がこの傾向を生み出している場合が多い。
 放射線被ばくと、多発性骨髄腫の因果関係を明らかにするためには、線量反応関係が確認できなければならない。
 多くの疫学調査の中で、対象者の線量が比較的正確に評価されているものは、広島・長崎の原爆被爆者、核実験に参加した作業者及び原子力施設の作業者を対象にした疫学調査である。
 広島・長崎の原爆被爆者の最新の疫学調査(1987年までの追跡)では、統計的に有意な線量反応関係を認めていない。イギリスの核実験に参加した作業者を対象にした疫学調査でも、多発性骨髄腫と放射線被ばくとの間には有意な関係を認めていない。しかし、原子力施設の作業者を対象にした疫学調査では、アメリカ、イギリス、日本の調査ともに、線量との傾向分析の結果(internal analysis)では、症例数は多くはないが、線量の増加に伴い多発性骨髄腫の死亡が統計的に有意に増加し、有意な線量反応関係を認めている。統計的な検出力を高めるために、複数の調査をまとめて解析した結果でも、同一の傾向を認めている。
 線量反応関係について記載されている疫学調査(それぞれの疫学調査の中で最新のもの)の結果を表2に示す。統計的に有意な線量反応関係を認めている疫学調査の結果では、潜伏期間を10年とした場合、被ばく線量が50mSv以上の群において、O/Eが1.00を超えている報告が多い。

III .結論
 現在までに報告されている疫学調査の結果から、多発性骨髄腫と放射線被ばくとの間には以下の関係があると考えることが妥当である。
(1)  原子力施設の作業者を対象にした疫学調査では、internal analysisにおいて、有意な線量反応関係が認められており、50mSv以上の被ばく群での死亡がこの関係に特に寄与している。
(2)  40-45歳以上の年齢における放射線被ばくが多発性骨髄腫の発生により大きく寄与している。
(3)  多発性骨髄腫の発症年齢は被ばく時年齢が高齢になるにしたがって高くなる。



表1 多発性骨髄腫に関する疫学調査の概要


報告者 報告年 対象 調査方法 対象者等 結果
広島・長崎原爆被爆者(LSS))を対象にした疫学調査
M.Ichimaruら 1982 広島・長崎 cohort 91,231人
(1950-1976年)
多発性骨髄腫29例(うち7例はNIC ATB)
O/E : control;14/16.0, 1-49rad;10/11.2, 50rad<;5/1.8
RR: control;1.0, 1-49rad;1.0, 50rad<;3.4
多発性骨髄腫と線量との間には有意な関係がある(0.05<p<0.1)
29例中21例が被ばく時年齢40歳以上、多発性骨髄腫の発症年齢は60-69歳が48.3%,70歳以上が27.6%
直線性を仮定した場合のリスク:0.48/106PY/rad
D.L.Prestonら 1987 広島・長崎 cohort 91,231人
(1950-1982年)
多発性骨髄腫47例(うち12例はNIC ATB)
多発性骨髄腫の死亡は線量(T65D)との間に有意な関係がある(p=0.02)
RR:1.51(90% CI: 1.02-2.52) リスク:0.06/104PY/Gy
Y.Shimizuら 1990 広島・長崎 cohort 76,991人
(2,185,335PY)
(1950-1985年)
線量(DS86):臓器吸収線量
多発性骨髄腫36例 RR(at1Gy)=3.29(90% CI: 1.67-6.31)
多発性骨髄腫の死亡の有意な増加が認められる
寄与リスク:31.8%(90% CI: 11.0-57.6%)
Y.Shimizuら 1991 広島・長崎 cohort 75,991人
(2,185,335PY)
(1950-1985年)
線量(DS86):遮蔽カーマ
多発性骨髄腫36例 RR(at1Gy)=2.86(90% CI: 1.55-5.41)
多発性骨髄腫の死亡の増加が認められる
線量反応関係 p=0.002
寄与リスク:32.5%(90% CI: 11.3-59.5%)
D.L.Prestonら 1994 広島・長崎 cohort 93,696人
(2,778,000PY)
(1950-1987年)
多発性骨髄腫:73例(ただし、DS86では59例)
多発性骨髄腫については有意な線量反応関係は認められない。
<0.01Gy  O/E=29/30.43
0.01-4Gy  O/E=30/28.57
原子力施設等の作業者を対象にした疫学調査
Tolleyら 1983 Hanford cohort 15,992人
(273,702PY)
(〜1977年)
多発性骨髄腫:7例
有意な線量反応関係が認められる(p<0.01)
O/E:1-2rem;4/5.2、2-5rem;0/0.7、5-15rem;0/0.6、15rem<;3/0.5
E.S.Girbertら 1989 Hanford cohort M:31,500人
F:12,600人
(1945-1981年)
trend test:2.48(潜伏期間10年)、3.41(潜伏期間2年)
ERR=55%/10mSv
被ばく線量と統計的に有意な関係が認められる
E.S.Girbertら 1993 Hanford cohort M:25,998人
F:10,441人
(633,511人年)
(1945-1986年)
SMR=0.91(32例)
trend test:
 1944-1986(24例) 1945-1989(26例)
  1.54(潜伏期間10年 p=0.10)  2.50(p=0.023)
  2.23(潜伏期間2年 p=0.030)  2.95(p=0.007)
S.Wingら 2000 Combined
アメリカ(Hanford, Los Alamos, ORNL,SRS施設)
case/control 98人/391人 percent increase/10mSvは、1.13(潜伏期間5年)、0.66(潜伏期間10年)、0.03(潜伏期間15年)とゼロに近く、生涯線量との関係は認められない。
45歳以上の被ばくのpercent increase/10mSvは、6.90(潜伏期間5年)、6.65(潜伏期間10年)、7.82(潜伏期間15年)、高齢者の被ばくと多発性骨髄腫の間には有意な関係が認められる。
Odds ratio(45歳以上の集積線量):
1.0(<10mSv)、0.77(10-50mSv)、3.55(50-100mSv)、5.15(>100mSv)
E.S.Girbertら 1989 Combined
アメリカ(Hanford, ORNL, Rocky Flats)
cohort 35,933人
(705,295PY)
SMR=0.90(Hanford)、0.41(ORNL)、0.00(Rocky Flats)
trend test statistics=4.32
(多発性骨髄腫12例:全てHanford作業者)
多発性骨髄腫のみが放射線被ばくとの間に有意な線量反応関係が認められる。
P.G.Smithら 1986 BNF cohort 14,327人
(〜1983年)
O/E=7/4.23 SMR=165(統計的に有意ではない)
internal analysis (症例が少ない)trend 2.66(p=0.0115)
潜伏期間15年のみが有意(565.1mSv、865.7mSvの2例が寄与)
A.J.Douglasら 1994 BNF cohort 14,282人
死亡:〜1988年
発生:〜1986年
SMR=104 SRR=53(3例)
外部被ばく線量と死亡率の関係 statistic 1.71(p=0.058) 潜伏期間10年
R.Z.Omarら 1999 BNF cohort 14,319人
死亡:〜1992年
発生:〜1986年
SMR=87(8例)
外部被ばく線量と死亡率の関係 statistic 2.53(p=0.017) 潜伏期間 20年
Puによる内部被ばくとは関係が認められない。
G.M.Kendallら 1992 イギリス combined 95,271人 (平均線量:33.6mSv)
SMR=65(12例:潜伏期間10年)
internal analysis score statistics 1.63(p=0.06)
ERR/Sv=6.9(90% CI:-0.029-45.79)
C.R.Muirheadら 1999 イギリス
(NRRW)
combined 124,743人 (平均線量:30.5mSv)
SMR=76(95% CI: 53-106)35例、潜伏期間10年
internal analysis score statistics 1.67(p=0.059)
ERR=4.11/Sv(90% CI: 0.031-14.8)
E.Cardisら 1995 combined
(3か国)
cohort 95,673人
(2,124,526PY)
多発性骨髄腫44例
被ばく線量と有意な関係が認められる
trend 1.87(p=0.037)、ERR/Sv=4.2(90% CI: 0.3-14.47)
T.Iwasakiら 2003 日本 cohort 120,000人
(1991-1997年)
多発性骨髄腫8例
SMR=0.79(p=0.662)
多発性骨髄腫による死亡と集積線量の関係
潜伏期間(-) <10mSv(1.00)、10-20(0.00)、20-50(0.00)、50-100(3.63),100<4.22
傾向分析 p=0.047潜伏期間(10年):傾向分析 p=0.07
J.X.Wangら 1988 中国 cohort
retrospective survey
27,011人/
25,782人
(1950-1980年)
多発性骨髄腫:発生なし
X線診断に従事していた作業者を対象
全がん RR=1.5
L.Tomasekら 1993 ボヘミア
ウラン鉱夫
cohort 4,320人 0/E=3/2.76=1.08(95% CI: 0.02-3.13)(p>0.10)
集積線量(WLM)との間に有意な関係(p=0.03))が認められるが3例で関係は弱い。
核実験に参加した人々を対象にした疫学調査
V.Beralら 1988 UK Veterans cohort
(〜1982年)
veteran 22,552人 (平均線量:7.8mSv)
SMR=87(9/10.3) モニタリング作業者SMR=56(2/3.55) RR=0.97
線量反応関係 χ2分析:0.23(3例。10mSv以下:統計的に有意ではない)
S.C.Darbyら 1988 UK Veterans cohort
(〜1984年)
veteran 22,347人
control 22,326人
veteran:SMR(6例)=111(p=0.83) RR>1.0 (p=0.009)
control: SMR(0例)=0(p=0.006) 発生率(10例)のRRも増加(p=0.0007; control 0例)
S.C.Darbyら 1993 UK Veterans cohort
(〜1990年)
veteran 21,358人control 22,333人
veteran:  SMR=0.72(8例)
control:  SMR=0.51(6例)
RR=1.51(90% CI: 0.55-4.26)統計的に有意ではない。
C.R.Muirheadら 2003 UK Veterans cohort
(〜1998年)
veteran 21,357人
control 22,333人
SMR=96(veteran),73(control)
RR=1.32(mortality)
RR=1.14(incidence)
統計的に有意ではない
N.Pearceら 1990 New Zealand cohort veteran 528人
control 1,504人
多発性骨髄腫:発生なし
RR=0.00(95% CI: 0.00-3.09)
放射線診断・治療患者を対象にした疫学調査
J.L.Hatcherら 2001 放射線診断 case/control 540人 診断回数群別に検討
OR<1.0(negative impact)
非ホジキン、ホジキン病で放射線治療を受けた患者
被ばくに関する情報はインタビューで入手
P.D.Inskipら 1993 放射線治療 cohort 9,770人 多発性骨髄腫14例
放射線治療群SMR=1.1
放射線治療群以外SMR=1.8
S.C.Darbyら 1994 放射線治療 cohort 2,067人(9例)
(1940-1960年)
SMR=2.59(1.19-4.92)(p<0.05、5年の潜伏期間)
子宮不正出血のためのX線治療
赤色骨髄の平均線量=1.3 Gy
S.C.Darbyら 1987 放射線治療 cohort 14,106人 強直性脊椎炎の治療患者
(多発性骨髄腫発症例8例)0/E=8/4.66=1.72 (有意ではない)
治療後の年数が経過するにしたがって多発性骨髄腫が増加
5年> 0/0.33、5-25年 4/2.63、25年< 4/2.03
J.D.Boiceら 1985 放射線治療
子宮頚がん
(8か国)
cohort 82,616人/
14,173人
放射線治療群 O/E=33/35=1.0 10年以上追跡例 O/E=22/15=1.4
放射線治療以外の治療群 O/E=1/4.0=0.3
10年以上追跡例 O/E=1/1.8=0.5
放射線治療後の経過年数が長くなるにしたがって発生率が高くなる(傾向分析:p=0.01)、治療後10年未満RR=0.6(95% CI: 0.3-1.0)、15年以上RR=2.0(95% CI: 1.1-3.2)で有意に増加
M.Anderssonら 1992 放射線診断 cohort 999人 多発性骨髄腫:4例(女性)
SIR=4.6(90% CI: 1.2-12)
脳血管造影のためのトロトラスト投与患者
M.Anderssonら35) 1993 放射線診断 cohort 1,003人(2例) 多発性骨髄腫2例
赤色骨髄線量:1.02、1.75Gy
P.Boffettaら36) 1989   case-control 282人/770人 放射線治療:OR=1.4(0.8-2.6), 放射線診断 OR=0.9(0.6-1.4)
職業被ばく:OR=1.4(0.5-3.9)多発性骨髄腫の発生と放射線との関係はnegative
S.C.Darbyら37) 1985 放射線治療     (強直性脊椎炎)平均骨髄線量:335rad
 RR=1.78(3例) 両者をcombinedすると RR=2.16(95% CI: 1.11-4.20,p<0.05)
原爆被爆者     (100rad 以上)平均骨髄線量:125rad
 RR=1.40(4例)
原子力施設等周辺住民を対象にした疫学調査
D.Formanら 1987 施設周辺住民     イングランド及びウェールズの核施設周辺施設周辺の住民の多発性骨髄腫のRR=0.79(p=0.016),ただし、海岸地域の住民の多発性骨髄腫のRR=1.11(p=0.04)である。Winfrit,Sellafield 施設周辺の距離が近いほど多発性骨髄腫のSMRは増加するが統計的に有意ではない(p=0.223、0.640)
M.Dousset 1989 施設周辺住民   7408人/
459,460人
(La Hagueのある区域の多発性骨髄腫の死亡率)
O/E  Male :1/0.58(p=0.44)
 Female:2/0.54(p=0.11)
J.B.Boice Jr,ら 2003 ウラン鉱山周辺住民   12,455/
43,546人
(1950-2001年)
多発性骨髄腫 O/E:22/52
RR=1.37(統計的に有意ではない)
全てのがん RR=1.0
G.Lopez-abenteら 1999 Spain
原子力施設周辺住民
    7原子力発電所、5核燃料施設
施設周辺の30km以内(122例)
control: 施設周辺 50-100km(100例)
Zorita原子力発電所周辺のみ有意
SMR( control: 0.308, 0-15km: 1.744, 0-30 km: 1.343)
RR( 0-15km:5.653, 0-30km:4.354)
施設からの距離とRRは有意な傾向(p=0.0164)特に13.4-18.9kmのRR=8.120が影響している
P.Vineisら38) 1990   case/control 骨髄腫患者400例 有機溶剤、放射線、電磁界への暴露を調査
R.J.Blackら39) 1994 Scotland
(Ra-226汚染)
    O/E=1.08(2例)
有意な増加は認められない。



表2 多発性骨髄腫による死亡の線量反応関係


疫学調査 集積線量(mSv) time lag trend test subject size等
0- 10- 20- 50- 100- 200<
Hanford
(1993)
17/17.0 2/4.9 2/0.9 1/0.6 2/0.6 10年 1.99(p=0.011) 1945-1989年
32,643人(26.2mSv)
USA4 facilities
(2000)
Odds比1.0(83/341) 0.77(5/31) 3.55(3/7) 5.15(7/12)   多発性骨髄腫:98例
対照群:391例
(45歳以上)
3 countries
(1995)
28/26.6 3/5.2 1/4.7 5/2.7 3/2.1 200- 400- 10年 1.87
(p=0.037)
US、UK、Canada
95,673人
2/1.9 2/0.8
日本
原子力施設(2003)
1.00
(6)
0.00
(0)
0.00
(0)
3.63
(1)
4.22
(1)
0年 p=0.047 1991-1997年
119,484人(平均追跡
期間4.5年、15.3mSv)
BNF
(1999)
0/1.3 0/0.8 2/1.5 3/1.2 1/1.1 200- 400< 10年 1.44 1947-1992年
14,385人
(平均29.0年)
1,352,326mSv(total)
0/1.1 2/1.0 20年 2.53
(p=0.017)
UK
原子力施設
(1999)
20/20.14 4/4.85 3/6.66 8/3.46 0/2.39 200- 400<   1.67
(p=0.059)
-1992年
124,743人(30.5mSv)
3/1.70 2/0.79
Hiroshima
(1994)
<0.01(Gy) 0.01-4(Gy)   (-) 1950-1987年
86,293人(4Gy>)
29/30.43 30/28.57
(fitness excess = 0.00)
UK
Veterans
(1988)
1.14 0 0 0 100< 10年 0.12
(-)
1951-1982年
22,552人(7.8mSv)
0
(表中:Observed/Expected)



多発性骨髄腫に関する疫学調査の文献一覧


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(照会先)
労働基準局労災補償部補償課
  職業病認定対策室職業病認定業務第二係
  03−5253−1111(内線5571)


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