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第2章 ネットワークによる臓器あっせん業務の状況の検証結果

(注)  枠内は、ネットワークから聴取した事項及びネットワークから提出された資料等により、本検証会議として認識している事実経過の概要である。

1.初動体制並びに家族への脳死判定等の説明及び承諾
 成13年7月23日19:00頃、頭痛を訴え次第に意識レベルが低下したため、同日20:50に近くの病院を受診。同病院にてCT撮影後、ほぼ呼吸停止となり、気管内挿管し呼吸管理を行いながら救急車にて搬送され、同日22:00臓器提供施設の救急外来に到着。
 7月25日10:40頃、病状を説明した際に家族から臓器提供意思表示カードの提示があったので、10:50に病院は電話により都道府県コーディネーターに相談。相談を受けたコーディネーターはその旨を近畿ブロックセンターに報告し、ブロックセンターと相談した結果、病院が遠隔地であることから今後の情報に適切に対応できるよう直ちに臓器提供施設へ向かうこととした。同日12:40に、都道府県コーディネーター1名が病院に到着し、院内体制等を確認。
 同日13:50、主治医は患者を臨床的に脳死と診断。主治医より臓器提供意思の確認を行ったところ、家族からネットワークコーディネーターの説明を受けたいとの申出があったため、14:30頃に病院は院内に待機していた都道府県コーディネーターに連絡。同じく14:30頃、ネットワークコーディネーター1名が病院に到着して医学的情報を収集し、一次評価等を行っている。
 同日14:45より、ネットワークのコーディネーター1名及び都道府県コーディネーター1名が、家族(患者の母、養父及び実父)に面談し、主治医、看護師の同席の下、脳死判定、臓器提供の内容、手続等を文書を用いて説明。その際、家族構成等を十分に確認した。
 同日17:45に家族が脳死判定承諾書及び臓器摘出承諾書に署名捺印。家族の総意であることを確認し、コーディネーターがこれらを受理している。

【評価】
 ○  コーディネーターは、最初に病院から電話相談を受けた段階では、まだ家族から説明を受けたいとの申出はなかったが、病院が遠隔地であったため、以後迅速かつ適切に対処できるよう、直ちにコーディネーターが現地へ向かい、院内体制等の確認を行っており、評価できる

 ○  家族への説明についても、病院より家族への臓器提供に関する説明依頼を受けた後、コーディネーターは、脳死判定、臓器提供等の内容、手続を記載した文章を手渡してその内容を説明し、家族から承諾書を受理している等、コーディネーターの家族への脳死判定の説明等は適正に行われたものと評価できる。


2.ドナーの医学的検査及びレシピエントの選択等
 平成13年7月25日19:27より、心臓、肺、肝臓のレシピエント候補者の選定を開始。膵臓と腎臓についてはHLAの検査後、7月26日4:47より、レシピエント候補者の選定を開始している。
 平成13年7月26日、法的脳死判定が終了した後、5:58より心臓、肺、肝臓、膵臓、腎臓の各臓器別にレシピエント候補者の意思確認が開始された。
 心臓については、第1候補者及び第2候補者の移植実施施設側が移植を受諾。
 肺については、第1候補者及び第2候補者の移植実施施設側が移植を受諾。
 肝臓については、第1候補者及び第2候補者は、レシピエント側の事情により移植施設側が移植を辞退。第3候補者の移植実施施設側が移植を受諾。
 膵臓については、第1候補者、第2候補者及び第3候補者の移植実施施設側が膵臓・腎臓の同時移植を受諾。
 腎臓については、第1候補者はレシピエント側の事情により移植施設側が移植を辞退。第2候補者、第3候補者、第4候補者、第5候補者の移植実施施設側が移植を受諾している。
 また、感染症やHLAの検査等については、ネットワーク本部において適宜検査を検査施設に依頼し、特に問題はないことが確認されている。

【評価】
 ○  今回の事例においては、適正にレシピエントの選択手続が行われたものと評価できる。

 ○  また、ドナーの医学的検査等は適正に行われている。


3.脳死判定終了後の家族への説明、摘出手術の支援等
 7月26日8:20に脳死判定を終了し、主治医は脳死判定の結果を家族に説明。その後、ネットワークのコーディネーターより、情報公開の内容等について説明し家族の確認と了承を得ている。

【評価】
 ○  法的脳死判定終了後の家族への説明等に特に問題はなかった。


4.臓器の搬送
 7月26日にコーディネーターによる臓器搬送の準備が開始され、参考資料3のとおり搬送が行われた。

【評価】
 ○  臓器の搬送は適正に行われた。


5.臓器摘出後の家族への支援
 7月26日臓器摘出手術終了後、コーディネーターは手術が終了し、搬送が無事行われている旨を家族に報告し、病院関係者等とともにご遺体をお見送りしている。
 7月27日にネットワークのコーディネーターが家族に電話をし、移植手術が無事終了したことを報告し、告別式出席の了承をいただいている。また、家族が肺移植の術後経過をテレビで見ており、それ以外の臓器の移植の経過も早く知りたいので新聞記事があればファックスして欲しいとの依頼を受けたため、ネットワークより新聞記事を送信している。
 7月28日にネットワークのコーディネーター1名と都道府県コーディネーター1名が告別式に出席。
 8月12日にネットワークのコーディネーター2名が自宅を訪問してご霊前にお参りし、厚生労働大臣の感謝状を手渡し移植を受けたレシピエントの経過報告を行っている。
 移植より1ヵ月後の経過報告、奈良県(腎臓レシピエント居住県)から発行された感謝状及び一般の方から届いた香典について、ネットワークコーディネーターが家族に取扱いを伺った上で、9月13日に家族に対してそれらを郵送している。
 平成13年12月14日に、ネットワークコーディネーターより、心臓、肺、膵臓・腎臓、腎臓の移植を受けたレシピエントからのサンクスレターを家族に郵送している。
 前記した連絡、報告以外にレシピエントからのサンクスレターの郵送等、ネットワークのコーディネーターが適宜対応と報告等を行っている。

【評価】
 ○  コーディネーターにより、ご遺体のお見送り、告別式の出席、家族への報告等適切な対応が採られている。


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