04/01/30 薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会　平成１６年１月３０日議事録


　　　　　　　　薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録


１．日時及び場所
　　平成１６年１月３０日（金）　１０：００～
　　医薬品医療機器審査センター

２．出席委員（１４名）五十音順
　　井　上　和　秀、　岩　﨑　　　学、　金　井　　　淳、◎河　村　信　夫、
　　小　嶋　茂　雄、　首　藤　紘　一、　谷川原　祐　介、　永　井　良　三、
　○長　尾　　　拓、　長谷川　紘　司、　早　川　　　浩、　樋　口　輝　彦、
　　藤　上　雅　子、　村　勢　敏　郎
    （注）　◎部会長　○部会長代理
　 欠席委員（３名）
　　堺　　　秀　人、　櫻　井　秀　也、　南　部　鶴　彦

３．行政機関出席者
　　鶴　田　康　則（大臣官房審議官）、　　岸　田　修　一（審査管理課長）、
　　平　山　佳　伸（安全対策課長）、
　　豊　 島 　　聰（医薬品医療機器審査センター長）、
　　青　木　重　仁（医薬品医療機器審査センター企画主幹）、
　　赤　川　治　郎（医薬品医療機器審査センター審査第一部長）、
　　森　　　和　彦（医薬品医療機器審査センター審査第二部長）、
　　辻　村　信　正（医薬品医療機器審査センター審査第三部長）　他

４．備　　考
　　本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。


○審査管理課長　それでは時間も過ぎましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部
会を開催させていただきます。本日もお忙しいところお集まりいただきありがとうござ
います。部会の委員数17名のうち、現在のところ12名御出席いただいておりますので、
定足数に達しております。それでは部会長、よろしくお願いいたします。
○河村部会長　審議に入る前に事務局から配付資料の確認と、資料作成に関与された委
員の報告をお願いいたします。
○事務局　それでは資料の確認をさせていただきます。資料１～４までがあらかじめお
送りいたしました資料でございます。本日の当日配付資料といたしまして、議事次第、
それから当部会の座席表、当部会の委員名簿、それから資料５として「医薬品第一部会
審議品目の薬事分科会における取扱い、毒薬・劇薬の指定の要否及び生物由来製品/特定
生物由来製品の指定の要否について(案)」でございます。それから資料６といたしまし
て、レビトラ錠等の専門協議委員一覧を付けてございます。
　それから平成13年１月23日付けの薬事分科会申合せに基づく資料作成に関係された
委員の確認でございますが、本日の議題については関与委員はいらっしゃらないという
ことでございます。以上でございます。
―　小嶋委員着席　―
○河村部会長　ありがとうございました。本日審議事項が２議題、報告事項が２議題に
なっております。議題１のレビトラ錠、ＥＤに対するお薬でございますが、審査センタ
ーの方から審査概要を御説明願います。
○事務局　資料１、レビトラ錠５mg、同10mgについて審査センターより御説明いたしま
す。 
本剤は、新有効成分塩酸バルデナフィル水和物を含有する製剤で勃起不全治療薬として
ドイツ・バイエル社で開発されました。塩酸バルデナフィル水和物はホスホジエステラ
ーゼ5(PDE5)阻害剤で、類薬として平成11年１月に承認されたクエン酸シルデナフィル
(商品名：バイアグラ錠)がございます。
  本剤は欧州では昨年３月、米国では８月に承認され、昨年12月の時点では世界62か
国で承認されております。本剤の開発において、国内では第I相臨床試験及び第II相用
量反応試験が実施され、用量反応試験を国外後期第II相試験とのブリッジング試験と位
置付けて、外国で実施された第III相臨床試験成績等を外挿する臨床データパッケージに
より平成13年12月３日に承認申請がなされました。
  本剤の審査に関しまして、専門委員として資料６で示したように当部会長の河村先生、
委員の谷川原先生を始め、菅野委員、武田委員、西澤委員、野々木委員、横山委員、吉
村委員、吉岡委員を指名いたしました。
 　次に、審査センターにおける審査の概略を御説明いたします。品質、毒性及び薬理に
ついては、審査の過程において申請者から適切な対応がなされたことから、特に問題は
ないと考えております。                                                
  薬物動態について、本剤の消失に及ぼすチトクローム P450 CYP3A4の関与は大きく、
CYP3A4の基質及び阻害剤との臨床薬理試験成績の結果などを踏まえますと、本剤の薬物
動態に及ぼすCYP3A4の影響はシルデナフィルの場合と比較して大きいことが示唆され
ました。したがいまして、併用時に血中曝露量が大きく上昇するＨＩＶプロテアーゼ阻
害薬や抗真菌薬との併用は禁忌とし、エリスロマイシンとの併用は慎重投与とすること、
さらにCYP3A4阻害の観点、及び前立腺癌治療薬との併用を中心に、市販後においても薬
物相互作用に関する十分な情報収集に努めることとされました。
　臨床試験成績に関して、国内第II相用量反応試験はブリッジング試験として計画され、
日本人男性勃起障害患者を対象として本剤５、10及び20mgの１日１回12週間投与によ
る有効性及び安全性の検討がプラセボ対照二重盲検試験として実施されました。有効性
の主要評価項目として、国際勃起機能スコア調査票(ＩＩＥＦ)のＱ３(挿入の頻度)とＱ
４(勃起の維持)の最終スコアが用いられ、本剤いずれの用量群でもプラセボ群と比較し
て有意に優れていました。本試験と国外後期第II相試験の評価に基づいて、本剤の有効
性はプラセボに勝り、国内においても用量反応性が海外同様認められ、安全性に関して
は、有害事象発現頻度及び心血管系の有害事象は用量依存的に増加していると判断いた
しました。以上の成績に基づいて、有効性に関して海外臨床試験成績の本邦への外挿は
妥当であると判断いたしましたが、リスク・ベネフィットの観点から本申請において提
出された資料に基づいて20mgを本邦の用法・用量に含めることは妥当ではないと判断い
たしました。これに加えまして、専門協議において高用量が必要と考えられるより難治
の日本人勃起障害患者における有効性、安全性並びに用法・用量について更に検討する
必要があるとの御指摘を頂き、この点について糖尿病及び脊髄損傷を有する勃起障害患
者を対象とした国内臨床試験を実施するとの承認条件を付すことが妥当であると判断い
たしました。また安全性に関して、α遮断薬との併用、網膜機能に対する影響などにつ
いては引き続き検討を行い、得られた結果は適切に情報提供を行うこととされました。
  以上のような審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会で御
審議いただくことが妥当であると判断いたしました。本剤は毒薬及び劇薬、並びに生物
由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、再審査期間は６年、薬事分科会
には報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
―　説明中、永井委員着席　―
○河村部会長　ありがとうございました。お聞きのように勃起不全に対する薬剤でござ
いまして、今までのバイアグラと同じような作用ということになりますが、御質問、御
意見ございましょうか。どうぞ。
○谷川原委員　今御紹介がありましたように、専門協議にかかわっておりましたので、
そこでセンターと議論したポイントを少し補足させていただきます。議論の中では、こ
の薬剤の相互作用が一番心配な点になりまして、まずＮＯ供与、ニトログリセリン等は
ＰＤＥ５の作用メカニズムから考えて既に類薬のバイアグラでも非常に大きな問題にな
っておりますので、それは同様に禁忌とすべきと。
　またそれに加えまして代謝の方の相互作用が非常に大きくて、CYP3A4によって代謝さ
れるのですが、非常に影響が大きいわけですね。例えばリトナビルでしたらＡＵＣが49
倍とか、インジナビルでＡＵＣが16倍、イトリゾール、ケトコナゾールでＡＵＣが10
倍と非常に影響が…、エリスロマイシンでも４、５倍でしたか、３、４倍曝露量が上が
ると。片や10mgまではいいのですが、20mgになりますと安全性でちょっと問題があり
そうだということがありましたので、その20mgが日本人の安全性で許容するのが難しい
というのであれば、10mgを投与した方が例えばそれがエリスロマイシン併用で４倍に上
がっているとなりますと、同じくらい曝露量が上がってしまいますのでその辺りを随分
議論させていただいて、影響の程度の大きいものは併用禁忌というところに持っていく
と。そして、「使用上の注意」にももう盛り込まれているのですが、エリスロマイシン
は３、４倍上がるのですけれども、用量を５mgに抑えておけば20mgと同じくらいの曝露
量に抑えられるのではないかということで、その注意喚起をされていたと思います。
　ただ、もう一つポイントは、このCYP3A4というのは非常に広範な薬剤にかかわってい
ますので、本薬は承認前の薬物相互作用試験では結構よくやっているのですが、世の中
へ出ますとどういう薬剤とか未知なる相互作用が、何が出てくるかまだ分からないです
し可能性はかなり高いので、市販後の監視、ファーマコビジランスというものを特に相
互作用の点をよく注意して早めに市販当初からそういった情報を収集するようにして、
市販をお願いできればと考えている次第です。以上です。
○河村部会長　御追加ありがとうございました。ほかに御発言ございましょうか。どう
ぞ。
○樋口委員　今の御発言と関連して是非お願いしておきたいのですが、この薬は多分向
精神薬を飲んでいる患者さんがかなり使う可能性がある。というのは、向精神薬の多く
が勃起不全を起こすことが知られておりまして、そういう意味では使うことが多いだろ
うと思うのです。向精神薬のことに関しては使用上の注意には書かれておりませんが、
これの中のまたかなりの部分がCYP3A4で代謝されてまいりますので、そういう意味でも
市販後に是非その点も含めて検討していただければと思っています。
○河村部会長　これは会社の方にお伝えいただけますか。向精神薬との併用のデメリッ
トがあるかどうか…。
○事務局　そのように伝えます。
○河村部会長　ほかにございましょうか。どうぞ。
○岩﨑委員 データの見方だけなのですが、ブリッジングが成立しているということで、
ブリッジング試験と海外試験との比較の表がこの「審査報告書」の37ページの「図２」
にあると思うのですが、Ｑ３スコアというのは国内試験の方が上でずっと推移していて、
ベースラインで調整すれば似たようなプロファイルだと思うのですが、Ｑ４の方はベー
スラインがかなり下の方に入っていて、その辺がちょっと違うのではないかと思います。
　それから器質型、機能型等のパーセンテージですが、これがかなり違っているようで、
この辺の関係が説明を読んでいてもよく分からなかったのでもう一回詳しく説明してい
ただいて、これをもってブリッジングが成立しているとされた根拠をお願いします。
○河村部会長　事務局の方でお願いできますか。
○審査第二部長　詳細の説明はまた後ほどさせていただくとして、基本的なブリッジン
グの考え方なのですが、確かにどうだったらブリッジがかかるかということについて、
国際的に統一された基準というのが決まっているわけではないものですから、今のとこ
ろ個々のケースのデータを我々見比べて、そこで極めて特異な問題が起きそうな点があ
るかどうかという、どちらかというと消去法のような形で見ているというケースは結構
あります。この場合は、用量反応の試験同士の、用量反応カーブの形状を見比べたとき
の様子が基本的にプラセボをベースにして、高用量側にいわゆるシグモイドカーブ様の
変化をしているところをまず見て、その形状自身は似ていると。ただ、そのダイナミッ
クレンジ、幅だとかドーズによってどういうふうに上がっていくか…、つまり横のずれ
ですが、こうしたものは民族間あるいは国の違い、あるいは医療環境の違いがある程度
反映してずれることはあり得ると考えておりますので、いわゆる視察的な評価で類似性
があると考えているところです。
　ここで今先生が御指摘になった、器質型と機能型の影響なのですが、これはかつての
バイアグラの審査の際にも問題になっておりまして、どうも機能性の、どちらかという
と軽症ではないかと言われるタイプのものの用量反応が比較的伸びやかに出るパターン
が多くて、ただ比較的早いうちにみんな効いてしまうものですから、頭打ちは早く出て
くると。器質性のより難治なものについてはなかなか効いてこないという様子があって、
高用量側の方になればなるほどまだ少しずつ上がっていくというキャラクターがあると
推察はされているのですが、ただそれが目立って用量反応カーブでもってグループ分け
すると全然違うというほどまでストリクトには分かっておりません。大まかな層別解析
の結果で見る限りは大した違いはないというふうに、バイアグラのときはそういう評価
を頂いております。今回は残念ながら、この薬については日本でやった試験のポピュレ
ーションがほとんど機能性の患者さんたちだったということなので、器質性のより障害
がはっきりしている方々のデータが乏しいというのは確かに問題でございます。したが
いまして、その点が専門協議のより器質的に問題のある患者さんたちにもっと高用量を
使った場合の検討が足りないという御指摘につながっておりまして、この点については
市販後の試験として検討するべしという結論になっております。したがいまして、この
ブリッジングの評価に関しましては、基本的にこの二つの用量反応カーブの形状の類似
性ということをもって判断したというのが大ざっぱな結論として、説明としてはそうい
うふうになっております。細部にわたるサブグループ間の違いについては、これは一応
グループごとの反応はそれぞれ出させて見ておりますが、そこで目立った違いというの
はなかったと記憶しております。
○長尾部会長代理　一つはＱＴ間隔の問題なのですけれども、それほど強くなさそうで
はあるのですが、今まで外国における使用経験でそのＱＴが絡んだ、特に問題になった
ケースというのは実際にあるのかどうかという情報があったら教えてほしいのですが。
○事務局　有害事象としては臨床試験の中で幾つかありますが、それは致死的な影響を
及ぼしたということはないという結果であると考えております。
　ＱＴ間隔に関しましては、米国で本剤とプラセボ、それから陽性対照としてのモキシ
フロキサシン、それからあとシルデナフィルを対照とした臨床薬理試験を実施しており
まして、主にこの試験の評価に基づくＱＴ間隔延長に関する本剤の影響というものにつ
いては、シルデナフィルとほぼ同じくらいの影響であろうと結論されております。
　審査センターにおきましても、国内外の用量反応試験についてすべて心電図の方を検
討させていただきまして、やはり投与期間が長くなると若干伸びるような傾向はあるよ
うですが、臨床的には大きな問題はないだろうと判断しております。ただし、もともと
ＱＴ延長する傾向がある症候群ですとか、ＱＴ延長する影響のある抗不整脈薬等の投与
においてはやはり禁忌とするということで使用上の注意に設定しております。
○長尾部会長代理　分かりました。
○河村部会長　岩﨑先生、先ほどの部長の御答弁でよろしゅうございますか。
○岩﨑委員　よく分からなかったのですが、いずれにせよ機能型が多いということで、
先ほどの20mgをやめて10mgにしたという理由が幾つかあったと思うのですが、この辺
の日本における患者層が海外とは違うことも考慮されて、20mgを10mgにされたのかと
も思ったのです。結論自体はいいと思うのですが、ただブリッジングが厳密に成立して
いるかどうかというのは、おっしゃるように全体的なものを見るしかないと思うのです
が、厳密にはどこまでいいのかというのがありまして、今言ったように機能型がかなり
多いということで20mgはデータ不足ということで10mgにされたのであれば、非常に納
得のいく説明だと思います。
○河村部会長　実際には、臨床上は器質性と機能性が分けられないのです。例えば糖尿
病で器質性であろうと言われても、では機能性のものが入っていないかと言われると、
だれも分からないというところがございます。外国のデータと日本のデータとを比べて
みると、外国はどうも器質性と判定したがる、日本は機能性と判定したがるという傾向
がございまして、それも影響しているかなと思っております。
○事務局　類似性の判定につきましては、大きなところでは先ほど審査第二部長の方か
ら説明があったような全体の形状と見比べた判断もしております。それとは別に、申請
者の方で当初設定した三つの項目がございまして、それは「審査報告書」で行くと36ペ
ージの方に記載しております。「(1)すべての本剤群でプラセボ群と比較して有意に優れ
た成績が得られること、(2)本剤群の投与量に対する最終スコアの関係に１次回帰式を当
てはめた場合の傾きがゼロより大きいこと、(3)本剤10mg群及び20mg群に関しては、最
終スコアにおけるプラセボ群との差が１点以上であること」という、事前に決めた三つ
の項目がございまして、それを類似性に関して決めた項目を満たしているということが
ございます。
　それからやはり少し上にスコアが推移していることに関しては、やはり機能性が若干
多かったことが少し…、日本では機能性の割合が高めだったということで器質性が少な
かったことが、もしかしたら若干影響しているかもしれないという考察もございました。
しかし、この点については必ずしも十分な検討がなされているわけではありませんこと
から、やはりその辺りについてより明確にしていくために糖尿病ですとか、そういう器
質性の疾患を有する患者で更に検討していくことが必要であると最終的に判断されたと
いう次第でございます。
○河村部会長　ほかに御発言ございましょうか。どうぞ。
○井上委員　この審査報告書は大変よくできていると思うのですが、私の読み込みが足
りないせいかもしれません。それでちょっと教えていただきたいのですが、例えば14、
15、16ページとかそのほか臨床の部分でもそうなのですが、審査センターの方から申請
者に対して説明を求め照会中であるという文言がいろいろ記載されております。その返
答はどこにあるのか、ちょっと私自身見付けられなかったのです。そういった内容のも
のは専門協議の過程、あるいは今日に至るまでにきちんと報告されているかどうかだけ
教えてくださいますか。
○事務局　主に照会中であるというのが多かった部分が薬理のところにもあったかと思
うのですが、それに関してはすべて専門協議で頂いた御意見と共に申請者に照会して回
答は頂いております。それを踏まえて了承できるという判断をしておりまして、主に先
生から今御指摘いただいた点については、ほかのＰＤＥ阻害薬との相互作用関連の部分
が多くございまして、それについては余り細かい詳細はここには記載はしていなかった
のですが、「審査報告書(２)」の51～52ページにかけての「(４)薬物相互作用について」
というところで、非常に概略ではございますが、回答については了承した旨の記載を行
っております。
○井上委員　ありがとうございました。安心いたしました。
○藤上委員　先に発売されたバイアグラというのは、保険適用にはなっていませんよね。
これもその可能性が強いわけですよね。50ページのところに、有害事象とか循環器専門
医への注意と本剤の適正使用の具体的な対応を申請者に求めたということで、そういっ
たもののチェックリストなどを作成して副作用が生じたときの対処方法を解説書に記載
するとなっているのですが、保険適用にならないと結構自由なと言ったらおかしいので
すけれども、多分自主診療のようになって求められる方がいらっしゃるのではないかと
思うので、患者さん向けの注意文書も必要なのではないのかと思うのです。
○事務局　適正使用のための種々の方策という御質問と理解いたします。それにつきま
しては、類薬のバイアグラ錠と同じような注意喚起が必要であると私どもは考えており
ます。バイアグラ錠につきましては、適正使用のための注意事項としまして、医療関係
者向けと患者向けの説明文書等を作成いたしております。これにつきましては、当時の
調査会等でも御検討いただいて、調査会等からも強い指示がございまして、それも踏ま
えて十分検討した上でそういうものを作っております。ですから本剤につきましても、
バイアグラ錠と同じ扱いは必要であると考えております。現在この点につきましては、
申請者の方にも照会して検討いたしておりまして、まだ現物を先生方にお見せすること
はできないのですが、今申請者の方でも案の方を十分検討しております。そういうよう
な状況でございます。
○河村部会長　出来上がりましたら、各委員の先生にも配付して差し上げてくださいま
すか。会社側が作っているわけでしょう。
○事務局　先生方にも是非見ていただきたいと考えております。よろしくお願いいたし
ます。
○藤上委員　このことをちょっとお願いしたくて発言したのですが、実は患者向けの小
冊子をいろいろ作られまして、この薬に限らず作られるのですが、その内容について後
から見ますと不備な点や、ちょっとこれはと思うようなところも多々ありましたので、
先に見せていただければ有り難いと思いました。
○河村部会長　ではそのように努力してください。ほかにございますか。
○谷川原委員　また全然別の視点なのですけれども、「添付文書(案)」の中のリファレ
ンス、「主要文献」というものが33上がっているのですが、ほとんどが社内資料なので
す。こういう表現というのは、添付文書の中にあって本当に役に立つかどうかというの
は極めて疑問でして、やはり情報開示というか公開という意味から公開論文でないので
あるならば、速やかに申請資料概要等を公開していただくようにお願いしたいと思いま
す。でなければ、この添付文書にいろいろ書かれてもその根拠になったデータを結局は
公開していないということになりかねないので、その辺りは是非御指導の方よろしくお
願いいたします。
○河村部会長　これは前にもほかの薬剤で同じようなのがありまして、この部会でも問
題になったと思いますけれども、会社側に言わせれば請求があれば出すということなの
でしょうが、もう少しだれでも見られるようにということで何か一言言っておいていた
だけますでしょうか。
○事務局　御指摘ごもっともでございます。今新薬情報公開ということで、医薬品機構
と薬剤師研修センターのホームページで情報公開をやっております。それで承認後でき
るだけ速やかに審査報告書については公開すると。それから申請資料概要、先生方のお
手元にあるようなこの概要でございますが、これについてもボリュームがかなりありま
すので作業にちょっと時間が掛かるのですが、承認後できるだけ早く公開するという形
で皆様方に情報提供していきたいと考えております。企業にもそのように準備させたい
と思っております。
○河村部会長　よろしゅうございますか。ではこの薬剤は承認を可とし、薬事分科会へ
は報告という扱いになるそうですが、よろしゅうございますか。ありがとうございまし
た。議題２は医薬品サンドスタチンＬＡＲというもので、末端肥大症、巨人症などの薬
だそうでございますが、御説明お願いいたします。
○事務局　それでは議題２、資料２、医薬品サンドスタチンＬＡＲ筋注用10mg、同20mg
及び同30mgの輸入承認の可否等について、審査センターより御説明申し上げます。
　本剤は1989年３月に承認されたサンドスタチン注射液の徐放性製剤であり、有効成分
酢酸オクトレオチドを生分解性ポリマーのマトリックスマイクロスフェアに内包させる
ことにより、従来１日２～３回の連日皮下投与が必要であったのを４週間に１回の筋肉
内投与とするものでございます。海外におきましては、本剤は1995年６月にフランスで
承認されたのを始めとして、現在71か国において承認を取得しております。
　本品目の専門協議では、本日の配付資料６に示しますように谷本委員、金井委員、米
谷委員、内村委員、寺本委員、吉田委員、岩﨑委員が専門委員として指名されておりま
す。
　本品目の規格及び試験方法、安定性、毒性、薬理、吸収・分布・代謝・排泄に関して
提出された資料の内容には特に問題はないと判断いたしましたので、臨床試験成績につ
いて述べさせていただきます。
　まず有効性に関してですが、既存のサンドスタチン注射液で治療されていた先端巨大
症患者151例を対象とした欧州第III相試験及びその延長試験において、申請用法・用量
で本剤に切り替えた後、主要評価項目である血清成長ホルモン濃度について、既存のサ
ンドスタチン注射液による治療効果を48週間安定して維持することが示されておりま
す。また、同様な効果は、日本人先端巨大症及び下垂体性巨人症患者28例を対象とした
国内第I/II相試験及び長期投与試験においても確認されております。一方、消化管ホル
モン産生腫瘍に関しましては、既存のサンドスタチン注射液で治療されていた悪性カル
チノイド症候群患者93例を対象とした米国第III相試験及びその延長試験において、主要
評価項目である臨床症状の奏効率に関して申請用法・用量の妥当性が示され、また同様
な効果は日本人再発カルチノイド腫瘍患者２例を対象とした国内第II相試験及び長期投
与試験において確認されております。なお、申請効能のうち下垂体性巨人症は国内外で
の臨床試験を合わせても２例しかなく、消化管ホルモン産生腫瘍のうちＶＩＰ産生腫瘍、
及びガストリン産生腫瘍に関しては国内外合わせても症例を収集することができません
でしたが、既存のサンドスタチン注射液の承認時において本有効成分の各効能に対する
有効性が評価されていること、及び本剤は既存のサンドスタチン注射液で２週間以上治
療され有効性が確認されている患者のみに切り替えて使用することとなっていることか
ら、先端巨大症及びカルチノイド腫瘍を対照とした試験結果からこれらの効能に関する
有効性は十分類推可能と判断いたしました。
　次に安全性に関してですが、本剤の投与による副作用プロファイルは既存のサンドス
タチン注射液とほぼ同様であり、４週間の作用持続で問題となるような副作用も認めら
れませんでした。なお、本剤ではマイクロスフェアの筋肉内注射に起因する注射部位障
害が認められておりますが、マイクロスフェアの消失に伴い回復することから、同一部
位への投与は３か月間は行わない旨添付文書に記載されました。本剤の市販後調査は長
期投与における特別調査が予定されておりまして、胆道系障害、注射部位障害、肝機能
障害例での安全性及び消化管ホルモン産生腫瘍における用法・用量の妥当性の確認を重
点調査項目としております。
　以上のとおり、審査センターでの審査の結果、先端巨大症、下垂体性巨人症及び消化
管ホルモン産生腫瘍に対する本剤の有用性は認められ、承認して差し支えないと判断し、
医薬品第一部会で審議することが妥当と判断いたしました。なお、本品目は再審査期間
６年、製剤は劇薬に該当し、また生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと
判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほどどうぞよろ
しくお願い申し上げます。
○河村部会長　ありがとうございました。先に言っておきますけれども、この添付文書
も半分以上が社内資料でございます。それからなぜオーファンでないのかと聞きました
ら、サンドスタチンがオーファンとして通っていないからこれもオーファンにならない
ということだそうでございます。違いますか。
○事務局　補足させていただきます。既存のサンドスタチン注射液がオーファンドラッ
グ指定制度ができる前に承認されたために、その新改良製剤である本品目はオーファン
ドラッグには指定されないと申請者が判断したものです。
○河村部会長　そうですか。間違えました。御発言ございましょうか。どうぞ。
○永井委員　「(１)重大な副作用」に「２)徐脈」とありますけれども、健康な方には徐
脈で適切な対処でいいのかもしれませんが、洞不全症候群とか非常に重大なことが起こ
り得る患者に対しては使用上の注意とか、洞不全患者への投与に対する注意をもう少し
記載しておいた方がいいように思うのですが、いかがでしょうか。
○事務局　センターよりお答えいたします。「添付文書(案)」、「(１)重大な副作用」
に「２)徐脈」という項には確かに説明は不十分かもしれませんが、一応注意喚起されて
おります。この記載根拠は、実は既存のサンドスタチン注射液の投与時に、これは急性
に血中濃度が上がるような薬物ですので、投与直後によく徐脈を起こすということで、
中には生命に非常に危険を及ぼすような徐脈が現れたということで重大な副作用に掲げ
ているのです。しかし、本剤の場合は血中濃度の上がりが非常になだらかでございまし
て、実際に今までの臨床試験で認められている徐脈は２例あったのですが、いずれも軽
微なものしかなかったと。投与直後ではなくて、投与数週間たってから出てきたという
ものしかなかったということで、本剤については、それほど心配はいらないのではない
かと考えております。
○永井委員　徐放剤なのですけれども、このカイネティクスを見るとやはり筋注直後に
結構血中濃度が上がっておりますが、これは余り影響がないと考えるのですか。
○事務局　このタイプの徐放剤では、よく投与直後にマイクロスフェアの表面にあった
ものがバーストとして出てくるのですが、これに関しては製剤設計が非常によくなされ
ております。例えば既存の武田のリュープリンとかアストラゼネカのゾラデックスなど
では非常に高いバーストが見られるのですが、本剤の場合はこのバーストが非常に低く
て、既存のサンドスタチン注射液のＣmaxの三分の一程度まで抑えられているというこ
とで、この影響はほとんどないと考えております。
○河村部会長　よろしゅうございますか。ほかに御質問、御意見ございましょうか。カ
ルチノイドを含め特殊な病気に使われる薬ですので、ここで承認を可とし報告という扱
いにさせていただこうと思いますが、よろしゅうございますか。ありがとうございまし
た。
　次に報告事項の希少疾病用医薬品の指定の取消しと、医療用医薬品の再審査結果につ
いてお願いいたします。
○事務局　それでは事務局より資料３の「希少疾病用医薬品の指定の取消しについて」
を御報告いたします。１枚めくっていただきますと取消し品目が出てまいります。医薬
品の名称はかなり長いのですが、1-(2-ナフタレン-2-イルエチル)-4-(3ートリフルオロ
メチルフェニル)-1、2、3、6-テトラヒドロピリジン 塩酸塩ということでございます。対象
となる疾病でございますが、筋萎縮性側索硬化症ということで、申請者の名称がサノフ
ィ・サンテラボ株式会社、指定が平成９年でございます。
　１枚めくっていただきますと「開発中止の理由」というものが出てまいります。平成
９年に筋萎縮性側索硬化症ということでオーファンの指定を受けたわけでございます
が、その後国内において第I相、第II相、それから長期投与試験等々を行ってまいりま
した。その中で評価項目の一部について有効性等が認められる部分はあったのですが、
多くのものについて有効性が証明できなかったという点がございます。
　もう一枚めくっていただきますと、「2-2.海外における開発状況(第III相試験)」とい
うものが出てまいります。海外において第III相試験をやっておりますが、その中でも主
要評価の一つの生存期間についてプラセボとの間で有意差が証明できなかったというこ
とがありました。海外の規制当局、アメリカのＦＤＡ、それから欧州医薬品庁(ＥＭＥＡ)
等で今後の方針等についてサノフィとして相談したところ、開発を続けていくのはなか
なか難しいということで、両局においても申請を取り下げているということでございま
す。そういった流れを受けまして、本邦でも開発を続けることが困難ということで、開
発中止届が出されたものでございます。以上でございます。
○事務局　続きまして、報告事項の議題２の「医療用医薬品の再審査結果について」を
御報告いたします。資料といたしましては、資料4-1の塩酸エホニジピン、ランデル錠
10、同20、同40から資料4-3のオルソクローンＯＫＴ３注の合計３成分の再審査報告
書になります。
　これらの品目につきましては、市販後の使用成績調査、特別調査等に基づいて再審査
申請が行われ、それぞれ審査の結果、いずれの品目についても薬事法第14条第２項各号
の承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承
認事項については変更の必要はないカテゴリー１と判定したものであります。これらの
結果につきましては、近く各々通知する予定といたしております。以上でございます。
○河村部会長　以上の報告につきまして御質問ございましたらどうぞ。よろしゅうござ
いますか。では承認可ということにしていただきます。
　議題は以上でございますが、後になりましたけれども、事務局から永井先生の御紹介
もかねてお願いいたします。
○事務局　前回の部会で御報告いたしましたが、矢崎先生が御退任ということで、永井
先生に当部会に御出席いただくことにいたしました。永井先生、どうぞよろしくお願い
します。
　続きまして、昨年10月、11月に当部会で御審議いただいたプレセデックス静注液200
μg、エビスタ錠、それからシンセロン錠８mg、動注用アイエーコール、オルメテック錠、
ファブラザイム点滴静注用、グルファスト錠等につきまして、昨日付けで承認したこと
を御報告いたします。
○審査管理課長　次回の日程でございますが、２月26日10時からということになって
おりますので、場所は追ってまたお知らせ申し上げます。よろしくお願いします。
○河村部会長　では本日はこれで終了させていただきます。先生方、どうもありがとう
ございました。
                                                                   　(　了　)
　
　　
連絡先：　医薬食品局　審査管理課　課長補佐　佐藤（内線２７３４）
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