04/01/28 平成16年1月28日(水)医療用具安全対策部会議事録         薬事・食品衛生審議会 医療用具安全対策部会 議事録 1.日時及び場所   平成16年1月28日(水) 10:00〜   KKRホテル東京 瑞宝の間 2.出席委員(17名)五十音順   井部 俊子、 小野 哲章、 甲斐 知恵子、笠貫  宏、   倉田  毅、 佐伯 晴子、 酒井 順哉、◎桜井 靖久、   佐藤 道夫、 澤   充、 勝呂  徹、 土屋 文人、   長尾  拓、 中村 達夫、○外 須美夫、 目黒  勉、   山口 照英   (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(5名)五十音順   天笠 光雄、 小柳  仁、 土屋 利江、 星  北斗、   松谷 雅生 3.行政機関出席者   俵木 登美子(安全使用推進室長) 、日下田 俊彦、浅沼 一成、   井本 昌克  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局  それでは定刻になりましたので、平成15年度第2回医療用具安全対策部会を開催した いと思います。本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいた だきましてありがとうございます。今日御欠席の先生は天笠委員、小柳委員、星委員、 松谷委員の4名でございます。18名の先生方の御出席を賜ることになっておりまして、 現在土屋委員はちょっと遅れていらっしゃいますが、定員22名のうち17名の御出席とい うことで部会の定足数に達しておりますので、会議を進めさせていただきたいと思いま す。  始めに事務局側の人事異動がございましたので、御紹介させていただきたいと思いま す。安全対策課長として黒川に替わりまして平山が担当させていただくことになりまし た。審議官と安全対策課長は本日国会等の所用により欠席させていただくことになりま したので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。  それでは部会長の桜井先生、以後の議事をよろしくお願いいたします。 ○桜井部会長  よろしくお願いいたします。それでは事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○事務局  それではお手元の資料の御確認をさせていただきたいと思います。束になっている資 料から御説明させていただきますが、まず一枚の議事次第、それから資料目録でござい ます。資料1-1が「真空採血管の使用上の注意等の自主点検等について」、資料1-2が 「電気手術器等に係る自主点検等について」、資料1-3が「脳脊髄液短絡術用圧可変式 シャントが受ける磁気影響に関する自主点検等について」、資料1-4が「ポリカーボネ ート製などの医療用具の破損(クラック)について(No.196)」。資料2-1が「薬事法第77 条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への不具合・感染症等報告について 」、資料2-2が「医療用具不具合等報告」、資料2-3が「医療用具外国措置報告」、資料 2-4が「医療用具研究報告」。資料3-1が「医療用具感染症定期報告について」。以上で ございます。過不足等がございましたら、事務局の方にお申し出いただければと思いま す。 ○桜井部会長  以上おそろいでございましょうか。よろしゅうございますか。それでは本日は報告事 項が多いようでございますが、まず議題1の「医療用具の市販後安全対策について」と いうことでございます。では事務局からよろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは資料1-1を御覧いただきたいと思います。資料1-1〜1-3までは自主点検に関 する行政通達という形のものでございます。資料1-1は「真空採血管の使用上の注意等 の自主点検等について」ということでございまして、平成15年11月17日付けで衛生主管 部(局)長あてに通知を出させていただいております。内容といたしましては、真空採血 管については長らく逆流しないと、医療用具として採血だけに使われるものとして考え ていたのですが、ある研究報告の中で真空採血管は間違った使われ方をすると逆流する ということが報じられまして、真空採血管のそれぞれの部位についても検証、機能検査 をした結果、逆流の防止と感染症の防止、あるいは環境への感染因子の排除という観点 から、所要の禁忌あるいは使用上の注意等の追記を指示したものでございます。  最初に資料1-1〜1-3まで流して御説明させていただきたいと思います。資料1-2が 「電気手術器等に係る自主点検等について」ということでございまして、平成15年12月 1日付けで同じく衛生主管部(局)長あてに出させていただいた通知でございます。こち らはマイクロ波による凝固療法あるいはラジオ波による焼灼療法と言われる、いわゆる 電気手術器において肝臓実質細胞を焼き切るときに問題が起きた症例を基に出させてい ただきました。十二指腸乳頭部の括約筋の機能低下、要するに削除手術をしたり、ある いはその部分の機能が低下している状況の患者さんに対して、このような電気手術器を 使用することによって細菌が逆流して治療層で膿瘍又は重篤な肝膿瘍を起こすという症 例が上がってきましたので、そのような適用についての注意を喚起するという通知でご ざいます。  資料1-3が「脳脊髄液短絡術用圧可変式シャントが受ける磁気影響に関する自主点検 等について」でございますが、従来自主点検通知で磁気等の影響についても点検する形 でやってきたわけですけれども、この度磁気まくら、あるいは磁気ネックレスといった 生活雑品において、非常に強い磁気を発するものが出回ってきたということがございま して、それらについても注意を喚起するように添付文書の改訂を行うよう指示したもの でございます。足早でございましたが、資料1-1〜1-3までの概略は以上でございます。 ○桜井部会長  ありがとうございました。それではちょっと駆け足なので十分お分かりいただけたか どうか分かりませんが、いかがでしょうか。何か御質問あるいは御意見はございますで しょうか。小野先生、どうぞ。 ○小野委員  どれに対してでもよろしいでしょうか。最後の脳脊髄液短絡術用圧可変式シャントで すけれども、この事例については多分原理的に磁気で開閉するということであるとする と、この程度の問題点というのは承認の段階で見抜けるはずだと思うのですが、なぜ承 認の段階で例えばこのような添付文書の改訂などがなされなかったのかということをお 聞きしたいのです。 ○桜井部会長  これはどういう原理で開閉するのですか。 ○事務局  先生の御指摘のように、基本的にはシャントの圧力設定を可変できるということで、 埋め込み式ですので外から何らかの形で変更するのですが、特に磁気式の場合において は当然磁気を使って圧力設定値を変えるものですから、強力な磁気においては当然作用 はあると。従来MRIなどの強い磁界であることが想定されていたのですが、生活雑品 において強い影響磁石というものが想定されていなかったものから、このようなものと いうことでございまして、実際の承認の段階でこのような知見がどの程度蓄積されてい たか今確認するすべがないので、もし必要であれば後日調査してから御報告したいと思 います。 ○小野委員  この承認は随分古いわけですか。 ○事務局  ちょっと調べさせていただきます。 ○桜井部会長  大体日常に使われている磁気というのは500ガウスぐらいですか。 ○小野委員  ピップエレキバンは3,000ガウスという宣伝もありますが、かなり強いものもあると 思います。 ○桜井部会長  そうすると、やはり承認のときにそれを考慮に入れる必要はありますね。 ○事務局  承認の時期については個別の症例表に書いてあるかどうか確認させていただきたいと 思いますので、ちょっとお待ちいただいて、その間ほかのものに移っていただけますで しょうか。 ○桜井部会長  そのほかの件はいかがですか。 ○澤委員  真空採血管の注意についてちょっとお尋ねしたいと思います。採血というのは臨床の 場で非常に頻度の高いものです。その中で採血という行為での盲点が今回指摘されたの だと思うのです。医療安全の立場から、こういう真空採血管を使う場合にはこのような 注意が必要であるということは大変よく分かるのですが、これを厳守することによって 起きるいろいろなリスクといった点についても、昨今はいろいろなデータ、数値で上げ るということが言われておりますので、この逆流によって起きる感染率といった情報の 提供をしていただければと思います。  それから例えば駆血帯を外して採血をするということになりますと、この方法でやっ ていて血液量が足りなくなる、もう一度刺さなければいけないということがどうしても 起きてしまうと。そうしますと針を刺すことによってその領域の、ちょっとまだよく分 からない神経領域を超えた筋萎縮などの事例が、我々の病院でも1年に1例か2例起き るようになっておりますので、そうした針を刺すという行為が増えることについての問 題点もやはり検討していただきたいと。  それから結局ベッドサイドでの採血などでは、どうしても血管の方が採血管より下が る位置にならざるを得ないのです。そうなった場合に、我々のところでも翼状針を使っ て注射筒を接続して採血をするとか、そういうふうにこの通知を基に変えてきておりま す。しかし、様々な医療用具廃棄物の増加等の問題も出てきていますので、この採血方 法についての安全性を上げるということでは今回の通知は非常に意味があると思います が、これを厳守することによって起きるほかのいろいろなデメリット等についての指 導、情報等を更に追加して提供していただくことを望んでおります。 ○桜井部会長  ありがとうございました。結局一言で言うとリスク・ベネフィットの問題になると思 うのですが、いかがでしょうか。 ○事務局  先生の御指摘はごもっともでございまして、部内でもこの通知を発出する際に議論の 的になったところは確かにございます。もう少し詳しく経緯を御説明させていただきた いと思います。真空採血管に端を発したのは、実は採血管の中は必ずしも滅菌済みでは ないのではないかという一つの問題を言われました。もう一つは、これが逆流すること もあり得るのだと。科学的に言いますと、体外診断薬と同じように体から出したもので 診断するわけですから、これに臨床検査値異常を起こさない、しかも体に戻らないとい うものであれば、たとえ菌が入っていても問題にはならない製品だったわけですが、実 際に場合によっては逆流して体に戻るのだという実例を挙げられたということから、再 度全部の機能試験をさせていただきました。  一つの問題点、滅菌については通達を出させていただいて、今年中にすべての真空採 血管を滅菌済みのものに切り替えていくという措置を講じたところでございます。もう 一つの問題ですが、実は真空採血管の手技にまつわる道具としてこのようなホルダー、 そしてディスポの滅菌針と、この三つから構成されています。また先生の御指摘のよう に、駆血帯という形で採血する際に腕を圧迫し血管を怒張させて血管を採りやすくする 雑品もあるわけですが、その四つのもので採血は成り立っているわけですけれども、そ れぞれの機能を検査したところ実はこのホルダーは臨床機関においては毎回使い回され ていると。しかもこの中の内壁がかなり血で汚れることがあるので、医療従事者からこ れは大丈夫なのですかとの問い合わせもありました。また感染症の専門家からもちょっ と気になりますねとの御意見も頂きました。血で汚れたものを使い回して大丈夫なのか ということについて検証していったところ、この血液による汚染の源は実はこのゴムチ ップにありました。  このゴムチップについてはきちんと封をしてあるのですが、真空採血管により何回も 採血すると針をゴムチップに押し込みますので、このゴムチップに穴があくわけです。 そうすると、封じ込め能力というのは穴が空いた状態でのゴムチップの能力に依存して きます。これについては当初の設計では駆血帯をした状態で採血するのか、駆血帯をし ない状態で採血するのか、厳しい吟味がなされないままの製品設計であることが分かっ てきました。実際に駆血帯をした場合に、もちろん患者さんの静脈圧に依存しますが、 高いときには60ミリ水柱以上上がってくるという場合にはしみ出してくる、場合によっ ては血が噴き出すということによってホルダーの血液汚染が発生するという結論に至り ました。事実、ホルダーを血で汚染してしまうということが実際に臨床現場でも指摘さ れているところでございます。  そのまま使うとどういうことになるかということで手順どおり追ってみますと、この 針はディスポですから使った後このように捨てます。実際にこの表面に血が付いていま すとこの付け根の部分、針をロックする装置が狭い隘路になっていますが、ここに血を 残してきてしまいます。そこに新しい完全滅菌針を装填しても、滅菌されたフレッシュ な針が汚染された形で次の患者のスタートになるということから、この製品設計として は常圧採血の用具としてしか位置付けられないのではないかと考えられます。また、も ちろんこれをディスポにしても患者さんは何回も採血管を押し込んで、1人で3〜8本 採られるわけですが、内壁を汚してしまいますと採血管の外周に血が付きます。このま ま採血室を出ていってしまいますと、採血者はゴム手袋をしてプロテクトされています が、一般の臨床の人は手袋をせずに触ってしまうという環境のリスクがあります。ま た、その操作をされている看護師あるいは臨床検査技師が触ってしまいますと、ゴム手 袋に血が付くといったことで、潜在的な感染症リスクを押し上げるというメカニズムで あることが分かったので、製品設計としてはできないものまで標榜してはいけないと。 薬事法の原則である製品の機能限界を超えての使用方法を標榜していることは許されな いという観点から、このような通知を出させていただいた経緯でございます。  もちろんそうは言っても先生方のおっしゃるように、今の臨床現場においては駆血帯 をして高い圧力で採血することによって、より多くの患者さんにこのデバイスが適用で きることは周知の事実であります。同等の安全対策を施すのであれば、例えば先ほど申 し上げた患者ごとの感染リスクについてはこのホルダーをディスポにする、あるいは患 者ごとに交換することによって、針の交換に伝搬するリスクは完全に遮断することがで きると。また中の内壁に付いた血については、その都度この部分をアルコール等で完全 にふき取ってもらうということで、実行上は成り立ち得るという形で専門の先生方にも 御議論いただいて、学会として基準を作っていただければと思っておりますが、その方 向で動いていると聞いております。  なぜこの通知が出たかという技術的な背景と論理的根拠、そして実際への適用として は、まず製品面からはこのような方法ができる患者に使ってくださいということです。 実際にお使いの臨床現場では同等以上の安全対策ができれば技術上問題ないと。ゴール としては患者さんに安全な医療を提供するということですから、結果的な手技で同等以 上のことができれば我々としては特にそれを妨害したりどうこうするつもりはないので すが、我々の責任範囲である薬事法に基づいては、申し訳ないのですけれども、当座は これが限界かなと思われます。もちろんこの製品設計の改良が行われれば、また新たな 手技についても当然ながら容認できるものとして売ることは可能だと考えておりますの で、今後も製品開発等についての推移を見守りながらこの案件に対処していきたいと思 います。 ○桜井部会長  どうぞ。 ○佐伯委員  私はずっと「自主点検」などの言葉を見ていて感じたのですけれども、この内容が実 際の現場でそれを使う人にすぐ伝わっているのか、少し不安なところがあるのです。今 当座のこのやり方でとにかく防いでくださいということであれば、文書での通達とはま た別に現場用の例えばインストラクションするようなビデオだとか、そのような映像を 1回ぐらいでもどこかで流してみんながそれを見るだとか、そういうことで患者さんの 安全を一歩でも守るようにしていただければと思いました。 ○事務局  おっしゃるとおりで、まず法律の立場から通達を出すと同時に、いろいろな関係団体 にも協力をお願いしているところでございます。ただ実際に限界等がありまして、もの すごい数の医療機関と医療従事者がいらっしゃいますので、なかなか完全には進まない というところではございます。 ○佐伯委員  厚生労働省のホームページは毎日更新されますよね。例えばあの中に動画のデータを 入れてもらってこれについてはこのようにと言ったら、だれでもアクセスできていいの ではないかと思ったのですが。 ○事務局  ここは非常に難しい問題なのですが、実は安全対策上やるべきことは同じなのですけ れども、通知からするとこのデバイスとしては駆血帯を最後までして使えるものではな いと、技術的評価は恐らく間違いないと。そういったものであるとすると、この製品を 正しく使うものは何ですかと厚生労働省、政府として言ってみろと言われますと、一義 的に答えるには、このゴムチップの封じ込め能力に依存した範囲内での採血対象者に使 ってくださいということ以上を言うのは、事実上科学的データがないままいいですよと 言ってしまう矛盾に当たります。実際アメリカ等の採血基準もすべて学会において専門 職の中で製品をどのように使うかというガイダンスもあって、そちらの方から関連学会 の手技の統一という形で調整を進めさせていただいているのが現状でありまして、統一 的な手技については実は細かいところは各大学、あるいは学会によってもかなり違うの です。そういうところで先ほど澤先生から御指摘があったように、この手技でやらなけ ればいけないというふうに手技まで押し付けるというと、かなり統一は難しいのではな いかということで、今その辺についての調整を学会等にお願いしているところなので、 厚生労働省のホームページでこの手技でやりなさいと言うのはなかなか難しいかなと考 えております。 ○桜井部会長  よろしいですか。余りよろしくないのではないですか。 ○佐伯委員  ただ、学会が鈍い動きなのか鋭い動きなのかがちょっと分からないということと、そ の学会か厚生労働省でしかないのかというのが分からないのもあって、そういう利害だ とか言ってしまうと差し障りがあるとかということではなくてもっと何かないものか と、ずっともどかしい気はしました。 ○桜井部会長  澤先生、何か一言ございますか。 ○澤委員  ちょっとずれますけれども、この医療安全にかかわる問題は今特定機能病院を対象に より厳しく情報伝達をするということが求められております。我々のところでも例えば 医療安全管理室に専任の安全管理者を設けて、それでこうした安全上の情報が提供され ますと病院中に周知しなければいけないということで、それは記録としてきちんとやっ ているということが年1回の医療法に基づく立入検査でチェックを受けるのです。です から、そういう形で少し遅いのかなと思いますけれども、情報伝達というのは医療機関 の中では現在かなり進んでおります。それがいろいろなすべての病院まで行くかどうか は、私たちの関知するところではなくて厚生労働省の仕事ですけれども、とにかく特定 機能病院を中心にこの医療安全に関して今厚生労働省の指導は非常に強いのです。です からそういったところでは、こういった通達が出てきますと無理やり従って実施してお ります。 ○佐伯委員  特定機能病院にかかっている限りはある程度安全であるということなのですが、患者 さんはそこに押し寄せるわけにはいきませんし、本当に日常的な採血の問題ですので、 特定機能病院にかかわらずどこでも安全が守れるようにお願いしたいと思いました。 ○井部委員  恐らく採血業務に携わるのは看護職が最も多いと思うのですけれども、多くの病院は 採血に関する看護手順を作って病院の中で一定の手技が実施できるようにしていると思 いますので、特定機能病院のみならず職能団体をうまく活用すると。看護師若しくは検 査技師も採血業務に携わっておりますし、一部医師もやっているわけですけれども、恐 らく割合として多いのは看護職だと思いますので、そのルートをうまく使うという手も あるなと思いました。それからもう一つは、この真空採血管に関してはどこの学会が第 一義的に関心を持っているのでしょうか。 ○事務局  二つほどお答えさせていただきたいと思います。最初にこの通達について関係団体に 協力をお願いしていると申し上げたのは、先生のおっしゃるように看護協会、医師会、 それから臨床検査技師会で、この通達を合わせて御説明方々お持ちして御協力をお願い しているところでございます。それから学会については、真空採血手技についてバック グラウンドのある学会というのは実は公式にはないようです。臨床病理が一番近いとも 言われていますが、実はそれぞれがそれぞれに関与しているので、公式な形としてここ がこの手技に関する基幹団体はないと。ですからあとは一応そういうことに関心を持た れている関係者の輪を広げるという形で、逐次学会に声をかけて広げていただいている というところでございます。この場では公開の会議ということもあって、名前はちょっ と割愛させていただきたいと思います。というのは、まだその辺についても理事会など を通していないという事情もございまして、公表には待ってくれと言われていますの で、もし御必要であれば後ほど委員に個別に御対応させていただきたいと思います。 ○安全使用推進室長  医療安全又は医療機器についての現場の先生方への情報伝達は、医薬品についてもな かなかその問題は難しいという御指摘を頂き、厚生労働省としても改善を求められてお ります。医薬品については薬剤部という入り口がございまして、医療機関に対しては厚 生労働省からもルートがありますし、製薬メーカーから行くルートもあって、いろいろ なルートから薬剤部を通じて病院の中で情報を徹底していただいているのだと思うので すが、医療機器についてはこれまでそういった窓口もはっきりしていなかったところも あって、病院の窓口のどこかに届くのだけれども、実際には中で看護師の先生方のとこ ろまでなかなか届きにくいということもございました。先ほど澤先生のお話にありまし たように、医療安全の観点から医療安全管理のための部署が各病院に設置されることに なり、当初特定機能病院だけでございましたが、現在ではそれ以外のすべての病院にそ ういった医療安全についての中心となる部署が設置されることになっております。  今回の真空採血管の件についても今までの採血のプロセスと若干違う部分があります ので、関係の企業に対しては先生方に分かりやすく、かつどこにリスクがあるのか、こ こで1から10まででないにしても、そのリスクを避けるために現場の先生にどうやって いただく必要があるのかということを御理解いただけるようなビジュアルな資材も含め て、できるだけ情報伝達に努めるようお願いしております。いろいろなルートから情報 を徹底させていただきたいし、また病院の中でそういったセンターができて機能してい けば、医療機器についての情報ももっと通りやすくなってくるかなと思っております。 更に加えて、医療安全についても厚生労働省の情報ツールのホームページであるとか、 また医薬品機構にも医療安全のホームページを設けておりますけれども、今後そういっ たところももう少し先生方に御利用いただきやすように改善を図っていくことにはして おります。 ○外部会長代理  一言だけ、実際現場ではこの採血の医療行為というのは毎週行われて大変なことなの ですが、実はこの自主点検の文書が出されて私たちの病院でもいろいろ対策を採ったわ けです。この文書が出される前に私たちは病院として、実はここに書いてあるように採 血管を挿入した状態で駆血帯を外さないようにしようということでやってきたわけです が、この通達はそれ以上に厳しいものだったのです。ですから、これを読んでどれぐら い理解できるかという、文言が少し問題かなと思いました。  例えば最初の1の1)に書いてある「駆血帯を装着した状態で採血管をホルダーに挿 入しないこと」、この説明とその次に書いてある括弧以下は少し違うのです。括弧から 以下は「駆血帯を装着した状態で採血を開始し、採血後採血管を挿入した状態で駆血帯 を外した場合」にこうなると。ですからここの括弧の中だけの意味でいえば、採血後採 血管を外してから駆血帯を外せばいいと読み取れるのですけれども、上に書いてあるの はそうではなくてもっと厳しいのです。ですから、ここの違いをどう理解したらいいか と現場ではちょっと混乱したのです。ただ、これに従うしかない、多分それよりもゴム のところに少し血液が付いている、それの逆流さえも問題にしているのだろうというこ とでこれにのっとろうとするのですが、素直にこの括弧の中とその前の文言はちょっと 違うニュアンスがあるのです。  そういうこととか3に書いてある注意欄に、「患者の腕、穿刺部位及び採血管が採血 中常に下向きであることを確認すること」と、この意味も非常に読み取りにくいので す。採血部位が下向きとか採血管が下向きとか、一体何に対してどう下向きなのか。そ ういうことで、臨床の現場ではこの通達に従うしかないということでやっているのです が、内容を把握しにくいところがあったので、実際の映像とかその辺はよく分かりませ んけれども、もう少し分かりやすく伝わるようにやった方が良かったのだろうと思いま す。 ○桜井部会長  ありがとうございました。 ○笠貫委員  この採血というのは本当に日常診療の中で行われている非常に大事なことですので、 先ほど厚生労働省の方から出ましたけれども、いろいろなルートを介する中で職能団 体、学会、病院、あるいは厚生労働省直接というのがあると思うのですが、もう一つ今 回出した通達が関係業者に対してどういう具体的な方策を立てさせるのか、通達で済む のかと。一番末端までどのように通じるかというのは、その採血管を売ったところが完 全にすべてを包括できるので、そこのところで先ほどもちょっと出ました薬の場合は、 MRが情報伝達と情報収集ということではキーパーソンになるわけです。そういう意味 では医療機器の場合にはこの関係業者という、情報伝達と収集のキーパーソンがいない ところがやはり今回も一つの問題なのではないだろうかと。そうしますと、本当に草の 根の徹底的な周知徹底はこれから是非そういう方向に向かっていただきたいと。そうい う意味で先ほどの文章の読み方も、是非そのMRに当たる医療機器メーカーの営業の人 たち一人一人が理解できる文章にしていただきたいと思います。 ○桜井部会長  ありがとうございました。ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。どうぞ。 ○井部委員  この真空採血管は私が若いころに最初に導入したのを非常に覚えているので、1980年 代前ぐらいから出回り始めてきたわけです。そうすると、20年以上たってこうした問題 が指摘されるということになるわけですが、この期間というのは…、例えばこの新しい 採血管を使った市販後の検証はもっと計画的になされるべきなのか、あるいは今回ある 研究報告とおっしゃいましたけれども、たまたま何か事が起こったのかどうかよく分か らないのです。実は私のところにもメディアの方が見えたのですけれども、20年以上た ってこうした通知が出て手技の改善あるいは物品の見直しがなされるというのは、では この間は何だったのかと思うのですが、もう少し迅速な検証がなされる方向性はあるの でしょうか。私としては何となく気掛かりな、この間はどうだったのかと思ってしまい ました。 ○事務局  今の御質問は非常に難しいので回答になっているか分かりませんが、一つは正にある 意味で予見可能性と技術の進歩、あるいは検証点の考え方の変化に尽きるのかなと思い ます。承認あるいは認証といったものについては、当然その当時においての英知を結集 して見るわけでございますので、そのときに気付くべきものは気付いてセットする。た だ、実際にそれが流通して、もうありふれたものになってしまった後は、それについて の研究あるいはそういったものについての知見を集積して、その時々に処置をする以外 には基本的に難しいと思われます。今回はたまたまその契機が20年後に来たというので あればそうなのかもしれません。ここに挙げさせていただいている自主点検というのは 正にそういうことです。1回市販されてしまった、しかしそれでやりっ放しではなくて 何らかの知見を契機に、それはどういう問題があったのか、どういうメカニズムで起き ているのかについて、例えば製品設計を変えるということになるかもしれませんし、あ るいはそれに対する手技、電気メスの方は正に手技ですよね。もちろん注意事項の形に なりますから手技をどこまで変えられるか分かりませんが、そういったものについては 後から分かるということも実は少なくないのではないかと。そこについてのタイムラグ はどういったものが検証されるかによりますので、例えば基本的にすべての製品につい て1年以内にそういった観点の見直しができるかと御質問されたとするのであれば、そ れは不可能ではないかと。ただ、そういったシグナルを見落とさずに随時フィードバッ クをかけていくということが今後求められていると考えておりますし、今後製造業者あ るいは輸入販売業者等の流通責任業者に対してはそういった要件を課していくという法 改正を行ったところです。今後はより一層こういったフィードバック、実際に市販され た後についても随時科学的知見を集めて見直しを行っていくという流れにするというふ うには考えております。 ○桜井部会長  よろしいですか。ありがとうございました。今大変大事な情報伝達の問題が出たので すが、幾つかにまとめられると思います。一つはやはり情報伝達のシステム構築です。 これはやはり各病院にリスクマネジメントの部があって、そこへ通達が行けばすべてに 行き渡るというシステムを構築しないと、point to pointではなかなか難しいだろうと いうことでございます。  それから二つ目は書き方が大分問題になって、要するに役所の文書というのは法学部 出以外の人はなるべく分からないように難しく書くというのが通例でございまして、私 も読んでもよく分からない。そうすると、やはり通達、通知に関する文章の吟味という のが必要で、これは我々のような者でも分かるようにやはり何かそういう関所といいま すか、フィルターをかけて文章を吟味しないと、出しましたよと言われてもなかなか理 解が難しい場合もあるのではないかと思うのです。そういうことはなかなか一朝一夕に できない、また今日は星先生がいらっしゃらないので、星先生に言わせるとまた検討か と言われるわけですが、やはり検討していただきたいと思うのです。  三つ目は文章の書き方の問題に入るのですけれども、やはりなぜこういうことをしな ければいけないかという根拠をそこに一言書いていただければ、なるほどそうなのか と、しかるがゆえにこういうことをやってはいけないのだなということが分かると思う のです。それを何も根拠が書いていなくてこうしなさいとか、こうしてはいけないと言 われても何のためなのかが分からないので、やはり根拠を明示してそれに基づいてこう いうことは避けた方がいいということをお書きいただくというふうに、これからちょっ と御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。  それでは次の議題は資料1-4のポリカーボネートということです。 ○事務局  その前に一つ、先ほど小野先生から頂いた御質問について分かる範囲内でお答えさせ ていただいてから移りたいと思います。問題症例については平成4年の製品のようでご ざいます。製品の形状構造は非常に簡単でございますので、その後の承認は多分いわゆ るゾロといいますか、同じようなものという形で継承されていまして、前例踏襲と、前 の製品とできるだけなぞらえて造るような設計になっています。その製品についてMR Iのように強力な磁場環境は想定していましたが、生活雑品における高出力の影響磁石 についての言及はありませんので、恐らくその当時において検証された磁気影響という のはMRIというものだと考えられます。一応それについては以上でございます。  では資料1-4に移りたいと思います。「ポリカーボネート製などの医療用具の破損(ク ラック)について(No.196)」ということでございます。ページをめくっていただいて、 これは第196号の「医薬品・医療用具等安全性情報」という私どもの季刊誌、月刊誌に なりましたけれども、こちらの方で調査報告を掲載させていただいた記事の写しになっ てございます。問題を簡単に要約しますと、ポリカーボネートという樹脂は臨床現場で チューブあるいは硬質のプラスチックとして非常に多用されておりまして、こちらに載 っている「三方活栓」については主流を占めた材質でございます。これについては簡単 に言うと二つの条件が重なるとよく割れるということでございまして、一つは脂肪乳剤 といったようなものという薬剤の影響、界面活性剤、油性成分などを含んだものを流し ていて、かつ反復して締め付けをすると。三方活栓ですから開閉するデバイスですの で、当然ながら宿命として伴っているものなのですが、その条件が重なって締め付け回 数が多くなるほど、それから締め付け強度が強くなるほど、4〜5ページにある表で示 すように破損確率が高くなってくるという現象が分かってきたということの注意喚起で ございます。  表を簡単に見ますと、15cN・mの方は力としては女性が軽く握った程度の力を想定し ていまして、40cN・mの方は屈強な男性が思い切り締め付けたものを想定した設計と考 えていただければ結構です。このようなことから、基本的に物としては割れる可能性が あるのですと。三方活栓は当然看護師さんが病棟見回りのときに、確実にラインが締ま っているか確認する意味で必須の不可避の行為として考えられますが、余り思い切り締 めないでくださいと。また、長期にわたって同じものをやり続けると割れる可能性があ るということを分かっていただきたいという趣旨で、この情報通達を出させていただい たものでございます。説明概要は以上でございます。 ○桜井部会長  ありがとうございました。この件は何か御意見、御質問ございますでしょうか。佐藤 先生、何かございますか。よろしいでしょうか。 ○佐藤委員  特にコメントはないのですけれども、これはポリカーボネートに限っていますが、通 達の(4)の後ろの方にほかのプラスチックについても述べられていまして、このような 高脂溶性の薬剤を使えばプラスチックが劣化するのは当然のことですので、こういう注 意を喚起するのはいいことだと思っています。 ○桜井部会長  ほかはよろしいでしょうか。どうぞ。 ○井部委員  これは三方活栓にこのような内容のものが文書として添付されるのでしょうか。時々 三方活栓が破損するのはこういうことで起こるのだという、先ほどの根拠を示すという 点では、現場の者にとっては非常に参考になると思うのですけれども、それはいかがで しょうか。 ○事務局  これと同じような内容で自主点検通知を2回にわたって出させていただいていますの で、既に流通製品にはこのようなリスクについて書いてございます。ただ、実際にどの ようなメカニズムでという細かい検証について、要するに力もある程度以上強くなけれ ばいけない、しかも反復して締め直すという行為が重ならないとならないといったもの についてのスタディーの検証まで細かくできているのは今回が初めてということですの で、添付文書にはこの類似を想起させるような注意事項は書いてございます。 ○桜井部会長  どうぞ。 ○中村委員  普通ポリカーボネートと言ったときは、化学で言うと-OCOO-でつながった高分子 材料は全部ポリカーボネートだったような気がするのですが、ここで言っているものは ベンゼン環が二つある、よくあるポリカーボネートのことを指しているわけですか。 ○事務局  そのとおりです。 ○桜井部会長  よろしいでしょうか。それでは次の議題2、医療用具の不具合報告についてです。 ○事務局  それでは資料2-1を御覧いただきたいと思います。「薬事法第77条の4の4の規定に 基づく薬事・食品衛生審議会への不具合・感染症等報告について」ということでござい ます。まず1枚めくって1でございますが、昨年7月30日より改正した薬事法第77条の 4の4の規定に基づきまして、毎年度不具合等の報告及び回収の報告の状況について薬 事・食品衛生審議会に報告し、必要と認めるときは意見を聴いて、保健衛生上の危害の 発生又は拡大を防止するために必要な措置を講ずるものとされているということでござ います。下に各号付きで中の概要を書いておりますけれども、第77条の4の4の第1項 を抜き出しております。  平成14年7月に薬事法改正がなされまして、その内容については基本的に二段階で施 行されることになっていますが、そのうちの前倒し施行分が昨年7月30日から施行され たところでございます。これについては以前この部会においても、今後このようなもの について御報告しますという御紹介をさせていただきましたが、根拠法令第77条の4の 4の条項に基づいて当局にされた不具合報告、後で出てきますけれども研究報告、措置 報告といったものの状況について毎年度説明すると定められましたので、資料2-2〜2-4 にあるような形で御報告させていただくことを考えております。今回調整期間というこ とでございますが、施行日が平成15年7月30日ということですので開始日は7月30日 と。実は当方不具合の様式を10月27日から切り替えてございまして、今回データベース の打ち出し整理の都合上26日で仕切って御報告させていただきたいと思います。残りの 部分については次回の部会で取りまとめて、また御報告させていただきたいと思いま す。  次のページを御覧いただきたいと思います。状況についてですが、平成15年7月30日 〜10月26日までの受付分につきましては不具合・感染症報告が1,788件、これは後ほど の資料2-2に挙げられたとおりでございます。外国措置報告については95件、研究報告 については4件でございます。通常医療用具不具合報告というのは企業から来るもので ございますが、ここにはちょっと細かく書いてありませんけれども、合わせて薬事法が 改正されまして医薬関係者からも特に重要だと思うものについては報告が義務付けられ たこともあって、その報告件数が下に挙げている118件ということでございます。これ らの件についてはすべて不具合報告の方にフィードバックをかけて、実際に不具合であ ったのか、現状はどうだったのかという照会をした上で整理を行っていますので、資料 としては資料2-2〜2-4の方にすべて反映されていると。それ以外のものについては基本 的には非該当のものと御理解いただければと思います。  なお注意事項の1)といたしまして、やはりデータベース処理上の都合でございます けれども、全例ということになるとどうしても因果関係が必ずしも明確でないものも入 ってしまうということになります。また、因果関係以外に関連性についてもかなり疑わ れるものという形で返ってきますので、科学的に完全にその通りではないものも報告さ れたものはすべて載っていますので、そのように御理解いただきたいと思います。  また2)ですけれども、本件については出された総数が出ていまして、同一症例につ いて複数のものが疑われた場合それぞれの報告義務者が出してきますので、症例数と報 告件数が一致しないことは論理的にあり得ますし、またその例も含まれておりますの で、この報告件数イコール起こった件数という形では解することができないと。例えば Aという企業とBという企業の製品が当該症例に関与していてそれぞれが疑われた場 合、それぞれの企業が出してきますので、症例数とここに掲げられている報告件数は必 ずしも一致しないということでございます。  具体的な資料でございますが、資料2-2の方を御覧いただきますと、こちらにこの期 間中に報告された全件数が載せられております。一応資料の見方でございますが、都合 上一般的名称順に並べさせていただいております。一般的名称とはその医療用具のカテ ゴリー、分野別の名前と考えていただければ結構です。それがあいうえお順に並んでい ます。販売名は正にその製品の売られている名前、企業名とは報告者名と考えていただ きたいと思います。不具合等状況についてはどういった内容かと。基本的にこの欄は報 告されたとおりできるだけ忠実に再現していますので、必ずしも科学的ではない記載も 中には含まれております。また総数が1,788件という非常に大部になりまして、全部を 付けると100ページ近くになりますので、右の「参考」欄に同じ不具合であるものにつ いては「他同一不具合:何症例」という形でまとめさせていただいております。ですか ら見方としましては、それぞれのものについて報告があって何件あったかというのは1 行1件ですけれども、ほぼ同一のものについては累積として件数を上げてございます。  一応資料2-2についてはこのような感じですが、代表例として一つ、二つ御説明して おいた方がいいと思うので、特に多いものだけ多分御質問が出るということを想定して 御説明します。まず6ページの137でございますけれども、484症例で足すと485症例に なるわけでございますが、実はこの症例につきましてどういったものかというと、イン シュリン自己注射用具の不具合がここに並んでいると。特にこれだけ多かったものにつ きましては、実は日本としては対応済みのものでございます。カートリッジ両爪部破損 というのはカートリッジを固定しているところに爪が2個付いていまして、両方折れて しまうと打てなくなる、要するに機能不全に陥るという不具合なのですが、これについ ては旧型カートリッジということで、日本においてはかつて回収してすべて新型カート リッジに置き換わってございます。海外においてはそこまでを要しないということで、 市場への製品流通の置き換えを待っておりますので、この件数はすべて海外事例という ことになります。ですので、一応法律としては海外のものも求めることになっておりま すので、このように特に際立って多く見えるものはそういう理由でございます。  あと特に突出して多いものとして11ページを御覧いただきたいと思いますが、276で ダイヤライザーになります。これは非常に多く見えますけれども、実はこの報告に関し ましては当該報告を遡及して出したということでございまして、当該期間中5症例程度 でございます。薬事法に基づくと、当該類似症例について報告要件であれば、過去報告 しなかったものは当然報告するということになりますと、この期間中に過去のデータを さかのぼれるものはすべてお出しいただいたということですので、この時期にこれほど 多く出て不良品ではないかということではなくて、薬事法上報告要件が課されたものを 遵守するにはすべて出すといったものがこの時期に集中したと御説明させていただきた いと思います。発生率について際立って高いということではなくて、実際に透析のファ イバーが切れてリークするということはよく知られた不具合ではございますが、輸送中 の振動や何らかの衝撃によっても切れることがあるのですけれども、その発生件数は他 の一般的常識件数よりも非常に少ない形で抑えられているということでございます。資 料2-2の大体の例といたしますと、そのような感じになってございます。  続きまして資料2-3も御説明させていただきたいと思います。こちらは外国措置報告 になります。薬事法に基づきまして不具合、個別症例、イベント以外に海外でどのよう な措置が講じられたのかというものについても報告を義務付けております。これについ ては表の見方も番号、一般的名称、販売名、企業名は同じでございますが、報告内容と いたしましては海外で何をしたのかと考えていただければいいと思います。例えば1ペ ージを上から見ますと、海外ではこの話については改修を指示されたと。2についても 同じく改修をということで、どういったアクションが海外で行われたのかをつぶさに報 告されてきたものの類型で、これが95件あるという形になります。  これについては基本的に海外と同様の措置を求めるスタンスになりますが、国内に流 通実績がない、あるいは流入しているけれども、出荷していないというものについては 当然そのまま返品されてしまいますので、それを確認した上で措置を採るということ で、基本的にはこれと同等のものが行われていると考えていただいて結構です。ただし 国内に流通していないものについては、当然該当のものがないのでそのようなことは起 こらないということですが、この報告の分だけ同じアクションが国内でも行われている と御理解いただければ結構だと思います。  続きまして資料2-4の方で、わずか4件でございますが、研究論文についてはなかな か集まらないのですけれども、見方については報告内容は研究論文あるいは学会発表の 内容の概要が右の欄に書かれている以外は同じでございます。1と2は報告企業が違い ますけれども、基本的に同じ内容を示しております。3と4についてはそれぞれ違った 類似報告について一例ずつ挙げられたものでございます。資料2-1〜2-4の説明は以上で ございます。 ○桜井部会長  どうもありがとうございました。それでは大分件数も多いのですが、何か御意見、御 質問はございますか。どうぞ。 ○佐伯委員  物珍しくてたくさん興味を持ってしまうのですけれども、ちょっと早口で聞き取れな かった部分がありますのでお願いします。分厚い資料2-2で海外のメーカーのものは海 外においては何か新しいものに取り替えているけれども、海外のメーカーが日本でやっ ているものについては、物の数が全部底をついたら新しいものにどんどん埋めるように 取り替えていくとおっしゃったのでしょうか。 ○事務局  ではそこだけもう一度御説明させてください。この製品は新しいものと古いもので分 かりにくかったので、便宜上「旧型」と書いてあるものは旧製品と考えてください。国 内においても海外においても旧製品です。国内については旧製品はあるときを境に一掃 してしまったので、現時点で日本には存在しません。ですから不具合は存在し得ないも のになります。ではなぜここに数字が出てくるかということですが、これは海外のもの と考えていただいて結構です。要するに海外については一掃しなかったのです。大体こ の手の製品は2年有効期限を持っていますので、ユーザーが何十万人かいらっしゃった 場合、壊れて切り替えるか、あるいは何らかの形で切り替えたときに初めて新しい製品 を手にするわけですが、それまでの間ずっと使い続けるということになります。ですか ら海外においては旧型カートリッジをまだずっと使い続けているので、両方の爪が折れ て使えなくなるというのは海外だけで引き続き相当数起きているという意味を示したも のです。海外については旧型のものを一掃していないので市場に残って使われている と。国内では使われていないと。ですからこの485件は基本的に全部海外です。日本で はありません。簡単に言うとそういうことになります。 ○佐伯委員  そういうことがちょっと分からなかったものですから、外資系の会社の名前で海外と 言われると、どちらが外でどちらが中なのかというのが分かりにくかったのです。そう しますと、先ほどもう一つの「医療用具外国措置報告」というところで、同等のことが 日本で行われているとおっしゃいましたよね。そうすると、今度は純然と日本でないほ かの国で起こっている、そこで造られたものでの措置は日本に輸入したものにおいては 同じように回収などがされているということなのですか。 ○事務局  それについても説明が分かりにくくてすみません。外国措置報告というものの趣旨 は、海外でどのようなことをされているかを知らないと、例えば日本では全然気付かず に置かれていたものが、海外では危ないから回収されていたという事実が後で分かった らこれは大変なことですので、法律では海外で何かアクション、安全対策上の措置が行 われたら報告しなさいとなっております。ですからこの資料2-3で示すものは、これら の企業が海外の行政あるいは自分たちの社内において、このようなことが行われました ということを日本の厚生労働省に報告してきた、要するに行われたイベントは全部海外 です。例えば1から載っているものについても、指示なり自分で改修をやったものは海 外のことなのです。そういったことをやりましたという報告をするところまでを法律で 求めています。こういう報告を受けて我々としては、そうですか、御苦労様というわけ にはいかないので、当然日本はどうですかとお聞きすることになりまして、日本でも同 じことをするのですよねというスタンスで、基本的には全例同じ措置が講じられている と御理解ください。ただ、法律としては海外の状況はどうかというものを報告しなさい となっているので、この資料が一義的に示すものは海外でどうしたかだけです。ただ、 当然日本はどうなっているのか御関心があると思いますが、日本についても同等以上の 措置をするように求めておりますので、理解としては日本国内においても同じ措置が講 じられたと考えていただいて結構です。 ○佐伯委員  こちらが求めることと実際にメーカーがやることとは、必ずしも同じではないですよ ね。 ○事務局  と言いますと、やったものを査察に行けという意味ですか。 ○佐伯委員  査察といいますか、きちんと報告を…。外国での措置の報告は上がりました、日本で 同じ製品についてこのようにしましたという報告はここには上がっていないのですよ ね。 ○事務局  実際には不具合報告書の欄内の、会社の措置というところに同じ措置を書いてきま す。海外でこういう措置が行われました、ですから我々は国内についてはこうしますと いうふうに書いてきますので、基本的には同じものと考えていただいて結構です。た だ、法律では海外でどうだったかということを要求するシステムになっていますので、 様式としては海外でこうでしたという形で載せさせていただきました。  あと薬事法上は改修も回収も着手したら報告義務が課せられますので、別途都道府県 庁あるいは厚生労働省の別の担当課に報告するように義務付けされていまして、別途の 法律条項に基づいて回収に着手した場合には報告が来るシステムにはなっています。今 回報告事項に回収報告については上げていませんが、次回、年度が替わったときには回 収報告の状況についても御報告させていただきたいと計画しております。 ○佐伯委員  分厚い方の「医療用具不具合等報告」のところで、どういうことが起こったかという 「不具合等状況」で、例えば物として破損したという表記に終わっているものと、その 結果患者さんの身に何が起こったかまで書いてあるものと、いろいろありますよね。そ の中でも例えば「十二指腸穿孔」であるとか、「人工呼吸器の作動停止」等、その後そ の患者さんはどのようになられたのかというのが非常に知りたいところではあるので す。先ほど10月27日から別のデータベースになると。別のというのは公開されるデータ ベースと受け取ってよろしいでしょうか。 ○事務局  ではそれについて御報告します。報告様式を切り替えました。というのは、従来役所 の文書の報告様式は基本的に紙でやるとなっているのですが、一応電子媒体、要するに 電子認証する、電子処理組織による報告ということが言われていますが、そういったも のでも受け付けるという措置が行われていましたので、簡単に言うとEメールでも報告 ができるようなイメージをしていただければいいのですが、10月27日からそのような新 しい様式に切り替わったということになります。その様式ですと当然欄も構成も替わる というものになりましたので、ここで一回切らせてくださいという意味でございまし て、それが公開か非公開かというのではなくて、報告様式が替わったということを申し 上げたところです。 ○佐伯委員  それは公開はされないのですか。公開といいますか、医療関係者だけでも見るとかと いうことはないですか。 ○事務局  現にどこまでを公開するか、どの時点で公開するかというのは今検討しているところ であります。 ○佐伯委員  今のところはないわけですね。 ○事務局  ありません。ですから全症例が一堂に会したのはこの会議が初めてだと思います。た だし先ほども冒頭で申し上げましたように、これは報告ベースですので、因果関係がな いかもしれないというものもありますし、調査中のものもありますし、とにかく書いた だけということも含まれているのは御了承いただきたいと思います。書いているものも そこは御指摘のように健康被害があるものとないもの、見てくれもとにかく言い値とい いますか、報告書とおりできるだけ忠実に再現した形で書いてありますので、そこのと ころは御了承いただきたいと思います。 ○外部会長代理  この医療用具の不具合報告の中でも今言われたように健康被害の程度も様々でして、 この患者が亡くなっているという報告に関してはかなり慎重にといいましょうか、早急 にでも対策を採らなければいけないと思うのです。その中でも気になるのが以前から問 題になっている骨セメントのことなのですけれども、死亡例が報告され、しかもその同 じ不具合が6症例あります。つまり3か月間で7人の患者さんが亡くなっているという ことは、やはり以前こういう会で提案して対策を採ったけれども、それが実際には効果 が十分出ていないと。やはりこれは放っておけない事実だと思うのです。医療用具に関 連して患者さんが亡くなっている、しかも3か月にこういう数で亡くなっているという ことは、やはりもう1回実態を調べて新たな対策を採るべきだと思うのです。整形外科 の学会でもいろいろな試みはあるのかもしれませんが、やはり厚生労働省の方からもも っと何らかの通知なり対策を採るような施策を促すべきだと思います。  それに類してもう一つ気になったのはこのバルーンパンピング、やはり生命に非常に 重要なこの医療機器の故障が患者にとって非常に大きな問題を引き起こすと思われる、 このIABPバルーンのリークが28例あると。これもやはり数としては非常に多いと思 うのです。しかもこれはもう1回出て患者さんにもう1回大きな迷惑を掛けるわけです ので、この医療用具に関してはこの会社の問題なのか、どこに問題があったのか、もし 分かるところがあればそれを教えてほしいし、どういう対策を採られたのかということ も教えてほしいと思います。 ○事務局  まず骨セメントの件でございますが、これは過去平成4年、10年、13年と定例的に何 回にもわたって注意喚起をさせていただいてきております。また、整形外科学会の方に も御支援いただいて注意喚起をさせていただくと同時に、麻酔科学会にも御助言を頂い ております。というのは、実は大きな死因といいますか、現象になるのは急激な血圧低 下ということで、麻酔医の完全な管理の下でやった方がいいということを御指摘いただ いていましたので、前回、平成13年のときには麻酔科学会と整形外科学会の共同で、と にかくこういう手術をするときには麻酔医の管理の下に、昇圧剤を常に準備してやって いただくという形で、再三にわたってより入念な注意喚起をやっているところではござ います。ただ、対象者が極めて御高齢で、お亡くなりになる方も大体80〜90という方で 大手術をされますので、そういう意味では年間20数例はコンスタントに…。もちろん麻 酔医の管理の下というところについての普及率はだんだん上がってはいるのですが、突 出して特に大きくぶれているということはないのですけれども、年次推移としては出荷 数量、販売数量とほぼパラレルで推移している状況下にはあります。原因については未 重合モノマーが飛んでいる、あるいは患者の部位の血栓が飛んで塞栓症を起こしている ということが推量されているのですが、すべての亡くなられた患者さんの剖検はしてい ないので確定的な判断までは至っていない状況にあります。これが一つでございます。  それからIABP等のバルーンリークについては一例一例原因追及の指示はしてい て、症例ごとに評価を行っているのですけれども、そのほとんどが強度の石灰化の病変 に押し込んでいるというドクターのコメントを頂いております。それから屈曲率の高い ものにも、やはりどうしても必要だからやるのだというコメントが主流でございまし て、機能試験としても類似他社と比して特に劣等があるというものではないようです。 現時点で即答できる範囲ではそのような感じになろうかと思います。 ○外部会長代理  骨セメントに関しては、例えば今麻酔科学会の方では周術期の死亡例の発生率につい て統計をとっているわけです。それは麻酔科の指導医、認定医のいる病院での統計です けれども、必ずしもそこでは骨セメントによる死亡例の数は上がってこないのです。と いうことは、麻酔科医が関与していないところでそういうことが行われて対応できてい ないのではないか。やはりその辺も調べていただいて、そうであれば麻酔科の管理の下 でやるのだということを重々徹底してほしいと思います。  それからバルーンパンピングはこの報告ではこの機種だけに多いように思うので、ほ かの機種では報告されていないということで、これだけが劣ってはいないとは言われま すが、やはり何らかの問題があるのではないかと私自身としては思わざるを得ないで す。 ○桜井部会長  どうぞ。 ○勝呂委員  骨セメントの問題はかなりもう周知されているので、整形外科学会の方では人工関節 をするときには基本的に血圧が下がる、麻酔科の管理ということはほぼ徹底されている のです。私などは30年ぐらい使っていますけれども、血圧は10ぐらいしか下がらない程 度でいつも昇圧剤を使う率は非常に少ないのです。それはテクニカルな問題で、セメン トの硬化時間とのバランスの上でという教育を事あるごとに日本整形外科学会でもして おりますし、また業者側にもこのぐらいの時間帯という形のある幅を持って、モノマー が体内に流入しないということはかなり徹底されております。恐らくセメントによって 血圧低下というよりは、セメントを注入してなおかつインプラントを入れるときに骨髄 内圧が非常に上昇します。そのときに要するに食道エコーをやりながら見ますと、膨大 な量の骨髄の組織が流れ込むのです。そういうことも実は我々モニタリングしてみます と、あの画像を見るとちょっと恐ろしいぐらいになります。ですからセメントそのもの よりはどちらかというといろいろなものが流れ込むというのが一つです。  それから死亡例の報告があるのは、やはり深部静脈血栓症が非常に合併します。です から高齢者の骨折で人工骨頭をするときには、その日にしてしまえというぐらいの意見 が今出てきているわけなのです。1日か2日寝かせただけで深部静脈血栓があって、多 分それが飛ぶのもかなり影響しているのだと思います。ですからしかるべき施設で…、 やはり厚生労働省が施設認定を指定してきていますよね。年間人工関節何例以上という こともあり、かなり特殊な場合を除いてはある程度施設に患者さんが収束してきている ので、その問題に関しては今後とももっと減っていくのではないかと思っています。 ○桜井部会長  ありがとうございました。何かございますか。 ○目黒委員  先ほどの報告についてちょっと聞きたいのですけれども、この報告を今後どのような 形でどのような委員会の中で正式に、要するに公表されていくのかというのが一つ。  それからやはり先ほど外先生もおっしゃいましたけれども、人工呼吸器とかこの情報 というのは私たち臨床工学の方から見るとものすごい宝の山で、いろいろな器械を毎日 見ているときにどういうところに注意していっていいのか、あるいは自分の必要な器 械、例えば該当する器械があれば、それをどういう形で運用していった方がいいかとい う計画を立てられる部分で非常に重要な情報なので、公表する時期が知りたいというこ と。  それから先ほどのIABPバルーンに関して言うと、やはり日常やっていて印象に残 るバルーンがあるのだなということで、例えば皆さん日常やっていてこういうところに データを公表しないながらも、いろいろなところで話し合うときに少しあったよねとい うものがやはり公表されてきているのかなという印象を受けます。ですので、なるべく 公表の部分をもう少し積極的に進めていただいて、因果関係がはっきりしないとメーカ ーの方の対応もあると思うのですけれども、そこら辺の今後の対応をどうするのかとい うことだけちょっと知りたいという気がいたします。 ○安全使用推進室長  今日は初めてでございますけれども、昨年7月30日に施行された新しい改正薬事法に 基づいて、こういう形での部会への御報告は今後も定期的にやっていきまして、新しい データベースのフォーマットになりますので若干様式等が変わる可能性はありますが、 いずれにしてもすべての報告された内容について御報告させていただくことにしていま す。これについてはもちろん公開の会議でございますし、この資料自体はオープンにし て、できればウェブなりどこかでだれでもアクセスできるような形にしていきたいとは 思っております。  そのほかの医療機器についての報告の公表といいますか、情報提供を現場の先生方に どうやっていくかということは、今御指摘いただいたように非常に貴重な情報だと思っ ておりますし、先ほどの自己点検というように年に幾つも出しているのですけれども、 その根拠となるような症例というのは特に重要な情報にもなるのだと思います。そうい った情報をどうやって出すか、システムの監視等も含めて考えていきたいといいます か、厚生労働省としては実際の目の前の問題として検討していくつもりでおります。 ○笠貫委員  やはりこの健康障害の程度といいますか、致死的になり得るかどうかというのは非常 に大事な問題です。この中で先ほどIABPの話も出ましたが、リードとかカテーテル といったものの離断、断裂はどうなるのか。あるいは先ほどの人工呼吸器の停止の問 題、それ以外には人工弁の機能不全がどのようになったのかとか、あるいはペースメー カの方でいきますと電池早期消耗がどの程度のもので、それがどのように命にかかわっ たのかという問題や出力停止など、こういったかなり命にかかわるような不具合が出さ れていると思うのですが、この中で命にかかわるかどうかという意味でのカテゴリーを どのようにするかという問題が一つです。  それから、どうしてもこの医療機器の場合機具側に問題があるのか、あるいはユーザ ーの使い方に問題があるのかというのがいつもなかなか判断しにくいところがあると思 うのですが、先ほどのようにある機種のところに多かったときに、それをどのように分 析していくかというシステムをやはり構築しないといけないのではないかと思います。 ドクター個々に報告書を出させると必ずしもそれと一致しないことがあります。これは ペースメーカでも時々あるのですが、そういう意味でどういうプロセスで医療用具の不 具合がそれぞれの会社の機種に特化されたのかというシステムを、こういった報告が出 されるということでしたら、是非同時にやっていただきたいと思います。そういうこと でどのような見通しをお持ちか、お聞きしたいと思います。  それからもう一つ、アメリカと大体同等ということでよろしいと思うのですけれど も、例えばペースメーカ一つとりますと、「医療用具外国措置報告」の3ページの48に は「情報提供」のところで、多分これは電池早期消耗が非常に多いという形で出てきて いるのだと思うのです。しかしほかのところでの例えばペースメーカの出力停止といっ たものについては海外ではなされていないとすると、日本でもこの不具合が医療機器そ のものの問題かどうかの判断と、少なくともこれを使っているユーザーには至急報告を するという対応策などシステム上どういう段階でやっていくかを含めて、この不具合報 告をするときに是非その周辺のシステム構築をしていただくとよろしいのではないかと いう感じがするのですけれども、その辺のこれからの見通しはどのようになっています でしょうか。 ○事務局  非常に大きな御指摘を頂きました。もちろんデータベースや予算上の都合があるので 一朝一夕にできないことも多いかと思いますが、まず健康被害の因果関係については、 平成15年10月27日からの報告様式ではそこを分けて報告する形になってございます。で すから、従来は健康被害と医療機器側の不具合が一つの欄になっていましたが、今回は 健康被害があったのかなかったのか、内容はどうだったのかということと、医療機器側 のトラブルはどうだったのかという掛け算で、二つの欄に分けて報告する形に変わりま したので、その点は次回以降の報告については恐らくより明確になった形で御用意でき るのではないかと思います。  二つ目に、報告された件数というのは一個一個見ただけでは分からなくて、トレンド で見たときに他社とどうなのかといった議論のスタディーについては、現状の個別報告 だけでは見えてこないので、もう少し発生傾向予測といった別の手法の導入を今後検討 していきたいと思っております。  それから先ほど個別に御指摘いただいている外国措置報告の3ページの一番上、48に つきましては、交換時期での一時的なペーシング間隔の延長があったため、その旨の注 意喚起を情報提供したという内容のようです。簡単に言うと、そのような概要で行われ たものを国内についても同じ内容を周知したという案件だと思います。それで御回答に なっていますでしょうか。 ○笠貫委員  同じペースメーカで行きますと、例えば「出力停止」というものがほかのメーカーで あるのですが、これは非常に危険なことなので、これは多分アメリカではないと思うの で、ヨーロッパということになるかもしれません。それが外国でもアメリカとヨーロッ パでの温度差というのはあると思うので、こういったものは非常に重大なものであるな らば、先ほどの1例でもあったという情報提供はユーザーサイド、病院の方にはしてい ただいた方がよろしいのではないかと思うのです。この「出力停止」という意味なので すけれども、例えば232と236の「出力停止」、「他同一不具合:14症例」とあるのです が、これもちょっと気になるのです。 ○事務局  まず、すぐ分かる方から順次お答えさせていただきます。個別の症例の細かい話はち ょっとデータを調べる必要があるので即答できないかもしれませんが、236のトータル 15症例につきましては、日本においては309台埋め込まれております。現時点では原因 は完全に分かっておりませんけれども、強力な電磁波の影響、EMIではないかという ところまでの調査ができている状況にあります。海外においては出力停止は15例でござ いますが、すべて健康被害はないと。もちろん国内についてもないということと、根本 原因についてはいまだ解析中のままになってございます。それから国内においては既に 昨年10月からモニタリング回収を開始しておりまして、実際にも販売も自粛しています ので、新たな患者は増えていないと、健康被害も今のところないという状況でありま す。もう1例の方はデータを引き出しますので、しばしお待ちいただけますでしょう か。 ○目黒委員  ちょっと一つだけ教えてほしいのですけれども、この「医薬品・医療用具等安全性情 報」というものが紙の媒体で医療機関等いろいろなところに配られるのですが、今後の 不具合等情報がもし紙の情報で流れるとしたらこのような媒体でいいのかどうかという …。今非常に通信メディアが発達していますので、我々はインターネット上で取るのが 一番早い情報ではあるのですが、紙で来る場合にはその存在価値が非常に大きいような 感じがしているので、「医薬品・医療用具等安全性情報」の中にこの不具合等情報を載 せるという考え方はあるのかどうか、あるいは今後検討する余地があるのかどうかちょ っと聞きたいと思っているのですが。 ○安全使用推進室長  先ほどもお話ししましたように、この部会の資料につきましてどこに載せるかという のはまだ具体的に決めているわけではないのですけれども、ウェブでどなたでも見られ るような形にしていきたいと思っているのですが、紙媒体での提供について現時点では 具体的に考えていなかったので、ボリューム等の問題も含めこの場ではちょっとお答え が難しいと考えております。できればインターネット等でアクセスしていただけるよう にしていきたいと思っているのですが。 ○目黒委員  要するに医療器械の回収情報というのは、直接厚生労働省からウェブブラウザを開い ていって見られないことはないのですが、やはり医療機器センターとかいろいろなとこ ろに回っていかないと回収情報等は見えてこないものですから、見にくいなという感覚 がありましたので、ちょっと今そういう話をしました。 ○安全使用推進室長  今医療用具の回収についても医薬品機構から医療機器センターの方へ飛ぶ形で見られ るということで、確かにちょっとフレンドリーでない部分があると思います。医薬品機 構についても4月に医療機器センターの一部、それから審査センターと一緒になって新 しい総合機構ということで立ち上がることになっておりまして、そこで医薬品も含め医 療用具についても今のファーマシーの情報提供のシステムを、もう少し皆様に御活用し ていただきやすいように改良を図っていくことも考えておりますので、その中で徐々に 対応していきたいと思います。  それから先ほどのバルーンの話でございますけれども、例えばこの会社のバルーンリ ークについて28件御報告いただいておりますが、ですからゼオンメディカルのバルーン が特に危ないのかどうかという問題についてでございます。個別のケースについてここ で私が言うつもりはないのですが、ここに載っている報告の見方の問題でございます。 報告していただいたものについて、すべて因果関係の有無にかかわらずこういう形で公 表させていただく予定なのですけれども、残念ながら報告のやり方といいますか、報告 の体制といいますか、これは医療機器業界だけのことではないのですが、会社の体制と かいろいろな問題で、単純にこの会社の報告があるからこの会社が一番危ないとか、こ のデータをもって品目間の比較ができるわけではないということは十分に御理解いただ いて御覧いただきたいと思います。その辺についても十分な注意を添えながら、情報に ついてはできるだけ先生方のお手元に届けていくようにしたいと思います。 ○酒井委員  この今回の件数は3か月間でのものだと思うのですけれども、平成13年で申し訳あり ませんが、そのデータと比較させていただきますと、製造業者の方は平成13年で8,608 件ですから、それを4倍にしますと7,152件で大体同じぐらいです。医薬関係について は平成13年で1年間に166件、そういたしますとこれはもう既に4倍を超えているとい うことで、今回医療機関に対して義務化したことについてそれだけの効果が出ているの だろうと思います。  しかしながら、製造メーカーの件数と医療関係者の件数が20倍ぐらい違う問題点は果 たして何かということも、やはり少し検討する必要があります。そこでこの医療関係の 118件は製造業者の1,788件の中に含まれているという認識をしていますが、この中で不 具合発生の原因としては大きく分けると構造欠陥によるロットの不良とか、もう一つは 恐らく医療機関側での何らかの不適正使用も入っていると思うのです。したがって、単 に不具合の表にするのではなくて、それがどういう不具合のカテゴリーに入るかを少し 類別化していただく必要があるのではないかと思います。  そして特にこのロットの不良につきましては、メーカー又は医療機関の方から報告さ れて、それから厚生労働省の方でいろいろ議論されて結果が出るまでの期間に、同じよ うな不良ロットが使われている可能性が高いと。これについては恐らく今の薬事法の中 では、卸販売での市販後のトレーサビリティーというのがかなり難しいのではないか と。メーカーから売ったものがどの医療機関でどれだけ使われているかというのは難し いのではないかと。今からする改正薬事法ではできると思いますが、それに加えて医療 機関においてどういうロットが不良なのかという情報遅延が非常にあって、そういう中 で使われてしまうのではないかという心配があります。ですからそのレスポンスをいか に解決するかというところには、先ほどから目黒先生も話されているように、医療機関 に対していかに情報提供をうまくできるかというデータベースを作らなければいけない のかなと思います。  もう一点は、医療機関の方でもそれを受け取る窓口、特に医療機器関係の専門部門の 窓口を整備しないと、ただ厚生労働省の方から情報を発信すれば聞いてくれるのだと、 又は病院の中に医療安全対策室があるからだれか見てくれるのだろうと思っても、やは り専門外であるとなかなかそれについて十分に把握できないという問題があるのではな いかと思います。  もう一つは不適正使用について、これもちょっと調べていただきたいのですが、実際 に報告された内容はやはり添付文書に書かれているものについて起こっているのか。先 ほどの骨セメントのような問題と、添付文書にないために起こった問題かというカテゴ リー化をしていかないと、医療機関の中で添付文書が十分に見られていないのか、それ とも新しい問題が起こったのかということについて、やはり今からいろいろな吟味をし なければいけないだろうと思います。  そういう中でまとめますと、トレーサビリティーの今後の問題、あと医療機関でのロ ットの不良その他を含めて、現在の医療用具について商品を識別する標準化が余りにも はっきりしていないと。今はたしか医療機関に対する安全報告書の中にはJANコード というものが入っていますけれども、それが余り生きていないのかなという気がいたし まして、もしそういうものが分かるようになりますと、又はバーコードが付くようにな りますと、それに対して使う以前に医療機関がチェックできるのかなということで、是 非その辺を含めて御検討いただきたいと思います。 ○桜井部会長  大変有益な御意見をありがとうございました。どうぞ。 ○長尾委員  なかなか難しい話にどんどんなっていくのですけれども、一つは本当にイベントに徹 すればスピードでただ単にオープンにしてしまうと。それはスピードを稼ぐには非常に いいと思うのですけれども、分析したり加工したり、それをまた必要なところにきちん と送るとかといういろいろなファクターを混ぜてしまうと、ものすごい膨大な仕事にな りますね。ですから取りあえず何が起こったかという、掲示板みたいにぼんぼん勝手に 出してしまうというやり方だとスピードとか…、たまにしか起こらないものは1件、そ の場で続けて起こればウォッチするかもしれないけれども、単純にどんどん出してしま うというシステムも悪くないのではないかという気もします。全部加工してある機関に きちんと出してそれをまた…、そうするといろいろなファクターが入ってくるのですけ れども、1件では判断できなかったり、事細かに調べたりしていると時間が掛かるし、 その間に別のところで同じことが起こる可能性もあるということなので、何か広く単純 な方法とあと分析する時間を掛けてもいいとか、そういうものを分けないとちょっと大 変かなという印象なのですが。 ○桜井部会長  ありがとうございました。おっしゃるとおりで言葉は適当かどうか分かりませんけれ ども、一次情報、二次情報とかそういう形で分けて、スピードが大事なものと詳細な点 が大事なものと両方あると思うので、確かに長尾先生がおっしゃったようなことも必要 かと思います。それでは時間も大分過ぎましたので、よろしゅうございますか。ありが とうございました。  それでは最後の三番目の議題は感染症の定期報告ということで、よろしくお願いしま す。 ○事務局  その前にちょっと遅れましたが、笠貫先生からの御質問について調べまして症例表が ありましたので、回答させていただきたいと思います。先ほどお話ししたのは236です が、もう一つの232の方については基本的に既にモニタリング回収中の製品であって、 実際に尿管結石破砕治療、超音波治療をしていると。添付文書は原則禁忌となっている ような高電圧治療をされていて、ただ実際にはそれとの因果関係ははっきりしていな い、影響ではないのではないかというコメントがある中で、事実上調査結果としては盗 難防止装置等のものではないかと。ただ、ログとかの情報からでは時間が追い切れてい ないので、1症例だけでは分からないのですが、特にこの製品はそういった電磁波に対 してセンシティブなものだったためにその可能性は否めないということです。しかし、 ログとか時間とかがしっかり抑え切れないのでそこまでは至っていないという症例で す。この患者自身は特に健康被害の自覚症状はないということですので、これは健康被 害はないということです。 ○桜井部会長  ありがとうございました。それでは感染症定期報告について。 ○事務局  それでは医療用具感染症定期報告について御説明、御報告いたします。資料3-1を御 覧ください。まず始めに感染症定期報告制度について御説明いたします。資料の1ペー ジ、「薬事法第68条の8の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への感染症定期報告につ いて」でございます。一番上のパラグラフで、生物由来の成分を用いた生物由来製品に つきましてはその原材料が細胞組織等であることから、未知の感染因子(細菌、ウイル ス等)を含有している可能性が否定できません。2ですが、生物由来製品による感染症 のリスクは、医薬品による副作用や医療用具の不具合による通常の健康被害とは異な り、製品との因果関係が明確になる以前から潜在的に進行するおそれがあり、感染した 後は時間の経過に伴い軽減することなく、一定期間経過後に顕在化するおそれもありま す。  3の中段に入りますが、感染症対策をより綿密に行うために原料動物等の感染症に関 する最新の知見を常に把握し、それを集積した上で感染症のリスクを多角的に評価・検 討することにより、原材料又は製品による感染リスクの可能性を常に認識するととも に、個別報告の集積による頻度・傾向等の把握を容易とするよう、平成14年改正薬事法 において感染症定期報告制度を導入し、平成15年7月30日より施行しております。枠内 は根拠法令でございます。今回は、平成15年7月30日から同年10月15日までに提出され た感染症定期報告の報告状況について御報告を行います。  次の2ページをお開きください。「感染症定期報告制度の概要」でございます。製造 販売業等の報告者が報告する内容は上の枠内の研究報告、感染症の種類別発生状況及び 発生症例一覧、適正使用確保措置、報告者の見解。提出いただいたこの報告につきまし て、下の枠内のとおり薬事・食品衛生審議会に報告し、必要に応じて安全対策確保措置 を行います。生物由来製品の医療用具につきましては、薬事・食品衛生審議会の医療用 具安全対策部会に報告となっております。  続きまして3ページでございます。感染症定期報告における研究報告の考え方をお示 しした図でございます。右端の生物由来製品である医療用具、ここではブタのヘパリン でコーティングされた医療機器を例示しておりますが、従来でしたらこの医療用具から ヒトへの感染症のリスクを踏まえた研究報告を提出となるのですけれども、感染症定期 報告の特徴といたしまして、左端から順に「ブタ」、ヘパリンの原材料となる「ブタ小 腸」、「ブタヘパリン」も含めて、ヒトへの感染症のリスクを考慮することとしており ます。この場合ブタの感染症は多数あるのですが、例えば人畜共通感染症のうちいわゆ る新興感染症や、調査当時に流行している重要な感染症などの研究報告を中心に報告者 の判断の下、承認を受けた医療用具のウイルス不活化工程などを踏まえ、提出していた だくこととしております。  続きまして4ページでございます。「感染症定期報告の審議会への報告の流れ」の図 でございます。こうして作成いただいた報告書を半年ごと年2回、製造業者等の報告者 が厚生労働省に報告書を提出いたします。厚生労働省はこの報告をまとめ、薬事・食品 衛生審議会安全対策部会を開催、報告し、必要な措置に関する意見を頂いた場合は製造 業者等に必要な措置を講じます。なお血液製剤等につきましては血液分野の特性を踏ま え、血液事業部会にも御報告いたします。  続きまして5ページでございます。感染症定期報告の事前評価委員の名簿でございま す。報告者から提出いただいた感染症定期報告につきましては、研究報告として文献等 を提出された場合には報告者の見解までを含め、その分野専門の複数の事前評価委員の 先生方にその妥当性を判断していただいております。その分担等につきましては本日御 出席の国立感染症研究所副所長の倉田委員に御指導いただき、また各委員からのコメン トにつきましても倉田委員と確認をさせていただいたところでございます。また本日御 出席の甲斐委員、山口委員にも、今回の報告の一部を御覧いただいているところでござ います。なお、この事前評価委員は薬事・食品衛生審議会委員のうちその御専門に基づ きお願いしているところでございますけれども、感染症の種類によりましてはまた委員 を増やす等の措置により、フレキシブルな委員構成となるように考えております。以上 が感染症定期報告制度の概要でございます。  続きまして感染症定期報告について御報告いたします。6ページ以降でございます。 表一覧となっておりますが、先ほど申し上げたとおり今回は平成15年7月30日〜平成15 年10月15日までに提出された感染症定期報告の報告状況について御報告を行います。報 告の状況につきましてはこの資料のとおりでございますが、簡単に御説明いたしますと この間の報告者数は20件、チューブ及びカテーテルや人工心肺装置関係の製品が多く報 告されておりますが、その多くは用具等をコーティングしたブタ腸粘膜由来のヘパリン に関するもので報告数は14件、その他は御覧のとおりでございます。このうち研究報告 を提出された報告者は9件、うち受理番号14〜16までは同一報告者で生物由来成分が同 一であることから、提出された研究報告は同じものとなっております。感染症といたし ましてはHEV(E型肝炎ウイルス)、ウエストナイルウイルス、豚コレラなどで、特に 豚に関する感染症が多く報告されております。  これら研究報告につきましては1件ごとに複数名の事前評価委員の先生方に御評価い ただき、コメントを頂いております。そのコメントによりますと、研究報告があったこ れらの製品についてはウイルスの不活化工程等を踏まえると、全般といたしまして今回 の報告に基づいて緊急に措置をする必要はないとのことで、引き続き情報収集に努める ようにとのことでございました。なお、新聞記事などではなく学術論文を引用すべきな どの委員からの御指摘につきましては、事務局から当該報告者の方に御連絡いたしたい と思っております。簡単ですが、以上でございます。 ○桜井部会長  どうもありがとうございました。それでは恐縮ですが、まず倉田先生、お願いしま す。 ○倉田委員  この報告のあったものにつきまして、そもそもこの製品がどういう過程で造られてい るかということが問題となるかならないかの分かれ目です。通常は細菌その他の病原体 を除く操作が一応行われているわけで、その行われた方法で例えばHEVなどが入って くるかということがあるわけですが、それを見ますとそういうことはないということで す。例えば5の「ヘパリン」がどうかということですが、これについてもその後いろい ろウエストナイルの可能性とか、ブタが感染していたという話とその材料が…、例えば このスペインのブタはどうだったかという話は、それを調べているわけではないです が、今のヘパリンを造る過程での操作でHEVがあったとしても除かれるだろうという ことです。それでこういうものが出てきますと、当然今度製造者側に対してはこういう ものをチェックすることが義務付けられてくるわけで、そういう過程でおのずから除か れるだろうということであります。ですから今特別の対策が必要かということにはなら ないと。  もう一つは使われているブタが世界の…、例えば「ニパ」という例が挙がっています が、ニパはマレーシアで起こっているフルーツバットというあそこの熱帯にしかいない 大コウモリから来るウイルスで、例えば日本のコウモリがブタと接触するからとかとい う話とは全然違うので、そういうことも含めて判断する必要があると思います。 ○桜井部会長  ありがとうございました。それでは事前評価委員の甲斐先生、何か御意見ございます か。 ○甲斐委員  今倉田先生のおっしゃったとおりでありまして、ここに研究報告のあった数件を私も 拝見いたしましたけれども、まずブタに来るかどうかということと、私が拝見したケー スではほとんどそこのブタにかかる可能性は極めて低いといいますか、ないものばかり でした。もし万一そういうものにかかったブタがいたとしても、その製造工程をすべて 拝見して、完全に不活化される条件で製品が造られていたということの両方を併せまし て、現在のところ全く問題はないと判断できました。 ○桜井部会長  ありがとうございました。山口先生、お願いできますか。 ○山口委員  生物由来製品については薬事法改正等で、原料あるいは製法工程のプロセスバリデー ションという観点から、今ウイルスの潜在を前提とした安全対策が採られています。幾 つかの報告がありました感染症の論文等から得られた情報が、今採られている安全対策 との兼ね合いでどれだけ危険性があるかということを評価するわけですけれども、それ については今回出されている私の担当したところは安全であろうという判断をしまし た。ただ書き方としまして、ウイルスの安全性とか感染症の安全性は一つの方策で達成 できるものではなくて、原材料あるいは製法工程などを総合的に考えてやらないといけ ませんし、その辺の考察をきちんとしてくださいというコメントを出して、その辺は事 務局の方から伝えていただいているものだと考えております。 ○桜井部会長  ありがとうございました。この感染症の問題というのはちょうど地雷などと同じで、 いつ踏むか分からないという怖さがあるのですが、何か御意見はございますか。どう ぞ。 ○倉田委員  例えば次のページの上から三番目に「マウス抗体」とありますが、こういうものを造 るマウスそのものは現在SPFのコロニーで非常にきれいなマウスが使われています。 そういう場所では当然定期的にハンタウイルスをチェックするとか、それでコンタミネ ーションしているものは日本ではもう15年以上全くありません。ですから、こういうと ころの使われた材料が例えば自然界のものである場合と、自然界の動物と接触するよう な動物の飼われ方をしている場合と、それからもう一つは全く部屋の中できれいな環境 で飼われているSPFの動物と、感染症の問題はまるきり違います。この辺もマウスを 使っているとハンタウイルスが来るということは、マウスにおきましては非常に小さな 生直後の1〜2日ぐらいの間に感染しないと親になってもウイルスを持っていることは あり得ません。こういう問題も含めて、感染症が起きるのは確かに中毒のネズミがいる わけですが、実験室で使っているあるいは生産に使うようなマウスの話と、少しこの辺 もこのまま書いてあると読んだ人は誤解するかなというところがありますので、私もこ の整理の仕方をちょっと考えてみたいと思いますが。 ○桜井部会長  完全に安全なものというのは合成以外はないのですか。これを見ると原産国は米国と 中国が多いですね。 ○倉田委員  大量に動物がいるということですね。 ○桜井部会長  何か医療用具専用の動物を最初から飼育するというわけにはいかないのですかね。や はりコスト的に無理なのですかね。 ○倉田委員  技術的には幾らでもあるので、あとはコストの問題だと思います。 ○桜井部会長  何か御意見はございますか。今医療用具でこういう生物製剤を使っているというのは 何アイテムぐらいあるのですか。相当多いのですか。 ○事務局  品目数はちょっとすぐには分からないのですが、会社数は40に満たないぐらいだと思 います。多くても50社ぐらいです。 ○桜井部会長  やはりこれから再生医療が出てくると、とてもではないけれども、このようなもので は済まなくなってきますね。どうぞ。 ○目黒委員  私も人工心肺をやっているので気に掛かるのですけれども、ただヘパリンコーティン グ自身が多分コストや製造工程でいろいろ手間が掛かることもあるのか分からないです が、要するにこのヘパリンを使うというのは抗凝固の問題ですから、最近の傾向として は別途こういう生物由来ではない親和性を持った材質のものが、コストも安く出回って きているような現状があります。ですので、もしかすると人工心肺関係ではわざわざヘ パリンということが少しずつなくなってくる可能性もあるかとは思います。分からない ですが。 ○桜井部会長  動物を使わないとなると細胞を使うか、細胞も使わないかということになるわけです が、その辺はどうなのでしょう。これは定期的にこれから報告されるのですか。 ○事務局  先ほど御説明したとおり、年に2回、半年に1回製造業者等が報告してまいりますの で、また、まとめ次第、安全対策部会の方に御報告申し上げたいと思います。 ○桜井部会長  こういう生物製剤のトレーサビリティーというのはもう確立しているのですか。どの 動物から採ったなどということは…。 ○事務局  そういうことは各業者で臨んでいるところです。 ○桜井部会長  ほかは何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。 ○小野委員  非常にくだらないことですけれども、先ほどの外国措置報告の中で「改修」と「回収 」の二つあるのですよね。これは全く同じ言葉で、例えばワープロを打つときに変換ミ スを起こす可能性もあるわけですが、これは多分法律上の用語なのでしょうけれども、 別の表記法があるのではないかと感じましたので申し上げます。 ○事務局  それについて御説明させていただきます。「回収」は物を収去してくる、持って帰っ てくるものを意味します。「改修」の方は正にその場所から持って帰らずにそこで直す と。英語にすると分かりますが、「recall」と「repair」のような感じで考えていただ くと分かりやすいかと思います。  それとこの場をかりて、先ほど笠貫先生から頂いた御質問についての補足ですけれど も、ペースメーカの出力停止があった15例についてはすべて外国症例でございました。 1例日本で見付かったものを基に調べたところ、海外で15例あったということを補足さ せていただきたいと思います。 ○桜井部会長  小野先生の御発言は、「回収」と「改修」の意味は分かっているのです。要するに発 音が同じで取り違える危険性があるから、もう少し何か言葉を考えなさいという御指摘 だったのです。例えば「改修」の方は「改良」とか何かでもいいですね。 ○事務局  一応こちらは行政用語で、通達で決められた用語を使っていますので…。 ○佐伯委員  例えば引っ込める方は「(リコール)」とカタカナを添えるとか、区別が明らかになる ようにしていただきたいということだと思います。 ○事務局  それは簡単にできますので、次回から検討させていただきます。 ○桜井部会長  ほかはよろしいでしょうか。それでは今日はどうもありがとうございました。                                    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 安全対策課 課長補佐 渡邊(内線2748)