04/01/23 薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会 平成16年1月23日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 議事録 1.日時及び場所   平成16年1月23日(金) 10:00〜   厚生労働省共用第7会議室 2.出席委員(17名)五十音順  ○池 田 康 夫、 井 上 章 治、 岩 崎   学、 上 田 志 朗、    菊 地 博 達、 北 村 啓次郎、 倉 田   毅、 倉 田 雅 子、    相 楽 裕 子、 柴 川 雅 彦、 首 藤 紘 一、 埜 中 征 哉、    長谷川 隆 一、 堀 内 龍 也、◎松 本 和 則、 山 口 照 英、    渡 辺   亨 (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(7名)五十音順   青 葉 安 里、 大 澤 真木子、 甲 斐 知恵子、 岸 田   浩、   櫻 井 秀 也、 田 代 眞 人、 土 屋 文 人 3.行政機関出席者   鶴 田 康 則(大臣官房審議官)、 平 山 佳 伸(安全対策課長)、   俵 木 登美子(安全使用推進室長)、 浦 山 隆 雄(血液対策企画官)、   日下田 俊 彦、 渡 邊 伸 一、 丈 達 泰 史  他 4.備  考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局 それでは定刻になりましたので、ただいまから平成15年度第2回医薬品等安 全対策部会を開催させていただきたいと思います。本日の部会は従前の取扱いと同様公 開で行うこととさせていただいております。  本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきましてあ りがとうございます。まず、委員の先生の交替がございましたので、御紹介させていた だきます。成蹊大学の岩ア先生と聖マリアンナ医科大学の青葉先生が今回から新たに委 員になられております。岩ア先生、よろしくお願いいたします。青葉委員におかれまし ては、御都合により欠席されるという御連絡を事前に頂いております。本日の会議です けれども、そのほかに大澤委員、甲斐委員、岸田委員、櫻井委員、土屋委員から事前に 御欠席の御連絡を頂いておりまして、田代委員におかれましては本日交通の便の都合で 出席できないという御連絡が入っているようでございます。本日17名の先生方に御出席 いただいておりまして、本部会の定員が24名ですので、本日の部会は定足数に達してお ります。  それから事務局側も前回の医薬品等安全対策部会から人事異動がございましたので、 御紹介させていただきたいと思います。安全対策課長が平山に交替しております。安全 使用推進室長が俵木に替わっております。  それではこれから議事に入らせていただきます。以後の議事進行は松本部会長にお願 いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ── 埜中委員着席 ── ○松本部会長 部会長の松本です。本日は平成16年の最初の部会であります。委員の先 生方、今年1年よろしくお願いいたします。それではまず事務局から本日の配付資料の 確認をお願いいたします。 ○事務局 本日先生方のお手元に資料を配付しておりますけれども、その確認をさせて いただきたいと思います。一番上に議事次第、それから座席表と委員の先生方の名簿が ございます。それと「配付資料一覧」というものを付けておりますけれども、その次の 資料1-1が「医薬品等の使用上の注意の改訂について」、資料1-2が「塩酸フェニルプ ロパノールアミンを含有する医薬品による脳出血に係る安全対策について」、資料1-3 が「経口腸管洗浄剤『ニフレック』等による腸管穿孔及び腸閉塞に関する緊急安全性情 報の発出について」、以上が資料1でございます。その次の資料2-1が「薬事法第77 条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への副作用・感染症報告について」、 資料2-2が「国内副作用報告の報告状況(医療用医薬品)」、資料2-3が「国内副作用報 告の報告状況(一般用医薬品)」、資料2-4が「国内感染症報告の報告状況」、資料2-5 が「外国での新たな措置の報告状況」、資料2-6が「研究報告の報告状況」、以上が資 料2でございます。その次の資料3-1が「薬事法第68条の8の規定に基づく薬事・食品 衛生審議会への感染症定期報告について」、資料3-2が「報告文献別一覧表」、資料3-3 が「感染症定期報告の報告状況」、以上が資料3でございます。次に資料4-1が「一般 用禁煙補助剤の市販後調査の実施状況について」でございます。以上が本日の資料でご ざいます。 ○松本部会長 資料はそろっておりますでしょうか。それでは早速議題に入りたいと思 います。最初の議題1は医薬品等の市販後安全対策についてです。資料に沿って事務局 から説明をお願いいたします。 ○事務局 まず資料1-1、「医薬品等の使用上の注意の改訂について」を御説明させて いただきます。これは前回の部会以降直近まで、製薬メーカーに「使用上の注意」の改 訂を指示したものを整理させていただいたものでございます。通知を発出する前に、そ の都度先生方には御報告させていただいているところでございます。大変多うございま すので、要点をかいつまんで御説明させていただきます。  まず1ページの6月27日発出でございますけれども、これは1成分、ワルファリンカ リウムについて改訂の指示をしております。これは「警告」の項にカペシタビンとの併 用の場合の注意を追記するとなってございますけれども、カペシタビンが新薬として承 認された際にワルファリンカリウムとの併用について「警告」欄に記載されたというこ とを受けまして、整合性を図るということで指示させていただいたものでございます。  次に7月9日発出ですけれども、35成分ございます。この中で注目するものとしまし て、2ページの03-57のインフルエンザHAワクチンについて、昨シーズンでの副作用 報告の集積状況を見まして、「重大な副反応」の項に「肝機能障害、黄疸」と「喘息発 作」、「接種要注意者」の項に「気管支喘息のある患者」を追記したものでございます。 一つ飛んで03-59のリン酸オセルタミビルについてもインフルエンザの治療薬でござい ますけれども、昨シーズンの副作用の集積状況から、「重大な副作用」に「急性腎不全」 と「白血球減少、血小板減少」を追記したものでございます。  次に5ページでございますけれども、8月8日に発出しているものが2成分ございま す。これは塩酸フェニルプロパノールアミンを含有するものとして、一般用医薬品と医 療用医薬品で改訂の指示をしたものでございます。これについては資料1-2の方でまた 詳細な説明があるわけですけれども、脳出血について注意喚起をしたものでございます。  続きまして6ページ、8月12日発出分でございますけれども、これは14成分につい て指示しております。この中で03-90から次のページの03-94まで、エポエチンベータ、 エポエチンアルファについて、すべて「重大な副作用」に「赤芽球癆」を追記させてい ただいております。  次に7ページの一番下に9月10日発出とありますけれども、1成分でございます。め くっていただきまして8ページの03-101、一般名が塩化ナトリウム・塩化カリウム・炭 酸水素ナトリウム・無水硫酸ナトリウムとなってございますけれども、これも後ほど資 料1-3の方で御説明させていただきますが、経口腸管洗浄剤のニフレック等に関して、 緊急安全性情報を発出した際に「腸閉塞」という副作用で改訂の指示を行ったものでご ざいます。  次に9月24日発出分でございますけれども、ここでは16成分について改訂を行って おります。主なものとしては03-102のアジスロマイシン水和物、抗生物質でございます けれども、「重大な副作用」の項に「QT延長、心室性頻脈(Torsades de pointesを含 む)」を追記し、そういった副作用があるということで「慎重投与」に「心疾患のある患 者」を追記したものでございます。その後03-103からはインターフェロン関係が続いて いますが、共通するものとして「脳梗塞」を追記し、各成分について副作用の集積状況 を見て個別に、例えばインターフェロンベータでしたら「心筋梗塞」を追記するという 改訂の指示を行っております。  続きまして10ページでございます。10月3日発出としまして1成分、03-118の塩酸 セベラマーというものでございます。これについては「重大な副作用」に「腸管穿孔、 腸閉塞」を追記し、「禁忌」、「慎重投与」、「重要な基本的注意」に「腸管穿孔、腸 閉塞」に関連する注意をしたものでございます。  次が10月6日発出でございますけれども、これも1成分、インフルエンザウイルス抗 原検出試薬ということで体外診断用医薬品でございます。これはインフルエンザ感染の 診断にはこの試験だけではなくて総合的に判断してほしいということと、検体の採取法 についての注意事項を追記したものでございます。  次が10月10日発出分でございまして、クエン酸マグネシウムが三つ続いてございま す。クエン酸マグネシウムは先ほどお話ししましたニフレックと同じように、検査前に 腸管をきれいにするというものでございますけれども、薬効分類のところに「721 X線 造影剤」となっていますが、本剤が造影剤というわけではございません。薬効分類の721 の中にその細分類として「X線造影補助剤」という項目がございまして、これはそのカ テゴリーに入るものでございますけれども、今回お示しした資料は薬効分類をすべて3 けたで整理させていただいておりますので、X線造影剤という分類になっております。 これについても先ほどのニフレックと同じように、「腸管穿孔、腸閉塞」という旨につ いての注意喚起を行ったというものでございます。  続きまして11ページでございます。10月29日発出分でございますけれども、このと きには13成分について指示をさせていただいております。このページの一番下の 03-125、塩酸ミルナシプランについて、「重要な基本的注意」に自殺企図、「重大な副 作用」の項に「重篤な皮膚障害」、「抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)」を追記 するという改訂を行っております。  続きまして12ページの一番下に11月26日発出という項目がございまして、このとき には5成分でございます。13〜14ページにかけてすべて卵胞ホルモン及び黄体ホルモン 剤ということで、これは米国と英国における大規模な試験の結果を踏まえまして、乳癌 のリスク、長期投与した場合、あるいはホルモン補充療法の場合の乳癌リスクについて 記載し、注意喚起を行ったというものでございます。  続きまして14ページでございます。下の方に12月3日発出というものがございまし て、16成分について改訂の指示を行っております。一番下の03-141、塩酸テルビナフィ ンでございますけれども、「重大な副作用」に「横紋筋融解症」を追記するとともに、 肝障害については既に記載してあるのですが、2か月間は月に1回肝機能検査を行うと いう改訂をしたところでございます。  続きまして16ページの一番下と17ページの一番上になりますけれども、グルコン酸 クロルヘキシジンを含有する洗口剤を適応外の歯周ポケットの洗浄に用いた場合にショ ックが現れるという症例報告があったことから、口腔内適応を有するグルコン酸クロル ヘキシジン含有の一般用医薬品、医薬部外品及び化粧品についてショックに関する記載 を追記したものでございます。  続きまして17ページでございますけれども、12月24日発出というところでエダラボ ン、1成分でございます。エダラボンは脳梗塞の治療薬でございますけれども、平成14 年10月28日に急性腎不全で死亡例があるということで、緊急安全性情報を配布し注意 喚起を行ったところでございます。しかし、その後も急性腎不全の副作用報告がなされ たということで、その後の症例について専門の先生方に評価をしていただき、どういう ところに注意すれば副作用が回避できるか、あるいは副作用を早期に発見して適切な措 置が講じられるかということについて分析していただいた結果、かなり長いのですけれ ども、ここに書いてあるように「重要な基本的注意」の項に追記をし、更なる安全対策 を講じたものでございます。  続きまして18ページでございますけれども、1月7日発出、これが一番直近のもので ございますが、10成分について改訂の指示を行っております。一番上の03-158、パクリ タキセルについて、「重大な副作用」の項に「急性呼吸窮迫症候群」、「播種性血管内 凝固症候群(DIC)」を追記したものでございます。一つ飛んで03-160、酢酸クロルマ ジノンでございますけれども、これは前立腺癌と前立腺肥大症の治療薬でございます。 既に肝機能障害については添付文書に記載しておりますけれども、投与開始から3か月 間は少なくとも1か月に1回検査を行うということを追記して安全対策を講じたもので ございます。資料1-1については以上でございます。 ○事務局 それでは続きまして資料1-2、1-3を御説明させていただきます。まず資料 1-2ですが、平成15年8月8日に発出した塩酸フェニルプロパノールアミンを含有する 医薬品による脳出血に係る安全対策について御説明いたします。まず経緯ですが、塩酸 フェニルプロパノールアミン(以下「PPA」と言う)は、鼻水、鼻づまり等の症状の緩 和を目的として、一般用医薬品では鼻炎用内服薬、風邪薬、鎮咳去痰薬に含有されてお ります。また、医療用医薬品としても総合感冒剤に含有されております。主な製品リス トは別紙1のとおりでございます。なお、米国におきましてはかつて食欲抑制剤として もPPA含有製剤が承認され、使用されていたという事実がございます。  このPPAについては、その服用と出血性脳卒中との発生リスクに関する大規模疫学 調査が米国において実施されまして、女性が食欲抑制剤として服用した場合にその関連 が有意に高いとの結果が得られました。これを受けて米国食品医薬品庁は、「PPAが 出血性脳卒中のリスクを増大させる」として、平成12年11月に製薬企業に対し、PP Aを含有する医薬品の米国内における自主的な販売中止を要請いたしております。  我が国においてもこれらを受けて、平成12年11月に国内の状況を検討いたしました。 米国の疫学調査では食欲抑制剤として服用された場合に高い関連性が認められておりま すが、我が国ではPPA含有製剤は食欲抑制剤としては承認されておらず、また食欲抑 制の目的で使用されている実態もないこと、それから我が国における1日最大用量は米 国より低く定められていること、これらを踏まえまして、直ちに当該製品の販売を中止 する必要はないものの、心臓病の人や脳出血の既往がある人は使用しないように注意喚 起し、適正使用の徹底を図ってまいりました。  その後、平成15年7月末にPPAを含有する一般用医薬品による脳出血の副作用が4 例報告されたことを踏まえ、今回さらなる安全対策を講じたものでございます。これま でに報告された症例について検討した結果、これらのPPAを含有する一般用医薬品に よる脳出血の副作用症例の多くが不適正使用によるものであること、また広範に使用さ れており発現頻度は極めて低いと考えられることから、直ちに消費者が不当な副作用の リスクにさらされていると判断されるものではございませんが、今回適正使用の推進の ために「使用上の注意」を改訂して情報提供の徹底を行うとともに、塩酸プソイドエフ ェドリン又は硫酸プソイドエフェドリンを含有する医薬品等への速やかな切替えを推進 することといたしました。  今回の対応におきましては、別紙2のとおり関係企業に対して「使用上の注意」の改 訂を指示するとともに、これらの措置に加えて日本薬剤師会等の関係団体に対して「使 用上の注意」を消費者に伝え、服薬指導を徹底するようお願いいたしました。この際に 各製品に共通する説明文書を作成していただき、販売時に御活用いただいております。  続きまして資料1-3を御覧ください。平成15年9月10日に発出された経口腸管洗浄 剤「ニフレック」等による腸管穿孔及び腸閉塞に関する緊急安全性情報について、御報 告させていただきます。こちらは塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム、 無水硫酸ナトリウムの配合剤で、大腸内視鏡検査及び大腸手術時の前処置における腸管 内容物の排除を効能・効果として承認されております。販売製品はニフレックを含めま してほかに4品目ございます。こちらは別紙に記載されております。  本剤投与時の腸管内圧上昇による腸管穿孔の発現について、市販後の6例の副作用報 告を踏まえ、平成12年3月に「使用上の注意」の「重大な副作用」に「腸管穿孔」を記 載しております。しかしながら、この改訂後も腸管穿孔について死亡例4例を含む5例 が報告され、腸閉塞についても死亡例1例を含む7例が報告されていること、また本剤 は年間約165万人に投与されている医薬品であり、非常にまれではあるものの本剤の投 与に当たっては排便、腹痛等の状況を確認しながら慎重に投与することを改めて徹底す べきであると考えられました。以上のことを踏まえまして、今回「使用上の注意」の改 訂を指示いたしまして、併せて患者向けの説明文書の作成並びに緊急安全性情報の医療 機関等への配布を指示しております。以上でございます。 ○松本部会長 どうもありがとうございました。ただいま医薬品等の市販後安全対策に ついて説明していただきましたが、この議題に関して御質問、御意見はございませんで しょうか。おおむね事務局の対応に御賛同いただいているものと思います。一つだけ、 PPAからPSEへの変換は今現在進んでいるわけですか。 ○事務局 こちらについては今年2月までの申請分について迅速審査を行う旨通知して おります。主として都道府県の方で審査しておりまして、今のところ2月末の時点で集 計する予定にしておりますが、切替えが進んでいるものと考えております。 ○松本部会長 どうもありがとうございました。どうぞ、倉田先生。 ○倉田(雅)委員 PPAのことについてなのですけれども、私ども消費者がこのような 風邪薬や鎮咳去痰薬などを買いに行くわけですが、今までの古い製品を買いだめしてい るという人たちもいるのです。そういう人たちに対しての服薬指導はしてもらえないわ けだと思うのですけれども、その辺はどのようになっているのでしょうか。  また、薬剤師の服薬指導がきちんとなされていない例も幾つか聞いていて、日本の場 合は1日に100mgが許容と聞いていますが、例えば鼻炎のお薬で1日1カプセル70mgと いうものもあるように思うのですけれども、添付文書によりますとそれを夜寝る前に服 用と書いてあって、そのとおりに飲んで、自分で効いたなと思って翌日また朝に飲んで しまったなどという場合は大丈夫なのでしょうか。素人の質問で大変申し訳ないのです けれども、そのようにして飲んでしまう場合もたくさんあると思うのです。  それから一般消費者としては、このように改訂された場合に、メーカーはすべてのエ ンドユーザーに対してメディアを使って情報提供すべきではないかと思います。そうで ないと、このように変更になったということがなかなか分かりませんし、有害反応の被 害者を減らすという意味では、やはり情報提供していただかないと注意喚起にならない と思いますので、そういう方法というのは採れないのでしょうか。やはりテレビやラジ オ、新聞などである一定期間何回も報道していただかないと、私たち消費者というのは 1回言われればすべて分かるというものでもありませんし、何回か報道していただきた いと思うのですが。この資料に書かれている「情報提供の徹底」というのは、エンドユ ーザーに対してだと私は理解したのですが、いかがですか。 ○松本部会長 事務局の方、いかがですか。 ○事務局 それでは御質問の件について回答させていただきます。まず最初のPPA含 有製品の買いだめ、あるいは既に買ってしまっていた製品に関する注意喚起でございま すけれども、先般措置を採った際に日本薬剤師会等の関係団体にも御協力をお願いしま して、例えば店頭において既に買っている製剤についてきちんと相談を受け付けて、再 度適切な服薬指導をするような形の呼び掛けを行うということをお願いしたところでご ざいます。またそれと別個に、PPAの含有製品を買う消費者については、先ほど御説 明したように各業界団体の方で新しい添付文書の内容、注意事項を書いた消費者用の小 さい説明せんというものを必ず添付して販売していただくという対応を採らせていただ いております。先ほどの最後の御質問、エンドユーザーに対する周知徹底ということは、 そういう形で担保させていただいているところでございます。お手元の資料は報道発表 の資料でございまして、もちろん本件についてはこの措置を採った際に私どもの方でも メディアを通じて呼び掛けているほか、厚生労働省、医薬品機構のホームページに情報 を掲載しています。また、各メーカーの方も各社のホームページ等にはこういった注意 事項を掲載して呼び掛けているところです。さらに、日本薬剤師会等の関係団体の方で も、ホームページに掲載して注意を呼び掛けるといったことをさせていただいておりま す。  それから先ほど鼻炎のカプセルで70mgという話がございましたけれども、実際にその 製剤についてちょっと確認ができないのですが、基本的には今回脳出血の症例が見られ たのはやはり過量服用といった事例が多いということで、販売に際してきちんと服薬指 導していただくこと、すなわち、きちんと添付文書の「使用上の注意」どおりに服用す ることを徹底していただいております。きちんと添付文書に書かれている用法・用量ど おりに服用することを周知徹底していただくように、薬剤師会等の関係団体にもお願い したというところでございます。 ○松本部会長 よろしいでしょうか、倉田委員。 ○倉田(雅)委員 御説明はよく分かったのですけれども、今後それがどのようになって いったかということを追跡していただきたいと思います。発出していただいて、その後 の対応のことも薬剤師会がどのようにしていらっしゃるかということも伺ってはいま す。ただ、店頭で新しい製品にそのような説明文書が付けられて出されていたり服薬指 導が徹底しているとは、今のところ余り思えないものですから、今後それはどんどん活 動されていくとは思いますが、これがどのように発展していったかという追跡は是非お 願いしたいと思います。 ○松本部会長 その点事務局よろしくお願いいたします。それではほかにございません でしょうか。なければ議題2の医薬品等の副作用等報告の報告状況についてに入りたい と思います。まず事務局から説明をお願いします。 ○事務局 それでは資料2-1の「薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生 審議会への副作用・感染症報告について」からでございますけれども、以下資料2の関 連について御説明いたします。資料の表紙に書かせていただいておりますけれども、平 成15年7月30日より施行されている改正薬事法の規定において、厚生労働大臣は毎年 度、副作用等の報告及び回収の報告の状況について薬事・食品衛生審議会に報告し、必 要があると認めるときは意見を聴いて、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するた めに必要な措置を講ずるものとされているところでございます。今般の報告というのは この規定に基づき、副作用等の報告の状況について御説明させていただくものでござい ます。  2として書かせていただいておりますけれども、今般の報告は法施行日である平成15 年7月30日〜平成15年10月26日までの副作用・感染症等の報告状況ということで作 成しております。この背景には、平成15年10月27日から企業からの副作用・感染症等 の報告に関しては電子的な報告を求めておりまして、それに伴い私どものデータベース も変更されたというところがございます。副作用報告件数の集計やアウトプットの関係 で、以前のデータベースのものと併せてお示しすることが困難ということで、今回は10 月26日までの分について御報告するものでございます。なお、今回の改正薬事法の規定 というのは、医薬品等の市販後安全対策に係る薬事・食品衛生審議会の機能強化を目的 に新たに設けられたものでございます。  2枚目を御覧いただきたいと思います。報告事項としては大きく分けて二つございま して、一番目は製造業者、輸入販売業者等からの医薬品等副作用・感染症報告に関する 報告状況、それから二番目として医師、薬剤師、歯科医師等の医薬関係者からの副作用 ・感染症報告でございます。  一番目でございますけれども、まず「(1)国内症例の報告状況」というところがござ います。私どものデータベース上は医療用医薬品と一般用医薬品を特に区別していない のですけれども、分かりやすいようにここの表においては医療用と一般用に分けて資料 を作成しております。件数でございますけれども、医療用医薬品の副作用報告が7,118 件、一般用医薬品の副作用報告が100件、それから医療用医薬品の感染症に関する報告 が22件となっております。なお、一般用医薬品の感染症報告のところに「−」を書かせ ていただいておりますけれども、感染症伝播のリスクがある医薬品はすべて医療用医薬 品、生物由来製品に指定されておりますので、一般用医薬品による感染症症例報告はま ず想定されない、もちろん実際にないわけですけれども、そういうことで「−」を書か せていただいております。  それから「(2)外国症例の報告状況」を書かせていただいております。薬事法施行規 則におきまして、国内承認の医薬品と成分が同一の海外で売られているものに係る同様 の副作用等の報告の規定がございまして、それに基づき報告されたものが副作用報告と しては14,701件、それから感染症報告として29件あるということでございます。  「(3)外国での新たな措置の報告状況」というカラムでございますけれども、これは 国内承認の医薬品と成分が同一の外国の製品について、海外において回収やその他添付 文書の改訂等の重要な安全上の措置が採られた場合に、その旨を報告する規定がござい まして、それに基づく報告が87件あったということでございます。  「(4)研究報告の報告状況」でございますけれども、これについては国内の医薬品あ るいは海外で売られている成分が同一のものの副作用等により、癌やその他重大な疾病 が発生するおそれがあることなどについて報告することになっております。こちらの件 数が今回の報告期間中365件あったということでございます。これらの報告数のうち、 例えば(4)でしたら横に「資料No.2-6」と書かせていただいておりますけれども、資料 2-2〜2-6において補足説明を後ろの方にお付けしているところでございます。  それから二番目としまして、医薬関係者からの副作用等報告でございますが、これは 1,531件ございます。実は医薬関係者からの報告といいますのは、従来通知に基づいて 副作用等報告の協力をお願いしているという制度であったわけですけれども、今般薬事 法改正において薬事法に基づく制度ということで位置付けられたものでございます。報 告件数に関しましては、現在のところ前年度に比べると約2割ほど増加しているという 状況でございます。なお、医薬関係者からの報告についてはその内容を製造業者等にす べてフィードバックしております。それを受けた企業の方では製造業者等の責務として、 安全性情報としてきちんと活用するとともに、必要に応じて詳細な調査を行った上で、 これらの内容について報告対象のものはすべて企業報告として提出してくるという形に なっております。したがいまして、その意味で医薬関係者からの報告の内容というのは すべて今回御紹介する製造業者等からの報告の内容に含まれておりますので、その件数、 内容については後ほど御説明する資料2-2〜2-4に包含されているということでござい ます。なお、今般御紹介した報告の件数としていろいろ大きな数字が並んでおりますけ れども、ちなみに昨年度の報告状況と比較すると、先ほど申したように医薬関係者から の報告については約2割程度増加しており、一方企業からの報告についてはほぼ同程度 のペースというところでございます。  以上が医薬品等の副作用・感染症の報告状況でございまして、これらの報告に基づい て何らかの安全対策が必要と考えられたものについては、冒頭資料1-1に示しましたよ うに「使用上の注意」の改訂を指示するなどの措置を採っているということでございま す。  同じページに「副作用・感染症報告の集計結果についての注意事項」ということで書 かせていただいております。まず1)でございますけれども、これらの報告については医 薬品との因果関係が不明なものを含め製造業者及び医薬関係者から報告されたものでご ざいまして、個別に医薬品との関連性を評価した後の集計結果ではないということを御 承知おきいただきたいと思います。  それから2)の副作用・感染症報告の件数ということで、このページで紹介させていた だいている件数でございますけれども、これは提出された報告書の件数を示しておりま す。しかしながら、(1)〜(3)に書かせていただいた理由によりまして、同じ症例であって も重複してカウントする場合があるということで、ここに示された報告書の数がそのま ま症例の数にはならないということは御承知いただきたいと思います。その理由は、例 えば同一の症例に複数の被疑薬が存在して、それぞれの企業、承認取得者から複数の副 作用報告がなされるということもございますし、あるいは報告者がある症例について報 告した後に追加情報を得たということで、再度提出してくる場合もございますけれども、 こうした場合も重複してカウントしているということでございます。それから(3)でござ いますけれども、報告者が一度報告した後に追加情報により因果関係が否定され報告を 取り下げるというものについても、データベースの関係で資料のこの件数の中には含ま れているところでございます。  3)としまして、外国症例及び医療機関等報告の報告件数というのは、先ほど申したよ うに医療用と一般用を特に分けておりませんので、その合計数ということで御理解いた だきたいと思います。  それから資料2-2〜2-3の報告件数等については、また別の資料の際に御説明させてい ただきたいと思います。  続きまして資料2-2、「国内副作用報告の報告状況(医療用医薬品)」の説明に移らせ ていただきます。以下、先ほど御説明いたしました資料2-1を補足する意味で、資料2-2 〜2-6をごく簡単に御説明させていただきたいと思います。まず資料2-2は非常に厚い 医薬品名、副作用名、報告件数の表となっておりますけれども、医薬品ごとの同様の集 計についてはこれまでも医薬品機構の医薬品情報提供ホームページに掲載して情報提供 してきたところでございます。また、資料2-2〜2-4についてはその数字等の意図すると ころを正確に御理解いただきたいと思いますので、若干重複いたしますけれども、表紙 に資料2-1の注意事項を再度書かせていただいております。  まず1)でございますけれども、先ほども申しましたようにこの資料2-2以下の資料に おける報告件数の数字でございますが、これは個別に医薬品との関連性を評価した上で の数字ではないということを再度申し上げておきたいと思います。それから2)と3)は 先ほど御説明しましたので4)ですけれども、資料2-3は一般用医薬品の同様の表でござ いますが、資料2-2〜2-3は医薬品ごとの副作用別の件数を示したもので、この場合一症 例で複数の副作用を発現することがございます。したがって、例えば資料2-2の副作用 の報告件数をすべて足し合わせますと、先ほど資料2-1に示した報告書の数よりも多く なってしまいますが、そこのところは数字としては一致しないという点を御理解いただ きたいと思います。それから5)ですが、資料2-2あるいは資料2-3の副作用名について は、用語の統一のために日米EUで合意したICH国際医薬用語集(MedDRA/J)に基づい て示しております。それから6)については後ほどまた御説明いたしますけれども、資料 2-4の感染症症例については副作用別の報告件数の集計ということではなくて、報告症 例ごとに被疑薬、発現した副作用名等を記載しております。  資料2-2の見方ございますけれども、医薬品の順番がどのようになっているかと申し ますと、一般名ごとの副作用別件数を薬効分類順に並べて記載させていただいておりま す。データベースからのアウトプットの関係で資料に薬効分類名を示すことはできなか ったのですけれども、具体的に申しますと例えば1ページからは薬効分類の110番台、 すなわち中枢神経系用薬について成分名別、副作用別の件数が出ているということでご ざいます。それから例えば17ページを御覧いただければと思うのですけれども、上から 七番目に「アミノフィリン」というものがございますが、ここからは薬効分類が210番 台、すなわち循環器官用薬、70ページの冒頭からは薬効分類の610番台、すなわち抗生 物質製剤が並んでいるといった次第でございます。  なお資料に副作用別の数字を列記してございますけれども、これらの副作用報告を実 際に我々が安全対策としてどのように活用しているのかということについて、この場を かりまして御紹介しておきたいと思います。通常「使用上の注意」から予測できないい わゆる未知の副作用のうち重篤なものについては、本部会にも御相談させていただいて いる先生が何人かいらっしゃいますけれども、薬事・食品衛生審議会の専門委員に一例 一例個別の症例について医薬品との因果関係等の評価を頂き、「使用上の注意」の改訂 等の安全対策の必要性を検討しているところでございます。また、それ以外の未知で中 等度の副作用などその他の副作用も含め、1週間あるいは1か月ごとに医薬品ごとの副 作用発生の集積状況を確認いたしまして、さらなる安全対策の必要性を随時検討してい るということでございます。  難しいのは、報告症例数が何例になれば「使用上の注意」を改訂するという機械的な 判断ができるわけではございませんで、例えば報告数が多くとも患者の合併症や臨床経 過、あるいは併用薬の使用状況などから医薬品との因果関係が否定的な副作用症例が多 ければ、安全対策上の措置を採る科学的根拠に乏しいということになるかと思います。 一方副作用報告数が少なくとも薬との因果関係が強く疑われる症例が多いということで あれば、それを根拠に「使用上の注意」の改訂等を行う必要性が生じることもございま す。資料を見るに当たってはこうしたところを御注意いただくとともに、実際に我々が 安全性の評価を行った結果「使用上の注意」の改訂に至ったものを、今般資料1-1の「医 薬品等の使用上の注意の改訂について」にまとめさせていただいているということでご ざいます。したがいまして、本資料に示した件数のみで単純に安全性の評価ができると いうわけではございませんし、例えば類薬との比較に関しても各医薬品の販売数量が大 幅に異なるという場合もございますので、副作用発現率等の単純な比較ができるわけで はないということを御承知おきいただきたいと思います。  続きまして、資料2-3の「国内副作用報告の報告状況(一般用医薬品)」を御覧いただ きたいと思います。基本的には先ほどの資料2-2の医療用医薬品と同様に、成分名ごと の副作用別の報告件数を示しております。ただ、一般用医薬品については御覧のとおり 配合剤が多うございますので、成分名だけではどのような医薬品か分かりづらいという こともあろうかと思いましたので、左端のカラムに当該医薬品の薬効群をお示ししまし て、資料を見やすくさせていただいているところでございます。 ○事務局 続きまして資料2-4、「国内感染症報告の報告状況」を御覧ください。完了 した報告について、平成15年7月30日〜10月26日までの症例を提示しております。 なお、先ほどの説明でもございましたとおり、同一症例を複数掲載してしまうケースが あるということで、この期間での同一症例は番号で申しますと13と22でございます。 ですので番号としては22まで打っておりますが、症例数としては21症例ということに なります。  被疑薬とされたものといたしましては、人赤血球濃厚液あるいは人血小板濃厚液、新 鮮凍結人血漿というものが非常に多くなっておりまして、その副作用としては肝炎、特 にB型肝炎、C型肝炎が多く報告されております。ただ、この個別症例は企業の方にい ろいろと調査に入っていただいた結果でございますが、保管検体の個別NAT検査が陰 性、あるいは敗血症関係では保管検体の無菌試験あるいはエンドトキシン試験など、さ らには製剤関係では不活化工程の確認などで、こちらの方に掲載されている製剤による こういった肝炎などの感染については、現在の科学技術水準においては因果関係は確認 できなかったという報告を頂いております。  しかしながら、20の「人血小板濃厚液」の細菌によるショックの疑いと、13と22は 同一症例で「人赤血球濃厚液」と「新鮮凍結人血漿」ということでございますけれども、 この症例における製剤による感染の可能性は確認されております。少々詳細を申し上げ ますと、20においてはエンドトキシン試験は陰性でありましたが、この血小板濃厚液自 体残っていませんので、保管されていた凍結血漿における細菌培養試験では肺炎球菌を 検出したという報告。それから13と22の症例については、個別NAT試験が陽性であ ったということでございます。ただし、これらのものについては原料血漿についての確 認などを行っておりまして、関連する感染の波及はないと報告を受けております。  なお、これらの症例については既に血液事業部会等で報告されているものも含まれて いるということで御承知おきいただきたいと思います。簡単ではございますが、国内感 染症報告の報告状況については以上でございます。 ○事務局 続きまして資料2-5、「外国での新たな措置の報告状況」を御覧いただけれ ばと思います。本資料は報告順に医薬品の成分名、それから措置の報告内容について簡 潔に示したものでございます。こちらにはたくさん報告がございますけれども、その多 くは日本における影響がなく対応が不要のものでありますとか、あるいは既に日本にお ける添付文書では必要な注意喚起が行われていて対応が不要であるというものでござい ます。  例えば1の「ヒトインスリン」の微生物汚染によるドイツ、スウェーデン、フィンラ ンドでの回収という措置報告に関して言えば、当該製品は国内には輸入されていないと いうことで、国内においての対応は不要でありました。それから2の「テルミサルタン」、 アンギオテンシンII受容体拮抗剤でございますけれども、こちらの妊婦への投与の危険 性に関する注意喚起については、日本では既に添付文書において妊婦等への投与は禁忌 として注意喚起しているところでございますので、対応は不要であったというものでご ざいます。  むしろ実際に措置が必要だった事例を御紹介した方がよろしいかと思いますが、3ペ ージの34の「メシル酸ペルゴリド」、パーキンソン病治療薬でございますけれども、こ れについてCCDSの改訂というところがございます。CCDSとは「Company Core Data Sheet(企業中核データシート)」と言いまして、当該品目の承認取得者が世界各国で販売 するに当たって定めている標準的な添付文書のことでございます。すなわち企業にとっ ての国際添付文書とも言うべきものでございまして、海外の本社がこれの内容を改訂し て肺線維症等に関する注意喚起を追記したという報告が我々の方になされたというもの でございます。これに対する対応としては資料1-1を御覧いただきたいと思うのですが、 15ページの03-147に「メシル酸ペルゴリド」がございますけれども、ここに書かせて いただいておりますように、海外での国際添付文書の改訂という措置、それから国内の 当該副作用の発現状況なども勘案して、必要な「使用上の注意」の改訂を指示したとい うケースでございます。  またそのほかの実際に対応を採ったといいますか、むしろ既に企業が自主的に対応し ていた例になろうかと思いますが、資料2-5に戻っていただいて41の「C型肝炎ウイル ス抗体検出試薬」に関して米国における製品回収がございますけれども、これについて は国内の該当するロットを回収しているというものもございます。こういった海外で回 収されたものについては、当該ロットが国内に入っているかどうかを確認しつつ対応を 採っており、通常は企業の方で自主的に対応を採っているというところでございます。 いずれにしてもこの資料2-5にお示しした海外の措置報告についても、必要に応じ薬事 ・食品衛生審議会の専門委員の御意見も伺いながら必要な対応を採っているということ でございます。  続きまして資料2-6、「研究報告の報告状況」を御覧いただきたいと思います。本資 料も報告順に医薬品の成分名と報告内容を示しております。研究報告についても日本に おける添付文書では既に必要な注意喚起がなされている場合や、あるいは報告内容が文 献における1例のみの副作用症例の紹介であったり、詳細情報が不明で副作用との因果 関係の評価が困難であるといった内容の文献報告であって、現時点では対応を採る必要 性に乏しいという場合が多うございます。例えば1の「スルピリン」によるTEN(中毒 性表皮壊死症)の1例報告や、2の「ロキソプロフェンナトリウム」による小腸潰瘍のよ うな場合であれば、添付文書において既に注意喚起がなされているので、対応は不要と 判断された事例ということでございます。  実際に措置を採った例を御紹介いたしますと、1ページの13の「エストラジオール」 について報告された、エストロゲン・プロゲスチンの併用と乳癌との関係についての研 究報告がございます。この内容についてはそのほかの関連の研究報告と併せまして、エ ストロゲン製剤全般の「使用上の注意」を見直して、長期使用時の乳癌の発生リスク等 に関する注意喚起を追記するよう指示しております。内容としましては資料1-1を御覧 いただきたいと思うのですが、先ほども御説明いたしましたけれども、13〜14ページに かけて各種エストロゲン製剤について、種々の「使用上の注意」の改訂を指示している という事例でございます。いずれにしましても、このような研究報告についても必要に 応じ薬事・食品衛生審議会の専門委員の御意見も伺いながら、随時対応を行っていると いうところでございます。資料に関する説明は以上でございます。 ○松本部会長 ただいま改正薬事法に基づきまして医薬品の副作用等報告の報告状況、 並びにそれに対する対応について事務局から説明を頂きました。この議題について何か 御質問、御意見はございませんでしょうか。どうぞ、渡辺先生。 ○渡辺委員 用語の問題なのですけれども、資料2-2の1ページに書いてあるように報 告はMedDRA/Jにのっとっているということですが、中身を見てみますと例えば2ページ の中ほど、「カルバマゼピン」のところにある「肝機能異常」、「肝機能検査値異常」、 「肝障害」など、同じようなことを言っているらしいのだけれども、項目として分かれ ているものがあります。それからちょっと先に行きますと「脂肪肝」がありまして、こ れは副作用名があいうえお順に並んでいると「か」から「し」のところへ飛んでしまう ので、例えば脂肪肝でGPT有意の肝機能障害があったような場合と、同じ有害事象、 同じ副作用として分類できるのかどうか、漏れてしまわないのかということがちょっと 懸念されると思うのです。ですから、これはMedDRA/Jにのっとっているということなの で、報告する際にどういう用語を使うのが適正かということに関しては、行政側から何 か指導があるのかということを伺いたいのが一点。  それから今度は「使用上の注意」に用いられる用語なのですが、資料1-1で例えば「肝 機能障害」、「黄疸」、「肝不全」と並んでいるような場合で、では肝機能障害という のは具体的にはどういうことを意味するのかという際に、こちらの添付文書の方はもっ と具体的な記載が求められるのではないかと思うのです。つまりAST、ALTの上昇 とか、何をもってここで肝機能障害と言っているのかと。しかしトータルビリルビンの 上昇だったら黄疸のことになるし、こちらの添付文書の改訂に関してはもう少し具体的 な分類といいますか、臨床医の注意が向くような用語を使う方がいいのではないかと思 うのですが、その二点についてお考えを教えていただきたいと思います。 ○松本部会長 では事務局の方からお願いします。 ○事務局 まず初めに、資料2-2で類似の副作用名が列記されているという点について、 コーディングがきちんとなされているのかどうかという御質問でございますけれども、 ICH、日米EUの規制当局と製薬業界の規制調和会議においても、このMedDRA/Jを使 う際にどのような症状、臨床経過の場合にどのような副作用用語を用いるかということ についてはガイダンスを作成しております。それらについてはいろいろな疑義が生じる たびに常にアップデートをして、適切なコーディングがなされるようにガイダンスを示 していて、私どもも副作用の症例経過を見ながら、これはちょっとこのコーディングと しては不適切ではないかという場合には指摘させていただいているところでございま す。  それから先ほどの添付文書の用語の方でございますけれども、資料1-1については項 目といいますか、例えば「重大な副作用」の見出しに該当する部分、「肝機能障害」と いう形のみ記載させていただいております。しかし、実際に「重大な副作用」の項に追 記させる場合では、例えば「GOT、GPT等の著しい上昇を伴う」という表現とか、 ビリルビン等の具体的検査値、あるいは具体的な症状など、報告された副作用症例を踏 まえてそれを反映した形の説明書きをできるだけ盛り込むようにしているといった状況 でございます。 ○松本部会長 渡辺委員のおっしゃるように、添付文書の用語については統一、整理し ていく必要があろうかと思います。ほかに御意見はございませんでしょうか。どうぞ。 ○堀内委員 副作用・感染症報告の報告数については分かりましたけれども、因果関係 等ダブっているものについてはそのままであるという報告だったと思いますが、報告さ れたものがどのように評価されるかということが重要だと思います。先ほどのお話では どうやって評価するか、この報告例のうちどのぐらいのものが評価されているかという 割合についても余りよく分からなかったのです。たくさんの症例を評価するというのは 大変労力の要る仕事だということは十分分かりますけれども、特にどういうところに注 意して、あるいは全体の中でどのくらいの割合が評価されているかを教えていただきた いのです。そうでないと今コーディングの話がありましたけれども、幾らここにいろい ろ出ていてもそれが本当に副作用なのかどうかは分からないわけです。ですから、我々 が本当に知りたいのはこのうちのどれが因果関係のある副作用なのかということですの で、その辺についてお話をいただきたいのが一つ。  それから感染症のところですけれども、NAT検査をやって陰性であって因果関係が 分からないというのが大部分であるというお話だったのですが、この場合の保管検体は どのくらいプールしたものについてやったのでしょうか。余り希釈されていると当然分 からなくなると思いますけれども、その辺の具体的な保管検体について教えていただき たいと思います。 ○松本部会長 本日は改正薬事法に基づきまして、今の報告状況を御説明させていただ いたところなのですが、細かい一つ一つのものに関して議論すると大変時間が掛かりま す。ただいまの堀内先生の御質問に関しては答えられますか。 ○事務局 先ほどの私の説明が不十分で申し訳ございませんでした。これらの報告の実 際の評価方法でございますけれども、副作用の中で添付文書から予測できないもの、い わゆる未知の副作用でかつ重篤なものに関しては、一例一例個別の症例票を薬事・食品 衛生審議会の専門委員の方にお送りさせていただいて、因果関係あるいは安全対策の必 要性等について御意見を伺うというのがまず一つございます。さらに、それ以外の未知 で中等度の副作用、あるいは既知で重篤な副作用については、個別の症例の評価という よりも全体の報告について集積状況を見ていきます。例えば1週間ごとの集積状況、そ れから1か月ごとの集積状況、当然過去の集積数も含めて、まず件数が増えているかい ないかといったところでスクリーニングをしまして、その上でさらにこれはちょっと報 告が増えているのではないかという場合ですと、また個別の症例票に戻って薬事・食品 衛生審議会の先生方にも御意見を伺いながら、必要な安全対策を考えていくというやり 方をしております。ですので、やり方としては未知、重篤な副作用については個別ごと、 それ以外も含めて集積状況を踏まえつつ必要に応じて個別に戻ってやるという形で、全 体を評価させていただいているということでございます。 ○松本部会長 堀内先生、よろしいですか。具体的にどういうことをやっているかをも っとお知りになりたいということであれば、事務局の方に御連絡いただければ手順につ いてはまた説明してくれると思います。 ○事務局 血液対策課の方から最後の保管検体についてお答えしたいと思います。この 資料に保管検体を検査したところすべてNAT陰性であったと書いてございますけれど も、この保管検体は献血者の方が献血した際にその製剤とは別にそれぞれ一人分の検体 を保管しておりまして、それを用いて再度検査したという意味でございます。したがっ て、薄まっているということはございません。 ○松本部会長 よろしいですか。ほかにございませんでしょうか。いろいろとまた御意 見があるとは思いますが、もし後でお気付きの点がございましたら事務局の方に御連絡 いただければと思います。  それでは次の議題に進みます。議題3は医薬品の感染症定期報告の報告状況について です。事務局から資料3に沿って説明してください。 ○事務局 それでは感染症定期報告について御説明させていただきたいと思います。お 手持ちの資料3-1〜3-3まで御準備いただければと思います。まず資料3-1で御説明させ ていただきたいと思います。  この感染症定期報告は薬事法に基づくものでございまして、1に書いてございますが、 今申し上げたようないわゆる血液製剤なども含めた生物由来製品については、原材料が 細胞組織などを用いるということもありまして、未知の感染因子(細菌、ウイルス等)を 含有している可能性が否定できないという状況です。2の「・」でございますが、製品 との因果関係が明確になる以前から潜在的にその感染症が進行するおそれがあると。二 つ目の「・」でございますが、感染した後には時間の経過によって軽減することなく、 一定期間経過後に顕在化する可能性のある感染症もあるということもございます。3で ございますが、感染症対策を綿密に行うために製品に直接的な影響がいまだ不明の原料 動物等の感染症に関する最新の知見を常に把握し、それを集積した上で感染症のリスク を多角的に評価・検討することにより、原材料又は製品による感染リスクの可能性を常 に認識することと、個別報告を集積することによりまして、頻度・傾向等の把握を容易 にするということでございまして、平成15年7月30日より施行しております。本日部 会の方に御報告いたしますのは、平成15年7月30日〜平成15年10月15日までに提出 された感染症定期報告の状況についてでございます。  2ページを御覧ください。「感染症定期報告制度の概要」ということで図がございま す。具体的な報告内容とはどういうものなのかということでございますが、四つござい まして、一つは研究報告、例えばランセット、ニューイングランドジャーナルといった 医学関係の雑誌などの文献等に基づく研究の報告、二つ目は感染症の種類別発生状況及 び発生症例一覧、三つ目は適正使用確保措置、それから四つ目は報告者である企業の安 全対策に関する見解ということがセットになった報告書を頂いております。その提出さ れた感染症定期報告について今般御報告すると同時に、必要に応じて安全対策確保の措 置をさせていただくということになります。ですので感染症関係の報告というのは、例 えば感染症サーベイランスということで一般的に世の中で、例えばインフルエンザがど のように動向しているというものもあるのですが、ここで申し上げている感染症定期報 告とは、あくまで医薬品あるいは医療用具、医療機器に特化したものであると御理解い ただければと思います。  3ページでございますが、では研究報告をどういうふうに考えているのかということ でございます。これは一例としまして右に「ワクチン」と書いておりますが、本来の目 的とは反してこのワクチンに感染症のリスクが含まれており、ワクチンを受けられた方 に感染症を起こすことがあるということで、今まで例えば症例報告などを行っているの ですが、もう少し大局的な見方、つまりワクチンの原材料となるものは何なのか。例に 挙げていますが、「牛肝臓抽出物」、その前は「牛肝臓」ではないか、もっと言えば「牛」 ではないかということになりまして、この感染症定期報告の研究報告の非常に特徴的な ところなのですが、使った実製品から人に何か感染症のおそれがあるものを集めること が主流であった今までの考え方に加えまして、その原材料となる例えば牛から人にうつ るものについても含めて幅広くウォッチしていただくということになっております。  次は4ページでございますが、こうした文献を集めた結果、本日委員の皆様方に御報 告する流れがこの図で説明できると思います。左肩にありますが、医薬品・医療機器製 造業者等から私ども厚生労働省医薬食品局に対しまして報告書を年2回提出していただ きます。半年ごとに市中の研究を集めていただき、あるいは各製品ごとの安全性を確認 していただくということになります。私どもといたしましては報告書についていろいろ と整理した上で審議会を開催し、安全対策部会の方に医薬品・医療機器等全般について 報告させていただくと。ただ、血液関係については血液分野という特殊性を考慮しまし て、血液対策課と連携をとりながら別途血液事業部会の方にも御報告させていただき、 こちらの部会も含めて薬事・食品衛生審議会から必要な措置に対する御意見を承った場 合には、私どもの方から製造業者に必要な措置を講ずるというふうに考えております。 ですので、この報告内容についても審議の公開をもって広く周知させていただくという ことになります。  5ページでございますが、そうは申しましても専門性の高い報告でございますので、 事務方だけではなかなか判断しづらいということもございまして、私どもとしては薬事 ・食品衛生審議会の委員の先生方に事前評価委員ということでお願いをいたしまして、 その委員のリストが5ページでございます。今日御出席の倉田先生あるいは山口先生に も、この事前評価委員になっていただいているところでございます。たくさん文献が来 ますので専門の先生に読んでいただきたいということがございまして、国立感染症研究 所の倉田委員にお願いいたしまして、この文献の振り分けについて数名の先生で読んで いただくということを事前にお願いしております。10月からこの間まではその文献のチ ェック、見ていただいた期間ということで、またそれを整理することになっております。 以上が資料3-1の御説明でございます。  続きまして資料3-2、3-3の御説明をさせていただきます。これが報告になるのですが、 大変恐縮ではございますけれども、資料3-3から簡単に御説明させていただきたいと思 います。資料3-3が各報告者、企業から頂いた感染症定期報告の状況の概要をまとめた ものでございます。ですので、今回の10月15日までの期間は134の報告を頂いている わけでございます。複数の生物由来成分を含有しているものもございますので、一般名 でどれぐらいあるかというと重なっているものもあります。例えば例を挙げますと3、 4でありますが、これはバクスター社の「アンチトロンビンIII」と書いておりますけれ ども、生物由来成分としてはアンチトロンビンIIIと人血清アルブミンの二つが含まれて いるので、二つ報告を頂いていると。原材料名としてはヒト血液でございますが、そう いったことで由来成分が異なれば二つ頂くと。もう一例挙げますと、8の化学及血清療 法研究所のものでワクチン類がどっと出ておりますが、例えばこのすべてのワクチンに ついては共通の生物由来成分が含まれ、その原材料が一緒であるので、こういったもの は一括で報告していただくということで制度の方を進めているところでございます。今 回は制度が始まったということなので、番号が早いものについてはこういった文献を調 査する期間が短かったということで文献が付いてございませんが、60〜70を過ぎた辺り から幾つかの社が文献を付けてきております。  これについて一定の整理をしたものが資料3-2となります。今回報告者の皆様から頂 いた定期報告を感染症別に整理したものがこの資料でございます。御覧いただくと分か るとおりで、一つはウエストナイルウイルスに関する研究報告について、例えば「ウエ ストナイルウイルスと血漿分画製剤についてのCPMPの見解」といったような論文を 各社が同時に報告してきていると。あるいはその続きでございますが、同じくウエスト ナイルウイルスの血症患者から供血された血液によりウエストナイルウイルス患者が報 告されたため、供血血液のNATスクリーニング検査の導入がアメリカの方で進められ たという話など、こういったもので整理されております。  こういった整理をしたところ、大きく分けますとウエストナイルに関するグループが 一つ、クロイツフェルト・ヤコブ病、TSE、BSEといういわゆるヤコブ絡み、TS E関係のグループが一つ、肝炎でございますが、B型肝炎、C型肝炎はもう既知ではあ るのですけれども、E型肝炎というものについての報告を絡めたウイルス性肝炎に関す る報告が一つ、そして残りのグループということで整理したものがこの表でございます。 この文献等について先ほどの委員の先生方数名に各論文を御覧いただいた上に、さらに 最終的には倉田委員にも見ていただきました。結果といたしましては、これらの製品に ついて緊急に対応する措置は必要ないと。ただ今後ともこういった感染症に対する動向 について注視していただくことと、個別についての確認事項はきちんととらえていただ くということで御報告いただいたところでございます。ということで、申し上げました とおり10月15日分までの感染症定期報告は以上でございます。 ○松本部会長 どうもありがとうございました。倉田委員、事前に御覧になったという ことですが、御意見ございますでしょうか。 ○倉田(毅)委員 ウエストナイルについてはその専門家を集めて、たしか血液対策課で 話をしていたことがあると思いますし、それからTSE、ウシに関しましてはこの委員 会でかなり細かな議論が出ると思います。それらの要注意していこうという論文がこれ でありまして、日本の製剤にあらかじめこういうものが入っていたと。米国の場合はた しかウエストナイルが全土に広がりまして、臓器移植あるいは輸血でしばしば問題が起 きていますが、日本ではウエストナイルの患者が全く発生していないのと、米国から帰 ってきた人は献血に関して3週間は御遠慮くださいとか、いろいろルールがあったと思 います。そういう中で絞っていく状況で、日本でウエストナイルのチェックをほかのH IV、HCVと同じようにやるかということではないと思います。そのようなところで す。 ○松本部会長 ありがとうございました。山口先生も御覧になっているそうですが、御 意見ございますか。 ○山口委員 今倉田先生がおっしゃったとおりで、私は全体を見ているわけではないで すけれども、担当した部分については緊急に対応すべきものはないということでした。 ただ一点だけちょっと申し上げておきます。感染症報告といいますか、こういうものを 出していただくときに、一つの感染症があるからどうかということではなくて、できる だけ医薬品の製造工程まで含めて総合的なリスク評価をして、その評価者である企業が どういう判断をしているかということを表明していただくと。それが妥当かどうかとい うことを我々が判断するのだろうと思いました。その評価の中の報告書では、そういっ た全般的な製造工程でのウィルスreductionの問題とか、ウイルスの潜在を前提とした 工程管理とか、そういうものを含めてきちんとした報告書を書いていただくという意味 で、いろいろコメントさせていただいたという経緯がございます。 ○松本部会長 どうもありがとうございました。よろしくお願いします。ほかに、どう ぞ。 ○倉田(毅)委員 これは先ほどの資料2-4にも関係してくるのですが、投与した方はネ ガティブであったと。この欄にそれでは受けた患者さんの方に事前にB型肝炎、C型肝 炎、E型肝炎などがあったかなかったかと。これは調べていないと、ではなぜかという 話になってしまって水掛け論になりますので、血液製剤を投与する場合、あるいは献血 の血液を投与する場合は、事前にこういうチェックをしておいていただくとトラブルが 減るし、変な訴訟事件も起きないということになると思うのです。どういうことかと言 うと、表面化していないからチェックはしていなかった、そして投与したらバッと起こ ったと。ところが、ここにあるとおり投与したものはNATが全部ネガティブと。そう すると、世界の常識で言えば今NATがネガティブのものでは起きないということです。 そうしますとなぜ起こったかと。潜在していて患者は知らなかった、気が付いていなか ったものが実は輸血あるいは製剤の投与によって活性化するのは幾らでもあることで、 ほかのウイルスでもありますが、こういう血液製剤を投与する前に受ける側の方のチェ ックをすべきだということはどうなのでしょうか。そうすると非常にはっきりしていい と思うのです。 ○松本部会長 そうですね、確かに当然のような気がしないでもないのですが、いかが ですか。事務局、その点に関しては何か対応策として御意見ありませんか。 ○事務局 血液対策課です。私どもも今御指摘の件に関してはごもっともだと考えてお りますので、輸血前の検査でありますとか、その時点で検査ができないようであれば、 輸血前のサンプルを保存しておくという対応を採っていただけるように今後も働き掛け ていきたいと考えております。 ○松本部会長 そうですね、それによって完璧ではないにしても必要ではあると思いま す。いかがでしょうか。ほかに御意見ございませんでしょうか。どうぞ。 ○池田部会長代理 先ほど御説明いただいた感染症定期報告の報告の流れのシェーマな のですが、非常に分かりやすくなっていていいと思うのです。恐らくこれは血液事業部 会や血液対策課の方でも検討していることだと思うのですが、この報告がどれぐらい正 確になされているかというところで、医薬品あるいは医療機器の製造業者からこちらへ の報告書といって、その前のエンドユーザーである医療機関と医薬品あるいは医療機器 の製造業者との関係のところがここに出てこないのです。恐らくここに参加している人 たちは、やはりそこがどうなっているのかどうしても知りたいというふうになるのでは ないかと思うのです。もちろん実際にはもう薬事法でも医療従事者の責務というのは決 まっているので、その辺もきちんと対策は立っていると思うのですけれども、是非そこ もこの中に入れておいていただけると分かりやすいと思いますが、いかがでしょうか。 ○事務局 御指摘ありがとうございました。この製造業者等については先ほど委員から も御指摘がありましたとおり、もちろんそういったエンドユーザーの方々の報告も受け た上での、例えば感染症についての疑い事例があれば、それも含めて定期報告の中でも まとめていただけるような仕掛けになっております。また、医薬品における感染症対策 は定期報告だけではなく、先ほど御紹介した感染症報告、あるいは緊急のときは別途緊 急措置をするような対応もさせていただいております。ですので、定期報告の性格とい たしましては正に製造業者等の責任として、製造したから新規の感染症に対する対策に ついて怠るわけではなく、常日ごろからそういった世の中の感染症状況について注視し ていただいた上で、各企業の皆さんが造っていらっしゃる製品について、安全確保がき ちんとできているかどうかを確認していただくための定期的な作業ということで、承っ ていただけるようにしているところでございます。どうぞ今後ともまたよろしくお願い いたします。 ○松本部会長 池田先生、よろしいですか。ほかにございませんでしょうか。ないよう でしたら次に進ませていただきます。議題4はその他ですが、資料4-1について事務局 から説明をお願いします。 ○事務局 それでは資料4-1を用いまして、一般用禁煙補助剤の市販後調査の実施状況 について御説明させていただきます。まず品目の概要でございますけれども、これはニ コチン含有の製剤でございまして、販売名が「ニコレット」、承認年月日が平成13年6 月20日でございます。これは医療用医薬品の成分を初めて一般用医薬品として承認し た、いわゆるスイッチOTCと呼ばれているものでございまして、承認の際に3年間の 市販後調査の実施を求めており、具体的には3,000例の特別調査を実施することになっ ております。効能・効果としては「禁煙時のイライラ・集中困難・落ち着かないなどの 症状の緩和」というものでございます。用法・用量はここに書かせていただいておりま すけれども、「たばこを吸いたいと思ったとき、1回1個をゆっくりと間を置きながら、 30〜60分間掛けてかむ。1日の使用個数は表を目安とし、通常1日4〜12個から始めて 適宜増減するが、1日の総使用個数は24個を超えないこと。禁煙に慣れてきたら(1か 月前後)、1週間ごとに1日の使用個数を1〜2個ずつ減らし、1日の使用個数が1〜2 個となった段階で使用をやめる。なお、使用期間は3か月をめどとする」という医薬品 でございます。薬事法上の規制区分としては「指定医薬品」と言いまして、販売に際し て薬剤師による取扱いを必要とし、薬事法における一つの販売業許可の形態である薬種 商販売業においては販売することができない医薬品となっております。  二番目として過去2年の市販後調査結果についてまとめております。これは単に1年 次と2年次の結果を単純集計したものでございまして、3年間全体のデータの見直しで 副作用の用語及び件数等に多少の変更はあり得るものとしてお含みおきいただきたいと 思います。現在の調査の状況について御説明いたしますと、まず「特別調査」と言いま して、これはモニターの薬局、薬店と事前に契約して、薬剤師が使用者に調査票への記 入を依頼することにより、副作用の発現状況等を調査するものでございます。これにつ きましては目標症例数の3,000例のうち既に2年間で2,574例集まっておりまして、う ち318例、副作用の報告件数としては1例に複数の副作用が生じることがあるので464 件、副作用発現率が12.35%といった報告を受けております。内容としましては、ほと んどが現行の「使用上の注意」から予測できる軽微な副作用でございまして、件数だけ 申しますと吐き気59件、口内炎59件、のどの痛み56件といったような多いものをここ に記載させていただいております。  それから(2)としまして「一般調査」と書いておりますけれども、これは実際の使用者 から直接企業に、あるいは薬局、医療機関等を通して企業に寄せられた副作用の自発報 告でございまして、過去2年間で168例、263件の副作用報告がなされております。そ の多くが「使用上の注意」に記載されているものではあるのですけれども、「使用上の 注意」から予測できない副作用としては、ここに書きましたように発熱、下肢痛が各2 件、それから爪変色、心筋梗塞、眼のしょぼしょぼ(感)、黒色便、脳梗塞、狭心症発作、 悪寒等の副作用については各1件集積されているといった状況でございます。  ちなみにこれらの「使用上の注意」から予測できない副作用のうち、心筋梗塞、脳梗 塞、狭心症発作については重篤な症例にはなるわけですけれども、実際に症例の経過等 を見ても、あるいは喫煙そのものがこれらのリスクファクターであるということ、それ から症例の情報等が非常に不足していることから因果関係が不明であります。また現行 の「使用上の注意」においても、例えば重い心臓病や急性期脳血管障害と診断された人 などを禁忌としているとか、あるいは心臓疾患や脳血管障害の診断を受けた人は使用前 に医師、薬剤師等に相談することとされているといった対策が採られておりまして、現 時点では「使用上の注意」の改訂等の新たな安全対策を講ずる必要性は乏しいと考えて おります。またその他の未知の副作用についても同様に報告数が少ないこと、また情報 量等も少ないということもございまして、引き続き情報収集が必要と考えられることか ら、現時点では「使用上の注意」の改訂等の必要はないものと考えているところでござ います。  先ほど申し上げましたように、現在本剤は指定医薬品とされており、薬種商販売業に よる販売が認められておりませんけれども、従来本剤のようなスイッチOTCに関して は、3年間の市販後調査の結果安全性上特段の問題がなければ指定医薬品の解除を行い、 薬種商販売業でも取り扱えるようにしてきているところでございます。過去2年の市販 後調査結果から判断する限り、現時点においては安全性上特段の問題があるとは言えな いと考えておりまして、今後特別調査の3,000例の集積結果を踏まえ、指定医薬品から の解除が可能であるかどうか判断したいと考えております。  一方本剤の用法・用量に関してなのですけれども、他の一般用医薬品に比べると若干 複雑であるということもございますし、また本剤は禁煙についてきちんと知識を有して いる人が取り扱うことが適当であると考えられますので、今後本剤を指定医薬品から解 除して薬種商が販売できるようにするに当たっては、薬種商販売業の方が事前に本剤の 適正使用や禁煙の考え方等に関する研修を受けておくことが必要なのではないかと考え ております。  以上を踏まえまして、本剤の今後の指定医薬品からの解除を見据えますと、薬種商販 売業の業界団体である全日本薬種商協会に対して、本剤の適正使用及び禁煙の考え方に 関する研修を事前に実施するよう指導するとともに、本剤の指定医薬品解除の可否につ いては今後の特別調査3,000例における副作用発現状況、それから薬種商の研修の実施 状況などを確認した上で検討することとしたいということで、本日御報告したものでご ざいます。以上でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。何か御意見はございますでしょうか。どうぞ、 井上先生。 ○井上委員 今の3,000例の集積を見て御判断されたいということでございますけれど も、3年のデータの見直しによって重篤な副作用がなければ解除の方向で行っても構わ ないと思うのですが、これはニコチンそのものでございますので、ニコチンの心臓や血 管に対する薬理作用を考えるときには、指定の解除については御配慮をお願いしたいと 考えております。基準が3,000例にあるのかどうか分かりませんが、3,000例と言わず もう少し症例を集められてみてはどうかという気がいたします。指定医薬品の指定解除 に当たりまして、副作用の発現率とか発現症例の基準というものがこれまであったので しょうか。例えば今回特別調査において12.35%の発現率になっておりますが、これは 服用した患者さんの1割、100人使用すると10人は何らかの副作用が発生しているとい う状況でありますし、特別調査の方に動悸11件、胸部不快感10件とございますが、こ れと狭心症発作と心筋梗塞等々の因果関係の証明というのが全く分からないわけでござ います。まずお聞きしたいことは、これまで解除された医薬品についてどういった発現 率や発現症例の基準があったのかということが一点。それから指定解除の時期に至りま して、指定医薬品を解除されなかった医薬品や解除延期になった医薬品、もしくは安全 であるから逆に早期に解除された医薬品などがこれまであるのであれば、まずその例を お知らせいただきたいわけでございます。 ○松本部会長 事務局、お願いします。 ○事務局 まず一番初めの3,000例ということについては、この製品の市販後調査を行 うときに、企業の方が3,000例の特別調査を行うという調査計画を厚生労働省に提出し て現在行っている状況でございます。この3,000例といいますのは発現率が0.1%の副 作用を検出できるという症例数で考えておりまして、それで計画を立てているところで ございます。  指定医薬品を解除するための副作用の判断基準があるかどうかということでございま すけれども、医薬品の安全性については先ほど来「使用上の注意」の改訂の仕方などで も御説明していますが、副作用の発現数を単純に比較するというものでもございません で、個々の副作用の重篤度、あるいは医薬品と副作用との因果関係などを総合的に勘案 して判断すべきと考えております。ですので、添付文書の改訂などもそのように行って いるということで、指定医薬品の解除をするに当たってもこれまで一般的な判断基準は ないという状況で、こういった安全対策部会に個々にPMSの結果を御報告いたしまし て判断してきているということでございます。  それから指定医薬品を解除するということで、3年のPMSが終わった後解除されな かったものにどういったものがあるのかということと、そういったものの副作用の発現 率がどうなのかということでございます。PMSを3年間終了した後即座に指定薬解除 がなされなかったものについては、一昨年こちらの医薬品等安全対策部会で指定薬の解 除を検討していただいた、イソプロピルアンチピリンとして1日用量450mg以下を含有 する内用剤、これは解熱鎮痛剤で昭和57年に一般用医薬品として承認されましたが、一 昨年になって指定医薬品を解除されたというものでございます。その一昨年の医薬品等 安全対策部会で解除のときに御報告させていただいた資料で、特別調査といって頻度の 分かる調査を行った時点では、そのイソプロピルアンチピリンについての副作用の発現 率は2.1%ということでございます。  現在3年間のPMSを終了した後、指定薬が解除されていないものにどういうものが あるのかということでございますけれども、ファモチジンなどのいわゆるH2ブロッカ ーがございます。それについては、一般用として平成9年の承認時に厚生労働省からH 2ブロッカーの性質として、特に慎重に取り扱わなくては胃癌の隠蔽など極めて重篤な 結果を引き起こす危険性もあるという通知が出た経緯もございまして、現在も指定医薬 品のまま観察が続けられているという状況でございます。以上でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。この指定解除に関しましてはいずれ審議して いただくことになろうかと思うのですが、井上先生、特に…。 ○井上委員 取りあえずここで確認しておきたいのは、イソプロピルアンチピリンは 2.1%の副作用発現率であったということと、今回のニコチン原体については副作用発現 率が現在12.35%であるということでございますね。それからファモチジンのように指 定解除にならなかった医薬品もあるということでございます。指定解除をする基準とい うのは今のところ明らかではないということで、相対的なもので指定解除をやっていっ ているということでございます。もし指定解除を行った後に重篤な副作用、例えば死亡 例などが出た場合には、直ちにまた指定医薬品に戻すということはお考えになっていら っしゃいますでしょうか。 ○松本部会長 それは可能ですか。どうぞ。 ○事務局 ここ数年においては、一度指定医薬品を解除したものについて指定医薬品に 指定し直すといった事例はございませんけれども、通常の安全対策の手段としては添付 文書の改訂等で注意喚起を促すということを行っておりますが、そういった添付文書の 改訂以外の安全対策の一つの手段として、必要があれば指定医薬品に再度指定し直すと いうことも否定はされないと考えております。 ○松本部会長 ありがとうございました。井上先生の御意見に関してはこれから少し検 討していただいて、先生が納得されるような説明をしていただければと思っております。 ○井上委員 先ほど薬剤師がなかなか服薬指導をやっていないという厳しい御指摘を頂 きました。私どもも現在服薬指導の徹底等に取り組んでおります。特に「健康日本21」 という運動がございまして、その中で禁煙運動が国民の健康を作っていく上で大変重要 なものであると位置付けられている次第でございます。その中で薬剤師がビデオ素材と か、かなりの資材を使ってきちんとした服薬指導をやっている商品でございまして、も ともと医師の処方せんによって患者さんにお渡ししていたものであります。もう一度最 初に戻りますが、これはニコチン原体でございまして、心臓や血管に対する直接的な薬 理作用があるものであるということを、是非皆様の御記憶にとどめていただければと考 えております。以上でございます。 ○松本部会長 どうもありがとうございました。ほかに御意見はございませんでしょう か。 ○倉田(毅)委員 あらかじめ言いますと私はたばこは一切吸いませんが、これを見ます と喫煙による症状と、たばこをやめてニコレットを用いたときの副作用とはほとんど一 緒ですね。これは年代によっても随分違うと思うのですが、大体たばこを10年も20年 も吸っている人は全員爪が汚いですよね。吸わなくなってよく見てみたら変色したと、 要するにそういうたぐいのもの。眼のしょぼしょぼなどはヘビースモーカーの人はみん なしていますし、やめたら出てきたというのもどうか。挙げられているニコレットによ る症状は、余りにも漠とし過ぎていると思う。ということだったら、事前にA4一枚で 全部これに関するものがあったら丸を付けておく。たばこを吸っている人にはなくて、 ニコレットをかみ出したらこれが出てきたかと。出てきたなら副作用かもしれませんが、 私はちょっと違うのではないかと。  ですから、これに関してはほかの薬品等による副作用という考え方と同一でいいか大 きな疑問があります。意志を決してたばこをおやめになればいい話で、こういう臨床で はあらゆる症状でたばこを吸っている人にもあるし、前の方のもので動悸も食欲不振も 眼のしょぼしょぼも、私の周りのヘビースモーカーはみんなそうですね。ですから、こ の中でヘルペス口内炎などは多分50歳以上でしたら大体97〜98%が感染して、そのう ち10%の人はしょっちゅう繰り返しているわけで、たまたま出たという話がこのニコレ ットのせいかと。そういうことを副作用という考え方に非常に問題がある。後で検討し ていただければいいのですが、物のとらえ方ですね。喫煙している人は単純におやめに なればいいという話だと思うのです。そこで副作用だ、けしからんという話かと。では ニコレットをおやめになって、たばこを元に戻したらこの症状が全部取れたと、そうし たら副作用と言っていいと思うのですが、ちょっと違うのではないかと。私はここで議 論をしてくれということではなくて、この考え方については今までの医薬品として出て くるものと少し違うのではないかというところがあると思いますので、またいずれ事務 局の方で検討していただければと思います。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございます。これは指定解除の議論のときには大変なことに なりそうな予感がしております。事務局には今から少しその点の準備をお願いしたいと 思います。ほかにはございませんでしょうか。堀内先生、短くお願いします。 ○堀内委員 前回のこの部会でイレッサのことが大分議論になったと思いますが、その 後適正使用の方針を出して、報告の上がってくるものも大分少なくなっていると思いま すけれども、この間の副作用の発現状況等について分かりましたら教えていただきたい。 ○松本部会長 特別変化があった場合には今日報告するということになっていたのです が、事務局から何か御報告することはありますか。 ○事務局 イレッサに関しましては昨年6月の医薬品等安全対策部会の際に、5月に行 ったイレッサの検討会の資料等を用いて、緊急安全性情報発出後の副作用の発現状況、 間質性肺炎の発現状況等について御説明させていただいたところでございます。今日は ちょっと資料をお示ししておりませんけれども、その際に緊急安全性情報の発出と昨年 12月における例えば4週間の入院に準じた管理の徹底といった安全対策の効果として、 副作用の発現件数、それから死亡例も減ってきているということを御報告したところで ございます。その後も我々の方で副作用の発現状況についてはフォローしておりまして、 それ以降そのときお示しした資料と同様の件数、具体的には例えば毎週10件以内の報告 で推移しているということを確認しております。死亡例も以前と異なりまして報告され たうちの3割程度と理解しております。また、具体的なリスクファクター等の調査に関 しましては、現在プロスペクティブ調査が行われておりまして、その結果をもって更な る安全対策の必要性等について検討することにしております。以上でございます。 ○松本部会長 堀内先生、よろしいですか。 ○堀内委員 要するに、この前の安全対策が適切に稼働していると考えてよろしいとい うことですね。 ○松本部会長 よろしいそうです。ほかにございませんでしょうか。事務局から何か連 絡事項はありますか。 ○事務局 特にございません。 ○松本部会長 特になければこれで本日の部会を閉会させていただきます。本日は長時 間どうもありがとうございました。                                    ( 了 )      連絡先: 医薬食品局 安全対策課 課長補佐 渡邊(内線2748) - 1 -