04/01/23 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会 平成16年1月23日議事録        薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所  平成16年1月23日   14:00〜  厚生労働省共用第7会議室             2.出席委員(14名)五十音順  ◎池 田 康 夫、 上 原 至 雅、 岡 田 義 昭、 折 笠 秀 樹、   守 殿 貞 夫、 神 谷   齊、 後 藤   元、 櫻 井 秀 也、   早 川 堯 夫、 藤 上 雅 子、○堀 内 龍 也、 三 瀬 勝 利、   溝 口 昌 子、 吉 田 茂 昭 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(2名)   川 嵜 敏 祐、 木 村   哲   3.行政機関出席者   鶴 田 康 則(大臣官房審議官)、 岸 田 修 一(審査管理課長)、   平 山 佳 伸(安全対策課長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器審査センター長)、   青 木 重 仁(医薬品医療機器企画主幹)、   赤 川 治 郎(医薬品医療機器審査第一部長)、   森   和 彦(医薬品医療機器審査第二部長)、   辻 村 信 正(医薬品医療機器審査第三部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 神谷委員が少し遅れておりますが、薬事・食品衛生審議会医薬品第二 部会を開催させていただきます。本日はお忙しいところ御出席いただきまして、ありが とうございます。今年最初の部会ということになりますが、どうぞよろしくお願いいた します。出席者の数でございますが、委員数が16名のところ現在13名でございますの で、定足数に達しております。それでは池田先生、お願いします。 ○池田部会長 先生方にはお忙しいところ、本当にありがとうございます。本年もよろ しくお願いいたしたいと思います。それでは早速本日の審議に入りたいと思いますが、 その前に事務局の方から配付資料の確認と、資料作成に関与された委員の報告をお願い したいと思います。 ○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。資料1-1〜資料5までがあらか じめお送りした資料でございます。本日の席上配付資料といたしまして、議事次第、そ れから座席表、当部会の委員名簿。それから資料1でございますが、これはお送りした 資料1-1の諮問書の表紙の部分でございます。その後ろに付いているものは同じもので ございまして、表紙だけを置かせていただいております。それから資料1-1、これはあ らかじめお送りした資料の最初の6枚分を差し替えていただくためにお配りしたもので ございます。それから資料6といたしまして、乾燥細胞培養痘そうワクチンの専門協議 の委員名簿でございます。以上が本日お配りしている資料でございます。よろしいでし ょうか。以上でございます。 ── 神谷委員着席 ── ○池田部会長 先生方、お手元に資料はございますでしょうか。よろしゅうございます か。それでは本日は審議事項が1議題、報告事項が3議題となっておりますので、早速 審議事項から入りたいと思います。議題1は「生物学的製剤基準の一部改正について」 でございます。それでは事務局の方からこの議題1について説明をお願いします。 ○事務局 それでは資料1-1を御覧いただければと思います。資料1-1につきましては、 最初の6ページについては今日お配りさせていただいたもので差し替えさせていただき ました。よろしくお願いいたします。乾燥細胞培養痘そうワクチンでございますが、こ の品目につきましては有効期間を変更したいということで、一部変更承認申請が出され ております。有効期間につきましては、生物学的製剤基準で設定しているということで この品目の生物基の変更が必要となり、本日御審議いただくというものでございます。 本件につきましては専門協議で御検討いただいておりまして、その専門協議の委員名簿 は今日お配りいたしました資料6のとおりでございます。生物基の改正に係る部分とし まして、大きく三点ございます。  一点目は有効期間、貯法の変更ということで、現在この製剤については5℃以下の保 存で2年間ということになっておりますが、これを−20℃以下保存で3年間に変更した いというものでございます。データに関しましては、資料1-1の「貯法及び有効期間の 変更について」というタグが付いているところを御覧いただければと思います。こちら の方に評価されたデータの概要が出ております。50か月、約4年間になりますが、保存 検体上での安定性の成績で、無菌試験・力価試験・含湿度試験が規格に適合しているこ と、さらに保存条件を今般5℃から−20℃に変更することによる悪影響はないかという 観点で、凍結融解による安定性を確認したところ、ウイルス含量の低下は認められない といった結果が提出されております。これらにつきまして専門協議で御審議いただいた 結果、力価試験の適合状況、5℃保存のデータにつきましては、加速条件でのデータと 見なされるといったことから、有効期間及び貯法の変更については特段の問題はないと いうことで判断されております。  二点目の改正ですけれども、本質及び性状の変更を行っております。製剤を溶解した ときに現在「澄明な液剤」ということが規定されておりますが、これを「澄明又は微濁 した液剤」に変更したいというものでございます。これは実際に製剤を溶解するとわず かな濁りが認められるということで、この実測値に基づく内容に変更したいというもの でございます。  それから三点目ですけれども、製法に関する事項の整備明確化を行うというものでご ざいます。乾燥細胞培養痘そうワクチンの製法に関しましては乾燥していないもの、す なわち細胞培養痘そうワクチンの方の記載を生物基上では準用しております。したがい まして、この製法に関しては細胞培養痘そうワクチンの基準の製法の部分を変更するこ とによる対応ということになります。この件につきましては、本日差し替えさせていた だいている資料1-1の6枚紙を御覧いただければと思います。1/6〜6/6までありますが、 5/6からが「新旧対照表」になっております。これに関しては、製造用株の規定を正確 に詳しく書いたということ、それからウサギの腎臓から採取したものをウイルス培養に 用いているわけですが、このウサギにつきまして成長週齢を記載したということ。また、 製造用に用いる培養細胞につきましてきちんと定義したということなどで、これらにつ いては現在の製造状況に即して明瞭な記載に整備したという変更でございます。以上が 生物基の改正にかかわる三点でございますが、本件については更に製剤の安全性に関し て専門協議で御審議いただいておりますので、その件についても御説明させていただき ます。  資料としては、資料1-1のタグの下から二つ目に「製法の変更について」というもの が付いておりますが、そちらを御覧いただきたいと思います。この乾燥細胞培養痘そう ワクチンは以前は千葉県血清研究所の方で造っておりまして、それが現在化血研の方に 承継されているということです。今般、化血研の方で製造されたロットのプラークのサ イズについて試験を行ったところ、サイズの大きいプラーク、中サイズプラーク(MSP) が出現したということが明らかになっております。3/15の下のところにその辺りの経緯 が書いてあります。この中サイズプラークの発現の割合が継代を重ねるごとに増加して いるということでございます。この中サイズプラークといいますのは強毒型のリバー上 の指標でして、リバータントウイルスの出現を示しているということでございます。そ こでこの中サイズプラークを含有する製剤の安全性につきまして、専門協議の方で審議、 検討していただきました。専門協議におきましては、過去の種痘研究班が行った臨床研 究の結果の解析ですとか、成熟マウスなどを用いた神経毒性試験を行った結果について 御審議いただきました。その専門協議の結果ですが、まとめて書いてありますのが15/15 の中ほどのところでございます。専門協議で議論していただきました結果、まず承認書 の製造方法欄に、「マスターシードから原液までの継代数が3代を超えてはならないと する」ということを明記させると。また、製造方法全体の記載を詳細なものにさせると いうことでございます。  二点目は、承認書の規格として中サイズプラークの含有率の上限を規定させるという ことでございます。さらに今後のことでございますが、より品質の高いマスターシード の確立のために検討を行うことが必要だということで、この検討についてメーカーの方 に指示を出しているというところでございます。以上が痘そうワクチン関係でございま す。   もう一点ございまして、資料1-2の乾燥BCG膀胱内用の方を御覧いただきたいと思 います。この乾燥BCG膀胱内用(日本株)につきましては、容器をアンプルからバイア ルに変更するという一部変更承認申請がなされております。この申請に伴いまして、こ の品目の生物基の変更が必要となったということで、本日御審議いただきたいというも のでございます。  上から二つ目のタグで「基準の改正について」というものがございますが、こちらを 御覧いただきたいと思います。容器を変更するということで、1の2)のところにありま すが、安定性をこれまでのアンプル製剤と同様にするために安定剤(グルタミン酸ナトリ ウム)を増量しております。それから3)にありますが、溶解して吸い上げる薬剤量をな るべく多くしたいということで、添付溶剤の増量を行っております。具体的には、80mg 製剤については現行1mLだったところを2mL、40mg製剤については0.5mLだったところ を1mLという変更を行っております。その結果、4)ですが、用法・用量の変更という ことで、80mgの場合は今まで1mLの添付した溶剤で懸濁した後40mLで希釈、トータル 41mLにして投与するということでございましたが、今回添付薬が2mLになりましたので まず2mLで懸濁すると。その後の希釈は39mLで行うということで、トータルのボリュ ームの変更はございません。こういった用法・用量の変更が必要になってくるというこ とでございます。  1ページめくっていただきまして、次にその関係で生物基が改正になるという点につ いて御説明いたします。2の「1)浸透圧比」というところで、まず規格値については安 定剤(グルタミン酸ナトリウム)を増量したということで、現行の規格値から変更してお ります。この変更につきましては、新しくできるものの実測値に基づいての変更という ことでございます。   それからもう一点は試料の調製方法でございますが、先ほど用法・用量による薬剤の 調製方法が変更になったと御説明しましたが、それに合わせてこの試験での試料の調製 方法も変更になったというものでございます。以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。一つは細胞培養痘そうワクチン、もう一つは 乾燥BCG膀胱内用で製造の変更によって生物基の一部改正が必要であると、痘そうワ クチンの方は貯蔵法、有効期限の変更と、それから本質、性状に関する変更、そして製 法に関する記載を改めると。それに伴って製造元が少し変わったということ、製造の変 更によってその安全性がどういうふうに担保されるかというところの議論があるかと思 います。  まず最初にこの細胞培養痘そうワクチンの件について、先生方から御意見を伺いたい と思います。先ほども事務局から話がありましたように、この件に関しては早川委員と 神谷委員が専門協議に御参加されておりますので、もし早川先生、神谷先生から御意見 がございましたら、お伺いしたいと思います。早川先生、何かございますか。 ○早川委員 先ほどの御説明どおりで結構です。 ○池田部会長 特にございませんか、神谷先生。 ○神谷委員 ちょっと確認だけしたいのですが、一つはこのワクチンは製造会社が変わ ったので、私たちもLC16m8という千葉血清が造った当時のワクチンの試験接種をやっ たり、少し患者さんにも打った経験がありますが、化血研に行ったワクチンはヒトには 使っていないわけですね。それが同じものであるということは、今のお話のようなこと で一応証明されていると私たちも判断したのですが、それがこれから本当に人間に使う ときにどうなのかなという辺りがちょっと心配だなという気が個人的にはしています。  それからもう一つ、今度バイアルを−20℃以下に保存するということになりまして、 専門協議のときにもちょっと問題になったまま、最終的な答えをお聞きしていないので すが、−20℃以下ということは80℃という保存もあり得ると。そうなった場合に、3年 間保存して上のキャップがきちんと安定して、そのときになってもスッと出して外で温 度が上がったときにどうもないかという討議があったと思うのですけれども、そのこと は調べていただいて結局どういうふうになったかということだけ明らかにしておいてい ただいた方がいいと思います。 ○池田部会長 そうですね。審査センターからの報告の中にはそれがありましたね。た だ、変更後の記載では「−20℃以下とする」としか書いていないのですが、その辺につ いて何か事務局の方からございますか。どうぞ。 ○事務局 生物基準の方には、−20℃以下ということで定めさせていただきました。実 際にバイアルが更に低温できっちり何度で大丈夫かはきちんとしたデータが採れていな いのですが、実際に使われた実績を調査いたしますと、−35℃以上であれば大丈夫であ ろうということが分かってまいりました。それを今回添付させていただいております「添 付文書(案)」の「取扱い上の注意」の「1.保存時」というところに、「−35℃以上−20 ℃以下に保存すること」と。その際に、「ゴム栓の劣化、破損等の可能性があるので」 という理由を書いて注意喚起いたしております。 ○池田部会長 先生方のお手元の資料の一番最後のページに添付資料があって、「1. 保存時」に赤字で書いてあるということです。そうすると、生物基にはこういう記載で よろしいと。実際に添付文書でこういうふうに規定するということですね。 ○事務局 はい。 ○池田部会長 神谷先生、よろしいですか。 ○神谷委員 分かりました。 ○堀内部会長代理 ちょっとよろしいですか。 ○池田部会長 どうぞ、堀内委員。 ○堀内部会長代理 フリーザーには−20℃前後のものと、それより低いもの、例えば− 40℃くらいのものとか更に−80℃などがあるのですが、−35℃というのは厳密ですか。 といいますのは、例えば−40℃くらいに下がるのはたくさんあるわけです。添付文書で は例えば5℃違ってもそれはそれでやれという話になってしまいますから、きちんと調 べてある程度許容性を持たせていただいた方がよろしいのではないかと思います。 ○池田部会長 はい、どうぞ。 ○事務局 血液対策課でございます。技術的な面は審査センターになるかもしれません が、これは製品実態としては国家備蓄のみでございまして、御存じのとおり天然痘は撲 滅されておりますから、一般的に流布するということは想定しておりませんので、そこ ら辺はしかるべきところだけだということで、実態上は問題ないかと思います。 ○堀内部会長代理 分かりました。 ○事務局 追加で、テクニカルな面では−35℃ですが、実際のデータは−40℃とかでも 大丈夫で、フリーザー内の温度分布まで考慮して−35℃ということで決定しているとい うものでございます。 ○池田部会長 よろしいですか。安全性のところが特に専門協議で議論されたというこ とですが、その辺も含めて…。岡田委員、何かございますか。 ○岡田委員 リバータントの出現のことなのですけれども、一応この製法の変更のとこ ろにはマスターシードから5代目まで造ってあるのですが、現実的にワクチンとして備 蓄されるのは3代目までが保存というか…。 ○事務局 そういうことです。 ○岡田委員 それとその中にそのリバータントの範囲というか、参考種というものは一 応設けているのでしょうか。 ○事務局 生物基準の方には載せませんけれども、一応申請書上でリバータントといい ますか、中サイズプラークの混入率を規定することといたしております。 ○池田部会長 よろしいですか。実際の生物基の改正ということと、実際にこの製造法 が変わってその安全性を担保するためにどういう記載をするかという二つがあるのです が、よろしいでしょうか。この細胞培養痘そうワクチンの件については、特に御意見ご ざいませんか。バイオテロに備えてということでございますが、よろしいですか。  それでは次に乾燥BCG膀胱内用のアンプルからバイアルへの変更に伴った生物基の 改正についてですけれども、これについては何か御議論ございますでしょうか。よろし いですか。特に問題はないように思いますが、よろしいでしょうか。それではこの審議 事項の議題1、「生物学的製剤基準の一部改正について」はこれで議論を終わらせてい ただいて、報告事項に移らせていただきたいと思います。  それでは事務局の方から、最初の「医薬品イトリゾールカプセル50の輸入承認事項一 部変更承認について」をよろしくお願いします。 ○事務局 報告事項についてまとめて御報告させていただきたいと思います。まずは議 題1の「医薬品イトリゾールカプセル50の輸入承認事項一部変更承認について」を御報 告いたします。資料2を御覧ください。本剤はヤンセン ファーマ株式会社から輸入承認 事項一部変更申請がありましたトリアゾール系抗真菌剤、イトラコナゾールを有効成分 とするものです。本剤は平成11年6月に爪白癬、爪カンジダ症及びカンジダ性爪囲爪炎 に対する継続療法に対する承認を取得しております。その当時、米国を始めとして多く の国で爪真菌症に対する本剤のパルス療法が承認されていたことから、我が国において も爪白癬、爪カンジダ症及びカンジダ性爪囲爪炎に対するパルス療法の用法・用量の検 討を行うことが承認条件として付与されていたものです。今般、爪白癬に対する本剤の パルス療法の検討が行われたことから、このパルス療法についての一部変更申請がなさ れたものです。審査センターにおける審査の結果、承認して差し支えないと判断いたし ました。  続きまして議題2、「医薬品オメガシン点滴用0.3g、同バッグの製造承認事項一部 変更承認について」を御報告いたします。資料3を御覧ください。本剤は日本ワイスレ ダリー株式会社(現:ワイス株式会社)、及び菱山製薬株式会社(現:ニプロファーマ株式会 社)から製造承認一部変更申請がありました、注射用のカルバペネム系抗菌薬ビアペネム を有効成分とするものでございます。本剤につきましては、平成13年10月に慢性呼吸 器疾患の二次感染等の効能・効果で承認されております。今回申請された敗血症につい ては初回申請時にも申請されましたが、検討の症例が少なかったことから承認に至らな かったものでございます。今般、敗血症を対象に臨床試験が再度実施され、敗血症の効 能・効果の追加について一部変更承認申請がなされたものです。審査センターにおける 審査の結果、承認して差し支えないと判断いたしました。  続きまして議題3について御報告いたします。資料4を御覧ください。資料4につき ましては、幾つかの医薬品の資料が重なっているものでございます。本申請につきまし ては、尿路上皮癌に対するメトトレキサートと硫酸ビンブラスチンと塩酸ドキソルビシ ン、シスプラチンによる多剤併用療法であるM-VAC療法の申請でございます。それぞ れワイス株式会社、日本イーライリリー株式会社、協和発酵工業株式会社、日本化薬株 式会社、ブリストル製薬有限会社ほか合わせて8社より承認事項一部変更申請がなされ たものでございます。メトトレキサート及び硫酸ビンブラスチンに関しては、尿路上皮 癌の効能・効果及び用法・用量の追加の一部申請でございまして、シスプラチン、塩酸 ドキソルビシン、ロイコボリンに関しては用法・用量追加の一部変更申請というものに なっております。また、本品目につきましては、適応外使用にかかわる医療用医薬品の 取扱いに関する通知に基づいて申請がなされたものでございまして、審査センターでの 審査の結果、本剤の申請の効能・効果及び用法・用量に対する有効性は医学・薬学上公 知であると認められることから、承認して差し支えないと判断いたしました。  最後になりますが、議題4の「医療用医薬品の再審査結果について」を御報告いたし ます。資料5を御覧ください。一枚めくっていただきまして、エポエチン ベータ(遺伝 子組換え)を有効成分とするエポジン注750、同1500、同3000及び同6000について、透 析導入前の腎性貧血と貯血量が800mL以上で1週間以上の貯血期間を予定する手術施行 患者の自己血貯血の二つの効能・効果を対象にした再審査に関する報告書でございます。 これらの品目につきましては、市販後の使用成績調査、特別調査の成績等に基づいて再 審査申請が行われ、それぞれ審査の結果いずれの品目についても薬事法第14条第2項各 号承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承 認事項については変更の必要はないカテゴリー1と判断したものであります。これらの 結果につきましては、近く通知する予定といたしております。以上でございます。 ── 説明中、審議官退席 ── ○池田部会長 ありがとうございました。報告事項は四つございまして、始めの報告事 項はイトラコナゾールの輸入承認事項の一部変更で、爪白癬のパルス療法の適応追加が あるということ。二番目はオメガシン点滴用0.3gで、これに関しても効能・効果で敗 血症を追加したいと。メソトレキセートに関しては、M-VAC療法という格好で一部変 更が求められていると。そして、最後に再審査結果ということですけれども、一つずつ 先生方の御意見を伺いたいと思います。最初にイトラコナゾールの爪白癬のパルス療法 の変更承認について、もしただいまの報告に御意見がございましたらお願いしたいと思 います。堀内委員、どうぞ。 ○堀内部会長代理 イトラコナゾールとかケトコナゾールは、真菌のP450を阻害する という作用機序を持っているわけなので、P450に対するいろいろな作用があります。 特にCYP3A4の阻害が言われておりまして、薬物の相互作用の中では一番注意すべき医薬 品の一つだと思います。  それで特に今回のものは、単に爪白癬の適応拡大ということではなくて、1週間の投 与量が200mgを2回で倍になっているということですが、それによる薬物相互作用につ いてどのような影響があるかというデータを基に承認をされているのでしょうか。と申 しますのは、午前中にありました医薬品等安全対策部会の中で、外国での新たな措置の 報告状況の中にも、イトラコナゾールについてはCCDSの改訂で禁忌、相互作用の追 記がされているわけです。やはり相互作用については一番注意されなければいけない部 類の薬ですので、慎重に対応する必要があるだろうと思います。その辺の検討結果につ いて教えてください。 ○池田部会長 事務局、どうぞ。 ○事務局 今回のイトラコナゾールの申請に際しましては、特に薬物相互作用の検討と いうものはなされておりません。CCDSが改訂されたということを受けまして、こち らでも今回の効能追加の際に添付文書の改訂を行う必要がないかどうかを申請者に確認 しております。申請者に確認いたしましたところ、今御指摘のございました相互作用部 分につきましては、本邦で販売がなされていないものについては本邦の添付文書には記 載しないということ。それからCYP3A4のことに関しては、一応相互作用という形で1ペ ージ目に具体的な薬物とは別に記載するということを回答として得ています。 ○池田部会長 よろしいですか。 ○堀内部会長代理 イトラコナゾールの場合は大変半減期が長いですね。ですから、投 与量を倍にした場合、投与量1日2回、食直後2回と書いてありますが、いつという間 隔が添付文書に記載がなく、指示もありません。ただ、1日2回ということになってい ますので、血中濃度がかなり上がる可能性があると思います。また、半減期が長いとい うことによって、連続的に1週間投与している間、終わってからもCYP3A4の活性が阻害 された状態にあるとしばらく続くと思います。P糖蛋白も同じことが言えると思います が、その辺のことについて本当に問題がないのかもっとはっきり指摘をする必要がある のではないかと考えますので、注意していただきたいと思います。 ○事務局 その点につきましては、審査センターの方でも現在の情報が十分ではないと 考えております。それにつきましては、再審査期間は今回記載しておりませんが、市販 後に安全性確認のための特別調査ないしは使用成績調査、市販後調査を実施するように 指示しております。御指摘のございました、投与して休薬している期間についても相互 作用を考えなくてはならないということから、添付文書の方になお書きとしてパルス療 法中の患者において休薬期間中に新たに他の薬剤を併用する場合にも、患者の状態を十 分に観察し、慎重に投与することという旨を記載しております。 ○堀内部会長代理 爪白癬の患者は、老人とか免疫抑制がかかっている患者などに起こ りやすいと思います。特にいろいろな薬を飲んでいる可能性もあると思いますので、是 非その辺を慎重にやっていただきたいと思います。 ○池田部会長 そのほか何かございますでしょうか。溝口委員、何かございますか。 ○溝口委員 このイトリゾールがパルス療法で爪白癬に有効だというのは、外国の文献 が先行しましたので、実際にはもう1か月投与してそれを1週間続けて飲んでいただく ということで、皮膚科医の間ではやられていたのです。そのときの文献で2回ではなく て1回投与する、まとめて400mg1回で飲んでしまうという方法も記載されていたので すが、外国人の場合はこの倍量の800mgでやっているケースもあります。今のお話を伺 うと、やはり併用療法はもちろん注意しなくてはいけなくて、たくさん薬があるもので すから診療期間中にチェックするのはなかなか大変で、最近もう一種類の薬が出てきた ためになかなか使いにくくなったことも事実です。このパルス療法は1日2回になって おりますが、1回のは全然試みられなかったのかどうか。もし試みてやめたのなら、そ のときに問題があったのかどうかというのをお教えいただきたいと思います。最初から もうデザインが1日2回のパルス療法であったならば結構ですけれども、ちょっとその 点をお教えいただきたいのですが。 ○池田部会長 事務局の方でそのことについての情報はありますか。 ○事務局 まず海外の承認状況から申しますと、爪白癬に関してはイギリスでは1日2 回投与を行っております。また、米国におきましても爪白癬については1日2回投与で 1日400mgとなっております。 ○溝口委員 分かりました。結構です。どうもありがとうございました。 ○池田部会長 このイトラコナゾールについてはよろしいでしょうか。それでは事務局 の方から会社の方に併用療法のことについてもう一度確認をお願いしたいと思います。  それでは議題2はオメガシンの敗血症の効能・効果の適応の追加でございますが、何か 御意見ございますか。どうぞ。 ○堀内部会長代理 敗血症は、そのときの操作などの条件によっていろいろな菌でコン タミネーションする可能性があると思います。したがって、どの菌で汚染したかそのと きの状況に応じて薬物が選択されるべきだと思われますが、敗血症というのは一つの疾 患として考えなければいけないのでしょうか。どの薬物がどの菌に効くか規定されてい ればそれでいいのではないかと、少々疑問があります。大変基本的なことを聞いて申し 訳ないのですが、いかがでしょうか。 ○池田部会長 後藤委員、その点については敗血症というものの考え方と、抗生物質の 使い方について御意見…。 ○後藤委員 血液から菌が出てきたのがすべて敗血症というわけではございません。血 液から菌が出たのが菌血症で、実際臨床症状が出てきて、治療の対象になるものを敗血 症と考えております。菌が見付かった段階では菌血症になるのですが、敗血症になる以 前に臨床症状からそれを疑って治療しなければ重篤化し、患者さんの生命予後が悪くな るということです。ですから、そういう意味での敗血症としての治療という考え方にな ると思います。 ○堀内部会長代理 エンピリックテラピーのような感じでやる可能性があるのでという 意味でしょうか。 ○後藤委員 それも含めてということになると思います。もう一点よろしいでしょうか。 ○池田部会長 はい、どうぞ。 ○後藤委員 今話に出たのは重篤な疾患ということで、これは臨床治験が難しい状況が あると思います。厚生労働省が認可している薬を使って患者さんが亡くなったのであれ ば患者さんの家族も納得すると思うのですが、重篤な疾患に対して臨床治験薬を使って 患者さんが亡くなった場合に、主治医は非常に困難な立場になります。そういう状況の 中でこの敗血症の臨床治験が行われているわけで、例数が非常に少ないのですけれども、 そういう状況を考えればやむを得ないことだと思います。もしそうであるとするとこれ は一番最初の時点で敗血症が申請されていて、何例かのデータがもう出されているわけ ですね。そうすると、これだけ貴重な症例ですから評価資料にはしないとしても、参考 資料として前回この薬が使われた敗血症の症例に関しても評価して、その結果として今 回認めるという考え方もあってしかるべきかと思うのですが。 ○池田部会長 そうですね。もともと敗血症を一応想定して最初に承認があったという ことですよね。データが多少不足していたので、ペンディングになっているということ ではないのですか。今の後藤委員の御意見について、その辺はどうでしょうか。今回は 菌が証明された症例は6例、ただしいわゆるSIRS基準を参考にして臨床的に敗血症 が疑われる症例も含めて、合計24例が評価対象になったということだと思いますけれど も。 ○審査第二部長 ちょっと記憶している程度の話なのですが、最初の申請時の症例はほ んの数例しかなくて、とても評価には堪えられないという結果だったと記憶しておりま す。とはいうものの、確かに後藤先生がおっしゃるように非常に貴重な症例ですので、 それも含めてきちんと検討はしているということだと思います。 ○池田部会長 恐らく今回はもう敗血症をターゲットに絞ってやったわけですよね。最 初のときはいろいろな感染症を含めて申請になって、その中でどれが適応とされるかと いう格好で承認されたのだろうと私は推察するのですが、そのときは私も関与していな かったので、よろしいでしょうか。後藤委員、よろしいですか。事務局、よろしいです か。それではこのビアペネムに関する報告事項については、御承認いただけますでしょ うか。ありがとうございました。  それでは三番目の報告事項のメソトレキセートですが、これはM-VAC療法としてこ のメソトレキセートを使いたいということでございます。尿路上皮癌に関して使うとい うことで、これは公知の事実として実際に適応外として使われているわけですが、これ を製造承認事項一部変更としてお認めいただきたいということですが、委員の先生方か ら何か御意見ございますでしょうか。守殿委員、何かございますか。 ○守殿委員 今池田委員が言われましたとおり、泌尿器科領域ではいろいろと欧米の文 献が根拠にはなっておりますが、実際に使用され一応現時点では一番信頼されているレ ジメだと思っております。副作用等日本人の用量としては少しきついかなという面があ るのですが、やはりフルドースを使ったときと7割等とでは少し効果が違いますので、 今回のような結果になっているのではないかと思っております。 ○池田部会長 ありがとうございます。吉田委員、何か御意見ございますか。よろしい でしょうか。そのほかの先生方、この議題3の報告事項について特に御意見ございます か。もし特にございませんでしたら、この報告事項についてもお認めいただきたいと思 います。ありがとうございます。  最後に再審査結果が出ていますが、これはエリスロポエチンでございます。エポエチ ン ベータ(遺伝子組換え)ですけれども、透析導入前の腎性貧血と自己血貯血に関して特 に再審査の報告が出ておりますが、これについては先生方何か御意見ございますか。折 笠委員、どうぞ。 ○折笠委員 素人で申し訳ないのですけれども、今資料を拝見していたら、「6.海外か らの情報」というところに「本剤は海外において市販されていない」と書いてあるので すが、これは何らかの理由があるのでしょうか。 ○池田部会長 事務局の方から。 ○事務局 海外で申請されていないからだと思いますけれども。 ○折笠委員 ですから、どうして海外で申請しようとしないのかと。 ○池田部会長 これはほかのリコンビナントにエリスロポエチンがあるからではないで すか。違いますか。このエポジン、エポエチン ベータが中外製薬ですよね。中外製薬が 造ったと。これは国内では販売していないけれども、他のリコンビナントのエリスロポ エチンはもう既に国外で使われていると。それで申請していないということではないで しょうか。そうですよね。全く国外で使われていませんか。 ○事務局 他社の製剤が使われているはずです。詳細なところを確認しておりませんが、 他社製品の組換えのエリスロポエチンは海外で使われております。 ○池田部会長 組換えのエリスロポエチンは、この適応で日本だけで使われているわけ ではないということです。ほかの国でも当然汎用されているというふうに理解していい と思います。そのほかよろしいでしょうか。どうぞ。 ○堀内部会長代理 M-VAC、これは申請されてからかなり短期間で承認になっていま すけれども、迅速審査に入っているのでしょうか。今抗癌薬の併用療法の委員会ができ て、できるだけ適応拡大をやろうという動きがあると思いますが、それとこれとの関係 はどういうことになるのでしょうか。今回のものはメーカー側から申請が出てくるので、 それについて迅速審査を行うということでよろしいのですか。それとも普通に審査して もこのくらい短期間でできるということなのですか。 ○事務局 お答えします。この申請につきましては、今年頭から始まっている抗癌剤の 併用療法の検討会のスキームというわけではなくて、これまで何品目かやっております が、適応外使用の通知に基づく取扱いということで私ども、それから研究開発振興課の 方で関係企業に申請をお願いして、それで申請が上がってきたものということでござい ます。  それから事務的なもので迅速な扱いになったかでございますが、事務的には正式な迅 速という扱いにはしておりませんが、かなり要望が強いので中で努力してやってきたと いうことでございます。 ○池田部会長 当局で非常に努力してくださったということで、恐らく医療側としては 非常に良かったのではないかと思いますが、よろしいでしょうか。そのほか何かござい ませんでしょうか。一応本日用意した議題は、審議事項、報告事項とも先生方の御協力 ですべて終了いたしましたが、先生方の中で何か追加して御意見を言われる方いらっし ゃいますか。特にございませんでしょうか。   それでは事務局の方から何かございますか。 ○事務局 次回の日程でございますが、2月20日金曜日、10時半ということになって おりますので、よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 それではまだちょっと時間が早いのですが、これで本日の審議を終わり たいと思います。どうも御協力ありがとうございました。                                    ( 了 )    連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734) - 1 -