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2004年1月26日

第8回介護保険部会提出資料

介護保険制度に係る給付のあり方について

社会保障審議会介護保険部会委員
日本経団連 専務理事 矢野 弘典

<基本的な考え方>
 基本方針2003に示された「将来的にも潜在的国民負担率を50%程度にする」との考え方のもと、限られた財源を有効に活用していくには、医療保険制度との連携を推進するとともに、介護給付のあり方・財源のあり方を抜本的に見直し、医療から介護へ、施設介護から在宅介護へ重点を移していく必要がある。また、逼迫した介護保険財政を踏まえると、限られた財源を真に給付が必要な高齢者に重点化していく必要がある。
 利用者の自己負担割合については、その水準を見直すべきである。

<在宅サービスについて>
介護予防については、より効果・効率を上げるため、本人の自助努力を支援する仕組みとする必要がある。その際には、検証を踏まえて、介護予防・地域支え合い事業など、地域の特性に合わせた行政やNPOのサービスを活用していくことが重要である。
個々のサービスに対する介護報酬単価はナショナルミニマムとして必要最小限に抑えるべきである。あわせて、各事業者が提供する付加価値に対する対価徴収の自由度を高め、事業者の創意工夫による多様なサービスの提供を可能とし、利用者の自己負担による選択の幅の拡大を目指していくべきである。
ケアプランの作成にあたっては、利用者の自立支援に役立つような内容に重点化すべきである。

<施設サービスについて>
特別養護老人ホームへの新規の入所者については、特定施設やグループホームを含む在宅サービスの整備状況を踏まえて、現行の要介護1以上という基準を引き上げる必要がある。
3施設については、それぞれの機能に応じた分担ができるようにし、また、介護療養型については、医療保険で提供される医療サービスとの間で役割を明確にすべきである。さらに、いわゆる社会的入院の是正については、介護保険制度の創設により、改善がどの程度すすんだのかを検証し、導入当初の目的が達成されるような方向での見直しを行うべきである。
在宅サービスとの不公平是正や給付の効率化を図るために、施設入所に伴う、食費や家賃・光熱水費など居住費については、原則、自己負担とすべきである。
特区以外でも、施設介護サービスへの民間事業者の参入促進を図るべきである。

<痴呆性高齢者グループホームおよび特定施設について>
グループホームおよび特定施設(有料老人ホーム、軽費老人ホーム)には、住所地特例を認めるべきである。

<その他>
市町村の事業として行われている配食サービスおよび外出介助サービスについて、介護保険の対象とすることについては慎重な対応が求められる。
以上


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