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血企第33号
平成16年1月23日

厚生労働省医薬食品局血液対策課長 様

日本赤十字社 事業局長

「平成16年度の献血の推進に関する計画(事務局案)」に関する
意見の募集について」に対して提出された意見について


 平成16年1月20日付事務連絡によりご依頼のありました標記の件については、下記のとおり回答いたします。


第1.全血製剤の供給に関する以下の事項(意見1)
 (1) 平成15年における全血製剤の供給状況

平成15年 全血製剤の供給量(全国)
 供給本数:8,525本
 内訳1単位製剤 3,930本
 2単位製剤 4,595本
 赤血球含有製剤の供給量における全血製剤の割合 0.25%

【参考】
平成15年赤血球製剤の供給量(全国)
 供給本数:3,357,538本
 内訳1単位製剤932,541本
 2単位製剤 2,424,997本

 (2) 平成15年において、医療機関が全血製剤の供給を要請した際に、血漿製剤と赤血球製剤を供給した事例の件数

 東京都赤十字血液センター並びに大阪府赤十字血液センターに対し、それぞれの供給地域内の医療機関からの「全血製剤の供給要請」について、電話による聞き取り調査の結果、合計で1,991件の供給要請がありましたが、「血漿製剤と赤血球製剤」で対応した事例はございません。

 (3) (2)に該当事例があれば、各事例ごとに、その理由

 上記(2)の回答のとおりです。

 (4) 全血製剤、血漿製剤、赤血球製剤は価格が同一なので、全血製剤を必要とする場合に血漿製剤と赤血球製剤を供給すると、患者の負担が2倍になる、という指摘に対する貴社の見解

 日本赤十字社は、医療機関の要請に基づいて血液製剤を供給しており、全血製剤の供給要請に対し、意図的に血漿製剤と赤血球製剤を供給することはございません。
 患者さんへの輸血は、医療機関において「血液製剤の使用指針」に基づいて実施されていることと存じます。

 (5) その他、意見(1)(下記)に関する貴社の見解

 
 「平成16年度献血推進計画」は細かい配慮の行き届いた計画案であり、全体として高く評価されるものと考えます。
さて、私は以前より要望して参りました点は、第一節の「献血により確保すべき血液の目標量」の内容に全血として供給すべき血液の目標量を記入して戴きたい事です。
日赤は独占企業ですから使用者の要請に応じて血液を供給する義務があるはずです。ところが、採血した全血は大部分を遠沈分離してしまうため、全血が入手できません。さらに全血、FFP、濃赤は価格が同一ですから、患者様は2倍の費用の負担と2倍の感染の危険を背負わされております。以上の実態から日赤を指導する意味も含めて、全血として供給すべき血液量の記述をお願い致します。

(日本赤十字社の見解)
  全血製剤の需要は、平成15年で赤血球含有製剤(全血製剤と赤血球製剤)全体の0.25%と非常に少ない状況です。例えば東京都内にある1,000床を越える国立大学病院においてでも、平成15年1〜12月における全血製剤の供給要請は、2件という状況ですので、赤血球製剤のように常時、大量に在庫いたしますと期限切れとなる血液製剤が増加してしまいます。
 このため、日本赤十字社では、血液センター間で相互に融通して供給する(需給調整)体制を構築し、在庫量以上の需要が発生した場合に備えております。なお、需給調整が必要な場合には、調整に要する時間等について予め医療機関のご了解をいただいてから供給しております。
 日本赤十字社では、常に迅速な供給を行うためにも、血液製剤のご使用の予定がある場合には早めにご連絡いただけるように医療機関の協力をお願いしているところであり、ご予約分については確実に供給できるように努めております。

第2 学校現場における採血後の事故若しくは健康被害について、高等学校から報告を受けたにもかかわらず、「学校における事故は皆無」としたとの意見があるが、該当事例はあるか。ある場合には事実関係如何(意見9)

(意見9)

 学校現場では、採血後のふらつきによる転倒での負傷や、内出血による腫張、疼痛、手指の麻痺等を日赤に報告しているが、学校における事故は皆無とされている。こうしたことには不信感を持つ。

⇒回答は別紙のとおりです。



(別紙)
回答:別添下線部のとおり献血推進用パンフレットにも採血に伴う主な副作用の年間発生率をお示ししております。
 なお、平成14年度中に医療機関で受診した採血副作用報告数(845件)のうち、「学生」、「高校生」として報告された件数については次のとおりです。
<平成14年度副作用報告件数>
項目 学生 高校生
報告数(男性/女性) 91(34/57) 49(23/26)
採血場所    
血液センター 8 1
献血ルーム 43 7
移動採血車 37 41
オープン採血 3 0
受診内容    
皮下出血 15 8
神経損傷 16 12
静脈炎 3 1
VVR 10 3
VVRによる転倒 24 10
その他 23 15
治療終了数 76 43
また、採血副作用の区別については、以下のとおりです。
 皮下出血採血時の穿刺と採血後の圧迫が適正に行われなかった場合に起こる。
症状としては、小丘状の出血斑から皮下に浸透し、腕の運動により拡大し、広範な出血斑や血腫になることがある。
 神経損傷静脈採血では、筋膜上の皮神経(知覚神経)や肘部静脈上の皮神経を損傷することはあっても、正中神経など重大な神経を損傷することはない。
しかし稀に穿刺針を深く刺入することにより筋膜を貫き正中神経を損傷することがある。刺入回数が繰り返すことや駆血を強く長時間行った場合にも神経障害が発生することがある。
 静脈炎不完全な皮膚消毒、消毒液による炎症などにより症状が出現する。
また、早期に汚れた手で穿刺部位に触れ、リンパ管炎を起こすことがある。
症状は、穿刺部位から静脈の走行に沿った上行性の発赤腫脹、線状の硬結やリンパ節の腫脹、牽引痛である。
 VVR(血管迷走神経反応):採血開始後5分以内に発生することがもっとも多いが、採血中、又は本採血前に発生することもある。献血者の心理的不安、緊張もしくは採血に伴う神経生理学的反応による。症状には個人差がある。軽症から放置により重症に進行し、気分不良、顔面蒼白、あくび、冷汗、悪心、めまい、さらに嘔吐、意識喪失、けいれん、尿失禁、脱糞にいたる。その他、血圧低下、徐脈、呼吸数低下が見られる。



添付資料
 献血して下さる皆様へ(PDF:51KB)


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