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輸血用血液製剤の安全性確保について



 事例の概要について
 (平成15年12月29日運営委員会資料)


 NATの精度向上等について
 (平成15年12月29日運営委員会資料)


 血液製剤に関する報告事項について
 (平成16年1月13日血液対策課事務連絡)


 血液製剤に関する報告事項について
 (平成16年1月19日日本赤十字社資料)



事務連絡
平成16年 1月13日

日本赤十字社事業局 御中

薬事・食品衛生審議会血液事業部会事務局
厚生労働省医薬食品局血液対策課


血液製剤に関する報告事項について


 血液事業の推進に御努力いただき、厚く御礼申し上げます。
 さて、標記につきましては、平成15年12月22日付け血企第503号にて貴社から報告をいただいたところです。平成16年1月20日(火)に平成15年度第5回血液事業部会安全技術調査会が開催されますので、同報告中、その後の状況の変化により、追加又は変更すべき事項がありましたら、当該部分につき、あらためて資料を作成いただきますようお願いします。特に同報告中第1及び第4について、追加情報があればお寄せください。
 加えて、下記の事項についても資料を作成いただき、合わせて、平成16年1月19日(月)までに当事務局あて提出いただきますようお願いします。
 なお、資料の作成に当たっては、供血者、患者及び医療機関の名称並びにこれらの所在地若しくはこれらの事項が特定できる情報を記載しないよう、個人情報及び法人情報の保護に特段の御配慮をお願いします。


第1  平成15年9月5日付けで報告された輸血用血液製剤でHIVの感染が疑われる事例について、残る7人の供血者のその後の検査結果。来訪がなければ、その旨。

第2  平成15年12月29日付けで報告されたHIVの50プールすり抜けが確認された事例について、個別NAT検体及び受血者のHIVの遺伝子型の検査結果。



血企第21号
平成16年1月19日

厚生労働省医薬食品局血液対策課長 様

日本赤十字社 事業局長


血液製剤に関する報告事項について


 平成16年1月13日付事務連絡によりご依頼のありました標記の件については、下記のとおり回答いたします。




第1  平成15年9月5日付けで報告された輸血用血液製剤でHIVの感染が疑われる事例について、残る7人の供血者のその後の検査結果。来訪がなければ、その旨。

 平成16年1月18日現在において、来訪者は2名である。
 来訪をお願いする場合は、献血受付時に事前のインフォームドコンセントが必要と考えておりますが、依頼すべきか否かについては、今後厚生労働省と協議しながら取り進めたい。

第2  平成15年12月29日付けで報告されたHIVのすり抜けが確認された事例について、個別NAT検体及び受血者のHIVの遺伝子型の検査結果。

(1) コピー数について
 当該献血時検体(原料血漿)を高感度定量法で4回測定した結果、4回とも定量範囲外(50コピー/mL以下)であったが、定性的には陽性であった。

(2) サブタイプについて
 env C2V3領域をRT−PCR法により増幅後、ダイレクトシークエンス法により塩基配列(320塩基長)を検査した結果、両者は一致しサブタイプBであった。

(3) 系統樹解析について
 env C2V3領域の塩基配列を用いてneighbor-joining法による系統樹解析を行った結果、両者は極めて似かよったウイルスであった。


(追加情報について)

第1  平成15年10月24日に開催された平成15年度第3回血液事業部会において報告された「輸血用血液の安全対策について」のその後の進捗状況

⇒ 別紙のとおり

第4  平成15年10月22日付けで報告された輸血用血液製剤でG型肝炎ウイルスの感染が疑われる事例に係る以下の事項

(1) 保管検体から検出されたG型肝炎ウイルスの遺伝子型と受血者から検出された同ウイルスの遺伝子型

 輸血後検体及び献血者保管検体は、HGV−RNAに対して1検体が個別NAT陽性であった(患者の輸血前検体なし)。
 当該保管検体と患者検体中のウイルスの塩基配列(NS3【Helicase】領域内171塩基長)を検査した結果、両者は一致した。



<別紙>

安全対策に対する日本赤十字社の取り組み


.遡及調査自主ガイドライン作成
 日本赤十字社独自の遡及調査のガイドラインの素案を作成いたしました。審議会でのご審議をお願いいたします。

.新鮮凍結血漿(FFP)の貯留保管
 平成16年1月30日から全国で2ヵ月間(60日)貯留保管した新鮮凍結血漿を供給する。また、平成17年10月には6ヵ月間(180日)の貯留保管を実施しますが、献血者の方々の協力を得てより早期の実現を目指します。

.輸血用血液の感染性因子の不活化技術の導入
 血液に含まれている可能性があるウイルスや細菌などの感染性因子を不活化させて、感染の予防を目指します。
 海外で最も多く使用されている血小板の不活化法の一つについては、必要な機器とキットを複数の血液センターに搬入しました。ウイルスと細菌を用いて、日赤独自の不活化の評価試験を行い、今年度中に結果を出す予定としております。
 また、最良のものを目指して他の不活化方法についても評価・検討を続けてまいります。

.NATの精度向上
)早期実現化策としての検体プール数の減少
 現行の3NAT施設を最大限に利用して、検査機器や試薬の製造及び検査設備の整備期間が最短と考えられる20プールでのNATスクリーニングを当面の間の向上策として実施します。なお、実施までに要する期間は約8ヵ月と見込まれます。
)試薬及び検査方法の改善
 NATの検体容量を増やす方法の一つとしてHBVを主たる対象ウイルスとするウイルス濃縮法を開発し検討を進めています。
 また、検体容量を現在の2倍量以上使用する開発中の次期試薬について、平成16年第1四半期より評価を開始する。入手可能になり次第、順次他メーカーの試薬についても検討を開始します。
 ウエストナイルウイルスをはじめ他のウイルスについてのNAT試薬についても評価を開始します。

.医療機関での輸血後感染症に関する全数調査
 現在の出庫基準を満たし、日常的に供給されている輸血用血液の安全性を検証するために、複数の地域で医療機関の協力を得て、輸血前と輸血後の患者さんの追跡調査を本年1月から実施しております。

.E型肝炎ウイルス(HEV)の疫学調査について
 現在、他の肝炎マーカーが陰性かつALT高値で不合格になった献血者血液を全国的に収集し、HEV―RNA及びHEV抗体の検査を基礎とした疫学調査を実施しております。

.保存前白血球除去の開始
 輸血した血液細胞(白血球中のリンパ球)が原因でおこる発熱などの輸血副作用の予防を目指します。
)成分採血由来の血小板製剤
 成分採血由来の血小板については、白血球除去フィルターがなくても白血球除去可能な成分採血装置とフィルター付キットが必要な成分採血装置があり、フィルター付キットが必要な成分採血装置については、本年4月からフィルター付キットの供給が開始されるのに伴い、血液センターでフィルター付キットの使用を始め、遅くとも本年7月には成分採血由来の血小板についてはすべて白血球除去製剤に切り替える予定にしております。

)全血、赤血球、血漿について
 白血球除去した全血、赤血球、血漿については、白血球除去フィルターを組み込んだバックの操作性、全血採血装置、血液自動分離装置、ろ過スタンド等の周辺機器の改良及び新規整備が必要となります。
 第一段階として全血採血装置の評価を血液センターで実施しております。その後順次周辺機器の検討を行うともに、今年度中に白血球除去フィルターを組み込んだ全血採血バッグの仕様変更に関する検討を終了する予定です。
 なお、導入時期につきましては、成分採血由来血漿製剤は平成17年度、全血採血由来製剤は平成18年度を予定しております。

.献血受付時の本人確認の実施について
 検査目的の献血防止対策の一環として献血受付時の本人確認の実施いたします。これは、感染した可能性があるときには患者さんの安全のため献血はしないという「安全で責任のある献血」の思想をご理解していただきたいために行います。実施にあったての方法や問題点を把握するために今春を目途に大都市圏及び地方の血液センターで試行的に行い、全国展開を図ることにしております。


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