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資料No.6

    ○生物由来原料基準

(平成十五年五月二十日)
(厚生労働省告示第二百十号)
 薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第四十二条第一項(同法第六十八条の五において準用する場合を含む。)及び第二項の規定に基づき、生物由来原料基準を次のように定め、平成十五年七月三十日から(生物由来原料基準中の生物由来原材料等の記録及び保存に関する規定は、平成十五年十月三十日から)適用し、細胞組織医薬品及び細胞組織医療用具に関する基準(平成十三年厚生労働省告示第百一号)は平成十五年七月二十九日限り廃止する。ただし、同日において現に同法第十四条(第二十三条において準用する場合を含む。)又は同法第十九条の二の規定による承認を受けている医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具については、平成十五年十月二十九日までは、なお従前の例によることができる。

生物由来原料基準
第1 通則
 本基準は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具(以下「医薬品等」という。)に使用される人その他の生物(植物を除く。)に由来する原料又は材料(添加剤、培地等として製造工程において使用されるものを含む。)について、製造に使用される際に講ずべき必要な措置に関する基準を定めることにより、医薬品等の品質、有効性及び安全性を確保することを目的とする。
 体外診断用医薬品その他人体に直接使用されることのない製品に使用される原料又は材料並びにワクチン等の製造に用いられる微生物及びウイルスには本基準は適用しないものとする。
 「原材料」とは、医薬品等の製造に使用する原料又は材料の由来となるものをいう。
 「原血漿しよう」とは、必要に応じ、原材料から適当な方法を用いて分離された血漿しようであり、血漿しよう分画製剤を製造するための一群の個々の分離血漿しよう又はそれらの全部若しくは一部を混合したものをいう。
 「ドナー」とは、人細胞組織製品の原料又は材料となる細胞又は組織を提供する人(臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号)第6条第2項に規定する脳死した者の身体に係るものを除く。)をいう。
 「ドナー動物」とは、動物細胞組織製品の原料又は材料となる細胞又は組織を提供する人以外の動物をいう。
 「ドナースクリーニング」とは、ドナーについて、問診、検査等による診断を、又はドナー動物について試験検査及び飼育管理を行い、当該ドナー又はドナー動物が生物由来製品の原料又は材料となる細胞又は組織を提供するにつき十分な適格性を有するかどうかを判定することをいう。
 「ウインドウピリオド」とは、感染初期であって細菌、真菌、ウイルス等又はこれらの抗原、抗体、遺伝子等を検出できない期間をいう。
 医薬品等の品質及び安全性について、本基準中の規定により求められるものと同等以上の妥当性を有することが確認され、その旨が薬事法に基づく承認等の際に交付される承認書に記載されている医薬品等については本基準の当該規定を適用しないものとする。
第2 血液製剤総則
 輸血用血液製剤総則
(1) 輸血用血液製剤(医薬品等の製造工程において添加剤、培地等に用いられるものを含む。以下同じ。)に用いる血液の提供者(以下輸血用血液製剤総則において「献血者」という。)は、問診等により、血液によって伝播される疾患にかかっている疑いがなく、輸血用血液製剤の原材料となる血液を提供するに十分な適格性を有するものであると認められる者でなければならない。ただし、血液によって伝播される病原体が製造過程において不活化又は除去されることが確認され、その旨が、薬事法に基づく当該輸血用血液製剤の製造等の承認の際に交付される承認書に記載されているものについては、この限りではない。
(2) 採血は、次のいずれかの採血法によって行わなければならない。
 全血採血 血液セットに、適当な血液保存液を注入し、直ちに採血針を組み立てた後、セットを密封し、高圧蒸気滅菌したものを用いて行うもの。
 血液成分採血 血漿しよう、血小板等の特定の血液成分のみを採取し、これ以外の成分を返還するものであって、次によって行うもの。
(ア) アを準用して全血採血を行った後、適当な方法によって特定の血液成分を採取し、これ以外の血液成分を返還する用手法
(イ) 血液成分採血装置を用いて、適当な血液保存液を混入しながら血液を体外循環させて特定の血液成分を採取する方法
(3) 輸血用血液製剤の原材料は、別に定める場合を除き、(2)で定められた採血法によって採取した次のいずれかを用いる。
 全血採血で採取した血液
 血液成分採血で採取した多血小板血漿しよう又は濃厚血小板血漿しよう
 血液成分採血で採取した血漿しよう
(4) 輸血用血液製剤の原材料を保存する場合は、1〜10℃の温度で保存しなければならない。ただし、血小板製剤を製造する場合又は血液成分を分離する場合は、常温に置くことができる。
(5) 輸血用血液製剤の原材料として用いる血液については、一の献血者から採取された血液ごとに、少なくとも梅毒トレポネーマ、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV―1及びHIV―2)及びヒトTリンパ球向性ウイルス1型(HTLV―1)の血清学的検査を行わなければならない。これらの検査の結果、不適格と認められた場合は、生物学的製剤基準(平成5年厚生省告示第217号)医薬品各条に規定されているものを除き、輸血用血液製剤の原材料として用いてはならない。
(6) 輸血用血液製剤の原材料として用いる血液については、少なくともB型肝炎ウイルスDNA、C型肝炎ウイルスRNA及びヒト免疫不全ウイルスRNAに対する核酸増幅検査を行わなければならない。これらの検査の結果、B型肝炎ウイルスDNA、C型肝炎ウイルスRNA又はヒト免疫不全ウイルスRNAが検出された血液は、輸血用血液製剤の原材料として用いてはならない。
(7) 輸血用血液製剤の原材料として用いる血液については、一の献血者から採取された血液ごとに、ABO式血液型及びRh式血液型の判定用抗体を用いて血液型を判定しなければならない。
 ABO式血液型の試験は、既知のA型及びB型の赤血球を使用し、その血清又は血漿しようについても試験して、血液型を判定しなければならず、また、血液型判定用抗体基準(平成6年厚生省告示第204号)に適合する抗A血液型判定用抗体又は乾燥抗A血液型判定用抗体及び抗B血液型判定用抗体又は乾燥抗B血液型判定用抗体を用いて行わなければならない。
 Rh式血液型の試験は、血液型判定用抗体基準に適合する抗D血液型判定用抗体又は抗D血液型判定用混合抗体を用い、所定の使用法に従って行い、D(Rho)陽性又は陰性の別を判定するものでなければならず、この試験の結果が陰性の場合には、更に血液型判定用抗体基準に適合する抗ヒトグロブリン抗体(多特異性抗体)を用いて試験を行わなければならない。
(8) 輸血用血液製剤の原材料として用いる血液についての、品質及び安全性の確保上必要な情報が確認できるよう、次に掲げる事項が記録され、保存されていなければならない。
 採血した採血所名
 採血した年月日
 診療録等献血者の検診に係る記録
 血清学的検査及び核酸増幅検査の結果
 当該血液を採取する作業の経過
 当該血液の献血者を特定する番号
 アからカまでに掲げるもののほか、輸血用血液製剤の品質及び安全性の確保に関し必要な事項
 血漿しよう分画製剤総則
(1) 血漿しよう分画製剤(医薬品等の製造工程において添加剤、培地等として用いられるものを含む。以下同じ。)に用いる血液の提供者(以下血漿しよう分画製剤総則において「供血者」という。)は、問診等により、血液によって伝播される疾患にかかっている疑いがなく、血漿しよう分画製剤の原材料となる血液を提供するに十分な適格性を有するものであると認められる者でなければならない。ただし、血液によって伝播される病原体が製造過程において不活化又は除去されることが確認され、その旨が、薬事法に基づく当該血漿しよう分画製剤の製造等の承認の際に交付される承認書に記載されているものについては、この限りではない。
(2) 採血は、1輸血用血液製剤総則(2)に定められた採血法によって行わなければならない。
(3) 血漿しよう分画製剤の原材料は、別に定める場合を除き、(2)で定められた採血法によって採取した次のいずれかを用いる。
 全血採血で採取した血液
 血液成分採血で採取した多血小板血漿しよう又は濃厚血小板血漿しよう
 血液成分採血で採取した血漿しよう
(4) 血漿しよう分画製剤の原材料を保存する場合は、(3)アに該当する原材料については凍結を避けて10℃以下の温度で保存し、(3)イ又はウに該当する原材料については、10℃以下の温度で保存しなければならない。
(5) 血漿しよう分画製剤の原材料として用いる血液については、少なくともB型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)及びヒト免疫不全ウイルス(HIV―1及びHIV―2)の血清学的検査を行わなければならない。これらの検査の結果、不適格と認められた場合は、生物学的製剤基準医薬品各条に規定されているものを除き、原材料として用いてはならない。
(6) 血漿しよう分画製剤の原血漿しようについては、少なくともB型肝炎ウイルスDNA、C型肝炎ウイルスRNA及びヒト免疫不全ウイルスRNAに対する核酸増幅検査を行わなければならない。ただし、その原血漿しようの原材料である血液について、B型肝炎ウイルスDNA、C型肝炎ウイルスRNA及びヒト免疫不全ウイルスRNAが検出されないことが核酸増幅検査により確認されている場合は、この限りではない。これらの検査の結果、B型肝炎ウイルスDNA、C型肝炎ウイルスRNA又はヒト免疫不全ウイルスRNAが検出された血漿しようは原血漿しようとして用いてはならない。
(7) 原血漿しようを保存する場合は、6℃以下の温度で保存しなければならない。
(8) 血漿しよう分画製剤の原材料として用いる血液及び原血漿しようについての、品質及び安全性の確保上必要な情報が確認できるよう、次に掲げる事項が記録され、保存されていなければならない。
 原材料を採取した採血所名
 原材料を採取した年月日
 診療録等原血漿しように用いた血液の供血者の検診に係る記録
 血清学的検査及び核酸増幅検査の記録
 原材料を採取する作業及び原血漿しようを製造する作業の経過
 原材料及び原血漿しようの製造番号
 原血漿しように用いた血液の供血者を特定する番号
 アからキまでに掲げるもののほか、血漿しよう分画製剤の品質及び安全性の確保に関し必要な事項
第3 人由来製品原料総則
 人細胞組織製品原料基準
(1) 人細胞組織製品(人に由来する原料又は材料(血液及び血液から製造される成分を除く。)から構成される医薬品又は医療用具をいう。以下同じ。)の原料又は材料として用いる細胞及び組織については、採取するために必要な衛生管理を行うのに十分な人員及び設備を有する施設で採取されたものでなければならない。
(2) 人細胞組織製品の原材料として用いる細胞又は組織を採取するに当たっては、次に掲げる措置が講じられていなければならない。
 当該細胞又は組織を採取する過程における病原微生物その他疾病の原因となるものによる汚染を防止するために必要な措置が講じられていること。
 採取された細胞又は組織について、必要に応じて感染症に関する最新の知見に照らして適切な検査が行われ、病原微生物その他疾病の原因となるものに汚染されていない旨が確認されていること。
(3) ドナーは、次のいずれにも該当し、人細胞組織製品の原材料として用いる細胞又は組織を提供するにつき十分な適格性を有するものでなければならない。なお、人細胞組織製品の使用の対象者とドナーが同一の者である場合は必ずしもドナースクリーニングを必要としない。
 当該細胞又は組織を採取するに当たって、それらの利用の目的に応じ、問診、検診、検査等により、細菌、真菌、ウイルス等の感染が否定されていること。
 アの検査項目及び検査方法が感染症等に関する最新の知見に照らして適切なものであること。
 アの検査項目、検査方法等に応じた再検査がウインドウピリオドを勘案して適切な時期に行われていること。
(4) 上記のほか次に掲げる疾病等について、問診、検診、検査等を行うとともに、輸血又は移植医療を受けた経験の有無等を勘案して、ドナーとしての適格性があると判断されていなければならない。
 梅毒トレポネーマ、クラミジア、淋菌、結核菌等の細菌による感染症
 敗血症及びその疑い
 悪性腫瘍しゆよう
 重篤な代謝及び内分泌疾患
 膠こう原病及び血液疾患
 肝疾患
 伝達性海綿状脳症及びその疑い並びにその他の痴呆症
(5) 細胞又は組織の採取を行う者が、ドナーとなる者に対して、ドナースクリーニングの実施前に細胞及び組織の利用目的、個人情報の保護、その他採取に関する事項について当該者の理解を得るよう、文書を用いて十分に説明し、自由な意思による同意を文書により得たものでなければならない。なお、説明に当たっては、同意の拒否及び撤回の権利があり、拒否又は撤回することにより当該者が不利益を受けないことが明らかにされていなければならない。
(6) ドナー本人が説明を受け同意を与えることが困難な場合又は単独で完全な同意を与える能力を欠いている場合において、下記の要件を満たす場合に限り、代諾者(本人に対して親権を行う者、配偶者及び後見人その他これらに準じる者であって、本人に代わって説明を受け、本人に代わって同意をする権限を有するものをいう。以下同じ。)の同意により細胞又は組織の採取を行うことができる。
 当該ドナーからの細胞又は組織の採取が人細胞組織製品の品質、有効性及び安全性の確保の観点等から必要とされる合理的理由があること。
 代諾者がドナーの意思及び利益を最もよく代弁できると判断される者であり、かつ、代諾者の同意に際しては、ドナーと代諾者の関係についての記録が作成され、同意書とともに保存されていること。
 細胞又は組織を採取する者は可能な限りドナーにその理解力に応じた説明を行うとともに、ドナー本人からも同意を得るように努めること。
 採取を行う施設の倫理委員会等において、当該ドナーからの細胞又は組織の採取の科学的及び倫理的妥当性が審査され、了承されていること。
(7) 死体から細胞又は組織の提供を受ける場合には、遺族に対して(5)に従って説明し同意を得たものでなければならない。細胞又は組織の採取は、当該ドナーが細胞又は組織の提供を生前に拒否していない場合に限る。また、ドナーに対する礼意の保持に留意したものでなければならない。
(8) 手術等で摘出された細胞又は組織を利用する場合においても、(5)及び(6)に従って同意を得たものでなければならない。なお、この場合にあっては、当該手術等が細胞又は組織の採取の目的を優先して行われたものであってはならない。
(9) ドナーからの細胞又は組織の採取が無対価で行われたものでなければならない。ただし、細胞又は組織の提供により生じるドナーの負担につき、交通費等実際にかかった費用を勘案しつつ、倫理委員会等の了承を得た上で、適切な補填がなされることは、この限りではない。
(10) 細胞組織製品の原材料となる人の細胞又は組織についての、品質及び安全性の確保上必要な情報が確認できるよう、次に掲げる事項が記録され、保存されていなければならない。
 当該細胞又は組織を採取した施設
 当該細胞又は組織を採取した年月日
 ドナースクリーニングのための問診、検診、検査等による診断の結果及び状況
 当該細胞又は組織を採取する作業の経過
 倫理委員会等の審議結果
 同意説明文書及び同意文書
 ドナーに関する識別番号
 アからキまでに掲げるもののほか、人細胞組織製品の品質及び安全性の確保に関し必要な事項
 人尿由来原料基準
(1) 原材料として人の尿が用いられる医薬品等については、人尿由来原料基準を適用するほか、1人細胞組織製品原料基準(9)の規定を準用するものとする。
(2) 原材料として用いる尿又はプール尿(提供者ごと又は複数の提供者から提供された尿を集めて混合したもの。以下同じ。)の適切な段階において、感染症に関する適切な検査が行われ、病原微生物等に汚染されていないことが確認されていなければならない。ただし、病原微生物その他疾病の原因となるものが製造過程において不活化又は除去されることが確認され、その旨が薬事法に基づく当該製品の製造等の承認の際に交付される承認書に記載されているものについては、この限りではない。
(3) 原材料として用いる尿については、プール尿の適切な段階において、少なくともB型肝炎ウイルスDNA、C型肝炎ウイルスRNA及びヒト免疫不全ウイルスRNAに対する核酸増幅検査を行わなければならない。ただし、B型肝炎ウイルスDNA、C型肝炎ウイルスRNA及びヒト免疫不全ウイルスRNAが検出されないことが適当な核酸増幅検査により確認されている尿を原材料として用いる場合は、この限りではない。
(4) 原材料として用いる尿について、製造過程において、細菌、真菌、ウイルス等が不活化又は除去されることが確認されていなければならない。
(5) 原材料として用いる尿についての、品質及び安全性の確保上必要な情報が確認できるよう、次に掲げる事項が記録され、保存されていなければならない。
 プール尿を作製した機関名
 プール尿を作製した年月日
 プール尿の検査等の結果
 プール尿を作製する作業の工程
 プール尿のロットの番号
 アからオまでに掲げるもののほか、当該医薬品等の品質及び安全性の確保に関し必要な事項
 人由来原料基準
(1) 血液、尿及び人細胞組織製品の原材料以外の人に由来する原料又は材料(細菌又はウイルスの感染リスクが否定されていることが科学的に公知のものとされるものを除く。以下人由来原料基準において同じ。)の原材料については、人由来原料基準によるものとする。ただし、人に由来するセル・バンクによる原材料であって、本基準の適用の際現に構築され、かつ、品質及び安全性の確保の観点から、原材料として用いることについて(2)の規定と同等以上の妥当性を有することが確認され、その旨が、薬事法に基づく製品の製造等の承認の際に交付される承認書に記載されているものにあっては、(2)の規定は適用しないものとする。
(2) ヒトに対して感染性及び病原性を示す可能性のあるウイルスの存在の有無を確認するために、原材料として用いる細胞又は組織(セル・バンクを出発基材とし細胞培養により生産される製品については、細胞株や培養終了後の細胞を含む。)に対して、ウイルスを検出するために必要な試験(以下「ウイルス試験」という。)を行わなければならない。更に、未加工又は未精製バルクの段階において、適切にウイルス試験を実施しなければならない。ただし、工程をごく一部進めることによってウイルスを検出する試験がより高感度に行えることとなる場合にはこの限りではない。これらの試験において、外来性ウイルスが検出された場合には、原則として、医薬品等の原材料として用いてはならない。
(3) 原材料について、製造過程において、細菌、真菌、ウイルス等を不活化又は除去する処理を行わなければならない。
(4) 原材料についての、品質及び安全性の確保上必要な情報が確認できるよう、次に掲げる事項が記録され、保存されていなければならない。
 原材料を作製した機関名
 原材料を作製した年月日
 原材料の検査等の結果
 原材料を作製する作業の経過
 原材料のロットの番号
 アからオまでに掲げるもののほか、当該製品の品質及び安全性の確保に関し必要な事項
第4 動物由来製品原料総則
 反芻すう動物由来原料基準
(1) 反芻すう動物に由来する原料又は材料(脂肪酸、グリセリン、脂肪酸エステル、アミノ酸、合成オリゴペプチドその他高温及びアルカリ処理により製するものを除く。)については、反芻すう動物由来原料基準によるものとする。
(2) 反芻すう動物の次に掲げる部位を医薬品等の原材料に用いてはならない。
 下垂体
 胸腺
 硬膜
 松果体
 せき髄
 胎盤
 腸
 脳
 脳せき髄液
 脾
 副腎じん
 扁へん
 眼
 リンパ節
(3) 反芻すう動物に由来する原材料(乳を除く。)を医薬品等に用いる場合には当該反芻すう動物の原産国は次に掲げる国でなければならない。ただし、羊毛及びラノリンについては、この限りではない。また、乳を原材料として用いる場合には当該反芻すう動物の原産国は、英国及びポルトガル以外の国でなければならない。
 アメリカ合衆国
 アルゼンチン
 インド
 ウルグアイ
 エルサルバドル
 オーストラリア
 カナダ
 ケニア
 コスタリカ
 コロンビア
 シンガポール
 スワジランド
 チリ
 ナイジェリア
 ナミビア
 ニカラグア
 ニュージーランド
 パキスタン
 パナマ
 パラグアイ
 ブラジル
 ボツワナ
 モーリシャス
(4) 反芻すう動物に由来する原材料についての、品質及び安全性の確保上必要な情報が確認できるよう、次に掲げる事項が記録され、保存されていなければならない。
 原産国
 原材料を作製した年月日
 原材料の由来となる反芻すう動物の飼育又はと畜の状況
 原材料について伝達性海綿状脳症を防止するための処理及び作業の経過
 原材料のロットの番号
(5) 治療上の効果が当該原材料を用いることによるリスクを上回る場合その他必要な場合において、(1)又は(2)に適合しない原材料をやむを得ず使用する場合は、その妥当性について、薬事法に基づく製品の製造等の承認の際に交付される承認書に記載することとする。
 動物細胞組織製品原料基準
(1) 動物細胞組織製品(人以外の動物に由来する原料又は材料から構成される医薬品又は医療用具をいう。以下同じ。)の原材料となる細胞又は組織の採取に当たっては、採取の過程における病原微生物その他疾病の原因となるものの汚染を防ぐために必要な措置を講じなければならない。
(2) ドナー動物は、次のいずれにも該当し、動物細胞組織製品の原料又は材料となる細胞又は組織を提供するに十分な適格性を有するものでなければならない。
 ドナー動物を選択するに当たっては、動物種ごとの微生物学的特性が考慮されていること。
 ドナー動物の受入れ時及び受入れ後の試験検査が、当該試験検査の項目及び当該試験検査の結果を評価する基準をあらかじめ設定した上で行われていること。特に、感染症等に関する試験検査については、動物種毎に検査すべき項目が異なる点に留意すること。
 ドナー動物の受入れに際して、感染症等の伝播を防止するための措置が適切に行われていること。
 ドナー動物の飼育管理に関する実施方法及び手順を記載した標準操作手順書が作成されていること。
 感染症等の伝播を防止するため、ドナー動物の飼育管理が封じ込めの設備その他の適切な設備を有する施設で行われていること。
 ドナー動物が動物福祉の精神に基づいて取り扱われていること。
(3) 動物の生きた細胞又は組織を用いる場合にあっては、ウイルス感染リスクの検証を行わなければならない。
(4) (3)以外の場合にあっては、無菌性が担保されていること及びウイルス感染リスクの検証が行われていることを確認しなければならない。
(5) 動物細胞組織製品の原料又は材料となる動物の細胞又は組織についての、品質及び安全性確保上必要な情報が確認できるよう、次に掲げる事項が記録され、保存されていなければならない。
 当該細胞又は組織を採取した施設
 当該細胞又は組織を採取した年月日
 ドナー動物の受入れ並びに試験検査及び飼育管理の状況
 当該細胞又は組織を採取する作業の過程
 当該細胞又は組織のロットの番号
 アからオまでに掲げるもののほか、当該動物細胞組織製品の品質及び安全性の確保に関し必要な事項
(6) 動物細胞組織製品の原料又は材料として用いる細胞及び組織については、採取するために必要な衛生管理を行うのに十分な人員及び設備を有する施設で採取されたものでなければならない。
 動物由来原料基準
(1) 動物細胞組織製品の原材料以外の動物に由来する原料又は材料(細菌又はウイルスの感染リスクが否定されていることが科学的に公知のものとされるものを除く。以下動物由来原料基準において同じ。)の原材料は、薬事法に基づく製品の製造等の承認の際に交付される承認書に別に記載されている場合を除き、健康な動物に由来するものでなければならない。健康な動物に由来することが確認できない場合にあっては、無菌性が担保されていること及びウイルス感染リスクの検証が行われていることを確認しなければならない。
(2) 原材料について、動物の原産地、使用部位等を明らかにするとともに、細胞又は組織の入手方法について明らかにしなければならない。
(3) 特性解析された動物(哺乳類、鳥類及び昆虫類)に由来するセル・バンクを出発基材とした細胞培養により生産される製品については、ヒトに対して感染性や病原性を示す可能性のあるウイルスの存在の有無を確認するために、細胞株や培養終了後の細胞については、ウイルス試験を少なくとも一度は行わなければならない。さらに、未加工又は未精製バルクの段階において、適切にウイルス試験を実施しなければならない。ただし、工程をごく一部進めることによってウイルス試験がより高感度に行える場合にはこの限りではない。本試験において、外来性ウイルスが検出された場合には、原則として、製品を製造するために用いてはならない。
(4) 生きた動物全体を出発基材として生産される製品については、(3)及び2動物細胞組織製品基準(2)の規定を準用する。
(5) 細胞、組織又は体液から得られた原材料について、製造工程において、細菌、真菌、ウイルス等を不活化又は除去する処理を行わなければならない。
(6) 原材料についての、品質及び安全性の確保上必要な情報が確認できるよう、次に掲げる事項が記録され、保存されていなければならない。
 原材料を作製した機関名
 原材料を作製した年月日
 原材料の検査等の結果
 原材料を作製する作業の経過
 原材料のロットの番号
(7) 生物由来製品に指定された製品以外の製品については、(2)から(5)までの規定を適用しないものとする


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