(1) | 人細胞組織製品(人に由来する原料又は材料(血液及び血液から製造される成分を除く。)から構成される医薬品又は医療用具をいう。以下同じ。)の原料又は材料として用いる細胞及び組織については、採取するために必要な衛生管理を行うのに十分な人員及び設備を有する施設で採取されたものでなければならない。 |
(2) | 人細胞組織製品の原材料として用いる細胞又は組織を採取するに当たっては、次に掲げる措置が講じられていなければならない。
ア | 当該細胞又は組織を採取する過程における病原微生物その他疾病の原因となるものによる汚染を防止するために必要な措置が講じられていること。 |
イ | 採取された細胞又は組織について、必要に応じて感染症に関する最新の知見に照らして適切な検査が行われ、病原微生物その他疾病の原因となるものに汚染されていない旨が確認されていること。 |
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(3) | ドナーは、次のいずれにも該当し、人細胞組織製品の原材料として用いる細胞又は組織を提供するにつき十分な適格性を有するものでなければならない。なお、人細胞組織製品の使用の対象者とドナーが同一の者である場合は必ずしもドナースクリーニングを必要としない。
ア | 当該細胞又は組織を採取するに当たって、それらの利用の目的に応じ、問診、検診、検査等により、細菌、真菌、ウイルス等の感染が否定されていること。 |
イ | アの検査項目及び検査方法が感染症等に関する最新の知見に照らして適切なものであること。 |
ウ | アの検査項目、検査方法等に応じた再検査がウインドウピリオドを勘案して適切な時期に行われていること。 |
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(4) | 上記のほか次に掲げる疾病等について、問診、検診、検査等を行うとともに、輸血又は移植医療を受けた経験の有無等を勘案して、ドナーとしての適格性があると判断されていなければならない。
ア | 梅毒トレポネーマ、クラミジア、淋菌、結核菌等の細菌による感染症 |
イ | 敗血症及びその疑い |
ウ | 悪性腫瘍しゆよう |
エ | 重篤な代謝及び内分泌疾患 |
オ | 膠こう原病及び血液疾患 |
カ | 肝疾患 |
キ | 伝達性海綿状脳症及びその疑い並びにその他の痴呆症 |
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(5) | 細胞又は組織の採取を行う者が、ドナーとなる者に対して、ドナースクリーニングの実施前に細胞及び組織の利用目的、個人情報の保護、その他採取に関する事項について当該者の理解を得るよう、文書を用いて十分に説明し、自由な意思による同意を文書により得たものでなければならない。なお、説明に当たっては、同意の拒否及び撤回の権利があり、拒否又は撤回することにより当該者が不利益を受けないことが明らかにされていなければならない。 |
(6) | ドナー本人が説明を受け同意を与えることが困難な場合又は単独で完全な同意を与える能力を欠いている場合において、下記の要件を満たす場合に限り、代諾者(本人に対して親権を行う者、配偶者及び後見人その他これらに準じる者であって、本人に代わって説明を受け、本人に代わって同意をする権限を有するものをいう。以下同じ。)の同意により細胞又は組織の採取を行うことができる。
ア | 当該ドナーからの細胞又は組織の採取が人細胞組織製品の品質、有効性及び安全性の確保の観点等から必要とされる合理的理由があること。 |
イ | 代諾者がドナーの意思及び利益を最もよく代弁できると判断される者であり、かつ、代諾者の同意に際しては、ドナーと代諾者の関係についての記録が作成され、同意書とともに保存されていること。 |
ウ | 細胞又は組織を採取する者は可能な限りドナーにその理解力に応じた説明を行うとともに、ドナー本人からも同意を得るように努めること。 |
エ | 採取を行う施設の倫理委員会等において、当該ドナーからの細胞又は組織の採取の科学的及び倫理的妥当性が審査され、了承されていること。 |
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(7) | 死体から細胞又は組織の提供を受ける場合には、遺族に対して(5)に従って説明し同意を得たものでなければならない。細胞又は組織の採取は、当該ドナーが細胞又は組織の提供を生前に拒否していない場合に限る。また、ドナーに対する礼意の保持に留意したものでなければならない。 |
(8) | 手術等で摘出された細胞又は組織を利用する場合においても、(5)及び(6)に従って同意を得たものでなければならない。なお、この場合にあっては、当該手術等が細胞又は組織の採取の目的を優先して行われたものであってはならない。 |
(9) | ドナーからの細胞又は組織の採取が無対価で行われたものでなければならない。ただし、細胞又は組織の提供により生じるドナーの負担につき、交通費等実際にかかった費用を勘案しつつ、倫理委員会等の了承を得た上で、適切な補填がなされることは、この限りではない。 |
(10 | ) 細胞組織製品の原材料となる人の細胞又は組織についての、品質及び安全性の確保上必要な情報が確認できるよう、次に掲げる事項が記録され、保存されていなければならない。
ア | 当該細胞又は組織を採取した施設 |
イ | 当該細胞又は組織を採取した年月日 |
ウ | ドナースクリーニングのための問診、検診、検査等による診断の結果及び状況 |
エ | 当該細胞又は組織を採取する作業の経過 |
オ | 倫理委員会等の審議結果 |
カ | 同意説明文書及び同意文書 |
キ | ドナーに関する識別番号 |
ク | アからキまでに掲げるもののほか、人細胞組織製品の品質及び安全性の確保に関し必要な事項 |
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