資料No.5 |
水、脂質および脂質ー水混合液におけるプリオンrod(かん体)及び組換プリオン蛋白質の熱安定性
J.General Virology,82,465−473(2001)
(抄訳)
プリオン蛋白質のN末端切断型、PrP27−30、の非可溶性感染性凝集体であるプリオンrodおよび対応する組換蛋白質、rPrP(90−231)、を水、ウシ脂質および脂質およびー水混合液中で100から170℃で20分間オートクレーブした。
分解されずに残ったPrPをウエスタンプロットにより定量し分解因子を算出した。脂質の存在によりプリオンrodの熱安定性が、特に低温度で増大した。プリオンrodはrPrPより熱安定性が高かった。純脂質中でプリオンrodをオートクレーブすると、単純な分解ではなく、共役結合した二量体、四量体およびそれ以上の凝集体産生が示唆された。プリオンrodの熱安定性は脂質ー水混合液より純脂質中での法が優っていた。
脂質存在下では170℃で、脂質がない条件では150℃で分解因子104に達した。これらのデータを直線回帰することにより、調べていない温度、例えば、170℃以上の温度についても、注意は要するが、外挿することができる。BSEやスクレイピーに汚染している可能性がある動物脂肪を用いた工業的な製造工程の生物学的安全性の評価のための実証が得られたことになる。
(結論部)
170℃以上に外挿するときは、科学的実験データの不足から、水中におけるプリオンロッドの曲線の低い傾斜(直線)のみを慎重に使用すべきである。
200℃までの外挿で得られた107の分解係数はそれなりの安全な値を示している。