03/12/22 第7回社会保障審議会介護保険部会議事録          社会保障審議会 第7回介護保険部会議事録 1 日時及び場所    平成15年12月22日(月) 17時から19時    厚生労働省省議室 2 出席委員    貝塚、上田、青井、市川、漆原、小川、木村、見坊、下村、田近、永島、中村、    秦、花井、矢野、山崎、喜多、京極、山本の各委員    大村、潮谷の各委員は欠席 3 議題    給付の在り方 ○ 渡辺企画官より、資料2、資料3に沿って説明。 ○ 山崎総務課長より、資料4に沿って説明。 (中村委員)  認定審査会の事業費が一般財源化され、それによるスリム化がはかられるが、認定審 査会の夜間開催は事務局等の超勤手当てなど負担になっているので昼間に開催するよう にしてはどうか。委員間の報酬の違いの問題も一度調べて欲しい。  施設のターミナルケアの問題は絶対に避けて通れない。グループホームはニーズが高 く大幅に増加しているが、ターミナルケアとは遠く離れた存在のグループホームが大変 多い。規制がないから伸びているとの傾向であり、質が伴っているのか再点検して欲し い。  特養ホームとターミナルケアの現状は、3月14日の省令改正で特養ホームは機能訓練 室や医務室を必ず設けなければならない施設から外されたが、本日の特養ホームにおけ る終末期の医療、介護に関する報告書の中で、緊急時の医師の訪問体制、施設内での医 療処置、臨終に備えた専門の居室の必要性等が指摘されているが、改正省令を大きく乖 離している。実態ともう一度総点検し、考え方を整理して欲しい。特養ホームの入所者 の医療についても配置医の診療報酬は限りなく小さくなり、現状では配置医は無報酬で 善意によって特養ホームへの訪問体制が成立しているという事例が大変多い。実態を出 していただき検討して欲しい。 (山本委員)  要介護認定の有効期間の拡大は、例えば24か月など、限度だけを設けてあとは自由裁 量にしてはどうか。その人の状態に応じて3か月に1回でもいい。開業医がいるので認 定審査会が夜間開催になってしまう。市町村の自由裁量にすれば夜間が無くなっていく のではないか。縛りはあまり強くしない方がいいと思うので検討して欲しい。  介護保険の方針が、弱った人に援助してあげるのが介護になっていて、弱った人が元 気になることにあまり力点が置かれていない。動けなくなった、ではおうちでじっとし ていなさい、食事も介助します。こういうふうにやるから、だんだん動けなくなってい き悪くなっていく。根本的に考え方を変え、軽度の1度、2度のような人たちは、説明 にあったような筋肉トレーニングをやることで、現状維持の確保ができると思う。悪く ならないようにすることが介護であり、メニューが間違っているのだと思う。元気にな ることに力点を置けば、3の人が2に戻ってくる可能性もないとは言えない。3の人が 2に戻る。2の人が1に戻る。1の人がゼロに戻ることを考えてやっていく必要があ る。  ショートステイはあまり人が利用しない。私のところは10床ほどあるが全然来ない。 来ないのは利用価値がないから、行ってもしようがないということになる。ばかげた話 だが家にいても不愉快だから一晩だけあそこに行くかという人がたまに来るくらいであ る。だからショートステイのような制度は設けるべきではない。  筋肉トレーニングはいいと思うが、実際に実施するのは非常に難しい。補助金制度を 是非やって欲しい。ただし、ボーナスペナルティ方式の対策を考えることが必要だと思 う。やれば援助しましょう、やらなければ一切援助しませんよということをやらない限 り、老人の元気を取り戻すことは難しい。どう実践するかということを提案して欲し い。  前回も入口と出口の話をしたので、真剣に取り上げていただきたい。私どもの広域連 合で会議したところ、全然チェック機能がないじゃないか、一体どうするのだと怒られ た。介護費をどう保険者が把握できるのかを考えないと永続性を失う。聞くだけでな く、こうしますという答えを出して欲しい。 (小川委員)  ショートステイが要らないというのは信じられない発言である。ショートステイにも 地域性があるし、在宅を続けたい人の方が多い中で、家族介護の限界の中でのショート ステイの役割はとても大きい。  小規模の個別のケアを追及している中で、30人の規模のデイサービスがなぜ多いのか を教えて欲しい。30人、40人の規模になると、画一的な全体主義的なレクリエーション などが出てきている。施設だけではなくて在宅でも小規模が求められているのではない か。  痴呆の精神科薬の使われ方について調べて欲しい。施設では深刻なのではないか。看 護師が精神科薬の管理にすごく時間を取られている実態があり、薬で抑制するようなこ とが横行しているならと思ったので、調べて欲しい。 (秦委員)  山本委員の介護予防の意見は、非常に重要な意見だと思う。ショートステイは、小川 委員が言うとおり随分使われておりメリットはある。事務局が分かりやすく説明して欲 しい。  ケアマネジャーについては、1人で60人から80人あるいはそれ以上の利用者を見てい る人がおり、非常にばらつきがある。事務局の見解を聞きたい。 (山崎総務課長)  ショートステイについては、地域によって施設が足りないところは事実上施設入所サ ービス的に使っている場合もあるし、そうでなくて在宅を支えるものとして使う場合も あるなどいろいろなケースがあり、地域によって状況も違うのではないかと認識してい る。 (香取振興課長)  ケアマネジャーは、これは今回の報酬改定で月1回の訪問や3ヶ月に1回のモニタリ ングを義務付ける前のデータだが、実際にケアマネから聞くとこれだけの数を本当にこ なせるのかという意見はある。軽度の方はほとんどが単品のメニューであり、事実上カ ンファレンスも開かない形でサービスを作っている可能性はある。個別ケースがあるの で見解は難しいが、現状が望ましいとは言えないと思う。今回もいろいろな規制を見直 したが、個々のプランがきちんと作られるようなモチベーションをどう考えるかとか、 要介護度によってどういうプランを作るかの考え方とか、制度改正で議論する必要があ ると思っている。 (秦委員)  実際にケアマネジャーが燃え尽き症候群でもう辞めたいというのが随分多い。実態を 調べてもらわないと、こういうものでは困るということを申し上げておきたい。 (喜多委員)  前回も資料を出したが、在宅と施設では相当単価が違う。制度の中で一定の規範を設 けないかぎり、どんどん給付費の額が伸びていくので、抜本的に改正しなければならな いと申し上げたので、その辺は十分に考えていただきたい。  三位一体のうち地方への財源委譲は先延ばしになっている。一般財源化とはどのよう な認識の中で言っているのか、説明して欲しい。認定期間を延ばすのは結構だし、コン ピュータなどを使ってどんどんコストを下げればいいと思うが、なぜ介護度4と5だけ に限るのか。全部やった方がもっとコストが落ちると思うので、説明して欲しい。  生活保護の負担についての資料を提出した。現行の生活扶助は、原則は、国庫負担が 4分の3、市町村負担が4分の1となっている。一方、介護保険は、国庫負担は30% で、介護保険から45%が出ていく。国の負担が減って介護にツケが回されているので、 医療扶助と同じようにすればどうですかと申し上げている。  また、住宅扶助も含めて17万7,600円もらっている生活保護世帯は、第1段階で1,658 円の保険料を払うことになっているが、保険料は生活扶助が支給され事実上負担してい ない。同じ17万7,600円の収入でも、年金収入であるか給与収入であるかによって保険 料に大きな差があり、非常に不公平ではないか。きっちり整理する必要がある。  前回、市町村がもっとチェックしろとの意見があったが、介護保険を創設する時に都 道府県ごとに作るという議論もあり、最後は国保連合会がやることになった経過があ る。決して市町村がさぼっているわけでも嫌がっているわけでもないことを申し上げて おきたい。 (山崎総務課長)  財源措置については、関係省に強く申し入れており、これを踏まえて関係省でちゃん と手当てしていただいていると思うが、今後とも我々なりに見ていきたい。認定期間に ついては、現状は要介護4、5があまり大きな変化がないケースが多いため今回はこう いう形で考えているが、状況に応じて更に不断の見直しを行っていくつもりである。 (喜多委員)  今の説明では納得できない。平成6年の地方制度調査会の答申は、一般財源化に当た っては税源委譲や地方交付税の拡充が必要といっている。政府は今年は1兆円の交付税 を削ると言っているが、地方はその分他に使うお金を回すので、だんだん使い勝手が悪 くなって、しまいには倒産する。一般財源化というのであれば、税源委譲をやっていた だきたい。 (下村委員)  1兆円削る場合には地方財政計画の中で、どの部分で削って何を見込んで計算したか という根拠があると思うが、地方財政計画の中身は何も決まっていないのか。 (山崎総務課長)  総務省、財務省の説明としては、今回の税制改正の中でどの部分に税源をいくらにす るという積算は出ており、介護の事務費もその中に入っている。それぞれの基準財政需 要や金額はこれから決まる話だが、トータルでは税源委譲、交付税で措置すると聞いて いる。 (田近委員)  地方財政計画の総量はカットされたが、それは基本的には地方単独事業などのカット であり、介護保険の事務費の一般財源化は、税源委譲で措置されると理解している。 (漆原委員)  軽度の人への給付について、介護予防の視点からのサービスを重点化すべきことは、 これまで言われてきたとおりだと思う。軽度や初期あるいは利用者に多い女性が、骨運 動器系や筋力の低下から要介護状態になっていることを考えれば、予防的なリハビリテ ーションや機械を使った筋力増強に対応したリハビリが必要なことはよく分かる。  ただ、通所リハなどで提供されている部分と市町村が実施する地域支え合い事業と に、切れ目があったり全く違った事業として存在することが多い。連続して提供できる ような体制や考え方を是非取り入れていただきたい。その意味で、市町村の事業を地域 の社会資源に委託したり、共同で行う体制ができあがることを望んでいる。  介護予防の考え方はよく分かるが、各事業者がどう取り組んだらいいのかが整理され ていない。医療に予防医学があるように、予防医学的な介護予防の取組みについて、各 介護度に応じた取組みが系統立てて研究されることが望ましい。  ターミナルケア、入所の希望、入所の理由について、特別養護老人ホームの資料が示 されているが、介護保険3施設で考えれば、施設によって違った入所希望とかが出てく ると思う。他の施設には、家族の入所希望や予約型という言い方よりも、必要型とか緊 急型といった違った理由が非常に多く含まれてくると思う。  施設にとっても、在宅復帰を促進させるような費用体系や自己負担の体系が望ましい と考えている。特に、介護老人保健施設の場合、食費や個室料などのアメニティに関す る部分は、自己負担の概念がずっと取り入れられてきて、抵抗なく国民に周知されたと いう点がある。今は確かに10%負担とそれが復活すること自体、全体の負担が大きくな るので、両方負担するのは考え方としては問題があるが、基本的には患者の自由な選択 あるいは決定ということで考えれば、日常生活に関わる部分の自己負担あるいは自由度 については、是非考えていただきたいと思っている。 (矢野委員)  ドイツは日本と比較すると軽度の給付の部分が無く、限度額がかなり低くなってい る。実態がどうなっているのか興味があるので、もう少し詳しく調べて報告して欲し い。  給付限度額の問題については、効率的なケアをやることで引下げる余地もあると思 う。ケアの評価を蓄積していくことが大事なので、データを学術的にしっかり分析して 今後の介護サービスに生かしていくことが必要である。  介護予防は大変重要な問題であるが、見逃されている視点として、本人の自助努力と いう部分を持つべき。その意味で、保険外のサービスも考慮して全体として良くなる方 法を考えるべき。民間事業者や地域の活動が非常に重要な役割を果たしていくと考えて いる。  在宅と施設のバランスについては、ホテルコストは個人負担であるべき。資料の数字 を見ても、利用者の負担の水準は、健康に暮らしている高齢者と比べて決して高いとは 言えない。そういう不公平感に基づく判断が必要だと思う。  グループホームは、痴呆性高齢者の特徴に応じたサービスが発展途上にあるので、効 果的なケアの分析を蓄積し、それに基づいた指導をやっていくべき。入居することで表 情も豊かになり、元気になるケースもたくさんある。そうでないケースがあるとすれ ば、それは問題だと思うので、よく比較検討してあるべき姿を考えていくべき。 (京極委員)  介護保険を立ち上げた時は、既存の制度を引きずりながらやったため、例えば要支援 の人もホームヘルプを受け、介護度1でも施設に入っている人がいた状態からスタート した。当初はやむを得ないと思うが、予防給付という形は守っていても中身はほとんど 要介護と変わらない実態がある。少し乱暴な意見かも知れないが、市町村の意見も伺い たいが、要支援の部分は市町村の独自事業にお任せし、限度額の中で筋トレでも何でも 好きなことをやっていただくということも考えられるのではないか。  実際、市町村では認証判定評価というものがあり、介護度が高くないと施設に入れな くなってきている。介護度3以上くらいをめどに入所できるようにし、1、2、3の軽 度の人はなるべく在宅で努力いただくことが原則である。制度当初は仕方ないとして も、これから見直していくときには大きな戦略的なものを設けて国民にも周知させるこ とをしないと、どんどん施設に入ればいいということになってしまう。  ホテルコストの問題は、施設に入った人は年金のお金がどんどんたまって、死んだと きは全部遺族が持っていってしまう。払える人はきちんと払ってもらわないといけな い。そういうことも考え方としては自立支援になるわけで、いつからやるかとか、全額 いただくかとか、半額にするかとか、その点はいろいろあると思う。要支援のサービス も、ある程度自助努力でやるということを、そろそろ見直しの中で考えていくべきでは ないか。 (山崎委員)  在宅と施設のバランスの問題では、施設は24時間プロがケアをする場で、在宅はいわ ばスポット的なケアなので、どうしても365日24時間といかずに家族の介護力にゆだねて いる。今回の制度見直しで、この在宅の給付をどこまで伸ばし、サービスを充実させて いくのか。この辺りが、ポストゴールドプラン21との絡みもあるが、よく分からない。 その意味では、今回の資料だけでは不満が残るし、もっと議論を焦点化させていただき たい。  施設についても、いったん入所すると帰ってこられない施設、これでよろしいのか。 脱施設化と言いながら、第3のカテゴリーだけではないのだろうと感じている。  医療との連携については、介護保険がスタートする時、医療との連携をどうするかの ルール作りをしてこなかった。ドイツでは在院日数が大変短く、お年寄りが退院する時 にディスチャージプランで介護保険にきっちり連動させることがデューティーになって いる。その際、看護師がきっちりアセスメントする。我が国はそれがないので、ケアマ ネジャーがどうケアプランを立てていいか分からないところから在宅が始まっており、 これが重度化する原因だと思う。  したがって、適切な専門家の介入がないケアは非常にプアーであるという視点を持つ べき。私どもの調査では、この3年間に医療ニーズが大変高まってきている。特に、施 設の看護職の配置は、これまで健康管理という意味で配置されてきたが、今や医療ニー ズにどう対応するかであるので、ターミナルケアをしっかりやっている特養に加配する とか、ターミナルや重症化したときにスポットで医師も看護師も投入できる仕組みにし ていくようなルール作りが必要である。  サービスの質の問題では、医学や看護学の知見からいろいろな高齢者ケアのマニュア ルやガイドラインができてきているが、サービスの中できちんと使われていないという 問題がある。痴呆のお年寄りのトレーニングの紹介があったが、このような既に知見に なっているものを介護の世界でもサービスの質の向上に使える仕組みや、医療との連携 の側面を議論した方がいい。 (田近委員)  食事や居住等のいわゆるホテル部分が保険の対象になっているが、それは外すべきだ と思う。食事をして総額いくらですよというレストランもあるかもしれないが、普通は 自分が食べたものがそれぞれ個別に書いてあって合計いくらですよと、それが消費者行 動だと思う。だから、ホテルコストの部分は外すべき。  そうすると、施設と居宅の区別は、丸めで請求するのか個別で請求するかになる。施 設でも在宅でも、どういう形で払ったかが分かる形になるべきであり、それが消費者行 動をきちんと誘発する。ただ、そうすると今は丸めで収まっていた費用が増えてしまう かもしれない。しかし、それはある意味で正面から受け止めなければならない問題であ り、施設サービスを丸めで払うことが適切かどうかも議論しなければいけない。ここら 辺りで、施設と在宅の整理が必要なのではないか。  喜多委員のペーパーは、生活保護の部分でこれまで措置でされていたものが保険にな った結果、結局、国庫負担から保険に付け替えたのではないかという指摘だと思う。私 も同感だ。年金でも5年年金とか10年年金など保険料を払っていない人を保険に入れて その部分を他の人が払ったという仕組みがあり、おそらく今後介護保険を広げていくと きに生活保護だけではなく、例えば身障者の問題でも同じ問題が起きるはず。したがっ て、措置でやる部分は保険に入っても財源保障はそういう形できちんとすべき。保険の 中でどれだけ相互扶助、所得移転するかということと、保険は保険で保険料との見合い でやるのだということを混然としてはいけないという指摘だったと思うし、私もそう思 う。  保険者としてもっとコスト管理したらどうかという意見に対し、国保連合会が入って くるので無理だというお話だったが、実態をもう一回説明いただきたい。 (下村委員)  今日の意見を伺っていると、重度化しつつあるので施設を重視しなければいけないと とれる意見と、24時間365日という在宅重視や軽い方に力を入れれば重度化を阻止できる という意見がある。山本委員は筋トレをやればというので、施設より在宅やほかの面で サービスすればという感じだ。それに対し、京極委員の意見はどちらかと言えば重度の 人に力を入れるべきだという感じに受け取れた。何に重点を置いてやっていくのかとい う議論が必要ではないかと思う。山崎委員がいうルールも要るのだろう。山本委員の意 見は、認定はケアマネが少々手を抜いても市町村がやれなくはないというふうにもとれ たが、本当にそうなのか。その辺に問題があると思う。  年金は今回の見直しでは、毎年保険料を上げると言っている。毎年年金の保険料を上 げる中で3年に1度は介護保険料を上げ、医療保険も2、3年に1回上がるというの は、保険料を負担する側にとっては厳しい条件だと思う。毎年年金の保険料を上げる中 で、介護保険料をどのくらい上げていけるのかというのはかなり難しい。だから、給付 議論として、ルールが要るとか、重点を考えるという考え方がどうしても必要ではない か。  これまでの議論では、ケアマネジメントを改善するとか、ケアマネジメント機能を重 視するような意見だった。ところが、今まで半年に1回の要介護認定を1年に1回とか 2年に1回でいいと言うのだから、そこは一体なぜそうなるのか。今まで半年に1回の 条件で補助金で見ていたのを、三位一体改革で地方財源に振り替えて、1年に1回にし てしまった。そうすると、今までより手間が掛からなくなるから、財源を付与するのは 今までより少なくしたのかなという印象だ。その辺も一体どうなっているのか。ルール を作った場合に本当に履行できるような仕組みをどのようにして作るかが必要である。  田近先生がおっしゃった定額というのは分かるが、現状はレストランに例えれば、出 前も取って料理屋にも行って請求は複数からくるわけだから、無理ではないか。出前の ラーメン屋はラーメンをたくさん食べてくれと言うわけだし、座敷に行って食べている 料理屋はここでたくさん食べてくれというわけだから、それは定額化できない。サービ ス提供者が複数いて、在宅でもホームヘルパーや訪問看護など複数事業者がいる。山崎 委員はできるだけ訪問看護で専門的なサービスをとおっしゃるし、ホームヘルパーは「 看護師さんが来るよりホームヘルパーが週3回の方がいい、2回ではだめです」と当然 言う。  各論としては否定しないし、それぞれ手厚くやればいいに決まっている。だが、問題 は今のルールでは複数事業者がおり、全体を統一して利用者のために何がいいかを決め てくれる人がいないのではないか。市町村が本当にできるかということになる。国保中 央会はケアプランに支払いが適合しているかどうかを見ているだけだから役に立たな い、というのが今の定説だ。今の仕組みではだめだということだと思う。  ホテルコストと言うけれども、結局、年金から払われるのだと思う。年金は給付を下 げるわけではないけれども、来年について言えば物価スライドでちょっと下がる。そう いう状況の中でただホテルコストと言われても年寄りは困るかもしれないなとか、いろ いろな問題があると思う。その辺を統一的な答えとして出していく必要があるのではな いか。  施設にずっと入っていても、ちょっと良くなったら家に帰りたいという人はいる。だ けど、家族に遠慮して帰れないとか、一遍出てしまうともう入れないからそのままいる というのが実態であって、在宅で介護されたいと思う人はいる。そういう意味ではバラ ンスやルールが問題であって、施設だけとか在宅だけでいいということでもないと思 う。 (見坊委員)  介護保険サービスが行き渡るようになり大変喜ばしいと思うが、高齢者の間ではこれ でいいのだろうかという疑問はかなり強くなってきている。先ほど2、3の委員からも 話があったとおり、どうも介護が過保護になっているのではないかということを実態と して見ている。要介護の申請を受ける者と受けない者が同じような体力でありながら、 そうしたことがはっきり分かれてきている。高齢者介護は、本人の努力と専門家の適切 なアドバイスや指導、ケアによって初めて成功するものであって、本人の努力について の考え方が、介護保険制度が始まってから非常に曖昧になってきたのではないか。その 結果が、6割の要介護度の悪化であり、介護保険の望ましい姿ではない。過保護になっ たために要介護度が悪化しており、この辺りの分析はもっと必要だと思う。  介護予防について一般の高齢者が納得できないのは、介護予防に筋力トレーニングと いったことが出てくることだ。高齢者の対策としては、従来から高齢者の体力に合った スポーツの普及やウォーキングなど、日常生活の努力、無理のない体操といったものが ある。無理に筋力を上げるのではなく、機能を維持する残存能力を適切に保持していく 中で、体の回復はできる。明らかに原因があって悪くなる方もいるが、それは専門家が 判断して治療することではないかと思う。  現在の事業者に介護予防の対策を求めるのは無理だと思う。介護予防は、本当に理解 のある方が専門性を発揮して進める方向でお願いしたい。老健局がもっと積極的にやら ないと、補助金の削減、削減で、地方自治体におやりなさいと言っても皆やらなくなっ てしまう。発想の転換と対策を高齢者に合ったものにしていただくようお願いしたい。 (木村委員)  要支援になった場合に、動かないというよりも動かさないから廃用症候群で動けなく なってしまう。例えば訪問介護では、生活援助などの調理をさせないで配食サービスに 切り換えてはどうか。1時間調理していても本人は何もしていないし、掃除にしても1 週間に2回も3回も掃除しているが、本当にこれでいいのか。配食サービスのメリット は、栄養状態を個々に考えることができる。今のホームヘルプサービスで栄養状態を分 かってメニューを考えているのか。食事と掃除の空いた時間を、きちんと自立するメニ ューで身体を動かす人への援助に向けていくといった、具体的なことをやっていかなけ れば、どんどん重度化していく。これくらいの大胆なことを考えていかなければいけな い。  介護予防事業は市町村の負担が4分の1で、介護保険に入ると8分の1であるため、 すべて介護保険に向いていき、要介護認定から漏れた人だけが介護予防事業を使わせる という格好になる。行政による川上から川下への健康づくりの流れが全く逆になってし まっている。この辺も整理しないといけない。介護保険に入ってこないような対策をさ せ、入ってきても本人に合わせた要介護度を上げないプラン作りを方向性として出して いくべき。  三位一体については、要介護認定を受けても2割は介護サービスを受けていないの で、600億円の2割、120億円は無駄なお金だと思う。三位一体により、市町村が全部見 ていく形になれば、まず介護予防でやってみて、それから認定を受けてくださいね、と いう話にもなるのかなという気がする。その意味で、要介護認定の事務費にいくらぐら いお金がかかっているかはガラス張りにしておいた方がいいと思う。  秦委員からケアマネジャーの実態調査をやるべきという話があったが、全国介護支援 専門員連絡協議会で、3000人近くの介護支援専門員に実態調査のアンケートを取ってい る。部会には2月の段階で間に合うと思うが、個別具体的な調査結果を報告できると思 う。 (市川委員)  意見書を簡単に説明したい。介護保険が導入されて民間参入が可能になり、介護の社 会的なインフラが急速に整備された。今後の需要増大に対し、サービス供給においても 民間事業は積極的な役割を担うことが我が国の基本政策である。介護保険を維持してい くため、民間介護の供給市場を健全に育成していくことは極めて重要になってきてい る。民間の経営資源や市場の機能を積極的に引き出して有効に活用していくことを考え るべきである。  介護の質について、専門家による研究も大切だが、利用者の選択動向といった市場か ら形成される多様なサービスの在り方にも注目する必要がある。したがって、質を確保 するための規制は安心・安全を確保するための技術的、客観的な基準と最小限の規制に とどめて、市場の多様なサービス創造を減殺するような規制は行うべきではないと考え ている。  介護の質の向上は、介護の現場で働く介護従事者の質と技能に負うところが大きくな っており、人材の確保とその育成が極めて重要な課題となっている。労働処遇環境のイ ンフラ整備等、民間介護の産業基盤はまだまだ脆弱で、産業育成の支援政策が必要であ る。民間介護事業は大きな雇用を創出する産業としても期待されており、その点からも 長期的展望の下に環境整備を考える必要がある。  今回の制度の見直し論議の中で、規制緩和の基本路線が逆流することのないよう、ま た角をためて牛を殺すような規制強化の方向に傾かないようにすることが極めて重要で あると思っているので、お願いしたい。 (花井委員)  重度化への対応という観点から施設入所の在り方を検討すべきということだが、優先 入所実施以後、重度化していることをもって全国統一的な何らかの基準を検討されてい るのか。そのようなことがあれば教えて欲しい。  介護療養型医療施設は、差額ベッド代について一月当たりの費用はいくらぐらいなの か。  痴呆ケアについては、運動能力の低下していない15万人の痴呆の高齢者が居宅で介護 されている。介護している家族の介護度合いが、大変な疲労困ぱいの状態にあるのでは ないか。「徘徊死」という言葉が最近マスコミに出ており、行方不明のお年寄りが相当 数出てきている話を聞くが、全国的な実態調査をする必要はないのか。痴呆性高齢者の ケアについて、様々な試みがなされようとしており、それを否定するわけではないが、 現在の家庭にいる痴呆のお年寄りのケアの在り方や、それを支えている家族に対して、 何らかの対策をとる必要があるのではないか。 (青井委員)  介護保険の質を充実し永続的な制度にするために何をすべきか、ということが資料か ら見えてこない。こうしたいのだという指摘があって、それについて我々が議論すると いう形にしていただかないと、時間を取るばかりのような気がする。  60歳くらいのときは体力の衰えを非常によく自覚する。職業から離れたりするとなお さらだ。そういうときに疾患に襲われると、老年症候群という形で、風邪が万病の元の ように老人を襲う。「虚弱老人の自立度の経時的分析結果」が階段的に落ちている背景 には、こういったことがある。なだらかに老化するということはほとんどない。  そういうことを考えると、介護認定審査会の回数を減らす話が一般財源化の中で出て きたが、財政運営の観点や地方自治の理念と、質の向上とを考えると二律背反のような 気がする。更新と新規の認定を別々にしている市町村が現状どのくらいあるのか。本当 に階段的に落ちていったときに、利用者が自分自身の自立度を正しく判定して更新をお 願いするとは到底思えないので心配である。利用者の視点でも考えていただきたい。  利用者のメリットとして、介護認定が上がることでサービスの量が増えることがある し、下がることで自己負担が減るというメリットもある。その辺をきちんと認定してい るか。認定審査会の委員長の役を引き受けている医師の立場からすると、認定が正しく 行われていたのかどうかは非常に責任を感じている。だから、単純に減らすことについ ては、どういうふうに考えているのか、調査いただき決めていただきたいと思う。  資料の外国の例だが、日本の介護サービスと外国のサービスは実際の質は違うのに金 額で比較しており、何が悪くてどうしたいのか意図が見えない。具体的な内容で比較で きるよう提示し、その上で厚生労働省の意見やいろいろな選択肢を提示して欲しい。 (貝塚部会長)  具体的な提案をしたらどうかということだが、介護保険の問題は非常に複雑で、いろ いろな問題がたくさん入っており、どう整理するかということ自体が相当難しい。具体 的な問題を含めて、現場に近い皆さんがどういう意見をお持ちか、それぞれの話題ごと に意見を伺い、整理して、どうすべきかを考える。時間がかかっても我慢いただき、現 状のどこが問題であるかというところから出発し、最終的なプランを作るのがよろしい かと思う。 照会先  老健局総務課企画法令係  TEL03-5253-1111(3909)