03/12/11 薬事・食品衛生審議会薬事分科会 平成15年12月11日議事録         薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録 1.日時及び場所   平成15年12月11日(水) 15:00〜   航空会館701〜702会議室 2.出席委員(19名)五十音順   青 柳   俊、 池 田 康 夫、 石 橋 康 正、 井 部 俊 子、  ◎井 村 伸 正、 岩 田   誠、 岩 渕 勝 好、○上 田 慶 二、   岡 本   彰、 神 山 美智子、 河 村 信 夫、 桜 井 靖 久、   杉 村 民 子、 長 尾   拓、 早 川 堯 夫、 広 津 千 尋、   溝 口 昌 子、 望 月 眞 弓、 吉 田 仁 夫 (注) ◎分科会長 ○分科会長代理   他 参考人1名   欠席委員(5名)   板 倉 ゆか子、 土 屋 利 江、 南 部 鶴 彦、 松 本 和 則、   溝 口 秀 昭 3.行政機関出席者   吉 岡 荘太郎(総務課長)、 岸 田 修 一(審査管理課長)、   北 條 泰 輔(医療機器審査管理室官)、   中 尾 貞 男(化学物質安全対策室長)、    平 山 佳 伸(安全対策課長)、 俵 木 登美子(安全使用推進室長)、   境   政 人(農林水産省薬事・飼料安全室長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器審査センター長)  他 4.備  考   本分科会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○井村分科会長 大変お待たせいたしました。定刻を過ぎておりまして、ほぼいらっし ゃるべき先生方がいらっしゃいましたので、これから薬事・食品衛生審議会薬事分科会 を開催させていただきます。  まず初めに御報告申し上げることがございまして、日本薬局方部会というのがこの薬 事分科会の中にあることは御存じのとおりでございます。今年の6月までは寺尾允男先 生がその部会長をされておりましたが、寺尾先生が食品安全委員会の方に移られたもの ですから、これまで空席になっておりました。10月にこの部会に所属しておられる早川 委員と吉田委員の間で互選がありまして、その結果早川委員がこの日本薬局方部会長と なられましたので、御報告させていただきます。まだ早川委員はいらっしゃっていませ んけれども、そういうことでございます。  では恒例に従いまして、事務局の方から資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。まず審議事項については資料1 となっております。それから報告事項については資料2〜18でございます。その他の事 項としましては、本日お配りしております資料19となっております。そのほか議事次第、 座席表、委員名簿をお手元にお配りさせていただいております。御確認いただきたく、 よろしくお願いいたします。 ○井村分科会長 いかがでございますか。そろっておりますでしょうか。欠落している ものはございませんね。それでは先に進めさせていただきます。今も説明がございまし たが、本日の議題としましてはまず審議事項が1件ございまして、報告事項が全部で17 件、その他の事項として1件予定されております。  それでは審議事項の方に入りたいと思います。審議事項の議題1に関しまして、本日 は熊本大学医学部小児科教授の遠藤先生に専門委員としてお越しいただいております。 よろしくお願いいたします。  それでは議題1、資料1の医薬品ファブラザイム注射用5mg、同35mgの輸入承認の可 否、それから生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、再審査期間の指定並び に毒薬及び劇薬の指定の要否について、御審議をお願いいたします。この議題について は医薬品第一部会で審議されたことでございますので、まず最初に医薬品第一部会長の 河村委員から御説明をお願いいたします。 ── 早川委員 着席 ── ○河村委員 これは先天性の病気だそうでございまして、私も40数年医者をやっており ますけれども、見たことがございませんので、概略については後ほど専門委員の先生に 御説明いただきたいと思います。リソソームの加水分解酵素であるα-ガラクトシダーゼ Aの活性が生まれつき低下している、あるいは欠損しているという病気で、そのために 心臓が悪くなったり四肢に疼痛が出たりするそうでございまして、それを遺伝子組換え で造った酵素で補ってやるという薬でございます。約200名の患者がいると伺っており ますが、審査内容その他については事務局の方から御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは引き続きまして、事務局より審査の概略について御説明申し上げま す。  本品目の規格及び試験方法、安定性、毒性、薬理、吸収・分布・代謝・排泄に関して 提出された資料の内容については、特に大きな問題はないと判断いたしましたので、臨 床試験成績について述べさせていただきます。「審査報告書」の4〜5ページの審査結 果を御覧いただきたいと思います。  まず有効性に関してですが、男性ファブリー病患者13例を対象とした国内第II相試験 において、本薬1mg/kg隔週20週間投与により、病理学的検査において腎組織中の毛細 血管内皮細胞及び皮膚の毛細血管内皮細胞におけるグロボトリアオシルセラミド(以下 GL-3)の蓄積を有意に低下させ、ELISA法により測定した腎組織中GL-3及び血漿中 GL-3濃度も有意に低下させることが示されました。また、ファブリー病患者58例を 対象とした海外第III相試験においても、本薬1mg/kg隔週20週間投与により、腎毛細血 管内皮細胞及び皮膚毛細血管内皮細胞におけるGL-3蓄積について、本薬投与群ではプ ラセボ群に対し有意に高い除去効果が認められております。しかしながら、GL-3除去 効果は認められるものの、本疾患に対する治療効果としての真のエンドポイントである 腎機能等の臨床症状の改善効果を確認するには至っておりません。これには更により長 期の投与期間が必要と考えられたことから、市販後特別調査においてその有効性を確認 することが必要と考えました。また、心臓にのみ病変が認められる亜型のいわゆる心フ ァブリー病に対する有効性は確立していないことから、適切な市販後臨床試験を実施す ることといたしました。  次に安全性に関してですが、本剤の投与によるIgG抗体産生率は、国内第II相試験 で85%、海外第III試験で83%と国内外共に高頻度であり、投与時反応も高頻度で認めら れておりますが、重篤なものはなく、そのほとんどが投与速度の調整や抗ヒスタミン剤 などの前投与で対処可能でありました。しかし、少数例ではありますがIgEが発現し 臨床試験から脱落した症例が認められていることから、抗体産生については市販後調査 において更に情報を収集することといたしました。  以上のとおり、事務局での審査及び医薬品第一部会での審議の結果、ファブリー病に 対する本剤の有用性は認められ、可能な限り全投与症例を対象とした市販後使用成績調 査、小児も含め長期使用による有効性及び安全性を確認する市販後特別調査、及び心フ ァブリー病に対する市販後臨床試験の実施を条件に承認して差し支えないと判断し、薬 事分科会で審議することが妥当と判断いたしました。なお、本品目は再審査期間10年、 原体、製剤共に劇薬に該当し、また生物由来製品にも該当すると判断しております。御 審議どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。遠藤先生、恐れ入りますが、補足説明をよ ろしくお願いいたします。 ○遠藤専門委員 この病気の病像と病態について、少し補足説明をさせていただきたい と思います。先ほど御紹介がありましたように非常にまれな遺伝性の疾患でありまして、 遺伝性の疾患の中でもX染色体に病気の遺伝子が乗っているX連鎖性の病気でございま す。したがいまして、ヘミ接合体と呼ばれる、男性においてはより重篤な症状が出現し、 女性においてはそれよりも軽度の症状が出現するという疾患です。重症の男性において は小児期から皮膚の知覚異常あるいは皮疹が出現してまいりまして、四肢末端の疼痛が 出現します。それと同時に腎臓の病変が進みまして、最終的には腎不全に至るという非 常に重篤で進行性の疾患であります。酵素が欠損しているわけですけれども、リソソー ム病と呼ばれる一群の病気の中で、この病気は酵素を細胞の外から与えるとそれが細胞 に取り込まれて治療効果を発揮するという中の典型的なものであります。これは主に血 管内皮が障害されてくる疾患でありますので、血管内に投与された酵素製剤が効果を発 揮するという期待の下に、1970年代から酵素補充療法の研究が進められてきました。そ の結果、この製剤が開発されたということでありまして、病態的にもこの酵素製剤の効 果がよく発揮されるリソソーム病の一つであろうと考えます。以上簡単ですが、御紹介 させていただきました。 ○井村分科会長 ありがとうございました。それではただいまの事務局及び遠藤先生か らの御説明に対しまして、何か御質問、御意見がございましたらお願いいたします。ど うぞ。 ○岩田委員 余り薬剤に対する本質的なものではないのですが、実はこのファブラザイ ムの開発と治療をやっているのは私がよく知っている人なので前から聞いていたのです が、日本の疾患頻度のエスティメーションが低過ぎるのではないかということが前から 指摘されておりまして、その方によると有病率は世界中で大体10万人中2.5人ぐらいだ ろうと言っているのです。そうすると東京に200人以上いるはずですねという話になっ たのですけれども、そんなものなのですか。 ○遠藤専門委員 非常に難しい御質問だと思います。というのは、公的な登録制度がな くて、実際の頻度を調べるのは非常に難しいということが一つあります。事実といたし ましてもう一つ、X連鎖性の病気の頻度というのは世界中どこを見ても余り変わらない ということがありますので、欧米で調べられている頻度は日本にも当てはまる可能性が 高いと思います。ただ、非常に軽症なファブリー病の患者が見付かってきている経緯も ありまして、腎不全に至るような重篤な患者については、現代の日本の医療レベルから すると腎臓病の診断は非常に高レベルにありますので、まずそこの時点においては相当 な精度で診断されているだろうと思いますが、軽症患者まで含めると今よりも頻度は高 いというのは多分間違いないだろうと思います。 ○岩田委員 と申しますのは、今遠藤先生がおっしゃいましたように、これは早期に発 見、治療して生命予後を良くしようということがアメリカやヨーロッパでは非常に盛ん ですよね。そうした場合に、これは製剤が先ほどの250程度のもので、わっと殺到した ときに大丈夫なのかなという意味なのですが。 ○遠藤専門委員 少なくとも私たちが臨床の現場で見ておりまして、ファブリー病とい うのは言われている頻度とそう変わらない頻度でございますので、今の時点ではそれほ どの懸念はないだろうと思っております。 ○岩田委員 ちなみに私は30年以上ずっと神経内科をやっておりますけれども、この病 気は1例しか見たことがありません。 ○井村分科会長 そうですか。ほかにございませんでしょうか。どうぞ、井部先生。 ○井部委員 この「添付文書(案)」でございますけれども、看護の立場から言いますと、 この「用法・用量に関連する使用上の注意」の「(1)投与速度」及び「(2)溶解及び希 釈方法」のところを拝見しますと、かなりゆっくり入れなければならないように見受け られるのです。0.25mg/分、15mg/時間で、これを溶解しますと(2)に書いてありますよ うに1ccに5mgになりますので、ざっと計算しますと1時間3mLという速度で落とさ なければならないということになるわけです。そうしますと、この記載だけでは見逃す 可能性がありますし、普通に点滴を落とし始めると「警告」に「重篤なアナフィラキシ ー様症状が発現する可能性がある」と書いてありますので、ここの用法・用量に関して はもう少しきちんと分かるように書いていただいた方がいいのではないかと思います。 ○井村分科会長 この辺については、事務局の方はどのようにお考えになりますでしょ うか。 ○河村委員 これは(2)の最後の行に生理食塩水500ccに入れて点滴静注すると書いて ありますが、これでは分かりにくいですか。 ○井部委員 そうなのですが、500ccで1ccの中に5mgの薬液が入ると解釈されるので はないでしょうか。私が間違っていますでしょうか。 ○井村分科会長 これはいったん少量の液に溶解しておいて、それを更に生理食塩水で 希釈してという意味なのだろうと思ったのですが、いかがでございましょうか。 ○井部委員 つまり微量点滴になるというふうに私は考えたのですが。 ○井村分科会長 私の解釈は間違っていますでしょうか。 ── 青柳委員 着席 ── ○事務局 用法・用量でございますけれども、1kg当たり1mgを投与することになって おりまして、体重に応じてこの35mg製剤と5mg製剤を使って最終的に500ccまで希釈 して、それを点滴静注するということになっております。 ○井部委員 そうしますと、1分間に何ccの点滴をしなければならないということにな るのでしょうか。その辺の技術的な問題になるわけですけれども…。 ○事務局 それはその患者の体重によって変わってくるという話でございます。 ○井部委員 体重60kgの人だと何ccになりますか。 ○井村分科会長 今の計算だと4時間ですか。 ○池田委員 1時間で15mgですから60kgだったら4時間で落とせばいいので、500mg にしたら1時間で100mgちょっと落とせばいいのではないですか。そんなに難しいこと ではないと思うのですが。 ○井部委員 私の解釈が間違いで、1時間に100ccぐらいの割合になるわけですか。 ○池田委員 そうですね。60kgの人だったらそれぐらいになると思います。 ○事務局 計算しますと、大体4時間ぐらいとなります。 ○池田委員 そうですね、4、5時間ですよね。 ○井村分科会長 よろしゅうございますか。もしそういう間違いが起こりやすいようで したら、書き方を考えなければいけないのですが。 ○井部委員 体重が大体60kgになるような人には、このようなものを投与される機会は ないということですね。 ○遠藤専門委員 いいえ、先ほど言いましたように、この病気はゆっくりと進行します から、成人に達した人たちが使う機会は多いと思いますし、実際の臨床試験ではそれに 近い体重の人たちが受けていたと思います。 ○井村分科会長 井部先生の御質問は、実際に現場でお使いになるときのことですよね。 ○井部委員 点滴のスピードというのが非常に問題になることがありますので、分かり やすくして…。 ○井村分科会長 それについては実際は大丈夫そうですが、記述としてはちょっと工夫 が要りますか。どうしたらよろしいでしょうか。何か御提案はございますか。まず用時 これを溶解して、これだけの溶液とすると。次に「これを」というような言葉が入った だけでも間違いがなくなるかもしれませんが、何かそのような本当に簡単なことで…。 ○事務局 この調整方法や投与方法については医療機関向けのパンフレットで別途詳し く説明するという話でございますので、そちらの方で書けばと思います。 ○井村分科会長 井部委員、それでよろしゅうございますか。 ○井部委員 是非、スピードの調整を間違ってアナフィラキシーショックなどを起こす 事故につながらないように、記載していただけると有り難いと思います。 ○事務局 承知いたしました。 ○井村分科会長 ではそういうことで、よろしくお願いいたします。ほかに御意見、御 質問ございますでしょうか。どうぞ、石橋委員。 ○石橋委員 二点教えていただきたいのですが、このファブリー病というのは幾つか亜 型がありまして、ガラクトシダーゼ以外にも同じような症状が起こる場合がありますけ れども、いずれにしてもかなり珍しい疾患だと思います。私も余り専門ではありません けれども、皮膚科で扱っている病気でございます。かなり特殊性があるわけですよね。 酵素の欠損がちょっと違ってこの欠損が起こっているタイプもありますので、実際に日 本でどのくらい使えるのかということを是非お調べいただければという気がいたしま す。  それから二点目は、ガラクトシダーゼですから蛋白だと思うのですが、これは静注す るから構わないのかもしれませんけれども、IgGなど抗体が出ております。マクロフ ァージに取り込まれてヘルパーT細胞が動き出す可能性があるのではないかという気が しますが、その辺はいかがでしょうか。遅延型アレルギーの方のT細胞ですね。 ○遠藤専門委員 組織に取り込まれる際には血管内皮細胞が主だと思いますけれども、 酵素製剤ですからマクロファージには当然取り込まれると思います。これまでの外国の 報告を見ましても出現している抗体は主にIgG抗体でありまして、それも酵素活性が 完全に欠損している患者さんにほぼ限られていると言われています。その後の活性型の T細胞、遅延型の反応については今のところまだはっきりとそういった報告はございま せんし、それによって組織障害が起こったということもございません。 ○井村分科会長 よろしゅうございますか。どうぞ、池田委員。 ○池田委員 ついでに抗体のことでお伺いしたいのですが、当然のことながらこれはか なりのパーセンテージで抗体ができますね。これは抗体の活性を落とすことがないよう に書いてあるのですが、これだけのパーセンテージで抗体ができていて、効果が減弱す る報告はないという社内資料があるのですけれども、これは非常に理解しづらいような 気もするのですが、そんなものなのでしょうか。 ○遠藤専門委員 長期投与でどうかというのは国外報告を見るしかないのですけれど も、それでは効果が出ているということだとは思います。 ○池田委員 というのは、抗体をこれだけ産生していて長期にやっていると、検出限界 以下になったり、あるいは抗体価が減弱する症例がある、それでなおかつIgG抗体の 産生は効果の減弱を伴わないと添付文書に書いていると、結局抗体に関しては余り配慮 しなくてもいいのではないかと考えがちになってしまうのではないかと思うのです。仮 に抗体がずっと出ていて投与していてもほとんど効果がないということになれば、投与 していることは余り意味がなくなるのではないかと思うのですけれども、その辺はいか がなのでしょうか。注意しておかなければいけないことだろうと思うのですが。 ○遠藤専門委員 当然抗体が出現しているかどうかについては、フォローアップが必要 だろうというふうには思います。 ○井村分科会長 IgGに関しましては、非常に高率で抗体ができていますよね。ただ、 その結果としてある程度の効果が出ているということなのだろうと私は解釈しているの ですが。ですから、結果的にはそれでいいのではないかという気がいたします。ほかに 御質問なり御意見はございますか。溝口委員、どうぞ。 ○溝口(昌)委員 少し個人的なことも含まれるかもしれませんが、二つお聞きしたいこ とがあります。実はこのファブリー病の小児例がうちの大学におりまして、今大学の倫 理委員会の許可を得て使わせていただいています。7か月になりますが、臨床効果のほ かにこのGL-3を会社の方で好意的に測定していただいて薬効を見ております。臨床効 果の指標になるならば「使用上の注意」にそういうことを調べた方がいいとか、どこに 頼むと調べてもらえるとかいうことを書かなくていいかどうかということが一つ。  それからこれは承認されますと、オーファンドラッグか何かで患者さんに負担は掛か らないのでしょうか。ちょっとそこら辺を教えていただきたいのですが。 ○井村分科会長 オーファンドラッグです。 ○溝口(昌)委員 オーファンドラッグなのですね。臨床的な効果は分かりにくいことも ありますので、血液学的にこのGL-3を測定するということを「使用上の注意」に書か なくていいかどうかということなのですが。 ○井村分科会長 事務局の方、いかがですか。 ○事務局 本剤の「効能・効果に関連する使用上の注意」の(1)において、「本剤はフ ァブリー病と確定診断された患者にのみ使用すること」となっておりまして、主に専門 家が扱うことになりますので、特にGL-3の記載までは必要ないと判断いたしました。 それから指定の件なのですが、疾病対策課から説明をお願いします。 ○事務局 疾病対策課でございますが、現在ファブリー病についてはいわゆる特定疾患 治療研究事業の対象になっております。この事業の中では保険診療に係る自己負担の部 分を補助金で補助をするという制度がございます。これについては現在のところ収入に 応じた自己負担をお願いしているところでございまして、完全に負担がなくなる方もい らっしゃれば、ある程度の負担のある方もいらっしゃるという状況でございます。 ○井村分科会長 当然これはいわゆる希少疾病扱いになるのでしょうね。いかがですか。 ○事務局 これは希少疾病用医薬品に指定されております。 ○井村分科会長 ほかにいかがでございますか。御意見、御質問よろしゅうございます か。それでは先ほどの用法・用量に関するところの表現をちょっと御考慮いただくとい うことにして、この件を御承認いただいたとしてよろしゅうございますでしょうか。あ りがとうございました。これで審議事項は終わりでございます。  それでは報告事項に入らせていただきますが、議題1から簡単に説明を続けていただ きまして、議題1〜9ぐらいまでで一度切らせていただきます。事務局の方、よろしく お願いいたします。 ── 遠藤専門委員 退席 ── ○事務局 それでは資料2を御覧ください。副作用被害判定結果について御説明させて いただきます。医薬品の副作用の被害救済については、医薬品副作用被害救済制度に基 づき、医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による健康被害者に対し て救済給付を行っているわけですが、健康被害者からの給付請求が医薬品機構を通し厚 生労働省に対して判定の申出があれば薬事・食品衛生審議会において諮問を行い、副作 用被害判定部会において審議され、部会の答申として判定の結果を医薬品機構に通知し ています。  そこで平成15年度第3回及び第4回における副作用被害判定部会の結果について御 報告いたします。平成15年度第3回副作用被害判定部会結果については、部会開催日は 平成15年9月25日、申請の内容については新規102件、継続3件、現況25件の計130 件でございます。調査結果については、支給決定することが適当と考えられるもの116 件、不支給決定することが適当と考えられるもの12件、追加情報を得て再度審議するこ とが適当と考えられるもの(保留)2件となっております。支給決定することが適当と考 えられるものの内訳については、請求どおり支給決定するもの62件、請求期間の一部に ついて支給決定するもの51件、請求内容の一部について支給決定するもの3件となって います。また、不支給決定することが適当と考えられるもの12件については、医薬品以 外の原因によるもの5件、不適正使用5件、副作用による障害の程度の等級が日常生活 が著しく制限される程度の状態でない場合2件となっています。  続きまして平成15年度第4回副作用被害判定部会結果については、部会開催日は平成 15年11月27日、申請の内容については新規87件、継続7件、現況27件の計121件で ございます。調査結果については、支給決定することが適当と考えられるもの111件、 不支給決定することが適当と考えられるもの9件、追加情報を得て再度審議することが 適当と考えられるもの(保留)1件となっております。支給決定することが適当と考えら れるものの内訳については、請求どおり支給決定するもの58件、請求期間の一部につい て支給決定するもの48件、請求内容の一部について支給決定するもの5件となっていま す。また、不支給決定することが適当と考えられるもの8件については、医薬品以外の 原因によるもの5件、不適正使用1件、副作用による障害の程度の等級が日常生活が著 しく制限される程度の状態でない場合1件、副作用による疾病が入院治療を必要とする 程度でない場合2件となっています。以上で平成15年度第3回及び第4回副作用被害判 定部会結果の報告を終わりにしたいと思います。 ○事務局 それでは続きまして新薬関係の報告事項、議題2〜8について御報告させて いただきます。  本日の報告については、議題2、3の2件が10月17日開催の医薬品第一部会、議題 4、5の2件が11月28日開催の医薬品第一部会、議題6〜8の3件が11月21日開催 の医薬品第二部会において審議され、いずれも承認して差し支えないとされた計7件に ついてでございます。  それではまず初めに資料3をお願いいたします。品目名はプレセデックス静注液200 μg「アボット」、同「マルイシ」についてでございます。一般名は塩酸デクスメデトミ ジン、申請者はアボットジャパン株式会社、丸石製薬株式会社でございます。本薬は中 枢性α2アドレナリン受容体作動作用を有し、「集中治療下で管理し、早期抜管が可能 な患者での人工呼吸中及び抜管後における鎮静」に用いる、新有効成分含有医薬品でご ざいます。再審査期間は6年とされており、原体は毒薬、製剤は劇薬に該当するとされ ております。また、生物由来製品、特定生物由来製品のいずれにも該当しないとされた ものでございます。  続きまして資料4をお願いいたします。エビスタ錠60mgについてでございます。一般 名は塩酸ラロキシフェン、申請者は日本イーライリリー株式会社でございます。本薬は、 「閉経後骨粗鬆症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品でございます。再審査期 間は6年とされており、原体、製剤共に毒薬、劇薬に該当しないとされております。ま た、生物由来製品、特定生物由来製品のいずれにも該当しないとされております。  続きまして資料5をお願いいたします。オルメテック、オルメテック錠10mg、同20mg についてでございます。一般名はオルメサルタン メドキソミル、申請者は三共株式会社 でございます。本薬は、アンジオテンシンII受容体拮抗作用を有する「高血圧症」を効 能・効果とする新有効成分含有医薬品でございます。再審査期間は6年とされており、 原体、製剤共に毒薬、劇薬に該当しないとされております。また、生物由来製品、特定 生物由来製品のいずれにも該当しないとされております。  続きまして資料6を御覧ください。ミチグリニドカルシウム水和物「SFL」、グル ファスト錠5mg、同10mgについてでございます。一般名はミチグリニドカルシウム水和 物、申請者は、原体が塩野フィネス株式会社、製剤はキッセイ薬品工業株式会社でござ います。本薬は速効型のインスリン分泌促進作用を有し、「2型糖尿病における食後血 糖推移の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品でございます。再審査期間は 6年とされており、原体、製剤共に毒薬、劇薬に該当しないとされております。また、 生物由来製品、特定生物由来製品のいずれにも該当しないとされております。  続きまして資料7をお願いいたします。塩酸インジセトロン「ニッシン」、シンセロ ン錠8mgについてでございます。一般名は塩酸インジセトロン、申請者は、原体につい ては日清ファルマ株式会社、製剤については日清キョーリン製薬株式会社でございます。 本薬は、セロトニン受容体(5-HT3)拮抗作用を有する、「シスプラチン等の抗悪性腫 瘍剤投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)の抑制」に用いる新有効成分含有医薬品でござ います。再審査期間は6年とされており、原体、製剤共に劇薬に該当するとされており ます。また、生物由来製品、特定生物由来製品のいずれにも該当しないとされているも のでございます。  続きまして資料8をお願いいたします。動注用アイエーコール100mg、動注用コナブ リ100mgについてでございます。一般名はシスプラチン、申請者は日本化薬株式会社、 ブリストル製薬有限会社でございます。本薬は、「肝細胞癌」を効能・効果とする肝動 注用製剤でございます。再審査期間は4年とされており、製剤は毒薬に該当するとされ ております。また、生物由来製品、特定生物由来製品のいずれにも該当しないとされて おります。  続きまして資料9、及び添付文書の差し替え版として御送付しております資料9-2を お願いいたします。レイアタッツカプセル150mg、同200mgについてでございます。一 般名は硫酸アタザナビル、申請者はブリストル製薬有限会社でございます。本薬はプロ テアーゼ阻害作用を有し、「HIV-1感染症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬 品で、希少疾病用医薬品でございます。また「9.臨床機関」の欄を見ていただきますと おり、「HIV感染症治療薬の製造又は輸入承認申請の取扱いについて」という医薬審 第1015号通知に基づいて申請された品目であり、国内における臨床試験は実施されてい ないものでございます。再審査期間は10年とされており、原体、製剤共に劇薬に該当す るとされております。また、生物由来製品、特定生物由来製品のいずれにも該当しない とされております。  最後になりますが、議題9のボルテゾミブを希少疾病用医薬品として指定することの 可否について御報告させていただきます。資料10を御覧ください。今般希少疾病用医薬 品として新たに指定させていただく品目は、ヤンセン ファーマ株式会社から申請された ボルテゾミブであり、「再発・難治性多発性骨髄腫」を予定効能としたものです。我が 国における対象患者数は、約11,000人と推定されているものでございます。本薬は平成 15年11月21日に開催された医薬品第一部会において御審議いただき、希少疾病用医薬 品として指定して差し支えないとの結論を頂いたものでございます。以上でございます。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。その後に「希少疾病用医薬品及び希 少疾病用医療用具の指定制度」というものがありますが、御参考までにということです。 ただいまの御説明について何か御意見、御質問がございましたら、どうぞお願いいたし ます。いかがでございましょうか。 ○吉田委員 私は人体薬は専門ではないのですが、資料4で表紙の方には「閉経後骨粗 鬆症」と書いてあって、最後のタグの「添付文書(案)」の1ページには「閉経後」とい うのが書いてなくて、ただ「骨粗鬆症治療剤」と。これはどちらが正しいのでしょうか。 ○井村分科会長 これは…。どうぞ。 ○事務局 これは薬効分類と実際の効能の違いでございまして、薬効分類の方は「骨粗 鬆症」となっております。 ○吉田委員 と申しますのは、動物にもありますから内容は分かるのですが、閉経後を 前提とするのであれば、「添付文書(案)」の4ページの注意書のところに「妊婦、産婦、 授乳婦等への投与」とありますが、私の常識では閉経後にこれはあり得ないことなので す。この矛盾をどういうふうに説明していただけるのか、お伺いしたい。 ○井村分科会長 これは決して矛盾ではないと思います。どうぞ。 ○事務局 これは安全対策上の記載でございまして、万が一閉経前の女性に投与された 場合には危険ですので、一応情報は提供しております。 ○吉田委員 そうだろうとは思うのですが、最近はいわゆるこういう注意文書も欧米化 しまして、レンジの中で猫を温めるなというような注意書が出てくる世の中でございま す。不必要なものが出てくるとかえってこれを使うのではないかといったようなことが あるので、一言一句これが適正かどうかという注意は十分にやっていただきたいという 要望でございます。 ○井村分科会長 そういうことを考えまして、余りにもくどいとかそういうことは事務 局の方でも削除しているようでございますが、これは薬効分類とこれとは…。どうぞ。 ○河村委員 従来にも骨粗鬆症の薬が出ていて、やはりこれが入っているのです。私は 気が狂ったような文面であると言ったのだけれども、やはり安全対策上は入れておいた 方がいいということですので、これは3剤目か4剤目ですが、ずっとそのようになって いるのです。 ○事務局 既存の閉経後の薬についてもすべてこの文言が入っております。海外におい ても同じでございます。 ○吉田委員 あえて希望なのですが、やはり1剤ずつ個性も目的もあると思うのです。 ですから既存の文章をそのまま埋めてしまうということは、ある意味では注意書が形骸 化するのではないかという懸念を持ちまして、今の発言をいたしました。 ○井村分科会長 ありがとうございます。多少なますを吹いている感じはあるのですけ れども、お許しをいただければと思います。ほかにございませんでしょうか。どうぞ。 ○神山委員 資料2の「副作用被害判定結果について」の4ページに「障害等級不該当」 というのが二つ書いてあるのですが、同じお薬だと思うのです。原疾患は違うようなの ですが、疾病と障害がありまして、101の方は疾病は支給されていて障害は障害等級不 該当で、105の方は障害だけで障害等級不該当となっているのですが、105の方は疾病は ないのかということ。それから歩行障害が起きたり、骨頭が壊死したりしても障害等級 不該当というのがちょっとよく分からないのですが。 ○井村分科会長 事務局の方からその辺の具体的な御説明をお願いいたします。 ○事務局 疾病については、疾病の判断の基準がいわゆる救済給付の中の医療費とか医 療手当の部分にかかわってくるのですが、その中で入院治療を必要とする程度のものに 関して救済給付を行うということでございます。それから障害といいますと、障害年金 とか障害児養育年金とか、いわゆる副作用による障害で日常生活が著しく制限される程 度の状態ということで、それが1級と2級に分かれております。1級、2級というのは、 例えば視力であるとか聴力、あるいは四肢の障害、精神的な障害という形のものが、い わゆる重篤度によって分かれているわけです。ですから、健康被害者といいますか、患 者さんからの請求が何で出されているかによって、その判断基準に基づいて救済給付が 行えるかどうかということなので、救済の種類とそれからその薬剤に間違いなくその副 作用が該当するかを判断して、いわゆる判定の結果としているということです。ですか ら、例えば疾病の部分では医療費などが支給されて、障害の部分では障害年金などが支 給されないということは実際に幾つか出てくることはございます。 ○岩田委員 私の部会ですから、ちょっと補足いたします。ただいまのことに関してで すが、障害等級については先ほど御指摘がありました大腿骨頭壊死というのはどんなに 重くても3級なのです。ですから、大腿骨頭壊死の場合は出されても普通は障害になり ません。何か別の複合的なものがないとそれは起こらないということです。あくまでも あらかじめ定められた等級に従ってやっておりますので、そういうことになります。  それから疾病に関しましても、先ほど説明がありましたようにあくまでも入院を対象 としておりますので、たとえ外来であってもこれは入院に相当すると部会で判定された 場合には支給しますし、それからたとえ入院期間中であっても副作用のための入院では ない、ほかの疾患による入院ということがありまして、そこはかなり厳密に区別して扱 っております。 ○井村分科会長 神山先生、よろしゅうございますか。105のケースの無腐性壊死とい うのは、骨頭の壊死があることがきちんと認められているのに疾病の対象になっていな いというところは、申請がされていないということでいいのですか。 ○事務局 このケースはいわゆる障害年金等の申請は出されているのだけれども、先ほ ど…。 ○井村分科会長 それは等級不該当ということで不支給になっていることは分かるので すが、先ほどの神山先生の御質問はそこでこの疾病があるのに…。 ○岩田委員 入院ではないと対象になりません。 ○井村分科会長 そういうことですね。入院ではないのですね。 ○岩田委員 普通大腿骨頭壊死は外来的な病気ですので、例えばこの方が手術のために 入院するということになると、この手術に関しては支給が行われます。 ○井村分科会長 そういう意味だそうでございます。ありがとうございました。ほかに ございませんでしょうか。望月委員、どうぞ。 ○望月委員 今の資料2に関してですが、直接この副作用被害判定がうんぬんという話 ではないのですけれども、通覧しますと一般用医薬品によるかなり重篤な副作用が出て いるということです。一応副作用被害という形ですと適正に使った上での健康被害とい うことになるのですが、こういった形で申請されてきたものの使った方の使い方の背景 やそういったものの分析というのは、この中ではどの程度されているのかということを 教えてください。 ○井村分科会長 それはまず事務局の方でお願いできますか。 ○事務局 医薬品であれば通常の適正使用と言われる用法・用量であるとか、そういう ものがきちんと守られた形、いわゆる承認内容に準じた形で使用されていて副作用の被 害が起こった場合には当然救済すると。ところが従来の承認事項ではない使用方法、い わゆる適正使用ではない場合で副作用が起こったときには、先ほども何例かお話しした のですけれども、不適正使用ということで救済給付の対象にはならない、不支給という ことです。 ○井村分科会長 そういうお答えでいいのですか。 ○望月委員 ちょっと違うのですが、実際にユーザーの方がどういう形でお求めになっ てどういう形で使用された結果、こういうふうになったという辺りまでを調査された上 で、適正使用であったかどうかという判断をされているかということをお聞きしていた のですが。 ○井村分科会長 岩田先生、お願いいたします。 ○岩田委員 補足しますけれども、市販薬の場合はまず効能書に書いてあるとおりに使 っているかどうかということを見ます。そうではないような場合にはやはりもう一回調 査し直して、どういう状況でどういう理由でどういうふうにして買って使ったのかとい うことを確認しております。それから問題になりますのは、市販薬ではなくて一般的な 鎮痛薬とか風邪薬などで前にもらっていたものを飲んだのではないかと思われるような 場合が時々あるわけですが、そういうときには患者さんと同時に処方したお医者さんの 方にも問い合わせまして、どういうふうな指示を出しておいたか。例えばこれを出した ときに、この次に熱があったら飲みなさいと指示されていることが確認されれば、それ は適正に使われたと考えます。若しくはそういったことはなくて、例えば奥さんが御主 人に処方されたものを飲んでしまったとかそういったことが分かれば、それは適正なも のではないと、そういうふうなことで調査いたしております。 ○井村分科会長 ありがとうございました。ほかによろしゅうございますか。どうぞ。 ○広津委員 資料4なのですが、ちょっとブリッジングということでお聞きしたいので すけれども、説明は56ページから出ていて、特に次の57ページの図2なのですが、こ れは変化率で見ると余りパターンが似ていなくて、この図ではドーズの読替えなどは当 然できそうもない。次のページの図3で、今度は前値をコバリエートとして分布調整し た結果似ているということなのですが、本来変化率を採用するときに前値の影響を考え て変化率を採用したのだと思うのです。しかし、その結果が実は余り前値の影響を受け ないものだったから、前値で割った変化率を使うのはどうもよろしくないので、もう一 回それを前値で調整するというのは、非常に筋が悪いと言うと語弊がありますけれども、 極めて後知恵で合わせているし、ドーズを読み替えるときも非常にややこしいと思うの ですが、これは基の変化量に戻せばもう少し素直に読替えができるのでしょうか。57ペ ージの一番下の記述は、あくまでも変化率を用いると定めていたのでその変化率をもう 一遍前値でコバリエートなりすると読めるのです。ということは、極めて素直に変化量 でやればもっと素直に読めるということなのですか。それとも前値をこういうふうに2 回使ってドーズの読替えをやるということなのでしょうか。  それからもう一つ、形は似てくるのですが、例えば図2などを見ていると日本は多分 もう60でプラトーに達していると思うのですけれども、海外データはまだそこでは上っ ているように見えます。したがって、これはパターンの類似というようなことはきちん と論じられているのでしょうか、ちょっとお聞きしたいと思います。 ○井村分科会長 部会ではその辺については何か…。 ○河村委員 部会では特に御意見を頂きませんでした。 ○井村分科会長 そうですか。どうぞ。 ○事務局 まず第一点目の変化率のことでございますけれども、確かに先生のおっしゃ いますように調整後の変化率というのは後付け解析でございまして、審査ではこれは参 考としか扱っておりません。ブリッジングの可否ですけれども、本品目については海外 の骨折試験のデータを日本の患者に当てはめることができるかどうかという判断をした のですが、御覧のように変化率で見ても薬物血中濃度を見ても日本人の方が高めに出る というような結論になっております。しかしながら、日本においても海外においても、 有効性、安全性について60と120の間で差がないというのが一つ。それから日本人のド ーズを海外に当てはめると大体80mgに該当するということで、それが60と120の間に なるので安全性には問題なく、有効性は若干高いということで、これをもって海外の成 績を利用して日本人の骨折予防効果を評価してもいいのではないかと判断いたしており ます。  それから二点目でございますけれども、これは一応プラトーになるとセンターは判断 しております。 ○井村分科会長 いかがでございましょうか。 ○広津委員 ではここにいろいろ書いてありますけれども、結局変化率をもう一遍前値 で調整するという図3の方は見ないということですね。 ○事務局 そのとおりでございます。 ○広津委員 それからもう一つお聞きしたいのは、この記述を見ると初めから変化量で やればもう少し素直だったというふうに読めるのですけれども、それはどうなっている のでしょうか。 ○井村分科会長 何かその辺で御説明がありますか。 ○事務局 それについてはまた後ほど先生の方に御説明させていただくことでよろしい でしょうか。 ○井村分科会長 よろしゅうございますか。ほかの先生方がよろしければそういうこと で、では後ほど御説明申し上げるということでございます。ほかに何か御指摘がござい ましたら…、望月委員どうぞ。 ○望月委員 先ほどもファブラザイムの調整方法等のことで御指摘があったのですが、 今度は別の薬剤で資料3ですけれども、このプレセデックス静注用の調整方法が、本剤 2mLに生理食塩水48mLを加えて50mLにするということになっているのですが、これは 具体的にはどういう形で調整することになるのでしょうか。50mLの生食のボトルの中か ら2mLを抜いてそこに本剤2mLを加えるというような作業になるのでしょうか。 ○井村分科会長 先生が見ておられるのはどれでしょうか。 ○望月委員 資料3の後ろの方に添付文書が付いておりまして、それのどちらの添付文 書でも結構ですが、3ページに「9.適用上の注意」がありまして、その3)に「本剤2 mLに生理食塩液48mLを加えて50mLとし」と。これは実際にはどういう調整方法を採ら れるのかということと、できれば2ステップにならない調整方法の方がいいだろうと思 ったものですから。 ○井村分科会長 これは2ステップなのですかね。いかがでしょうか。どうぞ。 ○事務局 それでは審査センターよりお答えさせていただきます。実際にはバイアルに 入っているものをシリンジポンプの方に移してそこに生食を入れる形になりますので、 望月委員のおっしゃるとおり2ステップになると思います。ですので、その辺りは申請 者の方とも相談いたしまして、もし何か適切な対応が採れるようであれば今後改善の方 向で検討するように処理したいと思います。 ○望月委員 それでここの50mLというのは、必ず50まで希釈しないといけないという 制限はいかがなのでしょうか。 ○井村分科会長 必ずしなければいけないというのは…。 ○望月委員 それは希釈に自由度を持たせて変えられるようでしたら、50に希釈すると 必ず4μg/mLという濃度になるはずですけれども、その濃度をどこかに明示した方がい いと思ったのです。こういう薬物の場合、プロキロドーズで時間当たり何μgという形 で投与することになりますので、先ほどの委員の御意見とも同じなのですが、1mL当た りが何μgになっているのかということをどこかに明示しておかないと、対応する方が 時間当たり何cc落とせばいいのかという計算をするときに非常に分かりにくくなると 思うのです。それが必ず50ccに希釈するものであれば、何mLに希釈してその結果こう いう濃度になりそれを使うのだという文章を、この「適用上の注意」のように離れたと ころに書くのではなく、できればもう少し上の方の「用法・用量に関連する使用上の注 意」に上げてきちんとお書きいただいた方がいいだろうということです。 ○事務局 希釈の倍率は2mLに48mLを加えるということで固定しております。投与方 法の方は先ほどのファブラザイムと同様ですけれども、シリンジポンプの投与速度で調 整することになりまして、そちらの詳しい情報は別途パンフレットで医療機関の方に情 報提供することとしております。委員より御指摘のありました希釈方法のより前の方へ の記載というのは、また検討させていただきたいと思います。 ○井村分科会長 できるだけ間違いがないように使えればいいわけで、それでよろしゅ うございますか。 ○望月委員 できれば濃度もきちんとお書きいただいて…。 ○井村分科会長 濃度を記述するということですね。 ○望月委員 場所がもし「適用上の注意」の方になってしまったとしても、そこに50mL にした場合には4μg/mLになっているということをお書きいただいた方がいいと思いま す。 ○井村分科会長 いかがでしょうか。御検討いただけますか。 ○事務局 分かりました。そのように検討させていただきます。 ○井村分科会長 よろしくお願いします。ありがとうございました。いかがでしょうか。 今は資料2〜4までに集中しておりましたが、ほかはよろしゅうございますか。  それでは引き続きまして議題10〜12までがちょうど切れがいいので、そこまで続けて 御説明をお願いいたします。 ○事務局 まずは議題10と11の新医療用具関係の報告事項について御報告させていた だきます。本日の報告は、11月25日開催の医療機器・体外診断薬部会及び医療材料部 会においてそれぞれ審議され、いずれも承認して差し支えないとされた計2件について でございます。  それではまず資料11をお願いいたします。ビズラスPDTシステム690Sについてで ございます。カールツァイス株式会社から輸入承認申請のありました光線力学的療法に 使用するレーザ照射装置で、中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性症に対するベ ルテポルフィンを用いた治療において、ベルテポルフィンの光活性化源として使用する ものでございます。生物由来製品、特定生物由来製品のいずれにも該当せず、再審査期 間は3年とされております。  続きまして資料12をお願いいたします。パーフルオロンについてでございます。日本 アルコン株式会社から輸入承認申請のありました、純度99.9%以上のパーフルオロ-n- オクタンをガラスバイアルに無菌的に充てんしたもので、網膜硝子体手術において剥離 した網膜を物理的に伸展・復位させるために用いる眼科用手術材料でございます。生物 由来製品、特定生物由来製品のいずれにも該当せず、再審査期間は3年とされておりま す。 ○事務局 それでは議題12、有害物質を含有する家庭用品の規制基準についてでござい ます。資料13の1ページを御覧いただければと思います。10月1日に開催された化学 物質安全対策部会での審議の概要について、御報告申し上げます。  有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律というものがございまして、薬事法 とは異なり個別の許認可を行っているものではございませんで、いわゆるちまたで売ら れている家庭用品について、その家庭用品が含有する化学物質について必要に応じて規 制していくという体系を採っております。御審議においては二点御議論いただきました。 一つ目は2歳以下の乳幼児の衣類等に含まれるホルムアルデヒドの規制の一部改正案に ついて、二つ目はいわゆる木材防腐剤であるクレオソート油の中に含まれるベンゾ[a] ピレン等の3物質について新たに規制を設けるというもので、いずれも差し支えないと されたところでございます。  まずはホルムアルデヒドの基準の一部改正案ですが、資料の2ページに概要を書かせ ていただきましたけれども、現行のホルムアルデヒドを含有する家庭用品の基準につい ては、吸光光度法により0.05以下という規制体系を採っていたわけでございます。しか し、いわゆる規制緩和の関係において、0.05以下という規制が実質ゼロ規制であるとい う誤解を招いているということで、この0.05以下というものが実際濃度としてどれくら いなのかを明示すべきであると。それから外国政府の方からやはり規制緩和の関係で、 規制値そのものが厳しいのでそれを緩和すべきという要望があったということで御審議 いただいたものでございます。その結果、吸光光度差0.05以下と同等のものとして16ppm という基準を追加するということ。それから基準を超えた場合、現行のジメドン法のほ か、高速液体クロマトグラフ法でピークの高さを標準と比較する方法によっても確認で きるとするということについて了承されました。さらに国際的評価の結果を踏まえても、 この16ppm相当という基準は妥当なものであると、これを緩和することは妥当ではない との御結論を頂いております。  それから二つ目として、ジベンズ[a,h]アントラセン、ベンズ[a]アントラセン又はベ ンゾ[a]ピレンを含有する家庭用品の基準案でございます。こちらについては、実際に日 本の市場において販売されておりますクレオソート油、それからクレオソート油で処理 されたガーデニング用の木材、まくら木がリサイクルでホームセンター等で売られてい るわけですが、それらを実際に取り寄せて測ったところ、この3物質が相当の濃度で含 有されていることが判明したこと。また、いわゆるガーデニングでこういったまくら木 が再利用されているということで、従前見られなかったようなクレオソート油に対して の暴露の機会が増えていると考えられたこと。それから今後諸外国からこういったもの が輸入される可能性、また輸入が増える可能性が否定できないということから、この有 害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律に基づく規制措置の導入を検討する必要 があるということで御審議いただきました。動物での発癌試験の結果、それからヒトで の暴露データを基にリスク評価を行いまして、許容し得るレベルのリスクに相当するも のとして、クレオソート油及びその混合物に含まれるベンゾ[a]ピレン、ベンズ[a]アン トラセン、ジベンズ[a,h]アントラセンをそれぞれ10ppm以下とすること。それからそれ らによって処理された製品についても、処理に用いたクレオソート油中の3物質の濃度 をいずれも10ppm以下にするということ。この製品については、クレオソート油10ppm 相当で処理した場合、木材の比重を勘案すると木材に対して3ppmという規制値が計算 されたわけでございまして、クレオソート油そのものに含まれているものについては 10ppm以下、それから処理された木材中の濃度としては3ppm以下という規制をすること について妥当であるという結論を頂きました。以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。それではここまでで一応切らせていただき まして、議題10〜12までで何か御意見、御質問がございましたらどうぞ。 ○吉田委員 またうるさいことを言うようなのですが、資料12の表紙の「構造・原理」 の下から3行目、「水より比重が重い液体であることから」というのは大変な誤記で、 比重というのは単位がありませんので、大きい小さいで表現しなければいけないのです。 大事なことなので、ここが一つで後はページだけ申し上げますが、4ページの下から6 行目、9ページの2行目、16ページの下から7行目がそれぞれ間違っております。そし て念のために添付文書を見ましたところ、添付文書の赤い枠の下、「形状・構造等」の 「色調・性状」の中にはきちんと「比重が大きく」と書いてあります。ここには間違い がないのですが、これは公的な文書ですので、一つ御訂正願いたいと思います。 ○井村分科会長 ありがとうございました。よろしく御訂正ください。 ○事務局 承知いたしました。 ○井村分科会長 ほかにございませんでしょうか。医療用具に関しまして、桜井先生よ ろしゅうございますか。 ○桜井委員 はい。 ○井村分科会長 それでは先に進めさせていただきまして、次は動物用の医薬品などで ございます。議題の13〜17まで続けて御説明お願いいたします。 ○事務局 農林水産省でございます。動物用医薬品等部会関係の報告事項について、議 題13〜17まで御説明させていただきます。まずは議題13、資料14を御覧ください。動 物用医薬品ケトフェン錠5mg、同10mg、同20mgの輸入承認事項変更承認でございます。 申請者はメリアル・ジャパン株式会社です。本剤はケトプロフェンを主剤とする錠剤で、 6の「効能又は効果」欄の上段に示しますように、犬又は猫の運動器疾患に伴う急性の 炎症及び疼痛の緩和を効能・効果として既に承認されているものでございます。今般は その下段に示しますように、犬の変形性関節症に伴う慢性の疼痛の緩和を追加するもの でございます。したがいまして、5の「用法及び用量」の下から3行目のところに「犬 の変形性関節症に伴う慢性の疼痛の緩和」ということで、「1日1回、体重1kg当たり ケトプロフェンとして0.25mgを基準量として経口投与する」という用法・用量も追加さ れております。8月28日及び11月27日に開催されました動物用医薬品等部会で御審議 いただき、承認を可とし薬事分科会へ報告して差し支えないとされたものでございます。 ── 青柳委員 退席 ── ○事務局 引き続きまして、議題14、資料15について御説明させていただきます。ゼ ナキル錠25、同50、同100、同200でございますが、これは犬・猫の細菌性皮膚感染症 の治療薬でございます。フルオロキノロンでございますマルボフロキサシンを主成分と しておりまして、ファイザー製薬株式会社より承認申請があったものでございます。1 錠中にマルボフロキサシンをそれぞれ25、50、100、200mg含有する錠剤でございます。 1日体重1kg当たりマルボフロキサシンとして2.75〜5.5mgを、原則として5〜7日間 経口投与するというものでございます。7日目に獣医師の診察を受け必要がある場合は 最長14日を限度として投与するものでございまして、適応症としては犬・猫の細菌性皮 膚感染症、有効菌種がスタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・インタ ーメディウス又はパスツレラ・ムルトシダでございます。平成15年4月9日それから 10月16日の動物用抗菌性物質製剤調査会において審議いたしました結果、11月27日の 動物用医薬品等部会で承認を可とし薬事分科会へ報告して差し支えないとなったもので ございます。10月27日の部会で所要の書類の整備と再審査期間中の資料の収集を条件 に承認を可とされたものでございまして、新有効成分含有動物用医薬品でございますの で再審査期間が6年、毒薬、劇薬には指定しないということでございます。以上でござ います。 ── 岩田委員 退室 ── ○事務局 議題15、動物用医薬品マリンバンテルの製造承認の可否、再審査期間の指定 及び毒劇薬の指定でございます。資料16を御覧ください。販売名はマリンバンテル、一 般名はフェバンテルでございます。申請者名は明治製菓株式会社、成分及び分量は本品 1g当たりフェバンテルが250mg含まれております。用法及び用量ですが、1日1回魚 体重1kg当たりフェバンテルとしてふぐ目魚類に対し12.5〜25mgの量を、飼料に均一 に混じて5日間経口投与することとなっております。効能又は効果ですが、ふぐ目魚類 のヘテロボツリウム(Heterobothrium okamotoi)の駆除でございます。ヘテロボツリウム は主にとらふぐのえらに寄生する寄生虫でございます。審議の結果ですが、水産用医薬 品調査会については平成15年10月24日、動物用医薬品残留問題調査会においては平成 15年11月12日、ここで休薬期間が21日と設定されております。それから動物用医薬 品等部会においては平成15年11月27日に審議した結果、承認を可とし薬事分科会に報 告しても差し支えないとされております。本品については新用量、新効能効果医薬品で ございまして、現在ウマ用に承認している医薬品がありますので、再審査期間は2年と なっております。  次は議題16、動物用医薬品ピシバック注3混の製造承認の可否、及び再審査期間の指 定についてでございます。資料17を御覧ください。販売名はピシバック注3混、申請者 は共立製薬株式会社です。成分及び分量ですが、1バイアル中にラクトコッカス・ガル ビエ、ビブリオ・アングイラルム、マダイイリドウイルス不活化ウイルスを含有する注 射剤です。用法及び用量ですが、体重約15〜120gのぶりの腹腔内に連続注射器を用い 0.1mLを1回ずつ注射することとなっております。効能又は効果でございますが、ぶり のα溶血性レンサ球菌症、ぶりのJ-O-3型ビブリオ病、及びぶりのイリドウイルス感 染症、これら三つの疾病の予防となっております。審議の状況ですが、水産用医薬品調 査会は平成15年10月24日に行われまして、審議の結果、承認の可否に関する所定の審 議は終了したものとして動物用医薬品等部会に上程することとなりました。再審査期間 は6年ということでございました。動物用医薬品等部会は平成15年11月27日に開催さ れまして、審議の結果承認を可とし、薬事分科会に報告しても差し支えないということ となりました。本剤については新動物用配合剤ということで、再審査期間は6年でござ います。  次は議題17、動物用医薬品の使用の規制に関する省令の一部改正についてでございま す。資料18を御覧ください。これは先ほどフェバンテルを有効成分とする飼料添加剤に ついて御説明しましたが、その製剤の製造承認に伴いまして本剤について使用基準を設 定するということでございます。下の表にその項目が書かれておりますが、医薬品名は 「フェバンテルを有効成分とする飼料添加剤」、使用対象動物は「ふぐ目魚類」、用法 及び用量は「1日量として体重1kg当たり25mg以下の量を飼料に混じて経口投与する こと」、使用禁止期間としましては、「食用に供するために水揚げする前21日間」とさ れております。以上です。 ○井村分科会長 ありがとうございました。それではただいまの議題13〜17までの動物 関連の医薬品等について、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。いかがで ございましょうか。どうぞ、神山先生。 ○神山委員 資料16と17ですが、資料16の方は飼料添加剤で資料17は注射剤ですか ら使い方が全然違うと思いますけれども、資料16の方を見ますと「使用者に対し、深刻 な問題を起こす可能性があることを認識してもらう必要がある」と書いてありまして、 資料17の方にはそういう説明がないのです。しかし、資料17の方の「使用上の注意」 には「作業時にはゴーグル、マスク、厚手の手袋等を着用すること」と書いてあって、 資料16の方にはそういう具体的な注意はないのですが、混ぜるときにはゴーグル、マス ク、手袋などは別に必要ないということなのでしょうか。 ── 岩田委員 入室 ── ○事務局 農林水産省ですが、混ぜるときにはそういう飛散ということは余りないと考 えております。注射剤の方でゴーグル、マスクということで規定しておりますのは、連 続注射器という空気圧でプシュップシュッと飛び散るようなものを使っております。で すから、そういったものを目とか顔に浴びないようゴーグル、マスクを使うようにとい うことを「使用上の注意」に書いております。 ○神山委員 ただ、資料16の方も「使用者に対する注意」で「本剤が目に入った場合に は、多量の水道水で洗眼する」とか、「本剤が皮膚に付着した場合は、石けんと水で洗 浄する」と書いてありますから、目に入ったり手に付いたりする可能性がないわけでは ないのではないかと。それで1ページには「深刻な問題を起こす可能性がある」という のでしたら、目に入ったり手に付いたりしないような使用方法にしてあげた方がいいの ではないかと素人的には思うのですが。 ○事務局 必要であればその辺も付け加えるなりしたいと考えます。 ○井村分科会長 もう少しそういう点を何か考えていただきますか。 ○事務局 例えば手袋やマスクをするとか、ゴーグルを付けるといった表現を付けさせ ていただきたいと思います。 ○井村分科会長 フェバンテルの方ですね。神山先生、それでよろしゅうございますか。 河村先生、どうぞ。 ○河村委員 資料15のマルボフロキサシンというのは、いわゆるニューキノロン系でご ざいますね。これは人間にも使う薬剤が多く、しかも現在耐性がどんどん出てきており ます。これは交差耐性でございますから、同じ系統のものはみんな効かなくなってしま います。こういう薬を犬や猫に使ってもいいのですが、スタフィロコッカス・アウレウ スなどというのは人間にも病原性がございますし、犬や猫に大いに使われてしまうと人 間の方に効かなくなってしまう可能性がかなりあります。この辺は部会の方で御議論が あった上で出てきたのだろうと思いますが、その点をよく人間側にも御勘案いただきた いと思っております。 ○井村分科会長 抗菌剤ですから当然耐性についても御議論なさったと思うのですが、 いかがでございましょうか。 ○事務局 耐性問題については十分議論いたしまして、2回調査会にかかっております が、特に使用期間等についてはなるべく耐性菌を誘導しないように、有効かつ短い期間 が設定できないかということでの議論をいたしております。さらにニューキノロン剤に ついてはすべて二次選択薬ということで「使用上の注意」に記載しておりまして、一次 選択薬が無効な場合に限り使用するということになっております。 ○井村分科会長 よろしゅうございますでしょうか。どうぞ、溝口先生。 ○溝口(昌)委員 議題13、資料14のケトプロフェン錠のことについて伺いたいのです が、急性の炎症及び疼痛の緩和で既に許可されているので今更伺っても遅いかもしれま せんけれども、たくさんNSAIDsがある中で、このケトプロフェンというのはアナフィラ キシーショックも起こしますし日光皮膚炎の頻度も多く、それからニューキノロンとの 併用で痙攣を起こす可能性がある薬です。NSAIDsのほとんどがそうかもしれませんが、 皮膚科医から見ますと結構いろいろ問題がある薬のように思うのです。先ほどの河村先 生の御意見にも関係するかもしれませんが、人間に使われているこういう薬が犬・猫に 使われるときに、まさか人間に使う頻度が少なくなったから犬・猫に回すということは ないとは思いますけれども、どういう基準で審査に出てくるのですか。ただ会社が出し てきたから審査するのでしょうか、それとも人間のデータを反映させ、一定の基準でこ ういうものが犬・猫用に下りてくるのかということをお教えください。  あともう一つ伺いたいのは、この「使用上の注意」のところに使用者が誤って飲んだ らすぐ医師にかかることと書いてありますので、恐らくこういった薬も獣医さんが処方 すると一般の人が使うことになると思うのです。例えば牧場などでよく犬・猫を飼って いますので、処方してもらった人が豚とか牛とか人間の口に入る動物に使う可能性はな いのか、その二点をお教えいただきたいのですが。 ○井村分科会長 いかがでございましょうか。動物の方で…。 ○事務局 まず一点目でございますが、この承認申請書には人に対してのこのものの安 全性といいますか、人でどうという添付資料は付いてございませんで、あくまでもこう いったNSAIDsのいわゆるペインコントロールという概念が小動物の世界にも広がって きたということで、それを反映してまず平成12年に急性の炎症及び疼痛の緩和というこ とで承認を取り、さらに今般変形性関節症に伴う慢性の疼痛の緩和ということで追加の 承認となったものでございます。  二点目の件でございますが、このものは要指示医薬品に指定されております。したが いまして、獣医師の診察をもって必要な分を飼い主さんにお渡しするという形になり、 しかも最長14日間を超えないようにという処方の日数が「使用上の注意」に設けてあり ます。ですので、ほかの牛、豚等に使われることがないようにそこで手当てをしてある ということでございます。 ○井村分科会長 どうぞ、溝口先生。 ○溝口(昌)委員 そうしますと、こちらが選ぶのではなくて出てきたものを審査するよ りしようがないと認識してよろしいわけですね。 ○事務局 申請がありましたら、そのものについては安全性、有効性をきちんと評価し て、問題がないものは承認するということでございます。 ○井村分科会長 ほかにいかがでございましょうか。動物関連の医薬品等について、よ ろしゅうございますか。それでは先に進ませていただきます。  各部会からの御報告はこれで終わりでございますが、その他の事項といたしまして、 薬事分科会における確認事項の一部改正について御審議いただくことになります。では これについて事務局から御説明をよろしくお願いいたします。 ○事務局 それでは御説明させていただきます。本日配付いたしました資料19、「薬事 分科会における確認事項の一部改正について(案)」を御覧頂きたいと思います。これに ついては二つの変更点がございます。まず一つ目といたしましては、平成15年7月に安 全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律が施行になりました。それに関しまして 確認事項の一部変更を行うということでございます。  資料をめくっていただきまして、6枚目に「薬事分科会における確認事項(案)」とい うものがございます。それの3ページに「○安全な血液製剤の安定供給の確保等に関す る法律に基づき審議会に諮問するものの取扱い」というところがございます。それにつ いて三つほど事項を追加させていただきたいと考えております。まず一つ目は、血液法 第10条第3項に基づき審議会に諮問を行ったものといたしまして、毎年度翌年度の献血 推進に関する計画(献血推進計画)の策定又は変更については、原則として血液事業部会 審議、薬事分科会報告の取扱いとしたいということでございます。  二つ目は、血液法第11条第3項に基づき審議会に諮問を行ったものといたしまして、 毎年度翌年度の献血の受入れに関する計画(献血受入計画)の認可については、原則とし て血液事業部会審議、薬事分科会報告の取扱いとすると。  三つ目は、血液法第25条第5項に基づき審議会に諮問を行ったものといたしまして、 毎年度翌年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)の策定又は変更について は、原則として血液事業部会審議、薬事分科会報告の取扱いとするということでござい ます。 ○事務局 確認事項の変更をもう一点御説明させていただきます。遺伝子組換え生物の 使用を生物の多様性の確保という観点から規制する法律、私どもは「カルタヘナ法」と 言っておりますが、この法律が来年2月から施行される予定でございます。この施行に 伴いまして、必要な事項を改正したいということでございます。  この法律の概要については、資料19の5ページを御覧いただければと思います。「○ 法律の概要」の「1.法の目的」については、ここに書いてあるとおりでございます。具 体的な法律の中身、規制の在り方でございますが、この法律では遺伝子組換え生物の使 用形態を二つに分けて規制しております。一つは2に「第一種使用等」とありますが、 いわゆる開放系で遺伝子組換え生物そのものを使うものに関しての手続でございます。 医薬品分野では組換え生ワクチンやウイルスベクターの遺伝子治療薬が想定されており ますが、こういった場合は使用方法についてあらかじめ大臣の承認を受けることとなっ ております。もう一つの使用形態としましては、3に「第二種使用等」と書いてありま すが、これは閉鎖系での使用ということで、医薬品分野においては組換え微生物、例え ば大腸菌などを用いて医薬品を製造する場合が想定されております。こういった場合に ついては、その製造所がこのカルタヘナ法に基づいて定められている拡散防止措置を採 らなくてはいけないという義務が発生しております。実際にはこの確認をとるべき範囲 と、とらなくてもいい範囲が定められておりますので、確認をとるべき範囲については 個別に拡散防止措置の確認を行っていくことが必要になってきます。  もう一度1ページに戻っていただきたいのですが、分科会における確認事項の一部改 正としましては、具体的には(1)〜(3)に掲げられている事項について改正したいと考えて おります。(1)ですが、まず今申し上げた開放系、第一種使用に関しての使用方法につい ての承認に関しては、生物由来技術部会審議、薬事分科会報告という扱いにさせていた だきたいと思います。それから閉鎖系の第二種使用での拡散防止措置の確認に当たって は、組換え体の安全性を評価し、それによって製造の作業レベルをカテゴリー分けして おります。ここにありますGILSPというのは長期間にわたって組換え生物の使用経験が あるということで、安全性が極めて高いということで定められているものの製造作業の レベルでございます。このGILSPとGILSP以外、すなわち取扱いに注意を要するものと いう二つに分けまして、この第二種使用に関してはGILSP以外、取扱いに注意を要する ものについての確認は生物由来技術部会審議、薬事分科会報告の扱いとさせていただき たい。  また(2)になりますけれども、今申し上げましたGILSPの安全性の高い方のものについ ては、調査会審議、生物由来技術部会報告という扱いにさせていただきたいというもの でございます。  それから(3)になりますが、この法律が施行されることにより製造作業の工場設備につ いての確認が義務化されるということで、遺伝子組換え技術応用医薬品の基準適合性を 今まで指針に基づいてやってまいりましたけれども、そちらの適合性確認ついては今後 廃止するということで、この規定については削除するというものでございます。以上で す。 ○井村分科会長 ありがとうございました。ただいまの分科会における確認事項の一部 改正案について、いかがでございましょうか。御意見がありましたらどうぞ。よろしゅ うございますでしょうか。それでは御意見がなければ、本件については御確認いただき ました。ほかに何かございませんでしょうか。どうぞ、岩田先生。 ○岩田委員 ここで申し上げるのは適切かどうかちょっと分からないのですが、私が非 常に気にしていることは医薬品の商品名でございまして、昨今「タキソテール」と「タ キソール」との間違いがありましたけれども、当然予想されることが起こったという感 じなのです。新しいお薬に関しては厚生労働省の方からもそういう御指導があるようで すが、既に獲得されてしまった商品名に関して、やはりこれは事故につながることにな ると困りますので、命令までは行かないでしょうけれども、勧告とかそのような形でお 互いに…、片一方だけ変えるということは不公平ですから、紛らわしいものに関しては お互いに名称を変えるように勧告するというような、制度的なことはできないのかどう かということをちょっと伺いたいのですが。 ○井村分科会長 事務局の方、それについてはいかがでございましょうか。 ○安全対策課長 安全対策課でございますが、医薬品や医療用具が原因で起こりました 医療事故については対応しております。今回の抗癌剤の件ですけれども、国際的にも非 常に有名になってしまっている名前ですので、長年指導はしているのですが、メーカー の方もそれを変えることに踏み切ることはなかなかできないということです。今のとこ ろ次善の策として、表示として一般名を大きく打ち出すということを考えて、そのよう に対応する方向で動いております。それから医療現場においても、これは誤りやすいと いうことは分かっておりますので、それの処方の仕方とか、あるいは調剤時点での取扱 い等についても工夫していただくように通知等を発出しております。さらに将来的なこ とではございますけれども、医薬品の調剤時の過誤防止ということ、それだけではなく 管理上も非常に便利なので、バーコードを導入するような方向で対応したいと。これは 「IT」と言ったらおかしいですが、技術を使って人間のミスをカバーできるような体 制が採れないかと、いろいろな方法で対応していかざるを得ないという状況でございま す。既存のものではあと産婦人科関係の医薬品についてもかなり強く指導はしてきてお りまして、何らかの対応を一歩一歩採っていくという状態でございます。  既存の名前を変えさせるというのは商標上の問題等もありまして、それなりのきちん とした基準を設けないと、一方は変えて一方はそのまま置くというわけにはいかない。 ただ、非常に分かりにくい基準になってしまうので、それをきちんと決めるということ 自体が非常に難しいという状況で、こちらの方も対応に非常に苦慮していることは確か でございます。その点において、既存のものについては当面は医療現場での工夫をどう していくかという対応案を考え、そして粘り強く対応を考えていくと。行政の権限の範 囲ではそのようになっていることを御承知いただければと考えております。 ○井村分科会長 ありがとうございました。岩田先生、どうぞ。 ○岩田委員 それはよく分かるのですけれども、この間のような事件というのは非常に 大きく取り上げられますのでみんな注意するのですが、実害がないというと変ですけれ ども、もっとマイナーな、例えば「セレネース」と「セレナール」と間違っていたとか そういったことは、ちまたの現場ではしょっちゅうあることなのです。そういうことを 見ていますと、間違いましたで今のところ済んでしまっているのですけれども、本当に それでいいのかなと。というのは、それは医者の方にも責任があると思うのです。手書 きの処方せんで間違えられていることが多いですから、そういったものはバーコードを 使っても本人がセレナールだと思ってセレネースを出してしまったりしているわけなの で、そういうところで名前が全く違うものならばお医者さんの方もより識別しやすいだ ろうと。私はそういった意味で申し上げたので、テクニカルミスで間違えるということ よりもお医者さんが名前を間違って覚えてしまうということが怖いと。それは幾らIT を使っても、お医者さんが間違えて覚えてしまったということは非常に怖いのです。で すから、私はそういったものを取り上げているのであって、その解決にはならないので はないかと今思いました。私も別に具体的にこうしたらいいという案があるわけではな いし、これは大変難しい問題だとは思うのですけれども、そこに間違いが起こりやすい と。お医者さんの頭の中はなかなか変わりません。そういうことを申し上げたいと思い ます。 ○井村分科会長 よく分かりました。どうぞ。 ○安全対策課長 私が今言いましたのは薬剤を取り扱うという方向での部分ではありま したけれども、処方をするところでどう間違わないかということも、大病院であればオ ーダリングシステムとか、そういうものをかなり完備するようになってきましたので、 オーダリングのところでどうミスを防ぐかということを工夫していく必要があるだろう と考えております。その辺りも含めてもう少しいろいろと検討を進めていきたいと考え ております。 ○井村分科会長 ありがとうございました。どうぞ。 ○岡本委員 今薬剤師会でいろいろと検討しているわけですけれども、先ほどからおっ しゃっていただいているとおり、既に出ているものについて完全にこれを防ぐというの は非常に難しい共通の問題だと思っております。ただ当面のこととして、私どもとして も類似のものをかなりたくさんリストアップして現場に情報提供し、これだけは特に注 意しろという消極的な方法を採っておりますが、それはそれなりに効果は出てきている のではないかと思っております。処方の段階でのミス、調剤の段階でのミス、これは今 のところ完全には避けられない状況だと思っております。ただ、新しいものについては、 承認の段階で気が付かないものがあっても、私どもがたくさんよっていますとこれはあ る程度似ているのではないかということもありますので、それはその都度御意見申し上 げるようにしております。古いものについては、先ほどのように両方とも変更するよう に勧告したらどちらがどうなるか分かりませんけれども、とにかく今は医療事故の時代 ですから、これからは特にやっていかなければならないことだとは思っております。よ り機械化その他で対応できればと思っておりますが、今は私どもとしてもとにかく消極 的な方法で懸命に努力しているという状況でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。行政の方もベストを尽くしてくださってい ると思いますし、これはもちろん医師だけの問題ではなくて、医療職すべてがどうした らいいかということについて真剣に考えなければならないことは間違いないわけで、よ ろしくお願いいたします。ほかにございませんでしょうか。特に話題がなければ、これ で本日の議事は終わりでございます。  今日は今年最後の分科会でございますので、阿曽沼局長と鶴田審議官も出席される予 定だったのですけれども、いろいろなことが起こっているようで今非常に御多忙のよう でございますので、今日は欠席ということでございました。では最後に、吉岡医薬食品 局総務課長からごあいさつを賜りたいと思います。 ○総務課長 各委員の皆様におかれましては、本日は御多忙のところ御出席いただだき、 また長時間にわたって御審議いただきまして、改めて御礼申し上げたいと思います。  ただいまのお話にもございましたように、今日は本年最後の分科会でございます。本 分科会のこの1年を振り返ってまいりますと、まず本審議会の会長を始めといたします 委員の改選がございました。また、御審議いただいた事項としましては、新有効成分を 含有する新医薬品や新医療機器、あるいは昨年国会成立いたしました改正薬事法などの 施行関係など大変多岐にわたるものがあったわけでございます。委員の皆様方におかれ ましては、豊かな御経験を基にそれぞれ厳正に御審議いただきましたことをここに改め て深く感謝申し上げます。  今後とも医薬行政が国民の期待、あるいは信頼にこたえるものとなるためには、薬事 ・食品衛生審議会の所掌事項のみならず、各委員の皆様方に幅広く御審議いただき、そ の御意見を踏まえた上で厚生労働省として対応することが重要であると考えておりま す。今後とも委員の皆様方の忌憚のない御意見を賜りますよう、御指導方よろしくお願 いいたします。  最後になりますが、委員の皆様方の今後の御健康とますますの御活躍、また新しい年 が良い年になりますよう心からお祈り申し上げまして、私の御礼のごあいさつとさせて いただきます。ありがとうございました。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。それでは次回の分科会の日程でござ いますけれども、3月に予定したいと思います。後ほどいつものように事務局の方から 先生方の御都合を伺って決めることになると思います。それではこれで薬事分科会を閉 会いたします。どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714) - 3 -