03/12/03 第4回労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会議事録          第4回労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会                        日時 平成15年12月3日(水)                           10:00〜                        場所 厚生労働省専用第21会議室 ○櫻井部会長  ただいまから、第4回労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会を開催いたします。 今日は工藤委員、名古屋委員、浅野委員、船木委員からご欠席の連絡をいただいており ます。  また、委員の交代がありましたので、ここでご紹介させていただきます。今日はご欠 席ですが、労働者側代表として、JEC連合副会長兼セメント部会執行委員長の浅野委 員です。使用者側代表として、住友金属鉱山株式会社執行役員人事部長の橋中委員です 。同じく使用者側代表として、株式会社神戸製鋼所執行役員の吉田委員です。これらの 方々がご就任されております。  次に事務局の安全衛生部長、労働衛生課長、労働衛生課主任中央じん肺診査医、主任 中央労働衛生専門官がそれぞれ交代しております。初めに、恒川安全衛生部長です。 ○安全衛生部長(恒川)  8月29日付で、安全衛生部長に就任した恒川でございます。前職は健康局審議官をし ておりました。よろしくお願いします。この機会に一言ご挨拶させていただきます。  本日、「平成14年じん肺健康管理状況」についてご説明させていただきますが、ご案 内のとおり新規の有所見者労働者数については、250名程度ということで、非常に減少し てきていますが、全体の有所見労働者数としては、未だに1万人近くの方が有所見で苦 しんでおられます。事業主または労働組合のご努力により、減少はしてきているわけで 、私も就任以来、熊谷組が中心でやられている掛川東名第二トンネルや、岡山にある中 島プロペラ会社などを見させていただき、事業主の方が粉じんに対しどのような努力を しておられるかを見てきまして、さまざまな機械についても、随分と前進しているもの だと思った次第です。行政としては今後とも皆様方のご協力を得て、健康診断の一層の 徹底や、指導監督等に努力していきたいと思っております。今後ともご支援をよろしく お願いいたします。 ○櫻井部会長  あとは簡単にご紹介いたします。中林労働衛生課長です。 ○労働衛生課長(中林)  中林でございます。よろしくお願いいたします。 ○櫻井部会長  山崎主任中央じん肺診査医です。 ○主任中央じん肺診査医(山崎)  山崎でございます。よろしくお願いいたします。 ○櫻井部会長  高橋主任中央労働衛生専門官です。 ○主任中央労働衛生専門官(高橋)  高橋でございます。よろしくお願いいたします。 ○櫻井部会長  続いて事務局から、本日の資料の確認をお願いします。 ○主任中央じん肺診査医  資料はNo.1からNo.3まであります。資料No.1が部会委員名簿で、資料No.2と資料 No.3がそれぞれ現在の管理状況及び第6次粉じん障害防止総合対策です。また、それ ぞれガイドブックとリーフレット、参考1と参考2を配付しております。ご確認くださ い。 ○櫻井部会長  それでは今日の議事に移りたいと思います。今日の議題ですが、報告案件が2件あり ます。まず1番目の「平成14年じん肺健康管理状況」について、事務局から説明をお願 いします。 ○主任中央じん肺診査医  資料No.2に基づき、「平成14年じん肺健康管理状況」について、ご報告申し上げま す。まず1のじん肺健康診断結果ですが、適用事業場数が4万5,618あり、従事されて いる労働者数が36万1,686人です。そこでじん肺健康診断を実施した事業場数は、1万 7,612あり、受診労働者数は、19万946人となっております。次の下の表をご覧ください 。これは管理区分決定の件数の表で、じん肺健康診断の結果、都道府県労働局長に健康 診断結果が提出され、管理区分の決定がなされた数です。有所見者の合計が9,310件で、 その内訳として管理2が8,170件、管理3のイが735件、ロが385件で、管理3の合計は 1,120件です。管理4が20件で、合併症の罹患件数が9件となっております。それぞれ の数字の下に括弧がありますが、これは有所見者の合計を100%とした場合、それぞれ のパーセンテージを示したもので、その他の表においても同様です。  続いて2の随時申請に係るじん肺管理区分決定の状況について、ご説明いたします。 管理区分の決定件数が2,647件、うち有所見者の合計が1,998件となっております。その 内訳ですが、管理2が1,026件、管理3のイが340件、ロが410件で、管理3の合計は750 件です。管理4が222件で、合併症の罹患件数が705件となっております。  3は、平成14年中に合併症の療養を開始した方々の内訳です。療養を開始した者の合 計が79件あります。その内訳として肺結核が27人、結核性胸膜炎が1人、続発性気管支 炎が4人、続発性気管支拡張症が12人、続発性気胸が35人となっております。以上が「 平成14年じん肺健康管理状況」です。  次の頁の表では、じん肺健康診断実施結果の、昭和55年から昨年までの年次推移を示 しております。近年、粉じん作業従事労働者数は35万人から36万人台で推移しておりま す。その一方、有所見者数は昭和55年の4万2,387人から減少しており、平成14年には 1万人を切って、9,310人となっております。また新規有所見者数は、昭和55年の6,842 人から減少しており、平成14年には254人となっております。  次の頁の表は、昭和55年から平成14年までの随時申請によるじん肺管理区分決定件数 の推移を示しております。管理区分決定件数及び有所見者数については、少しずつでは ありますが、減少傾向にあります。平成14年の管理区分決定件数が2,647件、うち有所 見者数が1,998人となっております。以上です。 ○櫻井部会長  ただいまの説明について、ご意見やご質問がありましたら、どうぞお願いします。 ○田上委員  1つだけ教えてください。随時申請に係るじん肺管理区分決定状況で、合併症罹患件 数が705件、定期的に行われるものの合併症の罹患件数が9件で、その下の3では、平 成14年中に合併症の療養を開始した者の内訳に、79件というのが出てきますね。合併症 に罹患すれば療養しなければいけないということになっているわけです。データ的にこ ういうことが出ているのかもしれませんが、705+9の中の79というのは、実態的にど うなっているのでしょうか。 ○主任中央じん肺診査医  2番は随時申請による方で、主に離職後の方々が主に受けておられると思います。で すから何か症状を感じてお受けになっていることが多いので、そのようなことで合併症 罹患件数が多くなっているのだろうと思っております。  一方、3の平成14年中に合併症療養を開始した方々の内訳というのは、規則第37条に よるものですから、1の数と同じで、事業場のほうからご報告のあったものなのです。 ここで素朴にわいてくる疑問は、1の9件と79件の齟齬が問題になるわけです。おそら く定期健康診断の際は、ご本人は症状がなく、その後は定期健康診断を受けていないか 、あるいは受ける時期になかったがゆえに受けなかったけれど、その後ご本人が症状を 感じてお受けになった結果、70件ぐらいがプラスされてきたのではないかと考えている わけです。 ○田上委員  わかりました。要は、随時申請分はこの中に入っていないということですね。 ○主任中央じん肺診査医  そういうことです。 ○櫻井部会長  ほかに何かありますか。特になければ、当部会としてこの報告を承ったということに したいと思いますが、よろしゅうございますか。                  (異議なし) ○櫻井部会長  続いて「第6次粉じん障害防止総合対策」について、事務局から説明をお願いします 。 ○主任中央じん肺診査医  資料No.3の1頁ですが、この総合対策は、昭和56年以降、5次にわたって推進しま した粉じん障害防止総合対策に続くものです。計画の期間は、平成15年度から平成19年 度までの5カ年です。今総合対策においてはアーク溶接作業、金属等の研ま作業、トン ネル建設工事のそれぞれに係る粉じん障害防止対策、離職後の方々の健康管理の4点を 重点事項としています。行政の取組みとして、都道府県労働局や労働基準監督署などで は、以下の取組みを行うこととし、多くのものについてはすでに取り組んでいるところ です。  まずは指導監督を適切に行うために情報を整備すること、それらを踏まえた集団指導 や個別指導、さらに監督指導を実施することとしております。さらに計画の届け出の徹 底をします。労働安全衛生法第88条に基づく計画があって、この中に労働災害防止の計 画も含まれているわけですが、これらの徹底や適正な審査、実地調査の実施をしており ます。  他方、関係団体などに対しても、実施等をお願いを申し上げております。労働災害防 止団体、事業者団体等に対しては、別添の「粉じん障害を防止するために事業者が重点 的に講ずべき措置」の内容の周知徹底を指導すると共に、例えば粉じん作業に係る改善 事例の紹介など、活動の推進をしていただくことにしております。すでにいくつかの団 体では、こうしたことをやっていただいております。またアーク溶接機やグラインダー などの製造業団体に対しては、粉じん障害防止に係る留意事項について、カタログなど に盛り込んでいただくよう要請したところです。  さらに啓発事業も重要です。9月を「粉じん障害防止総合対策推進強化月間」と銘打 って、関係団体等に対し、構成事業場へのパトロールの実施など、各種行事の開催を要 請しているところです。3頁ですが、毎月特定の日を「粉じん対策の日」として設定す るよう、指導しております。加えてトンネル建設工事の発注者に対しては、「ずい道等 建設工事にかかわる粉じん対策に関するガイドライン」に基づき、対策を実施するため の措置について要請を行っております。また中小規模の事業者に対する支援も重要です ので、盛り込ませていただいています。  4頁の別添は、粉じん障害を防止するために、事業者の方々に重点的に講じていただ きたい措置です。まず、趣旨ですが、依然として毎年200人を超える有所見者が新たに 発生していることや、新規有所見者のうち、アーク溶接作業あるいは金属等の研ま作業 に係る作業者の占める割合が高いことなどを受け、こうしたことを重点的に講ずるとい う趣旨を明確にしております。その上で具体的な実施事項として、各重点項目ごとに具 体的な実施事項を取り上げております。  1「アーク溶接作業に係る粉じん障害防止対策」は、局所排気装置、プッシュプル型 の換気装置などの検査や1カ月に1回以上の自主点検などを求めております。5頁では 、呼吸用保護具の着用の徹底や、適正な着用の推進を求めております。そのために「保 護具着用管理責任者」の選任、それらの適正な選択、使用及び保守管理の推進を求めて います。さらにじん肺法第7条から第9条の2までの規定に基づき、じん肺健康診断の 実施と、その結果に基づく事後措置の徹底やじん肺有所見者に対する健康管理教育など の推進も求めています。  また、法令等の周知及びじん肺発生の再発防止対策の徹底として、粉じん障害防止措 置の要旨を作業場の見やすい場所に掲示するなどにより、労働者に周知していただかな ければならないとしております。じん肺の新規有所見者を発生させた事業場については 、再発防止対策を講ずると共に、衛生委員会において調査審議しなければならないとし ております。またじん肺に関する予防及び健康管理のための教育の徹底についても謳っ ております。  2「金属等の研ま作業に係る粉じん障害防止対策」については、局所排気装置の設置 や除じん装置の設置など、特定粉じん発生源に対する措置等の徹底や、作業環境の測定 及びその結果の評価を実施しなくてはなりません。さらに測定結果及びその結果の評価 に基づく対策を樹立します。これに関しては、衛生委員会において調査しなくてはなら ないとしております。作業環境の管理に関しては、局所排気装置等の適正な稼働ならび に検査及び点検の実施、呼吸用保護具の着用の徹底及び適正な着用の推進を求めていま す。特にたい積粉じん対策については、作業環境管理として「たい積粉じん清掃責任者 」の選任、特に毎日の清掃及び1カ月に1回以上のたい積粉じん除去のための清掃を行 わせることを求めております。さらに特別教育の徹底も求めておりますし、健康管理対 策、法令等の周知やじん肺発生の再発防止対策の徹底も求めています。  3「トンネル建設工事業における粉じん障害防止対策」としては、「ずい道等建設工 事における粉じん対策に関するガイドライン」に基づき、粉じん対策に係る計画の策定 、環境の測定等の措置を求める一方、健康管理対策を推進する旨の規定をしております 。これは就業時のじん肺健康診断の実施を徹底していただきたいということです。元方 事業者に対しても、かかるガイドラインに基づき、関係請負人に対する技術上の指導を 行うよう求めております。また、トンネル建設工事業者の店社における対策の推進、法 令等の周知の徹底も義務づけております。  最後に、「離職するじん肺有所見者に対する健康管理対策の推進」としては、じん肺 管理区分が管理2又は管理3の離職予定の方々に対し、離職者自らがじん肺の増悪及び 合併症を防止するための健康管理の方法を、じん肺に合併する肺がんのリスクや喫煙に よる健康影響などを記載した、「離職するじん肺有所見者のためのガイドブック」を配 付するように求めております。すでに各局を通じて、2万部程度配付しています。また 健康管理手帳交付申請の周知についても重要です。ガイドブックなどを活用し、離職予 定の方々に対し、健康管理手帳の交付申請の方法等について周知を図っているところで す。以上です。 ○櫻井部会長  ただいまのご説明について、ご意見やご質問がありましたらどうぞお願いします。 ○中桐委員  先週、北陸ブロックで私どもの労働組合の安全衛生担当者を一堂に会した会議があり ました。その際、石川労働局の担当者に来ていただき、第6次の粉じん防止計画の石川 労働局版の説明を受けました。大変熱心な方で、取組みとしてもサブタイトルに、「じ ん肺有所見者ゼロを目指して」ということで、「毎月1日は各職場一斉清掃の日です」 という形で取り組まれているのです。石川県という場所の問題もあるのかもしれません が、大変熱心に取り組まれている現状を見て、全国でこうなればいいなという気持を持 ちました。計画の初年度ということもあるのでしょうけれど、ほかの局でもこういう形 で進んでいくことを、切に望みたいと思います。  これに関して、少しご質問したいと思います。最後のご説明で、離職後の健康管理の 問題がありましたね。手帳の交付ならびに肺がんに関する検査の制度がスタートしたば かりですが、離職後はいいとして、離職した方、もうすでにしている方々は現在どのよ うになっているのか、もし把握されていればご披露願いたい。前回の部会でも、地域医 療の中に入っている離職後の方々が、この制度を知るのはなかなか難しいのではないか と指摘して、広報活動に力を入れていただきたいというお願いをしました。石川のよう に一生懸命やっていただいていれば、そういう声や制度についても地域に入っていくの でしょうけれど、全国広いわけですから、実態はどうなのかというところを心配してい るのです。データがありましたら、是非お願いしたいと思います。 ○主任中央じん肺診査医  ただいまのお話にもありましたが、このことについてはご理解、ご協力をいただいて おりますことを、お礼申し上げたいと思います。ご質問の件ですが、労働安全衛生規則 が施行された1月20日から、今年9月末日までの間におけるデータですが、管理2の健 康管理手帳の交付数は3,262部です。そのうち健康診断受診者は455人となっております 。やはり健康管理手帳の交付の周知が重要であることは認識しており、事業者向けのリ ーフレット約25万部、労働者、離職者向けのリーフレット約30万部を作成し、都道府県 労働局労働基準監督署を通じて、さらにはじん肺健康診断機関や事業者団体、もちろん 労働組合の方々にも周知申し上げているわけです。また関係広報誌や市町村の広報誌に 、改正内容の掲載をお願いしたり、厚生労働省のホームページなどにも改正内容を掲載 させていただいております。今後ともこうしたことを通じて、周知に努めてまいりたい と思います。是非とも関係者の方々のご協力、ご理解を得てやっていきたいと思います ので、よろしくお願い申し上げます。 ○櫻井部会長  いまの段階で、先ほどのご質問に対するお答えはよろしゅうございますか。 ○中桐委員  もう1点あります。この部会の扱いでないことは承知しておりますが、じん肺患者の 皆さんの問題を扱う部会として、是非担当局のご意見をお聞きしたいと思います。いま 現在、首相の諮問機関である総合規制改革会議が、労災保険の民営化を打ち出して、12 月の後半なり来年度3月までに、そういう方向を答申するという話があります。いまホ ームページ等々でいろいろな資料を見ますと、民間の保険会社を使った制度、自賠責に 倣ったような制度となっていますが、じん肺患者の皆さんは長く療養されて、さまざま な給付も受けてご苦労されているわけです。いま出ているような形で民営化が実施され れば、大変なことになるのではないかと危惧するわけです。  じん肺患者の皆さんの状況や問題が出ることについて、内閣府に何らかの意見なり説 明なりをされているのかどうか。担当課で言えば、おそらく管理課ということになるの でしょう。じん肺を預かる部局の管理課に対しても、じん肺患者としては大変なことに なるというご説明をされているのかどうか、その辺を大変心配しておりますので、状況 についてご説明いただければ、ありがたいと思います。 ○計画課長  どういう状況になっているかは、管理課から聞いておりますし、私どもも安全衛生部 として大変憂慮しており、この件については管理課としても、対外的にしっかりアピー ルしてほしいと申し入れております。そういったこともあって、連合のご了解、ご理解 も得て、労災保険の部会で反対であるというアピールを出していただきました。私ども としては今後も管理課と連絡を取りながら、特に今回は、じん肺部会でそういうご指摘 もありましたので、じん肺患者の方々についてはこういう状況にあるのだということを 、改めて管理課のほうに申していきたいと考えております。 ○中桐委員  よろしくお願いいたします。 ○櫻井部会長  ほかにご質問、ご意見がありましたら承ります。 ○田上委員  是非現状をお教えいただきたいと思い、ご質問させていただきます。じん肺要療養に なりますと休業補償給付が支給され、受給できるようになっています。この条文と言い ますか、取扱いを見ますと、1年6カ月を経過し、なお療養が必要と認められる場合は 、傷病補償年金に切り換えるという旨のことを謳ってあると思います。ただし1年6カ 月経過後の時点で、6カ月以内に改善の見込みがある場合は、休業補償給付でやってい くと書いてあると思うのです。現状、療養されている方で休業給付を受けられている方 と、休業補償年金を受給されている方の割合が、どうなっているのかをお伺いしたいと 思います。もっと具体的に言いますと、療養開始後1年6カ月を経過したにもかかわら ず、休業給付を受けている人はどのぐらいなのかをお伺いしたいと思います。  2つ目に、年金に切り換えられていないというのには、法の趣旨というか、取扱い上 の趣旨で言うと、改善の見込みが十分あるということだろうと思うのです。その点の実 態について、取扱い上どうなっているかをお教えいただきたいと思います。 ○労災補償課(渡辺)  ただいま労災保険関係についてのご質問がありましたので、私から回答させていただ きます。いまお話がありましたように、労災保険の中に傷病補償年金制度があります。 これはじん肺をはじめとして、業務災害を被って療養を開始し、それが1年6カ月を経 過した時点で要件を満たせば、支給するということになります。その際の要件は、まだ 治っておらず今後も療養を必要とするというのが1つです。もう1つの要件は、傷病等 級には1級から3級までありますが、この傷病等級に該当することです。その要件を満 たす場合は、それまでの休業補償給付に変えて、傷病補償年金となります。額的には大 して変わらないのですが、休業補償給付ですと毎回請求書を提出するのに比べ、傷病補 償年金という形になりますと、年金の形で2カ月に1回ずつ、自動的に振り込まれると いう違いがあります。  問題は傷病等級です。傷病等級というのは、かなり重篤な人が対象という設定になっ ております。例えば入院治療が必要であるとか、自宅で療養されていても、ほとんど床 に就いて療養しなければならないような方が想定されています。したがって1年6カ月 経って傷病年金に移行される方というのは、決して多くはありません。ちなみに平成14 年度に傷病年金に移行された件数は、全体で642件ありました。そのうちじん肺の方だ けをみますと、414件で、傷病年金に移行する人の割合のうち、じん肺の方が3分の2 ぐらいを占めているという状況です。これはやはりじん肺の方に重篤な方が多いことか ら、そういう結果になっていると思います。ですから、じん肺の方で傷病年金に移行さ れる方がほかと比べて少ないということは、決してありません。むしろ、ほかと比べれ ばずっと多いという状況です。  じん肺で療養されている方のうち、傷病年金移行者の全体数は、いまは持ってきてお りませんが、先ほど言った傷病等級に該当する要件を満たしている方は、やはり症状の 重い方ですから、管理4の方を中心に、合併症の方の割合は少ないのだろうと思ってお ります。ですから管理4という、かなり症状の重い方が中心に認定されていると承知し ております。 ○田上委員  傷病等級には1級、2級、3級とありますが、あの条文を読みますと、3級は、労災 で療養が必要と判断されている人の下限の部分を示すような感じなのです。私たちから 読むと療養ですから、労災で認定されて療養を必要とすると認められている人の一般の ところが、3級に該当するように感じられるのです。もちろん都道府県でそれぞれなさ れるのでしょうけれど、あの条文の解釈がその人の判断で、ある程度のばらつきもある のではないでしょうか。そのあたりはどうでしょうか。 ○労災補償課(渡辺)  もちろん個々人ごとに認定しますので、全部を比べると、多少の差はあり得るかもし れませんが、認定基準も作っておりますので、その認定基準に当てはめていけば、基本 的に大きくブレることはないだろうと思っております。傷病等級は1級、2級、3級と 設定しておりますが、治った場合の後遺障害の場合は、1級から14級まで定めておりま す。この1級、2級、3級は、障害等級の1級、2級、3級と大体横並びする程度のも のと、当初から設定されております。そうしますと1級、2級、3級に該当するという のは、かなり重度ということになります。治ってしまって後遺障害の障害等級の1級、 2級、3級に該当する方というのは、ほとんど寝たきり状態のような人が該当するわけ で、私どももその横並びということで設定しております。それは現場の職員もみんなよ く分かっておりますので、そこはそれほどブレないだろうと思っております。 ○田上委員  わかりました。 ○櫻井部会長  ほかに何かありますか。特にないようですね。では当部会としてこの報告を承ったこ とにしたいと思いますが、よろしいですか。                  (異議なし) ○櫻井部会長  続いて「その他」として、何かご発言はありますか。  特段ないようですので、今日の会議を終了したいと思います。なお、議事録は労働政 策審議会運営規定第6条第1項により、部会長の私と、私の指名する委員お二方が署名 することになっております。労使の代表1名ずつということでお願いいたします。本日 の議事録の署名は、町田委員と橋中委員にお願いしたいと思います。それでは皆様大変 お忙しいところ、どうもありがとうございました。以上をもちまして閉会といたします 。               じん肺部会会長             印               労働者代表委員             印               使用者代表委員             印                    照会先: 厚生労働省労働基準局安全衛生部                               労働衛生課じん肺班                                (内線5493)