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資料2

これまでの主な意見等





 第1回から第12回の検討会に事務局から提出した資料等に、各回における委員からの意見等を追加したもの。





第1回(5月26日)
 障害者(児)の地域生活支援施策の現状等
(1)障害者(児)の地域生活支援施策の現状について
登録事業所数と実際にサービスを実施している事業所数は別。全国のサービスの実績調査を望む。
高齢者に比べ障害者を対象とする事業者が少ない。都道府県も市町村への指導を強化することが必要。
自治体独自の取り組みもあるので、先進事例の紹介を望む。
地域における準備は、国の調査ほど進んでいないという印象。さらに厳密な調査を望む。
ほんの一部しか居宅サービスのニーズが顕在化していない可能性があるので、実態の調査が必要。
施設サービス利用者の中で、通所型施設の利用者は居宅サービスを利用し得る。居宅サービスを利用できる人とできない人とに分けてデータを取るべき。
今後、支援費の支給決定状況だけでなく、契約支給量やサービス利用状況のデータも必要。
確実なデータに基づいて議論を行うべきなので、厚生労働省で、今後、どのような調査を行うのかを本検討会に示してほしい。
精神障害者については、厚生労働省内で別途検討会が立ち上がるとのことだが、その検討状況も報告して欲しい。
この検討会で障害者の地域生活を考える際には、精神障害者の議論も妨げないでほしい。
移動介護を行う事業者は限られているので、事業者の事業内容も含めた調査を望む。
調査項目等についての要望は、個別にでも事務局に出すこととしてはどうか。
(2)今後の進め方について
知的障害者に、毎回、検討会の議論に参画してもらってはどうか。
半年や一年で終わる検討会ではない。様々な点について、時間をかけて検討すればよいのではないか。
時間をかけると来年度予算に反映させられないのではないか。
回数を決めた議論ではなく、きめ細かく議論することが必要。
国庫補助基準の議論について、現時点ではデータがないのでホームヘルプサービスの実態がわからないのではないか。
検討項目について、委員から出された検討項目を追加して整理することとしてはどうか。
(3)その他
財源論とサービス論を別にして議論してほしい。また、支給決定量が多くても、使い切れていない実態がある。サービス供給体制が不備なのか、支給決定の時間量が多すぎるのか。地域に入って実態を把握する必要がある。
財源とサービスをどう融合させるかを考えることがこの検討会では必要。その人らしい自立した生活を支える、という理念に異論はなく、サービスの在り方論も長い間議論してきた。それを支える財源が問題。
財源とサービスの間にどのような地域生活を支える仕組み・資源を配置させるかが重要。そのあと、財源の問題がくる。
9月からの検討は、メリハリをつけて議論することが必要。
デンマークには、ヘルパーを利用者が選び、費用は公的に保障される制度がある。日本ではまだ特別だと思われていることが、諸外国では当たり前のように行われている例がある。また、スウェーデンでは、障害者が自らが積極的に政策決定に参画しようと活動している。
どのような重度の障害者であっても、地域において適切に資源を活用することで、自立した生活を送ることができる。また、地域支援について、市民としての視点から議論する必要がある。この理念が重要であり、ゴールを気にせずフリーな議論をしたい。
走りながら考えるということで、時間を有効に使うためにも、焦点を絞りながら、これから進め方も含めて議論することが必要。


第2回(6月9日)
 委員からの意見発表(2回目)
 ろう重複障害者を対象とする社会資源が不足。社会資源がどれだけあるのか、実態の調査が必要。
 ろう重複障害者に対する情報・コミュニケーション支援に関する自助・共助・公助の在り方を整理することが必要。
 精神障害者を含む障害者についての総合的福祉を包括的に検討する視点が重要。
 ホームヘルプサービスを、障害者本人の自立と社会参加を支援する介護システムとして位置付けることが必要。また、障害者が地域で暮らすためには、介助者がある程度の医療行為をできるようにする必要がある。
 自立生活センターは当事者主体で運営することとしており、運営委員の半分は障害者で、代表は障害者。利用者の対象、時間、内容に制限を設けないという考え方の下、利用者に合ったサービスを目指している。
 障害者へのサービスの基本はエンパワメント。自立生活プログラムで障害者自らが練習することや、ピアカウンセリングで障害当事者が相談に乗り、生活技術などを伝えることが有効。
 障害者の自立生活に向けたニーズに応えるためのサービスの提供が、現在、財源面でどのような構造で行われているのかを分析する必要がある。
 障害者本人、親を含めた支援者が、地域に何を求めれば豊かな生活が営めるのかを考える必要がある。
 地域では、コーディネーターが障害者のニーズを持ち寄り、行政の関与の下、調整会議においてニーズを「社会化」し、制度をつくっていくことが重要。
 公立の入所施設を民間移譲することや、地域生活を支援する施設と位置付けることにより、地域生活を支える基盤整備に財源をシフトすることが重要。
 サービス向上のためには、利用者の選択のための情報提供や、ケアマネジメントの手法の活用が重要。
 支援費制度が日本の福祉において、新しい理念と方法を生み出そうとしているのだということを明確にすべき。そのためには、既存の制度を整理する必要があるが、既得権を前提とした整理では無理がある。
 事業者の経営の安定は、利用者の利便性とは必ずしも比例しない。事業者が経営上の観点に偏り、利用者の利便性が軽んじられないようにする必要がある。
 サービスを持たず、相談支援のみを行う事業者は、中立的な立場で地域のケアマネジメントに携わることが可能。
 支援費制度の現状について問題点を挙げると、障害者自身とケアマネジメント従事者の経験不足により適切な支給量の申請ができていないこと、事業者が不足していること、事業者主体のサービス提供が行われていることなどがある。
 ある自治体では、支援費制度施行後、ホームヘルプサービスの支給量が2〜3倍に増えているが、16年度以降の予算はどうなるのか不安もある。財源についての議論が必要。
 今後、この検討会で議論する施策の範囲としてどこまで考えるかの整理が必要。
 この検討会では、精神障害者の支援についての検討の動きと連携を取ってほしい。また、精神障害者からも意見を聴くことを考えてはどうか。


第3回(6月24日)
 委員からの意見発表(2回目)
 障害者で介護を必要とする人が地域において自立するためには、それぞれの障害者に合った介護者が必要であり、障害者自身が介護者を責任を持って育てなければならない。また、自立支援を目的とする障害者の介護は、家族支援を目的としてスタートした介護保険の介護とは同じには論じられない。
 在宅の脊髄損傷者については、潜在的なニーズに比べ、サービス基盤が不足している。
 盲人が地域生活をする上で最も障壁となっているものは、移動の自由と読み書きの自由が制約されていることである。
 移動介護について、実態を認識し、利用手続きの簡素化や単価引き上げなど改善できるところは早急に改善してほしい。
 障害者の地域生活支援のための相談窓口として、身体障害者相談員を制度的に活用することが必要。
 入所施設は、地域における在宅支援の拠点としての活用を図るなど、その在り方について検討をすることが必要。また、入所利用者からヒアリングを行ってはどうか。
 ほとんどのチャレンジド(障害を持つ人)が社会とのつながりや働いて収入を得ることを求めており、自立して納税者になることが可能。
 人の能力、可能性を引き出すのが福祉であり、IT(情報処理技術)を活用した就労支援が重要。
 介護保険制度の見直しの議論においては、高齢者の自立を進める方向で検討が進められている。障害者の地域生活支援の形をどうするか検討した上で、介護保険をそのツールとして考えていくことは可能。
 知的障害者にとっても、施設ではなく、地域での生活が基本ではないか。施設での生活には、プライバシーの問題もある。
 施設生活は良い面もある。また、知的障害者が施設ではなく地域での生活を送る場合、現行の介護保険制度においては十分なサービス量が受けられるのか、不安もある。
 社会福祉協議会は住民と協働してサービスを提供したり、ないサービスについては作り出すなどの取り組みをすることが重要。
 障害者の地域生活を支援するためにケアマネジメントは重要であり、地域において行政担当者、ケアマネジメント従事者、学識経験者、当事者を含めた検討の場が必要ではないか。
 医療サービスやホームヘルプサービス以外の在宅サービスを含めたサービスの組み合わせを個々の状況に応じて行うケアマネジメントの仕組みが不可欠であるが、それを担うマンパワーが不足している。
 地域において継続して暮らす上でステップアップするためのサービスがない。今後は、通所サービスなど施設サービスのプログラムを生活支援の立場から考えることと、地域において安心して暮らせるエンパワメントのためのプログラムをつくることが重要。
 障害者とそうでない人が地域の中で共に生活できるシステムとして、相談窓口の充実、居場所・働き場所の確保、在宅生活の支援が柱。このシステムづくりを住民との協働作業と位置付け、自助・共助・公助の在り方についても議論することが重要。
 財源の仕組みとして、介護保険を乗り越えてきた自治体の力を信じ、自治体が持てる力を発揮できるような仕組みとする必要があるのではないか。


第4回(7月17日)
 関係者からのヒアリング
 (1回目、重症心身障害児(者)関係、知的障害者本人、地域ケアネットワークの実践例(滋賀県))等
 重症心身障害児(者)は、適切な医療の管理下になければ命にかかわる。施設が限られていることもあり、在宅生活の支援は重要。ただし、在宅生活は、施設における医療・福祉・教育が一体となった療育あってこそのもの。在宅施策と施設施策が連携することが重要。
 現在入所している障害者が施設から退所した場合の具体策が必要であり、行き場のない退所者がないようにする必要がある。地域間格差の是正はこれからの課題。
 知的障害者は、障害者である前にまず、人間として存在すると考えており、意思決定に参加することが重要。そして、障害者と親が力を合わせる必要がある。
 知的障害者は、地域での生活を豊かにするため、仲間同士で様々な当事者活動を行い、助け合ってきた。具体的な実践例の存在が重要。また、ヘルパーの支援があれば、重度の人でも地域で自立した生活ができる。
 知的障害者にとり、年金は生活の基本となるので、十分な額が必要。また、公営住宅に住めるようにすることや、グループホームやアパート生活者に家賃補助をすることが重要。
 知的障害者に対応できる、移動介護などを行うホームヘルパーが少ない。
 地域においては、障害者本人や家族のニーズを総合的に把握することが重要だが、市町村では相談支援に関する取組が不十分であり、個別のケアプランが作成できていない。このような中で、サービス利用者が拡大している一方で、事業者は増えているものの、まだ足りない。
 圏域においてサービス調整を行うためには、地域における医療・保健・福祉・教育・労働などの分野の社会資源を結集し、ネットワーク化する必要がある。相談支援事業の中立性を確保し、サービスと分けて行うことが重要。
 「ノーマライゼーション=脱施設化」ではない。障害者を収容するだけでなく医療や住宅の機能を有する施設もある。さらに、在宅施策についても、居宅支援もあればグループホームのような中間的な社会資源もあるので、整理した上で検討する必要がある。
 これからの障害者(児)の地域ケアを考える上で、6月の高齢者介護研究会の報告書は参考になる。
 この検討会では、これからの日本の福祉システム全体を、地域生活支援を一つのテーマに組み換えていくことを目指した議論が行われることを望むが、そのためには、納税者を含めた国民的な視点が含まれていく必要がある。
 地域ケア・ネットワークのシステムは、滋賀県のようには進んでいない地域が多いのが現状。それぞれの地域のシステムがどのレベルにあるかについて、全国的なメルクマールが必要ではないか。


第5回(7月30日)
 関係者からのヒアリング
 (2回目、自閉症関係、地域ケアネットワークの実践例(横浜市、北信圏域))等
 自閉症に対する社会の理解と配慮が、あらゆる生活の場面で必要。家庭、学校、施設、職場に入り込み、継続して指導・助言をする専門家とそれを支える仕組み、医療・福祉・教育の連携が必要。
 自閉症を独立した障害として制度上認めて、必要なサポートをしていくことが求められる。
 居宅生活支援サービスの利用実績は伸びているが、支給決定ベースと請求ベースの実績ではかなりの差がある。
 障害児の親による、障害児の発育・療育や親同士のつながりのための活動が地域の課題に対応してきたが、そうした地域のニーズを踏まえ、行政は地域活動の拠点をつくり、サービス調整を行ってきた。
 障害者ケアマネジメントの手法を使える人たちを、行政においてどのように位置づけていくかは、今後の課題。
 地域にあるいろいろな資源をつなぐコーディネーターが、地域の現実的な課題を解決するため、関係者を集め、調整の場を設けることが重要。また、地域において、人々の暮らしのしづらさを解決しようという理念を共有することが重要。
 国は、ノーマライゼーションの理念を本気で実現しようと考えているのであれば、それに伴う財源も用意し、国民に理解を求めることが重要。
 予算が十分でない中で、地域生活を支援する方法を工夫することが重要。
 障害者・障害児の地域生活支援について、国は明確な意思表示をしつつ、地方自治に委ねることが必要。
 支援費制度により、ホームヘルプサービスの予算が相当増えてきている。自治体がどこまで応えられるか不安もあるが、行政が、生活者の視点に立った新しいサービス・産業と位置づけることが必要。
 知的障害者のホームヘルプサービスや家賃助成などを充実し、生活の可能性を拡げてほしい。


第6回(8月26日)
 関係者からのヒアリング(3回目、海外の動向(米、スウェーデン、英、独))
(1)関係者からのヒアリング(海外の動向)
 知的障害者の入所施設について、人口当たりのベッド数の推移を見ると、欧米では増加したあと減少に転じているが、日本は増加してきており、これからが節目。なお、主に提供されるサービスは、欧米では医療的ケアであるのに対し、日本では生活支援と異なる。
 アメリカでは、人口が比較的小規模の州において脱施設化が進んでいるが、ニューヨーク州では、政策策定者の方針決定が一貫していること、運営管理者の力量と経験等を要因として、大規模の州であるが障害者の地域生活移行が成功した。
 アメリカのグループホームでは、不審死が起こっているなど、世話人の量と質の問題が問われている。グループホームが「ミニ施設」にならないようにする必要がある。
 障害者の家族は、入所施設に預かってもらうと安心であるため、脱施設化に反対する傾向にあるが、施設から地域への移行をやってみると良かったと思う家族が多い。
 スウェーデンでは、1982年に成立した「社会サービス法」により国民の生活条件の平等がうたわれ、障害者を含むすべての社会的援助を必要とする人にサービスを提供しようということになった。
 スウェーデンでは、1993年の法律で援護から権利の達成を目指し、パーソナル・アシスタンス制度を導入した。また、入所施設等の解体についても法律を制定した。
 スウェーデンでは、入所施設を減らしてきている。小規模化、自己決定の尊重が重要。また、本人の意向を確認し、情報提供等の本人支援を行い、地域移行を支えるシステムを作っていくことが重要。
 イギリスでは、1990年にコミュニティケアの法律を制定し、1993年から施行された。サービス利用者が可能な限り自立して生活したいという要求に応えるもので、利用者が自らの生活をコントロールし、選択することを基盤としている。
 イギリスでは、ケアマネジメントが制度化され、高齢者・障害者がワンストップで受け入れられているのに対して、日本では関係者のケアマネジメントへの認識は低く、相談事業も分化している。
 ダイレクト・ペイメントは、イギリスにおいて制度化されている一方で、日本では未着手であり、既存の介護人派遣事業や自薦ヘルパーの利点を発揮した制度を検討することが必要ではないか。
 日本と比較したドイツの障害者施策は、リハビリテーション、一般就労の促進、福祉的就労の場としての作業所、そして当事者参加を重視してきた特徴がある。
 ドイツの社会扶助のうち、障害等の特別な生活上の困難がある場合の特別扶助については、介護保険制度の導入後は、障害者統合扶助のシェアが大きくなっている。
 ドイツの障害者及び障害児に対して、社会扶助を基礎に置いた部分保険として介護保険があり、このような点を踏まえて参考とする必要があるのではないか。
(2)今後の検討の進め方について
 サービス体系の在り方や先進事例の検討を具体的に行うことが必要。知的障害者にとってのケアマネジメントがない理由等、現状を分析する必要がある。また、サービス基盤については、サービスが低下したところもあり、その分析も必要。
 この検討会の成果を受けて、社会保障審議会の障害者部会を開催すると良いのではないか。


第7回(9月8日)
 地域生活を支えるサービス体系の在り方について(1回目)等
 障害者から支援費制度に対する期待や具体的な生活の例を出してもらい、対応の在り方を考えると良いのではないか。
 自立生活センターを利用している全身性障害者の半数は一人暮らしであり、同居する親族から介助を受けている人の中でも一人暮らしへの希望は強い。また、全身性障害者の介助サービスについて、全体介助の必要な人、一人暮らしの人、東京や大阪に居住する人は利用時間が長い。
 身体障害者は、家事援助よりも身体介護を多く希望している。事業者が支援費の単価が低いサービスを行わないことが不安。
 当初のアセスメントで、サービスを利用しようとする本人の希望を聴き、サービス提供を行う中でより本人の能力を把握し、自らが生活できる部分は引き出していく支援の形となる。その場合、ヘルパー、コーディネーターなどの調整役との連携が必要。
 自立に向けたサービスの在り方を考え、提供していくことが重要。
 サービス利用を希望する個人のニーズと支給量の関係に着目し、ニーズをどれくらい達成していくかという問題が重要。
 サービス支給量とニーズとの関係に加え、自立の経験や社会参加の度合いとの関係も調べる必要がある。
 障害者のニーズに基づく支給量となっているかが重要であり、ケアマネジメントの手法により総合的な支援を行える体制とすることが重要。
 ケアマネジメントについて、障害者はこれまでの受け身の姿勢を変える必要があるのではないか。
 高齢者の尊厳を支えるケアを実現するためには、地域における包括的なケアが必要。また、家族介護を前提とせずに居宅サービスを設計すること、施設が新しい機能、役割を地域に展開していくことが必要。
 どのようなケアを目標とするのかを明確に提示することが、国民の負担をいただく前提。また、介護保険制度は、ニーズが増大すればサービスを制約することなく伸ばし財源調整を行うこと、被保険者・負担者がお金が公正に使われているか、サービスの質を管理し、サービスがニーズに対応しているかのチェックが可能な仕組み。介護保険制度の仕組みを使いながら、障害者ケアにふさわしい仕組み、システムを議論することが重要ではないか。
 支援費制度における支援には、介護と社会参加の両面の要素があり、介護保険制度につながっていく要素もあるのではないか。また、従来の施設体系にとらわれない形態を活用していく必要があるのではないか。
 介護を得ながらでも働き、社会を支える側に回りたいと考えている障害者(チャレンジド)がおり、単に介護の量を増やすのではなく、誇りを持って生きていけるようにするためにはどうすべきかを議論する必要がある。


第8回(9月30日)
 地域生活を支えるサービス体系の在り方について(2回目)等
 ホームヘルプサービスでは担えない送迎や一時預かりのニーズへの対応を、県単・市単事業で行っている。ホームヘルプサービスの便宜の内容の見直しが必要。
 支援費サービス量・予算に限りがあり、契約について利用者も事業者も早い者勝ちになっている。また、事業者は、当面の安定的運営、利益確保のために、一定数の利用者を囲い込み、定型的なサービスを提供することとなり、利用者の利便性を欠く危険性がある。
 高齢者デイサービスの利用者は要介護度の低い者が利用するが、障害者デイサービスは逆。デイサービスの利用に対するイメージの転換が必要。また、デイサービスの提供時間を確保するためには、送迎時間の長さがネックになっている。重度の障害者や障害児に対するサービスを具体的にどのように充実させていくかを考える必要がある。
 利用者のニーズに対応して、若年ヘルパー、男性ヘルパー、ガイドヘルパーの増員が重要。また、障害者がヘルパーを希望するのは、これまでできなかったことをできるようになりたいからであり、そこにはエンパワメントの視点が入ってくる。
 入所施設と異なり、地域では生活の場と日中活動の場が別々になる。生活の幅の広がりに対応してサービスの層も厚くする必要がある。また、公助のみでニーズを賄うことは、一人の施設、世界一小さい入所施設のようなもの。地域とのつながりを実現するには、ケアマネジメントの手法を活用しながら、インフォーマルサービスを加え、、地域の力を活用し、地域を育てていく視点を取り入れることも重要。
 サービスの利用者がどのような生活をしたいのかを基本にした介護であるべき。また、私的サービスについて考えることも重要だが、住宅・交通など様々な社会政策を含めて障害者を取り巻く環境を考えることも必要。
 市の予算の使い方を考慮する必要がある。ある地域では、重度の知的障害者に月200時間しかホームヘルプサービスを使っていないところがあり、これで地域生活が維持できるか不安。レスパイトサービスよりもホームヘルプサービスを優先すべきではないか。
 地域福祉において、従来のフォーマルサービスだけでなく、インフォーマルサービスを含む地域資源を有効に活用することが重要。
 一般論として、自薦ヘルパー方式は尊重されるべきと考えているが、資格や費用の支払い方法で不明瞭さを感じたケースがあったので、当事業所では断ったこともある。
 新たなサービスを無理につくって行かなくても、現行のサービスの幅を広くしたり、柔軟性を増したりすることによっていろいろなことがカバーできるのではないか。
 現行のサービスを前提とせずに、障害者向けのサービスとは何なのかのサービス論を議論していくことが必要。
 ニーズとサービスの調整の仕組みと、インフォーマルケアを組み合わせて地域をつくっていくことを車の両輪として組み上げ、それらをベースに制度を考えていくことが必要。


第9回(10月14日)資料
 居宅支援3事業に関する主な意見等
1.議論が必要な具体的なニーズ
(1)居宅支援全般
 (1)入所施設から一時帰宅中の介助といった支援
 (2)医療的ケアに対する対応
(2)ホームヘルプ
 (1)例えば失禁、転倒、パニックといった突発的に起こることに対する速やかな対応
 (2)24時間体制で待機者がいて緊急派遣を行う緊急介助派遣のようなサービス
 (3)職場や学校での介助
 (4)例えば、自治体単独事業としての放課後の障害児童預かりの場所や、無認可作業所といった活動の場において、介護支援を担うスタッフが十分揃っていない場合の身体介助等
 (5)重度の聴覚障害者について、情報、コミュニケーションに対する支援
 (6)通勤・通学等の日常的かつ恒常的な移動に対しての支援
 (7)自閉症者に対する移動介護における見守りとしての支援
 (8)移動介護における、公共交通機関以外の移動手段(自家用車等)
 (9)移動介護における、宿泊を伴う外出
 (10)ろう重複障害者にこそ、情報・コミュニケーション支援について議論が必要。
 (11)視覚障害者に最も必要なガイドヘルプサービスに関して、利用手続きの簡素化が必要。
(3)デイサービス
 (1)例えば学校からセンターへ、センターから保護者の職場へといった自宅外への送迎
 (2)障害のある中学生や高校生の放課後や夏休みに関する対応
(4)ショートステイ
 (1)施設以外での受入(共同作業やデイサービスセンター等)、受託先の弾力化
 (2)通所施設における宿泊による受入

2.その他
(1)地域生活支援に関する理念等
 (1)これからの施策は、施設サービスから在宅サービスの充実へシフトさせることが必要
 (2)障害者のホームヘルプは、自宅における介護だけではなく、自立して社会で暮らすということをサポートすることである
 (3)自立に向けたサービスの在り方を考え、提供していくことが重要
 (4)エンパワメントの視点が重要
 (5)障害者の介助サービスは、障害者のニーズに応じて時間、対象、サービス内容の3つについて無制限であるべき
 (6)パーソナルアシスタント、ダイレクトペイメントの検討が必要
 (7)ホームヘルプサービスの国庫補助基準は、NPOを含め提供基盤が整備されている都市部のサービス状況と町村のサービス状況に格差があることから、一律の基準ではなじまない
(2)生活ニーズに応じたサービス提供の在り方
 (1)公的サービスを弾力的・柔軟的な運用をすることで利用者ニーズの多くに対応可能
 (2)公助のみでニーズを賄うことは、一人施設化(世界一小さい入所施設)。ケアマネジメントの手法を利用しながらインフォーマルサービスを加えるほうが、生活の幅に広がりがでる
 (3)現状で用意されている公的サービスの範囲を超えてニーズがある場合は、それを県や市町村に認識してもらい、欲しいサービスがなかったら作ってもらうよう活動しなければならない。
 (4)ホームヘルプサービスをはじめとする現行のサービスについては、当事者の生活ニーズに合ったサービスが提供できるよう、柔軟に実施できる仕組みが必要。
 (5)制度の柔軟性は必要だが、納税者である国民が納得できる客観性や根拠を示し、合意を得ることが前提。
 (6)サービスメニューを固定して、それに縛られるよりも現状の大まかな枠で良いのではないか。なお、制度の柔軟性はケアマネジメントやサービス調整の仕組みとセットであることが必要。
(3)財源の確保、サービス量の確保
 (1)サービス提供事業者について、特に町村部について事業者の確保が必要
 (2)日常生活支援のサービスを提供する事業者数が少なくその確保が必要
 (3)移動介護の単価は低いため、移動介護を行う事業者が少なく、その確保が必要
 (4)地域に移行するためには、ショートステイ事業を増やすことが必要
 (5)ショートステイがないため、市の単独事業でグループホームの寮を使って対応している
 (6)全身性障害者の居宅支援に関するニーズの内、ホームヘルプサービスとして公的に提供すべき内容と範囲について検討し、市町村が行なう支給量決定の勘案基準等の策定を図ることが必要
 (7)ガイドヘルパーについて、身体介護を伴う場合と伴わない場合の判断を含む最低限の基準を定めることが必要
(4)その他
 (1)障害者(児)の地域生活支援の在り方を検討するに当たっては、三障害を一体的に捉えることが必要であり、精神障害者の地域生活支援の検討会とも連携しながら進めるべき。
 (2)知的障害者本人も構成員に加えるなど、当事者の意見がより適切に反映されるよう運営上の工夫を行うべき。
 (3)サービスの在り方についての議論を深めるため、ワーキンググループを設けるなど、運営上の工夫を行うべき。


第10回(10月28日)資料
 就労・住まいの支援施策に関する主な意見等
(1)就労
 (1)チャレンジド(障害者)が自立して納税者となる社会をつくっていくことが望ましい。
 (2)介護を得ながらでも働き、社会を支える側に回りたいと考えているチャレンジド(障害者)がおり、単に介護の量を増やすのではなく、誇りを持って生きていけるようにするためにはどうすべきかの議論が必要。
 (3)視覚障害者向けの授産施設等や第3セクター方式による企業の開設の促進等、視覚障害者の雇用促進
 (4)通勤の困難な重度障害者等を念頭に、在宅就業におけるIT活用の推進
 (5)在宅就業を行う障害者の仕事の受発注や技能の向上に係る援助を行う支援機関の育成、支援等の充実
 (6)障害者の就業面と生活面での支援を一体的に行うため、障害者就業・生活支援センターを通じた支援の促進
 (7)授産施設及び小規模作業所が、企業等における雇用に一層効果的につなげていくことができるよう、障害者就業・生活支援センターや職場適応援助者事業を活用するほか、適切な方法で施設外授産を行う。
 (8)障害者が一人しかいないような小規模の職場におけるコミュニケーションの支援が不十分。家族や地域との調整などを行う生活支援の機能が必要。
 (9)介護を受けながら働ける人と、働きたくても働くことが困難な人とを分けて議論すべき。
 (10)介護を受けながらでも働き、社会を支える側に回りたいと考えている障害者が多い。単に介護の量を増やすのではなく、誇りを持って生きていけるようにするためにはどうすべきかを議論することが必要。
 (11)「入れ物・器」の議論ではなく、例えば、福祉的就労から一般雇用へ移行させるシステムをどのように構築するかといった「機能」の議論をすべき。
 (12)障害者が働くことを行政の力だけでなく、その可能性を広げようと活動する者と企業の参画により支援することが必要。
 (13)職業リハビリテーションにより、一般雇用や福祉工場での雇用につなげていくことが求められており、施設の多様な実態を踏まえ、一般雇用と福祉的就労の線引きを考え直すことが必要。
(2)住まい
 (1)ろう重複障害者が利用できるような福祉ホームの規制緩和や運用の見直し
 (2)重症心身障害者福祉ホームの創設
 (3)グループホームの世話人の業務と質の向上
 (4)グループホームにおいてより多くの支援を必要とする者(重度障害者)への対応の必要性
 (5)身体障害者向けのグループホーム制度の創設
 (6)民間のアパートや公営住宅について、障害種別間の入居要件(単身生活の可否等)の格差の是正
 (7)グループホームや民間のアパートに生活する障害者への家賃補助
 (8)親亡きあとの当事者の家をグループホームとして活用するなど、地域の資源を有効に活用していけば生活の根拠ができ、社会参加につながる
 (9)施設から地域への流れを具体的に押し進めるための取組みとして、グループホームの整備を一層進めていくことが必要。


第11回(11月14日)資料
 相談支援、ケアマネジメントに関する主な意見等
1.障害者基本計画及び障害者ケアガイドラインにおける位置づけ
(1)障害者基本計画における位置づけ
 (1)身近な相談支援体制を構築するため、ケアマネジメント実施体制の整備やケアマネジメント従事者の養成を図る。なお、これらの相談窓口は、様々な障害種別に対応して総合的な運営を図る。
 (2)市町村を中心とした相談・支援体制の充実を図り、これを拠点としてケアマネジメント体制を整備する。
(2)障害者ケアガイドラインにおける位置づけ
 (1)障害者の地域生活を支援する観点から、障害者ケアマネジメントを活用した相談支援が重要である。
 (2)障害者ケアマネジメントは、市町村が自ら実施するか、都道府県及び市町村が委託している相談支援事業において実施する。
 (3)障害者ケアマネジメントは、福祉事務所、更生相談所、保健所及び精神保健福祉センターにおける相談業務においても活用すべきである。

2.議論が必要と考えられる事項
 (1)支援費制度の円滑な運営と障害者の地域の中での自立生活の一層の促進が図られるよう、相談支援及び地域生活支援体制の拡充について支援をすることが必要。
 (2)関係者のケアマネジメントへの認識は低く、相談事業も障害種別ごとに行われているなど相談支援に関する取り組みが不十分。
 (3)障害者ケアガイドラインの趣旨に沿って、ケアマネジメントの手法を用いた相談支援を行っている地域が少ない。
 (4)障害者福祉におけるケアマネジメントの位置づけについてどう考えるか。また、支援費の支給申請・支給決定と相談支援、ケアマネジメントの関係についてどう考えるか。
 (5)相談支援を行う事業者は、中立的な立場でケアマネジメントに携わることが望ましい。
 (6)ケアマネジメントの実施主体はどうあるべきか。
 (7)ケアマネジメント従事者を資格化する必要があるのではないか。
 (8)障害者ケアマネジメントも、介護保険制度におけるケアマネジメントと同様に事業として位置づける必要があるのではないか。
 (9)セルフケアマネジメントについてどう考えるべきか。
 (10)地域におけるサービスの現状の把握や社会資源の開発、改善等を行うサービス調整の仕組みや位置づけをどう考えるべきか。
 (11)サービス事業所を持たない相談支援機関は、経営面での安定性について懸念がある。
 (12)ケアマネジメントについて、高齢者と障害者との違いや、身体障害者と知的障害者との違いを強調するのではなく、個々が違うことを前提に考えることが必要。


第12回(11月26日)資料
 サービス供給を支える基盤(財源、人材面)に関する主な意見等
1.財源
 (1)ホームヘルプサービスをはじめとする在宅サービスについて、国の責任において財源を確保し、二分の一相当額を確実に市町村に助成するべき。
 (2)障害者プランの方向性に沿って、施設サービス重視から在宅サービス重視に施策をシフトさせ、施設支援から居宅支援への財源配分の変更を図るべき。
 (3)施設から在宅への流れを、具体的にどのように構築していくかが重要。その際、厳しい財政状況や施設入所者と在宅生活者の負担のアンバランスがある中で、限られた財源の配分を工夫することが重要。
 (4)財源とサービスをどう融合させるかを考えることがこの検討会では必要。その人らしい自立した生活を支える、という理念に異論はなく、サービスの在り方論も長い間議論してきた。それを支える財源が問題。
 (5)地方分権化の流れの中での障害者施策における国や都道府県の役割、介護保険との関係等も本検討会において議論が必要。
 (6)支援費サービス量・予算に限りがあり、契約について利用者も事業者も早い者勝ちになっている。また、事業者は、当面の安定的運営、利益確保のために、一定数の利用者を囲い込み、定型的なサービスを提供することとなり、利用者の利便性を欠く危険性がある。
 (7)今は、全障害者に占めるサービスの利用者数は少ないが、潜在的利用者を考慮すると、今後、その増大が見込まれる。今年度や来年度の予算の議論では済まされず、抜本的な制度の見直しが必要。
 (8)財源の仕組みとして、介護保険を乗り越えてきた自治体の力を信じ、自治体が持てる力を発揮できるような仕組みとする必要があるのではないか。
 (9)どのようなケアを目標とするのかを明確に提示することが、国民の負担をいただく前提。介護保険制度の仕組みを使いながら、障害者ケアにふさわしい仕組み、システムを議論することが重要ではないか。
 (10)サービスの充実及び財源の確保を図り、真のノーマライゼーションの理念を実現するため、支援費制度と介護保険制度の整合性を図るとともに、現在の介護保険制度見直しの議論の中で、十分な議論をすべき。
 (11)介護保険制度の見直しに併せて支援費制度の移行の議論をすることは時期尚早。消費税も含めて国の財源の在り方について議論の対象にすべき。
 (12)国は、居宅生活支援費の予算を施設訓練等支援費と同様に義務的経費にすべき。

2.人材
(1)量の確保
 (1)障害者のホームヘルプサービスを担うヘルパーが不足している。特に、男性ヘルパーやガイドヘルパーの確保が困難である。
 (2)障害者ケアマネジメント従事者が不足している。
 (3)聴覚障害者、視覚障害者に対する情報・コミュニケーション支援に当たる者、相談員が不足している。
 (4)個々の障害者のニーズに即応できる地域のサービス資源として、ボランティアのより一層の確保が必要である。
 (5)障害者は、それぞれの個人にあった介護者を必要としており、これに一律のヘルパー資格を当てはめるべきではない。
(2)質の確保
 (1)障害の重度化や多様化が進む中で、支援に当たる者の専門性や支援技術の向上のために、支援に当たる者や事業者の努力と、行政の支援が必要である。
 (2)窓口となる市町村職員の専門的な知識・経験が確保される必要がある。
 (3)障害者ケアマネジメント従事者の資質の向上を継続的に進めるべきである。
 (4)支援に当たる者のサービスの質を担保する上で、第三者評価を進める必要がある。
 (5)ヘルパーの質の評価は、当事者が決めるべきである。
 (6)当事者によるヘルパー養成のプロセスも、専門性として評価するべきである。



 【参考】
「障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会」の開催状況

5月26日
(第1回)
障害者(児)の地域生活支援施策の現状
今後の進め方について
6月9日
(第2回)
委員からの意見発表(1回目)
6月24日
(第3回)
委員からの意見発表(2回目)
7月17日
(第4回)
関係者からのヒアリング(1回目)
 重症心身障害児(者)関係
知的障害者本人
地域ケア・ネットワークの実践例(滋賀県)
データ収集の進め方について(1回目)
7月30日
(第5回)
関係者からのヒアリング(2回目)
 自閉症関係
地域ケア・ネットワークの実践例(横浜市、北信圏域)
データ収集の進め方について(2回目)
8月26日
(第6回)
関係者からのヒアリング(3回目)
 海外の動向(米、スウェーデン、英、独)
9月8日
(第7回)
地域生活を支えるサービス体系の在り方について(1回目)
高齢者介護研究会報告書について(報告)
平成16年度概算要求について(報告)
9月30日
(第8回)
地域生活を支えるサービス体系の在り方について(2回目)
支援費制度の施行状況調査(抽出調査分の報告)
10月14日
(第9回)
地域生活を支えるサービス体系の在り方について
 (3回目、ホームヘルプサービス等居宅支援サービスについて)
10月28日
(第10回)
地域生活を支えるサービス体系の在り方について
 (4回目、就労、住まい等の施策について)
居宅生活支援サービスの利用状況調査(報告)
11月14日
(第11回)
平成15年度ホームヘルプ予算の執行について(報告)
サービスを適切に供給していくためのシステムの在り方について
地方3団体からのヒアリング(1回目、全国知事会)
11月26日
(第12回)
○サービス供給を支える基盤の在り方について
地方3団体からのヒアリング(2回目、全国市長会、安芸たかた広域連合(全国町村会推薦))
12月12日
(第13回)
○今後の進め方等


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