03/11/12 第28回労働政策審議会雇用均等分科会議事録            第28回労働政策審議会雇用均等分科会 1 日時:平成15年11月12日(水)9:00〜 2 場所:厚生労働省 専用第21会議室 3 出席者   労側委員:稲垣委員、片岡委員、佐藤(孝)委員、吉宮委員   使側委員:川本委員、吉川委員、前田委員、山崎委員、渡邊委員、   公益委員:若菜会長、今田委員、佐藤(博)委員、樋口委員、横溝委員 ○分科会長  ただいまから第28回「労働政策審議会雇用均等分科会」を開催いたします。本日は、 奥山委員と岡本委員がご欠席です。  それでは、早速議事に入ります。本日の議題は、「仕事と家庭の両立支援対策につい て」です。今日は、前回の分科会での議論を踏まえて修正した主な意見と、これまでの ご議論で出てきた論点ごとに検討の方向性について整理した「今後のとりまとめに向け た検討のためのたたき台」を事務局に用意していただいておりますので、説明をお願い いたします。 ○事務局  まず資料の説明に入る前に、前回、公益委員からご質問がありました有期労働契約の 労働者に対する育児休業給付の取り扱いが、現行はどのようになっているのかについて 説明をさせていただきたいと思います。  これは雇用保険法の一般被保険者については、労働契約に期間の定めがあるか否かを 問わず、育児休業給付の受給が可能である。ですから、期間雇用者であっても、雇用保 険の一般被保険者になっている方であれば、育児休業給付の受給が可能であるというこ とです。ただし、育児休業を開始する時点で、当該育児休業終了後に離職をすることが 予定されている場合については、育児休業給付の支給によって雇用の継続を図るという 制度の趣旨に合致しないということで、現在の雇用保険制度では、支給対象としては取 り扱っていないということです。それでは以下、資料についてご説明いたします。  まず資料No.1です。これは前回提出しました本分科会における主な意見としてとり まとめたものですが、前回のご意見を踏まえて追加しています。具体的に追加した部分 は、1頁のいちばん下の「仮に休業期間を延長するとしても、雇用保険の厳しい財政状 況を考えれば、失業していない人に雇用保険からこれ以上の給付を行うことは適当では ない。」というご意見、もう1点は4頁の5の「その他」の(2)「妊娠・出産にかか わる不利益取扱いについて」の「仕事と子育ての両立支援とあわせて、妊娠・出産にか かわる不利益取扱いをきちんと解消していくことが必要」という2点のご意見を追加し ています。  資料No.2です。これについては前回の分科会の最後に申し上げたとおり、前回まで のこの分科会での議論を踏まえて、公益委員の先生方にもご相談をしながら、事務局と してとりまとめに向けて検討いただくためのたたき台ということで作成した資料です。 それでは以下、読み上げさせていただきます。  1「育児休業・介護休業の対象労働者の範囲」。期間を定めて雇用される者について も、これらの者の多くが契約の更新を繰り返すことにより一定期間継続して雇用されて いること、労働契約期間の上限を延長する労働基準法の改正が行われたこと等にかんが みれば、雇用の継続という観点から、一定の要件に該当する期間雇用者について、育児 休業及び介護休業の対象とすることを検討すべきではないか。  2「育児休業の期間等」。1歳までの時期が時間的にも労力的にも親である労働者の 仕事と子育ての両立が最も難しい時期であることから、育児休業の期間は1歳に達する までとされているが、1歳に達する時点で保育所に入れない等特別の事情がある場合に ついては、雇用の継続を図る観点から、1歳を超えて一定期間休業できるようにするこ とを検討すべきではないか。  なお、育児休業の取得回数について、一律に複数回の取得を可能とすることについて は、必ずしも多くのニーズがあるとは想定されず、一方で事業主の負担は大きいと考え られるが、再度の取得を認める「特別な事情がある場合」が現行のままでよいか、検討 する必要があるのではないか。  3「介護休業の取得回数」。介護休業は、家族による介護がやむを得ない場合の緊急 的措置であり、家族が介護に関する長期的方針を決めるために必要な期間に休むことが できるようにするための制度として、3か月までの期間で、同一の対象家族1人につき 1回取得できるものとされているが、雇用の継続を図る観点から、同一の対象家族1人 につき、要介護状態ごとに1回休業できるようにすることを検討すべきではないか。  4「子の看護休暇」。子の看護休暇については、平成13年の法改正により努力義務と されているが、特に小学校就学前の子を養育する労働者が子育てをしながら働き続ける ためには、労働者にとって避けることができない子どもの病気やけがの際の対応も大き な課題であり、この観点から、第156回国会での次世代育成支援関連法案の附帯決議に おいて、子の看護休暇の請求権化を検討することが決議された。子の病気等により休む ことを余儀なくされる日数、年次有給休暇の付与日数等は労働者により様々であるが、 このような状況を踏まえ、最低基準として、一定日数の休暇を制度化することを検討す べきではないか。  5「短時間勤務制度」。選択的措置義務を採る現行制度の下で、短時間勤務制度を採 る事業所の割合が最も高く、労働者のニーズも大きい。とりわけ育児休業から復帰後の 一定期間については、1歳までほどではないにしても親が育児のために相当の時間を費 やす必要がある期間であり、その時間を確保して子育てをしながら働き続けるために は、現実に働く時間を短縮できる短時間勤務制度が最も有効であることを踏まえ、業 種、業態等にも十分配慮しつつ、短時間勤務制度を原則とすることを検討すべきではな いか。  また、要介護状態にある家族を介護する労働者についてはどう考えるべきか。 ○分科会長  それでは、今のたたき台に沿って、論点ごとにご意見がありましたらお願いいたしま す。また今の説明について、ご質問があればお願いいたします。まず最初に、1の「育 児休業・介護休業の対象労働者の範囲」からいきたいと思います。 ○労側委員  これまで出された分科会における主な意見が出ています。それとたたき台というテー マごとにまとめられたのを見ますと、出された意見がたたき台に載っていない課題があ りますが、どういう理由でしょうか。例えば、男性の育児休業取得促進や経済的支援な どについては、たたき台にないのですが、どういうことですか。 ○事務局  冒頭にご説明しましたとおり、事務局として、今後のとりまとめに向けた検討のため のたたき台ということで作成しましたので、今後議論は、もちろんこのたたき台のみに 限定されるものではないと思います。これをまさにたたき台として、それ以外の、さら にこういった課題についても考えられるのではないかというご意見も当然ながらあるだ ろうと思いますので、そういったものも含めて、今後はご検討いただければと考えてお ります。 ○労側委員  ご検討というのは、どういうことですか。たたき台に出ている以外も検討していいと いうことですか。 ○事務局  ただいまのご意見のように、たたき台には入っていないが、今後の例えば、報告をと りまとめるに当たって、こういったものもその項目として取り入れるべきであるという ご意見は当然ながらあるだろうと思いますので、そういった点も含めて検討していただ ければと思っています。 ○労側委員  今日、OECDの報告が配付されています。大変ありがとうございます。これも我が 国に対してOECDが、私の記憶では、労使、政府のヒアリングなどをしながらまとめ られたものと理解していますが、ここで指摘されている課題は、非常に大きなテーマに なっていて、まさに私がいま分科会で議論していることと合致しているわけです。そう いう意味で、たたき台にまとめられたテーマも大事なことですが、広く議論して、もち ろん次の課題というのは出てきますので、そういう点で、是非広く議論していただきた いと思います。 ○分科会長  そういう前提で、適宜入れていただくとして、1からご意見、ご質問をお願いいたし ます。 ○労側委員  これまでの議論の中で、期間労働者への適用について労働基準法の改正などの背景が あげられていますが、公務部門における臨時、非常勤などの有期問題などはどういう扱 いですか。法の谷間とよく言われますが、私どもの分科会で紹介された公務員にかかわ るものは適用されておらず、民間のものも適用されていない。しかし、雇用保険は払っ ているという実態だと聞くのですが、それは今回の検討により対象に入るのですか、入 らないのですか。 ○事務局  私どもの制度のほうは、当然ながら法律上、適用対象は決まっておりますので、基本 的には適用対象の範囲内の方、期間雇用者をどうするかという問題はありますが、基本 的にはその範囲の中で議論することになろうかと思います。 ○労側委員  と申しますと、入るということですか。例えば、学校の給食センターや福祉施設など にいる方々、臨時非常勤の方々の身分は公務員ではないのではないですか。 ○事務局  身分は非常勤であるが公務員ということです。ただ公務員ではありますが、例えば、 公務員の給与法等の対象にはならないという整理だと思います。 ○労側委員  民間の雇用保険に入っているのです。 ○事務局  雇用保険に入っているということと、公務員ではないということとは直接リンクしな いと思います。身分上は、基本的には公務員ですが、例えば国家公務員の退職手当法あ るいは公務員のそういった制度の対象にならない方については、雇用保険を適用すると いう形が一部あるのだろうと思いますが、身分として、そういう方は民間労働者かとい うと、公務員という整理だろうと理解しております。 ○労側委員  その方々は公務員育休法に基づく育児・介護休業制度は適用されていませんね。 ○事務局  公務員の制度としては適用されていないということかもしれませんが、いずれにして もそういう方は、公務員であることは間違いないですから。 ○労側委員  民間法は適用されていますか。 ○事務局  当然公務員ですから、私どものほうの対象にはなっていません。 ○労側委員  実態として矛盾を感じませんか。 ○事務局  実態として、そういう実態にあるということはあると思いますが、基本的に私どもの 仕組みというのは、民間の労働者を対象にするものだと理解していますので、そういっ た中で、その問題をどのように考えるのかと思います。 ○労側委員  そうすると置き去りになるわけですね。 ○事務局  その方たちをどうするかという議論はあるのかもしれませんが、そこはどういう体系 の中で考えるべきなのかという議論は当然あるのだろうと思います。 ○労側委員  では、どうすればいいのですか。そういう方々は結構多く、数としては10万人を超え るぐらいだと思います。たぶんこれから規制改革会議等にかかわる公民制度見直しとい うか民間委託というか、そういう面での委託事業が始まると、身分的には公務員です が、法の谷間にある人がどんどん増えてくると思います。これを放置していいかどうか ということが、私はあると思うのですが、その方々に対するこの制度の適用はどのよう にすればいいのですか。 ○事務局  一方で公務員であることは間違いないと思いますので、いまこの場でそういう方を、 どこで、どのように議論の対象にすべきかを、私どもが申し上げるのは難しいと思いま す。 ○使側委員  2つあります。1つは、基準法の改正がされて、雇用契約期間が長くなるということ はありますが、これから始まることで、これの実態がどのように動いていくのかは、い まの時点では非常に見えにくいところがあるのではないかということがありますので、 それを前提にして変えていくのは、まだ少し時期が早いのではないかと思います。  もう1つは、雇用契約期間を定めて雇用されている人たちが、その契約期間を超えて 休業という概念は、まだ理解しにくいところがあると思いますので、契約期間を超えて 休業を延ばすのは難しいことで、ここに労働者の範囲を広げていくのは難しいのではな いかと考えます。 ○分科会長  いまの点について、ご意見はございますか。 ○公益委員  使側委員の発言の確認ですが、一定の要件について、契約期間が、例えば6か月で、 3か月目ぐらいに育児休業する。それで契約期間とずれてしまうときのことを言われた わけですね。ですから、一定の要件もいろいろな条件があり得るので、例えば、3年と いう契約期間で更新もあり得るという契約をしている場合は、契約期間の中に育児休業 が収まるような場合もあり得るということですね。 ○使側委員  契約期間の中に収まるのであれば、良い悪いは別にして、まだ考え得るかと思います が、契約期間を外れてというのは、まずそこに相当な理由というか納得性のある理由が 付かなければ、経営というよりは、一般のものとして納得し難いのではないかと思いま す。 ○労側委員  使側委員が言われたのは、次回の契約の更新の可能性がある場合でもという意味です か。 ○使側委員  可能性というのが、どういうことなのか。必ず更新しますという約束をしているケー スは、私はそう多くはないのではないかと思います。例えば、評価がどうだとか、こう いう基準に合っている場合とか、そういうのが合えば更新しますということがあって、 確実に何もなくても、すべて更新しますということなら、その会社の1つの考え方かと 思いますが、多くはそうではなく、こういう条件に合致すれば更新することがあるとい う契約になっていることのほうが多いのではないかと思います。どれをもって更新が前 提だと決めるのかは、非常に難しいところがあるのではないかと思います。 ○労側委員  そこのところで非常に私どもも懸念する部分なのです。今まで繰り返し更新してい て、妊娠や出産を理由として更新をしないということがあってはならないと考えます。 今の育児・介護休業法でも、不利益取扱いに関しては、してはならないとなっています ので、少なくともそこの部分は妊娠・出産・育児休業を理由とする契約はそこで止める ことはいけないということを、不利益取扱いの中にもきちんと書いていただきたいと 思っております。いろいろな状況が契約更新をしないというところでは出てくるかと思 いますが、そこの部分については、そういうことを理由にはしないということは、是非 はっきりしておいていただけたらと思います。 ○労側委員  いま使側委員が言われたのは、可能性云々については、はっきりしないではないかと いうご意見ですが、本来有期と言ったなら、なぜ3か月なのかとか、なぜ1年なのかと いうのは理由がはっきりするはずなのです。ところが、実態ははっきりしていないゆえ に、だらだらいって20年も過ぎましたというのがあるわけです。我々は本来はっきりし てほしい。使用者はなぜ6か月なのかという理由を明示してほしい。これが本来の有期 のあり方ではないかと言っているわけです。ところが、法はそこが曖昧なものですか ら、結果は平均的なベースで言いますと、契約更新は4.8回です。背後には使側委員が おっしゃっている有期について、使用者はなぜ有期で何か月か理由を示すべきだという のは契約の際に言っているのですが、そこは基準がはっきりしない。したがって、可能 性ありというのは、正に付きものであって、それがずっと続いているという実態があり ます。  雇用保険の加入要件も、「1年以上の継続が見込まれる者」ということで認められて いますが、見込まれるという推定のような話になっています。そういう法体系を考える と可能性ありというのは、今回の基準法に伴う指針の改正もありましたので、1つの目 安になるのかなという感じがします。本来、私どもが考える有期契約というのは、使用 者側が理由を明示すべきで、それが法律上義務づけされれば、いま言われたことがはっ きりするのですが、そこがない中でやるのは、ある意味では今回の改正も根拠にしなけ ればまずいかなという感じはしています。 ○使側委員  要件がきちんと表示されない契約をしている所もあるかと思いますが、きっちりして いる所もあるのではないかと思います。そういう所に、このような国の法律として枷を かけてしまうのは、非常に問題があるのではないかと思います。確かに育児のためとか 妊娠をしたから契約しませんということは、救っていかなければいけませんが、必ずし もその人がその要件ではないかもしれない、そういうこともあるわけですが、それを全 部妊娠したから契約を終えるのだと言う必要はないのではないかと思います。基本は有 期契約が必要だから、その会社で、その契約期間として雇っているのであって、それが 結果として、例えばもう1期必要だから更新ということなのだと思いますので、それは その原則をきちんと通していくべきではないかと考えます。 ○使側委員  3点ばかり申し上げたいと思います。いま使側委員も言われ、私も最初から言ってい ますが、有期雇用契約は、なかなか休業という概念が馴染まないという観点があって、 その観点でどういう場合には休業という概念が適切に当てはまり得るのかという考え方 から、私どもとしては検討したいと思います。今日はお答えしませんが、非常に難しい 問題をはらんでいるということだけを申し上げておきたいと思います。これは1つ間違 えると大変なトラブルがたくさん発生することになりかねません。  もう1点は、妊娠・出産の休暇が認められて休業することによって不利益取扱いを行 うべきではないという話は、一面では理解できますが、逆を言いますと、有期雇用契約 という、ある一定の要件、一定の期間の中でやった場合に、妊娠・出産したことによっ て、「それが理由ですか」と言って、雇い止めができなくなれば、これもまた困るわけ です。ですから、両面あるということはよく理解していただきたいと思います。これも 1つ間違えるとトラブルの発生の原因になろうかと思います。  3つ目は、有期雇用契約をダラダラと更新している例があるということもありました が、いまの実態として見れば、数年前に弁護士の研究会で判例の分類というのをしたか と思いますが、雇い止めが有効か無効か。つまり、有期雇用契約なのだが、実態として 期間の定めのない雇用と見られるということになったときは、雇い止めではなく、解雇 法理というところから判断がされることになっているわけです。まさしくそれを見る と、非常にいろいろな要素を考えながらせざるを得ないのが実態だと思います。  例えば、更新回数が10回だから、もう無期契約なのだということにはなっていません し、判例を見ても、20数回あっても雇い止めが有効になる場合もあり得ます。一方で、 1回しか契約更新をしていなくても雇い止めが無効となるケースもあって、これも簡単 に判断できるようなものではないということを申し上げておきます。 ○公益委員  1点、事実関係の確認を事務局にお願いしたいと思います。先ほど労側委員から雇用 保険の加入要件で1年を超えることが見込まれるかどうかという要件が課されていると いう話がありました。これは私の理解では、短時間被保険者のみの適用ということで、 一般については特別ないのではないかということです。  もう1点は、1年を超えて雇用が見込まれるというものの、実際上の運用をどうして いるのか。過去に何回か契約の更新があった場合、例えば、1年を超えた場合について は、私は適用されているのではないかと思います。例えば、今後3か月間の契約であっ ても、過去1年を超えてすでに雇われている場合には、1年を超えて雇用が見込まれる ものとみなしているのではないかと承知していますが、その点はいかがでしょうか。 ○事務局  1点目の質問は、公益委員のご指摘のとおり、1年を超える見込みというのは、短時 間労働被保険者についての要件であると理解しております。  2点目の具体的な運用をどのようにやっているかというのは、私は直接の担当ではな いので承知しておりません。その点については後日報告したいと思います。 ○公益委員  たしかそうなっていると思っています。この議論は、このあとの議論に非常に重要に 関連してくる判例の問題もありますが、実質上、ほかの法律でどのような適用要件を運 用しているのかということとも関連してきますので、その点は是非ご検討ください。 ○公益委員  1の「適用対象者の範囲」ですが、有期契約の人についても、すべて適用対象になら ないということと、適用になる人たちが一部あるはずで、その一部の一定の範囲につい て労使で多少距離があるのかということだと思います。今までの議論だと、使側もゼロ ではないのではないかということで、一定の範囲をどう定めるのかということで難しい 面もあるのかと思っています。  一定の要件ですが、基準法改正を踏まえてということがあって、1つは雇用契約期間 が1年を超えて3年までになったことと、もう1つは有期について言えば、契約更新あ りとした場合、契約更新をしない場合の理由を明示するようになっているという説明が あったと思います。ですから、契約期間の問題と、そこのところをどう考えるかという ことだと思います。先ほど使側委員から、「雇い止めの判断が非常に難しいのではない か」というご意見があったのですが、今回、契約更新をするとした場合、しない場合の 理由を明示するようになるわけです。そこで例えば、仕事がなくなった場合は契約更新 しませんとか、その事業所が閉鎖される場合はそうなるのです。例えば、1年契約で、 あと半年残っているときに育児休業取得を申し入れると、残りが6か月あるわけですか ら、6か月間は育児休業を取って、更新の時期に初めに明示しておいた更新しない理由 に当てはまらなければ更新し、育児休業期間を延ばすやり方もあり得るわけです。です から、一定の要件を議論するときには、今回の基準法改正を踏まえたうえで契約更新あ りのものについて、雇い止めの理由を明示するという仕組みも入ってきたわけですか ら、そういうことも少し前提にして有期契約者についても、一定の範囲について育児休 業を適用するという議論の仕方もあり得るのではないか。一定の要件については、単純 に議論はできませんが、従来よりも今回の基準法改正で期間が延びたことと、もう1つ は契約更新型について、更新すると言ったときに、しない理由を明示するという形に なっていますので、そういう意味では雇い止めすることもできるわけです。そのことに ついて雇い止めをする場合に、事前にこういう理由ですということを明示しているわけ ですから、紛争回避の可能性が高まって、その期間まで育児休業は取れるが、雇い止め をする場合はその先は取れないというやり方もあり得るのです。ですから、一定の要件 ということについて議論ゼロではなく、議論の余地があるのではないかということで す。 ○分科会長  それでは、今日は時間も限られておりますので、特にいまご意見があれば言っていた だきますが、先でいろいろご意見をいただくこともあるので、特段なければ、2の「育 児休業の期間等について」に進みたいと思います。育児休業の期間等についてご質問、 ご意見がありましたらお願いいたします。 ○労側委員  「1歳を超えて一定期間休業できるようにすることを検討すべきではないか」とあり ますが、ここの一定期間に関しては、なるべく長く、それぞれの事情があると思います が、事情に応じてなるべく長く休業できて、就業継続ができるという形で決めていただ きたいと思います。 ○分科会長  ほかにご意見はございますか。いまの段階で特段ありませんでしたら、3に進みたい と思います。3の「介護休業の取得回数」の点については、いかがでしょうか。 ○使側委員  1つ確認です。いちばん下の2行目ですが、「同一対象の家族1人につき、要介護状 態ごとに1回休業できる」とありますが、この解釈の確認で、要介護状態になっている 者が1回、回復をして要介護状態ではない状態に戻って、また要介護状態になったとき に休業を取れるようにするということでよろしいでしょうか。 ○事務局  いま使側委員がおっしゃったとおりと考えていただければと思います。 ○労側委員  これも確認ですが、要介護ごとに1回ということと、その前の「3か月の期間」とい う期間がここに入っていないのですが、期間は3か月ですか。 ○事務局  そこはこれまでの分科会でも、その点について議論があったと思います。その点はど ういう形にするのかというのは、引き続き議論をいただかなければならない部分だろう と思います。 ○労側委員  このたたき台では、取得回数ということで1つの考え方が出されており、現在の法律 で言う介護休業期間は3か月という合理的な説明は再三伺ってきました。育児の場合と 同様の考え方で何らかの事情があって、現在の休業期間を延長するという仕組みも、も ともと私たちの中では現在の3か月では短いと申し上げてきた経緯がありますし、延長 ができることもこの中で取り上げていく必要があるのではないかと思います。その点に ついて触れられていませんが、いかがでしょうか。 ○事務局  そこは冒頭申し上げたとおり、そういったご意見をただいまいただいたわけですか ら、それを踏まえて引き続き議論することになるのだろうと考えております。 ○公益委員  検討する上で労側委員と労側委員の意見を伺いたいと思います。労側委員は、3か月 ではなく、もっと長くと書くべきだということで、労側委員は、3か月のままでいい が、延長する可能性があると書くべきだということですか。 ○労側委員  要介護状態ごとに1回を3か月ということです。この文章は、3か月という期間が 入っていません。 ○公益委員  通算で3か月ですか。 ○労側委員  これは通算で3か月ということでも受け取れるし、ということです。 ○労側委員  私のほうは別の意見です。 ○分科会長  いまの段階ではそういうことが問題になり得るというご指摘をいただいたということ で、ほかにご意見はありますか。現段階で特になければ、4の「子の看護休暇」に入り たいと思います。この点について、ご意見、ご質問はありましたら、お願いいたしま す。 ○公益委員  看護休暇を取得できる対象者は、どの範囲と考えられるのでしょうか。正規とかパー トとか有期の人とさまざま対象者がいるわけですが、子どもの看護休業はどの範囲で、 また育児休業の話とも絡んできますので、議論しておかないといけないと思うのです が、現在はどうですか。 ○事務局  現行の育児・介護休業法でも、ただいま議論になっているように、育児休業・介護休 業については、例えば、期間を定めて雇用される方については除外していますが、一方 で深夜業の制限や時間外労働の制限ですと、そういった方についても対象になります。 したがって、この部分についても、どういった範囲の方を対象にするのかという議論 は、当然あるだろうと思います。そういった点も含めて議論していただくことになろう かと考えております。 ○公益委員  いまの確認ですが、1で育児・介護休業の対象労働者の範囲を決めますと、育児休業 も介護も看護もみんな一律です。看護だけは違うという作り方ができるのですか。 ○事務局  若干法律の説明をさせていただきますと、法律の第2条の育児休業のところで、労働 者の定義をしております。その定義については、基本的には育児休業、介護休業につい て、期間雇用者を除くという形で労働者の定義をしております。したがって、先ほど申 しましたように、それ以外の時間外労働や深夜業の制限については、労働者の定義で期 間を定めて雇用される労働者は除かれていない形になっています。いまの仕組みでもそ れぞれの措置ごとに対象となる労働者は違う形になっています。  したがって、それと同じ形で子の看護休暇についてもどのように考えるのか。やはり 現行の法律でも長期にわたって休業をする制度と、必ずしもそういった仕組みではない 深夜業の制限等について、対象者の範囲は同じにはしておりませんので、例えば子ども の看護休暇制度を制度化したときに、その対象の範囲をどのように考えるのかというの は、当然議論しなければならない問題だと思っております。  ちなみに現在、子どもの看護休暇については努力義務になっていますが、その部分に ついては、期間を定めて雇用される労働者は除外されている形にはなっていません。法 律の条文を見ていただければ分かるとおりです。 ○労側委員  検討課題は日数の問題と請求権化するかというテーマが4に書いてあります。前回の 努力義務規定で導入する際も議論になった所得保障、ノーワーク、ノーペイという、労 使に任せたらいいという経営側の議論と、有給休暇という形で設けたらどうかという議 論があったのですが、その辺はもう少し議論が残っていることを理解いただきたいと思 います。 ○使側委員  子どもが病気になりますと、程度の差にもよりますが、親は休暇があるなしにかかわ らず、有給休暇を取ったり、いろいろな手当をして子どもの面倒を見ることは当然だと 思います。そこに事業主のそれに対する促進をするとか、意識の高揚みたいなものを、 ある程度背景に添えて、法律で決める前に議論する余地もあると思います。 ○分科会長  この点について、いまの段階でほかにございますか。特にご意見がなければ、5の 「短時間勤務制度」の項目に移りたいと思います。この点について、ご質問、ご意見が ありましたらお願いいたします。 ○労側委員  短時間勤務制度についてですが、介護のほうが非常にニーズが高いというのが現状に あって、実際に短時間勤務制度を利用しながら、2年、3年と介護を続けている方は多 いので、この点に関しては、是非制度として保障される形でご検討いただけたらと思っ ています。 ○使側委員  短時間勤務を原則とするということですが、いまはいろいろな制度の中から選べるこ とになっており、私は今のほうが労働者にとっても企業にとってもやりやすいのではな いかと思います。ここに「業種、業態等にも十分配慮しつつ」と書いてありますが、同 じ会社の中でもいろいろな職種の人たちがいますから、例えば、業種によって1つのや り方でしか駄目だと言われるよりは、いろいろな中からどれかを措置しなければいけな いという、今のほうが、例えば職位などにもよりますし、選択の幅は広いほうがいいわ けで、短時間勤務が原則だと決めなくても今のままで十分ではないかと考えておりま す。こういうのはもっと細かいところで議論することなのかもしれませんが、そのよう に思います。 ○労側委員  そこは理解の違いですが、使側委員が言われたように、原則とするという意味は、い まある選択的な措置を原則にすることによって、他のメニューは採らなくてもいいとい う仕組みを導入しようとしているのか、7つのメニューの中から短時間勤務だけを原則 として、業種、業態を考えましょうということを言ったのですが、6つを残しておくの なら、短時間勤務制は措置して、もう1つフレックスタイム制を導入することも可能と いうことで理解しているのですが、原則とするという意味は、そうした場合には他のメ ニューはやらなくていいとなるのか、そこを含めて検討ということですか。 ○事務局  そこはさまざまなやり方があるだろうと考えております。いまは選択的措置義務とい うことで、いくつかの措置の中から1つの措置を採ってということですが、その中で基 本的には短時間勤務を措置をしなければならないという形にするという考え方がありま す。あるいは労側委員が言われたとおり、短時間勤務制度を採り、かつ、ほかの制度も どれかという考え方ももちろんあるのだろうと思います。その辺りも含めてご議論はあ るのだろうと思っています。 ○使側委員  最も割合が多いので、重点的にこれを採っていきなさいということで、義務にするの ではないということですね。 ○事務局  どういった形にするかということだろうと思います。いまも選択的措置義務というこ とで、いくつかの制度の中からどれかの措置については、必ず措置をしなければならな いという義務になっているわけですが、それを選択的な形から原則は短時間勤務制度を 仕組みとして採らなければならない、というやり方が1つあるだろうと思います。  先ほど労側委員がおっしゃったような形でそれ以外のいろいろなやり方もあると思い ます。いずれにしても、育児を行っている労働者については、一定の期間はニーズとし ても、短時間勤務制度がいちばん高いものがあり、事業所でも採用しているのが多い中 で、いろいろなやり方があると思いますが、いまは企業がどれでも選べるわけですか ら、原則は短時間勤務にするというのは検討できないかということです。 ○公益委員  現行は、例えば労働者のほうが短時間を採りたいと言っても、企業がそれではない措 置をつくれば、そちらを適用するということだったわけです。ですから、企業側が選択 できるわけで、労働者側は選択できなかった。その点の変更を考えているという意味で すね。 ○事務局  ここで書いてあるのは、やり方はさまざまだと思いますが、いずれにしても選択的に 事業主がそれぞれの企業の中で、どれかの制度を選択するということになっているわけ ですが、それを原則としてはそれぞれの企業において、短時間勤務制度をこういった方 については措置をするということにならないかということです。 ○使側委員  公益委員が質問されたことに関連してですが、約6項目ぐらいの中から選択をするこ とになっていますが、もしこれが個々に働いている方が自由に選択できることになった ら、ある一部署においても、ある人は短時間で朝から来たい、ある人はベビーシッター を手配してくれ、ある人は残業はしたくない、ある人はフレックスタイムにしてくれと いうことにもなります。実際に現場適応を考えたら、それは不可能に近いことであると いうことだけは申し上げておきたいと思います。 ○公益委員  事務局にお願いですが、3の介護休業の回数や期間を議論するときの情報として、介 護保険制度ができて以降、新しい介護休業をどう考えるかということが大事だと思いま すので、実際上、例えば親が急に倒れた、長期的な方針を決めるということで、例え ば、在宅でやるのか施設に入れるのかですが、介護保険の認定を受けなければいけな い。いろいろな手続があるわけですが、これが実際にどれくらいの時間を要するのか も、多少情報があると、要介護状態で1回ごとにどのぐらいにすべきか、通算でいいの だろうかを議論するときに必要だと思いますので、もし可能なら、そういう情報を出し ていただければ有難いと思います。 ○事務局  いまのご指摘の点は調べてみたいと思います。いずれにしても介護保険制度で申請を してから認定まで、行政手続ですので1か月以内となっていたと理解しています。です から、原則的には申請をすれば1か月以内に要介護度3とか4ということで認定される という形にはなっていると思います。 ○公益委員  認定調査を受けて結果が出るのは1か月後ですね。ですから、もちろん要介護度が1 以上になれば遡って使っておくこともできるわけですが、分からないと出てからにな り、サービスを得られるのは1か月経った後になるとか、その辺のことを少し勉強させ ていただくと有難いと思います。 ○労側委員  使側委員が最後におっしゃった意見について、ちょっと見方も変えていただきたいと いう意味でお話します。両立する働き方としての短時間勤務制度の必要性は、大変高い ということで、それを何とか両立させながら働き続け、意欲を増し、会社に対して一定 の貢献をし、という非常に意欲的な労働者も多い中で、働き方が多様になるということ は、短時間勤務制度だけではなく、企業側のニーズとしても裁量労働制やさまざまな働 き方が職場にも入ってきているわけです。これを使う者、あるいはフレックスタイム、 あるいは残業をしないということを、非常に否定的に捉えて、やや悪用・濫用のような 言われ方をするのは必ずしもそうではなく、逆に非常に両立可能性を探って、一生懸命 働くという労働者の意欲をもっと受け止めていただきたいと思いました。そういう意味 ではないのかもしれませんが、私にはそう聞こえましたので、意見を申し上げました。 ○使側委員  すみません、そういう意味で申し上げたのではありません。あくまでも現場管理、仕 事場の管理の上の観点から申し上げたということです。 ○分科会長  一応項目ごとにご意見を伺ってきましたが、最後に全体についてご意見があればお願 いいたします。 ○労側委員  私のほうでまとめて、たたき台に載っていない課題についてお願いしたいと思いま す。1つは、当分科会ではないとおっしゃるかもしれませんが、この前議論のあった雇 用保険からの給付のあり方というか、水準も含めて、いま40%ですが、国の予算も高齢 の方にかなり使われて、ここの支援策が弱いという指摘をされています。今後の労働力 不足、少子化の中で、もう少し経済的支援を企業のみならず、国全体から出す意味で も、いまの40%水準を私どもとしてはもう少し高めるというか、60%ぐらいにし、社会 保険料免除に加えれば80%ぐらいになると言っていますが、その辺を少し検討すべきで はないかと思います。  2つ目に、少子化対策プラスワンでおっしゃられた男性の育児休業取得促進策の10年 間の目標は、男性について10万人、0.33%を10%というのを決めている方針の中には、 意識啓発、組織風土の改革などの面に専ら任せた方針の中で、果たして実現できるの か。受止め方も、どうなのかなという一般的な見方で、そうではないためにどういう現 実感を持たせるかという意味では、その手法について、この地球上にいろいろな仕組み を導入している国もあるわけですから、そういう面では日本国において、何らかの措置 を目標実現に向けて本当に考える気なら、国民的理解を得ながら、誘導策として検討す べきではないかと思います。  これまで全く議論になっていない2001年の改正育児・介護休業法で導入された時間外 労働等の免除措置についてですが、思い起こしますと、最後のまとめの段階で、もちろ ん労側が言った話ですが、事業主に継続して雇用される期間が1年に満たない労働者 は、時間外労働免除措置と深夜労働の免除措置の法律上の適用除外になっています。こ れらの労働者は、育児休業と介護休業の申し出については、労使協定によって除外でき るとなっています。ところが、時間外労働免除と深夜労働は法律で除外するとなってい ます。時間外労働免除で、1年未満の労働者は除くのは、なぜなのかというと、それは 深夜労働で除外しているから時間外労働は除外するのだという当時の議論だったので す。深夜労働の適用のときに、どういう背景で1年継続に満たない者を除外したかとい う、その辺の経過をもう1回調べ直して、なぜ除外しているのか。私どもは除外する理 由はないのではないかという立場なのです。これは前回の最後で労働側から言ったので すが、なかなか直らなかったのですが、その課題が残っています。  対象労働者についてですが、時間外労働免除措置は、小学校に入るまでの子どもとい うことです。残業免除は子どもの自立をどう考えるかという話ですが、自分で食事を用 意したりするのは、小学校に入ればできるかということの議論だと思います。免除の目 的はそういうことですから、親がかかわらなければいけない。そうすると、子どもの年 齢をどう考えるかです。  深夜労働は同居する16歳以上の家族がいれば対象にしない。これもまた小学校に入る 前の子どものいる労働者について免除できる。深夜ですから、もう少し年齢を高めても いいのではないかという議論をしたのですが、そこは議論になっていません。  育児については毎日の話です。休日労働、変形労働についても、特に変形労働などに ついては、予定されていたとは言え、ある日は10時間労働、ある日は6時間労働と労働 時間が決められているという前提はありますが、調和ということを考えますと、そうい う変形労働は、家族的責任を持つ労働者については適用を考えなければいけないのでは ないかということがあります。その辺を検討していただきたいと思います。  ここでも議論になった介護休業中の社会保険の免除ですが、皆さんから「育児休業と いう制度を考えると、除外する理由はないのではないか」というご意見もあったので、 所掌はここではないと事務局は言っていますが、そこをどう考えるのかです。  検討の優先課題はあるのですが、我が国が批准しているILO156号条約、160 号勧告の中に、子どもの看護休暇制度がありますが、子ども以外の休暇制度について も、あの条約、勧告には入っています。そこは今後の課題でもいいのですが、その辺も 視野に入れておくべきではないかと思います。  保育の問題については、あれだけ議論になったわけですが、どのような扱いなのか。 たたき台には載せないというのは、厚生労働省ではあるが、当分科会ではないという意 味で、保育問題については載せていないという理解をしています。とはいうものの、あ れだけ議論になった問題について、全く載っていないのはいかがなものかということで す。 ○使側委員  いま労側委員が言ってくださった経済的支援ということを、是非国のほうももっと考 えていただきたいと思います。企業もそれぞれ業種によって、内容によって働き方の対 応もいろいろあると思います。また個人も、個人の価値観や考え方によっていろいろ差 があると思いますので、一概に枠を全部決めてやることに対しては、個人の自由を奪う ような形になりかねないのではないかと思います。  いまの話を進めていくと、考えられるのは、この大変な中で企業が何とか体力を付け ながら運営していく。外国企業との戦いで、なかなか厳しい生き残りをかけている中 で、企業に対する負担があまりにも大きいのではないかと感じます。そういう意味で保 育などに関しても今までのものから抜本的に変えて、本当にやり直すぐらいの気持で もっと細かな対応をしていただくことによって、少子化と高齢化に対して、国がもっと 本腰を入れてやっていただきたいと思います。やっていると言われるでしょうが、もう 1歩不足していると感じております。保育行政を幅広く、いまのものにとらわれない枠 を広げていくことによって、いまの5点の問題の中の何割かは解消されると思いますの で、今までのものにとらわれないで、企業に押し付けるだけではなく、国も柔軟に対応 していただきたいということを申し上げたいと思います。 ○使側委員  ちょっと懸念ですが、いろいろ制度改正を議論されるのはいいのですが、中小企業の 実態は、育児休業や介護休業は企業努力もあるのですが、整備されていない現状がかな りあると思います。こういうのに一部の企業はある程度対応ができても、その船に乗っ ている所はいいのですが、乗れない所がかなり出てくるので、うまく追いついていけな い企業を、いかに乗せてあげるかも同時にやっていかないと、制度だけが走ってしま い、全然関係のない企業が乗っていけないと、その制度そのものが活かされないことが ありますので、その辺も二極分化にならないように、下のほうを盛り上げる形も同時に 議論していく必要があるのではないかと思います。 ○公益委員  労側委員がわりともの分かりのいい発言で、最後の保育サービスについては、たたき 台に乗せるかどうかということでクエスチョンマークを付けて終わった感じだったので すが、私は今回の議論は少子化対策から話がスタートしていることを考えても、是非こ れはたたき台とか実際のところに置いて入れてほしいと思います。 ○労側委員  介護休業と介護の短時間勤務制度と原則短時間、あるいはほかのメニューも考えられ るかもしれないのですが、いまのところで言うと、介護休業の期間と短時間勤務制度、 介護休業が取れない場合の短時間勤務制度とが連動しているのです。休業もできるだけ 長くしていただきたいというのが本心ですが、短時間勤務制度に関しては、少なくとも 法律で長く取れるような形の検討を是非お願いしたいと思います。何度も同じことを 言っているのですが、是非よろしくお願いしたいと思います。 ○使側委員  具体的な案があるわけでもないし、ここで多少議論しても非常に難しいところはある と思います。労側委員、公益委員、使側委員がおっしゃったように、保育の行政の面を 強化することをもう1つ入れていただきたいと思います。  それから、いま実態としては働いている女性が恩恵を受けるということだと思います が、国としては両親が育児に携わるという、ここをもっと強めていかなければ、女性が 働く環境だけが非常に厳しいということになりかねません。男性も育児に参加していく という視点が、もう少し入ってもいいのではないかと個人的には思います。具体的にど うするかは大変難しいところですが、そういうことを併せて考えていくべきではないか と思います。 ○労側委員  今後のこの議論の展開後ということになるのかどうか判断がつかないので、質問を兼 ねて意見を申し上げたいと思います。こういった事柄が最終的に詰まったことの中で、 これは基本的には育児・介護休業法の枠組と理解しているので、いわゆる不利益取扱い の禁止事項がありますが、その中に今回の事柄を受けて、さらに加えていくような事柄 も出てくるのではないかと思っています。そういうことは今後できる、あるいは当然意 見として言っていくということでよろしいのですか。 ○事務局  いまの、質問の確認をさせていただきたいのですが、不利益取扱いの部分は、具体的 にはどの部分ですか。現行の育児・介護休業法に不利益取扱いの規定がありますが、そ の部分がまた広がるという意味でしょうか。具体的にはどういったことですか。 ○労側委員  例えば、私自身が、いま有期雇用の問題で適用のたたき台の1が出ていますが、こう いったことが詰まっていけば、いろいろ懸念される契約期間の問題や合理的な雇い止め があるとかないという話がありましたが、そういうものがある程度浮上してくるのでは ないかと思っており、そうなった場合、それを議論の結果としては不利益取扱禁止の今 のものを見直すことになるのではないかと思ったのです。 ○事務局  現行の法律では、当然育児休業の申し出をしたり、育児休業をしたことを理由として 不利益取扱いをしてはならないという規定になっていますので、具体的にどういうもの が不利益取扱いになるのかについては、先ほど議論があったようなところだと思いま す。例えば、仮定の話として、育児休業の対象者が広がってきたとすれば、その方につ いて、どういった部分が不利益取扱いになるのかという議論は、当然ながら出てくるだ ろうと思います。 ○分科会長  ほかにご意見ございますか。今日のところはこれでよろしいでしょうか。時間の関係 もありますので、一応本日のところはこれまでとさせていただきます。議論のとりまと めに向けた今後の進め方について最後に申し上げたいと思います。  本日は、このたたき台についていろいろご意見をいただきましたので、これを踏まえ て、今後事務局で公益委員の方々にご協力いただきながら、分科会としての報告の素案 を準備していただき、次回の分科会に用意してもらうということで進めたいと思います が、そういう手順でよろしいでしょうか。それでは、そのように進めさせていただきま す。  議事録の署名委員は、稲垣委員と吉川委員にお願いしたいと思います。 ○事務局  それでは、次回は11月27日の9時からで、場所は本日と同じ専用第21会議室でお願い したいと思います。 ○分科会長  それでは、本日の分科会は、これで終了いたします。早朝からどうもありがとうござ いました。 照会先:雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課 法規係(内線:7856)