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平成15年11月26日
東京都福祉局
利用者本位の支援費制度を目指す都の取り組み

平成15年度における都独自の取り組み


制度を支える都独自のしくみづくり

利用者の主体性を支える
支援費制度利用援助モデル事業

利用者の選択を支える
事業者情報提供システムの構築
第三者サービス評価の実施
モデル契約書の作成

区市町村における適正な支給決定
障害程度区分判定マニュアル作成

基本的な方向

利用者本位の支援費制度を、東京で実現する
希望する障害者の地域での自立した生活を支援する



施設改革の推進

都立施設民間移譲等
都の役割の転換
コストパフォーマンスの向上

民間社会福祉施設に対する独自補助の見直し
努力に報いる加算へ

地域生活支援型施設への転換
地域移行訓練事業の拡充
地域のサービス拠点
デイ、ショートの充実、グループホームの設置・運営

地域生活を支える基盤整備

インフラ整備の重点的・計画的推進
「障害者地域生活支援緊急3か年プラン」策定
グループホーム、通所施設等の集中的整備
3か年で160億円(300箇所、3,000人分)の基盤整備

在宅サービスの拡充
ホームヘルプサービスの充実(前年度比40%増)
「都型ショートステイ制度」創設

さらに推進
☆は平成15年度東京都重点事業
平成16年度に向けた施策の検討
制度を支えるしくみの充実

利用者の主体性を支える
支援費制度利用援助モデル事業の充実
(3か所→10か所)

利用者の選択を支える
第三者サービス評価の普及

地域生活を支える基盤整備

グループホームの設置促進
家賃補助制度見直し
施設設置型グループホーム制度の創設
社会福祉事業団における取り組みの充実
株式会社等への整備費補助制度の創設

日中活動の場の拡充
通所施設への重度加算

施設改革の推進

都立施設改革の推進
都立施設の民間移譲の推進

「重度施設認定制度」の創設
サービス水準の保障と重度障害者の受入れ

地域生活支援型施設への転換
グループホーム移行型自活訓練ホーム
地域移行訓練事業の拡充
(期間延長、都外施設への拡大)





利用者本位の支援費制度を支える都独自のしくみ
(支援費制度利用援助モデル事業)


利用者本位の支援費制度を支える都独自のしくみの図



モデル事業実施前 ・・・8月現在、知的入所更生施設利用中。9月に退所して、通所施設を利用する予定。

モデル事業実施前の図

モデル事業実施後 ・・・各関係機関の連携がとれ、利用者の地域移行が円滑に継続されている。

モデル事業実施後の図



平成15年度支援費制度利用援助モデル事業の中間報告まとめ
(平成15年9月30日現在)

 実施状況
  板橋区 足立区 葛飾区
事業開始 平成15年4月 平成15年4月 平成15年7月
実施形態 直営・委託 直営 直営
実施場所 ・障害者福祉センター・・・主に処遇困難事例を所管
(直営・障害者地域自立生活支援センター)
・福祉園1か所(直営)
・区立民営の知的障害者更生施設等7か所(委託)
障害福祉センター
(障害者地域自立生活支援センター)
障害福祉課
実施ケース数
※かっこ内は終了数
7(5) 13(8) 3(3)
障害別内訳 身体 5(うち知的との重複1) 8(うち障害児2) 2(うち知的との重複1)
知的 2(うち児童1)  
援助開始時の状況 居宅 7ケース / 地域移行 0ケース 居宅 12ケース / 地域移行 1ケース 居宅 3ケース / 地域移行 0ケース
評価会議開催 1回(9月)次回は12月 2回(8月、9月)次回は11月 未実施(11月上旬実施予定)
評価会議メンバー 5人
学識経験者(亀山幸吉教授(淑徳短期大学社会福祉学科))/社会福祉協議会/当事者団体/福祉園委託事業者/行政
7人
学識経験者(石渡和美教授(東洋英和女学院大学人間科学部人間福祉学科))/当事者団体/社会福祉協議会/行政
5人
学識経験者(中野敏子教授(明治学院大学社会学部社会福祉学科))/医師/社会福祉士/福祉施設/障害者相談員/行政

 サービスプラン作成例
  ケース 援助実施経過 申請・決定状況 利用者等の感想 実施区の意見(効果、課題等)
(A区) 居宅・男性・20代・愛の手帳2度。6年前にE福祉園に措置されたが、支援費制度施行を機に退所し、通所施設を利用。強度行動障害あり。
母親が父親(身障手帳1種2級)と本人を介護。
通所施設から帰宅後の時間と土日の過ごし方が課題。外出時の援助がほしい。
5月に福祉事務所から相談あり。入所施設から引継ぎを受けケアマネジメントを実施。サービスプラン(土日の居宅介護と通所施設夏休み中の短期入所)を作成。 【申請】7/1
・身体介護
 36時間/月
・短期入所
 7日間/月
【決定】7/4
・身体介護
 36時間/月
・短期入所
 7日間/月
・ヘルパーとの関係ができて楽しい。(本人)
・家族3人での生活が実現できて良かった。大勢の方々に応援してもらい感謝。(母親)
・重度知的障害者の地域移行ケースで、各関係機関の強い連携により可能に。生活を維持継続していくことが重要。(福祉事務所)
【制度上の課題】制度移行に際し、本人と家族の強い思いにより地域移行できた。しかし、本人の生活保障や家族全体の安全で健康な社会生活のあり方については課題が残っている。また、重度知的障害者が選択できる豊富な社会資源(生活寮、ヘルパーなど)が必要である。
【事業実施上の課題】本人を中心に各関係機関の連携が必須であると同時に、支援費申請に至るまでの説明とプランニング、十分なモニタリングが重要。
(A区) 居宅・男性・30代・愛の手帳4度。父(介護保険第1号被保険者)と二人暮らし。  
関係機関及び介護保険ヘルパーから、家庭内で虐待があり支援が必要との連絡。父親と離れて暮らしたいとの希望。以前緊急一時入所したものの父親を心配し自ら退所している。
6月、父親のヘルパーと共に来所。健康チェック及び虐待(叩かれる)の跡を確認。その後、父親が本人と離れることに抵抗感を示すが、本人の意思が強く短期入所の方針で援助を進める。並行して福祉事務所が父親の説得を行い納得を得る。 【申請】8/1
・短期入所
 32日/月
【決定】8/1
・短期入所
 32日/月
・3か月経過後も父親のもとには戻さず、別の緊急一時保護施設を探し、父親と分離した生活支援をしていく。(福祉事務所)
【 【課題】本ケースは今まで係わりのあるハローワークや通所授産施設職員に訴える能力があるにもかかわらず、ぎりぎりのところまで我慢してしまったケース。身近なヘルパーから連絡が入り緊急対応ができた。知的障害者の場合、自ら訴え行動することが難しい。区として日頃から知的障害者の緊急通報や見守りの体制づくりが必要。
(B区) 居宅・男児・愛の手帳3度。小学校身障学級通学。
両親、兄との4人家族であったが、母が病気のため急死。父が日中不在の間祖母や兄が面倒を見ている。兄と仲が良く、兄にとっても母亡き後兄弟同居するのが望ましいため、在宅で養育したい。
4月、母急死のため相談あり。本人の面倒を見ている祖母が高齢のため、負担を軽減する方法、サービスを検討する。短期入所を利用しながら準備を進める。D区発達協会への送迎の移動介護が必要であるため、サービスプランを作成。 【申請】5/6
・移動介護
【決定】6/10
・移動介護
 1回/週
・今まで移動介護のサービスを知らなかったので、とても助かった。 【課題】障害を持つ子を産んだという精神的負担を乗り越えられない母親に対するバックアップ体制、精神的ケアが重要。
(C区) 居宅・女性・20代・身体障害者手帳1種1級/愛の手帳1度。重症心身障害通所施設通所。ヘルパー派遣、巡回入浴を受けている。母親(主たる介護者)が要介護2度の肢体不自由者、父親が内部障害者(週3回人工透析)。母親は自分で介護したいと考えているが、身体状況から困難な状況。
6月に支給量増(身体介護38h/月→身体介護48h/月、家事援助21h/月)の変更決定後、母親の病状進行のため、徐々にサービスを増やしたいとの希望。8月、サービスプラン作成依頼あり。本人及び母親の援助者から情報を収集し、サービスプランを作成。
【申請】9/22
身体介護及び家事援助の時間増
入浴週3回
家事援助の時間をバランスよく確保したい。
【決定】9/24
身体介護中心
52時間/月
家事援助中心
27時間/月
・本人の身体状況に合わせた支援費サービスの援助調整を依頼したい。
・本人や母のことを詳しく聞いてもらい、相談して気持ちが楽になった。
・まず、このサービスプランを実施してから今後の在宅生活を相談したい。
【今後の方針】本人の身体状況や家族(特に母親)状況に合わせた支援を今後検討する。現在、母親が希望していない重症心身施設の短期入所(レスパイト利用)の情報提供をし、今後の相談場面で検討するよう提案する。

 評価会議等で明らかになった課題
【制度運営】
セルフケアマネジメントができていない人が多い現状(ケアマネジメントの重要性)
重複障害(知的・精神)に係るサービス提供のあり方(重複障害者が精神障害者の作業所等に通うことは緊張を伴い困難である等)
介護保険対象の障害者に係るデイサービスのあり方(言語訓練等、障害特性に応じた訓練を行う介護保険施設の不足等)
制度利用前の体験利用(生活寮)ができるシステム作りの必要性(場慣れに時間を要する場合)
地域生活移行・維持のための関係機関連携の重要性
潜在的な利用者の存在(制度施行を機に顕在化)
【サービス利用・提供】
障害特性を理解したヘルパーの不足
知的障害に係る移動介護提供事業者の不足
介護保険ケアマネとの連携(介護保険第2号被保険者の場合、介護保険サービスが適当でない場合があるため)
【障害者を取り巻く環境】
住まう場の保障(グループホームが不足。保証人になる人が少ない等)
就職問題(特に視覚障害。社会資源の少なさ。選択の幅の狭さ)
福祉事務所、相談機関との(心理的・物理的)距離感
家族からの虐待
【援助困難ケース】
知的と精神の重複障害  ┐
 │
 │
 ┘
 ─→  対応マニュアルが必要
単身障害者(対人関係が苦手で社会性に乏しい場合)
家族が関与しようとしない場合
家族が高齢者、障害者である等、多問題を抱えている場合


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