03/10/21 第4回食を通じた子どもの健全育成のあり方に関する検討会議事録       第4回 食を通じた子どもの健全育成のあり方に関する検討会               平成15年 10月21日(火)               厚生労働省16階 17会議室  村田座長  それでは定刻になりましたので、第4回食を通じた子どもの健全育成のあり方に関す る検討会をただいまから開催させていただきたいと思います。本日は大変お忙しい中を お集まりいただきまして、大変ありがとうございます。まず今回の委員の出席状況はい かがでございますか。  母子保健課長補佐  本日は佐藤委員が所用により欠席ということでございますので、よろしくお願いいた します。  村田座長  ほぼ全員の委員の皆様がお集まりということでございます。それでは議事に入ります 前に、お手元にあります資料につきましての御確認と御説明をお願いいたしたいと思い ます。  栄養専門官  本日お手元に配布しております資料につきましては、まず資料1としましては検討課 題メモ、資料2としまして食を通じた子供の健全育成について(案)、資料3としまし て発育・発達過程にかかわる特徴について(案)、資料4としまして発育・発達過程に 応じて育てたい食べる力について(案)、資料5としまして食べる力をはぐくむための 具体的な支援方策(環境づくり)についての意見となっております。参考資料の1の1 から1の3につきましては、具体的な支援方策例を三つお示ししております。また、参 考2としまして、関連施策資料を添付してございます。以上でございます。  村田座長  どうもありがとうございました。お手元の資料を御確認いただきまして特に問題がな いようでしたら、議事に入ります前に、前回の討論会で健やか親子21等の関連施策の件 についてお話が出ましたので、これにつきまして御説明をお願いできればと思います。  母子保健課長  前回の検討会の中で、国等の行政の食に関する関連施策に関して御質問が出まして、 そのときは口頭でお答えを申し上げましたけれども、きょうは資料を準備させていただ いておりますので、それをもちまして御説明を申し上げます。  参考2という資料でございます。まず、次世代育成支援対策推進法というものが1ペ ージにございます。これは先の国会で成立を見た法律でございます。上の囲みの中に書 いてございますが、少子化の進行を踏まえまして、次世代の子供たちが健やかに生ま れ、かつ育成する環境の整備というものをどのように図っていけばいいのかという視点 から、育成の支援についての考え方をまとめた法律ということでございます。  具体的には概要の部分以降でございますが、(2)の基本理念のところに書いてござ いますように、保護者に子育てについての一義的な責任を有するという意識をまずは 持ってもらおうということで、それを踏まえた上で過程その他のフィールドにおきまし て、子育ての意義についての理解というのがちゃんと深められ、かつ子育てに伴う喜び というものが実感されるような配慮をして行われねばならないというところが基本的な 理念として押さえられているところでございます。  (3)に行動計画と書いてございますが、ここが眼目でございます。(1)の行動計画 策定指針というものがございまして、これは国でつくるものでございますけれども、地 方自治体や事業主といったところで行動計画をつくっていただくわけですが、そのとき の参考になるような指針ということです。これについては後ほど御説明をいたします。  続いて(2)、(3)の部分でございますが、この法律では行動計画というのは地方公共団 体と一般事業主の両方でおつくりをいただくということになっております。  まず地方公共団体、市町村、都道府県では、先ほど申し上げました行動計画策定支援 に即しまして、地域における子育て支援、それから親子の健康の確保、教育環境、子育 て家庭に適した居住環境等々のさまざまな課題につきまして、目標と目標達成のために 講ずる措置の内容等を記載いたしました行動計画を策定することになっております。  (3)は事業主についてでございます。大きくはアの一般事業主とイの特定事業主に分 かれておりますが、一般事業主というのはいわゆる企業さんというふうに思っていただ いて結構だと思います。事業主というのは、従業員の仕事と家庭の両立等に関しまし て、先ほど申し上げました行動計画の策定指針に則して、とにかく自分たちで行動計画 を策定しなくてはいけないというふうに定められております。行動計画をつくっていた だく事業主からの申請に基づきまして、そういった計画の中の目標を達成したこと等の 基準に適合する一般事業主との認定をするというふうなことも定められております。  そして、細かい話で恐縮でございますけれども、大臣の認定を受けた中小企業主がそ の構成員からの委託を受けて労働者の募集に従事する場合の職安法の特例を認めると いったようなことまでも定められているということでございます。  一方、特定事業主につきましては、具体的には国、地方公共団体のことでございます けれども、公務員の仕事と家庭の両立ということにつきまして、やはり同じように行動 計画をつくらなければいけないということで、私どもの例で申しますと、厚生労働大臣 が私どものために行動計画をつくらなくてはいけないということになっておりまして、 結構大変な話でございます。  この中で一般事業主を普通の企業と申しましたけれども、必ずしもそのイメージだけ には当てはまらないところがございます。あえて申しますと、病院ですとか、皆様方が 大いに関係のある保育所といった、社会福祉法人といったものもすべて網羅されてしま うということがありまして、これは申し上げておいた方がいいかと思います。  300人以上の事業所であれば、法律によって行動計画をつくることが義務となります。 300人未満でございますと努力義務という形になりますけれども、300人以上の事業所は かなりございますので、こういったところで子育て支援のための行動計画をつくるとい うことが進めば、子育て支援はかなり前進をするといいますか、少なくともこれまでと 比べて、そういった環境がかなり前に出てくるということを私どもは期待をしておると ころでございます。  続きまして2ページの策定指針でございますが、実際に16年度中にこういった行動計 画をつくってくださいということになっておりまして、8月の段階で、関係7大臣によ りまして策定指針というものが定められております。そのすべてを御紹介する時間はご ざいませんので、簡単に食べ物の部分だけを御説明させていただきます。  市町村の行動計画のところにしろ、次ページの行動計画のところにしろ、食育の推進 という形でもって、こういったことを進めることに配慮しつつ行動計画をつくってくだ さいというふうな策定指針になっているところでございます。  本文は省略をさせていただきますので、後ほどお読みいただきたいと思いますが、基 本的には子供のときから正しい食事を取っていただくことによりまして、健全な発育が 期待できるということがこの策定指針の中には書かれております。  こういったところを十分に御理解いただきまして、都道府県、市町村といったところ での施策の推進に努めていただきたいというのがこの策定指針のねらいとするところで ございまして、それが次世代法と言われるものでございます。  続きまして4ページの健やか親子の関係でございます。これは皆様方の方がよく御存 じだろうと思いますけれども、御案内のように日本の母子保健と申しますものが、先達 の大変な御努力によりまして、先進諸国の中でもトップレベルにあることは間違いござ いません。  ただ、そうは申しましても、理想のレベルに達しているかというと、残念ながら一部 分はそこまで達していないものもございますし、特に最近になって起きてきた大きな問 題もございます。  そういったことをひっくるめまして、第2パラグラフの下線を引いた部分に書いてご ざいますように、残された課題や新たな課題を整理いたしまして、21世紀の母子保健の 方向性を提示するというふうな形で、この健やか親子21がつくられたという経緯がござ います。  従来、こういったものにつきましては国や都道府県といったものが上意下達方式で やってきたという経緯がございますけれども、健やか親子21に関しましては、さまざま な団体、関係機関が一緒になって都道府県を引っ張るというような形でぜひやっていこ うという趣旨のもとに現在進められている計画でございまして、大きなテーマとして は、囲みの中にございますように、思春期の問題から心の問題まで、大きく四つの主た る課題というものを設定いたしまして、次ページ以降はその四つの課題ごとに小テーマ というものを立てまして、具体的に数値目標が立てられるものにつきましては実際に立 て、目標に対して努力していこうということで進めているところでございます。  繰り返しになりますけれども、決して国が上意下達でやるのではなく、関係する団体 機関が民間主導で引っ張っていただくということで、関係する75の団体には、今この計 画の推進母体として大変に御尽力をいただいているところでございます。  皆様方の出身母体といいますか、そういったところの御尽力も大変大きなものがござ いまして、本当に感謝申し上げているところでございます。  細かい課題につきましてはごらんいただくといたしまして、食に関しまして若干テー マが定められているものがございます。例えば5ページで網かけをしている15歳の女性 の思春期やせ症の発症頻度というものがございますけれども、こういったものをどのよ うにしていくかといったテーマでございますとか、10ページにあります出産後1カ月時 の母乳育児の割合といったものにつきましても、これからどんどんふやしていこうと いったことになっておりまして、ここに書いてあるものがすべてではございませんけれ ども、食といったものにつきましても健やか親子21の中で立てているということでござ います。  前回も申し上げましたけれども、これから述べます健康日本21の中で、実は食生活、 生活習慣病に関して、食の部分につきましては網羅的にやっているものですから、健や か親子21の策定当時におきましては、あえて食という部分はこの中に盛り込まれており ませんでした。ですから10年計画のうち、途中で見直しをするということになっており まして、後半の5年部分については特記しようというふうに私どもは考えておりまし て、その準備をこれから進めたいと思っているところでございます。  最後でございますが、11ページ以降が健康日本21でございますが、これは御案内のよ うに、年齢を問わず、日本人全体の今後の健全な生活を送るために、どのようなものが 望ましいかという視点からさまざまな目標を立てているものでございまして、栄養食生 活分野におきまして若干抜粋をしてまいりました。  基本的に、栄養食生活というのは多くの生活習慣病との関連が深いと言われておりま すので、大きく三つの段階に分けまして、まず栄養状態をよくするための適正な栄養素 摂取と、そのための行動変容、さらにその行動変容を支援するための環境づくりという ことで具体的な目標を定めているところでございます。  子供に関する部分につきましては下線を引いておりますけれども、まず適正体重のと ころで児童・生徒の肥満児の割合を、2010年度までに10.7%から7%に減らそうといっ たことや、12ページにあります朝御飯を食べないという問題につきまして、中学生、高 校生では現状では6%という数字のようでございますけれども、これはゼロにしようと いう意気込みで頑張ろうということが健康日本21でも述べられているところでございま す。  幾つか具体的に申しましたけれども、合わせわざで、基本的に今後、私どもとして子 供たちの食を通しての施策というものを具体的に推進してまいりたいというふうに考え ております。行政施策の一端をこういった形で御紹介させていただきました。以上でご ざいます。  村田座長  どうもありがとうございました。今の御説明に、どなたか御意見や御質問、コメント 等はございますか。  お話がありましたように、健やか親子21はかなり特化した問題で出発をしていて、健 康日本21の中で、今ここで問題になっていることを扱おうといったことで出発をしたと いうように私も伺っておりますけれども、今の御説明でかなりはっきりしたと思いま す。  今後はもう少し具体的な形で、健やか親子21、あるいは統合された形で、子供の食に 関して、食ばかりではないと思いますけれども、そういう施策がなされていくであろう といったお話だったように思いますけれども、ここにいらっしゃる委員の皆さんは、専 門的によく御存じのことだと思いますが、御説明をいただきまして、改めて了解ができ たと思います。  それでは、本日は食べる力をはぐくむための具体的な支援方策について御検討いただ きたいと思っておりますので、それに関する資料が、先ほど御説明がありましたように お手元にあると思います。これについての御説明をお願いします。  栄養専門官  まず資料の2から資料の4につきましては、前回の検討会で先生方に数多くの御意見 をいただきましたので、その変更点についてのみ御説明を申し上げます。  まず資料2の食を通じた子供の健全育成について(案)でございます。発育・発達過 程に応じて配慮すべき側面について、ブルーで示している部分ですが、前回は五つの側 面がございまして、食文化、食環境については食の文化と環境ということで統合を図 り、あとの部分につきましても若干表現の変更をということで、健康は心と体の健康 に、人間関係は人とのかかわりに、食スキルは食のスキルにといった形で整理されてお ります。  またオレンジの部分の、目標とする子供の姿でございますが、右上に、食生活や健康 に主体的にかかわる子供に、とありますが、この部分はもともと、食べ物や健康のこと を話題にする子供に、ということだったものが、表現を変えて整理された部分でござい ます。  また、支援する環境づくりにつきましては、本日は資料5として別途取りまとめをし ております。  続いて資料3でございます。左側にブルーで示した側面につきましては、資料2に対 応させた整理をしてございます。追加している点は1点で、食の文化と環境の中ほどに なりますが、居住地域内の生産物への関心、あるいは外国の生産物への関心だけではな く、食文化への関心も必要であるという御意見がありましたので、それを追加しており ます。  続きまして資料4につきましては、発育・発達過程に応じて育てたい食べる力につい てということで、右側にオレンジで示した部分につきましては、先ほどの資料2の部分 に対応させて修正をしてございます。  また、新たに追加した部分が三つございまして、まず授乳期の下のあたりに食欲があ るとございますが、これは思春期までを通した重要な基本的な課題であるとの御意見に より追加をしております。  また、中ほどの、自然と食べ物とのかかわり、地域と食べ物とのかかわりに関心を持 つ、という部分につきましては、地域性とのかかわりや、食文化のつながりに関する面 ということで加えてございます。  また、右下に、食生活に主体的にかかわる、とございますが、食にかかわる活動を計 画したり、積極的に参加したりすることができるということで、仲間づくりや環境づく りなど、子供自身が主体的に働きかけていく活動についても記載の必要があるのではな いかという御意見がありましたので、追加してございます。  あとは若干子供自身の主体性を生かすということで表現を変えている部分はございま すが、その部分については説明を省略させていただきます。  また、本日の議論の課題になります資料5についてでございますが、食べる力をはぐ くむための具体的な支援方策、環境づくりについてということで、事前に委員の先生方 からいただきました意見について、すべて書面上にお示しすることはできませんでした が、大部分を取りまとめたものでございます。  家庭、保育所、幼稚園、学校、地域ということで整理をしておりますが、下に凡例が ございますように、・印で示しておりますような具体的な事項についての御意見である とか、あるいは◆印で示しておりますような展開する場と内容についての御意見、さら には☆印で示しておりますような、朝食を食べる習慣づくり、肥満の予防、思春期やせ 症の予防といった具体的な課題についての御意見と、それぞれに異なる次元について、 さまざまな観点から御意見をいただきまして、それが1枚の紙面上に記載されていると いう状態ですので、本日は特にこれらを踏まえまして、より具体的なイメージが持てる ような支援内容について御議論を深めていただきたいということで進めさせていただけ ればと思います。  これを踏まえまして、資料1の検討課題メモをお示ししております。本日は食べる力 をはぐくむための具体的な支援方策ということで、先ほどの資料5を踏まえまして、大 きく4点を挙げております。  まず1点目としては子供の食べる力をはぐくむための支援方策について、どのような 食べる力に注目するか、またそれらに対して直接的な子供へのアプローチとして、具体 的で実効性のある支援方策としてどのようなものがあるかということで、資料4に示す 個々の食べる力に注目していくか、あるいは全年齢を通して、また発育・発達過程に応 じて特に注目すべき食べる力があるかということで、まずはそのポイントを明確にして いただくということと、また、それに対応した具体的な支援方策についてということで ございます。  委員の先生方から御提供いただいた資料の中から、本日は例として、味覚など五感を 味わう力を育てるという観点で、うまみ体験レポート、さらに食事の適量がわかる力を 育てるということで、わくわく食体験を参考資料にお示しをしています。  参考資料の1の1をごらんいただきたいと思います。うまみ体験レポートということ で、吉田委員から御提供をいただきました、NPO法人こどもの森発行の食育情報誌の 中に掲載されております具体的な活動の概要を示されたものでございます。  続きまして参考の1の2につきましては、わくわく食体験ということで、平成14年度 児童環境づくり等、総合調査研究事業の地域で支える児童参加型食育プログラムの開発 に関する研究ということで、足立委員から御提供をいただきました資料の小冊子の全文 を掲載してございます。  この中の3ページでは、自分にぴったりのお弁当をつくろうであるとか、あるいは 9、10ページでおやつのパワーってどれくらいということで、具体的なプログラムを実 践評価した研究成果を冊子として取りまとめられたものでございます。  続きまして参考の1の3につきましては、先ほどの施策の説明の中にもありました が、思春期やせ症、あるいは小児肥満の予防といった観点から成長曲線の活用ができる のではないかということで、具体的な支援方策の例の3として、まず1枚目には平成14 年度厚生労働科学研究で、渡辺委員が主任研究者である思春期やせ症の実態把握及び対 策に関する研究ということで、その中の学校における神経性食欲不振症の早期発見、手 順として成長曲線を利用していく例がございます。  2枚目につきましては座長から御提供をいただきましたが、成長曲線を描くことに よって、左下にあります単純性肥満といったことも含めてチェックできるというもので ございます。  検討課題メモの方に戻りまして、2)につきましては今申し上げたような具体的課題 に対する対応策ということで、小児期における肥満の予防や思春期やせ症の予防につい ては、資料にありましたような成長曲線の活用が図れるのではないかということや、そ のほかにも、例えば朝食の欠食ということが課題として挙げられておりますが、朝食を 食べる習慣づくりについても具体的で実効性のある対応策についてはどうか、さらにこ れ以外にも対応すべき課題があるのかという点について御議論を進めていただければと 思います。  さらに2ページ目に移りまして、3点目としては一層の推進が求められる分野や環境 整備ということで、子供の直接のアプローチというより、主にシステムづくりやネット ワークづくりを主眼としたアプローチについてでございます。  例として挙げておりますように、子育て支援からのアプローチや、塾等における夕食 時間の確保など、食環境の整備という意見も既にいただいておりますが、より具体的な 支援の内容や方法についてはどうかということでございます。  最後に4点目としては、その他、求められる支援方策についてということで、前回の 検討会でも、もっと親しみやすくわかりやすいメッセージとして表現を工夫する必要が あるのではないかという意見もいただきましたので、その他についても本日あわせて御 議論をいただけますようお願いいたします。以上でございます。  村田座長  どうもありがとうございました。今の御説明の中で、特に委員の先生方から改めて聞 いておきたいことや御意見はございますか。  それでは早速実質的な検討に入らせていただきたいと思っておりますが、今、資料に ついて御説明がありましたように、非常に具体的な資料も載っておりますけれども、本 日は資料4に掲げてございますくくりの中で、資料1に挙げてありますような課題につ きまして、非常に具体的で、できれば実効性があり、またその成果が評価できるような ものを御検討いただければいいかと思っております。  余りに多岐にわたりますと、焦点そのものがはっきりしなくなってまいりますので、 できるだけ問題点を絞って御検討いただければ大変ありがたいと思うわけですが、お配 りしてございます資料1の検討課題メモ、食べる力をはぐくむための具体的な支援方策 についての1、子供の主体的な食べる力をはぐくむための支援方策といったものについ て、どういった点に注目をしていったらいいのかといった点については、先ほど来、足 立先生を初めとして具体的な例を出していただいておりますが、委員の皆様の方から御 意見はございませんか。  具体的な資料として、NPO法人こどもの森の吉田先生から御提供いただいておりま すが、こういったことを中心にして、今申し上げたように具体的な支援方策といったも のがございましたら、お話をいただければと思います。  吉田委員  私は欠席が多いものですから、日ごろの様子がよくわからなくて十分なことがお話し できるかどうかわかりませんけれども、私たちがNPOの活動の中で子供たちに一番望 んでいることは、子供たちがみずから食べたいという気持ちを育てたいということで す。そのために私たちはどのような活動をすればいいのかということを日ごろから考え ております。  日ごろ私は子供のところで実践をしている身で、それがまだマニュアルやプランに なっているわけでもありませんので、実践の中から、こんなことをすればこんなふうに 子供は変わっていくのではないかということしか申し上げられませんけれども、私が子 供たちと一緒にいて感じることは、やはり食べ物にかかわっていくということはとても 大事なことではないかということです。  そのかかわりとして、何を実践すればいいかということをずっと考えてきましたとき に、やはり調理にかかわるということです。調理にかかわりながら、さらにその向こう にある栽培、収穫という世界を、子供たちの気持ちがわくわくしながら出来るという活 動していくことが必要だろうと考えました。  調理ということにかかわっていく中で、もう一つ何を大事にしたらいいのかというこ とを考えましたときに、子供たちのさまざまな食の問題を見まして、どうも味覚が違っ ているのではないかというところに私は自分なりに気づいたわけです。  いわゆる便利な食というものは、ほとんどが調味液といいますか、強いうまみが非常 にありまして、そのはしりというのは、いわゆる汁物のだしのもとから始まったような 気がいたしています。  汁物というのは、やはり高血圧予防の時代から、余り取ってはいけないという方向に きていまして、私自身も栄養士としてそういった指導もしてまいりましたけれども、そ れでは本当に汁物というものは人間の健康にとって悪いものであるかと考えたときに、 汁物の主役というのは、本来はだしではないかと思いました。さらに日本の汁物のだし というのは何かと考えますと、それは決して塩分ではなく、かつおぶしであり、煮干し であり、昆布であるといった、いわゆる自然食材のうまみの世界がきちんとあるわけで す。そういうものを子供たちに伝えていくことが、今の世の中の調味料の流れとは反す るかもしれないけれども、子供たちの食べたい気持ちを育てていくことにつながるので はないかと私は考えたわけです。  そこで、汁物の主役であるかつおぶしをかくこと、かつおぶしをかいてにおいを感じ ること、そして味わってみること、昆布のおだしを味わってみること、そういったこと を活動の中に取り入れていきましたら、子供たちの食べることに対する意欲が交わって きました。食べたい、おなかがすいた、早く食べたいといった言葉が実践の中から多く 聞かれるようになってきたわけです。  このようなことをやっていきますと、子供たちは好き嫌いがたくさんあるにもかかわ らず、好き嫌いが実際の場では見えなくなってきます。おだしの香りにつられながら、 子供たちの食が進んでいきます。いわゆるかつおぶしの天然のだしと、今、世の中の大 方を占めている、いわゆる調味液というものは何が根本的に違うのかというと、もちろ んうまみの強さも違うけれども、子供たちの食欲を育てる力として香りが違っていると 思います。  そういったところから、今、私たちはおだしを中心に実践活動を展開していますが、 香りを楽しむということと、本当の食べ物の味を楽しむといったことを調理を通して やっていきますと、やはり子供たちに、いきいきと食べる力が非常に育ってきているこ とを感じております。  村田座長  今お話しいただいたような観点を、これからの議論といいますか、そういった方向性 で私なりに位置づけてみますと、そういった状況をどのような形で普遍性を持たせると いうか、地域性の広がりを見せるとか、あるいは実践的な行動に移していくかといった あたりの具体的な方策といったものがいろいろと議論できれば、大変実りのあるものに なるのではないかということで聞いておりました。  引き続きまして、足立先生からも資料を御提供いただいておりますので、資料等を中 心にしながら、一般論という形でも結構ですので、お話をいただければと思います。  足立委員  先ほど御紹介いただきましたように、研究班の仕事として、やや教育介入的にやりな がら、やった経過を踏まえて、今、見ていただいているものは、子供たちが友達同士で 読みあったり、家庭で大人たちに読んであげたりというふうに、子供発信型の資料のつ もりでつくった絵本であるところに特徴があります。  今までであれば大人が読んであげるという形が多かったわけですけれども、今はきち んと基本から理解できて、感受性も非常に豊かなのは子供ですから、子供の方が発信者 になるようにという考え方でやっているものですけれども、きょうのテーマの食べる力 をはぐくむためにというところで、どんな食べる力なのかというときに、二つありま す。  一つは食物の世界というのは、すごく奥行きがあって広いということを知る力、そう いう中で自分にとってちょうどよい食べ物を自分の体や心にあわせて選ぶ力を育てると いうことです。少し難しいのですが、食物は多くの人々によって作り出されるもの、だ から無駄なく、合理的に選ぶことが必要です。栄養成分を薬のように択する形になって しまうことを恐れています。  そのためにはどんな方法がいいか。身近な食具やいつもスーパーで見ている商品を教 材にしながら、実際に扱って学んでいくということと、科学的なエビデンス、根拠を子 供たちにデータとしてきちんと示しつつ、それを実験的に確かめつつすすめる方が子供 たちはよくわかってくれますので、そういったワークシートをつくっていき、そのよう にして理解できたことを、自分でわかって終わりにしないで人に伝えていくということ で、冒頭に申し上げたことに戻ります。自分が学んだことを人に伝える場をつくるとい うストーリーで考えたものです。  前者のためには資料(絵本)の1ページを見ていただくと、食の世界というか、生産 から加工、流通、そして調理して食卓、そして廃棄も含めて、食べ物の一生と自分たち 人間とのかかわりについて知るページから始まり、その次の3、4ページでは、自分に とってちょうどよい食事というのはどのくらいの量なのかということを、自分の体をは かってみて、それに合わせてちょうどよい食事の量をお弁当箱を使いつつわかっていき ます。科学的な根拠(栄養所要量)からは、自分にちょうどよいと言われるけれども、 それでは足りないなどと迷っているところもあります。さらに食物の組み合わせ方を料 理選択型食教育で主食3、主菜1、副菜2の割合で組み合わせるとできることについて 学びます。それを低学年の子であれば、主食と副菜をスタッフが詰めてゆき主菜だけを 詰めるようにするとか、中学生であれば自分たちで詰めた結果の栄養素チェックをする 等、発達段階に合わせて展開することになります。  そして7ページ、8ページに書いてあることは、その弁当を実際に仕上げて、みんな で食べてみます。これは大事な評価のプロセスです。評価の結果を発言する、おいし い、おいしくない、多い、少ないと言ってみる作業で評価を客観化するプロセスでもあ ります。  もう一つのプログラムは、次の9、10ページにありますようにおやつパワーゲームで す。近所のスーパー等で売っている50種類の食品を、11、12ページにお示ししたおやつ パワーマップというものを作成し、位置づけました。  これは縦軸がエネルギー、横軸が重量です。各商品を該当する場所に置いていくゲー ムです。子どもたちは大変興奮し、年令をこえてマップの上にのり出していきます。高 学年の子供たちは色装紙裏の栄養成分の表示を見て、“ここに書いてあるじゃないか” と言うと、それを見た低学年の子が、“それは本当に当たっているの”と質問する一場 面もありました。身近な食具を使って、自分の体と合わせながら選択する力を自分たち で確かめつつ、そのプロセスを子どもたち関係者たちと共有していくまさに教材です。  この冊子の特徴は、こうしたプロセスをワークシートのような形に載せながら、一つ のストーリー性を持った1冊にして、ありますので自宅で家族とも話ができて、お隣に も話ができて、要するに子供たちはかばんの中にこっそりこれを入れておいて、いろい ろな人に発信する機会づくりをねらっていることです。  実はこの1冊ができてから、学童保育や児童館の指導員の人たちがぜひ勉強したいと 申し出てこられ学習会を開くということもありまして、今までとは少し違った子どもた ちにそそのかされた学習のチャンスがふえてきたように思います。  ですから、いろいろな年令層に共有できる「教材」を子供たちがつくり、使う形にな る、楽しいわくわくする食育の例にお考えいただけるとありがたいと思います。以上で す。  村田座長  ありがとうございました。資料4を常にごらんになりながらいろいろと検討を進めて いただきたいと思いますが、先ほど吉田委員にお伺いするのを忘れていたのですけれど も、今、実践的に先ほどおっしゃったことを展開しようとしますと、対象の年齢層や対 象となる場といったことはどのようになりますか。  吉田委員  私は対象年齢としては幼児からやっておりまして、これはこどもの森だけではなく、 私が依頼された保育園、幼稚園に伺ったときには、すべてこのおだしのところから、か つおぶしをかくという活動から取り入れていただくようにしております。  村田座長  現状では幼児期からということですね。  吉田委員  はい。幼児期からです。  村田座長  足立先生の先ほどのお話だと、相当広い年齢層のようですが、実際にどういった年齢 層にやられたのですか。  足立委員  幼児であれば、お兄さんお姉さんと一緒に加わって好きなものを選ぶということがで きます。中学生や高校生であれば自分の体格に合わせてエネルギーチェックをして、確 かに料理レベルで組み合わせたものが栄養素レベルで合っているといった証拠をつくっ てグラフにしたり、小さい子供たちにそれを話してあげたりというふうに、各段階で使 えるということです。  村田座長  幼児期から高校くらいまでは使えるということで、それで実際的にもやっていらっ しゃるということですね。  足立委員  はい。  村田座長  今のお話を伺って、ほかの委員の先生方も、それぞれの場で今のような実践的な活動 をなさっていらっしゃるかと思いますが、こういったガイドラインを書く場合に、こう した方がいいということよりも、実践的な問題のとらえ方をしますと、食の問題は大変 いろいろと展開する場面などの多様性がございますので、そういったところに実践例を 通じていろいろとモデファイしていくといいますか、修飾していくという方向性もいい のではないかと思いながら伺っておりましたが、今のような具体的な事例といいます か、実践的な活動をなさってらっしゃるというようなことでは、岡田委員はいかがです か。  岡田委員  具体的な例ではなく、今の足立先生のお話の中で気になったところといいますか、 ずっと気になっていたことがあるのですが、議論から少しずれてしまいますけれどもよ ろしいでしょうか。  村田座長  どうぞ。  岡田委員  足立先生が御提出された資料の5、6ページのところで、主食、主菜、副菜というこ とがあります。学校の授業ではまだ栄養素レベルから話が行われている場面も多くみう けられ、このように一生を通じて食べる力をはぐくむといったときに、学童期や思春期 など、学校のときだけには多少異なった方式で教育が行われていて、どうも違和感があ るので、その点をうまくすり合わせたような具体例が出てくるといいかというふうに考 えておりました。  村田座長  その点に関しまして御意見がございましたら、お願いいたします。  上原委員  今の御意見の意味が少しわからないのですけれども。  村田座長  場面によって教え方が違うので、それをよくすり合わせておかないと、子供の立場か らすれば、全く違うことを教育されているように感じるのではないかというような御意 見であったかと思いますが。  上原委員  そうではなく、1回目のときに資料として出た文部科学省の学習指導の教材がありま すが、あれでは主食、主菜、副菜という教え方をしております。  上原委員  はい。  岡田委員  ただ、現場にいると、何となくこの辺がどうもうまくいっていないという感じがあり ましたので。  上原委員  家庭科の授業として、あるいは保健の授業としてということでは、まだそれは出てい ないかもしれませんが、今の流れとしては、主食、主菜、副菜といった、バランスとい うものをきちんと教えましょうということで進んでおります。  岡田委員  はい。やはり保健の授業や家庭科の授業でそういった問題があるので、両方の知識が 入ったときに子供が混乱するのではないかということがありました。  村田座長  21世紀へ向けての食生活指針のときに、その場には足立先生もいらっしゃったのです が、私も関係しておりまして、今の主食、主菜、副菜ということについて、別の観点か らも問題が出ました。それは、そういう方向性を持って国際的に対応していくときに、 そういう理解がなかなか国際的にできないから、やはり栄養素といった考え方も加えな ければいけないのではないかというような意見だったわけですが、かなりそういう流れ があるというふうに理解はしているわけです。  しかし、今後は主食、主菜、副菜という考え方で、昔の通産省、厚生省、文部省も加 わって議論をした結果としては、私の個人的な考えとしては、恐らく方向性としては主 食、主菜、副菜といった考え方の方がいいのかと思っております。  といいますのは、学校現場で、直接子供さんに、赤色の食品、黄色の食品、緑の食品 と聞いてみますと、赤色の食品は、大抵がトマト、にんじんということになってしまっ て、そういう観点から、私としては主食、主菜、副菜という考え方は、フードピラミッ ドの考え方などにも共通するところがあると思います。  例えばベースに穀類がきているということは、我が国で言えば主食という感覚になる のではないかというところがありますので、ですから国際的にいろいろと議論をされる ときにも、きちんと説明をすれば、今の考え方というのは、我が国だけがかけ離れて やっていかなければいけないものではないのではないかというふうに思っているのです が、このことにつきまして、ほかに御意見はございますか。子供さんの立場からすれ ば、御指摘は非常に重要な意味も持っているのではないかと理解します。  岡田委員  私個人的には、主食、主菜、副菜の方が非常にわかりやすいです。ですからそれは受 け入れやすいのですけれども、実際にまだ学校の中では従来の方式がかなり根強く残っ ている中で、こういったことを推進していくときに、具体的に、例えば学校の先生や地 域の方々に混乱がないようにアプローチをしていく必要があるということです。  村田座長  そうですね。確かに受け取る側が子供という立場からすると、聞いた状況などによっ ては混乱を招くかもしれない気がしておりますが、私の勝手な意見を述べておりますけ れども、足立先生から簡単にお願いします。  足立委員  子供たちは、体系立ててきちんと話せば意外と混乱しません。食卓での主食、主菜、 副菜の組み合わせが台所やマーケットで選ぶ段階では見ると食材料、体の中で消化さ れ、ばらばらになった段階ではいろいろの栄養素ということで、これらを一覧表にして 学びます。栄養素レベル、材料レベル、料理レベル、食卓レベルというフレームにする と、子供たちはすんなり、理解できるようです。子供たちは理論的にきちんと作表など をして提案すると、そうだったのかと感嘆詞をあげることもあります。  ただ先生がおっしゃっていらっしゃいますように、それを扱う学校の先生や関係者の 中で理解できている人がいること。さらに食材レベルでも、食品群は4群でなければだ めだとか、6群でなければだめだというふうに国宝的に考える人がいて、子どもたち は、それに惑わされることが多いのです。大人たちがちゃんと理解することがとても大 事かなという感じを受けています。  ですから、厚生労働省が出した食生活指針のビジュアルガイドが大活躍しています。  村田座長  事務局の方からは何か御意見がありますか。  栄養専門官  今、足立委員に御紹介いただきましたとおり、基本的には食生活指針で、農林水産 省、文部科学省、厚生労働省の3省で決定された段階から、基本的な概念として主食、 主菜、副菜ということについては整理、御理解をされているというふうに考えておりま す。  ただ、個々の場面でどういうふうな共通理解を図っていくかということは、むしろ今 の主食、主菜、副菜だけの問題ではなく、恐らくこの中の個々の問題に出てくると思い ますので、そういった意味において、逆にこちらも配慮していきたい部分はありますの で、いろいろとお話をいただけたらと思います。  村田座長  いろいろな意味で、こういう実践的な活動をするといったときに、岡田委員の御指摘 は大変重要な意味も持っているということは間違いがないところです。御質問はござい ますか。  吉田委員  あえてこの場でお願いなのですけれども、私は子供たちの味覚を育てるために、おだ しのことをぜひ伝えていきたいということから、汁というものに対して、少し皆さんで 御検討をいただけると大変ありがたいと思います。  やはり離乳食から、薄味であっても、おだしをきかせることで子供たちがおいしく食 べられると思っておりますし、汁の位置づけということがこの会できちんとされるとあ りがたいと思っています。  過剰な塩分摂取の原因は、決して汁物ではなく、もっとほかに味つけの大変濃いもの があると思っておりますので、お願いしたいと思います。  村田座長  わかりました。ほかに御意見はございますか。  吉池委員  足立委員の資料を拝見しておりまして、主食、主菜、副菜を、非常に食卓レベルでわ かりやすく、お弁当箱を例にして伝えているという工夫がよく伝わって、大変感銘を受 けました。  そして、食卓レベルにはまらないものを「おやつのパワー」として、大変よく整理を されています。食卓といったときには、ある意味では理想的な姿が見えやすいわけです が、プラスアルファの部分をどう伝えていくのかが問題となります。食生活指針の中で は、果物だけは外に取り出して扱っていますが、そのほかのお菓子類について、足立先 生は非常にうまい表現をされていると思ったわけです。場合によっては目のかたきにさ れてしまうようなものを、実際にどのように表現をして、どのように子供たちのおや つ、お菓子等の選択につなげていくかということも重要ではないかと思います。  なぜかというと、家での食卓以外の、子供自身の選択にゆだねられる部分がそこにあ るということと、コマーシャリズムその他に一番左右されやすいがそこの部分のだろう ということです。具体的にはコマーシャルの影響や、おまけが欲しくて買うような食品 といったものは、ある意味では企業が戦略的にしている部分があるかと思いますので、 特に社会全体の環境ということに関しては、その点についての配慮も要るのではないか と思います。  村田座長  書き込みとして、そういった部分に配慮した方がいいのではないかということです ね。今、話題になっておりますのが二つの事例ですけれども、学校や保育所などのいろ いろな場面で、これに類したような、あるいは類していなくても差し支えありません が、そういった事例をお持ちのところはございませんか。  御園委員  事例はたくさんあるのですが、今私がお話を伺っていて感じることは、今のお話は年 齢がかなり上のレベルのお話で、私のところには産休明けの子供からおりますので、そ れを考えたときに、やはり親育て、親をどうする支援かということが今の課題です。  また、やはり保育園というのは、子供がおいしく食べることが何よりのごちそうとい うふうに思っております。食事を人と一緒に楽しく食べるということが生きていく上で 基本になっているということであれば、栄養にもなっていくかと単純に思っておりま す。  特に乳幼児期は楽しい食事体験が必要と思います。保育園には栄養士がおりまして、 きちんといろいろなことを加味した献立を使っておりますので、乳幼児期にはそれをお いしく食べることを覚えていくこと、教えていくことが大事なのかなと思っておりま す。  村田座長  具体的にはどのような対応をすることで、おいしく食べていく状況をつくっていくと いうことになりますか。  御園委員  子ども発育・発達の過程を適切に捉え栄養のバランスを図るということです。もちろ ん月齢も違いますし、同じ年齢であっても、子供一人一人で、例えば病気の子もいれば アレルギーの子もいれば、外国籍で宗教上の理由から特定の物が食べられない子供もい るというように、いろいろな子がいるということももちろん配慮します。  そのほかにも、食べ物としては旬のものということもあります。私のところではでき るだけ和風を基本にしておりまして、できるだけ家庭の味に近いようなものにし毎日サ ンプルの展示や試食できるようにし、お母さんたちにもお知らせするようにしながら食 べております。  食事は、一緒に食べたい人がいる子供に、といったことを踏まえて、ある程度の年齢 になれば、ランチルームでおいしく味わって食べたり楽しく食事が出来るよう配慮して います。あるいはときにはボランティアに来ているお年寄りと食べたりというようにい ろいろなことをしております。保育園の特徴を生かした家庭支援、地域支援が求められ て実践している立場からは、今のお話は、私にとっては先の話のように聞こえておりま した。  村田座長  先という表現がいいかどうかは私としても考えるのですが、要するに生まれてから思 春期になるまでをカバーしていこうということですので、今のお話をまとめれば、もう 少し小さい年齢層に対する具体的な対応もなくてはいけないし、そのためにはどのよう な形で親、保護者に、子供が楽しく食事をするという状況づくりの中に参加してもらう か、いろいろな参加の仕方があると思いますが、そういったことではないかというふう に理解をします。  御園委員  私たちが子供に育てたいものとして、食べる意欲ということを踏まえたときに、乳幼 児期には心情、意欲、態度というものを育てたいと思っております。そのことによっ て、食事にしても、生活のいろいろな場面においても、子供自身が自分から何かをして いこうとか、自分の気持ち、意志を持って何かをしていこうというような心情、意欲、 態度が育っていれば、食べる力にうまくつながっていくかというふうに思っています。  例えばお母さんたちにとってはそれがなかなか難しいという場面もあるのですが、そ れは一つ一つ細やかな対応を取りながらやっていくということです。私が先のこと申し 上げたのは保育園の適切な食育のあり方も重要であるという思いでございます。  村田座長  そういった中で、食の問題というのはいろいろと多様性があって大変に難しいと思い ますけれども、何か共通項のようなものでくくっていけるような部分というのはござい ますか。  御園委員  私が保育園でお母さんたちにお話ししているのは、1つのきっかけとしてママの味を つくろうということです。昔でいうおふくろの味です。お休みの日には、お母さんと子 供で、楽しみながら、一緒に食べたいものをつくってみようというような話をしたりし ております。食べ物に興味を持てるようになるということにもつながると思います。  村田座長  わかりました。足立委員どうぞ。  足立委員  前回、前々回にも配られた資料と関係するのですが、幼児たちの全国調査の結果で、 “いただきます、ごちそうさま”のあいさつを実行していこうという視点です。それが しっかり味わって食べる場をつくっていく。子供自身はいただきますと言うことで、食 べるという自分の行動の意思決定を表現することになります。そして、ごちそうさまも 終わりの意思決定ですし、子供自身が意思決定をしながら、その意思決定を家族やお友 達と共有していきます。あいさつが食事の時間を一緒に味わっていくという一つのシン ボルだとすれば、今座長がおっしゃった共通するキーワードの一つに、あいさつ行動が 入ってくるかと思います。  すでに全国的に多くの場所でこの活動がすすんでいます。あいさつは子供の方が上手 にできますので、子どもから発信型で食事が変わった家庭もたくさんあるときいていま す。  村田座長  ありがとうございました。  渡辺委員  今お話を伺いながら、入院治療をしている拒食症の子供たちを思い浮かべました。と ても興味深いことは、例えば入院している拒食症の子供の1人のお母さんは栄養士さん です。又別のお母さんはわざわざ原産地からライ麦まで取り寄せて、手づくりのパンを おつくりになります。それから、1人はお子さん自身が栄養のカロリー計算がとても上 手で、そのカロリー計算を捨てさせるために私たちは四苦八苦しています。このような 治療場面で見る偏った子供と、今話しているベーシックな食の場面とのつながりは何だ ろうかと思っているのです。私が今感じますのは、例えば、たまたま私どもの病院の汁 はとてもおいしい、そういうことを子供と話していますと、うちのお母さんもとても上 手につくるというのです。上手につくるお母さんであり、病院食も食べてくれるのはい いけれども、そのお母さん自身があまりハッピーではない。そのお母さんは夢中になっ て、人並み以上の食事を家族に提供することをひそかな意地と誇りにしているのです。 そのこだわりや、むきになることでストレスを置きかえているときに、せっかくすばら しい食材でつくられた品々が、一変して、子供から見て非常に孤独な嫌な食べ物になっ ていくのかなと思います。そこで私どもの論議ではやはりお母さんの幸せをつねに考え たいと思います。お母さんが1人で孤独に取り組むのではなく、厚生労働省からいい知 恵をいただけたとか、保育園でやってもらえるとか、お母さんが、人々のなごやかな輪 にサポートされて、いろいろな食状況を、さりげなく、「まあいいか」というような、 気楽さの中であるいはきょうはよく頑張ったというような感じで楽しめること、つまり むきになったり、こだわったり、必死になることが余りないような中でとりくめるよう な論議にどうやってつなげていくかということだと思います。  食の論議がすばらしすぎますと、自信のないお母さんはつぶされると思いますし、エ ネルギッシュなお母さんはだれよりも食のスキルをマスターして、クラスの懇談会でと くとくとそういった話もするかもしれませんし、ですからもろ刃のやいばという感じが 少ししました。  村田座長  ほかに御意見はございませんか。学校という場は、教育とも絡んで、実践といいまし てもいろいろな意味合いがあると思いますけれども、いかがですか。  上原委員  実際に学校に上がってくる子供はさまざまな食の体験を持ってくるわけです。うちの 方の実践としましても、子供たちに、体験をしてきたはずのことをもう一度体験させよ うという試みといいますか、それが必要になってきているということもありまして、 今、渡辺委員がおっしゃったとおりですけれども、何から始めるかということでは、や はり生活科というものはありますけれども、身近なこととして、栽培するということ や、収穫するということを体験させるところから入っていくということがあります。  私も資料5のところに少し書かせていただきましたが、体験活動も大事ですけれど も、やはりどなたかがおっしゃったように、お母様が背景にあって、それで子供の食は 決まりますので、今の活動の仕方を挙げますと、学校では母親といいますか、家庭も含 めた指導というものが進んできているということがあります。  例えば一つの例では、体験だけではなく、子供たちに食を教える給食があります。一 緒に食べるということもそうですけれども、給食を通して、先ほどの主食、主菜、副菜 ということを教えるということもやるわけです。そのときに、お母さんも一緒に授業に 参加して、食について一緒に学ぶというか、そういう活動が試みられてきているという ことがうちの県でもあります。やはりそういうことが必要になってきているということ を皆さんが思い始めてきているのではないかと思います。  先ほどママの味というお話がありましたけれども、その家庭、家庭の味はあっても、 これがいいものかどうかということを何かの機会にお母様方に返してあげるということ が必要になってきているのではないか。それが今の給食には求められているということ も一つの大きな要素ですけれども、子供たちが平均的な食事といいますか、そういうこ とを体験していく。強いて言えば家庭にも平均的な食事というものをPRしていくとい いますか、何が必要なのかということを教えていくということも給食の役割として変わ ってきています。  ここに書かせていただきましたのは、やはり家庭では規則正しい食事のリズムである とか、先ほど足立先生がおっしゃったように、いただきます、ごちそうさまというよう なことをマナーとして教えるということも大事ですけれども、今は給食でもそういうこ とを教えていて、教科でもそういうことを教えてきているということが現状になってき ております。  細かい事例ということになりますと、先ほど私が申し上げました文部科学省の教材も ありますけれども、学校にいる栄養士さんが、いろいろと工夫されて指導をやっており まして、それをいちいち挙げるわけにはいきませんけれども、実際には、食は子供だけ ではなく、家庭も巻き込んだ指導というものを進めてきているというのが現状です。  村田座長  ありがとうございました。もう一つの視点といいますのが、今の食事というのは必ず しも家庭ばかりではなく、外食と言ったり、いろいろな言葉があるようですけれども、 そういった領域の中で、必ずしもかなりの年齢になってからばかりではなく、生まれた ばかりの赤ちゃんを連れたりしながら外食をしているということがありますので、広い 意味での食産業といいますか、先ほど御説明をいただいた中にも出ておりましたが、レ ストランなどのいろいろな問題といったことについて、実践的な活動といいますか、家 族によりよい食事を提供する実践的な活動などをおやりになっていること、あるいは御 存じのことはございますか。  足立委員  小さなグループですけれども、20年程続けてきている子供たちの「自然から食卓まで 子ども自身が構想し、実践する食事づくりセミナー」では、地域の生産者の方々とか、 実際に食材を売ってくださる方との交流がすすみます。例えば子供たちがトマトを買い に行くときに、学んだ知識を生かして選べるように品揃えをして下さったり、逆に届け られた食材に農家の方からのメッセージが添えられたりします。一方子供たちの学びが 地域のフードシステムにかかわる人たちの学習ニードを高めるようでグループ学習を始 めたり、婦人活動のテーマにしたりという事例です。私たちのところだけではなくて、 全国的に事例は多くあります。  ですから、フードシステムの方に向かって、こうしてほしいという要望を出して、例 えば保育所や学校の前に飲み物の自動販売機が並んでいて、甘い飲み物が販売されてい るけど水が多いので水を加えてほしいと運動を起こしたところもありますし、事例は全 国的に結構あると思います。  村田座長  私もある地域で四つ葉のクローバー運動というものをやっておりまして、その四つ葉 のクローバーについているメニューというのは、値段と栄養配分が非常にリーズナブル であるということで、今は違うと思いますが、多くは懐ぐあいで食べるものを決めてし まうというようなことがあって、必ずしもごちそうイコールバランスが取れた食事では ないといった傾向もあり、そういった働きかけもある意味では必要だし、実践的な活動 も必要かというふうに思っておりますが、加藤先生は実際にお子様もいらっしゃって、 いろいろと活動をなさっておられますが、何か実践的な御経験やお考えがあればお願い いたします。  加藤委員  今、貴重なお話を伺っていて思ったことですけれども、いろいろなすばらしいプログ ラムを、実際に子供さんたちがやり、それを保護者の方がフォローして、経験をなさっ た上でどのように評価していくかという観点で、重要なところは実感値といいますか、 この言葉は検討する必要があるかもしれませんが、例えば自分にとってちょうどいい食 事はどうなのだろうかというところで学んでいったとします。それを食べ終わって、 ちょうどよかったという実感を学ばせるというところが、最終的に確認すべき点ではな いかと思います。  例えばおやつパワーということも知識で学ぶことがまず重要だとは思いますが、ポテ トチップス1袋を一度に食べたら何か変だというような、そういった実感から学んでい く点ということも大きいのではないかと思います。  しかしながら、子供さんに知識を与えて、そこから大人を変えていくというのはすば らしいアイデアだと思いまして、それに対応していける大人側のセンシティビティーと いいますか、受け入れ態勢を整えていく方法というものがあればもっといいかと思いま す。  保健一般で小児保健などをやっておりまして、健康教育的な場面では、大抵は説教型 ではなく、実践と実感という形でペアにしていくことが多いかと思います。例えば、汗 をかいたらふかねばならぬ、あるいは汚れたら手を洗えといったことは、頭で教えるこ とではなく、そうしたら気持ちがいいといった実感を学ばせていくという部分が多いわ けです。  例えば、一生懸命に運動したあとにはおなかがすくという実感は非常に心地のよいも のであるといったことを学ばせていくというような要素もプログラムに必要かなという ような感じを持ちました。  村田座長  星委員は子供の調理等にも関係をしておられていらっしゃいますが、どんな御意見を お持ちでしょうか。  星委員  私の場合は、どうしてもNHKの子供番組といったメディアを通じての表現なので、 細かなことではないのですけれども、ただ、番組をつくっていて、忘れてはいけないと 常に初心に返るのですが、料理とのファースト・インプレッションというものをすごく 大切にしようと心に刻みます。  4月から始まる番組というのは、いつも卵料理から始まります。なぜ卵から始まるか というと、子供は卵の殻を割るということが好きなんです。それをやるとまず料理に興 味を持ってくれるという単純なところなのですけれども、その辺から入って、徐々に子 供の好きなお菓子であったり、めん類であったりといった料理から始めて、どんどん取 り込んでいきます。子供は、自分で作ったものは残さず食べてしまい、少なくとも料理 や食べ物に対して非常に興味を持ってくれるということは実感できます。  また、ただ料理だけをやっていたらいいのかという問題が常につきまとうのですが、 やはり食べ物が食べたくなるということは、体を動かすということなども大切な問題な のではないかということで、資料2をつくったときに、心と体の健康ということの中 で、心の健康でいいのではないかという話も出てきたかと思いますけれども、体にこだ わりたかったというのは、子供の食欲と体を動かす関係性をしっかり見ていかなくては いけないと感じています。  少し枠を広げて、食べることだけではなく、きょうの検討課題にもありますように朝 食の問題や、朝早く起きて体を動かして、食事がしたくなるような環境をつくるといっ たことも必要なのではないかというふうに思います。  番組をつくっていてもう一つ思うのですけれども、子供は、食べるときも、学びなが ら食べるというよりは遊びながら食べる。発見や想像力を働かせて食べているのではな いかという気がします。  食べ物を気持ちよく食べさせていくためには、そういった何らかの工夫というものを 取り込んでやっていくことも大事かというふうに思います。  村田座長  ありがとうございました。これは私の個人的な考えですけれども、食というのはかな りいろいろと実践的な事例があり、それも具体的なのですが、それプラス体を動かすこ ととの関連ということが余り深く論じられないのではないかというような印象を受けて います。  先ほど申し上げたアメリカのフードピラミッドは大変有名になりましたが、その子供 版が出ていまして、子供版には必ず子供が外で遊んでいる絵があります。ベースの部分 の穀類を食べましょうという部分では、外で犬などのペットと遊びましょうということ ですし、それがだんだんと難しくなってきて、スケートをしましょう、バスケットボー ルをしましょうというふうになっていますが、そういう形で必ず体を動かすことがつい ております。  それからキッズ・アクティビティー・ピラミッドというものも出ているのですが、こ れは体を動かすことについて、毎日やりましょうということから、週に何日かやりま しょう、週に1回くらいはやらないようにしましょうというふうに、このピラミッドを まねしているものですが、毎日やりましょうというのは、走ることや外で遊ぶことで、 そのベースにはパンやお米やスパゲティーが擬人化して描いてあります。  また、お肉を食べるというような部分では、例えばバスケットボールといったように だんだんと難しくなってきて、そこには鳥の肉の絵などが描いてありまして、必ず体の 動きとの結びつきということがあるのですが、その辺も私は非常に大事なことではない かというふうに思います。  ちょうど今話題が出てまいりましたので、先ほど御園委員から大変大事な御指摘をい ただいた、生まれてから具体的な対応をしていくまでの期間が非常に重要であるし、難 しいのではないかという問題ですが、この問題はあとで改めて議論させていただくこと にしまして、朝食が欠食になっているということは大きな問題だと思います。  しかも、食べる物がないということで食べていないわけではなく、食べる時間がな い、食欲がないという理由が大体80%近くを占めているわけです。  それから、調べてみますと、中には朝起きても朝食の用意がないとか、うちでは朝御 飯を食べない習慣になっているというようなことも1%くらいはあるわけですが、この 点に関して、こうすれば子供たちが朝御飯を楽しく食べられるのではないかということ について、実践的な御経験や御意見はございませんか。  足立委員  朝食くらい子供たちがつくってしまおうというプログラムをやっています。家族全員 分をつくる担当が小学生の子供たちで、それは成功率が非常に高いです。大人を待って いたら間に合わないので、子供がつくるというプログラムです。  村田座長  ほかにございませんか。お考えでもいいのですが、子供たちが朝御飯を食べるよう に、できれば家族そろって食事ができればこんなにいいことはないと思います。  夜型の生活ということについて日本学校保健会というところで調査をしていますと、 朝は学校へ行く時間が大体決まっていますから、35、6年を調べてみましても、6時半 くらいから7時前くらいまでの30分くらいしか遅くなっていません。しかし、寝る時間 は小学生で10時過ぎ、中学生では11時から12時の間くらい、高校生では平均値が明くる 日になっているような状況で、就寝時刻というのは、小学生で1時間10分くらい、あと は2時間近く遅くなっているというような夜型の生活ということとも、朝食の欠食とい うことに深く関係があるのではないかと思っているのですが、何かお考えはございます か。  上原委員  朝食を食べようという運動を学校ぐるみでやると、かなり効果はあります。ただ、そ れが習慣になるかというと、やはり夜型の生活に誘惑といいますか、いろいろな要素が 加わりまして、変わっていってしまうということは出てきています。早く起きるという ことよりも、早く寝るということの方がネックになってきているかということがありま す。  みんなが応援をして、早く寝るといいますか、自分で寝ようとする気持ち、どうした ら寝られるようになるかといったところから指導をしていくということが大事ではない かということは、今いろいろなところから出てはいます。  村田座長  夜型生活といったことについて、ほかにお考えはございませんか。平成12年に乳幼児 の調査の一番新しいものが行われていますけれども、20年くらい前に比べますと、3、 4歳から4、5歳の子供たちについては、加藤先生の方がお詳しいと思います。  加藤委員  健康調査については、先般こちらの委員会の方にも資料が出たかと思いますけれど も、夜10時以降まで起きている子供の割合は、2歳で4割、5、6歳で6割という結果 が出ておりまして、テレビ、ビデオの視聴が4時間以上というのが幼児期でそれぞれ 5%ということがわかっています。学童期についてプログラムを御紹介したいのです が、中学や高校で今、朝食欠食のために暴力行為とまではいかなくても、いらいら感で すとか、いわゆる突発的な衝動、「キレる」行動と言えるような行動が問題になってお りまして、スクール・ブレックファースト・プログラムというものをやっているところ を幾つか研究してみました。これは昨年度の研究班でやった一部ですけれども、それを 試行している学校で、明らかに午前中の症状が軽いということはないのですが、何か 買ってきてでも朝食を食べたという人たちは結構体調がいいということはわかっていま して、そういう意味でリズムをちゃんとしていくということに越したことはないのです けれども、もはやそれがなかなかしにくくなってきている現代社会の中で、少しでも食 べやすい環境をつくっていくということも一つの考え方かというふうに考えておりま す。  村田座長  先生がおっしゃったスクール・ブレックファースト・プログラムは日本で行われた ケースでしょうか。  加藤委員  そうです。日本の私立中学高校の一貫校で、モデル的に幾つかの事例を発見いたしま したので、少し調べてみました。  村田座長  そういった提案は非常にいいのではないかと私は思います。私はそういった事例は知 らなかったのですが、インターネットやその他の学術雑誌を調べてみましても、外国、 特にアメリカや南米あたりで学校の朝食給食をやっています。それは子供たちが家庭崩 壊などで非常に貧しいということで、常習的に朝御飯が食べられないということがあり ますので、それに対して朝食給食をしますと、非常に子供たちの対応、学校の成績が上 がるということで、朝食を取らないと学習能力が落ちるということはどこでも出ている ことだと思います。  また1992年に東京都の教育研究所が、やはり朝食をよく食べている子と食べていない 子との調査をして、朝食を食べていない子は、先ほど加藤委員が言われたように、キレ たり、いらいらしたりしやすいということがあります。これは考えてみれば当たり前で ありまして、御飯を食べなければ、食べなさいという中枢が働いてくる。そして我々は 動物ですから、食事を取ろうとするときほどいらいらし、排他的になり、攻撃的になる というのは当たり前の現象でありまして、ライオンなどでもえさを取ったあとにのんび りしていたらみんな食べられてしまうわけですから、歯を食いしばるなどというとき に、もっとも頭が働くのは、いろいろなところに注意していないとすぐに取られてしま いますので、当たり前のことではないかと思います。  そういったことで、加藤先生の今のお話や、あるいは夜更かし生活対策といったもの に対する対応をしていくということは、朝食欠食をなくしていくということ、それから 加藤先生が言われたように、朝御飯は7時までに食べるといった考えではなく、やはり もう少しその辺を柔軟に対応して、食べられるときに食べさせてあげようというふうな 考え方も必要なのではないかと思って聞いておりました。朝食のことについて御意見は ありますか。  吉田委員  朝食につきましても、食べなさいということではなくて、やはり子供たちが一番食べ たいという気持ちになれるのはおなかがすくことであって、そのために今子供たちには 排便教育ということをきちんとやっていかなくてはいけないだろうというふうに思って います。  出ればおなかがすくので食べるわけですから、そういう意味で、自分の体の成長や体 調の変化を知るということが、この部分に入りましてもとても大切なことですが、これ はもっともっと幼児期から、うんちが出ることはとても大事なことだということを伝え ていきたいというふうに思っています。  村田座長  それでは足立先生どうぞ。  足立委員  朝食の学校給食のことをめぐって、つい最近にかなり厳しいディスカッションをしま した。そこでは何が問題になったかというと、食事を食べるという点だけから見れば、 非常に効果が上がって、午前中にいねむりをしない子がふえたとか、いろいろなことが 報告されましたが、家族とのコミュニケーションといった視点から見ると答はむずかし いのです。今は現実には夕食を家族と一緒に食べるということがむずかしい状況の中 で、朝食だけが唯一、家族が絡み合いながら何かをやれるひとときであると考えるから です。学校給食で食べられるようにすることを優先するのか、それとも家族の人間関係 やその形成のひとときを奪わないようにするのかということについてはかなり議論しな くてはいけないということでした。答えはとても難しいと思います。  村田座長  そうですね。朝食の欠食と申しましても、かなり年齢に依存していまして、国民栄養 調査などでは朝食欠食ということがかなり低年齢に出てきますが、あれは少し意味合い が違っているのだろう思います。  小学校、中学校、高等学校になって、特に大学生などはかなりひどいことになってい るのですが、それぞれの対応の仕方というのは、やはり成長の段階、発達の段階等で考 え合わせていかなければいけないのではないかというふうに思っておりますが、この問 題について、何か御意見はございますか。  御園委員  保育園は、朝食を食べないで来る子は、今お話があったように切れる、元気がない、 小さい子であれば泣くといったようなことがあります。  そこで保育園は、親に食べさせてくださいということを無理にお願いするよりも、保 育園のこの部屋であれば食べさせられますからお持ちになってください、お母さんがお 急ぎであれば私どもの方で食べさせますというようなことを話しています。子どもに とって朝食というのは大事だということを常にいろいろなことでお母さんたちにお話し させていただいています。  朝、子供がお母さんと別れるときにも、これから御飯が食べられるということがわか れば機嫌がよくなります。保育園で1日とても元気に楽しく遊びました、排便もできま した、元気でしたと細かに、お便りでお知らせするようにします。  そうすると、お母さんの中にだんだん、やはり朝御飯は食べさせなければいけないと いうふうに思ってくださる方が多くなってきました。  村田座長  ありがとうございました。先ほど来、お話がありましたように、やはりどういう形で 保護者に支援していくかということも非常に重要な問題だと思いますが、時間に限りが ございますので、資料1の検討課題メモの2の方に移らせていただきたいと思います。  給食の問題につきましては今かなりお話をいただきました。先ほどの資料説明のとこ ろにもございましたけれども、成長曲線を活用していくということで、私は単純に肥満 を扱うケースが多いのですが、渡辺先生はいろいろな意味でやせを扱っていらっしゃい ます。  これはでき上がってしまってからではなくて、我が国は唯一、頻回に、しかも正確な 身長・体重のデータをはかっておりますので、その経過を見ることによって、早く対応 をして、渡辺委員は、思春期やせ症、神経衰弱といろいろな呼び方がございますけれど も、これができ上がってしまうと、時には末期がんに近いこともあるということをおっ しゃいましたが、そういう意味で、成長曲線の活用といいますか、これは余り実際には 行われていません。  日本小児学会等もこの成長曲線の活用ということを普及活動の大きな一つに加えてい くというようなことも聞いておりますが、この点につきまして、いろいろと問題にも なってまいります。  やせ症との関係等で、こういうことをすることの意味といいますか、どういうふうに やればいいかということを渡辺委員から簡単にお話しいただけますでしょうか。  渡辺委員  お手元の参考資料の1の3に実際の成長曲線が出ておりますけれども、日本ではまず 母子手帳で成長曲線をつけます。それから、成長曲線はないですけれども、幼稚園の計 測と、小学校、中学校、高校の計測が、定期的に全国できちょうめんになされておりま して、今、村田先生がおっしゃったように、これは世界で類のないデータであり、計測 システムですが、それが子供自身の生活の自己管理に十分に使われていないというとこ ろに注目しまして、今、成長曲線に子供自身も興味を持って、自分の身長・体重の推移 を見たり、家族と一緒に話し合ったり、あるいは養護の先生やクラスの担任の先生と話 し合ったりして見ていこうということです。  お手元の成長曲線に、2例の拒食症あるいは神経性食欲不振症の発見の仕方が出てお ります。向かって左側は、14歳で体重の増加が横ばいになって、しばらくしてから少し 下がって、またすごく下がって、ピークで54キロあったものが42、3キロになったとい うカーブですけれども、既にこれだけのカーブを描いて、42キロになった時点で来てい るお子さんは、いろいろな多臓器障害を起こしており、脳の萎縮、子宮、卵巣の萎縮、 身長の成長の停止などがあります。  これはがんに例えますと、早期がんの発見を見逃して、末期がんの集中治療をやって いるようなことになりますので、回復するまでには大変な時間がかかりますし、御本人 の悩みも実際の身体的な後遺症も大変多くございます。  私どもは拒食症にはもちろん成長曲線を使っておりますけれども、入院している子供 たちのほとんどに使うようにしておりますと、家庭環境のストレスがあった子供さん が、たまたまほかの身体疾患で入院した直後に身長・体重が横ばいになっていたことが わかる、子供たちの場合には身長・体重がキャッチアップして戻ってくるということが あります。  そうしますと、子供さん御本人は例えばぜんそくであったり、先天性心疾患であった りといろいろな問題を持っていまして、これは立派な身体疾患ですけれども、それに加 えて成長曲線の極端な横ばいや減少があるときには社会心理的な要因があるに違いない ということで、お話をしていきますと、学校でいじめられているとか、夜に深く眠れな いとか、自分がぜんそくなのが悔しいから、絶対にいい学校を受検して、いい学校に行 こうと思っているから夜も寝ていないというように、それをきっかけにいろいろなこと が出てまいります。そういった意味で、社会心理的ないろいろなストレスについて、成 長曲線が子供の代弁をしてくれているということがあります。  神経性食欲不振症の早期発見はもちろん大事ですけれども、それよりももっとすそ野 の広い問題として、何らかのストレスがありながら我慢をしている子供たちのストレス の身体化として、身長・体重の曲線がいびつになっていく、急に体重がふえたり、ある いは急に横ばいになったり、急に下がったり、あるいは肥満とやせを繰り返すといった 方もいますけれども、こういった自然ではない体重の変動そのものが、新しいニューロ ・サイエンスの知見では、食欲中枢のある感応系の発達を抑制したり弱めたりして、結 局は情動のコントロールの非常に悪い人格をつくってしまうと言われています。  ですから、成長曲線の問題が、すなわち切れやすさとか、あるいは思春期の心身症の リスクにつながっていくということが、今強く示唆されております。そういう意味で、 成長曲線を日常的に学校でも家庭でも病院でも見ていただければ、子供たちのいろいろ なことを考えるのに役に立つのではないかと思います。  村田座長  ありがとうございました。例えば小さい子供などでも愛情遮断症候群というものがあ りまして、昔流にわかりやすく言えば、家庭の環境が非常に悪い、今で言うところのい じめであるといったことがありますと、極端に身長が伸びなくなってしまい、環境を変 えると元に戻ってくるということもあります。  また、阪神淡路大震災のときにも、いろいろな研究で身長・体重の増減を調べてあり ますが、心と体の健康という中で、身長・体重の変化というのは心の問題をかなり鋭敏 にあらわしてくれるわけです。  肥満についても同じで、食べすぎという単純な問題ではなく、肥満をしてくる背景に はいろいろな問題がございまして、心と体の問題を把握するには大変いい指標ではない かと私は常日ごろから思っているのですが、成長曲線に大変お詳しい加藤委員の御意見 をお伺いしたいと思います。我々が目にする成長曲線の大体は、加藤委員が中心になっ て世にあらわれているということです。  加藤委員  母子健康手帳などの成長曲線を提供してまいりました立場といたしまして、渡辺先生 や村田先生がおっしゃるように、問題がはっきりしてきた時点で発育曲線を描けば、確 かにここに示されているようにはっきりとした異常が出てきております。  しかしながら、一見何でもないような状態から異常が起こり始めている状態をとらえ るというのは重要であると言われているにもかかわらず、現場では非常に難しいことで はないかと思います。  といいますのは、地域の保健師さん、あるいは学校の養護教諭の先生方などに、何で もないときから習慣的に身体発育値をプロットするということがいかに重要であるかと いうことを申し上げても、なかなかピンと来ないような部分があると思います。  学会などで報告されてくる事例も、ほかに症状があるとか、学校に来なくなったと いったことをきっかけに成長曲線を描いてみたらこうだったというような事例がほとん どでありまして、その点は残念に思います。  どのようなシステムをつくっていけば、真に成長曲線が広く使われて、本当に早い時 期から、広いポピュレーションにおいてそれが可能になっていくかというようなことが 課題ではないかと思っております。  村田座長  たびたび同じことを申し上げますが、こんなデータを持っている国はほかには絶対に ないわけでございますので、このデータを活用すべきだと思います。  今、加藤委員から御指摘がありましたが、皆様のお手元にある資料は典型例というこ とですけれども、こうなってしまってはいけないので、我々としてはその前に、こうい う情報から、ここに書いてありますようなパターンになってしまわないように対応して いけば、かなり多くの子供さんといいますか、ほとんどの子供さんが、もう少しよい環 境に早くから立ち戻れるのではないかというふうに思っております。成長曲線の問題に つきまして、御発言その他ございますか。  渡辺委員  実際にプロットするのは時間がかかります。そしてそれが大勢ですと本当に一晩かか ります。ですけれども、自分の成長曲線をつけようというカリキュラム的なものを、小 学校の段階、中学1年の段階に1時間入れて、その子自身にやっていただくというよう な、子供自身が喜んでやるようなものがあれば、自分のものとして持っていただいて、 さらに成長曲線のところに、例えば女の子の場合は自分で自分の生理をきちんとつけて いこうということは小児科に来た女の子はみんな言われていることですけれども、また はこの成長曲線に、例えば引っ越しをしたときなどに矢印を入れるということもあると いいかと思います。  村田座長  生活の上での大きな変化があった場合ということですね。  渡辺委員  そうです。そのように自分のヒストリーを成長曲線をめぐってつけていって、自分の 健康シートのようなものを子供たちに提供してあげられると思います。  ですから、子供自身がやるということができれば、もう少し定着するかと思います。  村田座長  おっしゃるように、これをやろうとすると、なかなか面倒な作業であることは間違い ありません。  私は自動身長・体重計と、コンピューターでつくったソフトをある女学校で使ったの ですが、一番喜ばれたことは何かというと、今は身長・体重をはかるときには、多くは 読み上げになっていまして、読み上げられると、言わないで言わないでと大騒ぎなので すが、1人でそっとデータを見られるということで、そのことが一番評判がよかったの ですけれども、子供さんたちが非常に関心を持っていることは間違いないので、今、渡 辺委員が言われたような方向性が考えられればと思います。  成長曲線の問題は今申し上げたようなことでございまして、まだもう少し解決しなく てはいけない技術的な問題がございますけれども、まだ大事な問題が残っております。  それは、こういったいろいろな活動を始めていく上でのネットワークづくりといいま すか、地域の活動といったことに関してのことですが、このネットワークをつくってい かなければいけないということにつきましては佐藤委員がよくおっしゃっていますけれ ども、きょうは御欠席ということですので、実践的な事例があるなしにかかわらず、そ ういうことについての御意見はいかがでしょうか。星委員はいかがですか。  星委員  皆さんのお話を聞いていて、自分を知るというか、自分の体を知るということは非常 に大事なことだと思いました。自分の体に合った、身の丈サイズの食事をきちんと取る ということが、グラフなどといったことではない形で簡単にわかって、楽しみながらつ けられるようなものがあればいいなというふうに思います。  自分の体というものをもう一度子供が見つめ返すという機会を与えた方がいいのでは ないかという気がします。駆けっこをしていても、何でもない平たんなところで転んで しまって、受け身も取れないで顔から倒れ込んでしまうような子供が結構いたり、自分 の背が伸びていることに気づかないで、テーブルの下をくぐろうとしておでこをぶつけ たりというような話をたくさん聞きます。こういったことは直接食育には関係ないと思 いがちですが、食と密接に関係があることであって、自分の体の成長、自分の体をもう 一度見つめ直すという動機づけは食育には欠かせないのかもしれないというふうに感じ ています。  村田座長  非常に狭い意味から考えてみましても、こういったところでいろいろな検討結果が出 たとしますと、その全体像あるいはその一部等がネットに乗ってくる可能性も非常に大 きいわけです。そういったときの地域との連携としてのネットワークということもござ いますが、いい悪いは別問題としまして、インターネット等と無関係にいろいろな活動 が行われるということは、特に行政的な活動においても重要な面もあるかと思います が、こういった面についてもいろいろと御検討をいただければいいのではないかという 感じもしております。  それから、子供たちが生活する場として、先ほどレストランなどの話も出ましたけれ ども、学習塾というものも非常に大きな問題で、いろいろな点で問題があるかと思いま す。  そういったところで、例えばもう随分前になりますが、塾は給食をするべきではない かという御意見を書いてらっしゃった先生がいらっしゃいましたが、塾の問題、それか ら夕食の問題といったことについて、御意見はございませんか。  足立委員  今、この場で、どこの県ではどういうことをやっているということをたくさん申し上 げる方がいいのか、それとも、どういうところを拠点にしてネットワークができるかと いう話し合いなのか、どちらがいいのでしょうか。  村田座長  差し当たっては、一般論として、後者の立場でお話をいただければありがたいと思い ます。  足立委員  はい。今、塾の話がありましたけれども、埼玉県民栄養調査の結果からいえば、同じ ようにスポーツクラブや少年団、子供会といったNGO関係の活動などおおくありま す。で、特に週休二日制になってから、昼食を持参したり、朝食を一緒に食べたりする ような場を含めて、そういったことが非常に多くなっています。  村田座長  食を持参して参加しているということですね。  足立委員  お弁当を持っていっていますけれども、現場で食事をつくることもあります。初めは 大人たちがつくったものを持っていっていても、できるだけ自分がつくったものを持っ ていって、みんなで一緒に食べるというようなやり方もありますし、そういうことで、 食を伴った子供たちのグループワークが比較的ふえてきているように思います。  それはやはり週休二日制になったことによって、量から質への変化が起きているよう に思っています。  村田座長  その活動は、従来のイベントがあるようなときにモーニング会のようなことをやると いうことではなく、日常的な週休二日制のいろいろな活動の中で、回数が多くなったと いうことですね。  足立委員  はい。  村田座長  それは大変にいいことではないかと思います。  足立委員  いい方向へ動けばいいことだと思いますけれども、そこに割り切った形で業者が入っ てくる場合も少なくありません。そうしますと、先ほどから話題になっているフードサ ービス側との連携ということが重要になります。そのときに、どんなお弁当でもいいの で届けてほしいということではなく、こちらではこういう子供たちがこういうスポーツ をやっているので、どういうお弁当がいいのかというような、情報交換も含めて、子供 たちが所属するいろいろなグループと地域のフードシステムとの関係のネットワークの 図を描く中で検討していかないと、危険だと心配しています。  岡田委員  塾のお話ですけれども、塾にもいろいろとありまして、実際に保護者の方にきちんと お弁当を持ってくるように指導をして、それを食べてから塾の活動が始まるという塾も あります。  その際には、例えば勉強のはかどる食事の指導ということを保護者の方に行えば、塾 にとってもメリットがあります。つまり、そのように全体的に支えてくれる塾だという イメージアップにもなりますし、保護者に対する教育にもなると思います。  ただ、一方そういったことが行われていない塾ですと、子供たちは少しお菓子を食べ てから塾へ行って、夜遅くなってから夕食を食べて、夜遅くなってから寝るので朝御飯 が食べられないという悪循環がありますので、その辺のところに、システムとして塾を ターゲットにしたアプローチということが大切になってくると思います。  村田座長  具体的にそういうことを実践している塾もあるということですが、それはかなりたく さんあるのでしょうか。  足立委員  意外と数はないと思いますが、やろうとしているところは出てきています。  岡田委員  そうですね。高校、中学のときにどうだったかと学生に聞きましたら、必ずお弁当を 持ってくるように塾で指導されていたということがありました。  村田座長  近所の子供を保護する能力や機能が低下した、また、家庭の機能が低下したという表 現がよく使われますけれども、低下したととらえるよりも、変化しているととらえて、 その変化にどう対応していくのかということがあると思います。  低下ということで、どうしてもそれを上げなくてはいけないということになってくる と、渡辺委員の先ほどの御発言ではないですが、もっと早く上げようとか、どういう上 げ方をしようかということに専心してしまい、ひずみが生じてくるということもあると 思いますので、変化は変化として、決して迎合するわけではないけれども、どのように 対応していくかという観点も持たないと、現実的な問題は解決しないかもしれません。  塾の問題その他について、一般論で構わないのですが、何か御意見はございますか。  吉池委員  食環境づくりに関するアプローチの考え方としては、一つは子供の食べる力を取り巻 く今の議論であり、それは子育て支援の方策にも深くかかわるところですが、一方では 健康日本21で言われているような生活習慣病の予防を視点においた食環境づくりの議論 もあると思います。そうしたときに地域でのいろいろな計画や実践を拝見すると、その あたりがつながって進んでいるところもあれば、ばらばらに見えるところもありますの で、こういう議論の中で、トータルにつながるような形が国として示されると、県レベ ル、地域レベルでも、特に家庭という単位を大事にするような食環境づくりが進むだろ うと感じております。  村田座長  行政のかかわりといったことも我々の視点の中に入れておかないと、うまくことが進 まないし、偏りも生じるという御意見ですね。  残り時間が少なくなってきましたが、やはり具体的なメッセージといいますか、キャ ッチフレーズといったこととして、一つは共通点として最初に挙がっております、楽し い食事をする子供たちということがあります。これは最終的にどういう言葉に落ちつく かは別として、とにかく食事というものを楽しむ子供たちをはぐくんでいこうではない かということは、我々は一つの共通のメッセージとして持っているわけですが、しか し、いろいろと今御議論をいただいた中で、どういうふうなメッセージを伝えていけば いいのかという点も議論しておかなければいけないと思います。  やはり放送の番組などでもこういったメッセージといったことは非常に大事なことで はないかと思いますが、星委員は何かございますか。  星委員  やはり、まず家庭からという気がします。先ほど香りのお話がありましたけれども、 朝起きたときに、みそ汁をつくっている香りやネギを刻んでいる音など、情景反射とい いますか、アフォーダンスという考え方がありますが、例えば卵がおいてあれば思わず 割りたくなるというような、食に結びつくような行動を喚起するような運動を広めて いった方がいいかというふうに思います。  メディアの力だと、どうしてもそういったものを音や映像などに変えて発することし かないのですが、やはり家庭のお母さんレベルでそれがうまくできることをきちんと考 えていかなくてはいけないのではないでしょうか。  村田座長  いろいろとこれまで議論してまいりましたけれども、包括的、あるいはこれまでの御 意見等を聞いておられての個人としての御意見でも結構でございますが、何かございま すか。  御園委員  資料5の地域という部分についてですが、私どもは保育園の敷地の中に、地域子育て 支援センターとして、子育て広場みつわ台というものをやっております。  そこには大体、日々50組前後の親子の方がいらっしゃいます。センターは親の子育て の自立を支援するということが大きな目標なのですが、その中で特に食事のことが問題 になっている親子が多いです。  地域の保健センターの保健士さんから、食事、離乳食等で悩んでいる、母親や特に偏 食、噛めない飲みこめないまたは過食、拒食等で悩んでいる親子がいると、センターの 方に回されます。そして、保育園の給食を食べている同年齢の子供たちを見ていただい たり職員が相談を受けたり、お母さんに試食をしていただいたりといったことに取り組 んでおります。  村田座長  はい。ほかに何かございますか。  足立委員  先ほどの吉池委員の発言を非常にもっともだと思いましたので、ぜひと思うのです が、そのときに子供の立場での食環境づくりを忘れないでほしいということを言いたい と思います。  やはり子供世代については、今まで学校教育、学校保健の方で扱ってきていた癖がつ いていて、健康づくり分野では子どもの視点が抜けがちでした。次の世代の食環境づく りのキーパーソンは子供ですから、食環境づくりに子供たち自身を入れることを忘れな いでほしいと思います。  例えば先ほど申し上げましたように、栄養成分表示なども子供にはわかりにくいので す。字が小さくて、高齢者にもわかりにくいですけれども、今回は子供にもわかりにく いということがよくわかりましたので、そういったことの検討も必要かと思います。  村田座長  子供と食の問題というのは非常に大事だと言われながら、意外に重点がどこかへ移っ てしまっていて、例えば今私は栄養士の教育課程のところにいるのですが、子供に関係 したカリキュラムの時間数というのはほとんどないような状況です。  足立委員が言われましたように、これからはやはり子供たちが主体になっていきます し、食べなければことが始まらないわけですので、生活全体を含めまして、よりよい生 活習慣を育て上げるにはどうしても大事なことではないかと思います。そういう意味 で、吉池委員、足立委員が言われたとおりだと思いますので、その点でもこの検討会は 非常に重要ではないかというふうに思っております。  残りの時間が少なくなってきましたが、先ほど申し上げましたように、非常に重要な 時期といいますか、生まれてから、今までお話しいただきましたような具体的な対応 が、一応本人に対してもでき上がってくるような、それまでの期間の実践的な問題、具 体的な問題ということが、いろいろな関係がございまして十分にできなかったように 思っているのですが、それではいけませんので、これは私からのお願いですけれども、 先ほど、汁の問題といったことで吉田委員からお話がありましたし、また、地域での活 動といったようなことについて御園委員からお話がありましたけれども、ぜひ、授乳 期、幼児期といったことにつきまして、御園委員と吉田委員が中心になって、少し具体 的に、わかりやすく、普遍性があるというような、大変欲張った要望ですけれども、そ ういった事例を御検討いただきまして、お願いをできたらというふうに思っておりま す。  また、学童期の問題につきましてもいろいろなことがありますけれども、先ほどお話 がありましたように、食事の適量がわかるというような点で、上原委員を中心に、いろ いろな事例といったことをお集めいただいて、実践的な活動がありましたら、もう少し 普遍的な形でできるように御検討をいただけたらというふうに思っております。  また、同じように学童期の問題について、岡田委員にも、今申し上げたような点で、 先ほど教育していくという面ではいろいろな問題もあるといった御指摘がございました が、主食、主菜、副菜といったことや、三つの食品群とか、少し大きくなりましたら六 つの食品群ということで教えておりますが、そういった問題等も含めて、ぜひお願いを できればと思います。  食生活と健康にかかわるいろいろな情報といったものを、どんな形で子供たちに伝え ていき、かつそれが生きた形で子供たちの身につくかといった点を御検討いただければ 大変ありがたいというふうに思っております。  それから、足立委員からはきょう御指摘もいただきましたけれども、家族一緒に楽し く食べようといった活動を実践的にされておりますが、そういったことをライフワーク としてずっとやってこられた観点に立って、先ほどの塾での夕食の問題等も含めて、具 体的な事例等の御検討を主にしていただければありがたいと思います。  それから佐藤委員には食料の生産、流通、食卓までといったプロセスといったものを 中心に検討していただければと思っております。きょうは佐藤委員は御欠席でございま すので、事務局からお伝えいただきたいと思います。  また、成長曲線の活用に関しましては、渡辺委員、加藤委員、吉池委員に、具体的に どういったメッセージを送れば、普及していき、かつ実践的なものになってくるかとい うことで、私もその中に加えさせていただきたいと思いますが、検討していただければ と思います。  また、星委員には、先ほども申しましたように具体的なメッセージを考えていただけ ればいいかと思います。  今、お話ししました点で申し上げたいと思いますが、別に今申し上げたことに特化し なくてはいけないということではございませんので、お気づきの点がございましたら、 多方面にわたっていろいろな御経験なり事例なり、お考えを挙げていただければありが たいと思います。  それから、先ほどお話がありましたように、行政といいますか、そういったところと の関連ということも、こういったことをうまく運営していく上では大変重要でございま すので、それぞれのいろいろな観点につきましてお考えがあるようでしたら、事務当局 ともよく連絡を取っていただければ、さらに行政的に発展させていく上で大きく役に立 つかというふうに思っております。  きょうは私1人で勝手なことをしゃべっていたような気もするのですが、しかし、か なりいろいろな問題につきまして、具体的な御経験や実践のお話を伺うことができまし て、この次の回は、この検討会がさらに実りあるものになるのではないかと大変うれし く感じております。  ちょうど4時を少し過ぎたところでございますので、これで終わらせていただきたい と思いますが、最後に事務的な連絡の方をよろしくお願いいたします。  母子保健課長補佐  それでは次回の日程について申し上げます。事前に委員の先生方には日程を調整させ ていただいておりましたけれども、次回は11月20日木曜日の14時から16時までを予定し ております。会議室につきましては今調整中でございますので、追って御連絡を申し上 げます。以上でございます。よろしくお願いいたします。  村田座長  最後に申し上げた点につきましては、口頭で言っただけですので、連絡の行き違い等 がないように、事務当局の方でもまとめていただきますようによろしくお願いをいたし ます。  それではお忙しいところ大変ありがとうございました。きょうはこれで終わりにさせ ていただきたいと思います。                    照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課                         03−5253−1111(代)                             河野(内線:7934)                            佐久間(内線:7936)