03/10/07 第25回労働政策審議会雇用均等分科会議事録            第25回労働政策審議会雇用均等分科会 1 日時:平成15年10月7日(火)15:00〜 2 場所:厚生労働省省議室 3 出席者   労側委員:稲垣委員、岡本委員、片岡委員、佐藤(孝)委員、吉宮委員   使側委員:川本委員、吉川委員、前田委員、渡邊委員   公益委員:若菜会長、今田委員、奥山委員、佐藤(博)委員、横溝委員 ○分科会長  ただいまから第25回労働政策審議会雇用均等分科会を開催いたします。本日は樋口 委員と山崎委員がご欠席です。  本日の議題は、「仕事と家庭の両立支援対策について」です。まず本日は介護休業、 子どもの看護休暇及び勤務時間短縮等の措置等について、ご議論いただく予定になって おります。初めに事務局から説明をお願いします。 ○事務局  これまでに提出させていただいたデータもありますが、介護休業制度、子の看護休暇 制度、勤務時間短縮等の措置、その他といった形で項目ごとに整理しましたので、資料 No.1に基づいて、改めて項目別に説明させていただきます。  まずは「介護休業制度について」ということで、1頁が「介護休業制度の規定の有無 別事業所割合」です。5人以上の事業所で「規定あり」の事業所が55%、「規定なし」 の事業所が約45%となっております。規模別ですと、やはり規模の大きい事業所ほど、 規定を整備している事業所の割合が高くなっております。なお、育児休業制度の「規定 あり」という事業所割合は、同じ調査で約6割でしたので、介護休業制度の規定のほう が若干低い状況になっております。  2頁の(2)は、規定上介護休業の期間をどういった形で定めているかについての事業 所割合です。育児・介護休業法上の介護休業の期間は、3カ月が上限となっておりま す。これに対して介護休業制度の規定のある事業所について、期間の限度を定めている 事業所が約96%、「定めていない」もしくは「必要日数が取得できる」という事業所 が、3.5%となっております。また「期間の限度を定めている」という事業所のうち、 法定どおり3カ月の事業所が73.6%ということで、最も多くなっておりますが、1年と いう事業所も17.7%になっております。特に事業所規模ごとで見ますと、500人以上の 規模の大きい所で、1年という割合が52%ということで、規模の大きい所ですと、期間 の長い事業所の割合が高くなっております。  (3)は「介護休業取得回数の制限の有無」、あるいは「制限の回数別の事業所割合」 です。これも育児・介護休業法上は、同一の要介護者について1回となっております が、これが規定のある事業所において、どういう形になっているかです。まず取得回数 の「制限あり」とする事業所が約84%、「制限なし」とする事業所が16%となっており ます。「制限あり」という事業所のうち、そのほとんどは「同一要介護者について」と いう事業所が約93%です。なお、「同一要介護者の同一疾病について」という規定に なっている事業所が、6%あります。また制限がある場合の取得日数は、法定どおり1 回という形で規定している事業所の割合が、「同一要介護者について」あるいは「同一 要介護者の同一疾病について」のいずれを取っても、90%以上ということで、ほとんど 法定どおりという形になっております。  3頁の(4)は、「対象となる要介護者の範囲別事業所割合」です。育児・介護休業法 上の介護休業の対象家族は、配偶者、父母、子、配偶者の父母、それに準ずる者という ことですが、省令で定めているのは、同居かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫で す。まず対象となる要介護者について、「制限あり」という事業所が93%、「制限なし 」という事業所が約7%ですが、「制限あり」とする事業所のうちのほとんど99%は、 いま申し上げた育児・介護休業法の対象家族ということで、範囲を規定しております。 それ以外の祖父母、兄弟姉妹、孫について、「同居あるいは扶養」という要件を特に課 していないのは、ここにあるような割合です。  (5)は、「介護休業対象者からの除外の有無別事業所割合」です。育児休業制度のと ころでも、ほぼ同じようなデータのご説明をさせていただきましたが、育児・介護休業 法上、休業の対象から除外されている者、あるいは労使協定で除外できる者について、 それぞれの事業所の規定上、除外しているかどうかということです。まず期間を定めて 雇用される者については、「対象としている」という事業所が14.7%、「一部対象」と いう事業所が6.6%、合わせて20%強となっております。その他「所定労働日数が週2 日以下の者」「勤続1年未満の者」「3カ月以内に退職することが明らかな者」につい ては、それぞれ対象とする事業所割合が9.4%、14%、17.5%となっております。これ も育児休業制度における除外割合と、ほぼ同じような割合になっていると申し上げるこ とができると思います。  4頁は、「介護休業取得者割合」です。まず男女の比率ですが、平成14年度の調査で は、女性約66%、男性約34%となっております。その下の90.7、9.3というのが、平成 11年度の調査結果です。ですから平成11年度の調査と比べますと、育児休業と違って、 介護休業では男性の取得の比率が、かなり高まってきたと申し上げることができると思 います。  その横の「女性常用労働者に占める介護休業者の割合」、「男性常用労働者に占める 介護休業取得者の割合」は、それぞれ0.08、0.03という一見非常に低い数字になってお ります。育児休業の取得率については、それぞれの分母が出産された方、あるいは配偶 者が出産された方ということで、限定されておりますが、介護休業については、この調 査自体が企業調査ですので、例えば従業員の方で介護が必要な対象者を抱えている方が どのぐらいいらっしゃるかというのは、事業所でもなかなかつかまえられる実態にはあ りませんので、分母が従業員全体、常用労働者全体となっております。そういう意味で 取得割合については、0.0何パーセントという数字になっておりますが、分母が育児休 業の場合とは違うということで、ご理解いただきたいと思います。  (7)は「男女別復職者割合」ですが、まず女性の介護休業者における復職者・退職者 の割合は、大体9対1となっております。育児休業のデータもご紹介いたしましたが、 育児休業からの復職者・退職者と、ほぼ同じ割合であると申し上げることができると思 います。一方男性については、退職者が約8%おります。育児休業では男性の場合、数 は非常に少なかったわけですが、復職者は100%という数字になっておりました。介護 休業については男性でも約8%、復職されずに退職された方がいらっしゃるというデー タが出ております。  (8)が、「利用期間別介護休業利用者割合」です。法定どおりですと、3カ月が上限 となっております。そういった状況もあり、男女計で申し上げますと、1カ月〜3カ月 未満の取得割合が、約60%強となっております。男性・女性それぞれについても、やは り1カ月〜3カ月未満の割合が、それぞれ56.4%、74.2%ということで、最も多くなっ ております。  5頁の(2)は、「介護をめぐる状況」です。(1)から(3)は介護保険の施行状況で す。介護休業制度が施行されたのは、平成11年4月からですが、一方、介護保険制度は それに1年遅れて、平成12年4月からスタートしております。その介護保険制度の現在 の施行状況について、簡単にお示ししております。(1)は、「65歳以上の被保険者数及 び要介護認定を受けた者の数の推移」です。平成15年4月末の数字で申し上げますと、 65歳以上の被保険者が約2,400万人、要介護認定を受けた方が約350万人という数字に なっております。  認定を受けた方のうち、どういうサービスを利用されているかというのが(2)にあり ます。居宅介護サービスを受けている方が約200万人、施設介護サービスを受けている 方が約70万人です。施設介護サービスの内訳がありますが、介護老人福祉施設、いわゆ る特養が約33万人です。介護老人保健施設というのは、比較的症状が安定している方に ついて、リハビリを中心に行う施設だそうで、約26万人です。そして介護医療型の医療 施設というのは、介護のさまざまなシステムが整っている病院のことで、それが13万人 です。  (3)は主なサービスの類型ごとに、居宅サービスや施設介護サービスを行う事業者が どのぐらいいるか、あるいはどのぐらい増えてきているかという数字です。ここでは平 成12年、平成14年のそれぞれの数字をお示ししておりますが、いずれの数字も特に居宅 サービスの事業者について、増加率がかなり高くなっているということが見て取れると 思います。  6頁は度々お示ししておりますが、「女性の離職理由別離職者数の構成比の推移」で す。介護については平成5年から調査をしておりますが、介護で会社をお辞めになった 方の割合は1%前後ということで、ほぼ横這いの状態が続いているという状況です。  続いて7頁です。先ほど5頁の所で、介護保険制度の概況についてご説明いたしまし たが、ご参考までにということで、「介護保険制度の概要」についてお示ししておりま す。  8頁は、介護休業についてどういったニーズがあるかです。(1)は日本労働研究機構 の調査で、40代、50代の雇用者のうち、介護の経験者に聞いた調査です。これによりま すと、「介護施設の整備」「介護サービスの充実」「介護休業制度の充実」「働きなが ら介護をしやすい柔軟な働き方の推進」等々の選択肢がありますが、やはり「介護施設 の整備」「介護サービスの充実」「介護をしやすい柔軟な働き方の推進」を挙げる方の 割合が高くなっております。  (2)は家族の介護を経験した方に、介護休業を利用しなかった理由を聞いております。 これによりますと、「他の介護者がいた」「年次有給休暇で足りた」「病院への入院等 で必要がなかった」という割合が、男女計で高くなっております。男性ですと「他の介 護者がいた」という割合が、特に高くなっております。女性ですと「年次有給休暇で足 りた」、あるいは「病院への入院等で必要がなかった」という割合が、男性に比べて高 くなっております。育児休業についても同じような調査がありましたが、育児休業につ いては「職場の雰囲気や経済的な理由で取れなかった」という回答の割合が、非常に高 かったわけです。そういう意味で育児休業と介護休業とでは、利用しなかった理由には かなり違いが見られると申し上げられると思います。  大きな2番目の項目は、「子の看護休暇制度」です。まず9頁は、「子の看護休暇制 度の普及状況」と「制度の有無別事業所割合」です。平成14年度の調査で、「子の看護 休暇制度あり」という事業所は10.3%です。このうち明文化している、あるいは慣行で 認めている割合は、大体8対2の割合になっております。  10頁は、9頁の調査項目により、「子の看護休暇制度あり」と回答した事業所に、制 度の概要について聞いております。まず子どもの看護休暇制度の休暇日数の制限がある かないかです。これについては「制限あり」とする事業所割合が約8割、「制限なし」 とする事業所割合が約2割になっております。また「制限あり」とする場合、その制限 の仕方が同一労働者について何日というやり方の所が、約4割です。例えばお子さんが 2人、3人と複数いる場合、同一の子について何日という定め方をしている割合が約3 割、失効年次有給休暇の制度を使っている所が約1割という数字になっております。  また「日数の制限あり」とする場合、制限日数がどうなっているかというのが、その 下の表です。やはり同一労働者あるいは同一の子どもにつき、5日とする所が4割強 と、いちばん多くなっております。ご案内のとおり子どもの看護休暇制度については、 現在育児・介護休業法で努力義務となっておりますが、それに関連した指針において、 「日数については、休む日数が5日までが多いということを勘案して、措置が講ぜられ ることが望ましい」というように、指針で5日とお示ししておりますので、そういった ことを受けて日数としては5日というのが、いちばん多くなっているのであろうと考え ております。なお、21日以上の所の割合も、一方でかなり多くなっております。  (3)は、「年齢制限別事業所割合」です。これも育児・介護休業法上では、小学校の 就学の始期に達するまでということで、努力義務をお願いしておりますが、小学校就学 より前で制限をしている割合は約3割です。ですから一応「規定あり」という所の7割 近くは、年齢別制限について、努力義務をクリアしているという形になっております。  11頁の(4)は、「子の看護休暇取得時の賃金の取扱い状況」です。有給あるいは一部 有給とする事業所割合は、合わせて約5割、無給とする事業所割合は約5割と、ほぼそ れぞれ半数という状況になっております。  (5)ではこの看護休暇制度について、子ども以外の家族についても対象としている割 合を聞いております。これによりますと、「子ども以外の家族も対象としている」とい う割合が約6割、「対象としていない」という割合が約35%となっております。子ども 以外ではどういった家族を対象にしているのかについては、この表にありますように配 偶者、父母、配偶者の父母というところが、かなり高くなっております。  12頁は子どもの看護休暇の背景事情として、子の看護のために休んでいる状況等々に ついて聞いております。(1)は平成15年の日本労働研究機構の調査で、過去1年間に子 どもの看護のために休んだ日数がどのぐらいかを聞いております。雇用者計で見ます と、「休まなかった」という方が約17%、「1日〜3日」という方が40%、「4日〜5 日」という方が16%ということで、ほぼ5日以内のところで7割強という回答になって おります。下に男性・女性のそれぞれのデータが出ております。やはり男性のほうが休 まなかった、あるいは休んだ日数が短い方の割合が高くなっております。  (2)も同じく日本労働研究機構の調査で、過去1年間に子どもの看護のために休んだ とき、どういう形で休んだかを聞いております。これによりますと、正社員とパート・ アルバイトでは、大きく違っております。正社員ですと「年次有給休暇で」という回答 が約7割と、最も多くなっております。一方、パート・アルバイトですと、「欠勤」と いう割合が約73%ですので、これが最も多くなっております。いずれにしても看護休暇 については、普及率が先ほど申し上げたような状況ということもあると思いますが、全 体として利用率も1.3%ということで、まだ非常に低い数字になっております。  13頁は、「子の看護休暇に対するニーズ」について聞いております。(1)は同じく日 本労働研究機構の調査で、「子どもの看護のための支援として必要なもの」ということ で聞いております。やはり「看護休暇制度」と「病児保育・病後児保育施設」という回 答が、それぞれ最も多くなっております。特に病児保育・病後児保育については、やは り男性と女性とでは回答がだいぶ違っております。女性からは病児保育・病後児保育の 充実を求める声が、かなり高くなっております。  一方(2)ですが、当然子どもが病気の場合、親が休むというケースと施設で預かって もらうという2つの対応策が考えられますので、それについて(1)のように回答が出て いるわけです。(2)は日本労働研究機構の別の調査で、子どもが病気のとき、しいて挙 げれば親が仕事を休めるような制度と、病気の子どもを預かってくれる保育制度のどち らがいいかを聞いております。これについては、やはり「親が仕事を休めるような制度 のほうがいい」という答えが、8割強という状況になっております。  14頁も、日本労働研究機構の調査です。育児休業のところでも全く同じデータをご紹 介しておりますが、(3)の(注)にありますように、出産1年前に雇用者であった方で 仕事を辞められ、現在無職で就学前のお子さんがいらっしゃる女性のうち、辞めた理由 として「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさでやめた」という方につい て、その具体的な理由を聞いたものです。下線を引いておりますように、「子どもの病 気等で度々休まざるを得ないため」という回答も、3割強となっております。  同じ調査で(4)として、「利用できれば仕事を続けられた支援やサービス」というの があります。この中でも同じく職場の看護休暇制度を挙げる回答が、約50%という数字 になっております。  一方15頁ですが、これも同じく日本労働研究機構の調査で、それぞれの企業において 子どもの看護休暇制度を導入していない理由を聞いております。これについては、「会 社の負担が大きい」という回答は2割弱で、「まずは年休の取得から」という答えが6 割強という数字になっております。  大きな3点目は、「勤務時間短縮等の措置について」です。育児・介護休業法におけ る勤務時間短縮等の措置の実施について、育児は3歳までを義務として、小学校に上が るまでを努力義務としてお願いしているわけですが、その制度の普及状況です。(1)は 「育児のてための勤務時間の短縮等の措置」です。勤務時間短縮等の措置を実施してい る事業所割合は、約50%となっております。具体的なメニューが、その横に並べられて おります。現行法ではこういったメニューを、それぞれの事業所の実情に応じて選択し て、措置していただくという体系になっております。いちばん多いのが「短時間勤務制 度」で38.5%、次に多いのが「所定外労働の免除」で24.1%となっております。  (2)は「介護のための勤務時間の短縮等の措置の有無別事業所割合」です。育児の場 合よりも、「制度あり」の比率が若干低く、43.9%となっております。これも内容とし ては「短時間勤務制度」が38.5%ということで、最も多くなっております。  17頁は「育児のための勤務時間短縮等の措置」について、利用することができる子ど もの年齢の上限を、「1歳未満」「1歳以上」「3歳に達するまで以上」「小学校の始 期に達するまで以上」「小学卒業以降も利用可能」ということで聞いております。勤務 時間短縮等の措置全体としては先ほど申したとおり、育児・介護休業法上は3歳に達す るまで、何らかの措置を取っていただくことになっておりますので、そういった形でク リアしている所は、27%という数字になっております。また努力義務としてお願いして おりますのが、「小学校の始期に達するまで」ですが、この努力義務のところでクリア している部分は、9.6%という数字になっております。これについても比率としては、 やはり短時間勤務制度の所が多くなっております。「3歳に達するまで以上」で短時間 勤務制度を取っている事業所割合は18.8%、約2割に近い数字になっております。  18頁でも同じく、こういった制度に対するニーズを聞いております。これも度々言及 しておりますが、私どもからニッセイ基礎研究所のほうにお願いした、男性の育児休業 取得に関する研究会の中で実施した調査の一部です。男性・女性それぞれに「育児をす る労働者のために必要性の高い制度」ということで、「勤務時間短縮制度」「フレック スタイム勤務」「始業または終業時間の繰上げ・繰下げ」等々について聞いておりま す。これもやはり「1日当たりの労働時間短縮」が「週2日〜4日の勤務」、あるいは 「特定の曜日についての労働時間短縮」ということで、広い意味での勤務時間短縮等の 措置を挙げる回答が、かなり多くなっております。特に男性ですと、例えば「1日あた りの労働時間短縮」と「フレックスタイム勤務」は、ほぼ同じ割合になっております が、女性ですと「フレックスタイム」よりも、「1日あたりの労働時間短縮」のほうを 挙げる割合が、かなり高くなっております。このあたりが男女の違いの見られるところ だろうと思います。  19頁は日本労働研究機構の調査で、「企業が行う育児支援制度で利用しているもの・ したいもの」、あるいは「介護支援制度で利用しているもの・したいもの」という問い に対する回答です。これについては先ほどとちょっと異なり、育児で言いますと「短時 間勤務制度」「フレックスタイム制度」が、ほぼ同じぐらいの割合になっております。 下の介護のほうを見ますと、どちらかというと「介護費用の補助等」「始業・終業時間 の繰上げ・繰下げ」等々が、数値としては多くなっております。同じく「週・月の所定 労働日を減らす」「1日あたりの勤務時間の短縮」についても、やはりかなり高い数字 になっております。  20頁も日本労働研究機構の調査で、「仕事と育児を両立しやすくするために推進すべ きと考える施策」です。これには「保育所の整備」「一時的な保育など働き方に対応し た保育の充実」という、保育サービスの充実に対する回答と、「育児休業制度の充実」 「働きながら育児をしやすい柔軟な働き方の推進」という双方について、答えが出てお りますが、「働きながら育児をしやすい柔軟な働き方の推進」という答えが、比率から 言うとかなり多くなっております。特に女性の場合、「育児をしやすい柔軟な働き方の 推進」の割合が、30%ということで、かなり高くなっております。  さらに(5)です。先ほど病児保育の所でも、同じような設問がありましたが、(5)の調 査は、「親の働く時間を短くする」「子どもの保育時間を長くする」というのは、それ ぞれ必要だけれど、しいて挙げればどちらの考え方に近いかを聞いております。これに ついても約8割ぐらいの方が、しいて挙げれば「親の働く時間を短くする」というほう に近いという回答になっております。  21頁は、「介護と仕事を両立しやすくするために推進すべき施策」です。これは先ほ ど介護休業の所でお示ししたデータと、全く同じデータです。  最後の22頁は、「その他」です。(1)(2)は「育児のための時間外労働制限規定の有無 」「介護のための時間外労働制限規定の有無」ということで、それぞれの時間外労働制 限の規定のある事業所割合を聞いております。育児については「時間外労働あり」とい う事業所のうち、時間外労働制限の規定のある事業所割合は約30%、介護についても同 じく30%という数字になっております。  一方(3)では、「育児・介護のための深夜業制限規定の有無」を聞いております。こ れも「深夜労働あり」という事業所のうち、深夜業の制限の規定のある事業所の割合 は、約50%となっております。時間外労働制限の規定のほうが、「規定あり」という事 業所割合が少なくなっておりますが、深夜業制限規定は平成11年4月から施行されてお り、時間外労働制限は平成14年4月からの施行になっておりますので、この調査そのも のが施行後半年ぐらいの時期での調査ということで、そういった状況も影響していると 考えております。以上です。 ○分科会長  それでは、ただいまの説明を踏まえ、本日の議題である介護休業・子どもの看護休暇 及び勤務時間短縮等の措置等について、ご議論をお願いしたいと思います。また、ただ いまの説明についてのご質問もありましたら、併せてどうぞお願いします。 ○労側委員  2頁(3)の介護休業の取得回数の制限があるというところで、「同一要介護者につい て」とあって、その右隣に「同一要介護者の同一疾病について」というのがあります が、これはどう理解していけばいいのか、ご説明いただきたい。  それと10頁の「制限あり」の「同一の労働者につき」というのは、法律上の仕組みか らどう理解したらいいのか。法律は子どもの年齢に合わせてということですよね。この 2つの質問です。 ○事務局  まず1点目の取得回数の制限ですが、「同一の要介護者について」というのは、例え ばある方がお父さんの介護をするときに、現行法上の決め方としては、お父さんについ ての介護休業を取れるのは1回だけです。「同一要介護者の同一疾病について」という のは、お父さんの介護をする場合、ある病気については1回ですが、また別の病気で介 護が必要な状態になることもありますから、別の病気であれば、もう1回介護休業が取 れるという仕組みの所が、6%あるということです。ですから対象が同じ要介護者で も、別の病気でまた要介護状態になったときは、取れる仕組みになっている所もあると いうことです。  子ども看護休暇の「同一の労働者につき」、あるいは「同一の子につき」というの も、現行の育児・介護休業法では努力義務ですが、「事業主は雇用する労働者のうち、 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関して、その子の看護のための 休暇を与えるための措置を講ずるように努めなければならない」となっております。で すから(3)で対象となる子どもは、小学校就学の始期に達するまで努力義務としてお願 いすることになっております。基本的には努力義務ですから、そういった形になってい るわけです。  一方、その与え方としては先ほどの介護休業と同じような形で、ある労働者1人につ き年10日なら10日という形で与えるやり方もあります。また、例えばお子さんが2人い らっしゃる場合は、お子さん1人ごとに10日ずつという仕組み方もあると思うのです。 ですから「同一労働者につき」「同一の子につき」というのは、そういう意味なので す。それである労働者1人につき年10日という与え方をしている所が40%、お子さんが 2人いらっしゃる場合は10日ずつ、3人いらっしゃる場合は30日分という規定の仕方を している所が3割あるという形です。 ○労側委員  介護休業制度の所ですが、2頁の資料では、3カ月までの所が73.6%というデータに なっておりますが、一応UIゼンセン同盟が調査したところ、UIゼンセン同盟として は、方針として1年を掲げておりますが、それでも全部の組合が、そういうことが出来 るわけではありません。3カ月までという所が約57%、3カ月以上の所が約40%という ことで、組合としては労働協約で3カ月の法定以上という契約をしている所が、かなり 多いという実態があります。利用者もかなり増えつつありますので、実際に家族の介護 が発生した人の状況を聞きますと、やはり3カ月では短いということで、是非長くして ほしいという声がかなりたくさん寄せられております。 ○労側委員  いまのことに関連しますが、この調査結果を見ても、1年が17.7%ということで、比 較的多いなというのが率直な感想です。そうは言ってもやはり取得回数1回というのが 95%だと。これは私の個人的なことですが、この介護を経験したときに、どこで取得す るか非常に悩んで、もう少し悪くなってから取ったほうがいいのではないかとも考えて しまうわけです。折角の制度をより使いやすくするという意味では、何としても取得回 数の1回の制限を、何らかの形で増やしていくことが、私はいちばん必要ではないかと 考えています。例えば最長1年に延ばしたとしても、通算で何回か取れて1年というこ とで、1回で1年というのは賃金保障のこともありますから、なかなか難しいかと思う のです。そういう形で通算1年という考え方を、是非議論していただきたいと思いま す。  次は質問です。額の問題は別にして、休業給付は育児休業中も介護休業中もされてい ますが、介護の場合、社会保険料の事業主負担または個人負担は免除されていませんよ ね。資料によると、企業の大きな負担があって、介護休業を制度化していないという データにはなっていないようですが、なぜ育児休業の場合には免除があるのに、介護の 場合はないのかということを伺いたいと思います。 ○事務局  社会保険料の免除の問題ですが、育児・介護休業法の仕組みの中で、そういった免除 の仕組みを取っているというよりも、それぞれの社会保険の制度の中で、社会保険の制 度の考え方として、保険料の免除をやっております。育児休業期間中について免除する 考え方としては、今回の見直しの背景になっている少子化などの状況の中で、言ってみ れば担い手の支援ということもあって、措置されているというように理解しておりま す。 ○労側委員  介護の場合の担い手の支援というのが非常に引っかかるのです。考え方としては高齢 者という考え方を中心に持っているということでしょうか。高齢化の問題も非常に大き な問題ですから、いまのご説明だと、やはり納得し難いなと思うのです。 ○事務局  これは育児・介護休業制度の仕組みの中で議論して、そういう結論になっているとい うよりも、それぞれの社会保険制度の中の議論で措置されているものですから、私も伝 聞でそういう話としてきいております。これはそれぞれの制度の中でご検討いただくべ き問題だろうと思っております。 ○労側委員  わかりませんが、こればかりやっていても仕方がないと思いますので。 ○公益委員  育児休業にもかかわりますが、介護休業が法律上、労働者の権利になっても規定のな い所は多いですよね。就業規則に規定されていないと、介護が必要になってもそういう 権利があることが分からない人も、結構いるのではないでしょうか。それで取らないこ ともあるのではないかと思っているのです。そういう資料があれば、分かるといいな と。規定がないことによって、必要があっても取らないということが実際にあるのかど うか。今でなくても結構ですので、教えていただきたい。  あと1つは、先ほど労側委員が介護休業の場合、いつ取ったらいいか悩んだというお 話がありましたが、介護休業は期間の問題と回数の問題が議論になると思うのです。た だ育児休業と違って介護休業の役割をどう理解するかというのが、期間の問題と回数の 問題にかなり関係してくると思います。これは多分、介護休業制度ができたときも議論 になったと思います。子育ての場合は終わる時期が分かりますが、介護の場合はいつ終 わるか分かりません。  ですから、いろいろ議論はあるかと思いますが、私の理解では、介護休業の役割とは 何かというと、例えば老親介護のために休業を取った場合、本人が介護するためだけの 介護休業ではないと思うのです。介護保険の制度ができたわけですから、親が突然倒れ た場合、基本的には介護休業を取って、その休業期間中にもちろん親の介護もします が、もう一つ大事な点は、その後例えば短時間勤務等で仕事をして介護をしながら、親 が介護サービスを受けられるような仕組みを用意するというのも、介護休業が果たすも う一つの大事な目的だと思うのです。  介護休業というのは、自分が介護する期間として足りないのであれば、親を介護して いる間、ずっと取らなければいけないということになってしまいますから、それは仕事 を続けることを出来なくしてしまうと思うのです。取る側もその辺は十分理解していな いところがあると思うのです。老親介護の場合、やはり介護休業を取って、その間介護 保険のシステムなりほかの親族ネットワークなりも含めて、どうしたら要介護者が介護 サービスをうまく得られ、かつ自分が仕事を続けられる仕組みをつくっていけるかを考 える期間だとしたとき、いまの期間が短いかどうか、あるいはもう少しフレキシブルに 取れるかということになってくると思うのです。ですから育児休業と同じように介護休 業の役割というのは、もちろん本人も介護するけれど、そういう意味でのものととらえ てしまうと、要介護者がいる間長くしろという議論になってしまいます。私は、もとも とそうではなかったと思います。そういうことを考えた上で、期間なり回数なりを考え る必要があるのではないかと思います。 ○事務局  まず公益委員の1点目のご意見ですが、育児休業の所でも同じようなデータをご紹介 したかと思います。今日の資料には付けておりませんが、介護休業の取得者割合の所で も、介護休業制度の規定の有無別の取得者割合も出しております。もともとの数字がと ても小さいのです。例えば女性の介護休業者の取得割合で言いますと、「規定なし」の 所が0.05%、「規定あり」の所が0.1%です。男性ですと「規定あり」が0.03%、「規 定なし」が0.02%です。やはり育児休業のときも規定のありなしで取得率には違いがあ りましたので、取る側の意識として規定のありなしというのは、取りやすさという点で 影響していることは事実だろうと思います。  公益委員の2点目のご意見ですが、介護休業制度が創設されたときに、期間をどうす るかについては、審議会でも大変ご議論いただいたと聞いております。その結果、現行 の3カ月となったわけですが、これは家族による介護がやむを得ない場合の緊急的な対 応、あるいは家族が介護に関する長期的な方針を決めることができるようになるまでの 期間として、3カ月と定めたというように理解しております。そういう意味で現行の3 カ月があります。この期間をどうするかについては、いまご議論がありましたとおり、 当時はまだ介護保険制度がなかったわけですが、介護保険制度もできた中で、こういっ た点についてどう考えるかということも含めて、またご議論いただくことになるのだろ うと考えております。 ○使側委員  私がこの問題について理解している点を申し上げたいと思います。3カ月というよう に定まった理由は、4点ほどあったのではないかと理解しております。2点はいま事務 局が言われたとおりで、1つは家族による介護がやむを得ない場合の緊急避難の処置と いうことです。もう1つは、家族は介護に際し、施設に入れるかどうかという長期方針 を決め、判断しなければなりません。その期間が通常3カ月程度は必要なのではないか ということであったかと思います。  これに加えて、2つばかり申し上げたいと思います。3つ目は、家族の介護をする労 働者の雇用の継続の必要性と、一方企業の勤め人ですので、企業の労務管理の負担とい うものが、どうしても出てまいりますので、このバランスを考えていかなければなりま せん。これが3つ目の理由であったかと思います。4つ目は、当時の調査ですから、こ ういう雇用管理調査だろうと思いますが、当時この介護休業制度を導入している企業で は、3カ月以内の設定が大方を占めていたので、当時の議論としてはこういうことも影 響したのだと聞いております。あくまでもいちばん大きいのは、長期方針を定めるとい うことでしょうけれど、こういうことを勘案して3カ月が適切だろうということで定ま ったと思っておりますし、それがいちばん適切ではないかと、実は私どもも考えている のです。  ちなみに補足いたしますと、今日の資料の4頁のいちばん下の介護休業の利用者割合 を見ますと、真ん中辺りに「1カ月〜3カ月未満」が62とあります。その左側にそれよ り短い所が並んでおりますが、その状況というのは大方変わっていなくて、その中でい ろいろご判断されているのかなと思います。また当時といちばん違うのは、やはり介護 保険制度が充実したということです。これは介護をする人にとっては非常に助かってい るという声を、私どももたくさん聞いているところです。いずれにしてもこういう状況 の中で決まったということで、私どもの立場として休業期間については、現行どおりで 十分ではないかと考えております。 ○使側委員  補足いたします。やはり企業のほうで見ていましても、この制度が始まったころは、 介護休業を取る人はもっと増えていくかと思いましたが、実感としては必ずしも増えて いないように思います。もっと申し上げますと、以前に介護休業が必要だと言ってい た、特に女性の多い職場ですと、自分で介護をしたいという人が非常に多かったので す。しかしその世代が5歳ぐらい若くなってくるたびに、その感覚というのは随分変わ ってきていると思います。  この間新聞にも出ていましたが、老人介護というのは自分でやるのではなく、外部の 機関を使おうという人が半分以上になってきた、という記事を読んだような気がいたし ます。親の介護が必要な世代の人たちのものの考え方というのも、随分変わってきてい るのではないかと思います。ですから親が急に具合が悪くなったときに、今休業を使う 人をみると、やはり体制の立直しというか、その後の生活をどう安定させるかというこ とに兄弟とか、そういう人たちと一緒に施設を探したりということに、3カ月ぐらいを 使っている人が、実感として多いのではないかという気がいたします。 ○労側委員  いま事務局のご説明と公益委員のご発言で、介護休業の目的の話をされましたが、そ の目的がイコール現行の仕組みの対象家族について1回しか取れないというのは、ここ では説明が付かないと思うのです。例えば親がある病気で2週間以上の要介護状態に なって、いま言った方針を決めたり、いろいろな周辺のために対応しなければいけない ということでやりました、終わりましたと。その親が元気になって、また同じように倒 れた場合、1回取ってしまったからもう取れませんと。いまの制度では取れませんよ ね。今おっしゃられた目的であっても、ある疾病についてというか、要介護者に1回と いうのを仮にOKにした場合でも、もう1回取れないというのは、全然説明が付かない と思います。そこはどう説明されるのか。  3カ月というのは、ある意味で疾病の上限としてはいいのですが、要介護状態につき 1回という仕組みを導入しないと、もし60歳ぐらいで要介護者になって、またよくなっ て70歳になったときにはもう取れませんとなると、それはどうなのかなと思います。私 どもはもっとフレキシブルに対応したらどうでしょうかという意味で言ったのですが、 そこはどう説明されるのですか。期間の3カ月というのはいいのですが、回数の問題は 同じ家族に対して、なぜ1回なのかということをお聞きしたいのです。 ○分科会長  そこをどう考えて、1回にしたかというご質問ですか。 ○労側委員  ええ。範囲なり目的なりは分かっているのです。それは多分、当時の介護休業制度の 議論であったと思うのですが、1回にしたというのは。労務管理上の問題とか、いろい ろあったと思いますが、それだけでは説明が付かないですよね。3カ月を1年にしろと いう議論はお互いにいろいろ意見やご説明があると思いますが、1回ということについ て。 ○分科会長  制度を作ったときに、どういう考え方だったかということですね。 ○事務局  基本的には、いま私が申し上げたような点、あるいは使側委員からご指摘のあったよ うな点を含めて、とりあえず今のような仕組みにしたと理解しております。施行後3年 経っているという状況ですから、現状を踏まえて、今またそこを見直すべきかどうかと いうことで、ご議論いただければと思います。 ○労側委員  私どもは要介護状態につき1回としておいて、同じ家族で複数回取れるような仕組み を導入したらどうですかと言っているのです。公務員はそうなっていますね。 ○事務局  国家公務員はそういった仕組みですね。 ○分科会長  その辺ご意見がありますか。 ○事務局  公務員の仕組みがもし必要でしたら、整理をして次回にお示したいと思います。先ほ ど説明しましたとおり、民間の育児・介護休業法においては、家族1人について1回と いう仕組みになっています。国家公務員については、介護を必要とする1回の継続する 状態ごとにということになっているので、例えば10年後にまた何か別の病気で要介護状 態になった場合については、再度取得できる仕組みにはなっています。 ○労側委員  社会保険料の育児休業期間中の労使の負担免除なのですが、介護休業期間中について も何年間ぐらいですか、政府等に我々も要求をして免除措置を講ずべきだと主張したの に対して、政府側の答弁は、いま事務局が言われた子育て支援、将来の支え手を増やす 政策としてはいいが、何か先が見えている人に対して、国が免除するのは合わない、 はっきりいうとそういうことなのです。  しかし、休業中の経済的支援ということからすると、全く同じなのです。たぶん介護 休業期間中に経済的支援をするというのは、長期にわたる休暇ではなくて休業なのだか ら、ある程度、経済的支援をしましょうということで、支援制度が設けられたと私は考 えています。それを育児は将来の社会を支える人だから、高齢者介護はそうではないと かいう言い方は、私は説明がつかないと思うのです。昔の厚生省はそう言ったわけです が、いまでもそういう説明は変わらないのかどうか。育児・介護休業制度を設けられた 経緯からすると、同じ扱いで、労使の社会保険料免除措置を講ずるべきだと思います。 ○公益委員  いまの点でたぶん説明可能なロジックがつくれれば可能性はあると思うのです。いま はそういう解釈でやっているということだと思うのです。例えば介護休業をしていて、 仕事を辞めてしまえば社会保険料が入らなくなるわけです。そういう意味では、介護休 業を取って仕事を続けられるほうが、それは支え手を増やしてプラスになるということ は、私はロジックとしてはつくれると思うのです。育児の場合にやったわけですから、 なぜ社会保険料を免除するか説明がうまくつくれれば、十分可能性はあると思います。 今までは事務局が言われたとおりの説明で、やらなかったということだろうと思いま す。 ○分科会長  ほかにも問題点と指摘がありましたらお願いいたします。 ○労側委員  子ども看護休暇についてですが、制度を設ける時もかなり普及率が低くて、努力義務 規定になったのです。私どももいろいろな声を聞きますと、やはり法律上きちんと請求 権として設けたほうが企業としてもやりやすい面があると思います。そういう観点で、 私どもの調査で年次有給休暇との絡みで、前回の議論でも使用者側から、まだ残日数が たくさんあるのに、新たに特別な休暇を設けることは、優先順位からすると低いのでは ないかという議論がありました。  このデータも平均ではそうでも、子どもの年齢によってずいぶん違うのです。子ども に免疫もついてくると病気の割合が減って、そういう必要性がなくなるというのです が、特にゼロ歳児、1歳児あたりは、私どもの調査では保育園に預けられなかったとい うことで、年間27日ぐらいある。自分の年休はというと、女性の場合は自分の年休は使 いきって、欠勤するというのも日数が出ているのです。男性のほうはまだかかわり方が 弱いものですから、子どものためとか家族のために使うというのは、なかなかないので すが、女性の場合はそうです。  女性の就労構造から見ると、中小企業が多かったりします。いまの年休制度からする と、6カ月について80%出勤をしたら10日で、1年ごとに2日ずつ増えていく。女性労 働者の立場からすると、いま働いている企業の状態、年休の水準、子どもの病気の状況 等を考えると、年休がまだ残っているからそこをまず優先すべき、という議論もあるか と思いますが、制度としては年休というのは、自分のためのリフレッシュの休暇なので あって、役所も「年休の完全取得をやりましょう」ということで、いまいろいろ運動を しています。いま50%を切っている年休取得状況を本来もっと高めてもらって、年休は 自分のためという趣旨からすると、制度設計としては年休と別の制度で、子育て支援策 のためにある程度の日数を請求権として付与する。そういう意味では、家族、親と言っ た場合に2人ですが、シングルマザーもいますし、多様な形態がありますから、そうい う意味では、私どもは最低10日ぐらいの付与日数で、子どもが病気をした場合の休暇を 考えるべきではないかというのが第1点です。  2点目に、前回、国会で法定伝染病との関係をどうするのだ、というのがよく議論を されました。最近はSARSなどというと、会社に来ては駄目だと。インフルエンザは 何日間とか、法定伝染病は決められていますが、それなどどういうふうに対応したらい いのか、子どもが病気をした場合という、病気の概念に法定伝染病的なものが入るかど うかがありますが、いずれにしろ、そういうものも加味すると、もう少し休暇日数を増 やす、それもできれば有給で対応すべきではないかと思います。もし年休との絡みでま だ残っているのではないかという議論をすると、もう少し細かにここは分析すべきでは ないかと思います。 ○労側委員  子どもの看護休暇との関連ですが、厚生労働省が調査された9頁では、約1割がそう いう制度を取っている。私どもの組合に対しては、組合があるのだから、せめて努力義 務ぐらいは組合として導入しましょうと方針で掲げまして、いまのところ約23%が看護 休暇を導入しています。皆さんの声を聞きますと「導入していただいて、本当によかっ た」という声がたくさん寄せられています。  特に育児休業から復帰した後がすごく辛いと、職場に育児休業をするだけでもすごく 気兼ねして休んだのだけれども、復帰した後またすぐ子どもが病気で休まなくてはいけ ないということで、非常に辛いというか、肩身が狭い思いをする。そういう時に会社と して制度を導入することは、会社そのものが会社として応援しますよという形を示すこ とで、非常にありがたいという声をたくさん聞いています。組合がない所は、努力義務 では制度導入には至らない所が多いと思うので、是非、請求権ということで義務化して いただけたらと思います。 ○分科会長  看護休暇についてほかにご意見がございますか。 ○使側委員  いまのお話の中で2点ばかり申し上げたいと思います。1点目は、今回の看護休暇で すが、ここにあるデータを見ても、平成14年度ということですから10月ごろということ で、実際は4月スタートなので、本当に間もないところのデータです。したがって、議 論をするにもデータがない状況の中で、今日も話をせざるを得ないということかと思い ます。本来であれば、現在はこの普及状況を注視をしていくことが1つであり、もう1 つは周知をもっと徹底していかなければいけないということが、たぶんいちばん大事な ことかと思います。  もう1点は、子どもの看護という問題も、子どもの病気、怪我などで、急に発生する ことが多いということで、あらかじめ想定できないようなものであろうかと思います。 もう1つは社員自身が病気になったり怪我をする場合もあるわけです。こういう場合は いま普通企業であれば、年休を取得されるか欠勤にされるか、傷病休業に入るわけです が、それが子どものことに限って休む権利があるというのは、バランスを欠くという感 じがして、非常に説明がしにくいという感じもしています。つまり、本人が自分の傷病 で休む場合の取扱いと、子どもの病気や怪我で休む場合のバランスを考えておく必要が あるのかと思います。    3点目ですが、私も子どもがおりますが、子どもの傷病があった場合であれば、 別に年休であれ欠勤であれ看護休暇であれ、いずれにしても休みます。休んだときは ノーワーク・ノーペイですから、そこがカットされるのも当たり前と私も思っていま す。そのことを踏まえると、看護休暇という制度を請求権として法規定することの意味 合いが、私はまだ理解しかねているところがあります。  先ほど有給という話も出ていたような気もしますが、そもそもはノーワーク・ノーペ イであり、子どものために親が休むのは、それは何をさておいても休む話になると私は 思っています。別に欠勤でも年休でもいいのかなと、取りやすいという話もありました が、私の考え方としては現行のままでいいかなと思います。看護請求権にしてやってい くことの意味合いが理解できないというところです。 ○労側委員  まだそういうデータが十分でないという状況が確かにあって、普及率とかいう議論で は、具体的に意見が言えないのが現状です。1つは前回の審議経過の中から、国会の場 でいわゆる見直し規定が付いたことについては、自分なりの解釈で言えば、やはり子ど も看護休暇という休暇の必要性は、社会一般の今回のデータも示すように高いというこ とがあって、何とかそれを3年の経過を見ながら普及の状況を見ることもあって、次の 時には努力義務レベルからそれを義務化の方向にもっていく、という意味合いで見直し 規定が付いたという解釈に立っています。  それが今回両立支援対策ということで、議論の俎上に載りましたので、是非、現在の 努力義務規定の状況から義務規定、あるいは請求権という形に、子ども看護休暇をもっ ていく必要があるということを、まず意見として言いたいと思います。  データは十分ないと申し上げましたが、はじめに総論の議論の時でしたか紹介はしま したが、実態を少ないながらでも拾ってみると、どんなに自分の有休を駆使しても、対 応不可能なケースもある。あるいは両親に見てもらっても年休は使いきったという状況 で、実態を訴える体験談もありました。むしろ私はその体験談を書かれた人が企業の姿 勢として、子ども看護休暇を認めたことが、企業の積極的な支援と受け止めて、子ども を育てながら働くことが認められたようで、大変嬉しいという感想を寄せていただいた ことを報告したと思います。この制度の必要性は高く、現在の努力義務規定でなく請求 権とした上で、日数についても5日では不十分というのが連合の調査などでも出ていま すので、例えばそれを10日とか、それぞれ2人で取って、それでも足りないという日数 の人もいますが、いまの5日では本当に不十分だということも含めて、いま変える必要 性があると思っています。 ○労側委員  使側委員の意見ですが、たぶん前回、子ども看護休暇の普及状況がかなり低いにもか かわらず制度化の議論を始め、かつ努力義務を導入したという背景には、ILO156号 条約との関係が、かなりあったと私は思います。家族にかかわる責任と仕事を両立する テーマとして、育児・介護休業以外にそういう問題があると同時に、転勤問題にかかわ って、配慮義務を創設したという背景からしますと、言うまでもなく、この条約を我が 国は批准しているわけで、あの条約、勧告を踏まえて、どう対応するかは大きな決定要 素、判断要素というか、議論要素だと思うのです。それが第1点です。  2つ目は雇い主が雇っている労働者の病気休暇がないのに、なんで家族のためにはあ るのかと、バランスを欠くではないか、ということですが、それは私どももそう思って います。労働者自身の病気休暇制度も本来は整備すべきであって、制度上企業に任せる というのではなくて、両方私は必要と思います。せっかく出された意見ですから、労働 基準法の世界かは分かりませんが、雇用労働者自身の病気休暇制度も整備してほしいと 思います。  3つ目に、本人が病気をしたら制度があるなしではなく休むではないか。その場合 に、仮にそうだとしても、企業の評価として、子どもがいる労働者といない労働者で休 む場合に評価の仕組みが、その制度をきちんとしないかぎりかわってくるのだと思うの です。  最近の調査で、家族が病気をかかえたときに気になって、それによって生産性という か会社への貢献度が少なくなる、みたいなデータも、2週間ぐらい前に見たのです。安 心して働ける、企業からもペナルティを課されずに権利行使できるという意味からする と、本人が病気をしたら休むというのは、確かにそうかもしれませんが、そのことと制 度化することはちょっと違うような気がします。やはり私どもはどの企業で働こうが、 どんな規模の企業であろうが、労働者がそういう権利を持つことは必要ではないか、と いう意味で申し上げているわけです。 ○使側委員  いま言われた中で、安心して働けるということは分かったのですが、企業からのペナ ルティがないという話をされましたが、どういうイメージですか。 ○労側委員  休むことについて、評価にかかわってくるのではないですか。つまり病気をすれば必 ず休むという時に、上司の理解をいただいて休むのでしょうが、企業の中で見ると家族 がいてしょっちゅう休む人は、あいつは勝手に休んでいると思われがちでしょうし、欠 勤をしていることでは、評価が下がるという制裁を意識するのではないかという意味で す。このため、制度化したほうがいいという意味で言っています。 ○使側委員  先ほど私もノーワーク・ノーペイと申し上げましたが、1つは少子化対策等から必要 ということは分かります。一方で働かなければお金はもらえない、ノーワーク・ノーペ イというのは当然であり、そのことはきちんと貫徹しておくべきであろうと思っていま す。  そして働く側から見れば、働かないでもお金がもらえれば、そしていろいろな制度が 充実していけば、それに越したことはないという主張になるでしょうが、一方で、企業 が営利体として存続していくために、経営活動をやっている立場に立てば、ノーワーク ・ノーペイです。つまり家庭的な問題と、企業の活動というのは切り離しておくべき問 題の中で、いかにやっていくかになっているのだと思います。  先ほど私は年休であれ、休暇であれ、欠勤であれ、子どもが病気をすれば休みますと 言いましたが、その時にその分がノーワーク・ノーペイとして処理されても当然なこと だろうと思っています。これは別に建前で言っているわけでも何でもなくて、そう思っ ています。そのこと自体がペナルティだとすれば、それは違うかなと思って、どういう 意味合いかとお聞きしたのです。 ○労側委員  年次有給休暇は基準法上きちんと制度化されていますが、年休の取得に関する不利益 取扱いがかなりあって、その後、基準法改正で不利益にしてはならないということが基 準法に入ったのです。それでいまやっている子ども看護休暇について、制度がない中で 子どもが病気した場合どのような形でも休むでしょうと言われますが、欠勤した場合に 企業の評価として年休ですら昔は不利益取扱い、いまもかは分かりませんが、そのよう な企業内評価があった中で、制度化されないものを取ったとなると、さらに企業の評価 が厳しくなるのではないかという意味です。我が国として制度化すると、労働者からす ると、制度化したものを使うだけですよと言えば、企業がペナルティを課す要因は減る ということを私は言っているわけです。そういう意味では制度化はきちんとしたほうが いいと言っているのです。 ○公益委員  「そもそも論」を今また言うかと不思議な気がするのですが、子の養育、家族が病気 になったときの介護を、1つの家族の問題だけではなく、社会全体で子の養育、家族の 病気、子どもの病気、そういうものを見る、社会的責任がある程度ある。お前の家族だ けでやっていればいいのではないかというのは、健全な社会ではないと思うのです。  ILO156号条約、165号勧告の観点から見ても、いま日本の置かれている状態から見 れば、家族責任のある程度の社会化というのは、社会のコンセンサスとしてできている のではないかと私は思います。それを踏まえ、いかに企業が利益を追求して経営が成り 立っていくか、働く側も両立していくかということに、現実的なバランスをとっていく のか、具体的に期間をどうするか、どういう場合に取れるか、何回にするかという現実 論になるわけで、どこに着陸するかという問題です。具体的論議でどうするかというこ とでいくべき時ではないかと思うのです。 ○公益委員  使側委員の言われたことに少し反論したいのです。12頁の資料で、1年間子どもの看 護で休んだときの休み方のデータがあります。実際に子どもが病気をしたときの実態が どうだったのかはデータがないので、このデータもどういうふうに解釈をしていいか、 一応考慮をしておくことを前提にした上ですが、これで見ると、欠勤というのがかなり 大きく出てきているわけです。実際年次有給休暇も使って、いろいろなことを全部使っ ても、なおかつ欠勤という結果にならざるを得ない、という現実があるわけです。  これは企業の側から見て、欠勤でいいじゃないかという議論は、企業経営者という か、雇用管理の立場からいってまずいだろうと思うのです。要するに働く側、雇う側が 従業員の勤務について支障がないような勤務体制というか、雇用管理のルールを、職場 なり企業なりでつくっていくことが、企業にとって合理的な選択になる。つまりそうす ることで、いろいろな企業の運営が支障なくいくということなのですから、きちんと休 みを企業の中でルール化して、働く側も相互に了解して勤務時間、体制なりをつくって いく努力をするのが、結果的には企業にとって合理的な経営であり判断になると、考え るべきではないかと思います。  病気で休むから同じではないか、有休で取ろうが何であろうがいいではないかという のは、企業の雇用管理から見て欠勤者が増えるのはまずいでしょう。企業は欠勤者がな いような健全な雇用管理をやるのを目標にするのではないでしょうか。女性従業員も男 性従業員も含めて、それだけ子どもの病気という課題を抱えているという現実に対し て、もう少し積極的にルール化していこうという姿勢があって、いいのではないかと思 います。 ○労側委員  私はフード連合の出身なのですが、UIゼンセンと同じように、この看護休暇の取組 みを今年の春の要求の中で取り組んだのですが、実は私の所の加盟組合では全く前進を しなかった。いま労側委員が言われたようなこと、これによって欠勤をした場合には、 評価基準から外すということも実はやっているわけですが、それも現実問題としてはう まくいかない。欠勤の回数は欠勤の理由を問わず、それが本人の評価の中にきちんと 入ってくるのが現実です。全てがそうではありませんが、私どもの加盟組合は、かなり そういう所が多くて、そういう取組みをやっても、実際問題は進んでいないということ も紹介させていただきたいと思っています。是非この辺は請求権をもった制度にしても らいたいということがあります。 ○使側委員  子育てにおいても、介護においても、女性の果たす役割、比率は非常に高く思います し、同性としてできればいろいろなことで協力をしたい、という気持は十分あります が、企業経営者という立場から、全体から考えたときに、この不況な時代。大手は分か りませんが、私ども中小企業が大変多い中で、非常に厳しいというのが現実問題なので す。  その中で休暇を増やしていくことは、全体においては社員の数が増えるということに なります。そうしたら全体のパイがむしろ減っている状況ですから、それも含めたもの で、トータルで割っていかないと、ということは、現実的には給料の削減というかそう いうところまで考えてやっていかないといけない。企業が存続してはじめて皆さんの職 場もあるわけですから、現状では、そういうところまで踏み込んで、是非考えていただ かないと、厳しい状況だと感じています。 ○労側委員  働いている女性の声を紹介したいのです。例えば育児休業から復帰した後、働き続け ている人ですが、自分としては企業に対しても周りに対しても、非常に迷惑をかけてい るということがある。けれども、ここで働ける時間はほかの人の倍ぐらい一生懸命働き たいということを、かなりいろいろな方が言っているのです。そういう意味で言うと、 企業としても社会全体としても、そういう女性が働くという意欲を高めるような施策を することは、女性の持っている能力をもっと活かせるという意味では、非常にプラスに なるのではないかと思っていますので、是非企業のほうも取り組んでもらいたいと思い ます。 ○使側委員  当社にも子育てをしながら働いている女性がいますが、現実的に確かに出てきたとき は一生懸命にやっておられます。でも、子どもが具合が悪いといったら、もう帰らざる を得ない。早く帰ったりとか、時間も遅く来て早目に帰っていますが、一生懸命にやっ ているということにおいては同じなのです。でも協力体制ということ、子育てをみんな でやっていくことを、現状の経済状況を考えたとき、そのことだけを突出して考えるの ではなくて、全体の中でみんながその子育てに対する協力体制をとる形に考えていくの が、私は必要なのではないかと感じています。中小企業からずいぶん厳しい話をたくさ ん聞くものですから、あまりそういうことだけをやっていったときに、逆に働きにくい というか、間口を女性が狭くしてしまうのではないかと感じなくはないのです。 ○労側委員  先ほどの説明でも12頁、現在の取得状況が調査されているわけですが、この調査の中 で、そういう特例に伴って、そのために新たに要員を投入するとかいうデータはあるの ですか。 ○事務局  子ども看護休暇についてそこまで、調べたものはありません。 ○労側委員  これは想像ですが、それによって新たに要員を増やす所は、連合の中で議論をしたと きにもあまり聞かないといいますか、全体の協力体制の中でその辺は仕事をしているの が実状だと思うのです。たくさんそういう人がいるのは想像ができませんし、そのため の要員として新たに要員を投入することは、我々の議論の中では出てきていませんの で、その辺を調べていただきたいと思うのです。 ○使側委員  現実問題として短い時間しかいないわけですから、そのほかの時間は周りでカバーし ているわけです。そういう意味では全体にということを、もう少し考えてやっていった ほうがいいのではないかと私は思うのです。現実問題として人数が多くなれば、増員も やむを得なくなる状況も出てくると思います。 ○労側委員  この前の見直しの議論と重なってくるのですが、特に中小企業経営者の皆さんが、負 担感を一様に覚えるという意味で、要員の問題やらを心配されるのです。したがってい まの子育て支援策を社会全体、国全体でやろうというときに、その負担感、環境整備を 特に雇用の場でつくることはかなり重要な要素なのです。それに伴う負担について、ど ういう面の負担があるのでしょうか。  いま子ども看護制度を導入した企業に対して、助成金を出していますが、その辺のと ころを国としてこの面の負担感を軽くする、そこに支援をしましょうということもあっ ていいと私は思いますし、そこはもう少し具体的に出していただいたほうが、企業とし ては発展しやすい。負担があるからこれ以上の労働者の権利を高めるのはまずいよとい う議論は逆だと思うのです。いまの社会状況を見たら、男女共同参画社会とか、少子化 社会とかで、企業もそれぞれお互いがそれなりの負担をしていくという観点で、議論を されていますから、それをもう少し踏み込んで、負担感を解消するためには何が必要な のか。そうすると、大企業にあまり助成金を出すな、そんな時代ではないという一方の 国の歳出面での議論もありますが、それをもう少し洗い直して、効果的な支援制度はな いのかを、この場で議論すべきだと思います。 ○公益委員  休めれば休んだほうがいいのではないかとかいう発想はやめて、怠惰で休むわけでは ない、怠けて休むわけではないのです。養育、病気、老親介護、必要で休むのです。そ もそも休むのは怠惰故、だから休めれば休んだほうが得ではないかという発想が少しで も入ると、この制度は成り立たないと思います。それは現実ではないじゃないかと言っ ても、そういう根本的なコンセンサスがないと進まないと思うのです。やはり社会制度 としてつくっていくわけですから、そして経済力のある企業はそれを乗り越えて競争す ると、中小企業が潰れてしまうということではなくて、社会全体の最大公約数として、 制度としてどうするのがいいのかを考えるわけです。  突き詰めて言えば、社会全体として人数が増えれば給料が減る、それはそれでしよう がないと思うのです。そういう視点で議論をしていったほうが、狭い場面を取って、だ から、だからと言ったら、制度としても成り立ちにくいと思います。 ○使側委員  この議論は休み易くするとか、正当な権利というか、そういうことの議論から制度そ のものをどう見直すかということであり、その請求権をどうするかということになって くるのです。労側委員が言われているように、労使両方で、例えばこういう時代で一層 補助金がどうのこうのと言うけれども、やはり奨励金とか何かで、両方で歩み寄って、 両方のメリットというか、そういうものを出しながら、この制度そのものを見直すほう がいいのではないかと思うのです。  中小企業にとっては、あれもこれも全部制度として請求権を付けられると、そうでな くてもいろいろな保険もそうだし、いろいろなことで、ますます雇用を狭められるとい うか、それに対するコストが上がることばかり考えるわけです。ですから、この場は両 方とも見直す形で、制度そのものを補助することを考えたほうがいいのではないかと思 います。 ○分科会長  いまの子どもの看護休暇についてご議論があればそれでもいいのですが、特に現段階 でほかになければ「勤務時間短縮等の措置等について」、ご意見があればお願いいたし ます。 ○労側委員  休業制度と勤務時間短縮は、かなり重要なファクターなのですが、データにも出てい ますように、「どんな支援制度を望みますか」という設問の中に、男性と女性の差はあ りますが、企業にとっても全面休業、定められた期間を全部休むことよりも、仕事をし ながらかつ子どもの看護なり介護ができるというのは、労働者にとっても収入も入りま すし、両方プラスだという面があります。  加えてワークシェアリング等の、労使の協議の中にも「短時間正社員」というのが、 議論をされているぐらいで、これからの1つのキーワードになると思うのです。  そういう意味で現在の勤務時間短縮制度の中の1つのメニューにある「短時間勤務」 を原則として、前回の議論の3交替シフトにした場合に、ある方が8時間労働で、ある 方が6時間労働というのは組みにくいとかいうのがあったのですが、いまの7つのメ ニューから短時間勤務制度は1つの制度で独立させて、全ての事業所に原則として適用 してもらう。他の6つの制度は従来どおりとすべきです。  特に短時間勤務制度は今後の働き方の多様化といいますか、むしろ8時間労働の所定 に対し6時間になれば、2時間分どうするかという議論はあるわけですが、私どもは8 時間働いてないのに払えなんて言っていません。そういう面でのフレキシブルな制度を 導入することが企業にとってもいいし、労働者にとってもいい制度なので、そのことを 是非義務化してほしいということです。  それから、子どもの年齢ですが、いまは3歳までですが、私どものいろいろな意見の 中で、保育所の場合は例えば18時30分まで延長してくれた。ところが小学校の低学年 は、学童保育が18時で終わってしまうのでという話もありました。そういう場合に勤務 時間短縮制度を活用してなんとかする意味で、この年齢をできれば小学校の6年生ま で、少なくとも3年生ぐらいまでに引き上げることが、いまの保育制度との関連でかな り要望が強いのです。この年齢の引き上げについても検討をしていただきたいというこ とです。  今日はおられませんが、委員が「部分休業制度」を部分失業と見なして、雇用保険で 面倒をみたらという意見を出しておられましたが、私どもとしては勤務時間短縮措置の 中の短時間勤務制度は義務化していただきたい。そして、この対象年齢を少なくとも小 学校の低学年まで延ばせないか、ということの検討をお願いしたいと思います。 ○使側委員  いまのお話の短時間勤務制度ですが、いまはメニューが揃っている中から選択をす る。先ほどのデータを見ましたら、その選択の中で「短時間勤務の選択」が多いわけで す。この選択の形はいいと思っています。つまり、業種、業態とか、事業所ごとによっ ても会社によっては、やっていることが違ったり、部署によって違う場合もある。それ から交替勤務等々もあります。したがって、企業でその中から選んで設定しているわけ ですが、これがいちばんいいのかなと。短時間勤務の所だけ全部に義務化することにつ いては、非常に問題が多いと考えています。私は現行どおりでいいのかと考えていま す。  3歳までのものを延長するか否かという話も、相当慎重に考えなければいけないかと 思っています。短時間勤務でも、この期間がもしも長くなると、働き方そのものが非常 に違った形の社員になっていくわけです。そうなったときに、仕事の中身も働き方も相 当違う場合が出てきてしまうことも考えられるので、企業としては対応がしにくい部分 がかなりあるのではないか。要するに根本の賃金部分もどうなのかという場合もあり得 るということです。  もともとが定型的な業務で、時間で働けるような働き方の方でしたら、短時間勤務に なっても、その部分が長期にわたってもさして問題はないかもしれませんが、実態とし ては、そうではない働き方、また仕事の中身の方も多いわけで、この期間の延長、対象 年齢の延長という話は、慎重に考えざるを得ないと考えます。 ○労側委員  この短時間勤務はこの審議会のテーマであった、パート労働者の問題にもつながりま す。短時間労働者がいろいろな業種の中にかなり浸透している現実があると思うので す。それがどういう時間帯で入っているかは、おそらくほとんどの業種で短時間労働者 は入っていることを想定すれば、前回議論になったようなこともありますが、そういう 点では、そういう勤務を導入できるのではないかという感じです。いま短時間労働者が これだけいるということは、そういう勤務も導入しやすい環境にはなっていると感じて います。現実に製造業等々は、おそらくは問題なくその導入ができるのではないかと 思っています。 ○労側委員  短時間勤務制度の導入に関しては、育児短時間勤務あるいは介護の短時間勤務の両方 とも、UIゼンセン同盟の加盟組合の調査によると、大体育児が83%、介護が76%がそ ういう制度がありと答えているのです。ですから、そういう面では実際に運用している ということが実態としてはあると思います。 ○分科会長  勤務時間短縮等の措置について、ほかにご意見がございますか。 ○労側委員  同じような意見になってしまいますが、短時間勤務について、やはり要望はかなり多 いと理解しています。これまで具体的な議論という話がありましたが、労側委員の話に もあったように、要望としては中学に入る前までというのが強いのですが、実態の部分 を考えたときに、最低でも低学年という必要性があると思うのです。例えば私の場合で もそうですが、高学年になると比較的塾に行ったりという方が多くなる。むしろ塾に子 どもを預けているみたいな状況も多くなって、なんとかもたせているということがあり ます。基本的には低学年、学童保育の問題も強くありますし、そこのところまで是非導 入するということで、議論を深めてもらいたいと思います。  賃金の問題とかは、ある意味で全体の処遇のところでどう見ていくかということで、 ここはむしろ労使の議論の中に委ねて議論をすることも可能な部分ではないですか。短 時間勤務については特にそう思います。 ○使側委員  短時間勤務も何歳ぐらいまでというのは各社苦労をされて、それぞれの中で決めてお られるのではないかと思います。私、前にも申し上げたと思うのですが、学童保育で皆 さんやっていて、いまも学童が6時というか早く終わってしまうとかいうご意見なのだ ろうと思うのです。前回も保育課の課長がお見えになったときに、保育所のことだけだ ったと思うのですが、学童保育の仕組みというか、広がりはどういうふうになっている のですか。 ○事務局  学童保育は、私どもでは放課後児童健全育成事業、放課後児童クラブという言い方を しています。今年の5月現在では、国庫補助をしているもの、していないものを合わせ て、1万3,700カ所ぐらい。市町村で実施しているもので見ると、3分の2ぐらいの市 町村が実施している状況です。現在、平成13年の閣議決定に基づいて、1万3,700カ所 を、平成16年度までに1万5,000カ所にしたいということで、15年度においては800カ 所、16年度の概算要求でも800カ所増やして、1万5,000という目標は平成16年度中には 達成できるのかなと思っています。  その後については、この場でも話しましたように、次世代育成支援対策推進法の成立 を受けて、各市町村が計画をつくっていくことになっていますから、そういう中で必要 な整備が図られていくのではないかというのがいまの状況です。確か56万人ぐらいの子 どもが登録をして利用されているのが、直近のデータであったかと思います。 ○使側委員  56万人というのが、その対象の小学生の数のどのぐらいの人たちが行っているとか、 そういうことは分かるのですか。 ○事務局  利用者の保育に欠けるとか、定義がどうかとか、それぞれ認定してやるとかいう、全 体の子どもの数に対しての比率は出てくるかもしれませんが、実際に必要な子どもの数 に対して、どういう充足率になっているかは手元にはありません。いずれにしても必要 なニーズには応えていけるように、現在は箇所数を増やしていく対応をしている状況で す。  また一方で、自治体によっては、ご両親が働いておられるということではなくて、全 員を対象にして、放課後の子どもの健全育成事業というやり方をとられているような、 自治体もちらほら出はじめている動きもあります。 ○使側委員  それは例えば6時までとか、時間とかは何か基準があって決まっているというものな のですか。 ○事務局  一応の目安としてはそのぐらいの時間ですが、延長したいという場合には、加算の仕 組みなどもつくっているということですが、保育所のほうが延長保育が長くできるよう になった状況から見ると、先ほどご指摘のあったような声もあるのも、また事実かもし れないと受け止めています。 ○使側委員  前回は保育所の件で公立と私立の助成金の差額のことをお聞きしたときに、同じだと お聞きしたのですが、知り合いの人が保育園をやっているので聞きましたところ、公立 の保育士の給料が私立の大体2.5倍から3倍の高い給料になっているということです。 それで助成が同じで民間がやっていて公立がそんなにお給料が高くて、実際問題とし て、同じに経営ができるはずがないというふうにも聞いています。全体のサービスのこ とを考えたら、私立のほうが延長保育だとか、朝早くだとかいろいろな形で工夫をして おられます。その辺のところで人数はこの間聞きましたが、金額があのときはまだ、 はっきり分からないということでしたが、公立に出ている金額と私立にどのぐらい出し ているか、数字を教えていただきたいと思います。 ○事務局  保育所に要する経費についてこの前には、国の立場から見たときの補助金の出し方の 話として申し上げたのです。実際にはご指摘の部分もあって、委託費を社会福祉法人に 出す場合と、自分でやっている場合は委託費ではなくて、職員に対する経費みたいな話 になると思いますが、そういうこともあって、実際にどれだけ保育に要しているかにつ いては、厳密な統計は取る仕掛けになっていません。  国の関心事としては、要は決済基準として、どういう金額になっていて、それで保育 に要するといいますか、保育所に入っているお子さんが何人いて、それぞれ年齢ごとに 単価が決まりますから、それを地方自治体に補助をする。そのあと、地方自治体がその とおりに実施されるか、それは保育料の話も含めてだと思うのですが、それに更に直営 施設の場合であれば人件費の問題が出てくるので、それがどれぐらいの状況になってい るかは、私どもでは調査をしていません。 ○事務局  もう少し分かりやすく言いますと、保育所の運営費というのは国が全体の2分の1を 補助し、残りの4分の1ずつを都道府県と市町村で負担をする形になっています。保育 所を運営しているのは市町村立の公立のものと、私立のものとあるわけです。国は全部 市町村立であろうが民間のものであろうが、全て一律の基準で、これだけ費用がかかり ますという計算は全く同じにして、その2分の1を払うのです。定員が何人だったらい くら払うとか、ゼロ歳児だったらいくら払うという基準が決まっているわけです。公立 の市町村がやっている場合には全て公務員ですから、身分保障があって一貫して勤めま すから、平均年齢が非常に高くなって、給料が高くなるわけです。民間の保育所は回転 が速いので若い保育士さんです。保育所の経費はほとんどが人件費なのです。ですから 市町村立は非常にコストがたくさんかかります。  かかる部分は誰が負担をしているかというと、国は公立でやらなければいけないとい う方針は示していませんから、たまたまある市町村は公立でやるという主義で公立をた くさんつくった所もあるし、民間でやるということで、民間の保育所を育成してきた市 町村もあります。国は一律で出しますが、市町村立でやってコストのかかる分は、結局 設置者である市町村が自分で負担をしなければいけないことになるわけです。  それに加えて、4分の1を出す都道府県も、都市部の都道府県は国が決めた基準の、 4分の1に更に上乗せして出す都道府県もあります。そこが都道府県がどのぐらい出し て市町村が残った分をどれだけ被っているかは、厳密な調査がないから正確には分かり ませんが、一般的にはそういう構造になっています。 ○使側委員  勉強不足で申し訳ないのですが、例えば東京都が認証保育に対して、「厚生労働省が 認めないのだよ」という話をよく聞きますが、これはどこを認めないということなので しょうか。 ○事務局  それはまた別の観点で、国がいま補助している保育所というのは、全国で一定の基 準、人員配置とか、設備とか、施設の基準を満たしたものを、補助の対象として行うこ とになっています。その基準を満たしたものは私立であれどこであれ、誰がつくったも のであれ、全て出すのですが、東京都の認証保育というのは、その国の基準はクリアし ないけれども、しかし、実際の保育ニーズはあるからということで、東京都が独自に緩 くした基準で、その保育所を東京都が独自に、国の認めた範囲以外のところで補助対象 の保育所と認めて、東京都がそれに独自に補助をしているということです。 ○使側委員  すると、実際問題として地方はそれほど困っていないと聞くのですが、都市部は待機 児童が多く困っています。そうしたときに、その基準を変えるという考えはないので しょうか。 ○事務局  それは1つの議論だと思います。ニーズがある所だけ基準を非常に緩くして、極端な 例で言いますと、ベビーホテルとか、劣悪な状況でやっているようなものもあります が、そういうものまで保育所と認めて援助していくべきなのか、規制と援助はセットに なっていますから、ある程度の基準をクリアしたものを公的に支援していこうという仕 組みの中で、いま待機者の多い都道府県は独自の観点からそういう国の制度を上回る制 度を仕組んでいるのです。それを国の制度として一律に基準を緩めていくべきなのかど うかというのは、議論を要するところだと思います。 ○使側委員  認証保育に対しては支援は出ていないということですね。 ○事務局  いまは国の補助は出ていません。 ○使側委員  そこは是非検討をしていただきたいと思います。そこを検討していただくと、都心の 待機児童はもっと緩和されると思います。前回か前々回にも申し上げましたが、保育所 がもう少し設備が整って広くなっていけば、自ずから働きやすい環境づくりは出来上が ってくる部分が、全部とは言いませんが、私は何割かは解消されると思いますので、是 非その辺のことも含めてご検討をいただけたら、大変ありがたいと思っています。 ○分科会長  まだご発言があるかと思いますが、時間もまいりましたので、本日の議論はここまで にしますが、次回に引き続き本日のテーマでご議論をいただきます。 ○公益委員  議論とは全然関係なくてお願いなのですが、ここでの議論はいま特に育介法問題の議 論をやっていますので、できれば法規集を用意していただいたほうがありがたいので す。議論の流れの中でもう1回法律を確認したいとか、どうなっているのかを確認しな がら話をしなければいけないこともありますので、もし部数がありましたら置いていた だいたらありがたいと思います。 ○分科会長  お願いいたします。今日の議事録の署名委員は片岡委員と、前田委員にお願いいたし ます。最後に事務局から次回以降の予定について連絡があるということなので、お願い いたします。 ○事務局  次回は10月20日15時から、場所は経済産業省の別館の825号室です。よろしくお願い いたします。 ○分科会長  本日の分科会はこれで終了いたします。長時間ありがとうございました。 照会先:雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課 法規係(内線:7856)