03/10/01 薬事・食品衛生審議会平成15年10月1日(水)化学物質安全対策部会議事録         薬事・食品衛生審議会 化学物質安全対策部会 議事録 1.日時及び場所   平成15年10月1日(水) 10:00〜   航空会館701〜702会議室 2.出席委員(11名)五十音順   安藤 正典、 井上  達、◎井村 伸正、 神山 美智子、   岸  玲子、 黒川 雄二、 土屋 利江、 中西 準子、   新村 眞人、 百濟 さち、 安田 峯生   (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(8名)五十音順  ○板倉 ゆか子、植田 和弘、 内山 巌雄、 沖  幸子、   今野 由梨、 佐野 真理子、竹居 照芳、 渡部  烈                   3.行政機関出席者   岸田 修一(審査管理課長)、中尾 禎男(化学物質安全対策室長)、   渡辺 喜久彦、秋本 若夫、 江野 英夫、 角井 一郎、   近藤 恵美子  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局  定刻になりましたので、ただいまより平成15年度第1回化学物質安全対策部会を開催 いたします。本日の部会には委員数19名のうち10名の御出席を頂き、薬事・食品衛生審 議会令第九条の規定に従い本部会が成立しておりますことを御報告申し上げます。ま た、本部会の公開と非公開の別につきましては、委員の自由な発言が制限され、公正な 審議に支障を及ぼすおそれ、あるいは個人の秘密等の開示によって特定の者に不当な利 益又は不利益をもたらすおそれはいずれもないと判断されたことから、公開で開催して いることを御報告いたします。  次に岸田審査管理課長よりごあいさつ申し上げます。 ○審査管理課長  8月29日付けの人事異動で審査管理課長になりました岸田でございます。どうぞよろ しくお願いいたします。本日はお忙しいところ当部会に御出席を賜り、ありがとうござ います。  当部会も1年半ばかり開催が空き、その間に化審法の一部改正法案が成立し、今年5 月に公布され、来年4月に施行される予定でございます。後ほど事務局の方から詳しく 御説明申し上げますが、内容といたしましては環境中の動植物への影響に着目した審査 ・規制制度の導入、難分解・高蓄積の既存化学物質に関する規制の導入、環境中への放 出可能性に着目した審査制度の導入、事業者が入手した有害性情報の報告の義務付けな どが改正の柱となった改正でございます。厚生労働省といたしましては、11月上旬にタ イで開催される政府間化学物質安全性フォーラム(IFCS)等の場を通じまして、国際 的な化学物質対策の動向を踏まえつつ、化学物質対策の充実、施策に努めてまいりたい と思っております。  本日の部会では、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律に基づくホルムア ルデヒドの試験法の見直し、またクレオソート油中のベンゾ[a]ピレン等の規制の導入 について御審議いただくこととしております。また、化審法に基づく判定結果について 本部会に御報告させていただく次第でございます。委員の先生方には忌憚のない御意 見、御議論をお願い申し上げて、簡単ではございますが、ごあいさつとさせていただき ます。 ○事務局  本日は平成15年1月に行われた薬事・食品衛生審議会の改選後、最初に開催される部 会でございます。分科会におきまして、首藤前部会長に替わり井村委員が部会長に選出 されたことを御報告申し上げます。井村委員は、薬事・食品衛生審議会の会長と薬事分 科会長にも選出されております。改選後初の部会でございますので、最初に委員の御紹 介をさせていただきます。  最初に部会長の井村委員でございます。続きまして安藤委員でございますが、本日は 遅れて御出席されるという御連絡を頂いております。次に井上委員でございます。神山 委員でございます。岸委員でございます。黒川委員でございます。今野委員でございま すが、本日急遽御欠席という御連絡を頂いております。土屋委員でございます。中西委 員でございます。新村委員でございます。百濟委員でございます。安田委員でございま す。  また本日の審議事項に関しまして、審議会専門委員で国立医薬品食品衛生研究所療品 部の鹿庭室長に御出席いただいております。また関係行政機関職員として、国立医薬品 食品衛生研究所療品部の五十嵐主任研究官が御出席されております。  続きまして、事務局の人事異動がございましたので、御報告させていただきます。 ○化学物質安全対策室長  先ほどごあいさつ申し上げましたが、8月29日付けの人事異動で岸田審査管理課長が 着任しております。それから私は7月1日付けで松田前室長の後任として化学物質安全 対策室長を拝命いたしました中尾でございます。よろしくお願いいたします。 ○事務局  議事に入ります前に、本日の資料を確認させていただきます。お配りしております議 事次第の下段部分にも書いてございますが、議事次第。それから資料番号を付しており ませんが、委員名簿と座席表。  資料1といたしまして、「諮問書(写)」。資料1-1-1といたしまして、「ホルムアル デヒドの基準一部改正案について」。資料1-1-2といたしまして、「ホルムアルデヒド 試験法の見直し(案)」。資料1-2-1といたしまして、「ジベンズ[a,h]アントラセン、ベ ンズ[a]アントラセン及びベンゾ[a]ピレンの基準案について」。資料1-2-2といたしま して、「クレオソート油等に含まれるベンゾ[a]ピレン等について」。資料1-3といたし まして、「有害物質を含有する家庭用品の規制基準(案)概要」。資料1-4といたしまし て、「基準案作成の経過」。資料1-5といたしまして、「有害物質を含有する家庭用品 の規制に関する法律(抜粋)」。資料1-6といたしまして、「有害物質を含有する家庭用 品の規制基準概要」。資料1-7といたしまして、「家庭用品の安全対策に係る行政の概 要」。資料2-1といたしまして、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基 づく新規化学物質等の審査の状況について」。資料2-2は委員限りの配付とさせていた だいておりますが、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づく新規化学 物質等の審査の状況について(物質ごとの審議の概要)」ということで、少々厚い資料が 付いております。資料3といたしまして、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する 法律の一部を改正する法律について」。以上でございます。資料の過不足がございまし たら、おっしゃっていただければと思います。よろしいでしょうか。なお資料2-2につ いては、部会終了後回収させていただきますのでよろしくお願いいたします。  では部会長、以下の進行をお願いいたします。 ○井村部会長  かしこまりました。それではお手元の議事次第に従いまして、議事を進行させてまい ります。委員の紹介まで終わりましたから、次は3の部会長代理の指名ということにな ります。薬事・食品衛生審議会令第五条の規定によりますと、部会長に事故があるとき はその職務を代理するという部会長代理につきましては、部会長があらかじめ指名する と規定されております。ここで指名をさせていただきたいと思います。本日は御欠席で はございますが、板倉委員に引き続いて部会長代理をお願いしたいと思います。よろし くお願いします。  それでは4の審議事項に移ります。審議事項の議題は1件でございまして、「有害物 質を含有する家庭用品の規制基準について」でございます。本件につきましては、本日 配付の資料1でございますが、諮問書のとおり厚生労働大臣から薬事・食品衛生審議会 に対して諮問がなされまして、審議会長からこの諮問事項を所掌する薬事分科会に付議 があり、そしてそれが分科会長からこの部会に付議されているという順序になっており ます。まず事務局から諮問書を御紹介ください。 ○事務局  それでは資料1を御覧いただければと思います。諮問書を朗読させていただきます。 「厚生労働省発薬食第0929003号 平成15年9月29日 薬事・食品衛生審議会会長井村 伸正殿 厚生労働大臣坂口力 諮問書 有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法 律(昭和48年10月12日法律第112号)第4条第3項の規定に基づき、別紙有害物質を含有 する家庭用品の規制基準の一部改正(案)について貴会の意見を求めます」。こちらにつ きましては、本日配らせていただいております資料1-1-1、資料1-2-1が別紙として付い ているものでございます。以上でございます。 ○井村部会長  ありがとうございました。本件の内容につきましては、既に3月31日及び7月16日に 家庭用品安全対策調査会というものが開催されまして、本部会の調査審議事項の事前整 理を行っておられます。恐れ入りますが、調査会長の土屋委員より調査会での討議内容 と結論についての御報告をお願いいたします。 ○土屋委員  それでは家庭用品安全対策調査会における討議内容について御報告申し上げます。ま ず第一に、去る3月31日の討議におきまして、ホルムアルデヒドの基準について高速液 体クロマトグラフ法を用いる方法を導入すること、及び現行規制値に相当する濃度16ppm を基準に加えることにつき了承されました。また、その現行基準値は妥当であり、緩和 すべきではないこととされました。  第二に、7月16日の討議においてクレオソート油を含有する木材防腐剤、及び木材防 虫剤に含まれるジベンズ[a,h]アントラセン、ベンズ[a]アントラセン、ベンゾ[a]ピレ ンをいずれも10ppm以下とすること、並びにクレオソート油及びその混合物で処理され た防腐木材及び防虫木材に使用されるジベンズ[a,h]アントラセン、ベンズ[a]アントラ セン及びベンゾ[a]ピレンはいずれも10ppm以下、これは木材重量に対しては3ppm以下 と計算されますが、そうすることについて了承されておりますので、御報告いたしま す。また、以降事務局の方から併せて詳細説明を行っていただき、調査会としての報告 とさせていただきます。 ○井村部会長  ありがとうございました。それでは事務局、よろしくお願いします。 ○事務局  それでは補足の御説明をさせていただきます。資料1-1-1を御覧いただければと思い ます。まずホルムアルデヒドの基準の一部改正案につきましては、第一に検出機器の性 能向上等を踏まえ測定方法の見直しを検討することと、規制改革推進3か年計画におい てされたこと。  それから第二に市場解放問題苦情処理体制(OTO)において、現行の規制は吸光光度 法の定量限界等を勘案し、試料とブランクの吸光度の差が0.05以下であることと規定し ておりまして、この吸光度差が濃度として幾つなのかを特に示していないのですが、こ れを現場においてホルムアルデヒドの濃度が0でなければならないとの誤解を招いてい るので誤解を解消してほしいという指摘があったこと。  第三といたしまして、外国政府から現行の規制値そのものを緩和すべきとの要望があ ったこと。以上三点を背景といたしまして、検討がなされております。調査会で討議し ていただいた結果、吸光度差が0.05以下に同等のものとして16ppm以下という基準を追 加すること、基準を超えた場合ジメドン法のほか高速液体クロマトグラフ法でピークの 高さを標準と比較する方法によっても確認できることとすることについて了承されまし た。さらにその国際的評価の結果を踏まえても、乳幼児という弱者を対象に設定された 16ppm相当という基準は妥当なものであり、これを緩和することは妥当ではないという 結論を頂きました。  次に資料1-2-1でございますが、クレオソート油を含有する木材防腐剤及び木材防虫 剤、並びにクレオソート油及びその混合物で処理された防腐木材及び防虫木材に含まれ るジベンズ[a,h]アントラセン、ベンズ[a]アントラセン、ベンゾ[a]ピレンの基準案に ついてでございます。  第一に、これら3物質についての採取分析のための試験法を、国立医薬品食品衛生研 究所療品部の鹿庭先生に厚生労働科学研究特別研究において研究開発、市販製品の実態 調査を行っていただいた結果、現に小売店において市販されているクレオソート油関連 製品からこの3物質が検出されておりまして、欧州における産業用規制値を超える濃度 が見られているということ。  それから第二に、クレオソート油処理まくら木のいわゆるガーデニング等での再利用 といった、従前には見られなかったクレオソート油等の用途が増加し、暴露機会が増え てきていると考えられたこと。  第三としまして、今後諸外国から輸入されるベンゾ[a]ピレン等を含むクレオソート 油等が増える可能性が否定できないという考え方から、家庭用品規制法に基づく規制措 置の導入を検討する必要があると考えられました。  調査会で御討議いただいた結果、クレオソート油及びその混合物に含まれるベンゾ[a] ピレン、ベンズ[a]アントラセン及びジベンズ[a,h]アントラセンをそれぞれ10ppm以下 とすること。クレオソート油及びその混合物により処理された製品については、処理に 用いたクレオソート油及びその混合物中の3物質の濃度をいずれも10ppm以下とするこ ととされました。これは先ほど御説明がありましたとおり、木材中として計算すると3 ppm以下とされるところでございます。これを踏まえまして、具体的な家庭用品の指定 の仕方として、クレオソート油を含有する木材防腐剤及び木材防虫剤について、3物質 いずれも木材1g当たり10μg以下とすること。それからクレオソート油及びその混合 物で処理された防腐木材、及び防虫木材について木材の比重を0.4として計算した結果、 3物質いずれも木材1g当たり3μg以下とすることとして、調査会として規制基準案 を用意されました。  以上、ホルムアルデヒドの基準一部改正案について、及びジベンズ[a,h]アントラセ ン、ベンズ[a]アントラセン、ベンゾ[a]ピレンの基準案の2件について、本部会での御 審議をお願いしたいということでございます。御審議のほどよろしくお願い申し上げま す。 ○井村部会長  詳細な御説明ありがとうございました。それではまず最初にホルムアルデヒドの方の 規制基準の一部改正案に関して御審議をお願いしたいと思います。どうぞ御意見、御質 問等をお願いいたします。いががでございましょうか。何か御意見ございませんか。土 屋委員の方から更に何か御追加になることはございますか。 ○土屋委員  従来は吸光度で規制されていたのですが、やはりそれをきちんとppmということで、 もっと科学的に現代のレベルに合わせて直されたということです。 ○井村部会長  ありがとうございます。よろしゅうございますか。どうぞ、神山委員。 ○神山委員  今ここで規制されている繊維製品のうち、おしめカバー、よだれ掛けなど乳児用のも のがいろいろありますが、国内で生産されているこういうものにホルムアルデヒドを処 理されているということが実際にあるのでしょうか。 ○井村部会長  事務局の方でそれを押さえていらっしゃいますか。 ○事務局  実際に規制されておりますので、自治体において家庭用品の監視員が任命されており まして、そういった方々の監視の結果、国内製品についてもいわゆるホルムアルデヒド が検出されている事例はございます。捺染等においてどうしても、洗濯を繰り返して色 が落ちないような加工をする際には、ホルムアルデヒドが含まれたような化学物質を使 う場面がありますので、現に使われているというところでございます。 ○井村部会長  ほかに御質問、御意見ございませんか。よろしゅうございますか。何か鹿庭委員の方 から特にございますか。 ○鹿庭専門委員  ホルムアルデヒドの分析法において、都道府県の衛生研究所、私ども等で実際に分析 する場合、大人用(基準値75ppm)では現行の試験法でもほとんど問題は発生していませ ん。一方、乳幼児用(基準値 吸光度0.05以下)では、吸光度0.05という判定ラインは吸 光度法の検出限界に当たりますので、本当にホルムアルデヒドが含まれているのかどう かの確認法としては、現行法では難しいという現場からの声が少なくありませんでし た。その点、今回採用される高速液体クロマトグラフ法では、ホルムアルデヒドに由来 するピークかどうかをはっきり確認できますので、現行法よりも分析精度が向上したも のになります。これまでホルムアルデヒドを使用した、使用していないということで、 メーカーと押し問答になることもありましたが、今回の改定によってそういうトラブル はなくなります。ホルムアルデヒド由来のピークが確認できるようになったというの が、今回の大きな改正点と言えます。 ○井村部会長  ありがとうございました。いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。そ れではホルムアルデヒドの規制基準一部改正案に関しては、この案のとおり了承すると いうことで、この部会で議決したというふうにさせていただきたいと思います。よろし ゅうございますか。ありがとうございました。       次にジベンズ[a,h]アントラセンほかの規制基準案について御審議をお願いすること になります。いかがでございますか。御意見あるいは御質問ございますか。御説明の中 で「3物質」という表現が使われていましたが、いかがでございましょうか。度々申し 訳ありませんが、これについても何か土屋委員の方から御追加はございますか。 ○土屋委員  最初ベンゾ[a]ピレンだけを考えていたようなのですが、そのほかにもジベンズ[a,h] アントラセン、ベンズ[a]アントラセン等にも有害物質があるということで、それらに ついても合わせて規制値を設けた次第です。 ○井村部会長  ありがとうございました。何か御意見ございますか。どうぞ、神山委員。 ○神山委員  こういう基準ができたといたしますと、それ以降新しい販売はできなくなると思うの ですが、既にガーデニング等でたくさんのまくら木が家庭に入っているわけです。抽選 でないと買えないくらいの非常な人気だったと言われていますので、そういうものがこ の家庭用品規制法で規制対象になったということとか、自分のところにどういうまくら 木があるのかを現在もう既に使っている家庭にどうやってお知らせするのか、今後どう するのかという点はどうなるのでしょうか。 ○井村部会長  いかがでございましょう。 ○化学物質安全対策室長  実際に基準が施行された段階で、各自治体といろいろ連絡したり協議する機会を我々 は持っております。そういった場を通じまして、自治体とか一般の方々にも直接、間接 を通じていろいろな形で御連絡し、できるだけ早急にいい製品に切り替えるよう、関連 省庁はほかにもございますので他省庁とも連携してやりたいと思っております。ただし 法律論で言いますと、残念ながら過去に既に植え付けたものまで回収してという義務を 直ちに課すことはなかなかできないわけで、恐縮でございますが、そこのところは御了 解いただければと思っております。 ○井村部会長  そうですね。実際にどういうことが起こるかをイメージなさって、神山委員は御質問 なさったのではないかと思いますが、法的には特に措置はとれないということで、情報 だけ十分に流すということになります。はい、どうぞ。 ○神山委員  ただ、被害が起こる可能性がある場合には回収を命ずることができるという条文があ りますので、そういうことがあるときには法的な措置がとれるわけですが、今そこまで 被害が起きているわけでもないでしょうから、回収命令は出せないにしても、やはり小 さい子どもさんがいるような家庭では庭で遊んだりすることが十分あるわけで、情報の 周知徹底ということが非常に大事ではないかと思っております。 ○化学物質安全対策室長  今回、本部会に上げた一つの経緯で地方自治体の方でいろいろ問題になりまして、自 治体の方から是非国として規制をやってほしい、そうすれば自治体も動けるということ がございました。繰り返しで恐縮でございますが、先ほど御説明したとおり我々だけで はなくて全国に大体3,000人の家庭用品衛生監視員もおりますので、そういう方々を通 じて、また、自治体ですと、家庭用品のいろいろな部局との連携もございますので、そ ういったところと協調して危険なものはできるだけ避けるということを御連絡したいと 思っております。 ○土屋委員  そういう意味で、先ほど御指摘のように一刻も早くこの基準値の改正について情報を 出していただくことと、早くこれを改正基準値にしていただきたいということでござい ます。 ○井村部会長  ありがとうございます。ほかに御意見ございませんか。どうぞ、鹿庭先生。 ○鹿庭専門委員  実際にこのクレオソート油に関連する製品がどれくらい出ているか、実際にそういう ものが市販されているかどうか調査しましたが、その結果として先ほど事務局からの説 明もありましたように、いわゆる中古のまくら木と新たに加工したまくら木が流通して いました。缶入りの「クレオソート油」と書かれたものがホームセンターなどで市販さ れていました。その一方で、ベランダで使うようなラティスだとかプランターのような 木製品にはクレオソートはほとんど使われていませんでした。ですから、そういう意味 で当初事務局と話をしていたときに、ベランダのような非常に身近なところ、ないしは 室内で使われている可能性が非常に危惧されていたのですが、その可能性は低いと思わ れます。しかし、現実にクレオソート油の缶入りのものや、実際に加工されたまくら木 がかなり流通していることも分かっております。 ○井村部会長  ありがとうございました。いかがでございましょうか。それではリスクコミュニケー ションについては、そういうようにいろいろと御配慮いただくということでございま す。このベンズ[a]アントラセンほかの規制基準案についてはよろしゅうございますか。 それではこの基準案についてはこの案のとおり、先ほどのホルムアルデヒドと同じよう に了承するということで、この部会として議決をしたということにさせていただきま す。ありがとうございました。  それではこの大臣からの諮問に対しまして、今後どのように進めていったらよろしい か、事務局の方から御説明がありますか。 ○事務局  それでは御説明申し上げます。薬事分科会規程第7条におきまして、「部会における 決定事項のうち、比較的容易なものとして分科会があらかじめ定める事項に該当するも のについては、分科会長の同意を得て、当該部会の議決をもって分科会の議決とする」 とございまして、薬事・食品衛生審議会規程第3条において分科会に置かれる部会の決 定事項をそのまま議決したときは審議会の議決とするとございます。詳細な取扱いにつ きましては、委員の皆様に改選の際に配付させていただいている委員必携にも掲載され ておりますが、平成13年1月23日付けの「薬事分科会における確認事項」としまして、 この有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律に基づく有害物質等基準の設定の 可否は、部会での審議、分科会への報告という事項とされております。さらに薬事分科 会における報告は事後報告、答申の後でも差し支えないとされております。今般の審議 事項については、この部会として議決されましたので、その旨分科会に報告がなされる こととなっております。以上でございます。 ○井村部会長  ありがとうございました。それでは薬事分科会の方に報告することになります。  次は議事の5でございますが、報告事項に移ります。報告事項での議題は1件でござ いまして、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づく新規化学物質等の 判定結果について」であります。先ほども審査管理課長がおっしゃいましたように、こ の部会が1年半ほど開かれていなかったということもございまして、前回2002年5月の 部会以降に出た結果について事務局の方から御説明をお願いいたします。 ○事務局  それでは資料2-1、及び資料2-2に基づき御説明させていただきます。先ほども申し上 げた「薬事分科会における確認事項」という取決めにおいて、化審法に基づく化学物質 の判定のうち指定化学物質の指定の可否等については調査会に相談の上事務局において 処理し、その結果を化学物質安全対策部会に報告するとされております。今部会長から もおっしゃっていただきましたが、本日は前回の部会での報告以降のものについて御報 告させていただきます。  化審法においては、当該化学物質の環境中における分解性、生物体内での蓄積性、継 続的に摂取された場合に人の健康を損なうおそれがあるか否かという長期毒性、この三 点について審査いたしまして、難分解性、高蓄積性で長期毒性があるものは第一種特定 化学物質、難分解性で高蓄積性ではないけれども長期毒性の疑いがあるものは指定化学 物質とされております。分解性については微生物による化学物質の分解度試験の結果に より、濃縮性については魚介類の体内における化学物質の濃縮度試験の結果により、長 期毒性の疑いがあるかどうかについてはほ乳類を用いる28日間反復投与毒性試験、細菌 を用いる復帰突然変異試験、及びほ乳類培養細胞を用いる染色体異常試験の三つのスク リーニング毒性に関する試験の結果により判定しております。  資料2-1を御覧ください。整理の都合上、相談した調査会の開催ごとに取りまとめて ございますが、平成14年5月〜平成15年7月までの間に313物質について御議論いただ き、うち77物質について指定化学物質に相当、236物質については指定化学物質に相当 しないという調査会の御意見を頂いております。この結果に基づきまして、事務局にお いて新規化学物質の届出者に対して判定結果を通知しているところでございます。な お、この間に第一種特定化学物質に相当すると判断されたものはございませんでした。 判定に当たりましては、一層の透明化を図るために判定基準を策定いたしまして、本年 4月に厚生労働省ほか関係省のホームページにおいて公開いたしました。判定基準は資 料2-1の2枚目以降に添付しております。なお、化審法は厚生労働省のほか経済産業省、 環境省の3省で共管しておりまして、経済産業省、環境省においてもそれぞれの審議会 において同様の審査が行われております。昨年度までは各省の審議会はそれぞれ個別に 開催されておりましたが、本年4月より3省の審議会を合同で開催しているところでご ざいますので、付け加えさせていただきます。  資料2-2は委員限りに配付させていただいているものでございますが、こちらの方に 指定化学物質相当と判定された物質に関する審議の概要を記載しております。主といた しまして毒性に関する情報と、それに対するコメントを掲載しております。表紙をめく っていただき、1ページを御覧いただければと思います。この資料2-2には、物質の名 称や構造式、製造・輸入予定数量等届出者の企業秘密に当たる情報が掲載されておりま すので、ここでは物質名を呼ばずに上の段の「新規化学物質の名称及び構造式」欄の左 側の大きな番号で呼ばせていただきます。委員の皆様におかれましても、御発言いただ く際には番号でお呼びいただくようお願いいたします。  資料の見方でございますが、番号1の物質については右上の試験区分に「スクリーニ ング」と記載されております。これは分解性試験において難分解性であり、濃縮度試験 において高濃縮性ではないという結果が得られ、先ほど申し上げた三つのスクリーニン グ毒性試験で審査されたことを意味しております。構造式の下にこれら三つの試験の概 要が記載されております。  次をめくっていただき、2ページには判定の理由とこれらの結果から指定化学物質と 判断したという結果が記載されております。各物質に関する詳細な説明については、こ こでは割愛させていただきます。以上御報告申し上げます。 ○井村部会長  ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、御意見、御質問ございまし たらお願いしたいのですが、今事務局からもお願いしたとおり、その際には物質名をお っしゃらないようにお願いいたします。また、化学物質調査会での審議について何か補 足がございましたら、調査会の座長を務めておられた井上委員が御出席でございますの で、井上委員の方からお願いいたします。 ○井上委員  特にございませんが、事務局からも御説明がありましたように一つ一つの物質につい ての判断は、資料2-1の1ページの「指定化学物質への該当性の判定等に係る試験方法 及び判定基準」という、今年の4月18日付けで各省でお作りになった判定基準に沿って おります。沿っていると申しましたのは、実は私どもはそれぞれの専門家の方々にお集 まりいただいて、それぞれの客観的な科学基準に沿って御発言いただいて、それに沿っ て結論を出してきた、3省合同で審査を進めていくに当たってこれまでの蓄積にずれが あるといけないということで、事務局でおまとめになったものであります。私どもで拝 見しますと、自画自賛のように受け取っていただくと困るのですが、結果的にこれまで それなりに客観的に進んできたということを一つ御参考までに御報告したいと思いま す。  それから指定化学物質相当と判断された物質が資料2-1の1枚目の表にあるわけです が、これらについては毒性の程度は様々でありますが、全般的に加算して評価をしたと いうことではございません。例えば特に神経毒性が目立って神経に対する影響があると か、あるいは発生、生殖についての影響があるといったことが見られた場合には、ほか の試験で毒性、生体障害性が全くなくてもそういったものについての判断は指定になる という考え方で、それぞれの専門家の方たちに御協議いただいてここに達したものであ ります。  また、全般的なことを申しにくいので、個別のものについての御質問がありました ら、番号でおっしゃっていただければ御説明できるところは御説明いたしたいと思いま す。以上です。 ○井村部会長  どうもありがとうございました。それでは事務局から、また今調査会長からの御説明 がございましたが、これらについて御質問あるいは御意見がございましたらどうぞお願 いいたします。いかがでございましょうか。77物質がそこに並んでおりますので、個別 にというわけにはなかなかいかないと思いますが、何か引っ掛かることがございました ら、御質問なり御意見を述べていただきたいと思います。よろしゅうございますか。ど うぞ、神山委員。 ○神山委員  質問なのですけれども、ほかにもあるのですが、例えば「50」という物質の115ペー ジの「備考」欄に魚毒性が強いということから「F(E)」と書いてあるのですが、これ はどういう意味なのでしょうか。 ○事務局  今御指摘がございました115ページのところでございますが、ここは実は一番最初に 見ていただいた部分と資料のフォーマットが若干異なっておりますが、後ろの方のフォ ーマットは今年の4月から3省合同で審議会を開催するようになってからのフォーマッ トでございます。現在の化審法では、動植物に対する毒性は見ることにはなっていない のですが、動植物、主には魚毒性などに関する試験が多いのですけれども、自主的に事 業者の方から御提出いただきその結果に応じて動植物への毒性が一定程度強いことが疑 われるという結論を得た場合には、環境省がモニタリング等の対象と考えるという意味 でF判定という覚書を付けさせていただいているところでございます。化審法の直接の 審査事項ではないのですが、この物質は魚毒性が強い可能性があるものですので、心積 もりとして場合によってはモニタリング、あるいはウオッチングする際にその点を気に 留めておくという覚書を付けているところでございます。 ○井村部会長  そういうデータだそうでございますが、よろしゅうございますか。ほかに御質問はご ざいませんか。今のような技術的な点についての御質問でも結構でございますが、よろ しゅうございますか。特にございませんか。それでは本日の報告事項については、ここ で御了解いただいたものといたします。ありがとうございました。  それでは議事の6のその他でございます。議題といたしましては、「化学物質の審査 及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律について」というものが挙げられ ておりますが、事務局の方から御説明をよろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは資料3に基づき御説明させていただきます。資料3を御覧ください。冒頭の 審査管理課長のあいさつでも申し述べさせていただきましたが、本年5月に化審法の一 部を改正する法律が公布されました。この法律は、来年4月1日から施行されることと なっております。  まず「1.法律改正の経緯」でございますが、化審法は皆様もよく御存じのとおり、 もともとはPCBによる環境汚染問題を契機として昭和48年にできた法律でございま す。環境中に残留する、そして生物濃縮を通じて長い間滞留し、かつ毒性があるような 物質を事前に審査し、そういった性質を持つものについては環境中に出ていかないよう 製造、輸入などを規制しようという法律でございます。さらに昭和61年にはトリクロロ エチレンなどの有機塩素系化合物による地下水汚染等の環境汚染問題を契機として、高 蓄積性ではなくても難分解性であるものについては、一定程度環境中に放出されるとそ れもヒトへ毒性が返ってくるということもあり、一部改正され、難分解性であり長期毒 性を持つ物質を規制するという二つ目の規制制度が加わったものであります。  一方、こういった化審法のような化学物質の事前審査制度、あるいは規制制度といっ たものは欧米にもございますが、欧米においてはヒトの健康への影響だけではなく、そ れと並んで動植物への影響にも着目する、また、その審査等に当たっては、有害性だけ ではなくて化学物質の環境中への放出可能性も考慮して審査・規制が行われていること が主流になっているという点がございます。平成14年1月にはOECDの環境レビュー において、日本に対してこういった点を反映させて適切な制度改正を行うべきといった 勧告がなされていたところでございます。こういった状況を踏まえまして、化審法を所 管する3省の関係審議会、厚生労働省ではこういった制度を検討するのは、薬事・食品 衛生審議会ではなくて厚生科学審議会と法令において規定されていましたので、厚生労 働省においては厚生科学審議会、それから経済産業省、環境省の関係審議会において、 今後の審査・規制制度の在り方について合同で審議を行い、平成15年2月には報告書を まとめたところでございました。この報告書を踏まえ国会に法律案を提出いたしまし て、今年5月に成立したという経緯でございます。  「2.改正法の主な内容」でございますが、大きく四点の改正点がございます。まず 一点目でございますが、先ほども申し上げたヒトへの健康影響だけではなく、動植物へ の影響にも着目しようという点でございます。このため、事前の審査に当たりまして は、分解性、蓄積性、ヒトへの毒性に関するデータに加え、動植物に対する毒性を審査 することとしまして、そういった試験の提出を求めることとしております。  資料の2ページになりますが、二点目は難分解・高蓄積性の既存化学物質に関する規 制を導入しようという点でございます。既存化学物質につきましては、新規化学物質と 違い事前の審査制度というものもございませんので国が順次点検を行い、規制対象とな るべきものについては加えていくといった作業を行っております。ただ、特に毒性試験 というものは時間とお金も掛かりますし、難分解・高蓄積性が分かったものについて は、その毒性試験の結果を待たずとも、環境中に一定程度残留するということが分かっ ておりますので、毒性が不明な段階において法的に管理しようという枠組を作るもので ございます。  三点目でございますが、審査に当たり環境中への放出可能性を現在よりももう一歩進 めて考慮しようということでございます。具体的には、全量が他の化学物質に変化する ような中間物、それから閉鎖系の工程のみで用いられるものなど、環境中への放出可能 性が極めて低いと見込まれるものについては、事前に毒性などを審査するということに 代えまして、そういった環境中へ出ないという状況を確認すると。それから事後もそう いった状況を監視すると。それらを前提として、製造・輸入ができることとするもので ございます。もう一つ、高蓄積性ではないと判定されたものについては、一定の数量に 達するまでの間毒性に関する審査を行わなくても、一定数量以下と少ないことを事前確 認・事後監視することを前提として製造・輸入ができるようにしようという点でござい ます。  四点目でございますが、事業者が入手した有害性情報の報告を義務付けようというも のでございます。現行制度では、製造・輸入事業者は最初に新規化学物質を届け出する とき以外には、試験データ等の有害性情報を国に報告することは求められておりませ ん。したがって、仮に有害な情報を入手したといたしましても、それが公表されない限 りは国はそれを知る機会がないということでございますので、国に報告する制度を作る ことによってその有害性情報を審査や点検に活用することを目的としているものでござ います。  以上が新しい法律の主な改正点でございます。この法律につきましては、例えば先ほ ど申し上げた動植物への毒性を見るための試験法としてどういったものを採用するかと いった、具体的な事項を現在検討しているところでございます。例えば試験法について はパブリックコメントを行いまして、事前審査の段階では動植物への毒性としては藻、 ミジンコ、魚に関する急性毒性試験を行うという案をお示ししております。具体的な試 験法についても、OECDのテストガイドラインに準拠した方法などを現在公表し、意 見の募集の締切りはもう過ぎておりますが、その意見を踏まえて最終案の取りまとめに 入るなど、4月1日の施行に向けて具体的な準備作業を現在進めているところでござい ます。以上、簡単ではございますが、御報告申し上げます。 ○井村部会長  どうもありがとうございました。いかがでございましょうか。ただいまの説明につい て御質問がございましたら、どうぞ。当然来年の4月1日までには、はっきりとした試 験法が出来上がっていて法律が動き出すということですね。 ○事務局  試験法につきましては、法律が施行されるとその時点から届け出される物質について 試験が必要になりますので、それよりも前に試験を実施する期間、周知期間を含めて十 分余裕を持ってお示ししたいと考えております。 ○井村部会長  分かりました。御質問、御意見をどうぞ。どうぞ、土屋委員。 ○土屋委員  2ページの(3)の(2)の「一定数量以下」というのは、現時点でおおよその数量は決 まっているのでしょうか。 ○井村部会長  事務局の方からどうぞ。 ○事務局  この数量につきましては、10t以下ということでお示しさせていただいております。 先ほど具体的な内容について、関係審議会で御議論いただいたと御報告いたしました が、その審議会の中でもここは10t程度であれば問題ないだろうという御結論を頂いた ところでございます。その結果に基づいて10t以下という数字をお示ししております。 ○井村部会長  ほかにいかがでございましょうか。どうぞ、神山委員。 ○神山委員  来年の4月以降、第三種監視化学物質という制度が今度できるわけですが、そうなる と今まではヒトへの長期毒性がないということで指定化学物質になっていなかったもの が、来年の4月1日時点の既存化学物質になると思うのですが、そういうものについて は動植物への毒性があるかどうかの見直しが行われるのかという点を伺いたいと思いま す。 ○井村部会長  いかがでございましょうか。どうぞ。 ○事務局  その点につきましては、国などで点検していくというスタンスに立っております。国 会審議の際にも、委員会の附帯決議として既に審査が1回終わっている化学物質につい ても動植物への影響に関する評価を促進するため必要な対策を講ずるべきという決議が 行われております。具体的には、環境省の方において、そういった点検を行う準備を検 討していると聞いております。 ○井村部会長  よろしゅうございますか。ほかにございませんか。リスク管理という意味合いから、 中西委員から御専門のお立場で何か御意見はございませんか。 ○中西委員  特に私はございません。というのは、この法律の改正には非常に深くかかわってきま して、1年半くらいずっと議論をしてきたものですから、私の個人的な意見というもの はございません。ただ、この改正とは別に化審法とは何かということについての一つの 感想をお話ししたいと思います。化審法というのは、1974年に世界で初めて事前審査の 制度を取り入れたもので、その点では非常に画期的なものであったのですが、何分にも ハザード審査ということでリスクを基にした審査ではありません。ハザード審査という ものは毒性影響と物性で審査をするということから、これを余りにも厳しく適用します とやはり新規の化学物質が本当に有用なもので、ややハザードがあるけれどもリスクと しては実際は少ないというものが市場に出ないという非常に大きな問題がありまして、 そこをどうやって両立させるのかが非常に大きな課題だったと思います。今回の改正で も、排出量その他に着目したのはそういうことを入れているわけですが、やはりそうい うものが制度として上手には入ってきていないということが一つ残念だということ。  もう一つは、新規化学物質に対しては非常に厳しいのですが、その割に既存化学物質 の方についてはなかなか進まないという、毒性の検査そのものが進まないという状況が あって、先ほど事務局からも既存化学物質については国の方で調査をするというお話が ありまして、それは公式見解なのですけれども、たしか審議の過程で事業者も協力して やらなければいけないということが何度か何らかの際に強調されていたように記憶して おります。公式なものであったのか、希望であったのかその辺はちょっとよく分かりま せんが、やはり既存化学物質の問題をもう一度点検しなければいけないということは非 常に感じております。ただそのときに、既存化学物質を新規の化学物質と同じような意 味のハザード規制でやったのではむしろ大変なことになってしまうのではないかという ことで、そこではもっと高度な…、やはり既にリスクが分かるわけですから、そういう 意味ではもっと新しいリスク評価の手法を取り入れて、既存化学物質には取り組むとい う姿勢がないとやはりかえって進まないのではないかという個人的な感想を持っており ます。以上です。 ○井村部会長  突然振りまして、申し訳ございません。どうもありがとうございました。事務局の方 で、何かそのことについて付け加えることは…、どうぞ。 ○化学物質安全対策室長  今、中西先生がおっしゃられたうちの一つだと思いますが、今回の改正化審法の国会 審議の中で、例えば一つの例示を出しますと、参議院の附帯決議として国会の意向が表 明されるわけですけれども、既存化学物質の安全性点検については国際的な役割分担に よる有害性評価を促進するとともに、官民の連携による有害性評価の計画的推進を図る ということで、国会から課題を頂いております。したがいまして、関係省庁と連携し て、また民間企業とも連携してできるだけ計画的に速やかに進めたいと思っておりま す。  また、前段の国際的役割分担の問題でございますが、各先生方は既に御存知のとお り、OECDで1991年に理事会決定がございまして、まずは生産量の高い物質が最優先 ということで、いわゆるHPVプロジェクト、高生産量化学物質点検プログラムを国際 的に実施しております。手前みそではございますが、私の評価ではその中で日本は一番 作業を行っているところでございます。また、来月にはそれの国際会議がございまし て、今後の点検方針をOECD諸国の中で議論することになっておりますので、できる だけ中西先生がおっしゃる趣旨を踏まえて、前向きに対応したいと考えております。以 上でございます。 ○井村部会長  どうもありがとうございました。ほかに何か御意見ございますか。よろしゅうござい ますか。どうぞ、井上委員。 ○井上委員  私もこの化審法の改定には多少かかわりを持っておりましたので、個人的な立場から 申し上げることは特にないのですが、ただ化審法に基づく化学物質の調査、審査を行っ てまいりました経過の中で、この化審法の改正にはある意味ではやや感無量の思いがご ざいます。それは私の前任で化審法審査に携わってこられた、ここにも委員として御出 席の黒川先生も同様と拝察いたします。先ほども神山先生からお話がありましたよう に、この化審法というのは環境中を介してヒトに対する影響が認められる可能性がある ときに、一つの指定化学物質対象として検討されるわけですが、それの生体毒性が明ら かに低い場合には環境生物に対する影響が、御出席の環境サイドの委員の先生からかな り強く指摘されても、特にこれをどうこうすることができないという、ある意味では弱 点がありました。中西委員のおっしゃるように、完全ではないのかどうか、その辺の細 かいところはともかくとして、ある程度目配りが付くようになったという点では、先ほ ど神山委員がおっしゃったように、これまで環境省ではF物質というモニタリングを化 審法の外でやってこられたわけですが、こういったものを正規に取り込んで見ていくこ とができるようになったという点では、環境サイドの専門家の御意見も大変取り入れた 形で進んでいくということになったという意味で感無量の思いがあります。  もう一点申しますと、先ほどハザードの問題とリスクの問題が出ましたが、ハザード というのは例えば自動車をサーキットで走らせたときにどのような危険度があるかとい うことを見る実験でありまして、私どもでは動物実験でそれを見ているわけです。これ を適切なマネジメントをする、つまり車は止まってしまえば基本的には事故は起こらな いわけですが、そういう化学物質の運用を上手にマネジメントしていくことによって、 強いハザードのものでも比較的リスクを抑えて人類、社会に運用していくことができる という可能性を念頭に置いて、この改正が行われたという点においても私は高く評価し たいと思っております。以上でございます。 ○井村部会長  分かりやすい御説明をどうもありがとうございました。ほかに御意見あるいは御質問 ございますか。よろしゅうございますか。それではこの議事の6に関しましても、終了 するということにさせていただきます。  全体を通して何か御発言がございましたらどうぞ。特にございませんか。それでは本 日の議事はこれで終了ということになります。事務局の方から何か連絡事項がございま したらどうぞ。 ○事務局  次回の化学物質安全対策部会の開催日程は未定でございますので、開催が決まりまし たらまた日程調整させていただきます。それから資料2-2については回収させていただ きますので、委員の先生におかれてはそのまま机の上に置いていただければと思いま す。よろしくお願いいたします。 ○井村部会長  ありがとうございました。それではそのようによろしくお願いいたします。では平成 15年度の第1回化学物質安全対策部会をこれで閉会させていただきます。どうもありが とうございました。                                    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 化学物質安全対策室 室長補佐 江原(内線2426)