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5.年長の子どもや青年に対する自立支援について

 【取組みの方向性】

 
 近年、社会的養護を必要とする子どもの中には、虐待を受けるなど、よりきめ細かな手厚い支援を必要とする子どもが増加しており、こうした子どもをはじめとして里親委託を終了した子どもや児童福祉施設を退所した子どもが、ただちに社会的に自立することは容易ではない。こうした子どもの自立を促していくためには、生活拠点の確保と就労支援が重要であり、施設退所後等の当分の間や求職期間中の生活を支えることが可能な実効ある制度的対応を検討すべきである。
 こうした施設退所後等の子どもに対し、生活の場を提供し、その相談に応じる児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)が果たす役割は重要であり、その設置促進や機能の強化を図るべきである。
 また、里親、児童福祉施設や自立援助ホームについては、18歳、20歳といった年齢に達した子どもについては一律に支援を打ち切ることが原則となっているが、こうした施設等の対象年齢から外れた者であっても必要に応じて支援を継続していくべきである。

 【当面の具体的な取組みに関する委員会としての意見】
  ・児童福祉施設の中に子どもの独立自活を進めるための自活寮若しくは自立促進寮を整備して対応することも必要である。
 ・18歳以上の人の問題に対する相談や生活を支えていくために、こうした支援の中心的な役割を担う自立援助ホームを各都道府県に整備することが必要である。
 ・専門の職員と共同の生活を通じて、子どもが社会生活を円滑に進めることができるような仕組みが必要である。
 ・子どもの自立を促すためには、施設内で社会的技能を学ぶ機会や、就職に関する制度や現状を理解する機会の確保が必要である。
 ・個々の子どものその時々の状況や支援の内容を承知しているいわば担当支援者を明確にしておくことが必要である。
 ・施設退所後の子どもが帰ることのできる場所、心のふるさと的な場所の確保が重要である。
 ・子どもの独立自立を具体的に支援する里親制度を検討すべきである。
 ・進学を希望する子どもを支援する制度を検討すべきである。
 ・自立を目指す子どもに対する資金の貸付制度を設けるべきである。また、こうした子どもに対する保証についても、現状の施設長による個人的な保証ではなく、制度的な対応を図るべきである。
 ・年長になって初めて社会的養護が必要となった子どもに対するケアについて、検討が必要である。

 【今後の課題】
  ・年長の子どもや青年に対する自立に向けた支援について、児童福祉法では限界があるのであれば、青少年を対象として別の法律等で対応ができないか検討する必要がある。


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