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2.家庭的養護(里親・里親によるグル−プホーム等)のあり方について

 【取組みの方向性】

 
 家庭での養育が十分に期待できない子どもの養育を希望する者(里親)が、自らの家庭においてこうした子どもの養育を行う里親制度については、その利用実績が長期的には低下傾向にあり、その理由として「里親制度が知られていない」「子どもの実親が里親委託を望まない」等の指摘がなされている。しかし、家庭での生活を通して愛着形成を図ることのできる意義深い制度であり、子どもの立場に立てば、より積極的に里親制度の普及を図り、活用していけるよう、この制度の一層の啓発に努めることが必要である。
 また、里親制度については、乳幼児期から自立期に至るまで里親を活用できるよう、里親によるグループホームといった工夫を図るとともに、より良い養育の実現に向けて、里親の心身両面での負担軽減に向けた支援の強化や里親に対する研修体制の充実を図ることにより、多くの者が参加しやすい仕組みとしていくべきである。
 さらに、親権の一部代行など里親の責任等を明確化することにより、その専門性や役割を明確にすることも重要である。

 【当面の具体的な取組みに関する委員会としての意見】
  ・多様な家族の形態を受け入れる風土の醸成に向けた啓発が必要である。
 ・最初から完璧な人を里親に認定する発想から脱却し、希望者に対してまず研修を行い、養育能力・技術・意欲のある人を認定するといった段階的に里親を創り出す取組みを検討することが必要である。
 ・里親の活用の形態(週末里親、里親によるグループホーム等)を多様なものとするとともに、里親が複数種類の里親の形態について登録を行うよう促していくことが必要である。
 ・里親の普及・活用に向け、自治体と児童福祉施設がより積極的な役割を果たすべきである。また、児童相談所における里親に対する相談援助も充実すべきである。
 ・里親の登録数は、現在は子どもの受託を希望しない人も含まれているなど実際に委託が可能な里親の実態を表しておらず、子どもを受け入れることが可能な里親を登録すべきである。
 ・ロールプレイ(予め状況を設定し、役割を演じる手法)などの演習的な内容も組み入れた、子どもの様々な問題行動に対応できる研修を継続的に実施していくことが必要である。
 ・「相互理解の機会を持つ」という意味においても、里親と児童福祉施設の職員が、それぞれの研修に相互に参加することも一つの考え方である。
 ・里親の最低基準が制定されたことに合わせ、受託した子どもに関する親権の一部代行など里親の権利や役割を明確にすべきである。
 ・近年、利用実績の少ない保護受託者制度を見直し再活性化するなど、子どもの独立自活に向けた新たな支援の仕組みを構築すべきである。
 ・一時保護の委託先として里親を積極的に活用することを検討すべきである。
 ・特に養育負担の大きい子どもを預かる里親を中心に、養育上の心配などを里親がいつでも相談できる体制の整備、里親に対する児童相談所の支援の強化、児童福祉司による子どもの委託後における定期的な里親家庭の訪問、子どもの委託直後における継続的かつ集中的な支援など、里親への支援体制の充実が必要である。
 ・里親同士のつながりや連携を密にするために、里親会の活性化についての工夫を検討することが必要である。

 【今後の課題】
  ・子どもの里親への委託と施設への入所の選択を親の意向のみに委ねることの是非について検討が必要である。
 ・里親の名称のあり方について検討が必要である。
 ・子どもが実親に将来にわたり養育されることが困難な場合には、永続的な家族関係を重視する観点から、特別養子縁組制度を活用も必要な方向性である。
 ・福祉専門職的な性格を有する里親の育成についても検討が必要である。
 ・予め児童福祉施設に登録した里親が、必要なときに施設から専門的な支援などを受けられるような仕組みについても検討が必要である。


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