(1) | 中賃目安の作成と参考資料 中賃目安(公益見解)作成上の最大の問題点は、11年間の後半期において、賃金実態調査の「一般労働者の賃金上昇率」を唯一の根拠にその水準が決定されてきたことである。 このような実態を改善するためには、
(1) | 賃金の一般的水準の変化(賃上げ状況や毎勤の労働時間の変化を考慮した所定内賃金の上昇率など) |
(2) | 賃金実態調査結果(調査対象企業規模のあり方を検討することを前提に) |
(3) | 消費者物価や社会保障水準の動向 |
(4) | 賃金の一般的水準(賃構など)と地域別最低賃金額との比較 |
などを総合的に検討し、決定するシステムとすることが必要である。 なお、地域別最低賃金の影響率を参考資料として採用する場合には、(1)適用対象労働者のすべてと比較すると同時に、(2)最低賃金違反者を影響率から除くことを前提とする。 |
(2) | 全国的整合性の確保と目安の形態 地賃の自主性を拡大し、地域別最低賃金の各県別順位を是正し、全国的整合性を確保するためには、目安の形態をランク別の引上げ額からゾーン表示(ランク間オーバーラップ方式)に帰るべきである。 |
(3) | 最低賃金の表示単位
(1) | 地域別最低賃金の主な適用対象労働者は、パートを中心とする時間給労働者となっている。また、40年ぶりの労働基準法の改正によって、法定労働時間の短縮や変形労働時間制が採用されてきている。このような情勢変化をふまえ、地域別最低賃金については、その水準を引き上げると同時に、時間給労働者の賃金支払実態と最低賃金の周知徹底などの容易さなどを考慮して、0〜10ラウンド方式を採用することを前提に時間額表示とする。 |
(2) | 新産業別最低賃金の適用対象である基幹的労働者の賃金支払形態は、月給または日給・月給が大部分で、時間給は殆ど定着していない。加えて、新産業別最低賃金は最低賃金協定を軸とする申請方式である点を考慮すれば、新産業別最低賃金については、それぞれの産業別の条件を考慮した上で決定し、画一的な表示単位を採用すべきではないと考える。 |
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