(1) | 第2次オイルショック以後、中賃目安(公益委員見解)の引き上げ水準は低く、適用労働者に対する低賃金改善機能は停滞したこと(とくに、円高不況後は、改善機能が低下し、ここ数年間はその傾向が一段と顕著になっていること)。これは、賃金の一般的水準に対する地域別最低賃金の比率や最低賃金の影響率の低下となってあらわれていること。 |
(2) | ここ数年来、労働時間短縮が進展してきたが、地域別最低賃金の改定に際して、そのことが勘案されず、適用労働者に対し、その成果が波及していないこと。 |
(3) | 中賃目安制度が導入されて16年が経過したが、中賃目安(公益委員見解)の拘束性が強まるなかで、制度導入の主要目標であった「最低賃金額の全国的整合性の確保」は、一部の府県のランク内移動はあったものの、必ずしも十分に実現しなかったこと。 |
(4) | 中賃目安(公益委員見解)が各ランクの「中間値」を前提に作成されたことと関連し、「ランク内収斂とランク間乖離」の現象を生み、年々その傾向が強まっていること。このため、各ランクの最上位県の最低賃金は賃金水準、生計費、経済的要素など、最低賃金決定原則に係る諸指標の実勢との関係で大きな不整合がもたらされていること。 |
(5) | 賃金格差が拡大するなかで、シングルレートにもとづく目安提示によって上下格差の縮小がはかられたため、上を抑えるかたちとなり、Aランク、とりわけ東京の最低賃金が賃金実勢との関係で大きく陥没したこと。 |