戻る

2.課題と要望事項について

(1)信託協会「平成16年度税制改正に関する要望」より(確定拠出年金関連)

企業年金等の積立金に係る特別法人税の撤廃

 企業年金および確定拠出年金等の積立金に係る特別法人税を撤廃すること。

(イ)  企業年金および確定拠出年金は、公的年金を補完し、勤労者の老後生活の維持・安定を図る上で大きな役割を担っており、急速な少子・高齢化の進展を踏まえ、公的年金制度の改革や年金税制のあり方が検討される中、その役割はますます増大している。

(ロ)  確定給付企業年金、適格退職年金(従業員拠出金相当分を除く)および確定拠出年金については積立金の全額に対して、また、厚生年金基金および特例適格退職年金については、一定の水準を超える部分の積立金の額に対して、特別法人税が課されている。

(ハ)  企業年金の受給権保護の重要性および企業会計上の年金債務の開示義務等を勘案すると、企業年金積立金の早期充実は必要不可欠なものである。厳しい運用環境が続いていることに加え、退職給与引当金が廃止され企業年金の増額ニーズがさらに高まる中で、特別法人税の負担は重く、今後の年金制度の健全な発展の阻害要因となっている。また、米国をはじめ諸外国においても積立金に課税するといった例はなく、国際的な整合性を欠いており、特別法人税の課税は、国民の将来不安を除去し、少子・高齢化に対応した年金税制を構築する上では、不十分な税制である。

(ニ)  特別法人税については、平成15年度税制改正において、平成17年3月までの2年間の時限措置としてその適用が停止されているが、公的年金の補完、老後生活の維持向上という社会的要請に応えていくため、企業年金および確定拠出年金の積立金に係る特別法人税を撤廃する措置を講ぜられたい。

(ホ)  また、老後の生活保障にも資する勤労者財産形成給付金、勤労者財産形成基金の積立金に係る特別法人税についても撤廃する措置を講ぜられたい。

〔特別法人税の課税対象〕

特別法人税の課税対象の図

〔主要国の企業年金税制〕
  アメリカ イギリス フランス ドイツ 日本
拠出 (事業主)損金算入
(従業員)事業主の拠出金は給与とみなされない
積立・運用 非課税 課税
給付 課税

企業年金信託等の税制改善

企業年金信託等について、次の措置を講ずること。

確定拠出年金において、拠出に係る税制上の優遇措置を拡充すること。

(イ)  確定拠出年金は、私的年金制度の新たな選択肢として定着しつつあり、今後、他の企業年金制度等とともに公的年金を補完する役割が期待されている。その期待に応えるためには制度の一層の充実が求められ、税制による優遇措置の拡充が不可欠である。今後、公的年金における給付水準の調整や受給時における課税強化が図られ、老後に受け取る年金額の減少が見込まれるが、その場合においても、当該減少分を補う給付額が確保できるよう、拠出限度額を引き上げる措置を講ぜられたい。また、企業の拠出に加えて、自助努力によっても同様の給付額確保が可能となるよう、企業型年金において従業員による拠出が認められるよう措置を講ぜられたい。
[確定拠出年金における拠出限度額]
企業型年金 企業年金(確定給付型)を実施していない場合 月額3万6千円(年額43万2千円)
企業年金(確定給付型)を実施している場合 月額1万8千円(年額21万6千円)
個人型年金 自営業者等 月額6万8千円(年額81万6千円)から国民年金基金等の掛金を控除した額
企業の従業員(企業年金を実施していない企業の従業員に限る。) 月額1万5千円(年額18万円)

現状、企業型年金においては、企業のみが拠出可能である。

(2)確定拠出年金に係る制度改革要望(平成15年3月27日付信託協会から年金局長宛要望書より)

テーマ 確定拠出年金における制度運営の負担軽減
項目 規約承認の申請手続きにおける次の書類の添付を不要としていただきたい。(運営管理機関の登録済証、勧誘方針、運営管理機関選定理由書)
分類
.商品選定・提示等の運営上の問題点
.記録管理等の運営上の問題点
.投資教育の問題点
.制度を普及させていく上での要望事項など
.その他問題点
規制・実務の現状 事業主が企業型年金に係る規約の承認の申請を行うにあたって、運営管理機関の登録済証、勧誘方針、運営管理機関選定理由書を添付する必要がある。
要望内容と要望理由 16年年金改革に付随して実現すべき事務手続全体の簡素化の一環として、確定拠出年金制度導入にあたる事業主等の運営負担を軽減し、円滑かつ効率的に実施する観点から簡素化を求めるもの。
規制の根拠となる関係法令等 確定拠出年金法施行規則第3条3項(勧誘方針)

確定拠出年金法施行規則第3条7項
確定拠出年金の企業型年金に係る規約の承認基準等について
承認要件等 (3)(運営管理機関の登録通知書の写し)

確定拠出年金の企業型年金に係る規約の承認基準等について
承認要件等 (2)(運営管理機関の選定理由)


テーマ 確定拠出年金における制度運営の負担軽減
項目 規約変更の届出手続きにおける、運営管理機関・資産管理機関の名称・住所変更に係る労使合意を不要としていただきたい。
分類
(該当する番号を○で囲んで下さい)
.商品選定・提示等の運営上の問題点
.記録管理等の運営上の問題点
.投資教育の問題点
.制度を普及させていく上での要望事項など
.その他問題点
規制・実務の現状 運営管理機関・資産管理機関の名称・住所は規約記載事項であり、その変更は規約の軽微な変更であるが、規約の変更にあたっては労使合意の対象となっている。
要望内容と要望理由 16年年金改革に付随して実現すべき事務手続全体の簡素化の一環として、確定拠出年金制度導入にあたる事業主等の運営負担を軽減し、円滑かつ効率的に実施する観点から簡素化を求めるもの。
規制の根拠となる関係法令等 確定拠出年金法第3条第3項第4、5号(規約記載事項)
確定拠出年金法施行規則第5条(規約の軽微な変更)
確定拠出年金法第5条第2項(規約変更の場合の労使合意)


テーマ 確定拠出年金における制度運営の負担軽減
項目 運営管理業務における、商品選定理由書ならびに商品に関する情報提供については、例えばイントラネットでの提供など磁気媒体での提供に係る制約を緩和いただき、負担軽減と利便性向上を図っていただきたい。
分類
(該当する番号を○で囲んで下さい)
.商品選定・提示等の運営上の問題点
.記録管理等の運営上の問題点
.投資教育の問題点
.制度を普及させていく上での要望事項など
.その他問題点
規制・実務の現状 運用の方法を提示するときには、選定理由を提示しなければならない。また運用の指図に必要な情報は、書類の交付または電磁的方法によって提供しなければならない。
なお、電磁的方法による場合は電子メールで送付するなど、加入者等に周知させることが必要とされている。
要望内容と要望理由 16年年金改革に付随して実現すべき事務手続全体の簡素化の一環として、確定拠出年金制度導入にあたる事業主等の運営負担を軽減し、円滑かつ効率的に実施する観点から簡素化を求めるもの。
規制の根拠となる関係法令等 確定拠出年金法施行令第12条第2項(選定理由の提示)
確定拠出年金法第24条(運用の方法に係る情報の提供)
法令解釈通達 第3-1(情報提供すべき具体的な内容)
厚労省Web Q&A 128、129、132


テーマ 確定拠出年金における制度運営の負担軽減
項目 適年解除に伴う分配等も含めた実務処理を円滑かつ確実に行うことが困難になっているので、当該期限について緩和していただきたい。
分類
(該当する番号を○で囲んで下さい)
.商品選定・提示等の運営上の問題点
.記録管理等の運営上の問題点
.投資教育の問題点
.制度を普及させていく上での要望事項など
.その他問題点
規制・実務の現状 適格退職年金から企業型確定拠出年金への移換については、現行、適格退職年金契約の解除日の属する月の翌月の末日以前までに行うこととされていることから、最短では解除から移換まで1ヶ月しかない。
要望内容と要望理由 確定拠出年金制度の普及促進の阻害要因となる可能性があるため、16年年金改革の中で早急に実現を要望するもの。
適格退職年金から企業型確定拠出年金への移換までの期限を緩和することで、受託機関並びに事業主の事務負担が軽減され、適年から確定拠出年金への円滑な移行が促進されると考えられる。
規制の根拠となる関係法令等 確定拠出年金法施行令附則第2条第3項(適年を解除してDC)
確定拠出年金法第12条(同月得喪)
確定拠出年金法第14条(加入者期間)


トップへ
戻る