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確定拠出年金
連絡会議
第7回
平成15年10月16日
  資料6

年金制度改正に関する意見(抜粋)

平成15年9月12日
社会保障審議会年金部会

[II.年金改革の基本的な考え方―1.年金改革の基本的な視点]

 制度に対する信頼を確保していくためには、以下の点が特に重要である。

 公的年金制度は、現役時代の所得の喪失を補填することにより高齢期の所得保障を行うものであり、高齢期の生活の基本的な部分を支えるものとしての給付水準を確保すべきである。
 また、公的年金給付は、高齢者個々人の生活設計に組み込まれており、その水準の過度の調整や急激な変更を行うことは適切でない。
 さらに、高齢期の生活のニーズは多様であり、高齢期の所得保障のすべてを公的年金により賄うことは困難であることから、公的年金に、自助努力に基づく所得源泉を組み合わせて高齢期の生活をカバーするという考え方の下に、企業年金、確定拠出年金や個人年金の充実も図っていくべきである。

[II.年金改革の基本的な考え方―8.企業年金等]

<企業年金等の役割>
 厚生年金基金等の企業年金は、現在おおむね民間サラリーマンの半数をカバーしているが、運用環境、母体企業の経営状況等企業年金を取り巻く状況には厳しいものがある。一方、公的年金の改革が進む中で、高齢期の所得保障に関する企業年金等の役割はますます重要になってきており、また、企業にとっても、企業の活性化のため、よりよい人材を集める上で重要な方策となってきている。
 企業年金等については、平成13年に確定給付企業年金制度及び確定拠出年金制度の創設等大きな改革が行われたところであり、この改革の着実な進展を図ることが重要である。

 このため、公的年金の改革と合わせ、企業・従業員が多様化した企業年金をその実情に応じてより一層活用できるものとし、企業年金等の一層の普及及び充実を図ることが必要である。このような観点から、自助共助に対する政策上のインセンティブ、とりわけ税制上の支援措置についても充実すべきである。また、現下の状況にかんがみ、厚生年金基金制度の改革を急ぐ必要がある。

<厚生年金基金制度>
 代行部分に独自の年金を上乗せした厚生年金基金制度は、これまで我が国における企業年金の普及や受給権の保全に大きな役割を果たしてきたが、長引く不況による運用環境の低迷等により、財政上の問題が発生している。
 平成12年の年金改正においては、厚生年金本体の保険料の引上げの凍結と連動し免除保険料率が凍結されたため、現在の免除保険料率は直近の平均寿命、厚生年金本体の予定利回り等の運用環境の状況に対応しておらず、事前積立に必要な保険料となっていない。
 そこで、厚生年金基金制度を持続可能なものとするため、免除保険料率の凍結解除を行い、予定利率の引下げ分、死亡率の改善分等を反映させるべきである。その際、免除保険料率の個別化を進め、少なくとも上下限を拡げるべきである。
 また、基金は自己責任の下に財政健全化を図ることが基本であるが、予定利率の変更や死亡率の改善等、基金の責任とは言えない過去期間に係る負担増の部分については、一定の調整を行うべきである。なお、凍結解除に伴う最低責任準備金の見直しの際には、現在の仕組みとの連続性に留意すべきである。
 いわゆる代行割れ基金(解散を希望するものの、最低責任準備金に不足が生じている基金)についても、基金の自己責任による財政健全化が基本であるが、国民に対する十分な説明の下、解散時の分割納付や納付額の特例を行うべきである。また、分割納付に際しては、将来の返済が確実に行われるための措置が必要である。

<確定給付企業年金制度>
 平成13年の確定給付企業年金法等により事業所単位や企業年金単位の企業年金等の間の移行は可能となっているが、個人単位での企業間等の移動に対応したポータビリティについては、現状においては十分とは言えない。
 このため、確定給付企業年金等のポータビリティについては、中途脱退時や制度終了時における通算制度の拡大(例えば厚生年金基金連合会の活用による)、及び厚生年金基金・確定給付企業年金間や厚生年金基 金・確定給付企業年金から企業型・個人型確定拠出年金への資産移換が可能となる措置を講ずるべきである。

 確定給付企業年金の支払保証制度については、受給者保護のため導入すべきという意見と、モラルハザードや全体的コストの観点から導入すべきでないとの意見があった。

<確定拠出年金制度>
 確定拠出年金の拠出限度額は、厚生年金基金の望ましい給付水準を基本にして算定されている。公的年金の給付の在り方に応じ、また、長期的な運用環境を踏まえ、拠出限度額の引上げを図り、公的年金とあいまって高齢期の所得保障を充実すべきである。
 また、確定拠出年金の脱退一時金は、現在は加入期間が極めて短く、かつ、企業型又は個人型確定拠出年金の加入資格喪失後確定拠出年金に加入できない場合に限り例外的に認められているが、少額資産の場合等受給要件の緩和を図るべきである。
 なお、企業拠出と従業員拠出を合わせて行ういわゆるマッチング拠出については、自助努力による高齢期の生活保障の確保を支援するため認めるべきという意見と、現時点では従業員拠出の位置付けが不明確であるため認めるべきでないとの意見があった。

<企業年金等に係るその他の論点>
 企業年金等の積立金に課税される特別法人税については、現在課税が停止されているが、「拠出時・運用時非課税、給付時課税の原則を徹底していくべき」との考え方もあり、企業年金等の役割が今後ますます重要になること等を踏まえ、廃止すべきである。

 給付減額の要件の緩和や財政検証の弾力化等、企業年金の運営の弾力化について検討が必要との意見があった。

 企業会計基準については、代行部分は退職給付債務の算定対象から除外するなど、中長期的観点から運営される年金制度の実態を反映したものとなるよう早急に修正すべきとの意見があった。


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