(1) | 消費者への適切な情報提供のあり方(求められる表示の内容・程度、教育・啓蒙のあり方、有資格者やアドバイザリースタッフの役割) 消費者への適切な情報提供を考えるにあたっては、国民の健康づくりに資するよう、消費者である国民各自の健康状態に適した食品が選択されることを基本的考え方とするべきである。 そのためには、消費者が、自分自身の健康状態を把握していることが期待されるが、一方で、薬剤師、管理栄養士、アドバイザリースタッフ等の有資格者等が、消費者の希望に応じて、例えば、消費者の食生活等から判断してある栄養素が不足している可能性があることを指摘するなど、健康状態についてアドバイスを行い、消費者の適切な「健康食品」の選択を支援することも重要である。 この際、アドバイザリースタッフなるものを公的なものとして制度化するのか、既に様々な形で存在するアドバイザリースタッフについてある一定の能力等を確保するため、基準等を作成し、関係者の自主的な努力を期待するのかなどについて検討するべきである。 また、あわせて、消費者に対する適切な情報提供を確保するためには、選択する「健康食品」の表示が、広告も含め、
・ | ある一定の科学的根拠を有すること、 |
・ | 消費者が理解できる分かりやすく明確な表示であること、 |
といった点で適切であることが欠かせない。 その他、消費者が自分の健康状態に適合した「健康食品」を適切に選択することを確保するためには、新たな制度の仕組みや「健康食品」の適切な摂取方法について、普及啓発を進めていく必要がある。
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(2) | 有効性の検討(コーデックス、EU、アメリカ等の国際的な動向を踏まえ、科学的根拠をどのくらい求めるか) 「健康食品」の有効性に関する表示を認めるに当たっての条件としては、現行の特定保健用食品と同様に、国による厳格な審査等を経たものでなければならないものとするといった考え方がある一方で、安全性が別途担保されていることを前提に、厳格な審査を求めず、一定の科学的証拠を製造者が保持しているということで有効性の表示を認めるものとするといった考え方等があるが、国民の健康づくりが進展している中で、食品の有効性やその科学的根拠に対する国民の強いニーズを踏まえ、我が国において、科学的根拠をどのレベルまで求めるかについて検討する必要がある。 その際、国による審査に代え、第三者機関における証明などの客観的な証明を義務づけるなどの意見もある。 また、現行では「特定の疾病リスクが低減する旨の表示」は、食品には認められていないが、コーデックス、EU、アメリカにおける統一的な動向も踏まえ、こうした表示の可否及び認める場合の条件について検討するべきである。
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(3) | 現行の保健機能食品制度の問題点 現行の保健機能食品については、特定保健用食品の評価基準の緩和、医薬品と誤認しないような表示の見直し、特定保健用食品の安全性及び効果の再評価、栄養機能食品の基準の拡大といった意見のほか、例えば、いわゆるダイエット食品がミネラル類又はビタミン類を栄養強化することによって、ダイエット効果を強調しながら栄養機能食品である旨を標ぼうしたり、他の機能を併せて表示するなど制度の趣旨から見て不適当な事例への対応といった論点について検討するべきである。 保健機能食品制度は平成13年に創設されてまだ間がなく、特定保健用食品や栄養機能食品の趣旨やその区分について必ずしも十分に浸透したとは言えない状況にある。こうした状況を踏まえ、新たな制度の検討に当たっては、制度自体が消費者の混乱を招かないよう検討していく必要がある。
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(4) | 「健康食品」の安全性の確保 「健康食品」の安全性については、今回の食品衛生法改正により強化されたが、さらに、品質を確保する観点から、食品GMP等の導入について、その担保措置(監視のあり方)や内容等について検討するべきである。 また、「健康食品」の安全性については、運用面でも、監視指導を徹底するとともに、健康食品の過剰摂取や医薬品との併用による健康被害について調査研究及び対策を進めるべきである。
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