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[IV.健康安全確保総合研究分野]

(1)創薬等ヒューマンサイエンス総合研究経費
事務事業名 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究経費
担当部局・課主管課 医政局研究開発振興課
関係課 大臣官房厚生科学課

(1)関連する政策体系の施策目標
基本目標11 国民生活の向上に関わる科学技術の振興を図ること
施策目標 2 研究を支援する体制を整備すること
I 厚生労働科学研究費補助金の適正かつ効果的な配分を確保すること

(2)事務事業の概要
事業内容(新規・一部新規)
 医薬品、医療・福祉機器、保健衛生等の先端的、基盤的技術に関する研究を総合的に推進することを目的として、創薬等ヒューマンサイエンス研究分野においては、(1)先端的創薬技術の開発に関する研究、(2)創薬のための生体機能解析に関する研究、(3)医薬品等開発のための評価方法の開発に関する研究、(4)稀少疾病治療薬等の開発に関する研究、(5)健康寿命延伸・予防診断・治療法の開発に関する研究、(6)医用材料及び製剤設計技術の開発に関する研究、(7)ヒト組織を用いた薬物の有効性、安全性に関する研究を、エイズ医薬品等開発研究分野においては、(1)抗エイズウイルス薬、エイズ付随症状に対する治療薬の開発に関する研究、(2)エイズワクチン等エイズ発症防止薬の開発に関する研究、(3)抗エイズ薬開発のための基盤技術の開発等に関する研究等を推進することにより、もって画期的な治療薬・診断・治療法の開発を行う。
 また、本事業においてはこのような行政上必要な研究について公募を行い、専門家、行政官による評価により採択された研究課題について補助金を交付する。また、得られた研究の成果は適切に行政施策に反映される。

予算額(単位:百万円)
H12 H13 H14 H15 H16要求
2,755 2,757 2,758 2,576 2,576

(3)問題分析
 現在、医薬品等の研究開発をめぐっては、製薬企業間によるグローバルな競争が激化しているが、創薬環境として我が国の市場が欧米と比べて魅力的なものとはなっておらず、その基盤となる研究開発部分においても、企業1社当たりの研究開発費が米国と比べ5分の1程度と低く、その差は拡大傾向にあり、日米政府におけるライフサイエンス関係予算を比較しても格差は大きい。
 さらに、医薬品・医療機器が開発され医療の現場に流通するまでには、膨大な研究費用と長い研究期間を要するとともに、国民の生命・健康を守るために必要不可欠な安全確保に資する厳しい薬事規制等のハードルを越えなくてはならず、このままでは、我が国の医薬品等産業の国際競争力は将来弱体化していく可能性が高い。

(4)事務事業の目標
 医薬品、医療・福祉機器、保健衛生等の先端的、基盤的技術に関する研究を総合的に推進することを目的とする。

2.評価結果
(1)必要性(行政的意義(厚生労働省として実施する意義、緊急性等)、専門的・学術的意義(重要性、発展性等)、目的の妥当性等)
 画期的医薬品等の研究開発を推進するためには、我が国の研究開発基盤の脆弱性を補完する上でも国が、重点的にライフサイエンス分野への研究資金投下を行い、しかるべく評価をし、研究を推進する必要がある。
 また、エイズ医薬品等開発においては、薬害エイズ等の教訓を踏まえ、国が主体となってエイズ治療薬の開発推進に取り組むことを明言しているところ。

(2)有効性(計画・実施体制の妥当性等の観点)
 事業内容のとおり、創薬ヒューマンサイエンス研究の7分野、エイズ医薬品等開発の3分野に加えて、国際共同研究を推進するためのグラント、若手研究者を育成するための若手研究者奨励研究、官民共同研究を推進するため、民間からの委託金を含めたマッチングファンド研究を実施している。
 これらの研究に対しては、3ヶ年計画で研究を実施しており、評価方法についても外部の評価委員で構成される評価委員会が、多角的な視点から評価を行い、その結果で研究費の配分が行われており、効率的に事業を進めている。

(3)効率性(目標の達成度、新しい知の創出への貢献、社会・経済への貢献、人材の養成等の観点から)
○ 88件の特許出願
○ エイズ患者に対する未承認エイズ薬の治療研究の実施
○ 若手研究者奨励研究を通じたポスドクの育成
○ 官民共同研究の実施による研究成果の活用
を通じて当該事業目的の達成を目指しているが、特許については医薬品開発まで相当の時間がなお必要であり、エイズ治療研究については、根本的な治療方法が確立されていないため、今後も継続して事業を実施する必要がある。

(4)その他
 特になし

(5)特記事項
(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項 無
(2)各種政府決定との関係及び遵守状況 無
(3)総務省による行政評価・監視等の状況 無
(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等) 無
(5)会計検査院による指摘 無

3.総合評価
 近年、急速に高齢化が進む中、がん、アルツハイマー病をはじめとして、これまで有効な治療薬が見いだされていない疾病はいまだ多く残されており、国内の研究基盤を整備する上で、政府が投下するライフサイエンス関係予算の強化によって優れた医薬品が一日も早く開発される必要がある。
 特にエイズについては、世界的に深刻な状況にあり、アジア諸国でも急増傾向といえるが我が国においても例外ではない。
 このため、官民共同研究により、画期的・独創的な医薬品の研究開発、医療現場のニーズに密着した医薬品の開発及び長寿社会に対応した保健・医療・福祉に関する先端的、基盤的技術開発に関する研究及びエイズ医薬品等の研究開発を推進する当該研究経費の有用性は高いと考える。


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