03/09/26 第24回労働政策審議会雇用均等分科会議事録            第24回労働政策審議会雇用均等分科会 1 日時:平成15年9月26日(金)15:00〜 2 場所:経済産業省 別館1020会議室 3 出席者   労側委員:稲垣委員、岡本委員、片岡委員、吉宮委員   使側委員:川本委員、吉川委員、前田委員、山崎委員、渡邊委員、   公益委員:若菜会長、今田委員、奥山委員、佐藤(博)委員、樋口委員、横溝委員 ○分科会長  ただいまから第24回労働政策審議会雇用均等分科会を開催いたします。本日は、佐藤 孝司委員が欠席です。樋口委員は別の会議で少々遅れるというご連絡をいただいており ます。  早速議題に入りたいと思います。本日の議題は「仕事と家庭の両立支援対策について 」です。この点については前回申し上げましたように、保育の現状について最初にご説 明をいただく予定になっています。事務局、説明をお願いします。 ○事務局  資料1「保育の動向と課題」に沿ってご説明させていただきます。1頁、少子化の状 況ですが、平成14年度は出生数が115万3千余人で、史上最低の人数になっています。ま た、合計特殊出生率も1.32ということで、子どもの数自体が減っている状況になってい ます。  2頁、115万という出生数の状況の中で、保育所に入所している子どもの状況、ある いは保育所の数がどうなっているかです。現在、保育所数2万2,000か所、内訳は公営 が1万2,255か所、民営が1万100か所で、公営がやや多いですが、大体半々という状況 です。定員は199万人余りで、それに対して入所児童が192万人ですから、定員の9割以 上の子どもが入所しています。年齢別では0歳児が7万人で3%強、1、2歳児が 27%、3歳以上児が69%、3歳以上児、3〜5歳の子が7割ですが、近年では低年齢 児、3歳未満、0〜2歳の子が増加しているという状況です。  3頁、待機の状況がどうなっているかですが、待機児童数は2万6,383人で、平成14 年から15年にかけて936人増えています。国全体として「待機児童ゼロ作戦」として平 成14年〜16年度の3カ年で15万人の増加を図ろうということで進めています。これは閣 議決定をして進めていますので、政府全体の取組みということですが、その一方で待機 児童が増えている現状です。13〜15年までの推移がそこのグラフです。特に待機児童 は、低年齢児が多く、2万6,000人のうち、1万7,893人が3歳未満です。ただ、この保 育の状況は、都市部と郡部で非常に違っており、都市部で待機児童のいる市区町村が多 く、数としては437で、全市町村数で見れば少ないのですが、都市部に非常に集中して いるということです。待機児童が50人以上の市町村が119市町村です。  5頁、下のグラフですが、保育所への入所数、待機児童数は前述のとおりですが、全 体として保育の定員や在所児数はどうなってきたかということです。実は、昭和56年 に、この棒グラフで見ると定員が216万ということで、ここがピークになっています。 在所児数は、昭和55年度で199万人になっており、ここがピークで出生率の低下に伴い 減少してきています。平成6年がいちばん底で、170万人まで在所児数が減少した、つ まり、30万人近く、実際に保育所に入所している子どもが減少したということです。こ れは、保育所へのニーズがなくなったということではないと私どもは思っております。 平成7年度からは、また反転して、平成13年には193万9,000人と、ほぼ55年の水準に 戻ってきているというのが現在の状況です。  なぜここで反転したのか、いろいろ理由があり、鶏と卵のようなところがあります が、平成7年度からはエンゼルプランが開始されて、乳児保育や低年齢児の保育、ある いは延長保育を推進してきており、入所児童全体の中での低年齢児の数が増えてきてい るというのが現状です。これは毎年増加しており、これからもまだ増加していくと見込 んでいますが、このような形で入所児童数は平成6年を底に反転して現在に至っている ということです。  4頁に戻り、保育所の入所児数が減ってきた背景には、そこにありますような多様な 保育事業、延長保育や一時保育、休日・夜間保育等のニーズに十分応えられなかったと いうのが、入所児童数減少の原因の1つではないかと思っています。実際に延長保育 は、全国1万か所で実施していますが、そのうち公営で実施している所が3,300か所余 り、民営が7,200か所。一時保育も1,300と2,800、休日は32と322となっています。障害 児保育は公営のほうが多いのですが、全体としては民営で延長保育や一時保育を受けて いるという実状です。公営のほうでも実施していただくよう、話はしていますが、なか なか増えていかないというのは1つの問題だろうと思っているわけです。  5頁、延長保育などの多様な保育に応えるという観点から、エンゼルプラン・新エン ゼルプラン(平成16年度までの計画)、待機児童ゼロ作戦(16年度までの計画)という ことで推進しています。私どもとしては、平成17年度以降、新しい計画に取り組んでい く必要があると思っていますが、これは政府全体の問題ですので、今後さらに検討し、 関係省庁とも相談しなければいけませんが、16年度までは計画が決まっています。  今年6月に、児童福祉法の改正をし、その中で「保育計画」を市町村に作成していた だくことにしました。計画を策定しなければならない市町村は、待機児童が50人以上い る市町村です。これらの市町村には保育計画を策定していただくよう義務づけました。 このほかに、「地域子育て支援センター」という形で、専業主婦の方の相談ですとか、 あるいは一時保育というものも含めてそういう方々への対応を行っているところです。  6頁、利用児童数の指数です。左は利用児童の実際に入っている子どもの割合、右は 利用児童数の伸びですが、3歳未満の低年齢児の利用が増えている。そこの需要が強く なっているという実状です。  7頁、新エンゼルプランですが、低年齢児の受け入れの拡大から延長保育、いちばん 下は不妊専門相談センターの整備まで、多様な項目にわたり目標を設定し、推進に努め ているところです。  8頁、少子化が進んでいる一方で、保育に対する需要は強まっているということが現 実にあります。そういうニーズにどう応えていくかということで、私どものほうでも規 制緩和をし、保育サービスの推進を図ることとしています。いろいろな項目に取り組ん できましたが、平成12年には1にありますように設置主体に制限がなくなり、誰でも基 準を満たせば保育所を設置することが可能となりました。また、土地建物については、 都市部では自己所有がなかなか難しい状況にありますので、賃貸方式を導入したり、小 規模の保育所の設置を推進したり、短時間勤務保育士の導入を拡大したりしています。  9頁、公設民営の促進や定員の弾力化、家庭的保育事業の導入ということで、いろい ろな規制緩和をして保育に応えられるような施策の推進に努めているところです。  ここまでが認可保育所の関係です。10頁は許可外保育施設の現状で、認可保育所以外 に認可外の保育施設があるわけで、その施設数は平成14年度で、私どもの推計で6,000 か所ぐらいあると見込んでいます。うち1,000か所はベビーホテルという形で、16万 9,000人の子どもが認可外の保育施設に通っていると推計しています。この認可外の保 育施設については、平成12年に大和市で事件があり、これを契機にして研修や発達の チェック、健康診断等を実施することとしましたし、平成13年11月に成立した改正児童 福祉法で、事業開始の届出等を行ってもらうことにしています。  11頁、自治体の単独施策として実施されているものを2つ紹介させていただきます。 特に東京都の認証保育所制度、横浜市の横浜保育室という2つの、単独施策としては大 変有名な施策があるわけですが、東京都の認証保育所は平成13年度からスタートし、平 成15年で3年目を迎えていますが、13時間の開所、0歳児保育の実施といったいろいろ な条件を設定し、106か所ぐらいに増加してきているという状況です。  12頁、保育サービスの質の向上ということで、平成12年に保育指針の改正、平成13年 11月に成立した児童福祉法において、保育士を国家資格とすると位置づけて、名称独占 や守秘義務を課すこととしました。保育士の養成ですが、保育士養成施設の卒業者は14 年度が3万7千4百人という状況です。これまでの累計ですが、中には登録を抹消してい ない方もいると思いますが、累計としては144万というような数になっています。  13頁、保育の内容については、サービスの質を向上させ、公表していくことが必要だ と考えており、第三者評価事業を推進することにしています。これはまだ始めたばかり で、費用はその保育所の負担ということで、大体30万ぐらいの費用を自ら負担していた だくことにしていますが、そうした第三者評価の事業を推進し、それを公表するという 事業を進めていくことにしています。さらに普及をするために、努力をしていきたいと 考えています。  14頁、最後に現在の保育所と幼稚園の直面している、当面の大きな課題について話を させていただきます。保育所と幼稚園の関係というのが、私どもの当面している大きな 課題の1つです。ご承知のように、保育所と幼稚園については、制度の一元化という議 論がこれまで何度か進められてきました。30年以上にわたってそういう議論があるわけ ですが、私どものほうでは、保育所と幼稚園の連携を進めるという観点から、余裕教室 の転用、施設の共同利用、保育士と幼稚園教諭の資格の共有化の推進というようなこと に努めており、相互に連携のとれた運営を進めていくように努力をしてきているところ です。  15頁、保育所運営費の一般財源化という議論があり、保育所運営費の負担金を一般財 源化したらどうかという議論が、近年の分権改革推進会議の中で行われているところで す。  16頁、「総合施設」ということで、これは2003年のいわゆる骨太方針ということです が、この中で「就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設の設置を可能 とする」ことについて、平成18年度までに検討を行うということになっています。併せ て、保育所運営費負担金の一般財源化問題についても、検討を行うということになって います。  保育所と幼稚園の問題については、30年以上議論が行われていると申しましたが、そ れだけ繰り返し出てくるには、出てくるだけの理由があるのだろうと思っています。保 育所と幼稚園を比べると、同じような子がいるではないかということが1つ。もう1つ は、文部科学省と厚生労働省があるから、それで2つあるのだろうと、こういう背景が あるのだと思っているわけですが、これまで5回や6回ではないぐらい議論が行われ て、なかなか一緒にならないということについては、やはりならないだけの理由がまた ある。いちばんの違いは何かというと、幼稚園のほうは、子どもがいるのは遅くとも2 時まで、早ければ昼で終わってしまう。短時間の保育、預かりを実施しているという状 況です。現実には、専業主婦のお母さんが多いというのが結論です。  保育所のほうは、早くても大体6時、延長保育をすれば8時ぐらいになりますが、6 時までは子どもを預からなければいけない。これは職業を持っている女性の方のニーズ があるわけです。子どもだけ見ると似たような状況かもしれませんが、親のニーズは全 然違うというのが実状です。現実に幼稚園と保育所を一体的な施設として運営している 所もありますが、運営の仕方については、やはり短時間の子どもと長時間の子どもを混 ぜるのは難しい。短時間の子どもたちの所へ長時間の子どもが入ると、ある特定の子だ け、毎日お迎えが来ないという状況が出てきたりしていろいろ難しい問題がありますの で、各クラスをそれぞれ分けて、担任を分けて運営しているという形です。いずれにし ても総合施設については、どういう形で、どういうふうに実施していくのがいいかとい うことを、文部科学省を含めた関係省庁で検討することにしています。実際に、いろい ろなニーズに応えられるような、運営しやすいものを考えていかなければいけないと 思っています。以上、現在の保育の動向と課題について説明させていただきました。 ○分科会長  ただいまのご説明について、ご質問がありましたら、どうぞお願いいたします。 ○公益委員  8頁の短時間勤務保育士の導入の拡大についてお尋ねします。別の会議で我々から要 望しまして、この点について再検討をしていただきたいというお願いをしたわけです が、これが2割未満の規制を撤廃することになったと聞いています。現状としてこの比 率は今どのくらいになったのか。現状は増えていないのではないかと思う面がありま す。もしそうであれば、それはなぜなのかを教えていただきたい。もう1つは、資格を 持っている保育士の数が、累計で144万8,000人、うち実際にいまこの資格を活用して働 いている方がどれくらいなのか。適当な言葉かどうか分かりませんが、稼働率は相当低 いのではないか。片方で働きたいという希望を持ちながら働けない。片方で求人があり 求職もあるのに、なぜそれがうまくいかないのか、その点を教えていただけたらと思い ます。 ○事務局  144万人のうち、働いている人数は国の社会福祉施設調査によると、平成12年10月1 日現在の人数で専任保育士の総数が24万2,787人、約24万3,000人ぐらいの方が現実に就 業しているという状況です。短時間保育士の話ですが、私どものほうも、パートと正職 員の方の比率は調査できておりませんので、これから調べたいと思っていますが、この 点については現に雇っている方がいますので、急にその全部をパートの方に替えるのは なかなか難しいだろうと思います。それは、それぞれの園が判断することですので、順 次これからどういうふうにそれを使うか、使わないかということを考えていただくこと になろうかと思っています。 ○公益委員  公立の保育園の場合は、正規の職員の方は公務員という扱いですね。いまパートとい うお話がありましたが、このパートの方々はそうではないと思うのですが、まさにこの 分科会の対象であります賃金の格差の問題は大きいように思えるのです。その点はどう なっているのでしょうか。 ○事務局  賃金まではちょっと私どもで調べておりませんが、私が山形県庁の課長をしていたと きの経験で申しますと、公立の施設で働いているパートの方は、大体嘱託という扱いに なっているのですが、そういう方々の賃金は、大体年間150〜180万ぐらい、おそらくそ のぐらいの水準になっているのではないかと思っています。これは、働いている時間数 によっても違うかもしれませんが、おそらく150〜200万の間ぐらいの水準ではないかと 思います。パートでない方の場合は、年齢によって随分違いますが、高い年齢の方は、 かなりの水準、都は特別高いですが、他の所でも公務員に並んだ水準になっていると思 います。 ○労側委員  保育にかかわるいろいろな要望等を聞いたのですが、いろいろな要望があります。職 業家庭両立課は、これは保育課所掌で、別の審議会があるのでそこでやってくれという のですが、一体どこで審議されているのか。厚生労働省の社会保障審議会があったと思 いますが、その構成はどうなっているのか、預ける側、施設を運営している方も委員に なっているのか、聞きたいのですが。  ここでは保育時間の問題、休日保育の問題、入所時期の問題、保育の料金の問題、病 児保育、学童保育と、問題はたくさんあるわけです。いまご説明いただいたのはほんの 一端だと思います。例えば、4頁に休日保育と書いてありますが、民営中心にやられて いるということですが、これは実際にどういう機能を果たしているのか。いまは働く女 性が増えていますし、休日休める方も産業構造の変化で少なくなってきているわけで す。そういう方々が土日に働く場合、子どもの問題で非常に困っているわけです。ニー ズに応じたサービスとおっしゃっていますが、この問題をどのように考えているのか。  次に、9頁の6に定員の弾力化の問題が出ていますが、これはまさに入所時期の問題 と絡んでくるわけです。前回の審議会で配られた資料にも、要望が出ていますが、入所 時期の問題について、育児休業と入所時期は非常に関連しているわけです。制度的には 弾力的になっていますが、実際はなかなか入れないというので仕事を辞めている方もい ます。都市と他の地域で違うと思いますが、弾力化という問題について、どのように考 えられているのか。  また、学童保育というのは、低学年児童の保育で、新聞報道でも量的に増えていると 聞くのですが、自分の家から学童保育の場所まで遠くて、30分もかかるとか、民間アパ ートの1室を借りてということで、施設の面でも十分ではないと聞きますが、その辺も 含めて学童保育問題はどうなっているのか。また、駅前保育についても意見がありまし て、子どもは物ではない、庭もない、遊ぶ場もないのに何が保育かと、質を心配する方 もいます。そういうことも含めて、このデータでは議論しにくいのですが、これは大事 な問題だと思いますが、どうなっているのでしょうか。最後に労働側委員5人で要望書 を出したいと思っています。 ○公益委員  関連してお聞きしますが、入所時期の弾力化ということについてです。つまり、極端 な話、4月に子どもを保育所に入れるために出産したり、その時に会社に復帰できるよ うにするというのはいささかおかしいのではないかと思うのです。素人考えで言えば、 毎月入れるというのは無理にしても、年に4回ぐらいに入所時期を割り振ることはなぜ できないのか。それは法律上できないのか、制度上、運用でできないのかお伺いしたい のですが。 ○事務局  まず、労側委員からお話のあった、休日保育も含めて、現在の多様な保育サービスに 対して、どう応えるかという問題ですが、私ども保育の担当課としては、需要に完全 に、十分に応えているとは全然思っておりません。数だけ見ていただいても、待機の児 童数は低年齢児が多いのです。低年齢児が多いということは、要するに低年齢児の保育 を増やしていないということに原因があるわけです。私どもとしては、それはエンゼル プランで増やしていますが、民営のほうは伸びていくが公営のほうは伸びないというの が現実です。なぜ伸びないかは、いろいろあるのでしょうが、しかし保育というのは、 基本的には需要に応えるサービス業、子どもさんのニーズに応える、ニーズがあればそ れに応えていく姿勢が必要だと思いますので、いまお話にありましたような多様な保育 ニーズに応えるようなサービスを用意する、提供の仕方を工夫するということは、これ からもやっていかなければいけないし、その点については是非、いろいろなご意見をい ただければと思っております。  審議会のお話ですが、社会保障審議会のほうに児童部会を作っておりまして、そちら で審議をしております。ただ、これは保育問題だけではなくて、例えば養護施設の子ど もの問題、里親の話、母子保健等々いろいろなものが入っていますので、それを全部審 議できるような構成になっていて、有識者の人を中心に構成されているというのが実状 です。これは、追って資料を提供できるようにいたしたいと思います。  いろいろお話がありました中で、どうやってニーズに応えていくかというご質問、ま たニーズに応える際に、やはりサービスの水準、クォリティを維持しなければいけませ んので、それをどういうふうに兼ね合いを考えながら工夫していくかということは非常 に大きな問題です。学童保育のお話で、場所の遠い所に整備されても、例えばちょっと 遅くなったら、小さい子どもは暗い中を1人で帰ってこなければいけないなど、いろい ろなことが出てくるわけで、できるだけ近い所がいいでしょうし、お母さん方にすれ ば、例えば大きな幹線道路を渡るような所ではない所にあったほうがいいなど、いろい ろな要望があろうと思います。  この6月に成立した次世代育成支援対策推進法の中で、市町村で子育て支援の計画を 作っていただくことになっています。これは「作らなければならない」という義務の計 画になっています。平成17年度からこれはスタートすることになりますから、16年度に この計画を策定してもらう。いろいろな子育て支援対策を各市町村ベースで、どのよう に作るかを自分の市町村として責任を持って考えていただく。県ももちろん計画を作り ます。国や県がどういう役割を果たしていくか考えていかなければいけませんが、各市 町村ベースでそういう計画を作ることにしていただいています。作る際には、当然、市 民の方の意見を反映させるようにするということは法律で決めていますので、いろいろ な関係者の方々のご意見を伺うということで、いま各市町村で準備に取り組んでいただ いているところです。今年度は、特にニーズ調査を中心に市町村でやっていただくこと になりますが、次世代支援の計画の中で、保育の問題は大変大きな柱になるわけです。 その他、子育て支援センターのこととか、いろいろなことを盛り込んで計画を作ってい ただきたいと思っています。  また、公益委員からもご質問のありました入所時期の弾力化の問題ですが、制度的に はいつを入所時期にするか決めているわけではありません。委員のおっしゃるような形 で入所することも1つのやり方として大いに考えられることだと思います。ただ、結局 この問題は、地方などでは定員に空きがありますから、空きのある所は問題なく、年の 途中でも入所できます。途中で入所できないのは、都市部の、待機児童がたくさんいる 所になるわけです。年度途中でも、もちろん入れるわけですが、一方では待っている子 どもがたくさんいるのに、空けて待っているのかどうかという議論があるわけです。基 本的には、ニーズに応えるためには量の整備をするという問題は避けられないという現 実があります。ただ、いろいろな時期に入所できるようにするということは、ご指摘の ように重要なことだと思っています。 ○労側委員  保育ニーズの必要というのは、私自身もサービス業の出身なので、多様化を求める立 場ではあるのですが、一方では、規制緩和による保育サービスの推進について不安に思 うところもあります。この審議会に参加するにあたって、実際に保育にかかわっている 人たちに聞いた中でも、例えば公設民営に対して、非常に危惧があるという意見もあり ます。特に保育士の余裕のない労働環境の状況が、子どもにどんな影響を与えるか。や はり民間企業ということであれば、利潤そのものが大命題であるわけで、それがどうい うふうに跳ね返るのか心配されている方が多いです。私が今日いただいた資料の中で、 第三者評価の推進という項目がありましたが、これは具体的にどういう仕組みなのか。 これは大変大事なことだと思いましたので、その点を質問させていただきます。 ○事務局  第三者評価の資料については、冊子になっていますので、後ほど委員の皆様にはお届 けできるようにしたいと思います。お話にありましたように、保育全体の受け入れの能 力、子どもを見るための能力は高めていかなければいけませんが、片方でクォリティの 問題は大丈夫なのかというご心配は、特に親にはあるわけです。それは、どの水準がい いのか、抽象的でうまく言えないのですが、私どもとしてはクォリティを維持しつつ、 現実に待機している子どもがいる以上、それに応えられるようにしていくということ は、考えていかなければいけないと思います。  保護者の方々も、この保育所はどういう特徴があって、どういう体制でやっているの か、なかなか分からない。そういう点ではやはりこの第三者評価で情報が得られるよう にしていくことは大事だと思うのです。何もない中でいろいろ議論されると、やはり不 安になるのは当然だと思います。信頼できる情報を得やすくしていくことが重要だと 思っていますので、この第三者評価は是非推進していきたいと思っております。 ○分科会長  事務局は、他の会議に出席しなければなりませんので、ヒアリングはこれで終わらせ ていただきます。ご質問があれば、後で出していただくということにしたいと思いま す。 ○事務局  機会を設けていただければ、またまいりますのでよろしくお願いいたします。 ○分科会長  それでは次に移ります。前回の分科会で委員の皆様からご質問があった事項等につい て、事務局のほうで追加の資料を準備していただいていますので、その説明を最初にお 願いいたします。 ○事務局  資料2です。前回ご指摘いただいた点について、資料を作成しましたのでご説明させ ていただきます。資料の1頁、1が保育所の入所の状況です。先ほどのご議論にもあり ましたが、保育所について、何月に入所された方が多いかという数字です。これは平成 13年4月から15年3月まで、それぞれその月に入所した児童の数の推移を示していま す。やはり4月が平成13年、14年とも42.4万人で、極めて大きい数字になっています。 大体、年度を通してみますと、4月に入所した児童が6割という数字になっています。 したがって、4月以降入所した児童の数は約4割です。  2頁、これも前回ご指摘がありましたが、希望する時期に入所できた割合等々につい て。これは平成12年のデータですが、厚生労働省で「地域児童福祉事業等調査」という のを実施しています。希望する時期から入所できた割合、あるいは希望する時期より入 所が遅れた場合について、どのぐらいの期間で実際に入所できたか、という数字を示し ています。総数では、希望する時期から入所できたという割合が83.7%です。育児休業 の関連では、関係がありますのは0歳、1歳のところになろうかと思いますが、こちら の部分については、0歳が約85%、1歳が約80%という数字になっています。また、そ れぞれについて実際に入所が何か月ぐらい遅れたかという数字が横にあります。0歳で は、遅れたという数字が約15%、4か月未満で大体9%、4〜7か月未満で4.4%が入 所できているということになっています。1歳では、入所が遅れた方が20%、4か月未 満で約10%、7か月未満で約6%入所できていますので、このデータだけでいうと、大 体7か月未満のところでかなりの部分が入所できているということになっています。な お、これはあくまでも全国のマクロのデータですので、当然ながら地方と大都市ではそ れぞれ状況が違ってくるということはあります。  3頁も、2頁の調査と同じ調査ですが、入所が遅れた場合に、どういった形で待って いたかということです。父母のどちらかが仕事を休んだ、あるいは祖父母等々にお願い をした、保育ママ等々を利用した、勤務先の保育施設を利用した、無認可の保育施設を 利用したというような選択肢になっていますが、父母のどちらかが仕事を休んだとい う、これは育児休業の期間を延長したということが多いと思いますが、そういった理 由、あるいは祖父母に預けた、無認可の保育施設を利用した、大体この3つが、入所が 遅れた場合についての対応の主たる方法になっています。  資料4頁は、育児休業の複数回取得を認めている例ということで、これも前回「女性 雇用管理基本調査」のデータで、それぞれの企業の規定で育児休業について複数回認め ている割合を示しました。法定どおり1回という所が91.1%で、1割弱が何らかの形で 複数回取得を認めている、あるいはそれ以外の対応になっているということでした。複 数回取得を認めているのは、具体的にどういった仕組みになっているかということで、 具体的な企業の事例に当たり、典型的な例として、事例1〜3という形で示していま す。  事例1は、育児休業を2回以上取得できるという形で、回数について制限なく認めて いる例です。この場合、育児休業期間そのものが、法定は1歳のところが3歳までと なっています。3歳までの間に1回を超えて何回でも育児休業を申し出ることができる となっています。ただ、この場合についても、あまりコマ切れでもということだと思い ますが、それぞれの回の休職の期間は3か月以上とするという規定になっています。  事例2は、2回までの取得を認めている例で、休業の期間は子どもが満1歳に達する までということで、法定どおりになっていますが、その間に「2回を限度として育児休 業を申請することができる」となっています。  事例3は、同じく2回までですが、一定の理由を示して、一定の理由がある場合に限 り、再度の申出を認めるという例です。一定の例として、4つ挙がっています。「以下 に掲げるような状態でなくなった場合について、再度の申出を認めることがある」とい うことで、職業に就いていない者、心身の状況が申出に係る子の養育をすることができ る者、産前産後の休業に当たる期間にない者、休業申し出に係る子と同居している者、 という状況でなくなった場合について、再度申し出ることができるということです。  典型的な例としては、夫が1回育児休業をとり、その後、例えば妻が病気になった場 合は、2度目の育児休業の申請をすることができるというように、特別の場合につい て、2回目の申請ができるという例です。したがって、事例1が規定としてはいちばん 緩い形になっているということだと思います。以上、これは具体的な企業の規定の例と して、こういった3つのパターンがあるということでお示ししています。  5頁は、国家公務員の育児休業の制度、あるいは実施状況についてです。国家公務員 の育児休業については、「国家公務員の育児休業等に関する法律」という、私どもの育 児介護休業法とは別の法律があります。この法律と人事院規則に基づいて規定が定めら れています。以下、概要をご説明いたします。  定義で、3歳に満たない子を養育するための休業とあり、国家公務員一般職について は、3歳まで育児休業をすることができる形になっています。対象者としては、非常勤 職員、臨時的職員、あるいは配偶者が育児休業をしている職員、職員以外の親が当該子 を常態として養育することができる職員ということで、基本的には育児介護休業法と同 じ対象者になっています。  請求手続についても、1か月前までに期間を明示して請求ということで、育児介護休 業法と基本的には同じです。ただ、国家公務員の育児休業については、任命権者が承認 することになっています。育児介護休業法については、これまでも度々申し上げていま すとおり、基本的には一定の要件に該当する労働者が申し出れば休業の権利が発生いた します。承認という手続はありませんので、その辺りは民間の制度と国家公務員の制度 の違う部分です。  取得回数ですが、育児介護休業法と同じく原則として1回です。「ただし、次の場合 には再度の育児休業が可能」ということで、5つの場合が挙げられています。このう ち、1つ目、2つ目の場合は、育児介護休業法で規定されているものと基本的に同じ内 容です。それ以外にも、休職等の処分を受けた後、処分が終了した場合、あるいは配偶 者が疾病等で入院した場合といったものが挙げられています。さらに、前回ご質問があ りましたが、国家公務員については、5つ目の項目ですが、平成14年4月1日に育児休 業の期間が3歳に延びたことと併せて、5番目の事項にありますように、「両親が育児 休業等により、子どもを交互に養育することを予め申し出た場合」が追加されました。 最初に交互に、夫・妻・夫という形で取得しますと申し出た場合については2回、複数 回の取得ができることになっています。ただ、これについては現在のところ、まだ実際 に取得された実績はないと聞いています。  経済的支援の部分ですが、これまでも申し上げていますとおり、民間の制度と同じく 共済制度から40%の額を1歳に達するまで支給することになっています。休業期間は3 歳までですが、経済的支援については1歳までとなっています。同じく1歳に達するま で、共済掛金についての免除がされています。  6頁以降は、育児休業についての実際の取得状況です。6頁は育児休業の取得率、平 成14年度は女性は92%、男性は0.5%です。民間では、「女性雇用管理基本調査」の数 字のとおり、平成14年度は64%ですので、女性についてはかなり公務員の取得率のほう が高いということは言えると思います。一方、男性については、民間の数字も0.33%で すので、公務員、民間とも男性については極めて低い状況である、ということが言える と思います。  7頁、育児休業期間ということで、平成14年度に新たに育児休業を取得した職員の取 得期間の分布です。平均の取得期間は10.5か月になっています。平成14年度から育児休 業の取得期間が公務員については3歳になりましたが、平成13年の法改正でこういった 形になったわけですが、14年度から育児休業を開始する方については、施行日前でも3 歳までの請求ができるとなっており、この数字の中にもそういう方が含まれています。 したがって、平成13年度中に申し出た方についても、14年度から育児休業を取得した方 は入っている数字になっています。  円グラフで見ますと、12月超24月以下が約16%、24月超が4%ですので、満1歳を超 えて育児休業を取得した方が約2割という数字になっています。  下の円グラフは、職務復帰等の状況ということで、平成14年度中に育児休業を終えた 方で職務復帰をした方の割合が96.3%です。民間について、「女性雇用管理基本調査」 ですでにご紹介していますが、それが88.8%ですから、職務復帰をした割合について も、同じく公務員のほうがかなり高くなっている、ということは言えると思います。資 料2については以上です。  参考資料No.1をお配りしていると思います。これは、前回の分科会において先般の 労働基準法改正の内容について紹介しましたが、そのなかで有期労働契約について厚生 労働大臣は、有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準を定めることができる という規定が設けられたと紹介しました。この告示は、この労働基準法の改正の条文を 受けて定めるものです。これは告示案要綱となっていますが、先日、9月22日の労働条 件分科会で、概ね妥当ということで答申をいただいたものです。したがって、この内容 で基本的には今後、正式に告示の手続が取られることになります。  内容ですが、一として契約締結時の明示事項等ということで、1、使用者は有期労働 契約の締結に際しては、その契約の期間の満了後における契約の更新の有無を明示しな ければならないものとする。2、さらにその場合、契約を更新する場合がある旨を明示 したときは、その判断基準を示さなければならない。3として、契約について最初に明 示した部分について変更した場合については、その内容を明示しなければならない。こ ういったことが定められています。  二として、雇止めについての予告をしなければならないことも定められています。 三、この雇止めの場合について理由を明示しなければならない。四として契約期間につ いて、これを更新しようとする場合については、できる限り長くするよう努めていかな ければならないことが定められています。  以上、基本的に前回の労働基準法改正のなかでの有期労働契約の締結、更新及び雇止 めに関する基準として、こういった内容のものが定められることになっています。本 日、この告示(案)についても、議論の参考にしていただければと考えています。私か らは以上です。 ○分科会長  ありがとうございました。ただいまの事務局の説明を踏まえ、前回に引き続き育児休 業制度について議論をお願いします。併せていまの説明について質問がありましたら、 どうぞ。 ○公益委員  前回、欠席して追加資料の出てきた背景がわからないので、とんちんかんな質問にな るかもしれませんが、国家公務員の育児休業のところです。育児休業期間が3年という ことと、取得者のところにデータがありますね。私の理解が正しいのかどうかわかりま せんが、1つは、なぜ国家公務員3年かというところで、たぶん民間のほうの育児介護 休業法の3歳までの短時間勤務等の措置が義務化されたときに、いわゆる短時間勤務が 公務員についてはないというか、いま部分休業という形になっていますが、つまり定員 法では短時間でも1に数えるので、基本的には部分休業の仕組みはあるけれども、事実 上、いま取っている人は非常に少ないと思いますので、事実上、それがしにくいので休 業3年にしたという経緯があるだろうと私は理解しています。  ですから、国家公務員の育児休業の取得期間を見るときに、逆に言えば民間は短時間 勤務とセットで期間が決まっていますから、公務員は短時間勤務、部分休業は非常に少 ない。その結果長くなっている。つまり3年だから長いのではなく、ほかの制度との セットで見ないと取得期間を間違って読んでしまうのではないか。つまり短時間勤務が 取れないから育児休業で取ってくださいとなっていて、長くなっている側面があるので はないか、間違っているか正しいかわからないですが、どうですか。 ○事務局  前回も同じ質問をいただいたと思います。委員が言われるとおり、基本的な考え方と しては民間の育児介護休業法のほうで3歳まで勤務時間短縮等の措置を定めています が、それとパラレルな形で公務員についての勤務状態がありますので、育児休業期間は 3歳までにしていると伺っています。 ○公益委員  ですから実際上、部分休業のデータはありませんが、休業取得者とのバランスで言う と公務員は民間より少ないのではないか。ある県で見たら部分休業はいないのです。部 分休業の仕組みはあるけれども事実上使っていない。ですからみんな休業に流れ込んで いる。だから長い人がいるのではないか。民間はそこの長いところは短時間勤務のほう で、子育てと仕事を両立していると言えるのかなということです。 ○公益委員  1頁の資料、ありがとうございました。前回リクエストして用意していただきまし た。これではっきりしたことは、4月入所が圧倒的に多く6割だというお話がありまし た。育児休業期間の延長を求める労働側からの理由の1つとして、まだ入所を希望して いるにもかかわらず入所できないから、その期間を何とかしてくれということもあるわ けです。  そこで、これは職業家庭両立課に聞くのがいいのか保育課に聞くのがいいのかわかり ませんが、こういった4月に集中することについての今後の展望はどうなっているの か。例えば改善しようといろいろ努力なさっていると思いますが、改善できない理由は 先ほど空席が云々という話がありました。これが改善できないという前提で我々はここ で育児休業期間についての議論をしていくのか、改善していくという方向性を持った上 で議論していくのかで、大分違ってくるのではないかと思います。その点はいかがです か。 ○使側委員  いまの公益委員のご意見にすごく同意するところですが、私は1つの企業で結構長い 間、この育児の問題を取り扱ってきました。そこで働く人に聞いてみると、復帰するな らば、そんなに長く休んでいたくないのだという人たちが非常に多いのです。会社も確 かに4月ないし5月に復帰してくる人が圧倒的に多いのですが、そこまで休まざるを得 ない。それでお子さんの誕生月によっては相当長い間休まなければいけないわけです。 そこに関しては働くお母さんたちが、実はもっと早く復帰したいのだと思っている。私 は1年というのは妥当な期間だと思っています。実際、その会社でも復帰してくる人は 1年以内がいちばん多かったのです。  そういったときに、こういう4月で改善されないという方向を持つというのは、働く お母さんたちにとっては非常に苦痛なのではないかと思います。是非、いつでも入れる ような仕組みにすることが、とても大事なことではないかと思います。そこも併せて是 非、お答えいただきたいと思います。 ○公益委員  公益委員は6割でかなり多いと言われますが、4割は4月以外に入所しているという ことです。これは本当かなというのが感覚的にあります。先ほどの説明から類推する と、地方と都市で、非常に空きの多い地方では4月以外でもかなり入れるのではない か。もう1つ、緊急度の高い0歳とか1歳の低年齢層が、どれだけこの期間に入れる か。かなり高齢の子どもたちの場合なのかどうなのか。この4月以外に入れるという データの中身をもう少し教えていただいたら、公益委員の提案はもっと緊急度の高い問 題になると思います。 ○事務局  私ひとりではお答えしかねる部分もかなりあるのですが、先ほど事務局からも説明が あったとおり、こういった定員の弾力化の部分については、これまでもかなり弾力化を 図っています。例えば年度当初からもある程度弾力化して増やすことができる。あるい は年度途中から、あるいは現在では年度後半からは無制限に定員自体を増やすことがで きる形で、かなり弾力化を図っています。  ところが、定員として弾力化を図っても、当然ながらそれぞれの保育施設の物理的な キャパシティ等々の問題もありますので、そこで定員としては弾力化しても、すべて入 所させることができない部分はあるのだろうと思います。ですから、この問題は私の立 場から言いますと、いま説明があったとおりこういった弾力化を図り、さまざまな規制 緩和を行い、あるいは「待機児童ゼロ作戦」ということで、特に待機児童が多いところ では定員自体も増やしていく。そして、これも先ほど説明があったとおり、特に今般の 児童福祉法の改正のなかでも、待機児童が多い市町村については計画を作って、そうい った取組みを進めていく形で、その部分は当然ながら進めていかなければならないと思 います。  ただ、一方でいま事務局からありましたとおり、これは摩擦的という言い方をしてい いのかどうかわかりませんが、すべての希望する方が希望する月から入所できるかとい うと、これは正直言って一定の物理的な問題からいっても、限界がある部分はあるだろ うと思います。そういうなかで保育サービスの面での充実を図りつつ、育児休業制度あ るいは勤務時間短縮等の制度のなかで、どういった対応が考えられるのかを、また議論 いただければと考えています。 ○公益委員  いま、議論のあった月別の入所状況の次の頁、追加資料の2頁です。この問題とセッ トだと思いますが、これを見ると、希望する時期から入所できたというのが総数で83.7 %と非常に高いのです。これは本当かなという気がするのです。入所は4月だとか、こ ういう時でなければ駄目だと保護者のほうが思ってしまっているから、それに合わせた 結果がこの80何%という高い比率だと思います。これは自然に生まれて自然にすると、 月別出生率はほぼ平均だと思いますので、これをまともに受けて、希望するときに入所 できた人が8割以上いるのだから大丈夫だとはならない。皆さんもそうは思わないと思 いますが、そこは本当はどうなのだろうという分析が必要だと思います。 ○労側委員  いまのに関連して、先ほど事務局からエンゼルプラン平成7年から11年、新エンゼル プラン12年から15年ということで、政府としてもそれなりに対策を講じてきているとい う説明がありましたが、その当時から入所問題は議論になって、前々回の育児休業法改 正でもどうするかという議論があったわけです。  私どもの調査でも、いちばん多いのはそこなのです。組合によっては3月末まで延長 できるという協約を結んで、4月に合わせるということで協約でやっているのです。今 後、改善するか、しないか政府の意気込みは感じますけど、どこまでいくのかなという のはありますから、メニューとしては両方で用意しておく。雇用継続というのはこの法 律の目的なので、保育サービスが整備されるのは整備されるでいいのでしょうけど、休 業制度も延長することによって労働者が選択できるようにするのは必要だと思うので、 両方で施策を講じていくことが大事かなという感じがします。 ○分科会長  休業期間の延長について、ほかに意見はありますか。 ○労側委員  前回、私どもから取得回数まとめ取りで1回ということから、もう少し使いやすいよ うにということで、複数回取得できるようにすべきとの意見を出しました。しかし、労 働者の希望でいつでも休めるということではまずいだろうから、ある程度コア時間を 作って、ある特定の事情のなかでやって、認めるということでないと駄目だろうという ことは思っています。例えば4頁の事例1というのは3か月以上の期間を1つのコアに してやっているとか、そんな工夫をすることによって、公務員ではないけど両親が交互 に取れるとか、そういう意味で、ある条件のもとに労務管理とも調整しながら、取りや すい環境で、労働者が使いやすいという意味では、いまの1回だと、いつ休むかの選択 に困る場合もあるわけです。そういう意味では複数回取得ということも導入したらどう かと思います。 ○分科会長  いま、育児休業の期間と回数の問題が出されています。ほかにこの点について意見は ありますか。 ○公益委員  これから論点的にはもっとたくさん出てくるのでしょうが、いまの育児休業の期間延 長の問題、複数回取得の問題と、いずれも非常に重要な問題だと思っています。後のほ うで言われた複数回の取得というのを聞いていて、いまのところ感想だけですが、現行 法でも法律の最低の基準として、1人の子どもについて母親、父親が1回ずつ、労使協 定による例外は別にして取れる権利にしてある。これも狭くしてありますが、特別の事 情が出てくれば1人の子どもについても再度取得することができる形では、一応法律は できているわけです。  そういうものに上乗せする形で、1年なら1年の間に、1人の子どもについて1人の 親が複数回取っていくことを考えると、どうしても雇用の継続とのかかわりでいったと きに、あまり短い期間で何回も取得となると、経営側にとって業務遂行上の問題、代替 要員確保の問題に密接に絡んでくるわけです。資料の4頁を見ると、その辺は回数を2 回までという制限と、1回の期間についてある程度、極端なことを言うと1週間ぐらい でやめて、また行くという形を取らないとか、そういう点での配慮をしてある。  現行の体制とか実際の企業の中でやられている例を含めて、いま労側委員が言われた ように少し一般化するような形で盛り込む際に、いまの複数回取得の実際の現場での ニーズが、どのような形であるのか、そういう資料はあるのですか。あるいは連合のほ うで、そういうものについての実態調査のようなものはあるのですか。 ○分科会長  労側委員、資料はありますか。 ○労側委員  いくつか出ています。複数回求める要望として両親が取る意味でもとか、子どもの事 情に応じて取り入れてほしいとか、前回の資料の中にあったと思います。 ○公益委員  パーセンテージで割と大きかったですか。 ○労側委員  何パーセントでしたかね。18頁です。 ○事務局  前回資料を皆さんのお手元にお配りしていると思いますが、18頁です。 ○公益委員  複数回取得というのが、いまの法律の枠内の夫婦が交互にというイメージを持ってい る人も含まれてしまって、実際に、具体的に何回も育児期間中に取るニーズが、いろい ろな調査でも明確でないことは確かだと思います。  このデータが唯一あるくらいのものですが、これも、いま言ったように複数回という ことが特定されていないこともあって、一生懸命探した事例においても今日の事例1、 事例2、事例3というもので、具体的に複数回について本当にどういうニーズがあるの かを、きちっとフォローする必要があるのではないかと、感じています。  育児休業を取る人が、本当に取りやすい制度にすることについては異論ないと思いま すが、それは具体的なニーズに対応していく必要があるからでしょうが、この件に関し てだけは本当にそういうニーズがあるのかまだ疑問なので、もう少しフォローしたいと 私自身は思っています。 ○分科会長  いまのニーズの点について何か意見はありますか。 ○公益委員  18頁の上のデータは、可能なら男性のほうが複数回取れるようにしてほしいと言って いるわけです。ということは女性のほうが少ないのか、どういうデータなのかちょっと わからないのと、これは育児休業取得経験者ベースにするとどうなのか。何となく思い つきで答えている可能性も、男女でこう違うと気になるところがあります。 ○事務局  この調査そのものは18頁の(1)の注にあるように、就学前のお子さんがいる男女雇用 者すべてに聞いていますので、漠然とそういうのができればいいなという形での答えだ と思っています。したがってこれの説明をしたときも、ほかの部分もそうですが、かな り男性と女性とで答えぶりが違っていて、むしろ女性のほうがどの部分でも非常に現実 的な答えになっている。この部分もある程度そういった傾向が見られるのだろうと思っ ています。 ○公益委員  今日いただいたデータの4頁では、複数回取得を認めている例ということで事例1、 事例2、事例3と3つの例が挙げられています。ほかに、こういう例の中で実際に複数 回取った人たちの実態が見えるようなものは何かないのですか。 ○事務局  実は今日の事例も地方の労働局にお願いして、地方の労働局で情報として持っている 具体的な企業の規定から、こういったものをセレクトしたのです。これが更にどういう ふうに活用されているかの実態までは、残念ながら私どもは現在、把握していません。 ○使側委員  いまの件とは違うのですが、4頁に保育所の数として公営が12,437か所、民間が9,835 か所とあります。これに対する保育されている人数が、その前後を見ても出ていないよ うに思いますけれども、人数的にはどういう比率で民間と公営になっているのですか。 なおかつ、これから見ると民営のほうが、いろいろな角度から工夫して現在の必要なも のに対応しようという努力が見られると思います。それに対して国からの助成金は公営 にはどのくらい出ていて、民営にはどのくらいなのか。例えばそれに対して1人当たり どのくらいなのか、そういう数字はわかりますか。これで見ても民営は、多様化した サービスを提供する努力をしていると思います。 ○事務局  公営、民営それぞれの利用児童数ですが、公営が平成15年の数字で約97万1,200人、 民営が約94万9,300人となっています。ほぼ人数としては同数に近い数字になっていま す。それぞれの施設への補助金等ですが、いま手元にそういったデータがありませんの で、後ほど資料等の提出はさせていただきたいと思います。 ○事務局  保育に要する費用は通常の場合、年齢ごとに委託費用が決まっていて、それは公立で あっても民営であっても同じことになっています。ですから、もし公立のほうでよりコ ストをかけてとなると、その分だけ持ち出しということになります。 ○公益委員  それは国のベースの話ではないですか。それぞれの市町村から出る金額は民営と公営 で違っていませんか。 ○事務局  基本的には同じ額を提供して委託するということで、いまお話があったように自治体 によっては、それに更に国の基準を上回って委託費として出すところもあります。 ○労側委員  有期契約問題で労働条件分科会の資料をお配りいただきましたが、参考資料1の1頁 の2です。1は契約更新の有無の明示を使用者はしなさいと、2は契約更新をする場合 と、しない場合の判断基準を明示しなさいと。この判断基準は当該使用者に任せる話な のか、何か判断基準を別に行政で用意することになっているのですか。 ○事務局  これも労働基準局の部分ですので、直接的にはお答えしかねる部分がありますが、こ れから告示の後、施行が1月1日ですので、それに向けて関係の通達等々は整備されま すから、その中でどういったことになるかだと思います。 ○労側委員  罰則はなしですね。 ○事務局  この部分については、そうです。 ○労側委員  2頁で四の契約期間の配慮として、1回以上更新して雇入れ後1年経ったら、長い期 間契約するようにしなさいということですから、十分とはいえませんけれども、ものの 考え方が示されて、かつ今回、違反企業をどうするかのテーマになっていると思いま す。  前回配られた資料で、パートタイム労働者等を中心として有期の実態がどうなってい るかということからすると、要するに契約更新の回数が平均4.5回ですから、告示がど ういう影響を及ぼすかだと思います。いずれにしても契約を更新して、かなりの勤続期 間になっていることを考え、同時に、基準法改正で契約期間の上限が3年になったとい うことからすると、育児休業期間が契約の上限の1年というのとダブっていたから、適 用が難しいという要素があったのですが、今度、原則で3年になったわけですから、そ ういう意味では契約を更新して、この3年の間に休業しても、就業継続が可能だという ことになり、そうすれば、いまの法律の仕組みは見直さないとまずいと思います。今後 の有期契約労働者の取扱いの課題は残るものの、実態としては増えていくことからする と、有期契約労働者への適用は是非、私どもとしてはお願いしたい。  前回、有期契約労働者への育休の適用についての解釈通達を作りましたよね。要する に実態的に法律を見直さなくても判断できるのではないかということですが、一応、仕 組みとしては有期で一律除外ということでなく、きちんと適用することを踏まえて、ど ういう適用の仕方があるのかは、たぶん技術的な問題、例えば6か月雇用で雇止めされ る場合に適用できるかという話もあります。それはこれからの議論ですが、原則適用す るということをやっていくことが必要だと思うので、是非検討いただきたい。 ○分科会長  いまの有期雇用者に関する件で、ほかに意見はありますか。 ○使側委員  有期契約に関しては3年にはなりますけれども、みんながみんな3年になるわけでは ありませんし、例えば育児で契約を終える人について、次の契約のときに何かそれぞれ の会社の中で工夫して、例えば初めての人と同じ試験をしないとか、そんなことを各社 で工夫することはあり得ると思います。契約の期間中にそういう事実があったときに、 契約していない期間も休みとして扱うのか。企業にとってどういう扱いにするかは非常 に苦慮するところだと思います。やはり契約期間内のことでないと育児休業の制度は馴 染まない、企業にとっては扱いが非常に困ることだろうと思います。そういう意味で は、まだ有期契約というのに育児休業というのは、ちょっと難しい状態ではないかと思 います。 ○公益委員  いま、有期労働契約者の期間の話になったので、これもまだ感想のところだけです が、この点については、いまの使側委員のお話は個人的には理解しにくいところもあり ました。いま労働側と使用者側のお2人の話を聞くと、基本的には労働側が言われるよ うに、今日示していただいた資料にも散見できるように、今次の労働基準法改正で第14 条の改正によって、労働契約期間を原則的に1年を3年に、3年を5年にする。この5 年の場合は特別の事情の場合だけですが、基本的には1年を3年に延ばした形です。  それはどういう事からくるかというと、これからの経済社会の中で有期雇用の働き方 というか、契約期間を持って働いていく実態が増えていく。そういう実態を踏まえて、 この雇用契約期間のところも、おそらく延長という形で改正がなされたのだろうと思い ます。今日いただいた告示案についても、そういうことが前提で、契約を更新していく 場合については更新する可能性があるかないか、可能とする場合はどういう理由がある か、1年を超えて回数を増やしていく場合については、延長するようにということで、 これはみんなそういうところの配慮だろうと思います。  いままでの議論のなかで、有期雇用者について外されていることの理由は、先ほど労 側委員が言われたように、育児休業期間の法定の休業期間がいま1年で、これまで労基 法の14条でも契約期間を設ける場合には1年までです。だから、それを通常短い場合で も、例えば6か月の有期契約者が育児休業の対象になったときに、結果として期間の途 中で取ると、その6か月を超えて、要するに労働契約の締結が強制されていくようなこ とがあり、適切でないということもあって、要するに有期雇用については適用除外とい うことがあったのだろうと思います。  そういう現状で育児休業と有期雇用の期間が、要するに同じような形で最大限取ろう としたときに、それが結果として契約を延ばしていくようなことについて、問題が出て くる可能性が高いからということであったからと思います。現在、あるいはこれからの 場合については、有期雇用が3年という形になる。必ずしも3年でなければいけないこ とはなく、その点は使側委員が言われたとおりですが、実態としてそういう有期雇用の 期間が長くなっていく。しかも育児休業の1年よりも長い形で契約が締結される実態 が、まだ私はわかりませんが、そういう傾向があるのだろうと推測しています。  そうなると、いままでの議論の延長で有期雇用については無理だとか、趣旨が合わな いという議論とは少し違う議論をしなければいけないのではないか。少なくとも結論 は、これからの議論の中でお出しいただければいいと思いますが、いままでみたいな理 由での議論は必要ないとか、これは育児休業の育介法の、いわゆる立法目的とは合わな いというのは、現状のベースでは違うのではないかと私は思っていますので、是非、そ こは議論していただきたいと思います。 ○使側委員  基本的に私の意見は前回、すべての項目について言いましたので割愛と言うつもりは ありませんが、いまの有期雇用の問題についてだけ補足します。1年から3年、3年が 5年と変わったということです。この3年契約、5年契約、それぞれ本来で言えば双務 契約という考え方ですが、今回、暫定措置で当面は1年間を超える分については片面契 約でいいとなっています。つまりこの契約をした場合、その期間、片方は働かなければ いけないし、片方は雇用を保障しなければいけない。そういう有期雇用契約というのが もともとのベースの考え方であると思います。  いま暫定措置で片面契約になっていますが、その期間、本来仕事を提供していただけ るので、3年なら3年、5年という中で契約を結ぶという概念になっているわけで、実 はそこで休業を長く取るということは、そもそもの契約の概念にそぐわないものだと 思っています。  先に向けても、これは非常に難しいですけれども、現在ですと実は3年、5年は認め られましたが、通常であれば6か月とか1年契約が多くて、それが実態として、先ほど も告示にありましたが、ある一定の条件のなかで例えば更新がある場合も、結果として それが何回か更新される場合があるわけです。それが即長期の契約になっているかどう かは甚だ難しいところがある。ここに休業が、どういう形で適合できるかは非常に馴染 みにくいという判断を、いまのところ持っています。 ○公益委員  14条は、一定の事業の完了に必要な期間を設ける場合のほかという形になっていま す。有期雇用する場合に特別に両者の間で、こういうもののために3年なら3年を設け るのだと、はっきりと契約当事者の間で特別の目的のために期間設定されているのであ れば、おっしゃることはよく理解できますが、現実には必ずしも期間を設けるときに、 こういう特別の目的のためにだけ設けるということではないことが多々あるだろうと思 います。そういうものまで全部排除して、育介法の趣旨に合わないから有期雇用の人た ちについては育児休業の権利がないという議論は、ちょっと私は与しがたいところがあ ります。 ○分科会長  いまの点について、ほかに意見はありますか。 ○公益委員  結局、働き続けるために何が必要か。それと両立支援で、これからの子どもを養育し ていくためには何が必要かが根本にあって、それで3年、5年という延長の問題と、両 方がセットというか、両方を考慮に入れなければ新しい対応はできないと思います。  先ほど、使側委員が育児休業の期間について、働くほうもできれば早く復帰して現場 に戻りたいのだと言われました。それは保育のほうの設備が整わなければ、なかなか復 帰もできないという問題もあります。  先ほどの調査を見ると、企業側にとっては育児休業を取ってもらったけれど、結局、 復帰しない。取ったままで復帰しないというのは、こんなはずではなかったと企業に とっても全体の計画で非常に困る。ただし、この報告を見ると公務員の場合には90何パ ーセント復帰、民間でも88%復帰と伺っていますので、たぶんそれは思ったよりもちゃ んと復帰しているという感じです。  もう1つ、いざ復帰してみても欠勤が多くて、何年間のうちに勤められなくて辞めて しまうのではないかという問題もあると思います。それが公務員の場合には欠勤が多く て退職したというのは、数値としては少ない数値が出ていますので、それも社会とか企 業が思うのが杞憂に過ぎないのかなというのもあるし、いや現実はもっと大変だ、厳し いのだ、特に零細中小の場合には大変なのだというのもあるかもしれませんので、育児 休業の期間をこれから組み立てていくについては、そういういろいろな現象に対応でき るようなことを考慮に入れて、労使の皆さんの意見もよく聞いてやっていく必要がある と思います。 ○使側委員  公益委員のお話のとおり、有期雇用も含めて期間をセットにして延ばすということよ りも、むしろその前の保育行政そのものに対する環境整備が、まだまだ行き届いていな いのではないか。こういうデータで見ると8割以上とかですが、そのリサーチの仕方に よってずいぶん偏差があるのではないか。  それ以前に保育行政そのもので、例えば都市部と地方とずいぶん差がある。東京都あ たりはずいぶん民間に対する手を打ったりしているわけですから、保育行政そのものと のセットがもっと必要で、いくら延ばしても中小企業が潰れたら意味がないわけです。 いくら3年にしろ2年にしろと言っても、現実に企業が潰れてしまったら育児休業も何 もないわけです。  とにかく7割以上が中小企業の就労者ですし、そういった面で言うと保育行政そのも のからもう少し手当を厚くして、保育の環境整備をしたら私は1年でも十分だと思う。 働く意欲のある人は、先ほどの委員のお話のとおり復帰したいというのもある。あまり 長く取ってしまうと能力の問題とかで、職場復帰しても結局は自分が身を引くような形 が多いのではないか。特に中小企業の場合はそうではないかと思います。したがって、 もう少し保育行政そのものに対する今の実態について、例えばこの首都圏で東京と国と 相当差が出ている感じがしますが、その辺はどうですか。 ○公益委員  いまのお話を伺っていて、先ほどの使側委員の話のとっかかりは公益委員の質問に絡 んでいましたが、そのときに休業期間の延長の話で、使側委員の話もいまの話も同じだ と思います。要するに働く両親のほうはあまり休業期間が長くても、それはいろいろな 仕事の関係で難しい問題がある。だからできるだけ早く復帰というのはよくわかるので す。  たぶん前回の議論から出てきているのは、いまの育児休業法の育児休業1年間という のを改めて2年とか3年にするという話と、ちょっと違うと思います。そうでなくて現 行法のなかで最長限1年間で、子どもが満1歳の誕生日を迎えるまでとなったときに、 特別の何か理由があると、それが何か私もわかりませんけれども、何かあればその法定 期間を特別な合理的理由に基づいて、延ばすことが考えられないかという議論ではなか ったかと思います。  もしそういう前提に立てば、いま使側委員が言われた休業期間を1年からもっと延ば す必要はないという話は、その点の限りにおいて私は基本的に同じ考え方を持っていま すが、この前からの議論のベースは、それとはちょっと違うのではないかと思っていま す。要するに、いまの法定の休業期間を前提にして何か特別の延長すべき理由があれ ば、一定の範囲で延長することを認められないかどうかという議論だった気がします。 そうではないのですか。 ○労側委員  私も前回申し上げたように、前は3年にしたらどうかという意見もあったのです。そ れは意見を聞いたところ、当時は子どもは3歳まで母親が育てるという前提があって3 歳というのがあったのですが、しかし、長ければいいというものではない。いろいろな 制度を組み合わせることによって利用できるというので、短時間勤務制度とかを導入す れば休業しなくてもいいとか、要は組合せだと思います。いたずらに延ばせばいいとは 思いませんので、そこは原則1年ぐらいにした上で、どういう場合には制度的に延長が 可能か。先ほど言った入所問題なんかと絡みますが、それで両立できるだろうというこ とで、是非ご理解いただきたいと思います。  もう1つ、保育所の整備か育児休業かという問題ではないと思います。こっちもこっ ちで両方しないと、それは選択するのは労働者ですから、保育所問題が整備されれば育 児休業も利用しなくて済むかもしれない。それは相関関係ですけど、こっちがあれば、 こっちはいいという問題ではない。両方用意することによって労働者が選べるというふ うにしないと、保育所問題はこのままでいいと絶対思いません。議論としてはどっちか でなく、両方という意味で私は議論していきたいと思います。 ○労側委員  92年に育休法が施行されて、その施行される背景となった大きな動きのなかにILO の156号条約、家族的責任の条約もあったと思います。つまりそこでは仕事と家庭責任、 家族的責任が両立する働き方をきちっと認めていく、そういう流れに沿って、それを取 り巻く保育問題も以前からの問題として、更にクローズアップされてきた経過があると 私は思っています。  重ねますが、労側委員が言われたように保育体制が充実していることは本当に望むこ とですが、一方で育児休業の権利も、それを必要とする人には十分用意されることが必 要です。もう一度私が意見として言いたかったのは、有期契約の人への適用問題という のが、数少ない事例ですが労使交渉が始まっていますけれども、会社の主張は法律が適 用除外にしていることが受け入れられない理由だと言っているのが実状だということで す。  労働組合がそのことを言い始めたのも、正社員で育児休業の適用がある人と、いわゆ る契約社員で適用がない人が、同じ職場で働いているなかで起きている問題を受け止め ざ るを得ない状況で、働いている人同士にも軋轢が生まれているし、それは働き方、働く 意欲、モラルにも当然つながるわけです。そういうことが現実の問題になっているから で、何とか労働組合を通じてやろうとしています。でも本当に、その壁は厚いという状 況です。  以前、資料でいただいたように、正社員と言われている女性が50%を切ったという調 査結果が出されていると思います。さまざまな働き方の人たちのなかで、とりわけ有期 契約で働く人の適用問題で、それをどういう権利として認めていくかを、今後の議論と して十分深める必要があります。技術的な問題は先の議論としておいた上で是非、適用 拡大の方向に向かっていただきたい。職場実態からそういう意見を持っています。 ○労側委員  同じですが、育児休業の延長についていろいろ意見が言われているのは、たぶん保育 との関係がいちばん大きいと思います。そういう意味では、そういった事情の方に対し てどれだけ間口を広くすることができるかだと思います。ただ、一方で1歳ということ が企業との関係で言えば、例えば1年間休業している間に企業との関わりが薄れてしま っている不安も非常に多いと思います。また現状で言えば賃金補償がなされない。社会 保険しかない。そういう意見は少なからずあると思います。  特に1歳を超えた直後ぐらいになると、母親の免疫も薄れていって病気になりやすい ことも現実的にあります。予防接種なども非常に多くなってくるわけです。そういった ことで休まざるを得ない。もちろん看護休暇の充実も求められますが、さまざまな手立 てを講じて、是非両立支援のために、それぞれ企業、国、個人が何ができるか、建設的 な議論をしていきたいと思います。 ○使側委員  もう少し個別企業の実態が把握できるといいと思います。雇用管理の基本調査によっ ても、実施する会社で休業期間とか取得率も前の調査に比べるとかなり高くなっている 事例がある。これが低くなっていると何らかの対応が必要だろうと思いますが、これは 労使双方の努力で徐々に高くしてきた結果ではないかと思います。ですから、いまある 基本的な法律のベースに則って、それをいかに企業に勧奨するかの指導が必要です。そ ういうのが第1に必要ではないかと思います。  その一環で、次世代の法律のなかでも、いまの現状のなかでより一層、育児休業が促 進されるように各企業に行動基準のなかで訴える形にもなっていますので、そういうこ とで企業もそれなりの対応をこれから取っていくと思います。そういうのを少し見守っ て、その結果を見てから、せっかく行動計画がこれから始まるわけですから、2005年か ら始まるので少し遅いかもしれませんが、その結果を見てからでもいいのではないかと いう気がします。 ○公益委員  皆様のお話を伺って、それぞれもっともだなと思いながら聞いていますが、どうも議 論が噛み合っていないという印象を持ちます。それはなぜだろうと考えると、例えば有 期雇用といった場合に、1年とか半年の有期雇用を考えるのか3年を考えるのか、ある いは更新を繰り返している人を考えるのか、それとも1回だけというのを考えているの か、それぞれ考えていることがどうも違った上で、単に適用するかどうかというところ で議論がなされている。  この問題を考える上では、具体的にどのように制度を設計していくのかが必要になっ てきますから、できればそれぞれが、こんなことを我々は考えているという具体的なこ とを出していただくと、もう少し議論が噛み合って具体的な議論に入れるのではないか と思うので、そこをお願いしたいと思います。 ○分科会長  わかっていただけましたか。 ○労側委員  いまの意見でまとめになったのですが1点だけ、3頁で待機期間中の保育の状況につ いての調査結果ですが、「父母のどちらかが仕事を休んだ(辞めた)」とあります。休 むと辞めるでは意味合いが違うと思います。これを調査したときの答えそのものがこう いう形ですか。できれば分けてデータを取っていただくとわかりやすいと思います。 ○事務局  調査票自体がこういった表現になっているものですから、おそらくこれは辞めたとい う方の中にも、例えば失業中で仕事を探していた方等も含まれているのだろうと思いま す。辞めてしまって、もう仕事しませんということであれば逆にそれでは保育所に入れ ませんので、おそらくこの辞めたという中には、むしろ辞めても仕事を探しているとい う状態なのだろうと思います。 ○使側委員  聞きたいことがあるのですが、先ほど保育の補助金の関係で、地方分権会議の答申を 受けて骨太の方針もできました。そのなかで三位一体ということで、国から地方への補 助金が18年まで4兆円くらい切られるということです。それで国のほうとしても交付税 のなかで色が付いた形でいくと思いますが、使うのは県のほうの自由でいろいろあると 思います。保育行政の関係で、こういうものは必ず保育行政に使ってほしいということ を、例えば局長から知事宛に文書を出すとか、何かそういうことは特にお考えはないで すか。 ○事務局  いまの時点では、そもそも一般財源化することに我々は反対していますので、今日も いろいろ保育について意見をいただいていますが、そういうニーズがある状態ですし、 一方、高齢者についてはかなり立派な介護保険の仕組みがあるなかで、子どもについて そういう社会保障制度全体のバランスで見ても、果たして本当に一般財源化すること で、我が国の社会保障制度がバランスの取れたものになるのかどうか。そういう議論が あって、一般財源化そのものについて我々は適当でないと思っています。 ○労側委員  先ほどの公益委員の発言ですが、11月にもう1回論点整理をすると思いますが、その 際にということでいいですか。介護休業の議論も当然関連しますので。 ○公益委員  前回の議論だと、経営側は必要ないという話ですし、労側は適用ありという、その オール・オア・ナッシングの話でポンと出たものですから、我々公益としてはもう少し そこを、本当にどういう形で動かしたらいいのかが見えなかったので、今日の話ではそ ういう形の議論になってしまった。たぶん労側も、3か月なら3か月の有期の人にまで 全部認めろということではないと思うので、その辺のところでどう考えているか。ある 程度スケルトンみたいなものが見えれば公益も話がしやすい。経営側も、その辺のとこ ろで区別とか類型を考えているかどうかが少しでも見えてくれば、もう少し生産性のあ る議論ができるのではないかという気がします。そういうことで公益委員の発言もあっ たと思います。 ○分科会長  時間もまいりましたので、議論はここまでにさせていただきます。次回については介 護休業、子どもの看護休暇および勤務時間短縮等の措置等についてご議論いただくこと にします。今回の議事録の署名は、岡本委員、吉川委員にお願いします。最後に事務局 から次回以降の予定について連絡があります。 ○事務局  次回は10月7日、15時から、場所は厚生労働省省議室です。次回については分科会長 からありましたように、育児休業制度以外の部分について、ご議論いただきたいと思い ます。次々回は10月20日、15時からです。次々回以降、具体的にどういう形で進めるか について、引き続き相談させていただきます。 ○分科会長  本日の分科会はこれで終了します。ありがとうございました。 照会先:雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課 法規係(内線:7856)