03/09/16 独立行政法人評価委員会農業者年金部会第2回議事録         厚生労働省独立行政法人評価委員会 農業者年金部会                  第2回議事録 日時 平成15年9月16日(火)11:00〜12:00 場所 厚生労働省専用24会議室 出席委員 安達委員、正置委員、森戸委員 1.開会 〇正置部会長  定刻になりましたので、ただいまから第2回の独立行政法人評価委員会農業者年金部 会を開催いたしたいと思います。本日はお忙しいなかお集まりいただきまして、大変に ありがとうございます。  最初に、今回はじめて出席されておられる方がいらっしゃいますので、ご紹介をした いと思います。 (事務局及び法人出席者の紹介) 2.議事 (1)中期目標案、中期計画案、業務方法書案について 〇正置部会長  では早速でございますが議事に入らせていただきます。今回は前回に引き続きまして 中期目標案、中期計画案、それと今回初めてとなりますが業務方法書案についてご審議 いただきたいと思います。3案はそれぞれ密接に関係がありますので、3案ともまずご 説明いただきまして、まとめてご審議いただきたいと思います。よろしくお願いいたし ます。  最初に、中期目標案につきましては事務局から、あとの中期計画案、業務方法書案に つきましては農業者年金基金からご説明いただきまして、その後にご審議していただく ということでお願いいたします。まず大友補佐からご説明をお願いします。 〇大友課長補佐  中期目標案ということで資料の1でございます。最後にございます前回の資料、これ は1枚おめくりいただきますと中期目標と中期計画両方を対比した形でお示しさせてい ただきましたが、今回はそれをそれぞれに独立した形でお示しをさせていただいており ます。前回ご説明をさせていただきました点から、今回中期目標で変更しました点につ きましては、前回ご説明しました資料の「第2の1.運営経費の抑制」というところで ございます。この抑制の3行目でございます。  運営費経費の節減の何%にするのかというところがまだ定まっておりませんでしたが、 今回、そこの部分を明確にさせていただきました。1ページでございます。  「第2の1.運営経費の抑制」のところです。「一般管理費(公租公課等を除く。) について、業務の効率化を進め、中期目標の期間中に、平成14年度比で13%を抑制する。 」という形でございます。  これにつきましては、独立行政法人の参与会議というものが内閣のほうにございまし て、ここに対する各独立行政法人のそれぞれの目標のご説明もさせていただいておりま すし、調整をしているという形でございます。その中で農業者年金基金につきましては、 13%ということでほぼご了解をいただいているのではないかと考えております。  したがいまして今回中期目標につきましては、14年度比で13%抑制をするという形で 設定をさせていただきたいと考えております。これにつきましては実は、この目標の割 合の定め方という観点でいろいろなご意見もあったわけですが、ひとつの考え方としま して、平成18年度中に中期目標が終了する法人についても、最低1割の削減という形で 示されております。  したがいまして農業者年金基金におきましては、19年度が最終の年度ということにな りますので、18年度で終了するところが1割削減するということでありましたが、19年 度終了するところはもう1年度長くなりますので、その分を上乗せした形で考えないと いけないだろうということから、その1割に上乗せしたところの13%の削減という考え 方で設定をされております。  中期目標につきましてはこの点だけでございます。以下は前回のご説明の内容と同じ ということで省略させていただければと思います。以上でございます。 〇正置部会長  引き続きまして、農業者年金基金からご説明をお願いします。 〇小貫室長  資料2の中期計画案についてご説明をさせていただきます。「第1の1.業務運営の 効率化による経費の抑制」ということで、いま厚生労働省からご説明がありました一般 管理費の数値目標、表現ぶりにつきまして、前回の「運営交付金に充当して行う業務に ついては・・・」という表現を、「一般管理費(公租公課等を除く。)について、業務 の効率化を進め、中期目標の期間中に、平成14年度比で13%抑制する。」という形で中 期目標に沿った表現に直させていただきました。  私どもはこれを具体化するために、ここに書いてありますように「コスト意識の徹底 を図るとともに、一般競争入札の積極的導入、計画的な物資の調達を行う。」というこ とで進めてまいります。  次の「2.業務運営の効率化」につきましては、特段の変更はございません。「申出 書等は可能な限り簡素なものにしていく」とか、「申出書等の点検・確認等についての システムの積極的な導入を図っていく」とか、「実務者用マニュアルを必要に応じて見 直していく」ということを進めて効率化を図ってまいります。  次の「3.組織運営の合理化」につきましても前回と同じでございます。(1)では、 「15年度中に1課を削減する」とか、その他、「電算システムの開発・整備を担当する 部署を明確化していく」、というようなことを進めてまいります。  (2)の常勤職員数につきましては、「中期目標期初の87人を、期間の終了時までに82 人とする」というような合理化を図ってまいります。  「4.業務運営能力の向上等」につきましては、(1)の農業者年金基金の職員につき ましては、「新任職員に対する初任者研修等を行う」ということです。数値目標につき まして、前回は4月及び10月に実施するということでございましたが、過去と比較する ということで、「2回(過去の実績:毎年度1回)」という数字を入れさせていただい ております。ここが変わっております。  (2)の受託機関担当者に対する「研修等を毎年度実施する」等につきましては、前回 と同様でございます。  「5.評価・点検の実施」につきましては(1)にありますように「運営評議会、これ を各年度の上半期・下半期それぞれに1回開催」ということで、これは前回と同じでご ざいます。  (2)の委託業務が適正かつ円滑に行われるように、市町村段階の業務受託機関、これ はJAなり農業委員会でございますが、ここにおける事務処理についての考査指導でご ざいます。前回は毎年度20以上の都道府県ということで書いてあったわけでございます が、これをもうちょっと上げまして22以上、いわゆる2年に1度ということで22以上に 直しまして、これまでの実施状況を(平成14年度実績14道府県)ということを入れさせ ていただきました。  「第2.国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成 するためとるべき措置」でございます。  「1.農業者年金事業」につきましては、(1)被保険者資格の適正な管理、につきま しては前回と同様でございます。(2)申出書等の迅速な処理、につきましても前回と同 じ内容になっております。  次の「2.年金資産の安全かつ効率的な運用」です。これは法令等に基づきまして、 安全かつ効率的に行うということでございますが、(2)にありますように、資金運用委 員会というものを開催して、運用状況及び運用結果の評価・分析等を行う、ということ で前回から入れておるわけですが、この委員会の開催回数を「毎年度4回以上」という ことで新たに入れさせていただきました。  その他(3)と(4)の年金資産の構成割合についての検証なり、毎年度ホームページで の四半期毎の情報の公開、毎年度加入者への通知というものは前回と同様でございます。  「3.制度の普及推進」につきましても前回と同様でございます。(3)にありますよ うに、ホームページ等についての内容の充実を図って参りたいと考えております。  「第3.財務内容の改善に関する事項」につきましても前回と同様でございます。特 に融資事業及び農地の割賦売渡による貸付金債権についての適切な管理・回収を行うと いうことを内容といたしております。  「第4.予算」につきましては、前回数字を出しておりませんでしたが、今回、別表 で整理をしておりますので、後ほどご説明をさせていただきます。  「第5.短期借入金の限度額」2億円。「第6.剰余金の使途」「第7.その他主務 省令で定める業務運営に関する事項」につきましては、前回と同様でございます。  では5ページの別紙第4の説明をさせていただきます。  今回、この第4の頭に書いてありますように、予算、収支計画、資金計画を付けさせ ていただいております。農業者年金基金では経理を4つの勘定に区分しております。  まず新制度につきましては7ページの一番上の右肩に書いてありますが、保険料に対 する補助金及びその運用益等の経理を整理する特例付加年金勘定でございます。もう1 つが9ページにありますが、被保険者からの保険料及びその運用益等の経理を整理する 農業者老齢年金勘定。この2つが新制度でございます。  11ページに旧年金制度の中の旧年金勘定、これは旧年金給付費等の経理を整理する勘 定でございます。  14ページに農地売買貸借等勘定というものがございます。これは農地等の売買及び取 得等に必要な資金の貸付等の経理を整理するものです。この4つの勘定毎に予算を作成 しておりまして、5ページの一番上が、これを合算した総括の表でございます。  本日はこの総括で説明をさせていただきたいと思います。  まず収入の欄でございます。収入の上から運営費交付金、国庫補助金、国庫負担金、 政府補給金の4つがございます。いずれも国庫からの収入でございます。国庫補助金に つきましては新年金の保険料に対する補助でございます。国庫負担金につきましては旧 年金の給付に充てております。この負担金で不足する部分につきましては、農林水産大 臣の要請に基づく借入れを行いまして、給付費に充てております。なおこの借入金の償 還につきましては、利子を含めまして国庫が負担するということになっております。  保険料の収入につきましては、大部分が新年金にかかる保険料でございます。その他、 運用収入、貸付金利息、農地売渡代金等収入、諸収入がございます。中期計画期間中の 総額としまして計の欄にありますように、9,898億500万円の計上をいたしております。  次に支出でございます。新年金の給付費であります農業者年金事業給付費、旧年金の 給付費であります旧年金等給付費等の業務経費として、中期期間中に8,352億800万円を 計上いたしております。  この他、借入償還金、一般管理費、人件費がございまして、総額で下の計の欄にござ いますように8,971億700万円を計上いたしております。  なお、一般管理費、人件費等につきましては、中期目標に従いまして業務の効率化を 進め、中期目標の期間中に平成14年度で13%を抑制する、先ほどご説明したような内容 になっております。  この表を見ていただとますと収入と支出の額に差がございます。この差額は新年金の 給付財源として運用しているわけでございます。  以上が予算でございます。次に16ページ以下に収支計画を載せてございます。収支計 画につきましては、ただいまご説明申し上げました予算を前提に作成をいたしておりま す。収支計画の中で一番下に純損失ということで59億500万円が生じております。これ は国庫負担を減らすために、貸付償還金を年金給付費に充てたためのマイナスでござい ます。  最後に資金計画でございます。22ページ以降に総括という形で載せてございます。こ れにつきましても予算を前提に作成をいたしております。時間の関係で省略させていた だきますが、以上、簡単に説明をさせていただきました。以上が中期計画の案でござい ます。  続きまして、資料3の業務方法書案につきましてご説明をさせていただきます。この 業務方法書は、独立行政法人通則法の28条の規定に基づきまして、私ども農業者年金基 金が行う具体的な業務の方法の要領を記載してございます。  1ページのところにございますように、「第1章.総則」という形で業務方法書の目 的なり業務運営の基本方針というものを定めてございます。  「第2章.農業者年金事業」でございますが、これは第4条から10条までに定めてご ざいます。基本的にはこれは平成14年1月1日から始まりました新しい農業者年金制度 の業務につきまして定めております。特に新制度では年金資産の運用ということが重要 な事項になっておりまして、従来は農業者年金の運用の基本方針というものを別途、農 林水産大臣の承認を受けて定めていたわけでございますが、第9条の中に「法令の規定 及び別添の年金給付費等準備金運用の基本方針に沿って、年金給付等準備金の運用を行 う」という形で明確に入れさせていただいております。  第3章以降につきましては、旧農業者年金事業でございます。11条以下でございます が、ここにつきましては農業者年金基金法の附則の第6条の1項1号に掲げる業務とい うことで、旧農業者年金事業につきまして定めております。ここの部分が、農林水産省 と厚生労働省の共管になっている部分であります。  第4章以下、5章、6章につきましては、農地等の買入れ及び売渡し、農地等の借受 け及び貸付け、農地等及び附帯施設の取得に必要な資金の貸付け、というものが定めら れております。これもいずれも附則で定められている事業でございます。  第7章以下に業務委託の基準、これは47条以下でございますが、基準を定めておりま す。これは私どもJAなり農業委員会等に業務を委託しておりますので、そういう委託 の基準につきまして定めております。  最後に第8章でございます。「第8章.競争入札その他契約に関する基本的事項」と いうことで49条以降に定めております。独立行政法人農業者年金基金の業務運営並びに 財務会計に関する省令規定見込み事項、それから業務運営の透明性の確保を明確にする ために国が行う契約に関する基本的事項を新たに定めたという内容になっております。  内容が膨大で省略させていただきながら説明させていただきましたが、以上が農業者 年金基金の業務方法書案でございます。説明を終わらせていただきます。 〇正置部会長  ありがとうございました。少しボリュームが大きいのですが、何かご意見あるいはご 質問がございましたらお願いします。  これは4年分をまとめておりますが、各年度のものもあるのですか。 〇小貫室長  計算の基礎になりました年度ごとの数字は別途にございます。 〇正置部会長  それは大体平均的になっておりますか、デコボコがあるものでしょうか。 〇小貫室長  既に15年度につきましては、10月からのものでございますので、昨年度の予算編成の ときに決まっておりますので、その部分は既定のものということで、16年度以降につき まして、ほぼ平均的ですが、個別にみますと人件費とかは別です。 〇正置部会長  はい。特殊な要因が何年度かにあるということはないのですね。 〇小貫室長  今のところは、6ページのところに交付金の算定ルールという形で上のほうの1に15 年度は積み上げ方式、16年度以降については、次の算定ルールという形で説明をさせて いただいております。 〇森戸委員  単に聞き逃しただけかもしれません。業務方法書の9条のところの話をさっきされて おりました。そこをもう一度ご説明いただけませんか。別に運用のあり方がガラリと変 わったというわけではないのですね。 〇小貫室長  今までは別途、農林水産大臣のご承認をいただきまして運用の基本方針というもの定 めておりました。基本的には19ページ以降に別添という形で付けてございます。このよ うな運用基本方針を別途承認をいただいていたということでございますが、それを業務 方法書の中に一本化して別添という形で入れさせていただいたということでございます。 〇森戸委員  わかりました。 〇安達委員  農地の売り渡し、買いをやるのですね。 〇小貫室長  農地の売買は既に14年の制度改正以降は新たなものはやっておりません。それまでは 農地を基金が買い入れまして、農家に売り渡しをしていくという形でしております。そ の売り渡した代金につきましては、年賦払で返していただく、その時の金利が3%か 3.5%です。そういう安い金利で返還をしてもらいますが、この財源を旧制度の年金勘 定から5.5%で借りまして、それを安く農家に貸すものですから、返すときに差が出る 部分は、政府補給金という形で国から補助をしていただく、というやり方をしていると いうことでございます。 〇安達委員  逆ざやですね。特に農業公社なども過去に農地を買い上げたものが今、償還が入って いる、地価が下がっているということで、大変に運用をするのに困っているようです。 〇小貫室長  私どもが取得した農地につきましては、すべて処分をしておりまして、あとは債権だ けが残っているということでございます。だからそういう心配はないということです。 〇森戸委員  中期計画案の3ページです。独法のあり方そのものについては、私は不勉強なせいか もしれませんが、制度の普及推進ということで、できるだけ皆に利用してもらえるよう に、いろいろと宣伝したり説明会をしますということには問題はないのです。農業者年 金基金として制度普及に努力することに対するインセンティブというか、それを農業者 年金基金の方ががんばって皆にもっと入ってくださいと宣伝して皆に入ってもらう。そ のことに対する見返りというか、農業者年金基金としては、どういうメリットがあるの かなという素朴な疑問です。それはどのようにつながるのでしょうか。 〇小貫室長  新しい制度に農家の方々に入っていただくメリットということでしょうか。 〇森戸委員  メリットというか、農業者年金基金としてです。言いたいことは、仕事だから入って くださいというが、別に入ろうが入るまいが関係ない。どうせ13%の資金をカットしな いといけないということになれば、別にやる気にならないのではないか。そこは結果的 にどういう形で、農業者年金基金の方にインセンティブがまわってくるのかという話で す。 〇大友課長補佐  やればやるほど、ある程度、仮に手数料がいくらか入って、それで事業規模がどんど ん拡張してという基金の側にとってそういう部分があるのかということですね。 〇森戸委員  そうです。ある程度柔軟に使えるお金が多くなる、そのようなことに直接つながるの かどうかということです。 〇正置部会長  インセンティブ策としてどういうことをされておられるかということですかね。 〇小貫室長  加入者の数が増えたことによって予算的に一般管理費が特段に増えるという仕組みに はなっておりません。 〇森戸委員  もっとネガティブというか、誰も入ってくれないと、そもそもこういうものはいらな いのではないかという、そっちには働きますが、別にそれは非常にマイナスなしょうが ないからやるかという感じですが、もう少し皆でがんばって、こういう良い制度ですか ら入ってくださいということをやる、つまりすごくがんばることに対する見返りはそう ないのかなと思うのです。 〇小貫室長  新制度そのものが、農業の担い手を確保するということで政策的な位置づけをされて おります。私どもはそれの実施部隊でございますので、そこは極力努力をしていくとい うことです。  それから私どもが末端で事業を実施していただいている農業委員会なりJA、ここは まさに農家の代表である組織であり、農家の方々によって組織された組織でございます ので、そういうところにつきましては、農政推進の面からも、更に加入者を増やしてい くということに一体的に取り組んでいただいているというようなことでございます。た だその結果、加入者がかなり増えたからその分の予算が増えるというシステムにはなっ ていないということです。 〇森戸委員  これまで申し上げてきたことはここでいう問題ではなく、独法全体の話になるのでし ょうか、ただもちろん民間会社ではなく政策の実施部隊ではあるのですが、独立の行政 法人という形にした以上は、何か皆ががんばる気になる仕組みになっていないと、本当 はいけないのかなという感想です。一言それだけ言わせていただきました。  制度の普及なりは、もちろん宣伝はするべきで、そのことに対して文句はないのです。 感想です。 〇安達委員  ここでの話が適切なのかどうかわかりませんが、私は農業をやっていて、肌で感じて いることです。  年金制度改正をされて、農業者年金が旧年金と新年金に振り分けをされました。私も 過去に農業者年金に入っていたわけですが、旧年金の時に有限会社を立ち上げまして、 その時に厚生年金に加入したわけです。そのまま農業者年金を続けたいという希望はあ ったのですが、農業者年金に加入できなくなってしまったわけです。  全国にはそういうことで厚生年金に加入している方がかなりいます。今は国の政策で も法人化を進めているわけですので、その意味では農業をやっていて厚生年金に加入を しているそういう方々にも、農業者年金に加入できる道を開いてもらっていればという 感じがします。これは現場での感じです。  特にいま農業でがんばろうとしている人には、法人化をやれということで、我々も呼 びかけているわけです。そうすると、自動的に厚生年金に入って社員の待遇もきちんと 確立するということであったのです。それが会社をやることによって農業者年金から離 脱をせざるを得ないというのは、厚生年金と農業者年金の違いでしょうが、そこに私た ちは首を傾けざるを得ないと思っております。  農業をやっているのですから、なぜ農業をやっていて、農業者年金に入れないのだと いうことですよね。これは前には国民年金でないから掛け金は掛け捨てだったのです。 そのままカットされたのです。平成元年ごろにはね。かけた部分はあの時には返ってこ なかったのだったと思います。相談にいったのです。東京まで来たのです。そうしたら 厚生年金に入ったら自動的に失格して掛け金は返ってこない、厚生年金に入った場合に はほとんどがそうでしたね。その後に少し改正されていくらか戻ってくるということに なって、この前の改正で8割が戻ってくるとなっているわけです。そういうことでかな り私も抵抗した覚えがあります。 〇小貫調長  制度をどのように仕組むのかという話は別にしても、実際の実行の話としまして、当 初は別にしまして、農業者年金の加入者の方々が法人を設立されて厚生年金に加入され たという場合は、2号被保険者になりますので、私どもの農業者年金の加入資格がなく なるということで脱退していただくという仕組みになっております。  旧制度につきましては、年金を受給するためには20年間の加入期間が原則として必要 であるということでございましたが、法人化し厚生年金に入られて農業に従事しておら れるという場合には、カラ期間という形で年金の通算の額には算入しませんが、20年の 要件のほうには算定するという形で、年金そのものは受給できるような仕組みにはなっ ているということでございます。  ただ、農業者年金に入りながらなおかつ厚生年金ということになりますと、二階部分 がダブリになりますので、そこは整理されていると思います。 〇安達委員  ただ農業者年金をもう少し進めようとするなら、実際に農業をやっている人たちが法 人化をすることによって、農業者年金から離脱をするということは、もちろん厚生年金 と国民年金の差を農業者年金がカバーをしていくというのが当初の目的でしょうが、農 業をやっている人からみると、もう少しそういう手当があってもいいのかなという感じ をもっております。法人協会などからもそういう話がよく出ています。 〇大友課長補佐  年金制度のつくりとして、1号基礎年金ということで、2号は基礎年金の上に報酬比 例ということで乗っかっているわけなので、その部分に相当する部分を農業者年金でと いうことだろうと思います。ただ、今は年金制度は厚生年金の2号の上に更にかつては 厚生年金基金とか、適格退職年金とかがありました。今は更に確定給付の企業年金とか、 確定拠出の企業年金という形で乗っかっているわけです。その部分を1号の方について は確定拠出の部分を個人年金でやるという形が道としてはあるわけです。  そういう形で考えざるを得ないと思います。今のさらにその上にそういう部分を乗せ るのかというのは、制度的な将来の課題というか、世の中全体の流れのなかで考えるこ となのかと思います。 〇森戸委員  安達委員がおっしゃったことは、もちろん評価委員会としてどうこうという問題では ないが、ただ一応、政策の担当の方がいらっしゃるから、農業者年金基金が農業を受け 継いでいってくださいという政策でできているのに、ではがんばって農業を引き継いで いこうとか大きくしていこうと思って法人化すると、それが切れてしまう。そうすると 法人化しないでも細々と引き継いでいってねという人のための制度であるということに なると、非常に狭いというか、私も農業政策全体について詳しいわけではありませんが、 そういうことを多分おっしゃっていると思います。  だから、評価委員会としてどうということではないのですが、そういう声が現場から あるということは、覚えていただければいいのではないかという感じで聞いておりまし た。余計なことですが。 〇正置部会長  この評価委員会だけではなく、せっかく実際に農業をやっておられる方が委員なので すから、いろいろな機会に発言をしていただき、聞くべきは聞いていただき、また別の 機会に反映させていただくというとでいいのではないかと思います。 〇大友課長補佐  私どももこの評価委員会の結果というのは、農水省のほうとも意見交換等をやってお りますので、ご提供を申しあげたいと思います。 〇金刺室長補佐  先ほどの森戸先生のインセンティブについての法人の話全体についてということで、 ご意見があったと思います。独立行政法人の中には、ひとつは自前収入を上げるとされ ているものについては、例えばそういう一般の方々への周知やPRが直ちに収入に跳ね 返るという部分もあろうかと思いますが、実際にそういう法人はそう多いわけではない。 そうなってきますと、こうした活動の成果が、毎年度ごとに実績を評価した後で、最終 的には中期計画、中期目標の年度が終了したときに、一定の評価を得られて次の中期目 標や中期計画に更に反映させていくという過程の中で、次の期間により政策的意義ある いは実施機関としての意義が認められれば、さらなる増額なりが認められるというケー スがあろうかということです。 〇正置部会長  全体としてはそうだと思いますが、実際に年金を勧誘するということをやっておられ る方もいらっしゃるわけですね。その方々のインセンティブはどうなっているのでしょ うか。1件よりも2件、2件よりも3件をお薦めしたほうがですね。 〇小貫室長  直接農家の方々に接していただいているのは、JAなり農業委員会の方々です。そこ で加入者の数が増えたときに、そういう取り組みをしていただいた個人に報奨金的なも のがお支払いできるのか、ということだ思いますが、そういう形にはなっておりません。  ただ、全体としての業務委託費も総予算の中で個々の受託機関に配分するときに、加 入者の数が多かったところ、受給者の数が多いというところには、実績に応じて濃淡を 付けていくというやり方で実施をしていくということでございます。直接働いていただ いた方に報奨金が出る、ということにはなっていないということです。 〇森戸委員  それはある程度はしょうがないと思います。補足していただきましてよくイメージが 湧きました。 〇安達委員  農地の流動化という中で、こういう制度がもう少し強化されていけば、非常に農家の ためになるのかなと思います。なかなか農業を実際に独立採算でやっていくということ になると大変な部分があるのかなと思って先ほど質問しました。  農地をもう少し動かしていただけるような政策的な手段は、どうしても現場には必要 ではないかと思います。特に農業構造を改革していくという意味では、農地を流動化し ませんと、構造改革になりません。  農業をやっている私がいうのもちょっと変なようですが、農地を株式会社も取得して いいという農地法を改正しようという動きはありますが、あれはやむを得ないだろうと 思います。堤防を高くすればするほど農業は弱くなります。これからは外国と裸での戦 争になりますので、その意味ではすべての堤防を取り払って、外国と同じ土俵でやりと りできるような環境をいち早く作っていただく必要があると思っております。  特にWTO農業交渉、あれだって止められる状況ではないわけです。農業者や農水省 の立場でいいますと、絶対に止めてほしいのです。私も止めるべきだという主張はしま すが、サクランボの自由化のときにもそうでしたが止められる状況ではないわけです。  お米の自由化にしても止められる状況にはないから、入ってくることを前提にして環 境を設備していただくことが国のやることではないかと思います。農地の流動化だって、 あんな高い値段で農地を流動化させる、農地を財産として移動させるのではなく、生産 手段として農家の本当に所得を上げる場所として、農地から所得を上げる、農地売買で 上げるのではない。そういう政策をやってほしい。  そうしますと非常に環境が変わってくると思います。農家の意識もかわります。今で も耕さないぺんぺん草のはえた田んぼを財産としてもって、減反補助をもらって、それ で何とかなると思っている方が非常に多いわけです。これは年金とは関係がなくなりま すが、そういう意味ではもう少し政策を思い切って転換してもらいたい。  いまの年金もそうです。農業をやる人には手厚くやりましょう。二重でも三重でもそ れはやむを得ない、やるのだからという政策判断は必要だと思います。何か全国どこに いっても皆が同じ、何をやっても同じである。森戸先生がおっしゃるようにがんばって も何もならないという雰囲気を作られたのでは、がんばる人がいなくなると思います。  その意味で、もう少し農地の流動化も積極的に取りあげて、政策的に、一つの企業に 何兆円というお金を投入できるのですから、そういう意味では農業にも農地の流動化に ある程度の資金を投入して、恐らく1兆円を投入したらかなり面白い動きは出ると思い ます。それを例えば農業者年金などでやっていただけるとすれば、非常に面白いと思い ます。農業をやっているメンバー、やろうとするメンバーがおもしろくなる。元気が出 てくるのではないかと思います。  最終的にはそれが年金を運用していく上で非常に効果的なものになると思います。 〇正置部会長  森戸先生なにかございませんか。 〇森戸委員  現場の方がおっしゃることにコメントすることはありません。伺っている限りはその 通りであると思います。現場の方から自由化でいいといわれてびっくりしました。 〇安達委員  土地の流れを見据えたらそれしかないと思います。だから農業交渉だって東南アジア とノータックスで多いにやりましょうということでいいと思います。やらざるを得ない と思います。止められない流れだと思います。 〇正置部会長  やむを得ないだからその整備ということですね。 〇安達委員  そうです。条件としてはいち早くそれをやる前に今から手を打ってほしいということ ですね。 〇小貫室長  全体的な今の安達委員のお応えにはなりませんが、農業者年金の旧制度も新制度も、 基本的には入っている方がきちんとやる方に土地を譲渡していただければ、その分は国 からの上乗せの年金を給付したり、今の新しい制度では保険料の補助をするという形で、 直接個人に対して国費を投入するような形での補助という形になっております。  ただそれ以外の農業者年金に入っていない方々の部分については、そこまでは手が出 せないという状況になっております。そういうことである程度の配慮は制度的には仕組 まれているということだろうと思います。 〇正置部会長  この3つの案についてはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。 〇安達委員  はい、13%というのはかなり厳しい削減目標ですががんばってください。例えば10% を13%にしたという努力目標があります。それだったら15%も20%も可能ではないかと いう国民の逆のものも出てくると思いますので、その辺はきちんと説明しておかないと、 今まで何もやらなかった、それが13%というのは簡単にできるではないか。それならも っとやってほしい、20%、30%という声が、これは全く本当の巷の声になると思います が、そういうものも出てこないとは限りませんので、その辺はしっかりと手当をしてほ しいと思います。どうやってそれを努力して達成していくのか、そして達成した暁には、 こうやって努力して達成しました、ということをきちんとやっていただかないと、国費 は半分で間に合うのではないかということも、その辺は国民の感情としてとらえていた だきたいと思います。 〇正置部会長  では本部会としましては、基本的にこの内容で了承するということにいたしたいと思 います。それでよろしいでしょうか。 〇森戸委員・安達委員  はい。 〇正置部会長  では本日お示ししました内容につきましては、まだ財務省との事前調整が終了してな いということでございます。また今後政府部内で統一的な取扱いを行うということもご ざいますようです。内容の一部には、これは変更が生じるということも起こり得ると思 いますが、もし軽微な修正というようなことであると判断できる場合には、一応、ご案 内のとおりに独立行政法人農業者年金基金の設立が2週間後の10月1日ということでご ざいますので、日程的にもあまりございませんので、軽微であるとすれば、部会長の私 にご一任いただきたいと思いますがいかがでございましょうか。 〇森戸委員・安達委員  異議ありません。よろしくお願いします。 (2)今後の予定等について 〇正置部会長  ではそういうことでよろしくお願いしたいと思います。引き続きまして今後の予定等 につきまして事務局からご説明をいただきます。 〇大友課長補佐  予定の前に資料4ということで先に説明をさせていただきたいと思います。  資料の4につきましては、前回お示ししました通則法版ということでそれぞれの所掌 の部分を整理してございました。この説明の中で足りてないと思いましたので、補足の 説明をさせていただきたいと思っております。ポイントにつきましては資料4の最後の ページをご覧いただければと思います。  第20条でございます。ここの第20条1項でございます。前条第1項3号に規定する業 務に関する通則法第28条3項、第29条3項、第30条3項、第35条2項、の規定の適用に ついては、これらの規定中「評価委員会」とあるのは、「評価委員会及び厚生労働省の 独立行政法人評価委員会」とする。ということでございます。  これは、中期目標、中期計画、業務方法書、これらの開始前のそれぞれの承認につき ましては、農林水産省の所管の部分については農林水産大臣、厚生労働省の共管の部分 につきましては厚生労働大臣も承認するということで、それぞれの大臣の承認をもって 承認するという形でございます。  前回、全部をまとめて農林水産省という説明をしたかと思いますが、そこは私どもの 誤りでございます。この事前の承認につきましては、それぞれの大臣が認可するという 形でございます。その点につきまして訂正しお詫びを申し上げたいと思います。  第2項にございます評価並びに勧告につきましては、農林水産省のほうがまとめまし て、農林水産省の独立行政法人評価委員会が厚生労働省の評価委員会の意見を聞いて、 農林水産省の評価委員会がまとめるというような形でございますので、その辺をちょっ と補足してご説明をさせていただきました。  資料の5でございます。今後のスケジュールです。本日、9月16日に第2回の開催で す。これをもって中期目標、中期計画、業務方法書の審議・承認ということでございま す。10月1日に法人の設立という運びを考えております。  その後です。11月から12月にかけまして部会を2回ほど開催させていただければと考 えております。内容につきましては、評価基準等の検討をいただきたいということでご ざいます。16年7月から8月にかけまして更に部会を2回ほど開催させていただきたい と思っております。これにつきましては15年度の実績が出てまいりますので、まさに11 月から12月に定めました評価基準に則りまして、15年度の実績評価をいただくというこ とで考えております。以上でございます。 3.閉会 〇正置部会長  ありがとうございます。資料4と5についてご意見ありませんか。では全体を通じて 何かございませんか。  本日はこれで終了いたします。ありがとうございました。                                      以上 照会先:政策統括官付政策評価官室 政策評価第二係 電話 :03-5253-1111(内線7780)     年金局企業年金国民年金基金課 国民年金基金係     03-5253-1111(内線3325)