03/09/12 第4回社会保障審議会介護保険部会議事録          社会保障審議会 第4回介護保険部会議事録 1 日時及び場所    平成15年9月12日(金) 15時から17時    東条インペリアルパレス 2 出席委員    貝塚、上田、市川、漆原、大村、小川、木村、見坊、潮谷、下村、田近、永島、    中村、秦、花井、矢野、山崎、の各委員    喜多、京極、西島、山本、の各委員は欠席 3 議題 (1)介護保険制度の運営状況等の検証(その3)     保険給付・要介護認定の状況等について (2)その他 ○ 山崎総務課長より、人事異動の報告 ○ 渡辺企画官より、資料2に沿って説明 (小川委員)  今回、神奈川県の介護支援専門員協会で、4月以降のケアマネージャーの実態調査を したので報告したい。最終結果報告は、11月下旬くらいに出す予定である。  調査によれば、ケアマネージャーの専任職員が担当する利用者は50件以上が36%を超 えている。介護報酬が増額された4月以降も事業所は赤字になっている。残業・休日出 勤を両方せざるを得ない者が35.6%おり、残業あるいは休日出勤のみと合わせると、 83.8%が時間外勤務をしている。1か月の残業時間は11時間以上40時間未満が36%で、 休日出勤は9日が一番多い。多くのケアマネージャーは、運営基準に沿った支援を行い たいと思っているが、時間外勤務、休日出勤の中で、やっと利用者の支援を行っている 状況が見てとれる。  こうした状況は、ケアマネージャーの力量不足や質の問題というだけではなく、求め られている仕事の量と質から限界にある。今回の改定単価の中で、自立した介護支援事 業所としての確立は非常に難しいのではないか。最終的な調査結果報告は11月を予定し ているので、是非ケアマネージャーの実態を把握してもらいたい。  日本生活協同組合連合会が、利用者の視点でアンケート調査を行った。調査結果で特 徴的なのは、(1)利用者主体のサービスの質の確保(2)介護保険外のサービス提供の環境 整備。  このことは要支援、要介護1,2が増大しているということからも、保険外のサービ スの環境を整備することで、介護保険を使わないことへの対応を考えることは重要。  そして、そうしたサービスを地域で担っているNPO等の活動を育成することが急が れる。  (3)制度施行後、特に報酬改訂後の情報提供のあり方。これについては現場にいても感 じることだが、制度施行前後に比べると、報酬改定時以降の情報がなさすぎる。保険料 も上がっていることに被保険者に説明がほとんどなされていない。サービス利用者は情 報弱者であることを忘れないように。(4)福祉事業に携わる人材育成環境の問題となって いる。  人材育成等の環境整備については、ホームヘルパーの現場はぼろぼろになっていると いうのが実情。転々と職場を変えているが、走りながら考える介護保険に、また事務作 業量の増大に福祉職が本当に潰れていっている。  アクセスフリーの移動サービスや配食サービスなど、いわゆる介護保険外のサービス をどのように作っていくのか。財源に合わせてサービスを調達するのではなく、ニーズ に合わせて財源を配分するという議論であるとしたら、生活者のニーズとして、食事サ ービスや移送サービス等はかなり求められている。  「2015年の高齢者介護」については、アタマでは非常によく分かるし、それを求めた い気持ちは利用者の本意と思っている。しかし、どう実現するかが書かれていない。本 部会で2015年のペーパーをどのように活用するかも、横に置いておくわけにはいかない 問題として意識を持って当たっていきたいと思っている。 (木村委員)  8月31日に全国介護支援専門員連絡協議会が設立された。4月に介護報酬改定等もあ ったので、この全国組織を使って介護支援専門員の業務実態調査を開始し、本部会に報 告したいと考えている。 (潮谷委員)   各都道府県で要支援、要介護1の認定者の割合に大きな差が出てきている。都道府県 単位でこれだけの差が出てくる要因は何か。例えば申請者の割合が高いからか、サービ スの基盤整備と関係するのか、認定審査会の判断に差があるのか。要因をきちんと検証 していくことが、今後の要介護認定についての方向性を見極めていく大変大事な部分で はないかと思う。  熊本県では、各圏域代表市町村の介護保険担当者と勉強会を行っている。この中で、 要支援者に対する介護サービスは本当に介護保険制度の中で対応しなければならないの かという疑問も出てきている。その前提条件には、地域福祉計画がこれから在宅支援の 中でどのように機能していくのか、ボランティアやNPOとの横のつながり、こうした ものも含めて、介護保険制度の中で考えていくべきなのか、枠外で考えていくべきなの かを今後、掘り下げて考えていかなければならないと思っている。  気がかりなのは、第3回の資料にあった要支援者の48.9%が2年後に重度化している というデータである。介護保険のサービスが、本当により良い形のサービスメニューと して提供されているのかを検証していかなけばならないのではないかと思っている。  ケアマネージャーが、自分が出しているケアプランの質を検証するような能力や第三 者機関によってきちんと評価されるような仕組みがなされないとだめだ。サービス担当 者会議の開催無しが23.4%という極めて気にかかる状況が見える。ケアマネジメントの システムが機能していないのではないか。国レベルでもこの辺はきちんと押さえていか ねばならない。  介護報酬が4月から引き上げられたが、本当にその報酬がケアマネジメントに専念で きる報酬なのか、あるいは50人という件数が妥当であるか。この辺も今後大変大きな要 素になってくるのではないか。資料から推測すると、ソーシャルワークやケアワークの 時間は、個人のレベルでは生み出し得ていないのではないか。言葉を悪く言えば、ケア マネージャーがその日暮らしに陥らざるを得ない状況があるのではないか。こういった 点を検証していかねばならない。  附則2条の介護保険の対象者の範囲については、障害者を入れるかどうかを含め、検 討に着手すべき。保険料を納める対象年齢をどうするかという問題は、実態をしっかり 見極め、本当に納めることができるという観点から、対象年齢の拡大をやらなければな らないのではないかと思う。  これまでの各委員の意見を、カテゴリー別に整理していただきたい。 (麦谷老人保健課長)  要介護認定者の認定率が都道府県によって異なることについては、高齢化率と認定率 との間には相関はないと考えるが、申請者の多いところが認定率も高いということは分 かる。例えば審査会の質によって認定率が違うのではないかという御指摘については、 検討はしてみたい。 (大村委員)  二次判定における変更割合が都道府県によって異なる。これがどうして生じるのか。 二次判定において、裁量みたいなものがどの程度作用しているのかを調べていただける とありがたい。一次判定と二次判定で評価が変わることについて、異議を申し立てる機 会が制度的にどのように保障されていて、現実にどのようにワークしているのかを教え ていただきたい。 (麦谷老人保健課長)   前者については、30ページの上の棒グラフを見ると分かるが、実際に変更率は下がっ ているので、少し精度がよくなったと思う。21ページを見ても新しいソフトの方が一 次判定はよくなっているが、二次判定で変更になる要因は、まだ詳しく分析していない ので、これから分析しようと思う。後者の不服審査の状況については調べて資料を提出 する。 (見坊委員)  ケアマネージャーについてしっかり検討し対策が進められない限り、介護保険制度の 内容は楽観できるものではないと思っている。ケアマネージャーの現在の実態は非常に 複雑であり、今後方向づけをするのは難しいものがあるだろう。非常に質のよい事業所 に所属するケアマネージャーとそうでない者とがはっきりしている。  制度発足時は、繰り返し説明会や学習会が行われたが、3年たってみるとチラシ一つ も配布されないという状況になってきた。最近、アンケート調査をやって問題意識を探 っているが、保険料に関する関心は非常に高くなっている。  要支援と要介護1は、ちょっと勧められて認定を受けると要支援になるのは難しくな い。要支援、要介護1になると、お迎えの車が来て、おやつ付き、昼食付き、入浴サー ビス付き、ボランティアの方が大変親切にしてくれる。これではリハビリテーションに なっているのかどうか分からない。月6万円の収入を狙って入り込んでくる業者もいる 。いわゆる悪徳商法だ。これが現在、だんだん広がりつつある。貴重な介護保険の財源 が不正に使われており、これが制度に対する信頼感を失わせる大きな要因になっている 。これを放置してはならない。  京都府では、十数件の不正請求事件によって8億円の財源が不当に使われた。指定事 業所の規制について何か対策が必要。請求がおかしいと思ったときに調査権限が県には っきり法律上ない。わざわざ裁判を起こさないと返還請求ができないという実態だ。指 定を取り消されても他の県で指定の申請する作戦を立てているそうだ。指定取消の実態 については、先般の課長会議において、かなりのデータが発表されている。どの県でど ういう事業者が取り消されたか。当然これらの対策については、新しい制度見直しの段 階でやる必要がある。このためのプロジェクトチームが必要ではないかと思っている。 できれば資料の提供を次回お願いしたい。 (貝塚部会長)  経済学者の立場からニュートラルに言えば、保険制度にはモラルハザードがあり、制 度を乱用する人が発生するということの一例だと思うが、この制度でもあり得るという ことですね。 (下村委員)  今の話は、審査支払いがどう行われているかという問題と非常に関連性がある。医療 でも不正や審査の問題がよく出るが、医療は実は中身を見ると医療そのものとして正当 に行われているかどうか、ある程度判断ができる部分がある。審査や請求書を点検する ことは限界があって問題はあるが、ある程度の可能性はある。しかし、介護はそれがで きるかという問題がある。  介護の審査はケアプランに適合しているものは払うという形で行われているので、ど ういうケアが必要か、どういう介護が必要かは実際に調べないと分からない。一般的に 請求がケアプランに適合していればそのまま払われているのが現状だ。今度の見直しの 中で不正をチェックできる、制度的に担保できる方法があるかどうかは非常に大きな問 題だと思う。資料を配っていただけば分かると思うが、皆、何らかの内部告発があって 不正が分かったというケースではないか。現在の仕組みで系統的に不正の発生をチェッ クできる仕組みはないのではないか。  医療費は昔から西高東低と言われ、西が高いと言われているが、資料25ページの表な どを見ると介護でも西が高い。医療の需要が多いところが介護の需要も多いふうにも見 えるが、その辺について何らかの調査や関連性を検討したものがあれば是非欲しい。  論点整理では、一応漏れなく今まで出た論点は挙げてほしい。  今の60%とか30%という伸びはとても保険料がついていけないと思う。そうすると、 何ができるのかという側面からの問題が当然出てくる。あるいは、どういうサービスは 必ずやらなければいけないかという議論をしなければいけないと思う。 (山崎総務課長)  全国会議の資料は後でお配りする。今回の介護保険は在宅を大変強化したもので、こ れだけの在宅サービスを展開しているシステムはある面で初めてのものである。したが って、在宅サービスのチェックは今までの医療保険と違って全く新しいテーマであり、 非常に大事な部分ではないかと考えている。 (山崎委員)  要介護認定については、今回の新しいソフトはかなり精度が高まってきたようだが、 早めに痴呆を含め新項目の妥当性についてのデータ、第一次ソフトの精度の検証といっ たデータを是非開示いただきたい。ただ、ソフトがバージョンアップされても使う側が 課題だ。訪問調査員は、公平、透明という理念に基づくと民間事業者に委託しない方が よいのではないか。  認定率の地域差は、第一次判定よりも第二次判定に課題があるのではないか。例えば 、合議体の長の職種を見ても大変偏りがある。かかりつけ医の意見書もまだ見直しが必 要ではないか。認定審査員の研修はどうなっているのか。私の意見としては、限りなく 第一次認定のソフト精度を高め一次判定に重みづけをして、二次判定は非常に難しいケ ースや困難なケース、または特異的なケースのみを行うことで、認定に関わる事務費 600億円も抑制できるのではないか。  ケアマネージャーとケアマネジメントについては、介護給付費の増加ということでは 在宅が69.1%伸びているが、給付費で見ると圧倒的に施設だ。在宅のケアプランが在宅 を維持できるケアプランになっていないのではないか。  医療経済研究機構で在宅継続因子を分析した調査研究があるが、在宅を継続できてい るということではケアプランがしっかり立てられているし、ケアマネージャーの質の点 では突発事故に対応できるケアプランの仕組みになっていないことが指摘されている。 要介護度が高くなると身体状況の変化や突発事故が出てくるが、そういったことにケア マネージャーがどのように対応しているのか、多分対応していないのではないか。特に 、訪問看護やリハなどの適切な組合せもこの研究では指摘されているので、ケアプラン の検証もきちんとしていただきたい。  健保連の調査によると、入所者の4割は適切なサービスがあれば在宅が可能なレベル で実は施設に入っている。ケアマネージャーのスキルアップに加え、在宅サービスの単 位や回数を是非、制度見直しの中で見直さないと、在宅へのインセンティブというのは 家族介護の評価もそうだが流れができないのではないか。  私どもは施設サービスの医療ニーズの調査を行ったが、この3年間施設の中での医療 ニーズも実は高まってきている。だが、まだまだケアに課題があるのではないかと思う 。  給付費の増加は確かに大変な問題だが、適正化ということで安易に抑制するのはいか がなものか。まだまだ介護保険は支給限度額の4割ぐらいしか使われていないので、現 行の給付費の中での安易な抑制は、サービスの質を落としていくことにつながっていく のではないか。訪問看護、リハなどのサービスの量的整備も必要であり、安易な抑制は していただきたくない。 (秦委員)  一番大事なのはケアマネージャーの養成だと思う。皆、飛び回っているのが実態で、 ケア担当者会議などはやはり行っていない。是非ケアマネージャーの担当人員の目安を 50人ではなくて30人にするというふうに考えて欲しい。 (矢野委員)  地域差は本当に大きな問題だと思う。とりわけ、被保険者数に占める要介護認定者に 対する問題意識は全く私も共通だ。できる限り原因分析をしていただきたい。結局それ が負担の仕方とか認定基準の見直しにつながっていくと思う。  給付の伸びについては、利用者数の急増がその原因になっている。増え方が非常に大 きい。給付を考えるときには、常に負担も一緒に考えなければならない。まだ発足して 間もない制度であるだけに、なおさらしっかりした見方を持っていく必要がある。  審査会の在り方について、保険者の代表も審査会に入るべきではないかと思う。また 、「その他」という欄の中身がわからないので、お伺いしたい。  ケアマネージャーが何のために残業しているのかを調べて欲しい。いわゆるデスクワ ークで相当取られているようだ。ある程度は、標準的なコンピュータソフトを作るとい った形式化が可能だと思う。ケアマネージャーの質をどうやって向上していくのかを考 える必要がある。  サービスの第三者評価というものを論議し、真剣に考える必要があるのではないかと 思う。  資料に今後の給付と負担の見通しがあるが、もっと詳しいデータをいただけないか。 (漆原委員)  地域格差の問題が随分出ているが、こういう議論でも被保険者である利用者と事業の 提供者の対立構造というか二極体制になっていくが、その地域ごとに運営をコントロー ルする保険者の機能を確立することが重要。  審査会の効率化について。もう少し一次判定の精度を高めたり、初回の判定と更新認 定の在り方を少し変えるとか、ポイントを押さえた意見書にするとかが大事ではないか 。力を入れてしっかりさせるところと少し簡略化していくところが必要と考えている。  要支援、要介護1・2の軽度の人が比較的増加が著しい。自立支援という観点や、介 護予防をするという観点のサービスを重点的に提供することが必要ではないかと思う。 (中村委員)  要介護度の改善がどうなされているかという検証が一番重要だ。要支援層を介護保険 の枠内でやるか、枠外でやるかという議論が今後の法改正の主要議題になりそうだ。そ れだけに、要支援、要介護度1・2の検証が必要と思う。介護予防がどうなされている のか、自立支援がどうなされているのか、リハビリ的なものが必要かどうか、全国的な 検証が必要である。日医総研が島根県の一部で要介護度改善のデータを出しているよう だが、要介護度改善の実態調査はいまだに全国的規模で実施されていない。それだけに 計画課長、よろしくお願い致します。  前回発言させていただいたが、施設利用者の低所得者の利用状況がどうなっているか 。今後介護保険改正の中でホテルコスト、食費の自己負担等の問題が出てくる。それだ けに低所得者の利用実態状況のデータは不可欠である。データが無いならいつごろ詳し く調査いただけるかご回答いただきたい。低所得者の皆様は多く不安を持っている。低 所得者対応は重要だ。 (石井計画課長)  中村委員から、これまでの当部会の御議論に際して何点か御指摘あるいは資料の御要 請があったことは十分認識している。本日までの資料でお出ししなかったのは、私ども の準備なり、テーマに照らしての資料の選別という事情なりがあった関係であり、また 次回以降の部会の中で適切なタイミングでお出しできるものを用意したいと思っている 。 (山崎総務課長)  要支援1の検証は、どういうふうなやり方があるかを含めて少しお時間をいただきた いと思う。かなり難しい面があるが、重要な課題なので少し考えさせていただきたいと 思う。 (田近委員)  今日の議題設定というものが非常にあいまいだ。  地域格差の問題については、認定があって利用があって給付があるわけだから、議論 としてはもう一つ詰めないといけない。実際に同じ認定率でも給付には格差がある。実 質的にこの辺は誘発的な事情があるのではないか。誘発的な事情というのはベッド数と か施設が実は説明しているのではないか。これは技術的なこともあるので検討すべき。  本来だったらこういう話は我々がするまでもなく保険者が説明してくれるはずだと思 う。制度の乱用、ケアマネ、それから介護度が改善していくことに保険者のフィードバ ックがないというのが最大の問題だ。我々が何故、保険者に代わってこんなに心配しな ければならないのか。保険者が本来こういう問題を提出して、「自分達のところはこん なにやったけれども駄目であった」というのがあるべきだ。だから、全国の市町村に保 険者としての機能を改善できるキャパシティがあるかどうかは問わなければいけないだ ろう。  居宅が増えていて、グループホームとか特定施設が増えている。施設のベッドの数が 限られており、その吐け口として増えていくのだから、ある意味で当然である。2015年 の報告書でも流れとしては同じだが、このまま増えていけば財政的に賄えないのではな いか。  一番言いたかったのは、保険者にもっとしっかりしてもらいたい。その声を聞きたい 。保険者を超えた問題としては、特定施設やグループホームやユニットケアは増やさざ るを得ない。そのときに今の仕組みがついて行けるのかがおそらく最大の問題で、この 背後にあるのは堀田先生たちの報告書があり、流れとしてはその方向に行くだろう。お そらく行かざるを得ないのだろうけれども、それが今の形で突っ込んでいったらやって いけるのかが論点ということだ。 (上田部会長代理)  要介護認定について。今回の改定で確かにある程度は良くなっていると思う。ただ、 より本質的な問題が残っている。それは、要介護度だけを切り離して論ずる訳にはいか なくて、給付限度とサービスの三者が密接に関係している。それを全体として考えなけ ればいけない。  現在の要介護度を決めるのは、本人が不自由でできないことを手助けすることに中心 を置いたものだが、それだけではいけないのではないか。生活機能を良くするというこ とに関する要介護度というものが必要であり、その2つを定める必要があるのではない かということだ。  今までの制度とかサービスの在り方を見ると、良くするということではなくて、現在 不自由なことを手助けすることに実際は限られている。しかし、介護保険法でも第2条 で保険給付の目的は要介護状態の軽減、悪化の防止、要介護状態の予防であるとはっき り書かれているが、現実にはそれができるような仕組みにはなっていない。我々の経験 から見ても生活機能全体を良くすることは可能だし、保険の負担も軽減できるという大 きなメリットがある。  したがって、サービスを大きく2つに分けて、不自由なことを手助けすることを中心 とするサービスと、生活機能を良くするサービスを区別して、後者をもっと促進するよ うなシステムを作る必要がある。そのためには、必要度をよく考えてみると、不自由な ことを手助けするサービスは重度になるほど増えていくが、生活機能を良くするサービ スの必要度は必ずしもそうでない。むしろ逆の場合も十分考えられる。実態調査が必要 だ。2つの要介護度というものを考えて、給付の限度額というものを2種類考える。そ ういう別体系を考えていく必要がある。 (花井委員)  介護分野で働く人たちの労働条件がどうあるべきかということを是非検討いただきた い。  要介護認定については、第一次判定に大変問題が出ているということを聞いている。 引っ越して地域を変わったら介護認定が違うことが多々あるようだ。認定調査員の研修 が、具体的にどのように行われているのか。そこが大変重要じゃないかという指摘がさ れている。  ホームヘルパーからすると、ケアマネが作成したプランが利用者の実態に合っていな い場合が結構多く見られるという話が出ている。特記事項の見直しが必要ではないか。 また、認定を申請したときに申請前に福祉サービスを使っていたならばそのことも特記 事項に書くことが必要ではないか。更新時にヘルパーの意見を記載できないかというこ とも検討いただきたい。  ケアマネジメントについては、アセスメントが行われていないという話もよく出され る。ケアマネが作成する書類の中に、サービス利用後どういう状態になったかを追加し てはどうかという意見もある。資料にケアマネの人数が出ているが、私どもが聞いてい る実態と相当かけ離れている。1人のケアマネの方が70、80ケースを持っている例がほ とんどだと聞いている。もう少し実態的な数字があればと思う。現場の声としては、40 ケースが全員の顔が思い浮かぶ範囲と聞いている。是非ともそのことも今後の検討課題 としていただきたい。ケアマネの質の向上については、是非、全国共通の教育訓練だと か研修の在り方も検討していただきたい。  福祉用具貸与について、提出いただいた資料の中で、要支援に体位変換器の貸与とい うのがどうしてそのような実情があるのか、分かればお教えいただきたい。  老健や療養型病床にいる低所得者のお年寄りが出て行く住宅がない。住宅政策が欠け ているため、現場の人が本当に頭を悩ませている実態がある。古い住宅を改築しようと しても、相当厳しい規則があってなかなか高齢者介護用の住宅が作れないという話も聞 く。住宅政策の在り方の問題もどこかで検討する場ができないのか。 (市川委員)  現場サイドの問題でヘルパーの問題、私ども事業者の問題は論点整理に入っていない と困る。これは本当に事業者は悪いというようなことだけが出ているが、事業者サイド での問題が出ていないので、次回に順次取りまとめて出したいと思っている。 (貝塚部会長)  今回で一応検証が終わった。この制度は新しくできた制度であり、もともとインフラ があるのかないのか分からない。インフラを作りながらやっていって、多分医療機関も 関係するし、かなり複雑なインフラになっている。法的な問題もいろいろあるとは思う 。だから、相当いろいろな論点がたくさんあって、これを整理していくのはかなり難し いことは難しいが、切り口をうまく見つけて、今まで議論されたことをなるべくうまく 集約して論点を整理したい。 ※事務局より次回開催のご連絡 ※貝塚部会長より閉会の宣言 照会先  老健局総務課企画法令係  TEL03-5253-1111(3909)