03/09/09 社会保障審議会児童部会第11回議事録                社会保障審議会児童部会                  第11回議事録              厚生労働省雇用均等・児童家庭局            第11回社会保障審議会児童部会議事次第           日時:平成15年9月9日(火)10:00 〜11:53           場所:厚生労働省共用第7会議室 1.開会 2.児童部会における主な論点事項と関連する指摘事項および方向性(案)について 3.その他(「平成16年度雇用均等・児童家庭局予算概算要求の概要」等の報告につい   て) 4.閉会 ○岩男部会長  おはようございます。それでは定刻になりましたので、第11回「社会保障審議会児童 部会」を開催させていただきます。  本日は大変お忙しい中を御出席いただきまして、ありがとうございました。  まず、本日の出席状況について、事務局から御報告をお願いいたします。 ○中村総務課長  本日は、山崎委員が所用により欠席という御連絡を受けております。渡辺委員は追っ てお見えになると思います。 ○岩男部会長  ありがとうございました。それでは次に、事務局についてでございますけれども、先 月、厚生労働省の人事異動がございましたので、新しく就任された方々の御紹介をお願 いいたします。 ○中村課長  それでは、先般の人事異動によりまして、新しく就任しました事務局のメンバーを御 紹介させていただきます。  まず、雇用均等・児童家庭局長の伍藤でございます。 ○伍藤雇用均等・児童家庭局長  伍藤でございます。何とぞ、よろしくお願いいたします。 ○中村課長  大臣官房審議官雇用均等・児童家庭担当の北井でございます。 ○北井審議官  北井でございます。この世界ではお医者様の北井先生の方が有名かと思いますが、私 は旧労働出身の北井でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○中村課長  それから、家庭福祉課長の山田でございます。 ○山田家庭福祉課長  よろしくお願いします。 ○中村課長  保育課長の唐澤でございます。 ○唐澤保育課長  家庭福祉課長から異動いたしましたので、またよろしくお願いします。 ○岩男部会長  ありがとうございました。それでは、議事に移りたいと思います。  本日はまず「児童部会における主な論点事項と関連する指摘事項および方向性( 案) について」を議題といたします。  前回の部会で実施いたしました関係団体からのヒアリングの内容も踏まえまして、事 務局から各論点事項ごとに、これまでの主な指摘事項と、それから大まかな方向性を整 理した資料を提出していただいておりますので、これについて事務局から、まず御説明 をお願いいたします。 ○中村課長  それでは、資料1をごらんください。  今、部会長からお話ございましたように、資料1はこれまで当部会におけます主な指 摘事項を各論点事項ごとに整理をいたしますとともに、そうした指摘、あるいは前回実 施しました関係団体からのヒアリングの内容を踏まえまして、それぞれの論点事項に対 しまして、大まかな方向性を整理してみました。とりまとめに向けての議論のたたき台 としていただければと思っております。  まず、全体といたしましては13項目、主な点でいいますと12項目でございますが、そ れぞれについて、主な指摘事項につきましては省略をさせていただきまして、大まかな 方向性について、それぞれの論点事項ごとにちょっと説明をさせていただきます。  まず最初は「○今後の児童相談における『都道府県・市町村の役割、児童相談所のあ り方等』の見直しに関する基本的な考え方」ということでございますが、2ページでご ざいます。  これからの児童相談における都道府県、市町村の役割、児童相談所の在り方等の見直 しに当たりましては、関係機関の現状を踏まえつつ、サービスの利用者、住民でござい ますが、そうした利用者の視点に立って検討することが必要である。  2つ目といたしましては、サービスの利用者の視点に立った場合、地域住民に対する 保健及び福祉のサービスについては、身近な市町村においてできる限り提供されること が望ましいという基本的な考え方の下、これについては、1つは平成2年に福祉8法の 改正がございましたし、また、平成5年には地域保健法の制定、更には平成12年の社会 福祉基礎構造改革と、こうした流れがあるわけですが、これまでも保健福祉サービスの 提供について、都道府県から市町村への権限移譲、あるいは市町村の役割強化が行われ てきたということでございます。  3点目といたしまして、児童福祉の分野については、これまで保育所などの一部の分 野を除きまして、児童相談所を設置する都道府県、これには指定都市も含まれるわけで すが、主たる担い手となってきました。  しかしながら、こうした保健福祉行政の一連の流れの中で、児童福祉の分野につきま しても、児童虐待への対応に係る行政権限の発動等、一定の特殊性はあるものの、基本 的にはできる限り身近な市町村におけるサービスの提供が望ましいということについて は例外でなく、今般成立をいたしました児童福祉法の一部を改正する法律におきまして も、すべての子育て家庭における児童の養育の支援をするということのために、市町村 における子育て支援事業の実施が位置づけられたところでございます。  4点目といたしましては、児童相談の内容につきましても、質、量ともに大きく変化 をしている中で、すべての児童相談を児童相談所のみが受け止めて対応することは、必 ずしも効率的ではなく、多様な機関により、きめ細やかな対応が求められるようになっ てきているということでございます。  5点目といたまして、こうしたことを踏まえますと、今後の児童相談の在り方として は、できる限り身近な市町村を主体としつつ、行政権限の発動等の役割、あるいは専門 性を踏まえた部分につきましては、都道府県、これには児童相談所とか保健所等がある わけですが、そうした都道府県との適切な役割分担を考えることが必要であるという整 理をしております。  最後に、その際には、市町村と都道府県とのより一層の連携の強化、特に都道府県、 取り分け児童相談所の専門性の確保・向上等、その機能の強化が必要でありますし、市 町村の取り組みを支援する体制の強化を図ることが必要であろうということでございま す。  更に、医療、保健、法律その他の専門機関や専門職種との連携強化等によりまして、 児童相談所を支援する体制の強化を図ることが必要であるというふうに整理をさせてい ただいております。  次の3ページでございますが「○今後の児童相談所が果たすべき役割、介入機能の役 割の調整」という事項でございますが、下にありますように大まかな方向性につきまし ては、児童相談所においては、援助を基本とした機関としての性格を維持しつつも、市 町村等との適切な役割分担の下、介入機能を強化することが必要ではないか。  そのためには、従来の受容的な関わりを基本としたソーシャルワークのみならず、介 入的ソーシャルワークの技法を開発、確立していくとともに、一定の司法関与の仕組み を導入することが必要ではないかという整理をしております。  4ページでございますが「○児童相談所の必置規制」についてでございますが、大ま かな方向として、1つは、児童相談所が有する強制権限発動の役割や必要とされる専門 性の確保の観点などから、児童相談所の必置規制の緩和については慎重な検討が必要で はないかということで、やはり必置規制は維持する方向ではないかということでござい ます。  2点目といたしましては、地域の実情に応じ、関係機関との統合や連携について、柔 軟な対応がなされるべきではないかということで、既にいろいろな機関と統合的な運用 をされたりという事例もありますけれども、こういうことについては柔軟な対応がされ るべきではないかという整理をしております。  次に「○市町村の役割強化、市町村との役割分担( 児童相談所における業務の重点化) 」という点につきましては、大まかな方向といたしまして、5ページの頭のところでご ざいますが、1つは、子どもと家庭に関する相談については、基本的にできる限り身近 な市町村が一義的に応じるとともに、専門的な指導や判定、一時保護や施設入所措置等 の権限の発動を要するような困難事例に関しては、児童相談所に送致するなど、児童相 談所の業務を重点化していくような役割分担が考えられるのではないか。  2つ目といたしましては、この場合、市町村における取り組みについて、児童相談所 など都道府県が市町村に対する専門技術的な支援、その他の必要な支援を行える体制を 整えるということが必要ではないかという整理をしております。  「○児童相談所の中核市による設置可能化」という点につきましては、1つとして は、住民により身近な相談体制を確保する等の観点から、可能な限り中核市における児 童相談所の設置を促進することが必要ではないか。  この場合、専門性の確保等の観点から、段階的な設置を進めることが適当ではない か。一律に時期を限ってということではなくて、段階的な設置を進めることが適当では ないかという整理をしております。  2つ目といたしましては、中核市において児童相談所を設置する場合には、一時保護 機能の在り方や設置のための準備期間、都道府県、児童相談所等でございますが、それ による何らかの支援などについての配慮が必要ではないかという整理をしております。  6ページでございますが「○障害相談、障害判定、障害児施設入所措置」についてで ございますが、これにつきましては、障害児に関する判定業務や入所措置権限などの行 政権限の市町村への移譲については、専門性の確保や効率性などの課題及び支援費制度 の施行状況も踏まえ、検討することが必要ではないかという整理にさせていただいてお ります。 「○非行児、不登校児等への対応」につきましては、児童相談所において は、要保護性の高い非行児への対応力の強化を図るとともに、関係機関等との連携強化 が必要ではないかという整理にさせていただいております。  「○児童相談所職員の配置の充実、専門性の確保・向上」につきましては、1つは児 童相談所の職員については、引き続き必要な職員体制の確保に努めることが必要ではな いかということと、職員の専門性の確保、向上については、それぞれの地方自治体にお ける人材登用に関するさまざま工夫や配慮、実践的な研修を充実、スーパーバイザー体 制の充実などを図ることが必要ではないかという整理をしております。  「○児童福祉司の必置規制、任用資格のあり方」についてでございますが、児童福祉 司必置規制の緩和については、慎重な検討が必要ではないかということで、必置規制の 緩和はなかなか難しいのではないかという整理にさせていただいております。  児童福祉の任用資格の方については、子どもや家庭に関わる業務に携わっている経験 豊富な人材を幅広く登用できるような検討が必要ではないかということで、教育であり ますとか、保健あるいは医療、更には施設での経験というようなことで、お子さんを対 象として仕事をしておられる方々を広く任用できるような資格にしたらどうかというこ とでございます。  8ページでございますが「○心理判定員業務および名称の見直し」ということで、こ れにつきましては、心理判定員の業務については、虐待を受けた子どもや虐待を行った 親に対する心理療法の実施等の機能を強化するとともに、名称につきましても業務の実 態を踏まえた、より的確なものとする方向で見直しを検討することが必要ではないかと いう整理をさせていただいております。  「○一時保護所のあり方、混合処遇緩和のためのシェルター機能の分散」という項目 でございますが、これにつきましては、1つは、児童相談所に付置することが原則とさ れている一時保護所、機能でもいいかもしれませんが、そのものの在り方について、他 の児童福祉施設等との機能分担を含め、検討することが必要ではないかということ。  2つ目といたしまして、当面、特に処遇上の課題が多いとされる、虐待を受けた児童 と非行児との混合処遇の緩和の観点から、児童自立支援施設や里親の活用方策なども検 討することが必要ではないかという整理をさせていただいております。  最後に「○関係機関との役割、あり方検討( 福祉事務所( 家庭児童相談室) 、児童家 庭支援センター等) 」ということでございますが、ここは2つ整理をさせていただいて おります。  1つは、地域の実情に照らし、必要に応じ、郡部福祉事務所、家庭児童相談室という ことですが、その機能強化、児童家庭支援センターの設置促進や機能強化を図ることが 必要ではないかということ。  もう一点は、主任児童委員については、必要に応じ、児童虐待その他の個別のケース に関する直接的な援助活動を行うなど、積極的な活用を図っていくことが必要ではない か。連絡調整だけでなく、個別のケースに主任児童委員にも関わっていただいたらどう かという整理をしております。  以上でございます。 ○岩男部会長  ありがとうございました。  それでは、ただいま御説明がございました資料に基づいて、議論を進めていきたいと 思います。大体、11時40分ぐらいまで御自由に御議論をいただきたいと思っておりま す。  ですから、今、御説明ございました13ですか、その項目に整理されておりますので、 順不同でもよろしいんですけれども、できるだけ最初に基本的な考え方から順に始めて いってはいかがかと思います。  まず、この基本的な考え方について、大まかな方向性がここに示されておりますけれ ども、この辺りで何か御意見ございましたら、御自由に御発言いただきたいと思いま す。  柏女委員、どうぞ。 ○柏女委員  それでは、今、御報告をいただきましたものについて、全体的なことと、ちょっと個 別的なことと併せてよろしいでしょうか。  ざっと気が付いた点ということで申し上げさせていただきたいと思いますが、今回、 児童相談所におけるという書き方になっておりますが、これが児童相談なのか児童福祉 のサービスの供給体制の在り方なのか、そこはちょっと明確に分けておかなければいけ ないのではないかなというふうに思っています。  今回、出されているのは、児童相談というのは多分、例えば社会的養護サービスと か、あるいは保育サービスと同じように地域相談サービスということで、サービスの中 身のことを言っているわけで、その供給体制というのはそれをどういうふうに供給をし ていくかという考え方の基盤整備の話なので、そこは分けて考えなければならないんで すが、ここではやや児童相談という言葉がサービス供給体制ととらえられるのか、ある いはサービスとしてとらえられるのか、そこがちょっと混乱をしているように思います ので、その点は整理をする必要があるのではないかというふうに思います。これは全体 的なことです。  もう一つは、もしこれがサービスの児童相談ということであれば、その他の、今、松 原委員などが行っていらっしゃる社会的養護サービスの在り方、次世代育成支援関係で 行われている保育や子育て支援サービスの在り方、更に虐待の防止サービスの在り方、 いろんなところでサービスの在り方それぞれがばらばらに論じられているところなの で、それを統合する供給体制の在り方ですか、それを別途論じられなければならないの ではないかというふうに思います。  そのときには、いずれそれぞれの分野で行われてきた改革の方向を統合させるような 形で考えていかなければならないのではないかというのが全体的なことです。  細かなところにちょっと入らせていただいてよろしいでしょうか。 ○岩男部会長  どうぞ。 ○柏女委員  それでは、5ページのところなんですけれども、5ページの市町村の役割強化のとこ ろでありますけれども、「(おおまかな方向性)」のところで、基本的にここの書きぶ りは市町村と児童相談所というのが、言わばやり取りの関係になっているんですね。  3行目に例えば「児童相談所に送致する」ということで、児童相談所にお願いをする と。そうしますと、今度、市町村は手を引いてしまうわけです。ここでいろんなそごが 生じるといいましょうか、そうなので、ここに送致と、言ってみれば両方とも一緒に なって応援していくという、その仕組みがないとならないのではないか。  今の社会的養護に占める問題点は、保護自立支援系が都道府県で行われていて、そし て、その家庭の再構築系の支援が市町村とネットワーク型援助ということになるわけで すが、そこがお互いのやり取り関係になっているために、向こうはやっているつもり、 こっちはやっているつもり、あるいはその夏期帰省などで子どもが戻るとして、今、 戻ってきているのという話になってしまって、お互いがお互いのこと知らないために間 にエアポケットが生じてしまう。それで子どもが亡くなってしまうという問題が起こっ ておりますので、ここを共同の進行管理のような、共同支援のような仕組みに変えてい かないとならないのでしはないかなというふうに思っています。  もう一点は、8ページですけれども、8ページの「○心理判定員業務および名称の見 直し」の大まかな方向性なんですが、この2行目で心理判定員が心理療法の実施等の機 能を強化するという形になっているんですが、これは恐らく児童相談と児童福祉サービ ス供給体制の混同が行われているために、このような書き方になってしまっているので はないかなというふうに思うんです。  心理療法というのは具体的な相談サービスですので、これは行政機関である児童相談 所で必ずしも行われる必要はない。ある程度は行われる必要はあるかもしれませんが、 そうではなくて、例えば病院とか、あるいは情緒障害児短期治療施設とか、あるいはそ ういう心理療法関係の施設で行われていけばいいのであって、児童相談所がこういう直 接的なサービス提供というのを本格的に担うという形の書き方は、やはりこれは相談 サービスと行政の基盤整備の混同ではないかなと。  ただ、これが今、社会的養護の分野で議論をされていて、例えば心理療法の実施とい うものが社会的養護の分野でほとんど行われないという結論になるのであれば、児童相 談所でこれをやらざるを得ないということになりますが、その分野を例えば社会的養護 の委員会の方で、その心理療法の実施等について、そちらの分野で例えば新たな施設を つくるとか新たなサービスをつくるというような形でやっていけば、児童相談所につい てはこういう書き方は要らないのではないかというふうに、相互の調整が必要になって くるのではないかなというふうに思います。  とりあえず、そんなことを感じましたので御報告させていただきました。 ○岩男部会長  ありがとうございました。第1点目のサービスの内容、あるいはその体制の問題につ いては事務局の方から何か御発言ございますか。 ○中村課長  今回は児童相談という言い方で、確かにサービスの提供の分も含めた形で少し混在す るような形で書いておりますけれども、基本的にはサービスの提供といいますか、サー ビスの事務を県のレベルというよりは市町村のレベルで、行政が直接提供するというよ りは、多様な主体による提供も含めて整備していこうということと、それからそれらの サービスをコントロールする仕組みを市町村にできるだけ担ってもらおうということを 整理したかったので、そこは誤解があるとすれば、少し言葉遣いについて誤解がないよ うに修文していきたいということでございます。  2点目に指摘をいただいた、やりとりの話については、ここはなかなか責任の分担と いうところでどこまで責任を持ってきちんとやるか、そこを共同でやれるかというとこ ろは法律の書き方も含めて、これからよく工夫をしませんと、我々の方も柏女先生の おっしゃっていることは非常によくわかりますし、そこをどういうふうに権限配分論に とどまらず、うまく整理ができるかというのは工夫のしどころだろうと思いますので、 またいろいろ御相談をさせていただければと思っております。  心理判定員の問題につきましては、ここの場での議論でも児童相談所において、単な る心理判定といいますか、障害の判定のみならず、もう少し虐待等の場面で役割を持っ ていただいたらどうかというような御議論があったので、こういう書き方をしておりま す。今の時点ではいろんなところでこうした機能を強化していくことが必要であり、こ こでやるのでその他は要らないというような状況には、まだないのではということで書 かせていただきました。 ○岩男部会長  柏女委員がおっしゃった、そのやりとりの関係ということについて、今、課長からも 御説明がございましたけれども、ネットワークとか連携ということが盛んに出てきて、 連携ってすごく耳に心地よく響くわけですけれども、危険が同時に存在しているとい う、よほどしっかりした仕組みがない限り、おっしゃったような危険が非常にあるとい うふうに私も思っております。  それでは、ほかに、どうぞ松原委員お願いいたします。 ○松原委員  後でほかの点でも発言しようかと思いますが、ちょうど柏女委員から社会的養護の在 り方の検討委員会の話がでましたので、その点だけちょっと、今、進んでいる検討段階 を踏まえながら発言しておきたいんですが、まだ全体の検討としては、やっと中盤を過 ぎたかなというところですので、例えばおっしゃったような形で新たな施設をつくる 云々というところまで、まだはっきり結論が出でおりません。  ただ、施設として、そういう治療機能は強化をしていった方がいいんじゃないかとい う意見が出ておりますので、その点は、今、中村課長もおっしゃったと思うんですけれ ども、それぞれのやれるところでやろうという、そこでの議論がこちらの報告書に入っ ているんじゃないかなと思いますし、ここでの議論でもそうだったと思うんですけれど も、やはり全国の児童相談所を見て、なかなか一律な像がまだできていなくて、判定だ けで非常に忙しい心理判定員を抱えていらっしゃる児童相談所。  親子で来所をされたときに、子どもを担当する心理判定員がいて、親の方の面接を児 童福祉司がするという役割分担をされている児童相談所もあるという中で、少し実際の 援助場面、あるいは心理的なケア場面の部分で、今、名称として心理判定員というふう に呼ばれている方について、もう少し児童相談所という場の中で活動していただきたい というのが、ここの報告書の中身ではないかなというふうに読んでおりました。  以上です。 ○岩男部会長  いかがでしょうか。ほかにどうぞ御自由に。  どうぞ、津崎委員お願いいたします。 ○津崎委員  6ページの「○非行児、不登校児等への対応」というふうに書いていただいていると ころですが、大まかな方向性の中では不登校児が外れてしまっています。せっかく非行 児、不登校児ということを書いていただいたのであれば、要保護性の高い非行児だけ じゃなくて、要保護性の高い不登校児童も非常に深刻な課題の部分があります。  特に、不登校になって、場合によっては家庭内暴力に移行するようなケースもありま して、家庭の状況が非常にすさんでしまって、機能崩壊に至ってしまうというケースも 実務の中ではしばしば出てきます。そういうケースの場合は教育とか保健、あるいはま た民間レベルではなかなか対応し切れないという実態がありまして、場合によっては緊 急保護をしないといけないというケースも多々あります。そういう要保護性の高い非行 児だけじゃなくて不登校児も、やはり対応は児相が中心になってしないといけないので はないかと思いますので、あえて不登校児を外さずに、非行児、不登校児というふうに 入れておいていただければいかがかなと思います。  2点目ですが、9ぺージのその他事項になっているんですが、いわゆる年長児童の社 会的自立の促進、サポートということです。実はこれはその他事項で処理されているん ですが、非常に大きな問題でして、年長児がやはり社会的自立できなくなってきてい て、それが引きこもり現象の広範な増強になっていたり、今、問題になっています青少 年の非行ですね、渋谷辺りもいろんな話題になりますけれども、そういう現象とも絡ま っていまして、この部分に対する社会的支援の在り方が今、改めて問われています。  そういう意味では、社会的自立を例えば、福祉サイドではどういう形で具体的に支援 できるのかということをもう少し力点を置いて書かないと、福祉のサイドでは余りこの 問題を重視していないのかというふうなことになっても、やはり他省庁との関係も含め て考えると課題の部分かなというふうに思いますので、もう少し力点を入れて書いてい ただくとありがたいなというふうに思います。その2点です。 ○中村課長  では、後段の話からさせていただきますと、確かに年長児の社会的自立というのは非 常に重要な課題でございます。この問題については、むしろ社会的養護の在り方の検討 会の非常に大きなテーマになっております。一方、児童部会の方は都道府県とか市町 村、児童相談所の議論をしている場でございますので、ここについては特段まとめの方 向で書いておりませんけれども、むしろ社会的養護の在り方の検討の中で、大きな柱の 1つとして考えております。  後ほど予算のところで御説明をしようかと思ったのですが、話がございましたので、 参考資料6の15ぺージをちょっと見ていただきますと、これはいろいろな子育て支援策 でありますとか虐待防止につきまして、配偶者特別控除の廃止で出てきた財源を活用し て対応を取ろうという事項のリストになっているわけですが、「( 2) 児童虐待防止対 策の充実」の一番下のDですけれども、年長児童に対する支援ということで自立援助ホー ムの拡充というようなことも予算の中で検討をしていこうということで、柱の一つとし て取り組もうとしておるところでございます。決して年長児童対策の自立の問題を忘れ ているということではなく、真剣に考えようということでございます。  もう一つは、非行と不登校児ということでございますが、不登校児についても確かに 大事な問題でございますから、整理をさせていただきたいと思っております。  なお、非行児の問題につきましては、この部会でも報告いたしましたように現在、内 閣府の方で鴻池大臣を中心にして、関係省庁の局長クラス、有識者ということで津崎先 生にも加わっていただいておりますけれども、そちらの方でも検討が行われております し、なおかつ、社会的養護の検討専門委員会の方でも議論になろうかと思いますので、 そういう議論を踏まえて更に中身を充実しようということを考えております。ここでは 対応力の強化とか、あるいは連携という形で書いてございますが、この部分はそうした 一連の議論を踏まえた形で、更に充実をさせていきたいと考えております。 ○岩男部会長  どうぞ松原委員。 ○松原委員  先ほど、お話しました社会的養護の在り方の検討の方が、まだ全部終わっておりませ んので、そことの関連もあるのかもしれませんが、やはり社会的養護の方の検討委員会 の方でも児童福祉施設と児童相談所との関係、これは措置をする段階、入所をしている 間、対処に向けて自立支援計画を立てていくという、それぞれの場面で児童相談所との 連携ということが話題になってきますので、そちらの方がまとめの中で表現できるの か、あるいは柏女委員がおっしゃっていたように、いろんなものが出そろった中で、改 めて児童部会として大きなまとめをされるときにつくるのか、あるいは今回の全体の文 章の中に入れるのか、その辺はお任せをしたいと思うんですが、児童相談所と各児童福 祉施設の連携の強化ということについて、どこかで入れておいていただけると、それぞ れがそれぞれの思いがあって、なかなかしっくりきていない部分というのが、現実いろ いろヒアリングをしているとあるかと思いますので、どこかで入れていただけるといい かなというのがありまして、それはちょっとこちらの方の在り方の検討が終わっていま せんので、ここでは入れにくいのかもしれません。それ辺の判断はお任せしますが、ど こかの時点でそれを題材として議論していただいて、文章化していただけたらなという ふうに思います。それが1点。  もう一点は、それとは全く、在り方検討委員会とは離れるんですが、全体としてこの 文章でいいかと思うんですが、1つ個人的に心配をしているのは、やはり各都道府県で いろんな状況があると思いますので、ここでもいろいろ段階的にとか状況を見ながらと いうふうに書いてあるんですが、例えば、県段階にいきますと、その県の中での都市へ の集中という状況がかなり起きているところが多いと思うんですね。  そうすると、人口もそうなんですけれども、さまざまな社会資源がそういう都市部に 集中をしてしまっていると。その集中しているところが仮に中核市であるとすると、そ こが児童相談所をつくっていきますと、むしろ県が中核市を応援するというよりは、中 核市の児童相談所の方がさまざまな社会資源をもって、ある種の力を備えてくるという ことで、逆に県の児童相談所をどういうふうに充実、強化をするかということ。  それから例えば、入所施設についてもそうでしょうし、さまざまなその他在宅支援機 能も含めて、どういうふうに児童相談所を持った中核市と特に県だと思うんですけれど も、都はあれですから、道府県がどういうふうに連携をしていくのかということについ ても配慮が必要じゃないかなと、これは感想として感じております。 ○岩男部会長  先生の方の検討の日程といいますか、大体いつごろおまとめになる御予定なんです か。 ○松原委員  当初は9月と思っていたんですが、それではやはりなかなか、9月も実は月2回とい うペースで今進めているんですが、ちょっと難しいかなというふうには考えておりま す。では10月というふうに努力義務というんですか、努力目標で10月には何とか、ここ にも御報告できるような形でまとめたいと思っております。 ○岩男部会長  そうすると、ここが次回が10月3日でございますので、多分間に合わないと、何かそ う言ってしまうとあれですが。 ○松原委員  ちょっとそれは間に合わないかなと。 ○岩男部会長  そういうようなことで、一応わかりました。 ○松原委員  2点目の方は、何か中核市の方で児童相談所が設置可能というところの、ですから5 ページのところですかね、そこのところに、県の児童相談所も併せて機能強化をするこ とと、中核市と県との連携をきちんとするというようなことを入れておいていただけれ ばありがたいと思います。 ○岩男部会長  網野委員、どうぞ。 ○網野委員  今、松原委員からも、いわゆる中核市の位置づけとかお話ありますので、私もちょっ と全体の枠組みで、まだもう一つすっきり理解できない部分がありましたので、それに ついての質問と意見を述べさせていただきたいと思いますが、児童相談の在り方と児童 相談所の在り方、これが両方含まれていると思うんですが、特に今回の指摘の中では2 ページに「今後の児童相談のあり方としては、できる限り身近な市町村を主体としつつ 」と、これがかなり重要な一つの論点になるかと思うんですが、この場合の児童相談と いうもののイメージをできればもう少し明確にしていく必要があるのではないかと思い ます。 例えば、家庭児童相談室もそうでしょうし、さまざま具体的にいろいろ書かれ ているものもそうでしょうし、場合によってはそれぞれ市町村に所在する私立の臨床ク リニックとか、あるいは医療機関なども、場合によっては本当に視野に含めなくてはい けないかと思いますし、そういういろいろな点で考えた場合の具体的な方向性につい て、ひとつそこら辺りを明確にしていただきたいということと、その場合に今回のまと めの方向は、私も基本的に大変賛同いたしますが、具体的にはほとんど児童相談所の方 向だと思います。  そうした場合に、児童相談という中での市町村とか都道府県とか、あるいは児童相談 所というものの、もう少し明確な枠組みが明示されるとより理解されやすいのではない かと。 そうしますと、現在の都道府県指定都市の必置義務というこの規制を前提とし て、中核市の必置義務化的な内容について踏み込む。そうした場合に、全国に3,000 を 超える市町村が児童相談所を設置するということについてはどうなのかということは、 やはりもう少し何か踏み込んだ言及が必要かと思います。  当然、それだけの数の市町村が児童相談所を設置する、従来から議論されていますよ うに専門性の点から非常に疑問が多いというのはわかりますが、市町村を主体として児 童相談を進めるという場合に、児童相談所との関係もそうですし、あるいは市町村で心 身障害関係の判定業務とかということを主体的に行うのか、権限移譲あるいは児童相談 所の一部の役割を委任を受けるような形なのか、その辺りも具体的にはかなりいろいろ なシステムの検討が必要かと思います。  そういう意味では、中核市も含めて、任意設置という考え方はある得るのかどうか、 少し国の行政の立場から、ちょっと御意見を聞かせていただきたいと思うんです。  つまり、必置規制ということの重要性はよくわかりますし、それ以外のところは児童 相談所を設置してはいけないという趣旨が非常に強くあることもよくわかるんですが、 しかし、これだけ今さまざまなニーズの中で、子育て支援とか児童相談の必要性が言わ れている中で、言わば任意設置的な方向で強化していく。これはこれこれの状況、条件 の中で適合すれば市町村、中核市は言うまでもありませんが、設置することができると いうようなことについての検討は、例えば審議会の中でももう少し議論した方がよろし いかと思いまして、その辺りの行政の現在の立場ということで質問させていただきまし た。 ○中村課長  この後の問題について、基本的にはできるところは市町村でやっていただいたらどう かというのは基本スタンスだろうと思うのですが、ただ、児童相談所ということになり ますと、やはり行政権限の行使というような側面がありまして、そこの部分については 従来、都道府県、指定都市で児童相談所を182 、現在設置されておりますが、そういう 仕組みの中でやってきておりますので、行政権限の行使ということについての効率性、 あるいは能力という点から見ると、今回提案をしておりますように中核市ぐらいが今の ところは妥当なところかなと思います。  その中核市についても、この前のヒアリングでありましたように、積極的なところと そうでないところがありますので、一律に実施するということはなかなか難しくて、段 階的な設置ということが現実的ではないかというふうに思っております。  総務省の自治行政局、地方自治法を所管しておられるところとも、いろいろ相談をし ておりますけれども、本来であれば中核市なら中核市、全部一遍に権限移譲するのが地 方自治法の立場からすればきれいですけれども、なかなかそういうことができないとす れば、我々の方は段階的なやり方でもやむを得ないのかなというふうに思っています。  ただ、そうした権限も含めて、すべての市町村ということになりますと、今の実情か ら見るとちょっとまだ距離があるのかなというふうに思っております。  現在、市町村においては合併がいろんなところで進んでおりますので、より強力な市 町村ができれば、またその段階ですべての事務を市町村のレベルでということは、理想 系としてはあり得るのかと思いますけれども、ちょっとまだそこまで実態は整っていな いのではないかと思っております。 ○岩男部会長  今の網野委員のおっしゃっているのは、もし市町村で自分でやりたいというようなと ころを、やってはいけませんよというような形にする必要はないんじゃないかという御 意見だと思うんですけれども。余り役所的な考えではないんだろうとは思いますけれど も。 ○中村課長  そういうふうに積極的に権限も含めて移譲を受けてやるということであれば、現在の 自治法でも権限移譲の既定というのはあるわけですから、それにのっとってやっていた だければいいのかなとも思いますが、今のところそういう仕組みを使って権限移譲を受 けてまでやろうというところは聞いたことがございません。 ○岩男部会長  よろしいですか、どうぞ。 ○網野委員  方向性についてはよくわかりました。その場合も権限移譲、つまり行政権限をどうし ても絡ませなくてはいけないという部分だけではない、いろいろこの内容を議論してき た点からいいますと、どちらかというと、やや子育てサポートとか臨床的な相談サービ スとかという面に重点を置いて、どうしても行政権限の場合は指定都市や都道府県と協 力する、あるいはそちらにお願いするというような性格の児童相談所というのは基本的 には考えられないということでしょうか。 ○中村課長  名称の問題だと思うんですけれども、一応、児童福祉法の中で児童相談所というもの のある程度のイメージが固まっていますので、どちらかといいますと、今おっしゃられ たような子育て支援のサービスでありますとか、今回、児童福祉法を改正して市町村の 役割という形にいたしましたけれども、そういう点については、むしろ積極的に市町村 の段階でいろいろなことをやっていただいて、残った非常に難しい、行政権限を発動し なければいけないようなものついて、児童相談所が中心になってやっていくという役割 分担で、このとりまとめというのはできておりますけれども、できるだけ市町村ができ ることはやっていくというのは、その方向を我々の方も進めていきたいと思っておりま すが、そこの場を児童相談所というふうに名づけるかどうかということになりますと、 ちょっとちゅうちょされる面があるかなと思います。 ○岩男部会長  柏女委員、どうぞお願いします。 ○柏女委員  今、網野委員が前半に話された部分と関連するんですけれども、2ページのところな んですが、これは御検討を後でいただけるということで、中村課長さんの方からお話が ありましたけれども、例えば●の下から2つ目なんですが、今後の児童相談の在り方と して、もしこれを児童相談の在り方ということであれば、市町村を主体とする、これは 分権化の話なんですが、もう一つは相談サービスの供給主体の多元化の話ですね。  例えば、今、NPOとかのお話にもありましたけれども、不登校のお子さんなどにつ いてはフリースクールとか、あるいは家族関係のいろんな問題についてはファミリーク リニックとか、いろんな多様な供給主体によって提供されているわけですけれども、そ こに対する行政の支援というのが余りないままに、行政なり社会福祉法人としての施設 がそういうものを担っているという状況が今あるわけですね。  この閉ざされた市場の中に、NPOとか、いろんな方々が入ってこれるような、児童 相談もそういう仕組みにしていかなければならないのではないかなというふうに思って います。  特に、子育て支援の分野は集いの広場とか、そういうものが整備される方向になって いるわけですが、この年長児童の特に要保護問題については、そうしたところがまだま だ不十分だろうというふうに思して、例のDV防止法でNPOの活用ということがあり ましたけれども、それと同じような考えでやっていく必要があるのではないかなという ふうに思っています。  ただ、これは児童相談サービスの在り方なので、児童福祉行政の実施体制の在り方で はないとは思うんですけれども、何かその辺がうまく統一が取れていないかなという感 じが1つしております。  もう一つは、この報告の基本的な大まかな方向性について異論はないんですけれど も、やや近未来的過ぎるのではないかなと。つまり、地方分権改革推進会議等の指摘事 項を踏まえて、それに回答をしなければならないということはあるんだろうと思います が、そういう近未来的なものよりも、もう少し踏み込みたいという、例えば、障害児の 関係についても権限移譲の方向についても、もう少し踏み込めないだろうか。  それから、サービスの供給の在り方、つまり措置制度を中心とするという、この部分 は全く今回は触れられていないんですけれども、それは本当にいいんだろうかとか、そ うしたものを是非取り上げるか、あるいは今回は取り上げないということであれば、そ のような書き方をして、例えば、当面の方向性について議論をしたとか、あるいは今後 も継続してこの問題については議論をしていかなければならないとか、そういう書き方 にできないかなと。  児童相談所とか児童福祉行政の実施体制の在り方について、この児童部会というか、 審議会で議論をしたのが、たしか私が覚えている限りでは昭和40年の後半に、児童相談 所の在り方というのをかなり議論をしたことがあるんです。それ以降ほとんどないとい うことで、今回このような議論がなされたというのは私は画期的なことだと思っていま すので、ここが到達点だというふうにはしたくないという思いが強くございます。  審議会の方で、今後も継続していくというようなスタンスで、この報告書が書かれる ことを期待したいというふうに思います。  以上です。 ○中村課長  ちょっと何点か補足をさせていただきますと、障害児の問題は6ページに出ておりま すが、これについては一応、障害保健福祉部の方の意見も聞いた上で、こういう整理に しておりますが、今後、そう遠くない時期といいますか、たしか地方分権会議の議論で は平成18年度ということになっていますから、引き続き検討を進めていくという状況に あろうかと思います。  要保護児童の分野というのは、いわゆる措置制度でもって行政権限の発動という形で サービスの提供がされる形になっているのですが、この部分についてはほかのいろいろ な高齢者でありますとか、障害者のサービスが介護保険、あるいは支援費の仕組みとい うふうに変わっていく中で、保育についても市町村を介した契約の仕組みについて更 に、後ほどちょっと御紹介をしようかと思いますけれども、新しい次世代育成支援シス テムの方向性の中では直接契約というような話も出ておりますが、虐待を受けたお子さ んのようなケースについて、契約というか、そういう観念がなかなかなじみにくいのか なということで、あえて行政権限として実施するという部分については触れておりませ んけれども、議論が必要であるということであればしてもよろしいかと思いますが、む しろ親子分離とか、そういうことが議論になる中で、契約の発想というのはなかなか難 しいのではないかなというふうに、個人的には思っております。 ○岩男部会長  ほかにいかがでしょうか。  堀委員、どうぞ。 ○堀委員  このペーパーは今日渡されたので、全部正確に理解しているかどうかわかりません し、また、これを修正していただきたいというわけでは必ずしもないのですが、2つだ け述べたいと思います。  1つは、児童相談と児童家庭相談の違いです。児童問題の背景には家庭問題があると 思います。実際には児童相談所も家庭相談をやっていると思いますが、福祉事務所の組 織は家庭児童相談室となっていますし、児童家庭支援センターというのもある。児童相 談所は児童相談を行うということですが、これは児童福祉法に規定があるからかもわか りません。児童福祉法を児童家庭福祉法に変えるとか、そういうことにも結びつくのか もわかりませんけれども、家庭問題を児童相談所で扱う、あるいは市町村レベルで扱う かどうか別にして、そういった家庭福祉の問題を今後考えていく必要があるのではない かなと思っています。これが1点です。  2点目は、児童相談の面での市町村の役割の重視ということとも絡むのですが、多問 題家庭に対してどう対応するかという問題です。現在では、地方レベルでも児童問題、 障害者問題、老人問題それぞれ別の人・組織が対応している。例えば、子どもを抱える 親が障害者であるとか寝たきり老人を抱えている、あるいは子どもを抱える親が病気で 働けないとか、そういった多問題家庭に対して、市町村が対応していく必要があるので はないか。というのは、福祉の分野でほとんどすべてが都道府県から市町村に権限とか 事務が移譲しているわけです。やはり児童の問題についても市町村の段階で、他の福祉 行政と一元的に対応することが必要ではないかと思います。 ○岩男部会長  ほかにいかがでございましょうか。  服部委員、どうぞ。 ○服部委員  今回の全体の流れとしますと、子どもと家庭に関する問題のまず第一の受け皿は市町 村だという方向性はよくわかるんですが、そして、ある意味で易しいケースは市町村 で、難しい権限発動のような困難事例は児相にというすみ分けのようなものも、シェー マとしてはわかるのですが、実際問題としますと、ちょうど医学でいうプライマリーケ アのようなプライマリーサービスがもし市町村に移りますときに、私は市町村の職員の 専門性の向上が大切と思うのです。実はプライマリーサービスほど専門家が必要とされ るところはないと思うんです。初めから易しいとか難しいとわかるものではありませ ん。最初の段階を見極めるというのは、実は専門家でないと難しいんです。  つまり、その事例の本質が何か、実際の見かけ上が何であるかではなく、その本質を 見極める、つまり事例の本質の理解力、そして最初の段階でいかなる支援、援助をする かで、その後の事例の展開は恐ろしく変わります。単なるよろず相談と思って引き受け てはなりませんので、本当にここで専門性が必要とされる。  それから、その後の展開がどうなるかという見通しを持つ力、こういうことが大切で す。つまり考え方では易しい事例、困難事例という分け方は究極の最後の段階ではわか ります。  ところが、プライマリーサービスの段階では、実は最も専門性が必要とされ、長い長 い児童相談所の経験の中でさえ事例の最初の判断、最初の援助の方針の決め方、今後の 見通しというようなことは難しいのです。これはプライマリーケア医学の領野でも同じ ですが、非常に難しいことだと思うんです。  そういう意味では、この市町村の役割強化、この辺りにやはり職員の力量、あるいは 専門性の充実向上ということが大事です。それが1つ。  2番目は、重くなって、もうどうにもできなくなって膠着状態になって、いよいよ権 限発動で、先ほど柏女委員がおっしゃいましたように、送致というような段階で児童相 談所に送られてきますれば、これは全くある意味で強権発動の作業しか児童相談所には 残されておりません。何度も出ておりましたが、児相のアイデンティティーというの は、やはりケアありき、援助が基本にあり支援をしつつの介入でなくてはならぬと私は 思います。  ですから、まさにこの送致という言葉に代表されるような、ある意味ですみ分けをし てしまうというのではなくて、もっと早い段階から、それが見通しということですが、 これは危なくなるなと思いますときに、むしろ早い段階から一見易しいと思われるケー スでも、児童相談所の職員に非常に親密な協力体制を求めて、その中でそのケースに関 わりながら、とうとう強権発動までいくというときに、児相が最後の手を使うといった 市町村と児相の協力体制が大切です。そういう意味でこの市町村の役割とか分担とか強 化という辺りを、よほど注意深くすること、このつなぎ目に児童相談所の今まで培って きたものを、いかに市町村の中に生かしていくかということが少なくとも当面は必要で しょう。今後長い長い年月市町村が経験を持たれますれば、担当者もたくさんの事例を 扱い経験者も増えるわけですが、ある意味では児童相談所に比べれば、非専門家がプラ イマリーサービスをなさるということについての、私なりの危惧がありまして、この部 位をもう少し膨らませて頂きたい。勿論、市町村にしていただきたくことは大切で、す べてが児童相談所というのは無理であることは確かです。けれども、そのプライマリー サービスのような辺りの力量をいかに上げるかということにおいては、まだまだ当面の 間の児童相談所の支援なり援助なり協調なりが必要かなということを思いました。 ○岩男部会長  ありがとうございました。私も全く同感でございまして、恐らくほかの方も同じよう な御意見が多いんじゃないかと思います。  やはり、現状のままですと、市町村も不安を抱え、また相談に行く側も不安のままと いうことになりますので、ここのところはもう少し、今、御指摘のようなことを強調し て書く必要があるのではないかというふうに思います。  ほかにいかがでございましょうか。  どうぞ、渡辺委員。 ○渡辺委員  今の服部委員の御指摘に加えて、やはり医療現場などで刻々と整備している問題とい うのは、まさにプライマリーケアやファミリープラクティスにいかに的確な情報と機能 的な支援をしていくかという、その役割を例えば、大学なり専門機関が担うというシス テムづくりなんですけれども、やはり世界的に、例えば母子臨床の支援の仕方は、いわ ゆる、今、服部先生がいみじくも御指摘なさったように、問題のリスクの高いケースは 普通の相談の集団の中に混ざっているわけであって、そこから一般医や、あるいは一般 の臨床家がスクリーニングして、おや、これはちょっと問題があるぞといったときに、 ごく自然にその地域の中のより公示機能を持った、資格を持った人にリファーして、そ れも日常的な診療の中で相談して、その人が適切な介入をして経過を見ながらプライマ リーケアでは無理であると判断したら、セカンダリーケア、二次ケア、それで無理であ るとしたら、三次ケアにつなげていくというシステムがあると思うんですね。  例えば、中毒センターとかSARSの情報を流している感染班などは、例えば病院の 感染班というのは非常に専門的な機能を果たしつつ、現場の医者や関連病院の医者や開 業医が使える情報にかみ砕いて、絶えずインターネットや研修会や、ある意味ではいろ んな多面的なマルチチャンネルな形で情報を提供しているわけです。  それと同じような、一つの全体の機能の構造化をしていただく役割として、やはり私 どもは児童相談所が中心になっていただきたいと。  例えば、児童相談所に対して大学機関が応援するとか、そういうこともあるけれど も、児童相談所がそれぞれ市町村の、例えば公的な機関と私的な機関両方に関して、つ まり現場をちゃんと専門家として把握して、必要なアップデートをしてくださるかどう かと、そういったシステムをお願いしたいんですね。そこに例えば、大学の機関などが 応援していくということは幾らでも可能だと思うんです。  今、思ったんですけれども、シアトルの例えば、乳幼児の母子臨床のトレーニングシ ステムは地域の保健婦さんで、もうベテランの5年と言わず10、20、30年の人たちが、 例えば2年コースの養成コースを受けますと、やはりちゃんとした一流の母子臨床の専 門家によってトレーニングを受けて指導も受けて、そして資格をもらって、同時にさり げなく普通の保健婦や助産婦や、あるいは保育士として現場に帰っていっているわけで すね。  ですから、その資格があるがゆえに、例えば保育園の中で虐待ケースではないかとい うふな疑問があったときに、真っ先にさりげなくその子どもと家族を見守り、担当保育 士がちゃんと安心して機能できように寄り添い、これは危ないと思ったときにさりげな く二次機関や必要な機関につなげながら、しかるべき早期発見、早期介入ができるよう にしていくというふうにしているわけですね。  ですから、そういったシステムを地道につくっていくときに、やはりちょっと構造化 の議論が、構造化をするのは何のための構造化か、すみ分けするのは何のすみ分けか、 すみ分けはより責任を持ってそれぞれが機能できるようにするためのすみ分けであり、 構造化であるということを具体的に、例えば中毒センターとかSARSとかも、日々い ろんな問題に対応しなければいけない臨床現場でやっているモデルなどを、もう少し児 童の問題にも応用していただきまして、その児童相談の真ん中にやはり危ないケースが いっぱい入っているんだという、服部先生の御指摘のことをもう少し実態的に考えてい ただければと思うんですけれども。 ○岩男部会長  ほかにいかがでございますか。  どうぞ、無藤委員。 ○無藤委員  渡辺委員のお話にもつながるんですけれども、ここでは児童相談所の話が主ですが、 市町村に児童相談の機能をかなり移譲していく場合に、対応する市町村にどの程度、受 け皿としてあり得るかというのが何度も出ているわけですが、やはり実際にはいろいろ な相談室的なものはたくさんあると思いますけれども、そこでの相談員なり職員の実際 の体制はかなり不備が多いと思うんですね。  それは専門性というのは1つありますし、もう一つは児童相談所についても指摘され ておりますが、市町村の中で回っていく中でなかなか専門性を上げにくいとか、あるい は非常勤の相談員が多いとか、いろいろな問題があるわけです。  ですから、それ自体を改善することはなかなか簡単ではないと思いますけれども、児 童相談所がそういった市町村レベルへのサポートをしていくということと、市町村レベ ルでの専門性を上げるということが必要なんだということは、やはりはっきり出して いった方がいいんじゃないかと思っているんですが。 ○岩男部会長  いかがでございましょうか。今日は割合と時間をたっぷりとってございますので。  どうぞ、柏女委員。 ○柏女委員  今の服部委員から一連の市町村の機能の強化という点で、実はこれも是非、全体を総 合して議論をつくる場をつくっていただきたいんです。そのときに今回の児童福祉法改 正で行われた、子育て支援総合コーディネーターを市町村に配置をすると。  そのコーディネーターは、前回いただいた資料だとケースマネージメントのところま では余り考えられていないようですけれどて、むしろそういうものをもう少し専門的に 養成していくというような視点を持っていってもいいのではないかと。  ただ、さまざまある子育て支援サービスをコーディネートするだけではなく、その人 が一定の事例について、関係機関のネットワークを組みながら、今、ネットワーク型援 助が市町村で広がってきておりますので、そのまんま中核として、そうした機能を担い ながらいく。  そうすると、そういう専門職にはどういう資質が必要なのか、そのための養成カリ キュラムをどうやったらいいのか、そういうところを次のステップとして考えていっ て、市町村のネットワーク型援助を更に強化していくための仕組みをつくっていくとい うことが次のステップで必要なのかなと、そういうことも何かにらみながら、この報告 書を最終的にまとめ上げたいというような思いを持っています。 ○岩男部会長  人材育成の必要性については、大分ここでも御議論ございましたので、それももう少 しここに反映されるような形にしたいと思います。  よろしゅうございますか、特にほかに御意見がなければ、まだ時間は少し余裕がござ いますけれども、事務局からの御報告事項を伺って、また、もしその関連で更に元に戻 るというようなことがあってもいいかと思いますので。  ごめんなさい、どうぞ堀委員。 ○堀委員  中身の問題じゃなくて、今後の取り扱いをどういうふうにするのか、ちょっとお聞き したいと思います。 ○中村課長  今日いろいろ御意見をいただきましたので、次回10月3日にそれを踏まえて修正した もので、また御議論をいただければというふうに思っております。  それと、今日もちょっと議論になっておりましたけれども、社会的養護の専門委員会 の報告が出た段階で併せて、次期通常国会にできれば児童福祉法の改正を出したいと 思っておりますので、その辺についての全体の方向性を部会としてとりまとめていただ ければというふうに思っております。  そのまとめは10月中ぐらいにしていただければとも思っておりましたけれども、若干 専門委員会の方の議論が遅れておりますので、11月に入ってからになると思いますが、 今日も施設と児童相談所の関わりのような議論もありましたけれども、そうした点も含 めて、総ざらいの議論をしていただいて、部会として御意見をまとめていただければと いうふうに思っております。 ○岩男部会長  よろしゅうございますか、そういったような運びということになりますけれども。  それでは、事務局の方からの御説明、御報告事項に移っていただきたいと思います。 ○中村課長  それではお手元に参考資料を。 ○岩男部会長  ごめんなさい、その前にお願いなんですけれども、もし次回の前に案が御用意できま したら、委員に先に配っていただけると、そのようにお願いをしたいと思います。 ○中村課長  わかりました、できるだけそのようにさせていただきます。  それでは、参考資料1〜6までございますが、これについてそれぞれ簡単に御説明を させていただきます。  参考資料1と2は、先般、成立をいたしました次世代育成支援対策推進法に基づきま す行動計画を地方自治体でありますとか、一般事業主、更には特定事業主が策定をする 際の指針を主務大臣が定めるということになっておりますので、それについて定めたも のでございます。  参考1の方が概要でございまして、本体は参考2の方ということになっております。  この指針につきましては、8月22日に官報に告示をいたしまして、都道府県、更には 都道府県の労働局雇用均等室の室長を集めまして、説明を既に終了しておるところでご ざいます。  それで、概要の方をちょっとお開きいただきまして、簡単に御説明をさせていただき ます。  「背景及び趣旨」というところでございますが、既に何度か資料の提供もさせていた だいておりますけれども、3月に次世代育成支援に関する当面の取り組み方針というも のを定めまして、併せて次世代育成支援対策推進法案を国会に提出したわけですけれど も、7月に成立しております。  この法律は、地方公共団体、企業に10年間の集中的・計画的な次世代育成支援対策に 取り組んでいただこうということが趣旨になっておりまして、市町村、都道府県、一般 事業主、特定事業主に行動計画を策定していただくということで、その行動計画を策定 する際の目安になります指針を、厚生労働大臣ほか7名の主務大臣が協同してつくった というものでございます。  次に「次世代育成支援対策の実施に関する基本的な事項」ということで、基本理念、 策定の目的、あるいは関係者の連携、次世代育成支援対策推進協議会の活用等の話が書 いてございます。  2ページは「市町村行動計画及び都道府県行動計画」、本来は別々の指針になってお りますが、地方公共団体ということでまとめて記述させていただいております。  まず、計画策定の基本的な視点ということで、8つの視点が掲げられております。子 どもの視点でありますとか、次代の親づくりという視点、サービスの利用者の視点、社 会全体による支援の視点等々でございます。  その計画を策定するに当たっての必要な手続ということで、サービスの量的、質的 ニーズを把握するために、市町村はニーズ調査を実施してくださいということを求めて おります。  それから、住民の意見を反映させるということで、説明会の開催等も求めておりま す。 計画の期間につきましては、5年を1期ということで、10年の時限立法になって おりますので2回計画を策定していただくということになっております。  計画につきましては、15年度中にできるだけニーズ調査をしていただいて、16年度中 に策定していただくことになっております。  当然のことながら、途中において各年度、実施状況を点検しながら実施状況を公表し ていただくということになっております。  中身につきましては、7つの柱からなっておりまして、一番最後のところにあります ように、できるだけ各施策について定量的に示せるものについては、具体的な数値を示 しながら定めてほしいということになっております。  1つ目の柱は「地域における子育ての支援」ということで、今回、児童福祉法を改正 して子育て支援事業を位置づけましたので、そういう点でありますとか、あるいは保育 サービスというような点、あるいは年長児童等の居場所づくりのような問題が念頭にご ざいます。 なお、保育については、これは児童福祉法の改正ですけれども、待機児童 が50人以上いる市町村につきましては、別途この計画と併せてでもいいのですが、保育 計画というものをつくっていただくということで、15年4月現在では、119 の市町村が 待機児童が50人以上ということになっておりますので、そういうところが対象に待機児 童の解消計画ということをつくっていただくことが別途ございます。  2つ目の柱は3ページでございますが「母性並びに乳児及び幼児等の健康の確保及び 増進」ということで、母子保健の問題でございます。  食育でありますとか思春期保健対策、更には小児医療とか小児慢性特定疾患、不妊治 療の問題も掲げられております。  3点目は、こちらはどちらかといいますと、文部科学省関係になっておりますが「子 どもの心身の健やかな成長に資する教育環境の整備」ということで、家庭教育の問題で ありますとか学校教育、更にはフリーター等が増加しているということもありまして、 職業訓練などというような話もございますし、地域の教育力の向上でありますとか、お 子さんを取り巻く有害環境対策というようなことも書かれてございます。  4点目は「子育てを支援する生活環境の整備」ということで、住宅の問題であります とか、居住環境、交通安全の問題、子育てバリアフリー、あるいは近ごろ、子どもを巡 る犯罪が増えておりますので、そういう安全の問題というような視点も入っておりま す。 4ページで5つ目の柱としまして「職業生活と家庭生活との両立の推進」という ことで、これは自治体の計画でありますので、どちらかというとPR関係が中心になっ ております。 6は「子ども等の安全の確保」ということでございます。  7は「要保護児童への対応などきめ細かい取組の推進」、これは要保護児童への対応 など、虐待の防止の問題でありますとか母子家庭の話、障害児施策の問題をまとめて書 くというような仕組みになっております。  5ページは「一般事業主行動計画」ということで、従業員を301 人以上雇っておりま す企業は計画策定が義務になっておりますし、それ以下については努力義務ということ ですが、301 人以上の企業は我が国で約一万二千ぐらいの企業がございまして、そこに ついては策定義務がかかるわけでございます。  そこについても同じように基本的な視点ということで、労働者のニーズを踏まえた取 り組みでありますとか企業全体での取り組み、更に企業の実情を踏まえた取り組みとい うような視点と、こちらの方は計画期間は5年ということではなくて企業の実態に合わ せて2年から5年の範囲で、2年ごとにすれば5回計画をつくっていただくと、そんな 趣旨で少し弾力的な扱いになっております。  目標につきましても、できるだけ客観的に判断できるような目標を設定したらどうか というようなことでありますとか、労働者の意見の反映の問題であるとか、あるいは次 世代法の中で基準について適合する場合は、丸適マークのような仕組みが入っておりま すので、そういうことを念頭に置いた計画の策定というようなことも書いてございま す。  中身につきましては大きく分けますと、(1)子育てと職業生活の両立というような雇 用環境の整備、(2)働き方についての一般的な見直し、そして(3)地域に対する貢献とい うような分け方になっております。  まず1点目の、家庭生活と職業生活の両立につきましては、妊娠中、出産後における 配慮でありますとか、それから子どもが出生したときに、お父さんが休暇をきちんとる でありますとか、育児休業制度について、法律で最低限のものが決まっておりますが、 それを上回るような措置でありますとか、あるいは育児休業をとりやすく、その後、職 場復帰がしやすいような話であるとか、あるいは子どもが病気のときの看護休暇を実施 したらどうかとか、そんなことが書かれております。  働き方の見直しについては所定外労働時間の削減でありますとか、年次有給休暇の取 得の促進、短時間勤務というようなことでありますとか、あるいは地域貢献につきまし ては、バリアフリーの促進、あるいは労働者が地域活動への積極的に参加できるような 条件整備であるとか、あるいはインターンシップ、トライアル雇用のような形で若者の 安定就労というようなことへの貢献も掲げております。  7ページは、特定事業主ということで、これは国でありますとか、地方公共団体が公 務員を雇っておるということからくる行動計画でございますが、これにつきましても一 般事業主の行動計画と似たような形で、公務員に特有のものも含めて掲げております。  いずれにいたしましても、できるだけ各主体とも16年度中には計画をつくっていただ くということを考えております。  以上でございます。 ○岩男部会長  ありがとうございました。ただいまの御説明について、何か御質問ございますでしょ うか。  どうぞ、松原委員。 ○松原委員  非常にいい計画を策定していただいたと思っております。  それで、非常に初歩的な質問なんですが、社会福祉法人というのは、これは一般事業 主というふうに考えてよろしいんでしょうか。 ○中村課長  病院も当然、対象になりますし、社会福祉法人も301 人以上雇っているような大きな 社会福祉法人につきましては策定の義務がかかります。 ○松原委員  でも、なかなか社会福祉法人で、大きな社会福祉協議会で介護保険関連の事業をやっ ているところ以外は、なかなか300 人以上はないと思うんですが、したがってこの範疇 で言うと努力義務になるかと思うんですけれども、子どもの分野での法人でもなかなか 結婚、出産をした後勤めにくいという状況がありますので、せっかくこういういいもの ができましたので、法人施設での子どもを育てていらっしゃる、あるいはこれから子ど もを持たれようかとされる方への支援も、この計画の中で是非考えていただきたいなと いうふうに考えております。 ○岩男部会長  どうぞ。 ○阿藤部会長代理  法律にそうなっているかと言えばそうなんですが、要するに行動計画をつくることは 義務、あるいは策定努力義務になっているわけですが、その計画自体がどういうふうに 達成されたのかというところの達成度合というか、それは各自治体、企業が自主的に行 うという、多分そういう建前があるんでしょうけれども、そこには一切、国なりが関与 するということはないのか、あるいは何らかの形でそこに関与する仕組みがあるのかな いのか、その辺をちょっと伺いたいと思うんですが。 ○中村課長  自治体と企業では異なっていると思いますけれども、自治体についていいますと、で きるだけ16年度中に、しかも早いうちに計画を策定していただきたいということを申し ておりますけれども、実は今12年度から16年度にかけまして、新エンゼルプランという ことで、保育等の事業の具体的実施目標を国として掲げて、いろいろ予算措置を進めて おりますけれども、私どもとしてはこうした市町村の計画を踏まえた新たな国としての サービス目標をつくるなどして、少なくとも財政的な支援をしつつ、その計画がきちん と達成できるような手法で応援をしていけたらなと思っております。  もう一点は、高齢者の介護ですと、あそこの市町村に行くといろんなサービスが充実 しているとか、そういう話がいろいろあるのですけれども、子育ての場合というのは私 が寡聞にして知らないだけなのかもしれませんが、なかなかあそこの市町村では子育て について進んでいるとか、そういう話がなかなか議論になってなかったのではないかと 思いますので、できるだけ子育てに一生懸命な市町村をいろんな形で応援して、それを その地域のみならず全国的にも普及するような手法で広げていったらどうかと考えてい ます。  できるだけ実態を公表するというようなやり方とか、今申し上げたようなソフトな手 法でサービス量が増えていくようなやり方で進めていったらどうかなと考えています。 強権的にこうしなさいということは、なかなか難しいのかなと思います。  企業につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、きちんとした計画 をつくって、それが実行された場合には認証するような仕組みが入っておりますので、 できるだけ多くの企業がそういう仕組みを取り入れていただければということで、その 辺を働きかけているところでございます。 ○岩男部会長  済みません、ちょっと一言だけ。  一般企業の場合も公表を義務づけられているんですか。 ○中村課長  企業については、策定した旨を厚生労働大臣、雇用均等室に届けていただければいい ということになっておりますので、公表の義務はかかっておりません。 ○岩男部会長  そうですか、ちょっと残念に思います。どうぞ。 ○堀委員  企業に対して一定の努力義務を課す場合に、労働行政サイドでもいろんな奨励的な補 助を雇用保険などを使って行う仕組みがあると思うのですが、こういうものについては 考えておられないんでしょうか。 ○中村課長  一般的に育児休業を普及するような助成金の仕組みは今までもありますので、そうい うものを活用していくということはあろうかと思いますが、今回は計画の策定というこ とで、それについてのいろいろないい事例の紹介であるとか相談であるとか、そういう ことをするために次世代法の中に事業主団体を指定するというような仕組みが入ってお りますが、特に義務のかかっている301 人以上の企業というよりは、むしろ中小企業で そういった策定についての支援をしていくというようなことを考えております。 ○岩男部会長  ほかに何か御質問、あるいは御意見ございましたら、どうぞ。  この概算要求についても御説明ございますか。では、お願いいたします。 ○中村課長  それでは、あと参考資料の3、それから参考資料の4は、まとめまして御説明します と「社会連帯による次世代育成支援に向けて」という報告書が8月7日に次世代育成支 援施策の在り方に関する研究会ということで、児童部会のメンバーの先生方の中の何人 かにもお入りいただいて、将来的な次世代育成支援施策の在り方について、おまとめを いただいております。  これにつきましては、今後いろいろな次世代育成支援対策について考える際に参考に しながら、議論を進めていただくということと、やはり関係者で広く議論をしていただ くということが望まれるというふうに思っております。  中身につきましては、少し大部でもありますので、事細かな報告は避けたいと思いま すが、要は今回児童福祉法の改正で法律で位置づけました地域子育て支援、あるいは従 来から伸ばしております保育、更には経済的支援ということで児童手当、こうしたサー ビスにつきまして、全体的にどういうシステムで将来的に考えたらいいかということに ついて、サービスの中身と、それから費用負担の在り方等を含めて整理をしていただい たものであると思っております。  この中では、特に全体的に仕組みの問題として、共助の視点を入れまして、次世代の 育成ということを、従来それぞればらばらな仕組みで行われているものを整理をして いったらどうかなということであろうかと思います。  いずれにいたしましても、こうした研究報告をいただいておりますので、いろいろな 局面で議論をいただきながら、今後それぞれ保育問題、それから子育て支援、あるいは 今日議論しておりますのは要保護というような形で議論されてきたものを、より統合的 な仕組みの方に持っていく一つの考え方ということで、我々の方は更に研究をしていき たいというふうに思っております。  残された時間で、平成16年度の概算要求を先般、財務省の方に提出をしておりますの で、それについて御説明をさせていただきます。  参考資料5の方が、厚生労働省全体の資料でございますが、参考6の方の雇用均等・ 児童家庭局の資料を使って御説明をさせていただきます。  2ページを見ていただきますと、そこには予算の総括表が出ておりますが、16年度の 概算要求では1兆863 億円が局全体の要求になっております。このうち、子どもの関係 が1兆753 億円、雇用均等関係が110 億円というような形になっております。  今年度の予算は、1つ特徴がございまして、先ほどもちょっと触れましたけれども、 14ページを見ていただきたいと思います。  14ページにございますように、平成15年度の税制改正に関連して、特に配偶者特別控 除の一部を廃止する議論の中で、児童手当の支給年齢の見直し等、少子化対策に国・地 方を併せて2,500 億円を充てるということが16年度の予算で行われるということが、昨 年暮れの与党の合意で行われておりまして、そこについては毎年厳しい要求枠があるの ですが、この部分については要求枠の枠外ということで要求ができるということになっ ております。  ただ、2,500 億円というのは国と地方併せてでございますので、国分の額の特定が今 の時点ではできませんので、金額はまだ入っておりません。  大きく分けますと、児童手当の充実ということが、内々ではこちらに2,000 億円ぐら い充てると。  その他の少子化対策というのことで、500 億円ぐらいは充てるということになってお ります。  そこについて、私どもはその他の少子化対策でどういうことを事項として要求しよう かということを考えたわけですが、1つは先の通常国会で次世代法であるとか児童福祉 法の改正をしていただいて、子育て支援の充実をしていこうということが方向性として 出ておりますので、そういう事項を1〜6ぐらいまで掲げております。  もう一点は、児童部会でも専門委員会をつくって、いろいろ昨年来、児童虐待の防止 の問題について御議論をいただいておりますので、そういう中で出てまいりました、例 えば施設の小規模化でありますとか、あるいはケア担当職員の質的量的充実であります とか、里親さんの支援、更には先ほど触れましたけれども、年長児童に対します自立援 助ホームの拡充というような点を充実していきたいというふうに考えております。  そのほかにつきましては、不妊治療、小児慢性特定疾患制度の見直しということを掲 げております。この3、4につきましては、既に与党三党の合意で方向性が出ており、 例えば4の小児慢性特定疾患については、虐待の関係で児童福祉法が改正になります と、併せてこの事業につきまして、児童福祉法の中に法律上位置づけて制度の安定化を 図っていきたいというふうなことを考えておるところでございます。  細かいそれぞれの事業の概要につきましては、16ページ、17ページ、18ページ、19ペ ージで簡単な説明の概要書を付けておりますので、後ほど御参考にしていただければと 思います。  16年度予算のもう一つの特徴というのは、新エンゼルプランの最終年度ということで 20ページに総括表が出ております。一番右側に16年度の目標値というものがあります が、今度の予算で要求しておるものが16年度というところでございますが、既に16年度 の目標を達しているものも保育の関係を中心に多々ございますけれども、これからは予 算上は用意されているけれども、実態がまだ十分整っていないというような事項もござ いますので、そういうものについては16年度中に是非、実態が整うような形で整備を進 めていきたいと思っておるところでございます。  それでは、3ページに戻っていただいて、簡単にそれぞれの概要を御説明しますと、 1つは「子育て家庭支援対策の充実」ということで、地域における子育て支援体制の強 化を図ります。これについては、先ほどお話をいたしましたように、更に予算編成の過 程で、さっき事項で出ていたものがオンされていくという形になります。  地域子育て支援センターについては3,000 か所。  放課後児童クラブについては1万2,400 クラブについて国庫補助の助成をしようと 思っているのですが、国庫補助の対象になっていないものを含めますと、既にかなりの 数になっておりますので、これだけの国庫補助を用意すれば16年度末までに1万5,000 か所をオーバーするということになっております。  児童とのふれあい、赤ちゃんとの交流事業も15年度に引き続き実施します。ファミ リー・サポート・センターについては、385 か所。  子育てNPO等に対する支援についても引き続き行います。  児童手当の問題については、先ほど御説明いたしましたように予算編成過程で支給対 象年齢等の見直しを行った上で、これについては児童手当法の改正を16年度の通常国会 に出すことになっております。  「多様な保育サービスの推進」につきましては、16年度は待機児童ゼロ作戦の最終年 度になりますので、運営費あるいは施設整備費について必要な金額ということで300 億 円余りを用意をしております。  多様な保育サービスにつきましては、延長保育が1万3,500 か所、休日保育が750 か 所、一時保育は5,000 か所、いろいろな地域活動について1万事業を超えるという形を 要求しております。  「子育て生活に配慮した働き方の改革」につきましては、予算額はそんなに多くはな いわけですが、6ぺージの上の方にありますように「○ 育児休業制度等の見直し」と いうことがございます。  現在、労働政策審議会の雇用均等分科会で議論をしておりまして、12月ごろまでには 整理をした上で改正案をとりまとめていきたいと考えております。  それから、育児休業の取得等につきましては、男性10%、女性80%、あるいは子ども の看護休暇制度についても25%ぐらいの企業が採用するようにという目標を当面の取り 組み方針で定めておりますが、それについての集中的な取り組みでありますとか、ある いは育児のために離職した方の再就職の支援の充実、更には先ほど、ちょっと質問が出 てお答えしましたけれども、次世代法の一般事業主行動計画の策定を支援するための経 費、特に中小企業対策を考えております。  7ページは「児童虐待への対応など要保護児童対策等の充実」でございますが、これ につきましても、先ほど予算編成過程で別途検討する事項も併せて、予算の充実が図ら れていくということで、これにつきましては当部会等の議論を踏まえまして、児童福祉 法の改正を考えておるということでございます。  そのほか、専門里親の充実等、あるいは自立援助ホームにつきまして、民法法人等の 場合も貸付けにするとか、そういうこともお願いしております。  DVにつきましては、婦人相談所、あるいは一時保護所につきまして、乳幼児を伴っ ておられる方もあるわけですから、そうした方のための指導員の配置等の予算が含まれ ております。  「子どもの保健の確保と母子医療体制等の充実」につきましては、周産期医療ネット ワークの整備、あるいは不妊専門相談センター、新エンゼルプランの中で16年度までに 各県設置ということになっておりますので、ここについて是非、目標を達成しなければ いけないということがありますし、不妊治療、小児慢性特定疾患につきましては、先ほ ど御説明をしたところでございます。  「母子家庭等自立援助対策の推進」につきましては、昨年、母子寡婦法を改正いたし ましたし、また先の通常国会では、議員立法で母子家庭の母親の就業を促進するための 特別措置法も成立をしておりますので、就業支援対策を中心に更に施策の充実を図って いくということになっております。  12、13ページにつきましては「施設の整備の充実」の問題でございますが、この中で は事項の要求といたしまして、ここの部会でも議論になっておりましたけれども、一時 保護所の居室の個室化の推進でありますとか、あるいはこれまで補助対象になっておら なかった地域小規模児童養護施設の整備でありますとか、母子生活支援施設の小規模 型、サテライト型、こうしたものに整備についても補助ができるような仕組みをしたり とか、そういう中身が入ってございます。  あとは、働き方の問題ということで21ページ、22ページに「多様な働き方を可能とす る労働環境の整備」ということで、パートタイム労働者と正社員の均衡処遇の話であり ますとか、ワークシェアリングのモデル事業を15年度から始めておりますが、それを更 に進めていくとか、あるいは男女雇用機会均等のための個別紛争の処理でありますと か、ポジティブ・アクション、更には男女間の賃金格差の問題についての対応の予算が 組まれております。  以上でございます。 ○岩男部会長  ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、何か御質問ございますで しょうか。よろしゅうございますか。  それでは、これで本日の部会を閉会にしたいと思います。  なお、次回の部会でございますけれども、10月3日金曜日の10 時から12時を予定し ておりますので、また事務局から御連絡がいくと思いますが、どうぞ御出席のほど、よ ろしくお願いをいたします。  本日はどうもありがとうございました。 (照会先) 雇用均等・児童家庭局総務課         担当:湯本  03−5253−1111      (内線7823)