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資料1

(2003.09.30)
厚生労働省「障害者(児)の地域生活支援に関する検討会」討議資料
ファミリーサポートセンター昴の地域生活支援の現状
佐藤進(社会福祉法人・昴)

ファミリーサポートセンター昴
平成4(1992)年 ファミリーサポートセンター昴開設
 開設当初は年会費20000円で、年間7日間の利用権。利用料600円/時間
 入会資格ハローキッズ卒園生限定で会員50名。
 その後、会員は比企郡およびその周辺地域住民へ拡大(昨年度350名)
その後の経過
平成 8(1996)年   市町村障害者生活支援事業
平成 9(1997)年   地域療育等支援事業を受託
平成 10(1998)年   埼玉県障害児者生活サポート事業開始
 2850円/時間を、県、市町村、利用者で等分負担(ただし、県補助金は年間1人あたり150時間を限度。また補助金総額は1市町村100万円を限度とし、総量規制あり→東松山市は超過分全額市費負担/年間約2000万、その他比企郡内町村も同様措置を講ず。
 さらに、東松山市単独事業で3000万を予算化…下記「いわはな」で実施)
平成 11(1999)年   東松山市社会福祉協議会障害者支援センター「いわはな」開設を機に市町村生活支援事業を社協へ移管。(→地域療育等支援事業は同社協へ出向)
平成 12(2000)年   東松山市綜合福祉エリア開設/綜合相談・訪問センター設置
平成 15(2003)年   支援費指定居宅介護事業所
現在は支援費制度および生活サポート事業により運営。
支援費……ホームヘルパー、ガイドヘルパー
生活サポート事業……移送および一時預かり(宿泊含む)等
埼玉県生活サポート事業
  利用登録会員(昨年度実績360名、4000件/10000時間=約3000万円)
レクリエーションクラブ(昨年度実績118回述べ440人利用)
⇒イベント、ツアー、サークル等
支援費による利用者の現況
  別添資料参照
支援体制   正職員 5名  嘱託職員(1日7時間/月22日)7名
登録ヘルパー 20名+α
保有車両 10台 建物 借家(200平米)借り上げ その他駐車場
 尚、東松山市内に居宅介護関係事業所は市社協運営によるものなど計8ヶ所がある→介護保険事業者の兼業。

その他
 * 東松山市総合福祉エリア総合相談窓口(三障害、高齢者対応・・・24時間365日対応) 相談窓口担当職員8名(昴より出向職員/地域療育等支援事業含む)

利用者の現状等
 支援費による利用契約者は8月末日現在31名であり、2名をのぞいて市内もしくは比企郡内市町村に居住する。また12名は、(社福)昴の他の事業(通所施設あるいはグループホーム)の利用者でもある。殆どの利用者は生活サポート事業を併用利用している。
 利用者のうち、単身生活者は2名(No.2…重症筋無力症、No.9…知的障害)であり、障害者世帯(No.13…夫婦が視覚障害者/育児支援必要)、グループホーム居住者1名(No.16…重度重複障害)を含むが、他は全員が家族とともに居住。(…別添資料参照)

若干の事例
・ No. 2
54才、女性、重症筋無力症(伝い歩き可)、単身生活、近所に姉が住む。
その他に訪問看護サービス(詳細不明)、配食サービスを受給(毎日1食)。
当方からのサービスは、家事援助の他、週1回の入浴、通院等。
日常は姉の支援があり、現在のところは単身生活が成立。
・ No. 12
27才、男性、重度重複障害(CP…座位可能/最重度ID)、家族同居(両親、兄1)
日中は、通所更生施設利用。ホームヘルパー(2人)による、昴レククラブのプログラム参加、入浴等の移動介護。
埼玉県生活サポート事業も併用。
母親の体調不良による介護力喪失のため「緊急的対応」。→7月入院、8月末死去。
現在、身障療護施設に短期入所中。在宅生活復帰のために準備中→サービス調整会議。
・ No. 16
20才、女性、重度重複障害(CP…座位可能/最重度ID)今春より生活ホーム(昴運営)入居。
日中は、通所更生施設利用。朝、夕2時間程度のホームヘルパーによる介助。
・ No. 17
33才、男性、全身性障害(CP)、家族同居(母親のみ)。
3ヶ所の介護事業所と契約し、使いまわしながらメインとなる事業所を検討中。
自薦による介護人を昴の事業所職員(ホームヘルパー)として、雇い上げてほしいという申し出があったが、当方はこれを拒否した経過がある。

この間の経過から
1.  FSCがサービスを提供する地域は、基本的に比企郡全域(10町村/人口24.3万人、療育手帳1100人/施設入所210人及び身障手帳6500人/施設入所65人)にわたるが、現在、郡内の居宅支援費(ヘルパー)の利用者は109人/4200時間に過ぎない。→昨年度措置によるヘルパー派遣実績82人/1400時間
2.  例えば、Y町(人口2万人、療育手帳、身障手帳所持者は650人。)にあっては、決定済み支援費支給量は既に年間2000万円(5人)に上る。東松山市は4月当初33人で3800万円(15年度予算額→ただし大幅に不足する見込み)。今後、年を経て、どれぐらいの予算が必要となるか予測がつかないし、これに対応することは相当に困難とみられる。また、基盤整備も追いつかない。
3.  一方、事業者としては、人材確保の問題から、サービス提供を確実に保証できないケースが増えつつあり、打診を受けながら契約に至ることが出来ない、また、既契約者への確実な提供にも苦慮する事態が生まれつつある。さらには、東松山市内の利用者の多くは市社協運営による綜合相談窓口を通して社協ヘルパーを活用するため(25人)、昴の事業所は近隣市町村を分担し、さらに非効率で採算性も悪い。
4.  人材に関しては、過去2年余りで(社福)昴としてヘルパー養成講座(=障害者介護中心のカリキュラムを準備)を開催し(4回)、既に130名余が資格を取得したが、必ずしも登録に至らない。
5.  FSC昴の利用契約者に児童は1名のみ。障害をもつ児の多くは、従来の埼玉県生活サポート事業を利用している(最も需要が多い送迎サービス、一時預かり利用に支援費は対応できないため)。このため、支援費制度が開始されても、依然として生活サポート事業の利用は減少せず、人材のやりくりがさらに困難となる。→学童保育的サービスは必須。東松山市内に、今年、養護学校生徒向け学童保育が開設(私的事業)され活況。
6.  ニーズ動向から見て以下の項目は緊急に検討されるべきであろう。
短期入所及び日帰り短期(一時預かりサービス)を一定の要件を満たす居宅介護事業者に門戸を開く。
送迎サービスの弾力的運用

 以上のようなことに配慮しつつ、今後、増大するニーズに対応しうる制度への抜本的な改編を志向しなければ、事業者は当面の安定的運営あるいは利益確保のために、一定数の利用者を囲い込み定型的な「地域福祉サービス」を提供することとなる危険性がある。



  年齢 障害 支給時間 契約時間 実利用時間
4月 5月 6月 7月 8月
1 53 身体 1種1級 家15身15 家15身15 家5身5 家8身8 家13身11 家15身13 家12身10
2 54 身体 1種1級 家55身5移身4 家55身5移身4 家23身3 家36.5身5移身2 家35.5身4移1.5 家39.5身4 家25.5身4移身3
3 30 身体 1種1級 移身62移42 移身40移20 移身11移4 移身31移11 移身37移12 移身40移12 移身16
4 27 身体 1種1級 身10 身10 身8 身7 身6 身9 身6
5 24 身体 1種1級 知的 ○A 身33日15 身33日15 身17.5日4.5 身14日4.5 身15.5日3 身16日3 身12.5
6 26 知的 ○A   移身40 移身10(4月のみ40時間) 移身37 移身8 移身8 移身8  
7 24 知的 ○A 移身50 移身50 移身42 移身50 移身43 移身49・5 移身50
8 26 知的 ○A  身体1種1級 移身8 移身8 移身8 移身8 移身8 移身8 移身8
9 36 知的 B 身64 身64 身47 身47.5 身47.5 身51 身58
10 21 身体 1種1級 移身85.5 移身85.5 移身74.5 移身67 移身71 移身64 移身59
11 23 知的 ○A 移身54 移身54 移身48 移身50 移身54 移身50 移身46
12 27 身体 1種1級 知的 ○A 移身200 移身200 移身79 移身114 移身105 移身123 移身42
13 47 身体 1種1級 移身10 移身10 移8 移身10 移身8 移身7.5 移身9.5
14 9 身体 1種3級 知的 A 移身40 移身40 移身12 移身21 移身36 移身24 移身24.5
15 15 知的 A 身10移身18 身10移身18 身10移18 身10移身18 身8移身15.5 身10移身18 身8移16
16 20 身体 1種1級 知的 ○A 身171 身123 身56 身117.5 身110.5 身116.5 身74
17 33 身体 1種1級 日180移身108 日54移身21   日48移身12 日49移身11 日54移17 日38移身17.5
18 37 身体 1種3級 知的 A 家38身2移20 家38身2移20   家31.5身0.5移19 家31.5身2移20 家31.5身2移20 家25.5身1.5移17
19 23 身体 1種1級 知的 ○A 身31.5 移身18     身12 身14 身12
21 26 身体 1種1級 身18日32 身18     身16 身16 身14
22 30 身体 1種2級 家2移9 家2     家2 家1 家2
23 19 知的 A 移15 移7     移6.5 移6 移5
24 21 知的 ○A 移身42移22 移身18     移身2 移身10 移身8
25 32 知的 ○A   移身4 移身4       移身4 移身3.5
26 24 知的 ○A  身体2種5級 移身10 移身2       移身2 移身1
27 33 知的 ○A 移身20 移身20       移身12 移身5
28 22 知的 A 移20 移6       移6 移6
29 21 知的 ○A  身体1種3級 身24移身8 身10       身10 身10
30 24 知的 ○A   身12移身20 身6       身6 身6
31 23 知的 ○A   身20移身24 身12移身6       身10.5移6 身10.5移身6
請求額       2,238,000 2,994,000 3,038,000 3,511,000 2,536,000
サポート事業       1,336,000 1,427,000 1,342,000 1,231,000 2,091,000


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