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第6回
社会保障審議会児童部会
社会的養護のあり方に関する専門委員会
議事録




厚生労働省雇用均等・児童家庭局


社会保障審議会児童部会
社会的養護のあり方に関する専門委員会
第6回議事次第


 日時:平成15年9月29日(月) 10:00〜12:06

 場所:厚生労働省 専用第21会議室


  1.開会

  2.議題
(1)意見交換
(2)その他

  3.その他

  4.閉会



○事務局
 定刻でございますので、ただいまから第6回社会保障審議会児童部会社会的養護のあり方に関する専門委員会を開催いたします。
 本日は大変お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。出席状況の報告をさせていただきます。本日は、高橋委員、野田委員が御欠席でございます。
 では、議事に入りたいと思います。松原委員長、よろしくお願いいたします。

○松原委員長
 おはようございます。
 それでは、議論に入ります前に、事務局の方から本日の資料の確認をお願いいたします。

○事務局
 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 まず、議事次第でございます。
 次に、資料1「社会的養護のあり方に関する専門委員会における主な検討課題と関連する指摘事項および方向性(案)について」。この資料につきましては、前回資料からの修正点につきまして、下線を付したものと付していないものの2種類を用意しております。
 次に、資料2「検討課題及び各委員発言状況」。
 資料3「これからの社会的養護システム(案)」
 資料4「児童部会における主な論点事項と関連する指摘事項および方向性(案)について」。
 資料5「少年非行対策のための提案(ポイント)」でございます。
 お手元に以上の資料がない場合はお知らせください。事務局よりお渡しいたします。

○松原委員長
 それでは、資料はよろしいでしょうか。前回の御議論を踏まえて、今日は資料1について、事務局の方で修正をいただきましたので、これについて御議論をお願いして、おおむねの方向性については御了解をいただきたいと思います。ただ、幾つかまだこの委員会でやり残している議論がありますので、資料1の検討に入ります前に、前回少し御発言がありました中から、1つは、社会的養護のあり方に密接な関連を有する児童相談所のあり方あるいは社会的養護と児童相談所の連携のあり方というようなこと。それから、報告書で言うと「その他」のところにもなるのでしょうか、少年非行対策も含めて、まだ議論が十分でないとの指摘もありました学校教育との連携などの関連分野についての議論をお願いし、その議論が終わった上で全体の議論に戻りたいと考えております。
 ここ数回は3時間の時間をとりましたけれども、今日は一応予定として2時間ということですので、議事の進行にも御協力をいただきたいと思います。
 それでは最初に、児童相談所のあり方あるいは連携のあり方、その他、少年非行対策あるいは学校教育との連携等を挙げましたので、そこからの議論をしたいと思いますが、資料4ということで、これは前回も配付していただきましたけれども「児童部会における主な論点事項と関連する指摘事項および方向性(案)について」というものが配付されております。こういったものも御参考にしていただきながら、御自由に発言をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

○奥山委員
 児童相談所との連携ということですので、この前いただいた児童部会の方の資料はあるんですけれども、今、児童相談所で社会的養護から見て何が問題なのかというところをもう少し明確にしないとならないと思うんです。この議論は、どちらかというと問題点を整理というよりも、市町村との役割分担というところにどんどん入っていて、余り問題点というものが明確ではない。その問題点を一体どうしたら解決する方向に向かえるのかというふうに考えていかないと、連携も含めて一体何が問題なのか、まず少し議論した方がいいのではないかと思います。

○松原委員長
 ありがとうございます。
 社会的養護という分野から見ますと、児童相談所がある判断をするまでの親と子どもへの対応、それから、時期は長短あるにしても、親子分離をするという判断をした後、社会的養護との入り口部分、措置の部分というのでしょうか、そこでのアセスメント等あるいは引継ぎ等の問題、それから、里親委託あるいは施設入所後の連携、それから、今度は委託の終了あるいは措置解除に至るまで、そこの出口からアフターケアと本当に過程を追っていくと、それぞれのポイントでそれぞれいろいろな連携のあり方あるいは今後、児童相談所はこういうような形で進んでいってほしいというような御意見であると思うんですが、こういうふうに順番を守れるかどうかよくわかりませんけれども、奥山委員がおっしゃるように、まず、現状でこんな課題があるのではないかということからでも結構でございますが、いかがでしょうか。

○奥山委員
 施設とかそういうところで見ている現場から1つ、2つだけ例として挙げたいと思います。やはり児童相談所のソーシャルワーカーさんというのは、今おっしゃったように、それこそ切れ目のないケアをしていかなければならないんですが、どうしても入所をさせてしまうと後は、いまだにケアが行き届かないという部分がかなりあると思うんです。今、養護施設 1 なりいろいろな施設に入所されている子どもたちに、君のソーシャルワーカーは誰と聞いて、さっと答えられるかどうか。そこが答えられるようにならなければ、児童相談所としてはまずいのだろうと思うんです。それがうまくいっていないと、今度は施設の中でいろいろな問題が起きたときにも明らかにもなってこないでしょう。介入のところは少しずつやり方が進んできていますが、介入後のところが余りきちんとなされていないのではないか。それから、もう一つは、出口のところですね。今、松原委員長がおっしゃった再統合から地域ケアに至る出口をどうするかということが、なかなかうまくいっていないというか、マンパワー不足というのもありますけれども、その辺りはとても問題なのではないかと思います。

○松原委員長
 ありがとうございます。
 私どもの方向性の6の中で、子どもの権利擁護の強化というのが書かれていて、指摘事項の中に「権利ノート」という言葉が出てきていて、幾つか権利ノートを見ますと、児童相談所、君の担当は誰々だよと名前を書いて渡すような権利ノートもあると思うんですけれども、では、全国的にそれが渡っているかというと、渡っていないということもあろうかと思います。
 ほかにいかがでしょうか。

○庄司委員長代理 奥山委員の御指摘にもかかわりますけれども、今度里親の側から考えると、児童相談所職員の専門性と非常に短期間での異動の問題が大きいと思います。資料4の6ページの下から4行目に、人事ローテーションなど人事管理のあり方の見直しということがあって、ここは是非、強くそちらの部会で提言していただければと思います。
 それから、7ページの一番下の2行に関して、これはちょっとよくわからないんですけれども、児童福祉司の任用資格について、従来「その他これに準ずる者」ということが拡大解釈されて、それを「同等以上の者」としましたが、ここで資格よりも経験豊富な人材を幅広く登用できるとしてしまうと、後戻りしないかということが危惧されるところです。

○才村委員
 2回ほど欠席しまして申し訳ありません。この流れについていっていないかもしれませんが、児童相談所の元児童福祉司として、いろいろ施設の方から指摘されることとか、児童相談所内部でも児童福祉の中心、虐待等の中心の機関であるとされながらも、十分機能していないという現実に直面する中で、さまざまな改善しなければならない点というのが浮かんできます。
 まず、児童福祉司とか心理、むしろ児童福祉司の先ほどの資格、専門性の問題ですが、全国を見ても専門性が十分に確保されていない。量は勿論そうですけれども、質的にもこの間の児童福祉法の改正で「社会福祉士」という言葉が入りましたが、あくまでそれは名称独占であって業務独占でないところが、本当に最低社会福祉士であるべきだと思うんですけれども、その社会福祉の中でも児童福祉は特殊な専門性が、子どもという未成熟な発達途上にある存在であるということの認識だとか、それから、児童福祉司が子どもの代弁をしなくてはならないというところでの機能、そして、子ども自身も1個の人格を持つ、ちゃんとした意見を持っている存在であるということの専門性という意味でも、本当に徹底していないと。他の福祉を別に軽視するわけではありませんが、本当は児童福祉ということへの特化した専門職というものが、社会福祉士をとったからそれでいけるということではなくて、児童相談所の児童福祉司になるためには、例えば比較したらいけませんけれども、家庭裁判所の調査官とかは1年間かなりみっちりとした研修などがあるにもかかわらず、児童相談所に属すると転勤して即虐待や、それ介入で親子分離だ、立入りだということで、1日たりとも研修で現場を免れることなく、地域に張りつけになってしまっているという現実がある中で、それでは余りにも子どもの福祉を確保するにはお粗末ではないかと思います。
 それから、先ほど言われました入所の介入の入り口のところが進んできたとはいえ、まだまだその辺の判断、アセスメントが十分機能しているかということについても、資格と同時に後の研修体制というものを充実していく必要があると。
 それから、施設入所した後の入所中のケアについても、ここにも出ていると思うんですが、初期的な介入機能と支援機能の役割の調整というものが3ページに出ていますけれども、初めに子どものニーズを把握し、例えば、親子分離とか施設入所に至るまでの機能と、入所してから後ずっと子どものアセスメントをしながら治療部分についても判断していくという機能については、一緒くたにやっているとどちらもできないという事態がありますし、児童相談所の中でもこれを分離するための人数の確保が必要ではないかと。それは種類の違う仕事だと思います。
 その支援機能の中でも、これから児童相談所が市町村との役割分担ということで、親と子どものニーズが同じというケースであれば市町村へという流れがあるかと思うんですが、もし、親と子のニーズが違う事例について児童相談所が担うとしましても、市町村へその機能が委譲されたとしても、今の児童相談所の人数を減らすことなく、今ですらかなり不十分ですので、それがもし、そういう委譲機能になりましたとしても、人数的にはじき出してぐっと減らすのでは全然意味のないことです。それだったら現状のままの方がましですから、その辺ではそこのところを十分に確保しながら、もっと介入部分についての専門性のアップを図るということが必要かなと思います。
 それから、アフターケアの部分でも、施設の先生方にアフターケアの部分をお願いしている中では、やはり児童相談所ですべてを担うということが難しいので、児童養護施設にファミリーソーシャルワーカーを置くという案が出ていたと思うんですが、その辺との役割分担でやっていかないことには、児童相談所が何もかも担うというのはなかなか現実的に無理ではないかと思います。
 まだ、いろいろとほかにもあるんですけれども、例えば、里親さんのことであっても、今言われたように、今のままでは里親の認定、研修、そして委託、それから、委託後のケアというのをすべて児童相談所が役割としてはあると思うんですが、前にも言いましたが、児童相談所に里親担当の専任を確保しないことには、それも地域の虐待の事例と一緒にやっていたのでは、全然違う仕事の種類になりまして専門性の確保ができないですし、里親委託ということはかなり手間暇を掛けないことには、また里親委託も実現しないと思いますので、専任制というのは絶対必要かなと思います。
 先ほど権利ノートの話も出ましたけれども、一人一人の子どもさんに権利ノートを渡しながら、子どもの意見を聞いていくということがすごく大事なことですけれども、施設入所の子どもさんについては権利ノートをつくられている府県も増えてきたと思うんですが、里親さんへ委託をする子どもさんについても権利ノートは必要だと思います。大阪府では去年だったかと思うんですけれども、里親さん、里子さんへの受入れノートもつくって配付するということも実施されているようですので、是非それを徹底しながら、職員とともに専門性のアップにつながる権利擁護が、代弁者となれる権利ノートの活用ということも是非必要かなと思います。
 それから、児童相談所の中の一時保護の機能についてなんですけれども、ここに出ているかもしれないんですが、一時保護所では本当に2歳ぐらいから18歳未満のすごく年齢の幅も広いし、また、種別といいますか、緊急性の小さな子どもさんの養護ケースから、警察から身柄付き通告で来る非行の子どもさんとか、虐待で心身ともにズタズタになっている子どもさんとか、ごちゃ混ぜに小さな一時保護所で保護されて、また、それぞれの専門性を確保できる人材がそろっているかというと、全然そういう実態ではなく、なかなか一時保護機能というものは難しい現実がありますし、一時保護所の人数をぐっと増やすのであれば別ですが、そうでないのであれば、是非、児童福祉施設の方で一時保護・委託の機能を充実するとか、短期の一時保護機能が里親さんの方にも是非必要なのではないかと思います。
 たくさん言いまして、すみません。

○松原委員長
 ありがとうございました。
 資料4の8ページの一番下の方には、今、才村委員が最後におっしゃった一時保護所機能のことについて、児童福祉施設等との機能分担を含め検討することが必要ではないかということも挙げられていますので、後ほどこのことについても、ほかの委員から御意見をいただければと思っておりますが、坂本委員お願いいたします。

○坂本委員
 施設への入所、それから、入所中、退所のプロセスにおける施設と児童相談所の連携というのは不可欠なわけですが、今のところ施設と児童相談所はそれらに対して協議・協力ということで連携するということになっているわけですね。それでやってきていますけれども、果たしてそれが十分かと言われたら、そうではない。今もお話が出ていましたように、子どもと家庭のアセスメント、アセスメントもやはり変えていかないといけない。それから、ケアプランの策定、具体的な援助といった中で現状を見ますと、協議・協力と言いながら極めてあいまいであったり、場合によっては責任の押し付け合いも見られるわけですね。この協議・協力を明確に協働ということで打ち出していかなければ、この現実は多分変わらないのではないかと思います。
 今後、児童部会の中でも検討されています児童相談所のスリム化に合わせて、児童相談所はよりケースマネジメント機能を打ち出していくべきだと思いますし、また、今、才村委員からも発言がありましたように、ファミリーソーシャルワーカーが各施設に配置されると、主にそこでの協働ということで、明確な役割がそれぞれに位置付けられるのではないかと思います。
 今の児童相談所の現状を見ていますと、虐待の対応については、特に初期対応は一定のノウハウが蓄積されつつあります。ところが、今何が大変になっているかといいますと、施設入所中の子どもへのフォローなんですね。それは、アフターケアということではなくて、まさに入所している最中の子どものことで、児童相談所の児童福祉司は走り回っているわけです。それは、子ども自身がさまざまなトラブルを起こす、それから、施設の中で問題が起こる、あるいは地域との間で問題が起こる、あるいは親御さんとの調整で施設だけでは抱え切れない問題が起こる等々で、今、疲弊している児童福祉司は虐待対応ではなくて、むしろ施設入所中の事例を持ったワーカーなんですね。ですから、そういった現状を変えていこうとすれば、今言いましたような児童相談所と施設が一緒にやっていくんだということをはっきり打ち出すべきではないかと思います。

○松原委員長
 ありがとうございました。
 ほかの委員は何かございませんか。

○奥山委員
 今の坂本委員のお話で、ちょっと気になったことがあります。スリム化してケースマネジメントを中心にしていく、これはとても大切なことで、ケースマネジメントを強化していかなければならないんですが、だとすると、非常に難しいケア機能はどこに行くのかということが気になる点なんです。つまり、ケア機能付きの施設にとおっしゃっていますけれども、やはり子どもの方は1つの施設ではなくて、下手すればいろいろな施設に行かなければならないときもあるかもしれない。それから、1か所に住んでいて治療的な施設に行ってまた戻るという問題もありますよね。ソーシャルワーカーさんがいるということが必要で、確かにマネジメントは非常に重要です。しかし、それが市町村に移行するという内容になっています。市町村で賄い切れないような虐待ケースのケアに関して、少なくともどこか専門的ケアを提供する場所が必要です。もし、スリム化するとしたら、今度は別なところになるのかもしれないですけれども、どこかにはなければいけない。児相ではないとしたら、在宅ケースを中心として高度なケアをする所は、一体どこなんだという辺りを示さないといけないのではないかと思います。

○松原委員長
 ほかにございますか。

○中田委員
 児童相談所としてというようなことが出ているので少し。私は8月28日のときも申し上げたんですが、今の議論の一部では、児童相談所の職員を増やすことで解決できる問題がかなりあると思うんです。だけれども、この児童部会の報告書を見ていましたら、児童相談所とすればもうちょっと司法の関与が欲しいと。以前は警察も全然協力してくれなかったけれども、最近は協力してくれて大分よくなったというようなことがあるので、逆に私は質問をしたいんですが、もっと強力な形で司法関与ができるような仕組みをむしろ提案なさったらどうなのかと。例えば、社会的養護における、言い方が適当かどうか知りませんが、全然専門外なので単なるアイデアなんですが、ある弁護士さんと話をしていて、社会的養護における公取委員会みたいな機関をつくって、そこにかなり司法的な権限も含めて与えるようなものはつくれないのでしょうか。論理的にはあり得るというようなお話でしたが、ただ、公正取引委員会とかああいうところは指導とか禁止だとか、そういうことはするんだけれども、その後がないので、それを含めたものを考えないといけないでしょうねと言われたんですけれども、多分、今の児童相談所が都道府県の地域と同じ権限を持っているわけですから、そういうところにうんと権限を与えれば、親権との競合の問題もひょっとしたら解決できるのではないかと感じていますが、どうなんでしょうかという話です。

○松原委員長
 なかなか大変な議論だと思います。いずれそういうことも考えていかなければいけないかもしれませんが、今日は資料4でもボールを投げられている部分について、社会的養護のあり方委員会からのボールの投げ返しもあってもいいかなと思っていて、具体的に言うと一時保護のあり方、それから、虐待の専門委員会の方でもアセスメントということで、どこがどう担うのかという話も出ておりましたので、そういったことにかかわって御意見なりをいただければと思います。
 では、四方委員から順番に時計回りでいきます。

○四方委員
 いろいろ御意見を伺っていまして、一番基本的な問題として、今の難しい子どもたちは社会的養護、施設養護だけでは担えない、本当の意味で外からの守りがないと担えない辺りをどこかできちんと書かないといけないのではないかと思っています。そして先回出ました連携の問題なんですが、その中の1つとして児童相談所の問題が今上がっているんですが、アセスメントについてですけれども、かつての長い歴史の中で、保護といったところで、子どもを施設に預けるという感じのものがまだまだ残っているかと思います。多くの事例でその後の経過が本当に困難になっているのは、まずは入り口のところで本当の協働がなされていない。たとえ児童相談所がきちんとしたアセスメントをしてくださったとしても、それが養護施設としますが、あるいは情短 2 でもどこでもいいんですが、受けている側との間の本当の意味での子どもを理解するやりとりがなされていない。これは、簡単に「連携」という言葉では表せない問題だろうと思うんです。お互いにそこのところをある意味で非常に大事な、その子の一生を支配するぐらいの、運命を決めるぐらいの重要な問題であるという認識が、恐らく持てていないのではないかと思います。ですから、まずは入り口のところです。それから後に続くところも同じようなことでして、やはりそこの大事さというのは、まずきちんと書かれなければいけないし、認識していかなければいけないかと思っています。
 そのほかまだいっぱいあるんですが、とりあえずアセスメントのところだけ。

○加賀美委員
 何人かの先生方のおっしゃったことと大分かぶっている部分もあると思いますが、ただ、奥山先生のおっしゃったソーシャルワークという視点で、子ども一人一人の権利擁護をきちんと見据えながら自立支援を果たすという、社会的養護の仕組みという全体の仕組みをどうするかという議論の中で、児童相談所がどういう役割をするのかという議論をしておかないと、社会的養護、これはまた、この社会的養護のあり方委員会の話とかぶってくるわけですが、社会的養護のあり方そのものの議論ということでいくと、社会的養護とは一体何だということになってきます。広くすべての子どもたちへの視点で社会的養護を考えていくときに、児童相談所の役割というのが、そもそも最初からそういったところからスタートしていないという結果として、例えば、戦後の戦争孤児の子どもたちの緊急対策的なところからすべてがスタートした児童相談業務、あるいは児童養護施設等の児童福祉施設の機能もそうであったはずなんですが、そこのところがそのまま放置されてきた結果として今があるという認識に立てば、その後の社会的子どもたちのニーズに見合った仕組みということが再検討されなければいけないというところに今立っているということだろうと思います。
 そういう意味では、先ほどのすべての子どもの一人一人の権利擁護、そして、彼らの自立支援というようなところを、社会がどう仕組みとしてつくっていくのかというソーシャルワークの基本的な視点で、一人一人の子どもに支援する仕組みとしての児童相談所の役割が今の仕組みで果たしていけるかということ、そして、もし果たしていけないとしたら、どういう仕組みを考えるかという議論も含めて、社会的養護のあり方そのものの全体に掛かる問題だろうと。そこのところを、うまく整理できないんですが、2つに分けて議論をしてきているわけですけれども、そこがもう一度大きい視点に立って議論していかないと、児童相談所ありきというところで勿論議論しなければならないという部分もわかるんですが、やはりそこのところが果たしてそれでいけるのか、このままでいけるかどうかということが、ちょっと気になっているところです。
 それから、もう一つ、一時保護の問題がさっきからあったんですが、これもまた後ほど議論されるということなので。

○松原委員長
 今どうぞ発言してください。

○加賀美委員
 そうですか。一時保護の機能を、どちらかというと今の既存の児童福祉施設等に委託をしていくというか、そういう流れというのは現実の中ではあるんですね。現実に起こっているわけですけれども、現状で考えると、ほとんどアセスメントのないままに一時保護してきた子どもが、実はそのまま施設に据え置かれていくという流れの中で混乱をしている部分、先ほどどなたかのお話の中にあった、児童相談所の仕事が最初のリスクアセスメントをして施設に入れるという業務よりも、施設に入ってからの子どもたちのさまざまな課題に追われているという現実というのは、そういうところと関係しているんですね。つまり、一時保護がそういう形で行われるという危険性もあるわけですから、勿論、社会的養護のところでこれからまだ議論しておかなければいけない部分だろうと思いますが、では、一時保護機能を児童福祉施設に持たせるということのために、どういう仕組みを考えるのかということもきちんと議論をしておかないと、大変危険だと思うんです。

○松原委員長
 ありがとうございました。

○才村委員
 今、言われました加賀美委員さんの全体のあり方というものはすごく大きなことで、ここで社会的な養護の部分のみだけではなく、児童相談所が全体の中でどのような機能を持つのかというのは非常に根本的な問題かと思うんですけれども、私自身の意見としましては、何もかもすべてを児童相談所でというのは無理だと、これは皆さんが認めるところであり、施設量が増えたとしてもどこまでいけるのか。やはり施設の方でケアの部分、治療部分を補ってもらって、児童相談所は現状ではまだ十分できていませんけれども、アセスメントの部分は在宅でいけるのか、それとも施設で分離しなくてはならないのか。分離した場合に親子の再構築の問題もありますけれども、勿論、親御さんの治療をした上でですが、帰せるかどうかというアセスメント。そして、例えば、帰った後何か起これば、それは帰した児童相談所のアセスメントが間違っていたのではないかと、勿論、責任ということではそこが担うという部分では、だから、児童相談所で先ほど奥山委員の言われました、非常に難しいケア機能はどこが持つのかというところですが、児童相談所で難しい子のケアの部分まで持つというのは無理だと思います。
 難しい子のケア機能というのは、施設の方で持ってもらうというのもなかなか難しいわけで、結局は児童相談所もそうですし、それから、施設の方もそうなんですが、児童精神科医というのが日本ですごく少ないという現実があって、どう増やすのかということになってくると思うし、また、心理職員が児童相談所だったら児童福祉司の増員ばかりが言われているみたいですけれども、やはりアセスメントの部分にも心理職員が必要ですし、また、児童精神科医の判断というのはすごく重要ですし、また、施設の方のケアについても、児童精神科医と心理職員とが、ケアワーカーとチームになりながら対応していくのが理想であると。理想ばかり言っていても、なかなか現実にどう下ろしていくかというのがあると思うんですが、私事で恐縮なんですが、先日、イギリスの児童養護施設を見てきました。たまたまそこはみたいになるかもしれないんですけれども、そこでは6人の少年を大体12人ぐらいのスタッフで見ておられて、6人以上の人数は考えられないというようなことで、小規模グループホームという感じだったんですが、10歳以下は全部里親委託なので、施設の方は全然そういうところには来ないと。全部が10歳以上の子ども、だから、非行少年というような感じ。盗みがあるとか、浮浪と徘徊とかその辺で、一旦は里親に委託されたけれども、そこでうまくいかないというのを1〜2回経験して、どうしても児童養護施設に来なくてはならないという子どもさんが来ているということだったんですが、そのスタッフ以外に児童精神科医が週に1回必ず時間をとって治療部分を担っていると。例えば1人の子どもさんは、お母さんが亡くなったときに全然悲しみの表情がなかったと。その悲しむことができるためのそういうケアといいますか治療というものを、それだけでは勿論ないと思うんですが、児童精神科医の人が施設の方に週に1回来てくれて、そういう治療的な時間を持っていると。
 そして、親御さんの方はどうするのかといったら、親御さんの方も精神科医が毎週治療をやっているということで、親子で暮らせる日をアセスメントは事業、社会福祉部の児童ソーシャルワーカーの方でアセスメントをやっていると。それはいいなということで、全然夢物語に、日本とは違うではないかということになってしまうと思うんですが、治療部分については、やはり精神科医をもう少し養成できる方法だとか、その辺はいろいろと壁があるとは思うんですけれども、是非そうしないことには、虐待児等の難しい子の治療的な部分というのは一歩も前に進まないと思います。

○松原委員長
 奥山委員、一言だけ。それから、西澤委員に回します。

○奥山委員
 ごめんなさい。ちょっと言葉足らずで、難しい子のケアと言ったときに、施設に入っている子どもということではなくて、4のところに「家族関係調整及び地域支援について」と私たちの社会的養護のあり方専門委員会の検討課題ですね。そのところにあるこちらの方ですね、どちらかというと。だから、施設に入っているうちはいいかもしれないけれども、在宅であったり、帰った後で難しい子どもの調整機能とかそういうものも社会的養護として考えようということなので、そことの関連ということで少し申し上げたところなんです。

○西澤委員
 何を言おうと思ったのか忘れてしまった感じもするんですが、何か言わなければいかんなと思っています。社会的養護の方から見て、児童相談所の何が問題かというと全部問題ということになってしまって、今、先生方皆さんいろいろ出されたことは、すべて当たっているんだろうと思うんです。だから当面、何を考えなければいかんかなというと、やはり共同とか連携というものを実質化させるにはどうしたらいいかというところが大きなポイントだと思うんです。児相の方ではそれをやっていらっしゃるのかもしれませんが、施設側から言えば、子どもの自立支援計画とか毎年出させていただいているわけですけれども、児童相談所側の支援計画というのは見たことがないんですね。児童相談所がこのケースを、要するにアメリカなどで言われたパーマネンシー・プランニングみたいに、今後どういうふうな目途で進めていくケアあるいは支援を進めていくのかというようなものも施設に出していただき、かつ、施設の方もそれに応じて、こういうふうに私たちは子どものケアをやりましょうということで、それはうまくいっているのかどうかというのを、何か月おきかにケースカンファレンスを合同でするというような仕組みをつくっておかないと、連携・共同と言っても掛け声ばかりということで、やはりそれをどういうふうにして具体的に形をつけていくのかというところをまず考えるべきだろうと。
 やはり、最近自分がかかわっているケースで、児童相談所がこれは帰すんだということで、かなり強引に帰したケースというのを何回か経験していますが、そういった問題についても、やはりそういう継続的なケースカンファを共同で持っていくということをすれば、ある程度は防げていくかなと。要するに、子どもや親に対する共同作業を実体化させるための方策という点があると思います。
 それから、もう一点、やはりソーシャルワーカーの数が足りない、児童福祉司の数が徹底的に足りないと思うんですが、どの程度まで増やせばいいのかというのも、きちんとどこかで基礎研究なり基本的な議論をしなければいけないのではないかと思うんです。
 例えば、さっき出された例のイギリスの場合に、人口万対でいくと大体日本の十数倍のソーシャルワーカーが配置されているはずで、アメリカの場合だと二十数倍のソーシャルワーカーが配置されていると思います。あるいはケース労働の面から見ると、今大体3万人近くの子どもが社会的養護のもとにおるわけですが、ここに出された1,600人という数字を見ると、大体1人のワーカーが20人のケース労働を抱えているわけですね。これは実際無理な話で、そういった部分で大体適正数というのはどれくらいなんだということをきちんと把握していかなければいけないのではないかと思っています。
 それから、ソーシャルワーカーの話ばかりになるんですが、心理職についてどう考えていくのか、私もよくわからないです。アセスメントということが言われていますけれども、アセスメントを専らとするのか、あるいは心理療法、それも親に対するものなのか、子どもに対するものなのか、この辺もかなり混乱した状況に今あると思うので、どっちの方向性を出していくのかわかりませんが、心理職の在り方についてあるいは業務の在り方についての検討ということもやっていく必要があるだろうなと思っています。

○松原委員長
 ありがとうございます。
 ちょっと進行的に時間が気になっていて、資料4に基づいて少し今までの議論を整理させていただきますと、1つは7ページの「おおまかな方向性」の児童相談所の職員については、引き続き必要な職員体制の確保に努めることが必要ではないか、この点については皆様方も大方そういうような御意見が出てきたと考えております。
 それから、何人かの先生方からも心理職のあり方ということで御発言があって、これは8ページのところに「心理判定員業務および名称の見直し」ということで、ここでも議論が出ました。
 それから、同じ8ページのところで、一時保護を児童福祉施設等が受けていくことはやぶさかではないんですが、そのための仕組みづくりといいましょうか、システムづくりが必要なんだという御意見もいただきました。
 総じて、連携ということが必要だという御意見が多々あって、今、西澤委員が最後におっしゃったように、それを実体化していくためにはどういう方策を立てたらいいのか。こういうことについては更に検討を進めていくべき、掛け声だけではなくて、委員の中から連携ではなくて協働だという御指摘もありましたけれども、連携あるいは協働というものをどう実態していくかということで、そのことが恐らく施設と児童相談所との連携だけではなくて、何人かの委員がおっしゃっていたように、施設退所後の広い意味での社会的養護全体のあり方の方向性あるいは質を決めていくのではないかと考えておりますので、そういう整理をさせていただきます。
 もう一点、資料1の検討に入る前に、皆さんの方から前回御指摘があったのは、少年非行対策で、この間は鴻池委員会の資料もお渡しいただきましたし、今日お配りいただいた資料では資料5でそういうものが概要等がついておりますので、こういう少年非行あるいは少年司法との連携あるいは学校教育との連携、それから、今までの議論の中ではドメスティック・バイオレンス対応との連携ということで、そういう関連分野との連携のあり方ということでも幾つか御発言があったかと思いますので、もう少しそこを深めたいと思います。今、少年非行対策、それから、教育、ドメスティック・バイオレンス対策、そのほかに医療等々さまざまあると思いますので、この点御発言をいただいて、できれば1時間ぐらい時間を残して資料1の検討にいきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○武田委員
 ちょっとその前に。この児相のことの提案というのは、児童部会の専門委員会でなくて、児童部会そのものとしてやっていて、児相に関してということが主な内容になっているんですか。その辺の位置付けがよくわからないのと、いつこれが出されるものなのか。

○松原委員長
 表題は児童相談のあり方ですので、児童相談所だけではなくて市町村が行うような相談というものも含まれていると思うんですが、児童部会全体の日程については事務局からお願いしましょうか。

○武田委員
 表題に「児童相談」と入っていないんですね。

○中村総務課長
 児童部会につきましては5月から議論を始めておりまして、基本的には虐待の専門委員会で提案があったうちの、特に都道府県児童相談所と言ってもいいかもしれませんが、それと市町村の役割を中心にした部分について自治体の関係者の意見も聞きながら、こういう形でまとめてきておりまして、部会本体でございますので、できますれば、この社会的養護の専門委員会の検討結果も踏まえて、10月あるいは場合によると11月ぐらいで、全体として来年の法改正の方向性を部会の報告という形でまとめていただきたいとお願いしております。

○松原委員長
 それでは、ちょっと元へ戻りまして、そういう関連分野との連携ということで何か御発言をいただきたいと思います。我々の方の方向性案では、恐らく7の部分にも盛り込まれていくことなると思います。いかがでしょうか。
 では、奥山委員から今度は時計と反対方向で。

○奥山委員
 社会的養護というと、どうしても社会的養護そのものだけを見てしまうんですけれども、さっき言いました周りの在宅支援であるとか、そういうものがうまくいっていないと、先ほど西澤委員もおっしゃいましたように、今何が起きているかというと、施設が足りない、だから、ところてん式に出してしまえ、出してしまうという方向に行きつつあるわけですよね。本当に出してはいけない子どもまで出してしまえということが起きてきているわけで、それは何が問題があるかというと、施設の周辺の相談機能がきちんと何でも施設に入れる形になってしまいます。やはり相談機能をきちんとしなくてはなりません。児童相談所にしてもほかのところにしても、どういう形で全体をレベルアップさせていくかが問題です。そして、最終的には一番私たちが望んでいるのは、できればそういう施設に入所するお子さんたちは減っていってほしいということですから、やはり予防をどうしていくのかということが一番大きな問題なんだろうと思うんです。
 先ほど、前回の少年非行の点で少しということでしたので、少年非行についてちょっとだけ意見を述べさせていただきたいんですが、2回目の時でしたか少年非行の問題が話されたときに、今の少年非行の大きな問題はとんでもない形の事件が起きて、みんながびっくりしていると。底辺の問題とそこに起きてきているとんでもない事件、理解しがたい事件というのは、やはりちょっと質の差があるだろうという話をさせていただきました。この鴻池私案を見せていただいて、もう少し考えてほしい点が幾つかあると思うんですけれども、2つほど私の方から指摘させていただきたいのは、奇妙な犯罪ということを見てみますと、いろいろな形で小さいときから発達の問題を抱えている方がおられる。そういう問題に関して、やはり早期に発見して、早期にケアしていくようなシステムが、まず必要だろうということが1つです。
 それから、もう一つは、加害をしている方たちを見ると多くが被害を受けている。そういうことを考えると、やはり被害の予防というのが加害を防ぐ上でも非常に重要だろうと思います。特に性被害というのは、非常に早く予防をしなければならない問題だろうと思います。私たちの調査でも、女性に聞いて過去に性被害を受けたことがあるかということで、6.4人に1人の方が小学生までの間に性被害を受けているわけですね。そのぐらい底辺は広いわけですから、やはり子どもに対する性被害の予防というのは、犯罪予防にとっても非常に重要なポイントになってくるのではないかと思います。性被害そのものは虐待と言ってもいいわけですね、大人から子どもへの、あるいは子ども同士も含めてもいいかもしれないですが、被害をなくすための対策としての教育・保護ということを考えていかなければならないということは、大きなことなのではないかと思います。
 もう一つ最後に、具体的なところで、少年院入所のことなんですが、14歳未満の少年の少年院入所をどうするか、この間、坂本委員の方からも御意見が出て、できるだけ福祉の中でやっていった方がいいのではないかということがあります。ただ、私たちが実際に現場で考えるときに、やはり少年院という1つの構造がはっきりしているところ、かつ、医療少年院がある、医療が提供できるところがあるというのは有意義です。いわゆる今の各県にある児童自立支援施設では賄い切れないところだろうと思うんです。福祉の中でやっていくべきであるとしたら、そこを強化していかなければならないだろうと思います。ある種の構造といっても、単に壁があればいいと言っている問題ではなくて、どういう構造化をして犯罪を防いでいくのかということと同時に、医療的なケアがきちんとできるところを考えていかなければならないだろうと思います。

○四方委員
 少年非行について非常に詳しくお聞きした後で、なかなか言いにくくなってしまったんですが、基本的なところにかかわるんですが、7「その他」となっているところは、本当はもう少しきちんと1つの項目として上げた方がいいのではないかとかねがねより思っておりました。実は、社会的養護と言いましても、我々がやっていく場合に周りとの協働というか支援がないと成り立たない話ですので、ここのところはきちんともう一度書いていった方がいいかと思っております。
 その中でも、子どもの育ちにとって一番大きいのは、やはり学校との連携なんですが、実は私どもで大きな調査をした結果、いろいろな手だてを尽くしている中でも一番今の子どもにとって改善しにくいのは、子ども同士の関係なんです。多くの学校でその問題について困っていらっしゃることは十分わかっているわけなんですが、お互いに困ったままでというのがありまして、しかも、施設入所した子どもたちは様々な問題を起こしているわけで、学校との連携というのは実に大きな問題を含んでおります。
 少し実例を御報告したことがありますが、地域で児童養護施設等で子どもを引き受ける場合に、まずは学校の先生とともに引き受けるというようなものがシステムとしてできないでしょうか、このことを1つ提案としてさせていただきたいと思っています。具体的なことなんですが。

○西澤委員
 非行の問題に関しては、今、奥山先生が言われたような点が一番基本的な部分だと思うんです。被害を受けているときは放ったらかしにしておいて、加害者という状態になったときに入るということでは、やはりまずいだろうと思います。
 それと今、四方先生の言われた学校との協働に関しては、この前私も何回か言わせていただいた点になりますが、基本的に学校は今すごく困っているんだけれども、具体的な方策を打っているところはほとんどないという状況で、虐待を受けたり施設に入所している子どものケアに関してどうしていいのかわからない。場合によっては登校禁止ということで、今、文部科学省の方で多分、登校禁止した後のサポートシステムをどうするのかという議論がされていると思うんですけれども、その辺りでこういった社会的養護のサイドと学校とが、そこでどういうふうに連動して動くかということをディスカッションすることが1つの方策を出していくことになるのかなと思っています。
 それから、もう一つ、今まで誰も指摘されていないんですが、社会的養護と言うときに、例えば、知的障害を持った子どもはここに入ってこないという状況があるんですよね、今までの議論の中では。この辺は、きちんとした調査がなされているわけではないと思うんですけれども、入所施設に来ている子どもたちの知的障害が虐待の結果によるという場合と、知的障害があったがゆえに、さまざまな理由から虐待を受けてしまっている子どもたちというのがいるわけですよね。そういう子どもたちに対してのケアというのは、ほとんど何も議論されていない。実際、全国を見渡すと、知的障害児施設というのはどんどんなくなっていっている。公立の知的障害児施設がなくなっていて、それが障害者施設に変わっていっているという中で、役割が見えなくなってきている。特に公立のものですね。そこに、もう少し虐待という要素を加味したケアのシステムを導入していくなり何なりといった新たなケアのあり方、障害を持った子どもたちのケアのあり方ということも、きちんと一緒に考えていかなければならないのではないかと思っています。

○松原委員長
 ありがとうございます。
 ほかに御意見いかがでしょうか。

○兜森委員
 少年犯罪等に対する責任論、自己責任も含めてあるいは親まで含めてというようなことが議論されているわけですけれども、先ほど来指摘のありますように、福祉の対応なのか矯正教育なり処罰なのかという枠組みで考えたときに、例の12歳少年の事件があったときに、これは福祉では多分無理だろうというような意見があって、それを受けて福祉関係者がそれを認めたというような一部報道があって、それに対して前岩田局長さんが、少なくとも政府関係者からそういう発言をしたことはないというような御発言があったと記憶しております。
 やはり、私どもは社会的養護・治療ということを含めて考えなければいけないことは、少年犯罪を犯す子どもたちも小さいときからの発達上の課題を抱えている。むしろ、そういう意味では、一方では加害者であるかもしれないけれども被害者でもあるんだという視点がどうしても必要なんだと思います。したがって、被害者にならないために、つまり発達上の諸課題によって被害を受けないために、あるいは被害を受けたとすれば、それを早急に回復していくための仕組みをつくっていくための議論というのが必要なんだと思うわけです。
 この間の日曜日に、ある報道番組で非常に感銘を受けたのがあるんですが、自閉症児であるとかあるいはADHDの子どもさんたちを、フリースクールみたいな形で支援をしているNPO法人の報道がございました。その中で私が非常に感銘を受けたのは、ある子どもさんが水道の水を30分間垂れ流しして、まだ透明じゃないということを訴えていた。30分垂れ流しをしていたら、やっと「これ以上透明な水はない」と納得されて、その水道の蛇口を自ら閉めたというような光景がございました。私がどこで感銘をしたかというと、実は私どもが施設の現場にいて、なかなか相手の子どもさんたちとじっくり時間をかけて向き合うということが本当にできないんですよ。それは職員配置の問題でもあるだろうし、あるいは職員の資質の問題であるかもしれません。ただ、本当に必要なことは、相手の方に添い遂げていくという原点がそこにあるんだなと非常に感銘を受けたわけですけれども、結局、さっき言ったトリートメント、治療ということも含めてですが、我々に必要なのは福祉の現場のそういった視点ではないだろうかと思ったんです。したがって、それができないような現状というのは何だろうと考えたときに、社会的養護のあり方で議論されておりますケアの個別化であるとか、あるいはマンパワーの充実ということに尽きると思うわけですけれども、そういった意味で、この分野に掛けてこられた社会的コストがいかに低いのかということを痛切に感じた次第でありまして、是非この委員会ではそれを強く打ち出していただきたいと思います。

○松原委員長
 ありがとうございました。時計が11時を回っておりますので、大体このぐらいの御意見をいただいたということで、恐らく先ほど四方委員が御指摘してくださった7の表題を関連分野との連携とかそういうものに表現を変えていくというようなことも含めて、我々の方の方向性案に生かしていくことができるかなと思います。

○武田委員
 7の字句のことなんですけれども「婦人相談所」というのは、まだ一般的な言い方なんでしょうか。

○松原委員長
 「女性相談所」となっているところもありますね。

○武田委員
 ちょっときちんとしておいていただいた方がいいのかなと思いました。

○松原委員長
 かぎ括弧をつけてあるのも、そのせいがあると思います。

○徳地委員
 現在、少年非行のことが話題になっているので、児童自立支援施設・国立武蔵野学院としまして、一言お話ししたいと思います。
 鴻池レポートにもありますとおり、現在、児童自立支援施設というのは非常に交代制の施設が多くなってきたというところで、非行度の高まった少年に関しては、現在の児童自立支援施設としての機能は十二分に発揮できるのではないかという指摘があったわけですが、全国58か所あるうち現在、小舎夫婦制の施設は23か所しかありません。だんだん時代のニーズとともに減ってきているのが現状です。武蔵野学院においては、非行の程度の重度な子ども、特に重大事件にかかわった子どもは、私が職員になってから約9名いるんですが、先般こういうような少年の予後の成績をとってみました。9名のうち1名が現在、精神病院に入院しております。残りの8名は武蔵野学院を退所した後、何らかの家裁継続というのは1人もいないのが現状です。
 昔から、どういう子どもが一番処遇が難しいかといいますと、幼くして初発非行を犯した子ども、そういう子どもは非常に予後の成績が悪い。児童自立支援施設に入ってくる子どもの保護者というのは、前回のときに申し上げたとおり、最近は一人親家庭の子どもが大分増えております。夫婦がそろっている家庭としましても、やはり問題のある家庭ということで、重大事件を犯した子どもに関しては、よほど性格が偏っているケースを除きまして、非常にやはり予後の成績がいいということをここで報告させていただきます。
 それから、長崎の少年、それから、先般の沖縄の少年、去年10月4日ですか、愛知学園という県立の児童自立支援施設で大きな事件があったんですけれども、こういうような子どもに関しても各施設に入所しているかと思うんですが、今言ったような形で小舎夫婦制というシステムというのは、先ほどありましたとおり、福祉的な支援に立ってということを言われましたけれども、こういうような問題になる子どもに関しては、幼少時に家庭的に恵まれない子どもが非常に多いということ、そこを夫婦の職員がじっくり時間を掛けて精神的な面、心理的な面、いろいろな面をサポートしてあげるというような古典的な処遇方法なんですが、彼らの予後の成績というのは非常にいいということを、ここで御報告させていただきます。

○松原委員長
 御報告として承っておきたいと思います。
 それでは、資料1−1を御説明いただいて、全体的な議論に入りたいと思います。

○古川虐待防止対策室長
 それでは、資料1を御説明申し上げます。
 まず、ページをつけませんで大変申し訳ございません。次回以降、注意してまいります。資料1は2種類ございますけれども、アンダーラインをつけさせていただいた方に基づいて、時間的に制約がありますので、手短に御説明を申し上げたいと思います。
 1枚目の「はじめに」のところでありますが、ここは一部報告書のような文章になっておりますが、前回、なぜこのような専門委員会で議論をするような背景になったのか、その辺をきちんと記述すべきだという御指摘がございましたので、このような文章を記述させていただいているということで御一読いただければと思います。
 なお、下の方の「本委員会は」以降を読ませていただきます。『本委員会は、こうした状況の中で、先に報告された「児童虐待の防止等に関する専門委員会の」の報告書における指摘を踏まえ、施設養護や家庭的養護、社会的養護の質の向上など、社会的養護のあり方について検討を深めたものである。なお、以下において、委員からの主な指摘事項については、当面早急に対応すべき具体的な取り組み等に関する指摘については「当面の具体的な取組み等」として、中長期的な対応も視野に、今後更に検討すべき課題に関する指摘については「今後の課題」として整理している』と書かせていただきました。これも前回、早急に対応すべき課題が今現状にあるので、それを優先的に整理すべきだという御指摘を踏まえて分けさせていただいたということでございますけれども、実は、虐待の専門員会におきましても似たような整理をさせていただいたんですが、その際、今後の課題というのは単に先送りするということなのかというような御意見も幾つかありまして、その整理の仕方については若干もめた経緯がございますけれども、これはあくまで緊急的に今できることを優先的に整理をさせていただくということでございまして、むしろ今後の課題も含め、やれるべき事項については着実にやっていくという意味合いとして、まず、優先的なものは当面の具体的な取り組みということで、言わば頭出しをさせていただいたという整理であると御理解をいただければと思います。
 1枚おめくりいただきまして「社会的養護のあり方について」の部分でございますけれども、今後の課題といたしましては、先般、図を出させていただきました将来的な施設のあり方というイメージをこの表現ということでいたしましたけれども、直ちに実現が難しい部分を全体として実現するのは容易ではない部分もあるということで、今後の課題ということに位置付けをさせていただいております。
 それから、今後、子育て支援について具体的目標を設定する場合には、社会的養護も対象とすることを検討すべきであるということを追加をさせていただきました。これも前回、具体的な数値目標というものを何らかの形で設定するべきではないかという御指摘を踏まえまして、このように記述をさせていただいているということでございます。
 1枚おめくりいただきまして「概ねの方向性」の2つ目の「・」のところ、「子どもの自立を促していくためには、家族や地域の役割も重要であり、家族の再統合や家族の養育機能の再生・強化、地域支援といった家族や地域に対する支援もその本来の役割として取り組むことが必要である」と追加記述をさせていただきました。これも、家族の再統合や家族の養育機能の再生・強化をなぜ目指すのかということを簡単ではありますけれども、具体的な記述例として、この役割の目的・必要性というものを記述させていただいたということでございます。
 2番「施設養護のあり方について」ということでございますけれども、具体的な取り組みの一番下のところにございますが、「子どもによってケアの必要度は異なっており、措置費については、一律ではなく、個々の施設で生活する子どもの状況、子どものケアに関する施設の創意工夫や努力を反映したもので見直すべきである」ということで、修正をさせていただいております。これも前回、この発言内容を正確にここに記述をすべきであるという御指摘を踏まえまして、このように修正をさせていただいております。
 次のページでありますけれども、今後の課題をどのように仕分けをしたかということでございますが、先ほど申し上げた理由からということでございますが、施設そのものの再編というような話、それから、最低基準そのもの、抜本的な組織体系そのものの見直しにかかわるような話、それから、施設の数そのものを全国的にどうしていくかというような話、それから、例えば「情短施設については」云々と書いてございますが、個別の施設の在り方というような大きなテーマの話、こうしたものにつきましては、先ほど申し上げた理由から今後の課題ということで整理をさせていただいているということでございます。
 「概ねの方向性」の一番下の「・」の2行目ですが、施設以外の関係者との幅広い連携の強化ということで、ニーズにこたえられるような取り組みの具体的な例ということで、先ほどからいろいろな御意見も出ておりますけれども、連携の強化などを例示して書かせていただいているということでございます。
 次のページをおめくりいただきまして、一番上の「・」でありますが、下から3行目でございます。「各施設が的確なケアプログラムを作成し、それに基づき適切なケアを提供できるよう、職員の確保も含めた体制整備が必要である」ということで、適切なケア、必要なこと、その前提として当然ケアプログラムの作成というのが必要であるということで、御意見を踏まえてこのように書かせていただいたということでございます。
 それから、「一人ひとりの子どもが必要とするケアの内容は異なっており、措置費についても、一律な考えから、個々の施設における子どもの状況、子どものケアに対する創意工夫や努力といった取組みを反映したものに見直すべき」、これは先ほどの御意見も踏まえて方向性の中でもこのような記述に修正をさせていただいております。
 続きまして、3「家庭的養護のあり方について」ということですけれども、1枚おめくりいただきまして、真ん中の辺り「今後の課題」というのが2点ございます。今後の課題として整理をさせていただいたものといたしましては、里親委託か施設委託かの選択を親の意向のみに委ねることの是非について検討が必要、里親の名称の在り方について検討が必要という意見につきましては、今後の課題ということで整理をさせていただいたということでございます。
 「概ねの方向性」につきましてですけれども、2つ目の「・」の「また」以下でございます。「乳幼児期から自立に至るまで」という記述を追加させていただきました。これは、先般の里親会の皆様からの御意見も踏まえまして、単に里親制度というのは里親・専門里親といった意味での多様なかかわりというものだけではなくて、時期的にも乳幼児から自立に至るまでさまざまな場面で力を発揮していただけるということがございますので、このような表現にさせていただいたということでございます。
 次の「・」でございますが、「里親の機能の拡充な親権の一部代行など」ということで、具体的な内容を記述させていただいたということでございます。
 続きまして、4「家庭関係調整及び地域支援について」ということでございます。次のページをおめくりいただきまして「概ねの方向性」の3つ目でございます。これは前回、概ねの方向性には上の2つが書いてあったのでございますけれども、少し雑ぱくで機能について、それを踏まえてどのような機能をどうしていくのかということを記述すべきだという御指摘がございましたので、「このため、施設を専門的支援機能や在宅支援機能、一時保護機能などを有する地域の拠点として、諸機能の充実・強化を図っていくべきである」ということで、機能の強化の必要性をまとめさせていただきました。
 5「年長の子どもや青年に対する自立支援について」ということでございますけれども、次のページをごらんいただきたいと思います。今後の課題として整理させていただいた事項といたしましては、「年長の子どもや青年に対する自立に向けた支援が児童福祉法では限界があるのであれば、青少年を対象として別の法律等で対応できないか検討の必要がある」ということでございます。新たに新法を立ち上げるという話になりますと、今直ちには難しいという面もございますので、今後の課題ということでこちらの方に整理をさせていただいた上で、記述を追加させていただいたということでございます。
 「概ねの方向性」の3つ目につきましてもアンダーラインが引いてございますが、これは表現を明確化するということで「施設の対象年齢から外れた者であっても必要に応じ支援を継続」という表現を追加させていただいたということでございます。
 6「社会的養護の質の向上」というところでございますけれども、次のページをおめくりいただきまして、上から4つ目の「・」は新規1項目追加でございますが、「サービス評価については、自己評価に加え、第三者評価を進めるべきである」という御指摘がございましたので、追加をさせていただいております。
 それから、「今後の課題」というところでございますけれども、ここは「子どもの権利を擁護するために未成年後見制度の確立が必要」、それから「サービスの質の向上につながるそれぞれの取り組みを正当に評価し、不断の改善が図られるシステムとすべきである」、この2点を入れさせていただいております。未成年後見制度という話になりますと、それをどう見直すかというのは大きな話であるというようなことなどから、このような整理をさせていただいているということでございます。
 また、「不断の改善」云々の記述につきましては、前回「イノベーション」とか「インセンティブ」とか片仮名で整理をしていたのですけれども、わかりにくいという御指摘がありましたので直させていただいているということでございます。
 「概ねの方向性」の3つ目も、今申し上げたとおり、第三者評価の重要性ということで具体的に追加をさせていただいているということでございます。
 1枚おめくりいただきまして、最後のページですけれども、今のところ「その他」ということでございますが、「主な指摘事項」の3つ目ということでございますが、先ほどの御意見にも出てまいりましたけれども、「少年非行対策に関し、少年院の対象年齢の引下げには慎重であるべきであり、児童福祉施設の機能の充実により対応すべき」という御意見がございましたので、指摘事項として追加をさせていただいているということでございます。
 また、「おわりに」ということでございますが、『以上、社会的養護のあり方について、その概ねの方向性を整理した。一刻の猶予も許されない社会的養護を取り巻く目下の状況を考えれば、まず早急に対応すべき課題に取り組み、具体的な成果を上げることが期待されるが、今後の取り組みの状況、「今後の課題」を踏まえつつ、社会的養護のあり方については適時適切な検討が継続的に行われることが必要である』といった記述をさせていただきました。これも、今回の専門的な議論、本専門委員会での議論ですべてが終わるということではなくて、これがスタート台ということで今後も引き続き、必要な検討は加えさせていただくということをここにも書かせていただいたらどうかということで記述させていただいたということでございます。
 あと1点、追加でコメントさせていただくと、5月に立ち上げて、先ほど総務課長の方からも申し上げましたが、遅くても11月、できれば10月にはまとめたいという話でございました。我々行政に当たられている製作実現ツールというのは、予算であったり、法改正という制度見直しであったりするわけですが、今申し上げたとおり、一刻の猶予も許されない状況になるとすれば、そうした具体的な取り組みがすぐできる来年度予算であり、制度見直しでありという段階までに、まず取り組むべき方向性をまとめさせていただければということで、この専門委員会を立ち上げさせていただいたという経緯がございます。その意味では、個別の施設とか施設の根本的な在り方というところまでは、なかなか議論が行き切れていないというところがあるかもしれませんけれども、そうした点、立ち上げの際の考え方を踏まえてということで、今のところこのような整理にさせていただいているということでございます。
 以上でございます。

○松原委員長
 ありがとうございました、それでは、今、古川室長の方からもお話がありましたし、中村課長の方からも御指摘があって、いずれ私たちのこの専門委員会も報告を児童部会の方にし、児童部会で全体としての御議論をおまとめいただき、来年度の法改正あるいは来年度の予算あるいは制度変更につなげていくということがありますので、これをまた報告書案としてまとめていただきますけれども、今日は「概ねの方向性」というところで御了解をいただけたらと考えております。
 いつもは頭から順番にやっていくんですが、1番の「社会的養護のあり方について」というのは、全体をオーバーラップするような課題でもありますし、ちょっと時間配分のこともあって、今日は7の話を既にしたという理解をさせていだたいて、逆から行くということにしたいと思うんですが、ただ6は、恐らく1と関連して議論をしていくことになろうと思うので、スタートを5番の「年長の子どもや青年に対する自立支援について」から議論をさせていただいて、順次さかのぼっていくという形で今日はしてきたいと思います。主として「概ねの方向性」というところで御議論を御了解いただければと思いますが、武田委員の方からも今日は資料が出ていますね。それも含めて、まず、武田委員の方から御発言いただきたいと思います。

○武田委員
 余り発言の準備をしていなかったので、資料と5番とはちょっと内容が異なりますので、資料は先ほど配ってくださった「グループホームの分析」という昔の資料を思い出して持ってきたものを簡単に説明させていただきます。
 これは、1979年にまとめたもので、私は今、自立援助ホームとしての立場でこの会に参加していますけれども、小規模養護の話題が随分たくさん出ていて、当時はグループホームに関して行政側の理解はなかなか得られなかったので、1980年代初頭に、亡くなった大坂誠先生とか、ここにいらっしゃる中田先生と一緒にグループホームの研究会をつくって、3回目までは私が事務局でやったんですけれども、それ以降については小舎制の養育研究会でもって継続してくださっています。提案も結構なんですけれども、実践の検証みたいなものが十分なされているのかなという懸念を感じたので、改めてこの資料を持ってきました。当然日本での実践報告が幾つか出ているわけですが、その辺での議論とか話し合いがここでは余りなかったものですから、ちょっと残念な感じがして、今日はいらしていない高橋先生のところでも、グループホームを4つもお持ちで、そういう経験をなさっている話を、本当でしたら伺って、それを基に提案ということができたらよかったのにと思いました。
 5番の内容の指摘については、話されたことが大体入っているので特段加えることもないのかなという感じはします。ただ、自立援助ホームに対する期待が逆に大き過ぎて、資料3の図表でも右の方に大きく入れてくださっているんですが、実際の自立援助ホームの数は、まだ全国で20ぐらいしかない中で、これだけの里親、養護施設、教護院 3 から出た子どもを自立援助ホームが受け止めるというような表示になっているんですが、それは割合からしたら非常に少ないものなので、事務局の方には、この自立援助ホームという位置をもっと小さい図に変えてくださいという指摘はしてあるんですが、直接里親とか養護施設から社会に出ていく子どもが当面は圧倒的に多いと思いますので、その辺で余り期待をされてしまうと、私たちとしても受ける能力には限界があるものですから、そのことを承知しておいていただきたいということが1つ。
 それから、5番のところだけではないんですが、ところどころに片仮名が出てきて、これは一般の人が見たときに、2つほど全くわからないのは日本語に変えてくださったんですけれども、それでもやはり片仮名の後ろには括弧書きで日本語にするとかしていただかないと、政府で出すものが片仮名が非常に多くなっているという指摘もありますので、「アセスメント」という言葉もここで何回か聞いているうちに、ああ、そうなのかと思いつつあるんですが、初めて読む人はちょっとわからないと思うんですね。「キャリアスタディー」とか「スキル」というのも、片仮名でなくても日本語で表現できるかなと思いました。

○松原委員長
 ありがとうございました。
 何か資料3の自立援助ホームは少し丸が小さくなった、前回か前々回よりかは小さくなったんですが、もうちょっと小さくしたらどうかと。

○武田委員
 小規模ホーム3つをパラパラと散らすぐらいといいますか。

○松原委員長
 そうですか。これは図の作成なので。
 ただ、おっしゃるように、児童養護施設の五百幾つに比べれば23という現状は確かにあると思います。そのことは現状認識としてあると思いますが、一方で、ここの柱で取り上げたように、言葉としてその言葉遣いは年長児への社会的な養護というのも必要だというのは皆さんの御意見だと思いますので、その1つのまさに社会的な支援として自立援助ホームについては、私たちほかの委員は期待しているということはあるかと思います。
 5番のところは、今、武田委員にそういう発言をしていただきましたけれども、四方委員どうぞ。

○四方委員
 時間のない中で手短にお話ししたいと思うんですが、実は、自立援助ホームは2種ですね。子どもたちは何とか少しでもアルバイト的な働きの中で自立させていこうという、非常にこれは大事なことなんですが、実はそういうことができない子どもたちが随分います。つまり、情短を出て、しかし年齢的にはもう児童養護施設にこれからというわけにもいかないというお子さんたちですので、この2種だけでやっていけるのかどうかという辺りは、今更ではありますが考えております。難しい問題ではございますが。

○松原委員長
 この辺も、方向性としては自立援助ホームもこの数にとどめておくということではなくて、将来的には増えていってほしいという思いがあるのだろうと思います。
 ほかに5番で何かございますか。

○中田委員
 ほかのところも1つあるんですが、いいですか。「その他」のところです。

○松原委員長
 7番のところですか、7番は多分もう戻りませんので、7番のところがあればどうぞ発言してください。あと順次、追っていきますので。

○中田委員
 ここの中の18歳、20歳の新しい対象年齢を広げていただくことは是非やっていただきたいと思います。これは明確な形でどこがかかわるのか、どういうところでどういうふうにするのかということは、今の中でも18歳までに措置に掛かっていない子が18歳過ぎて対象になると、ほとんどダメと言われているようなので、その辺を是非お願いしたいと。
 「その他」のところは、余り大きなことはどうも松原委員長は取り上げない方針のようですが、全部の施設、里親さんも含めて子どもの委託を受けたところが全部かかわることは法的に整理された方で、誰が責任者かという課題はずっと残ったままで、現実に神戸の方の乳児院でショートステイの事故で最高裁まで行ったような事例があるわけですから、社会的な養護ですから、この責任の法的な整理をきちんとしていただくと。そうしないと、私たちは安心して施設ができないと。当事者間の争いだと裁判所が今まで認定してきているわけですから、その辺は是非考えていただきたい課題だと思っています。

○松原委員長
 ありがとうございました。
 それも、社会的養護のサポートをどうしていくかという1つの課題ではあろうかと思います。
 それでは、ちょっと飛びますが……。

○武田委員
 その前にいいですか。「当面の具体的な取組み等」のところの2つ目に「自立援助ホームを各地域に整備することが必要である」と書いてあるのを、もうちょっと具体的に、例えば各都道府県とかそういうふうにしていただけると、私たちとしては運動の持っていきがいがある。「各地域」というのはちょっと漠然としているような感じがして、実際に各県で欲しがっているし、各県の児相でも自分の県にこういった年齢の高い子どもを受ける受け皿が欲しいという声は非常に大きいものですから、「各地域」というのはちょっと検討していただけたらと思います。

○松原委員長
 事務局と検討させていただきます。
 それでは、1つ飛んで3番の家庭的養護のところへ行きたいと思います。これも先ほどの資料3で言うと、かなり大きく上の方へ書いてあると思うので大切なことだと思いますが、里親のことについて中心的に議論をしてまいりました。「概ねの方向性」等について御意見をいただければと思います。

○庄司委員長代理 これまでの発言内容は、よく整理されていると思います。おおむねの方向性ということですので、これでいいのかなと思うんですけれども、ただ、この報告書全体の中で、すべてが「施設養護と家庭的養護」というような記述の仕方になっていますね。1のところでもこれから家庭的養護に移行する必要があるという記述もありますし、児童福祉法等の記述なども考えると、「家庭的養護と施設養護」というふうにできないかと思いますが、いかがでしょうか。

○松原委員長
 もうちょっと詳しく。

○庄司委員長代理 要するに、施設養護を中心に補完的な形で里親委託が考えられているのではないか。例えば、2の「施設養護のあり方」のページの一番上のところでも、要するに、書き方の問題だけで内容にかかわることではないんですが、「施設入所や里親委託を通じ」となっています。ほかでもすべて「施設養護と家庭的養護」となっていますので、家庭的養護をこれから更に推進していくのであれば、順序を変えたらどうかと思います。

○松原委員長
 わかりました。
 加賀美委員、お願いします。

○加賀美委員
 一つ覚えのように申し上げるんですが、社会的養護というのは一体何だという話にまた戻すような話で申し訳ないんですけれども、文脈全体が社会的養護、それは家庭的養護、施設養護とどちらの順番でもいいと思うんですが、どっちでもいいというのは非常に無責任な言い方ですけれども、つまり、ここで言うのは、いわゆる要保護対策というイメージで「家庭的養護」という言い方をしているのだろうと思うんですね、全体の文脈から言うと。つまり、里親養護あるいは里親型グループホームあるいは地域小規模などというのもそちらの「家庭的養護」という方に入るのかなと思うんですが、そういうイメージで、従来の「施設養護」というのは、どちらかというと大きな施設のイメージで言っている。社会的養護の中に最も大事な在宅の視点の文言が入ってきていない。具体的に言うと、施設養護と家庭的養護プラス、ここでは高橋委員が発言をした中で挙げているのは、「地域養護」という言い方をしているんですね。こういう視点で今、社会的養護はまさに議論される必要があるところに来ているんだと私は理解してきたから、社会的養護のあり方委員の冒頭で申し上げたので、そこのところは「今後の課題」でもいいんですが、全体で社会的養護、先ほど実は少年の問題について奥山委員から、子どもたちを産む社会の中での問題の支援の視点が、どこがきちんと明確にするのかというのが見えてきていないというところがあるのだろうと。そこで、やはり社会的養護と広く申しておられるのであれば、そこの視点で整理をしていかないと、抜け落ちていってしまう部分がたくさんあるのではないかというようなことを全体にかかわるところで感じておりますので、また、それはどこでやるか、ここまで議論が進んできたところで、また基に戻すというのは大変難しいのかもしれません。ただ、この社会的養護のシステムの中でも、ここで在宅支援というようなところで措置児童の保護者を含むとあえて言っているんですが、ここのところも「措置児童」という言い方に限らず、地域社会の中でグレーゾーンの子どもたちも幅広くあると前に申し上げたんですが、そこのところも広げて考えれば、もう少し視野を広げた社会的養護という議論が整理されていかないと、どうも抜け落ちていくところがたくさん出てきそうな感じがします。
 それから、今の庄司委員長代理のおっしゃる、できるだけ小さい形にあるいは里親さんにという視点で、そこに「今後、社会的養護」という中での施設養護あるいは要保護問題を考えるときには、順番とすればそういう言い方というものもそれなりの意味があるし、イメージとしては方向性を示すということであれば、別に反対するものではありません。

○松原委員長
 ありがとうございました。
 才村委員は今のことにかかわってですか。そうしたら、今の加賀美の委員の御意見の関連の発言であれば、2と4と6のところにかかわって、それから、1にかかわる御発言でもあって、例えば、加賀美委員の発言の4のところで地域支援ということが書いてあって、一応ここは施設の在宅支援ということをイメージしているんですが、もう一歩広げて、まさに施設だけではなくて、地域養護というものをどういう連携のもとでやっていくのか。それが恐らく児童部会等では市町村の役割強化というようなことでも言われている部分でありますし、また、この社会的養護の方での1つの御意見もあると思いますので、そういうことも含めて、場合によっては1にかかわっていただいても結構ですので、少しオープンにしまして、1、2、4、6にかかわって御発言をいただきたいというお願いをして、才村委員の方にマイクをお渡しします。

○才村委員
 そのような大きな視点で発言ができるかどうかは自信がないんですが、今ちょっとイギリス帰りのほやほやで、親と共同責任という進め方というのをガンガンとたたき込まれて帰ってきましたので、つい日本はそこまでできていなかったなと。何が何でも外国のものを取り入れたらよくなるという視点は避けなくてはならないというのはわかってはいるんですけれども、まず、里親さんの家庭養護で、それから、施設養護という順番があるのでしたら、もっと先にまず親があるのではないかと。先ほど言われた、現に育てている親を地域でどう支援するか、そこで施設の役割もあるでしょうし、里親さんの役割もあるでしょうし、まず、育てている親の力をもっと認めるべきというか、親自身に考えさせる、親自身が責任を持つやり方を、例えば、親も含めたアセスメントの機会をイギリスなどは持っておられて、日本でいきなりすぐそれができるかなとは思いますが、関係機関や児童相談所も含めて、親や場合によれば子どもも参加する会議の中でプランを立てるというやり方をされているんです。日本も少しずつ親が参加しながら、虐待であれば自分のどこがまずいのかとか、そういうようなことも地域が支える視点でのそういう会議をしていくべきということで、まだまだ在宅地域の資源は日本はすごく少ないわけで、地域が支援できないから、施設か里親か在宅かという選択になってしまうわけですけれども、施設ではなくて在宅で、まず、育てている親を支援するやり方を探るという、理想だけでもそういう方向転換ができないものかなと思いました。

○松原委員長
 「概ねの方向性」とは別に、今の加賀美委員の御意見も含めて、「はじめに」というところで、いわゆる旧来の要保護児童対策というイメージではなくて、まさに子育て支援というようなものと要保護児童対策の境目そのものがなくなってきているし、総体的なものの見方をしないといけないんだぞというようなことが書けるのかなということで聞いておりました。
 すみません、委員長の立場として、どうしても「概ねの方向性」の方に戻りたいところなんです。もし、そうではないところがあったら止めていただいて結構なんですが、「概ねの方向性」のところで1、2、4、6について兜森委員お願いします。

○兜森委員
 大変細かいことかもしれませんけれども、4の「家族関係調整及び地域支援について」の「概ねの方向性」の1つ目の「・」でございます。「施設は、入所した子どもの家庭復帰、家族再統合に向け、子どもへの支援のみならず」、その次なんですが「児童相談所と連携しつつ」とありますね。これは、実はもっと詳しく書いていただきたいんですが、それが困難であれば「児童相談所等」という一文字を入れていただければと考えます。その理由は、先ほど来議論になっておりますように、入所前あるいは入所中あるいは退所後のアフターケアまで含めてなんですが、例えば、児相と施設がそれぞれの支援方針なりを示しながらケースカンファレンスを行っていくと。そのカンファレンスの中には、地域密着型の例えば、家児相 4 あるいは母子の場合は母子自立支援、それから、学校とか医療とか、そのケースに必要な関係者が集まって議論していくんだろうと思うわけです。いずれも着眼は一人一人の子どもという、あるいはその家族ということだと私は思っていますので、そういう意味で児童相談所だけではないと思いますので、是非お願いしたいと思います。

○松原委員長
 ありがとうございました。
 今までの加賀美委員や才村委員の御発言を具体化していくと、確かにそういう「等」というところでいろいろな機関と連携をしていかないと、まさにここの委員会で議論してきたことが生かされないのかなと思います。それは事務局と調整させていただいて、「等」にするのか、列記するのかはともかくとして、御趣旨は生かしていきたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。

○四方委員
 大変細かいことで申し訳ないんですが、実は私、今日は皆さんのお手元に情短の今後の方向というものをお届けはしているんですが、とてもこれについて今日は議論する時間がないかと考えます。先ほど古川室長からも各施設の今後についての議論は後にということだったので、それは今後にお願いしたいんですけれども、「概ねの方向性」の中で小規模化というのが実に大きく出ておりまして、先回もそのことについて若干、情短の問題を触れさせていただきました。西澤先生とのいろいろな議論もあるんですけれども、やはり小規模化と言いますと、どうしても5〜6名というイメージがあるかと思います。大変難しいお子さんをお預かりしている情短の場合は、被虐待児のお子さんとそれに加えましてというか、もともとはそういったお子さんが多かったんですが、ADHDとかPDDあるいはもっと精神病圏の難しいお子さんもたくさんいらっしゃるわけで、小規模化だけでは解決できないわけで、適切な大きさのユニットが必要ではないかと思っております。しかし、現状の35とか50がいいというわけではございませんで、これは情短協 5 とも協議の上なんですが、事務局の方でつくられました図でございますけれども、これは大変よくできているんですが、全体としての小規模化はそれでいいと思うんですが、治療施設を中心としたところについては、「本体施設外において小規模化」ということよりは「対象児童に合わせた適正規模のユニット化」ぐらいの表現が一番適切ではないかと思っておりまして、できるだけそのように書いていただきとうございます。
 なお「主な指摘事項」等に表れております情短の役割、まだはっきりここには明記されていない部分もあります。それから、「今後の課題について、その役割を明確にするとともに」という辺りも、実は重要な点で、まだこれから議論しなくてはいけないところがあろうかと思います。しかし、今日ここでこの話をさせていただいておりますと、とても時間が足りないと思いますので、是非、後の機会にこのところはお願いしたいと思っております。

○松原委員長
 後半の部分は、今後の課題のところでも決してそれをやめるということではなくて、文章化していただいて各施設のあり方あるいは施設間の関係あるいは場合によっては再編のことも議論するんだということで、このように表現していただいたと思います。
 前半ついては「概ねの方向性」ということで言うと、1の「社会的養護のあり方について」の一番最後の「・」のところに「ケアの小規模化や」云々と書いてある、そこの文章になりますかね。今「児童の人数に応じた適正規模」とおっしゃいましたか。

○四方委員
 「対象児童に合わせた適正規模のユニット化」という言葉が手ごろではないかと思います。多分この図面というのは、非常にわかりやすくできておりますものですから、十分このところからいろいろなことをイメージされると思うんですね。

○松原委員長
 今、具体的に四方委員の方から資料3について、こういうふうにという修正の提案が出ているんですが、ほかの方の御意見はいかがでしょうか。

○加賀美委員
 おっしゃるところは、小さい形というのが5〜6名という規模というイメージでおっしゃったんですが、それより言ってみればもっと大きなもののイメージでおっしゃっているんですか。

○四方委員
 先般、私どもの方で大きな調査をいたしました。情短の有効利用の。そのときの提案としては、25人ぐらいのユニットを提案しておりますが、それがよいかどうか。今のところは20〜25人ということを考えております。

○加賀美委員
 今の関連で。なぜそのような質問をしたかといいますと、私は小規模化というところで、未来像のところでも言っているんですが、なぜその単位、それは言ってみればそれが適正だという意味で5〜6人というような地域小規模みたいなものを言っているということよりも、もっと小さくてもいいというふうにイメージとしては持っています。つまり、基本的に生活をきちんと保障する場としての小さい場が必要だと。その上に立って治療とかあるいは支援というプログラムは、専門性を持った者がきちんと配置されれば、それでいいのではないか。そのことが、まず基本的なこととして生活をきちんと保障するという意味です。

○四方委員
 先生のおっしゃることは十分わかるんです。この本体施設となる治療を中心とした施設においてのところなんです。全体としての小規模ホームやあるいは小規模ユニットというのは、私は本当に大事だと思っているんです。

○加賀美委員
 そのことを言うならば、この図面でも、これは五角形のオレンジ色の「小舎制ホーム(ユニット)」というような表現をここでしているんですね。ここのイメージは多分、この本体施設であっても生活の部分についてはそういう形態を保障しろと。その中に治療機能等も持たせたものというイメージで、少なくとも衣食住の場はきちんとした具体的な、あえて申し上げるならノーマライゼーションという言葉、ノーマルな生活、そのことが基本的にはどんな子どもにも保障されるべきであるというイメージだと思います。

○四方委員
 大変大事な御指摘で、そのとおりだと思いますが、これは情短について申し上げたわけで、実はそこの議論をしていると果てしなくなってしまうので難しいことなんですが、本当に集団の中で自らが表に現れてしまうこと、つまり非常に小さい規模の中では治療が非常にしにくいお子さんというのが実はいらっしゃるわけなんですね。ですから、今のところを先ほど申し上げたような治療ユニットを考えているということです。

○西澤委員
 そろそろ話してもいいですか。多分、議論が錯綜していると思うんです。まず、施設群をどう再編していくかという議論なしにこれやるから、それぞれの個別の施設の問題になってしまう。治療を中心とした施設というのは、別に情短というイメージではないのかもしれないですね。だから、その辺の部分で話が混乱するんだと思います。ただ、基本的には小規模化だろうと思うし、そこでもし、治療を中心とした施設がそういう情短というイメージなのだったら、そこのところは例外的に考えていくべきだろうと私は思うので、数からいっても。
 それと、これは四方先生とも議論しなくてはいけないところだと思うんですが、私は今までいろいろな治療施設、海外のものも経験してきていますが、基本的には小規模で、オンキャンパスであっても同じ敷地内にあっても、例えば50人定員の施設だったら、10人くらいずつのユニットが5つあると。そこに対して、ちゃんとした中央のセンターがサポートしていくというイメージはどこも変わらないと思うんです。あるいは、さっき才村先生が言っていましたような、イギリスの場合でも治療的なグループホームというものもやはりあって、6人ぐらいのところにきちんとそういった治療のスタッフがいるというのがありますし、その辺は今後の議論ではないかと思いますが。

○松原委員長
 ありがとうございます。
 先ほど武田委員からちょっと御発言いただきましたけれども、各施設の自分たちはこうなんだということを主張するのはやめましょうというのを1回目のときにお願いしたということが、ちょっと足かせになっていて、逆に、それぞれの実践を御披露していただくという時間が十分にとれなかったことについては反省をする部分があるんですが、しかし、一度そういうところから離れてみて、まさにこれは2回目に奥山委員がおっしゃったと思うんですが、オーダーメイドの子どものニーズに合わせたような社会的な養護というのを考えたいという線で進めてきましたので、今、西澤委員がおっしゃってくださったように、こういうある種の方向案が出てきた後、いろいろな多分、事例的な実践も進んでくるでしょうし、今までの実践の取り直しというものも進んでいく中で、まさに今後こういう議論を絶え間なく続けていく必要性があるのではないかと思います。そのときにはやはり、そういう実践を基にした検討というものも必要かなと思いますし、必要に応じて諸外国の実践例なども参考にしていくべきではないかと考えております。
 ほかに「概ねの方向性」ということで、全体をオープンにして1から7まで含めて。

○中田委員
 個別のことを余り言わないようにはしていたんですが、文章の中で「大規模な施設養護でなく」という言葉があるんですが、これは定員を指しているのか何なのか、現実に大きいという概念は何人で大きいのかというようなこともあると思いますので、生活単位が大きいことはよくないということは、ここでずっと言われてきていることなので、そういう言葉に変えていただいた方がいいかなと。大阪には、たまたま大きい人数のところが結構あるものですから、ちょっと気になりました。

○松原委員長
 むしろ、資料3にあるように、このものができていって定員そのものが大きいということが問題ではないはずですし、いわゆるスケールメリットというか、施設の職員間の融通ということもあると思いますので、ケアの小単位というふうに私も理解をしております。文言の工夫をさせていただきたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。そうしましたら、大体12時に近づいてまいりましたので、今日の議論をこれで終えていきたいんですが、1つ、前回お話ししましたけれども、10月3日に児童部会が予定されております。誠に申し訳ないんですが、私が大学の授業の関係でその日の児童部会に出席できませんので、事務局の方にお願いして、今までの討議経過を一度御報告をいただいて、また、最終的にこちらの方で一定の案がまとまったら、今度は責任を持って私が出席して報告させていただきますけれども、10月3日に、この専門委員会における審議の状況を御報告することになっておりますので、御承知置きいただきたいと思います。
 それから、2点目なんですが、今後の進め方なんですけれども、今日いろいろ議論をいただいて私の方で若干整理をさせていただいたことも含め、あるいは御指摘していただいた点の修正を含めて、今度は報告書という形にもう少しまとめ上げたものを、やはり事務局の方で原案という形でつくっていただくということを私の方で事務局にお願いして、次回はそれを基にして取りまとめに向けた議論をするということで、歩みを進めていきたいと考えております。

○西澤委員
 私も授業の関係でこれから出られるかどうかちょっと不安な部分があったので、今日議論できなかったことで細かいことなんですが、デイケアとかデイサービスとかあるいは通所型養護施設とか同じものを指しているような、違うような、その辺の概念整理ができていない。多分それは、在宅援助に関することについて余り議論できていないからなんですね。その辺のことを反映しているのだろうと思うので、それはどこかですくわなければいけないかなと思っています。
 それから、もう一点、さっき四方先生との話の中でいい忘れたんですけれども、医療の部分の話が余りできていないというのがあると思うんです。さっき四方先生がおっしゃっていたようなケースの場合だと、多分欧米だと小児精神科病棟に入院するんだろうと思います。それを今、我々は福祉の中で抱えているというのがあって、その矛盾がこういった議論の食い違いになっているのかもしれないので、医療的なケアのあり方については、もう少し議論がする必要があるのではないか。それは、ここでやるのが適当かどうかわかりませんけれども、その点もちょっと気になりましたので。

○松原委員長
 ありがとうございました。
 7の「その他」がどういう表現に変わるかは別にして、私の方でも医療との連携もありますのでという発言をしましたし、委員の中からも小児精神科との連携という必要性も出ておりましたので、そんなことも入れていきたいと思いますし、それから、今日は加賀美委員の方から、社会的養護のあり方ということでは、在宅ということも含めて概念として考えるべきだというお話があって、私の方で「はじめに」のところに入れさせていただきたいという発言もしましたので、そんなところも含めて、あと報告書のところでまた議論を、一発で通るとは思っていませんので、今、事務局がのけぞっておりますが、そこでまた議論ができるかなと思っております。

○奥山委員
 今のことに加えて、資料3の方では「治療を中心とした施設」という文言が出てくるんですけれども、そこが説明が余り明確でないんですよね。本文の「概ねの方向性」の中で。そこがやはり少しわかりやすくなっていけば、先ほどの西澤先生のお話、四方先生のお話なども、要するに治療の問題と生活の問題をどう組み合わせていくのかというのは、これからの施設の体系を考えるときに非常に重要な問題だと思うので、そこに視点を置かなければいけないんだというのを、どこかで「概ねの方向性」の中にちょっと加えていただくと、こちらとの整合性がとれてくるのではないかと思います。

○松原委員長
 「概ねの方向性」に入れられるか、あるいは資料3の説明をより詳しくどこかで、今は図だけですから、図の前にきちんと文言で入れるか、その辺はまた事務局と、報告書をつくっていく段階で調整がきくと思いますので、させていただきたいと思います。虐待に関する専門委員会からいろいろな議論をしていく中で、この図がここの議論も含めてでき上がっている中で、委員としてわかっている部分と、先ほど武田委員がおっしゃったように、これが報告書になって、いろいろな方が読まれるときになってどういう工夫をするのかということは確かにあると思いますので、そこは丁寧にやりたいなと思います。
 今日ちょっと12時を回ってしまいましたが、それでは、先ほどの2点を確認させていただきまして、本日のこの委員会は閉会させていただきます。
 次回の日程等について、事務局から御説明をお願いします。

○事務局
 第7回の専門委員会は10月14日火曜日、10時から全協連ビル本館1階の101会議室を予定しております。委員の皆様には、改めて開催の案内をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

○松原委員長
 それでは、また次回に議論を進めたいと思います。

(「次は決まっているんですか」との声あり)

○事務局
 10月27日を予定しております。

(「いつ終わるんでしょうか」との声あり)

○松原委員長
 いつ終わるかは、この間の虐待に関する専門委員会も、これで終わると事務局があらかじめ切らないで、皆さん方の御意見がいろいろ出たところで、もう一回やりましょうかという話になった経緯があって、ただ、中村課長のお話があったように、いつまでも議論していますと実際の法改正、制度改正等あるいは予算等に生かすことができませんので、できれば27日辺りがめどになるといいなと委員長としては考えておりますが、そこで強制的に切ることはしませんけれども、これは皆さん方に御協力をいただきたいと考えております。
 それでは、今日の委員会を閉じたいと思います。どうもありがとうございました。



1 児童養護施設のこと。以下、「養護施設」と略す。
2 情緒障害児短期治療施設のこと。以下、「情短」と略す
3 児童福祉法改正(平成9年)以前の児童自立支援施設の名称。
4 家庭児童相談室のこと。
5 全国情緒障害児短期治療施設協議会のこと。



(照会先)
   厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課
   〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2
         電話 03−5253−1111 (内線7889)
         (担当)指導係


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