| 一 生涯にわたる研修の必要性
| 医学・医療の高度化・専門化が進む中で、看護業務に直接必要な専門的知識や技術とともに、コンピューターの導入等による新しい体制への対応等、業務を長期間にわたって継続していくためには、多方面にわたる基本的な知識について学習を行う必要がある。また、自らの専門性をより高めていくことも重要である。 患者の人間性、痛みや苦しみへの理解、生への希求や闘病心の支援等患者の心理やライフスタイルそのものの理解など幅広い豊かな識見も求められている。 さらにエイズ、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)による院内感染などの新しい課題や複雑な社会構造の変化に対応するメンタルヘルスケアの問題等に積極的に対応していくためにも専門的な視点からの支援が可能となるように研修を積み重ねることが必要である。 また、人口の高齢化の急激な進展に伴い、老人を対象とした訪問看護や保健、福祉施設等看護婦等の職域は急速に広がりつつあり、新たな業務との調整機能について十分な知識が要求されるほか、看護における専門領域の確立のためには、研究者による研究活動はもとより、臨床の現場における知見をそこに働く看護婦等自らが集積していくことも重要である。このような観点から、関係者が協力して生涯にわたり自己の能力の開発と発展を図れるような支援体制を確立する必要がある。 |
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| 二 指導的管理的立場にある者の研修の必要性
| 病院等において看護業務を魅力ある働きがいのある業務としていくためには、指導的管理的立場にある看護教員や看護管理者は、看護学生の教育や看護婦等の指導等を通してその実現を図ることができるようにする必要があり、そのためには看護教員や看護管理者の人間性・社会性を高め、かつ、看護教育の方法、病棟の管理運営の改善等について、知識・技術の向上に努めなければならない。 特に、こうした良きリーダーシップを発揮できる看護管理者を養成していくため、病院等とともに看護婦等自ら、あるいは職能団体の積極的な取組も望まれる。 |
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| 三 生涯にわたる研修の体系化による資質の向上
| 看護婦等の生涯にわたる研修は看護婦等の就業場所を含め、個々の置かれている状況が多様であることから実施機関、実施方法等について種々の工夫が必要である。 看護婦等が専門職業人として成長するためには、看護婦等がたゆまぬ努力を重ねる必要があることは当然であるが、その専門性が適切に評価されつつ、生涯にわたり継続的に自己研鑽を積むことができるような研修システムの構築、有給研修制度の積極的導入等環境の整備に努める必要がある。 各病院等においては院外教育に頼るのみではなく、病院等自らが教育も充実させる等努力する必要がある。また、自己研鑽への動機づけを図り、意欲の向上を図るためには、多様な機関で体系化された研修が計画される必要がある。 また、看護系大学が現職看護婦等のリフレッシュのための教育・研修において積極的な役割を果たすことが期待される。 |
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