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介護保険部会意見書1
2003年9月12日

NPO法人湘南ふくしネットワークオンブズマン   
小川泰子

 第2回の会議で、ケアマネジャーはじめ介護の現場に携わるものの労働環境について発言いただいたが、今回NPO法人神奈川介護支援専門員協会が実施しているケアマネジャーの実態調査の初期集計結果を入手したので、一部を報告する。
(1) 国が示した、ケアマネジャーの専任職員が担当できる利用者件数は50件とされているが、調査結果からは、50件以上が36%を超えている。しかも介護報酬が増額された4月以降も事業者は赤字と聞いているが、どう考えるか?
(2) 調査結果から、残業・休日出勤の両方ともせざるを得ないの回答が35.6%、残業のみ・休日出勤のみを合わせると、実に83.8%のケアマネジャーが勤務時間外を強いられている。しかも一ヶ月の残業期間は、11時間以上40時間未満が36%、休日出勤は1〜2日が24%、3〜6日が10%、最も多いもので残業100時間以上、休日出勤9日である。
(3) ケアマネジメント業務に関する達成状況は、(1)「利用者宅の毎月の訪問」が全て出来ていると回答したのが72.6%(2)「サービス計画を全て作成」が59%、その他の支援内容でも十分な達成結果は見えない。
(4) 多くのケアマネジャーは、運営基準に沿った支援を行うべく、時間外勤務・休日出勤をし、やっと利用者支援を行っている。そして努力しても運営基準で行うとされているケアマネジメントは十分に出来ていない状況である。
(5) こうした状況下にあることは、「ケアマネジャーの力量不足」の問題ではなく、質の高い仕事をしたくても出来ない労働環境に問題がある。残業・休日出勤を当たり前とし、それでも十分なケアマネジメントができない、しかも赤字経営であるのではケアマネジャーの質は向上しない。
(6) 神奈川県介護支援専門員協会の今回の調査結果最終は11月予定。
 さらに、日本生協連合会がアンケート調査した結果も、(1)利用者主体のサービスの質の確保(2)介護保険外のサービス提供の環境整備(3)制度施行後、特に報酬改定後の情報提供のあり方(4)福祉業務に携わる人材育成環境の問題等の要望が出されている。決して財源に合わせてサービスが調整されるのではなく、必要なサービスが必要な人が使えるようにすることが重要である。
 また、介護保険制度下のサービス対象として移動サービスと食事(配食)サービスが、それを必要とする人たちに提供できるように強化しなければ、今のような状況下ではサービス事業として安定しない。今後の会議で十分な議論を求める。

以上


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