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資料2

5−アミノ−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)
−4−エチルスルフィニル−1−ピラゾール−3−カルボニトリル及び
これを含有する製剤の毒物及び劇物取締法に基づく劇物の除外について

イメージ
C13H9Cl2F3N4OS
CAS:181587-01-9

名称 (英語名) 5-Amino-1-(2,6-dichloro-4-trifluoromethylphenyl)-4-ethylsulfinyl-1H-pyrazole-3-carbonitrile (IUPAC名称)
(日本名) 5−アミノ−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−4−エチルスルフィニル−1−ピラゾール−3−カルボニトリル
別名 エチプロール(ethiprole)(ISO登録済み)
経緯
 上記化学物質は、すでに有機シアン化合物の製剤として劇物に指定されている。新規農薬として農薬取締法に基づく申請があったことに伴い、毒物又は劇物としての該当性の照会を農林水産省から受けたものである。
物理化学的性状
 別紙1を参照
毒性
 別紙2を参照
事務局案
 5−アミノ−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−4−エチルスルフィニル−1−ピラゾール−3−カルボニトリル及びこれを含有する製剤は、「劇物」から除外することが適当と思われる。



別紙1

II.物理的化学的性状

1.有効成分の名称および化学構造
 1) 化学名 (英語名) 5-Amino-1-(2,6-dichloro-4-trifluoromethylphenyl)-4-
ethylsulfinyl-1H-pyrazole-3-carbonitrile (IUPAC)
(日本語名) 5−アミノ−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフル
オロメチルフェニル)−4−エチルスルフィニル−
−ピラゾール−3−カルボニトリル
 2) 別名 エチプロール(ethiprole)(ISO)
 3) 構造式
 4) 分子式 C13H9Cl2F3N4OS
 5) 分子量 397.2
 6) CAS No. 181587-01-9

2.有効成分の物理的化学的性状
 1)外観・臭気 白色結晶性粉末、特有の臭気なし
[Aventis CropScience社、2000年報告、GLP]
 2)密度 1.54g/cm3 (20℃)
OECDガイドライン#109 ピクノメータ法
[Aventis CropScience社、2000年報告、GLP]
 3)融点 164.5℃で熱分解のため測定不能
OECDガイドライン#102 示差走査熱量計法
[Aventis CropScience社、2000年報告、GLP]
 4)沸点 164.5℃で熱分解のため測定不能
OECDガイドライン#103 示差走査熱量計法
[Aventils CropScience社、2000年報告、GLP]
 5)蒸気圧 9.1x10-8 Pa (25℃)
OECDガイドライン#104 ガス飽和法
[Aventis CropScience社、2001年報告、GLP]
 6)溶解度(水および有機溶媒)
水(20℃) 9.2 mg/L
OECDガイドライン#105 カラム溶出法
[Aventis CropScience社、2001年報告、GLP]
有機溶媒(20℃)
n-ヘプタン 0.004 g/L
n-オクタノール 2.4 g/L
トルエン 1.0 g/L
メタノール47.2 g/L
酢酸エチル24.0 g/L
アセトン90.7 g/L
ジクロロメタン19.9 g/L
アセトニトリル24.5 g/L
OECDガイドライン#105 フラスコ法
[Aventis CropScience社、2001年報告、GLP]
 7)解離定数 測定不能 (推定値:pKacal -3.9)
OECDガイドライン#112 分光光度法
[Aventis CropScience社、2001年報告、GLP]
 8)分配係数(n-オクタノール/水) logPow 2.9
OECDガイドライン#117 HPLC法
[Aventis CropScience社、2000年報告、GLP]
 9)安定性
(1)熱 164.5℃で熱分解
OECDガイドライン#103 示差走査熱量計法
[Aventis CropScience社、2000年報告、GLP]
(2)加水分解性 t1/2 = 121日(pH9、25℃)
(pH4,5,7においては有意な分解が認められなかった。)
[PTRL West社、1998年報告、GLP]
(3)水中光分解性 t1/2 = 6.46時間(24.8〜25.2℃、キセノンランプ 730W/m2(290〜800nm))
[Aventis CropScience社、2000年報告、GLP]
 10) 土壌吸着係数 KFoc = 53.9〜158 (25℃)
[財団法人 残留農薬研究所、2002年報告、GLP]
 11) UV、IR、MS、NMR(1H、13C)スペクトル
UVスペクトル:図1
波長範囲;190〜900nm
光路長;10mm

  極大吸収波長
(nm)
濃度
(mol/L)
吸光度 モル吸光係数ε
(L/mol/cm)
酸性
メタノール:1NHCl(90:10)
203.0
279.5
2.59x10-5 1.1056
0.1629
42687
6290
中性
メタノール:水(90:10)
203.0
278.5
2.59x10-5 1.1089
0.1470
42815
5676
塩基性
メタノール:1NNaOH(90:10)
221.5
278.5
2.59x10-5 0.4987
0.0846
19255
3266


IRスペクトル:図2(KBr法)
波長(cm-1) 帰属
3391および3308 NH2伸縮振動
2248 ニトリル伸縮振動
1647 NH2変角振動
1320、1175および1139 芳香環-CF3伸縮振動
1035 S=O伸縮振動


MSスペクトラム:図3(APCI +/-)
スペクトル m/z 帰属
APCI+ 397(2 35Cl)
438(2 35Cl)
321(2 35Cl)
[MH]+ 基準ピーク
[MH+CH3CN]+ 付加体
[M-SOC2H5] Hと置換
APCI- 395(2 35Cl)
431(3 35Cl)
331(1 35Cl)
[M-H]-
[M+Cl]-
[M-HCl-C2H5]- 基準ピーク


1H-NMRスペクトル:図4
σ1) 強度2) 多重度3) 帰属
7.81 2 s 芳香環
5.07 2 s NH2
3.15 2 m CH2
1.37 3 t、7.3 Hz CH3
1) σ:TMS内標準シグナル(0ppm)に対する化学シフト(ppm、Hz/MHz)
2) 強度は、相当するシグナルの積分により算出した。
3) s:一重線、m:多重線、t:三重線、結合定数Jは±0.3Hzの精度


13C-NMRスペクトル:図5
σ 多重度 帰属
149.1 s a
136.6* s b
136.5* s c
135.1 q,34.7 Hz d
134.0 s e
126.5+ q,3.9 Hz f
126.4+ q,3.9 Hz g
124.2 s h
121.8 q,274.0 Hz i
111.3 s j
100.2 s k
49.4 s l
5.8 s m
図
1) σ:TMS内標準シグナル(0ppm)に対する化学シフト(ppm、Hz/MHz)
2) s:一重線、q:四重線、結合定数J(13C-19F)は±0.5Hzの精度
3) シグナルは、下図の構造式の中で示した原子のプロトンに帰属させた。
* これらは相互転移する可能性あり
+ これらは相互転移する可能性あり



別紙2

VII.毒性

資料
No.
試験の種類
(期間)
供試
動物
1群当り
動物数
投与
方法
投与量
(mg/kg)
LD50値又は
無毒性量等
(mg/kg)
試験機関
(報告年)
記載
1
(GLP)
急性毒性
(14日間観察)
ラット ♂ 5
♀ 5
経口 ♂♀ 5000、7080 ♂♀ >7080 Rhone-Poulenc
Agro [仏]
(1997年)
毒-3
2
(GLP)
ラット ♂ 5
♀ 5
経皮 ♂♀ 2000 ♂♀ >2000 毒-4
3
(GLP)
ラット ♂ 5
♀ 5
(ダスト)
吸入
(4時間)
♂♀ 5.2 mg/L LC50 ♂♀>5.2mg/L Safepharm
laboratories
[英]
(1998年)
毒-5
4
(GLP)
皮膚刺激性
(72時間観察)
ウサギ ♀ 6 貼付 ♀ 500mg 刺激性なし Rhone-Poulenc
Agro [仏]
(1997年)
毒-7
5
(GLP)
眼刺激性
(72時間観察)
ウサギ ♀ 6 点眼 ♀ 100mg 刺激性なし 毒-8
6
(GLP)
皮膚感作性
(Maximization法)
(48時間観察)
モルモット ♂ 10
♀ 10
陽性対照群
♂5 ♀5
皮内
貼付
感作 1%パラフィンオイル懸濁液
惹起 500mg
感作性なし CIT [仏]
(1998年)
毒-9
7
(GLP)
急性毒性
0.5%粉剤
14日間観察
ラット ♂ 5
♀ 5
経口 ♂♀ 2000 ♂♀ >2000 三菱化学安全科学研究所
(2002年)
毒-11
8
(GLP)
急性毒性
0.5%粉剤
14日間観察
ラット ♂ 5
♀ 5
経皮 ♂♀ 2000 ♂♀ >2000 毒-12
9
(GLP)
皮膚刺激性
0.5%粉剤
72時間観察
ウサギ ♀ 3 皮膚 ♀ 500mg 刺激性なし 毒-13
10
(GLP)
眼刺激性
0.5%粉剤
4日間観察
ウサギ ♀ 6 点眼 ♀ 100mg 弱い刺激性 毒-14
11
(GLP)
皮膚感作性
0.5%粉剤
(Buehler法)
48時間観察
モルモット ♀ 20
 
陽性対照群
♀ 5
感作: 60w/v%注射用水懸濁液
0.4mL貼布
惹起: 60w/v%注射用水懸濁液
0.4mL貼布
感作性なし 毒-15
12
(GLP)
急性毒性
10%水和剤
(フロアブル)
14日間観察
ラット ♂ 5
♀ 5
経口 ♂♀ 500、1000、
2000
♂♀ 約2000 ボゾリサーチセンター
(2002年)
毒-17
13
(GLP)
急性毒性
10%水和剤
(フロアブル)
14日間観察
ラット ♂ 5
♀ 5
経皮 ♂♀ 2000 ♂♀ >2000 毒-18
14
(GLP)
皮膚刺激性
10%水和剤
(フロアブル)
6日間観察
ウサギ ♀ 3 皮膚 ♀ 0.5mL 軽度刺激性 ボゾリサーチセンター
(2003年)
毒-19
15
(GLP)
眼刺激性
10%水和剤
(フロアブル)
72時間観察
ウサギ ♀ 3 点眼 ♀ 0.1mL 極く軽度の刺激性 毒-20
16
(GLP)
皮膚感作性
10%水和剤
(フロアブル)
(Buehler法)
48時間観察
モルモット ♀ 20
 
陽性対照群
♀ 10
感作: 原液
0.2ml貼布
惹起: 25%注射用水懸濁液
0.2ml貼布
感作性なし ボゾリサーチセンター
(2002年)
毒-21
17
(GLP)
生体機能への影響に関する試験 中枢神経系 一般状態
への影響
マウス
Irwin法
♂ 3
♀ 3
経口 0、50、120、500、2000 無作用量:50 三菱化学安全科学研究所
(2002年)
毒-23
自発運動量 マウス ♂ 6例
(3匹/1例)
経口 0、10、25、50、120、500、2000 無作用量:25
痙攣誘発
作用
マウス ♂ 10 経口 0、50、120、500、2000 無作用量:2000
呼吸・循環器系 呼吸
血圧
心拍数
心電図
ウサギ ♂ 4 十二指腸内 0、500、1000、2000 無作用量:2000
影響なし
腎機能 尿量
尿中電解質
ラット ♂ 6 経口 0、50、120、500、2000 無作用量:50


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