03/08/26 厚生労働省独立行政法人評価委員会医療・福祉部会第2回議事録          厚生労働省独立行政法人評価委員会医療・福祉部会                  第2回 議事録 日時 平成15年8月26日(火)15:00〜17:10 場所 経済産業省別館 11階 1111会議室 出席委員 浅野委員、石井委員、遠藤委員、大石委員、岡田委員、川原委員、      白石委員、宗林委員、山村委員 1.開会 ○岡田部会長  定刻になりましたので、ただいまから第2回独立行政法人評価委員会医療・福祉部会 を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中をお集まりいた だき、誠にありがとうございます。  今回は、小林部会長代理と橋本委員が欠席です。  本日の議事は、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の中期目標案と中期計画案を 中心に御審議いただく予定です。  また、次の部会では、福祉医療機構の中期目標案等について審議する予定となってい ますが、福祉医療機構は業務が多岐にわたっており、審議に時間を要するものと思われ るため、本日の部会の終わりのところで時間を少し用意しまして、中期目標案等のポイ ントをあらかじめ説明していただき、次回の審議に備えて一通り目を通しておくことに したいと思います。 2.議事 (1)国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の中期目標案・中期計画案について  (1)中期目標案、中期計画案の概要について ○岡田部会長  それでは、今日の第1の議題であります国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の中 期目標案及び中期計画案について御審議いただくことにいたします。  まずはじめに、のぞみの園の中期目標案と中期計画案について御審議いただくことに したいと思いますが、事務局から審議の方法やポイントについて簡単に御説明をいただ いてから始めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○山田政策評価官  本日の審議の進め方ですが、まず最初にのぞみの園の中期目標・中期計画の概要につ いてざっと説明をさせていただいたあと、中期目標の柱建てに沿いまして詳しく御説明 をするということを考えております。  進め方といたしましては、全体の分量が多いため、3つのグループに分けて御説明を し御審議いただきたいと考えております。  3つのグループと申しますのは、1つは、国民に対して提供するサービスその他の業 務の質の向上に関する事項、2番目は業務運営の効率化に関する事項、3番目は財務内 容の改善に関する事項等ですが、この3つのグループに分けて具体的な目標について説 明し、それぞれの説明の後に審議を行っていただきたいと思います。  なお、本日提出されている案については、まだ検討中の部分もあることから、それら の部分については次回以降の部会で引き続き審議していただきたいと思います。  審議にあたっては、当評価委員会の任務であります毎年の実績の評価という作業が 入ってまいります。その評価の際に、本日御議論いただく中期目標案・中期計画案がど れだけ達成されたのかを御議論いただくこととなることから、いわば業務実績を評価す る物差しとして適当であるかを中心に御意見をいただければと考えています。よろしく お願いいたします。 ○岡田部会長  3つに分けて御説明いただくということと、中期目標・中期計画案が評価という問題 に役立つかどうか、そういったことを含めてお考えいただきたいというもとですので、 よろしくお願いいたします。  それでは、のぞみの園の中期目標案、中期計画案の概要について説明をお願いしま す。 ○高原障害福祉課長  障害福祉課長でございます。どうぞよろしくお願いいたします。まず中期目標・中期 計画の概要ということで、資料1−1「中期目標案の概要」、資料1−2「中期計画案 の概要」、この2つを対比して御覧いただきながら説明させていただきたいと思いま す。のちほど資料1−4に沿って、各項目ごとの具体的な御説明と御審議をいただくと いう流れで御説明させていただきたいと思います。  本日、別の検討会と重なってしまいまして、1時間程度で中座させていただきまし て、担当補佐に交代させていただく失礼をお許しいただきたいと思います。  それでは、まず資料1−1ですが、期間としては今年の10月から4年6か月という期 間にしております。  (2)業務運営の効率化に関する事項を御覧いただきますと、目に見えるポイントとし ては経費節減ということがあるわけですが、国の一般会計から国費を支出しております 運営費交付金につきましては、中期目標期間の最終年度の交付金の額を、特殊法人の時 代の平成14年度に比べて13%以上節減するということを目標に掲げていきたいと思って います。  13%という数字の意味につきましては前回の説明にもあったかと思いますが、3年半 の期間の独立行政法人におきまして10%をめどにするということをベースにしまして、 4年半の本法人につきましては13%以上の節減を目標として掲げたいと思っています。  資料1−2の中期計画案を対比して見ていただきますと、経費節減を図るために非常 勤職員の活用でありますとか給与水準の見直しも含めて人件費の節減に取り組んでいこ うという内容を考えております。  その他、業務運営の効率化に関する事項としては、イ.効率的な業務運営体制の確立 ということで、効率的かつ柔軟な組織編成を行うこと。また、職員の採用に当たって は、資質の高い人材をより広く求めることができるようにすること。  ウ.合理化の推進では、外部委託の拡大などによる合理化や単純業務に係る競争入札 の推進などを掲げておりますが、それぞれについて中期計画で具体的な内容を盛り込み たいと考えております。  (3)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に係る事項ですが、福祉 行政の課題としては、重度知的障害者の方を町中から離れたところで大規模な入所施設 として長期間処遇するというコロニー政策を見直していく、ノーマライゼーションの理 念の具体化を図っていくことが大きな課題ですので、これを実践するという意味におい て、現状約500人の入所施設としての規模につきましては順次これを縮小していくとい うことで、当面、中期目標の期間中におきましては現在の入所者数の500人を3割から 4割程度縮減するということを目標に掲げていきたいと思っております。  これが大きな柱ですが、国費を投入して運営する以上、情報発信を行っていく必要が あるわけです。それがイの調査・研究のところに書いてあります。  ウ.養成・研修として、メンタルなケアを担うマンパワーの育成ということも政策と して非常に重要なものですから、現場を持った施設として養成とか研修にも力を入れて いく。  エ.サービス提供に関する第三者評価の実施なり評価結果の公表、これはどこの独立 行政法人も横並びの話かと思いますが、こういうものをしっかりやっていきたいという ことです。それぞれにつきまして中期計画のほうでは具体的な記述をしております。  (4)財務内容の改善に関する事項として、総事業費に占める自己収入の比率を38%以 上にするという具体的な目標を設定したいと考えております。  以上、かいつまんで概要を説明させていただきました。 ○岡田部会長  ありがとうございました。ただいまの説明に対して、御質問、御意見、御提案がござ いましたら頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。 ○宗林委員  この資料を読んで、御説明を聞いた限りでの質問なんですが、全体像がよくつかめま せん。入所者数は3割から4割縮減する。外部委託の拡大によって合理化を図る。職員 は10%減らす。交付金についてはの予算は13%で縮減させる。自己収入を38%以上にす る。このようなことによって、全体像として20年3月31日になった時に、どういう姿に のぞみの園が移り変わっていっているのか。入所者数は減らしていくんだから、そこに かかる費用と人は減らしていって、ほかの業務に人を割き、業務が明らかに変わって、 総予算としては変わらないのか等、全体像の移り変わりがよくわからないので、少し補 足をしていただけますでしょうか。 ○高原障害福祉課長  この法人の業務はシンプルでして、群馬県の高崎市内で入所者約500人規模の重度知 的障害者の方を長期間ケアをするという国立コロニーのぞみの園というの施設を運営し ているわけです。  ノーマライゼーションというのは、重度の障害をもった方でも施設ではなくて、地域 で生活していただけるように支援していこうという考え方で、これを実践したいと考え ております。いま500人おられる方は平均53歳ぐらいでかなり高齢化しているわけです が、それぞれの方の意向を聞きながら、できるだけ施設から外に移行していただく。グ ループホームという4〜7人程度の規模で集団生活をするという施策を私どもは平成元 年から進めておりますが、施設から、出身地のグループホームで生活をしていただく。 あるいはアパートなどで自活をされるというケースもあるかと思いますが、そこまで行 かないまでも、とりあえず別の小規模な施設に移行して、グループホームや自活のトレ ーニングを積んでいただいくような、地域生活への移行の流れをつくっていきたいとい うことです。  のぞみの園のスタッフも今は入所施設でのケアにあたっていただいているわけです が、少しずつ地域へ出ていってグループホームでの生活を支援する、連絡調整をしてい ただくとか、そういう形でマンパワーの活用をシフトさせていく。こういう形で機能を 少しずつ変えていってで、平成20年には私どもの目標としては、入所施設としての規模 は3〜4割程度減らして、その分、各地域での生活を支援していく、こういう姿に移し ていくということを考えているわけです。 ○宗林委員  地域がどうフォローしていくかという話は別のこととしまして、のぞみの園の事業と して考えますと、500名いらした方が3〜4割減った時に、ケアにあたられるマンパワ ーの削減が10%であるということは、その数字の関係はどうなっているのか。違う事業 に人が替わっていくのか。調査・研究とか養成・研修というのがありますが、今までは ウエイトづけが小さかった事業に人の配分を変えるということが具体的にあるのでしょ うか。  交付金が13%減るということですが、自己収入を上げるようにということになります と、総事業費としてはどのくらいの移り変わりになるのか。私のような素人が考えます と、定員が3〜4割減るということは全体の規模が小さくなるというイメージがあるん ですが、そうではなくて、事業費は維持し、人も10%削減にとどめるかわりに違う事業 に展開して、予算もそちらに使うんだというお話なのかどうか。全体像がよくわからな いということです。 ○高原障害福祉課長  いま先生が御指摘の点は、方向としてはそういう方向で私どもはこれから具体化を 図っていきたいと考えておりまして、入所施設の部門は小さくしていくことを考えてい ます。そこにあたっているスタッフの数も減ります。  一方、先ほど御説明しましたが、国費を投入して行う施設として、全国にいろんな情 報発信をしていく。あるいはマンパワーの養成とか研修をしていく。あるいは国内で同 種の施設を運営しているところから助言を求められれば、それに対してアドバイスをし ていく。そういう情報発信等々の機能は今後段階的に充実させていきたいと思っており ます。  入所施設の規模を3〜4割減らすということは、いま入所されている方にそれぞれの 出身地とか高崎周辺の地域生活に移行していただく必要があるわけで、そのためのトレ ーニングとか関係機関との連絡調整を行う。これは非常に大事な業務になろうかと思っ ておりますが、そこのところは丁寧に手間暇かけてやっていく価値があると思っており ますので、今いるスタッフは入所施設部門から地域移行の部門にシフトさせていく。あ るいは情報発信等の部門にシフトさせていくという中でのやりくりを考えるということ が一つあります。  全体としてはスタッフ数も徐々に減っていくことになりますし、事業費についても段 階的に規模が小さくなっていくという流れにはなろうかと思います。 ○岡田部会長  知的障害者に実際にかかわってくれている人たちにとってはよくわかる話ですが、そ うでない方々にとっては今の御質問のように、どういう具体的な姿が今後出てくるの か、これについては疑問もありましょうし不明な点も多いと思います。この点につきま しては今後の議論の中で明らかになるように私が責任をもってさせていただきますの で、そんなおつもりで御協力をお願いいたします。  (2)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項について ○岡田部会長  それでは具体的な目標の審議に移ります。「国民に対して提供するサービスその他の 業務の質の向上に関する事項」の部分の説明をお願いします。 ○高原障害福祉課長  資料1−4を御覧いただきたいと思います。順番が前後しますが、5ページから説明 させていただきます。  まず(1)自立支援のための取組みです。  先ほどの御質問に対する説明と重複するところもありますが、福祉行政の大きな課題 としてノーマライゼーションを具体化していくということで、入所施設としての規模は 中期目標期間中に3割から4割程度縮減していこうということを定量的な目標として掲 げたいと思っております。  この場合、非常に重い知的障害の方が入っておられるわけですが、その中でも特に支 援の必要度が高い方についても地域への移行が図れるように、国が関与する施設として モデル的に積極的に取り組んでいくということを目標に掲げたいと思っています。  目標設定の考え方ですが、5ページの右の真ん中あたりを御覧いただきたいと思いま す。国立コロニーが独立行政法人になった後の事業の在り方につきまして、外部の学識 経験者、実務の経験をもった方など10人の委員、本部会の岡田部会長、白石委員、山村 委員にもお入りいただいている検討会で1年間、延べ17回にわたって議論を重ねてまい りました。検討会の中でも地域移行の具体的な目標をどう設定するかという点について は活発に御議論いただいたところでして、結論としては、そこに書いてありますよう に、今の500名の入所施設の規模を中期目標期間中に3割から4割減らすということで 概ね合意をみたわけです。  すべての入所者一人ひとりについて、のぞみの園の側で地域への生活に移行できるか どうかのアセスメント評価をしまして、移行の可能性が見込まれる方が全体の4分の1 でした。これに加えて、支援の必要度が高い方についても積極的に地域移行に取り組む という考え方から、かなり困難と見込まれる方も一定数を加えるという考え方で導き出 したのが3割から4割という数字です。  平均年齢53歳の重い知的障害あるいは身体障害との重複障害をもった方ですので、3 割から4割というのは私どもとしても容易な数字ではないと思っておりますが、こうい う目標を掲げて、それに向けて順次取り組んでいくことも必要であろうかと思っており ます。地域の受け皿の条件整備もしながら取り組んでいきたいと考えています。  6ページにありますように、経費の節減とは違いまして、生身の人間をどうしていく かということですので、数字がひとり歩きで無理に進めていくものではないと思ってお ります。入所者本人の意向や家族の意向をお聞きし、地域移行先の受け皿の整備を図り ながら、丁寧に慎重に進めていきたいと思っています。  最大限の努力をしても、目標の進捗を図ることができない場合は、その事情を考慮し ていただく必要もあるのではないか。その場合には十分な説明責任が必要なことは当然 ですが、数字が先にありきという進め方はいかがなものかということで、進め方につい ては丁寧に進めていくと同時に、将来に向けて大規模な入所施設としてのコロニーの在 り方は確実に見直していくということを基本に考えていきたいと思っています。  7ページからは(2)調査・研究及び成果の積極的な普及・活用です。  7ページの(1)につきましては、中期目標としては定性的な目標にしています。中期計 画の中で具体的な計画に落としていくということです。  目標設定の考え方として、定性的な目標にしておりますのは、新しい独立行政法人に 自主的にやっていただく事業ですし、調査・研究というのは数というよりは成果を重視 していくということと思っておりますので、定量的な目標は設定せずにおきたいと思っ ています。  8ページの(2)成果の積極的な普及・活用ですが、せっかく国費を投入する事業です ので、出た成果については積極的に外部に情報発信をしていきたい。具体的にはインタ ーネット、講演会、各種研究会などを通じて研究成果の情報発信をしていきたいという ことです。  9ページは(3)養成・研修です。  知的障害者の支援の業務に従事する方々の養成なり研修の機能を今後強化していきた いと思っています。特に知的障害をはじめとするメンタルなケアを支える分野につきま してはマンパワーが十分でないという御意見もありますので、こういう分野のマンパワ ーの面で、現場を持った施設としてその機能を発揮していければと考えています。  10ページは(4)援助・助言です。  国内の同種の施設からの求めに応じて効果的な援助やアドバイスをしていくことを目 標として掲げたい。求めに応じてということですから、求めていただけるような施設で あることが大前提ですが、こういう機能も強化していきたいと考えています。  11ページは(5)その他の業務です。  中期計画のところを見ていただきますと、診療部門がありますので、知的障害者に対 する診療業務を行う。また、専門学校の学生やホームヘルパー研修受講者等の実習の受 け入れなども積極的に行っていこうと考えています。以上です。 ○岡田部会長  ありがとうございました。膨大な範囲に及ぶものを短い時間で御説明いただきました のでわかりにくい点もあろうかと思いますが、御質問等がありましたらお願いします。  知的障害につきましては我が国もそうですが、世界的にも大きく考え方が変わってき ていまして、そういう流れの中での改革であります。近代社会の中で知的障害の方々の 問題に社会的に目を向けられたのは19世紀の初めからです。その当時、知的障害の方々 は子孫に害毒を流すというとんでもない間違った見解が流布しまして、その人々を隔離 して拘束的に管理をするという時代が20世紀の半ばまで続きました。そのころから親た ちが立ち上がりまして、人権問題を強く訴えました。  そのころはもっぱら医療的な面からの解決を期待したわけです。治療して治すんだと いう期待が強くありまして、ついこの間までは知的障害は医療の対象という期待をかけ られていました。しかし知的障害につきましては、自閉症も同じですが、医学的に治療 するということは意味をもたないという考え方が強くなり、ノーマライゼーションの思 想は、障害があるなしにかかわらず、すべての人の人権を大切にしたい。そのために は、すべての人と同じような環境の中で普通の人として扱うべきだという考えが出てき ました。それを実行したところ、医学が解決できなかった問題を数々解決してきたわけ です。環境を変え支援を変えることによってその人は可能性を広げてきた。そして普通 の社会の中で適応性を次々と獲得していくことができた。そういう歴史があります。  国立コロニーは、どうしようもなかった時代の悲惨な状況を救うために作られたもの であります。そのために500人という大きな施設になったわけですが、今日、500人など という大きな施設に入らなければならない理由はどこにもないというのが一般的な認識 です。世界の認識でもありますし関係者の認識でもあります。そのためには国が率先し て大きな施設を自ら解体し、その人々を地域で受け止めるようにし、これからの知的障 害者の福祉の在り方を国としても変えていこう、こういう大きな期待をもって、このた び国立コロニーの将来像が描かれた。こういうことを御理解いただいて、今のお話を重 ね合わせていただければと思います。  御質問なり御意見をどうぞ。 ○山崎委員  1年間かけてのぞみの園の中期目標案をお立てになるために、のぞみの園の在り方の 検討を岡田座長を中心として、一人ひとりのアセスメントをされて、そして地域への移 行を図られるというお考えを示されたことに賛意を表したいと思っております。  今回ののぞみの園の評価の問題は、質の向上と効率化と財務という3つの柱とおっ しゃいました。大型の施設で、しかも全国から集まっていて、平均年齢53歳というと、 入所当時から長期におられる方が多い。家族はかなり高齢化していて、家族がみること は難しい。そういう条件の中におられる方々が地域の中で暮らしていくための大きな実 験であるしモデルであると思われます。  私が所属している大学は神奈川県なんですが、いろんな障害者団体に伺うと、神奈川 県では支援費が実際に使えるようになっているのは1割程度だそうです。なぜかという と、地域に資源がないという問題とか、プログラムがなかなか作れないというカベの中 で非常に苦闘しながらやってらっしゃる。  まして、のぞみの園におられる方は全国からの方々で、しかも重度で高年齢ですか ら、地域に軟着陸することが難しい方々ですよね。ですから質の評価として示されると するならば、グループホームに行かれたり、あるいは地域の中で小さな支援のグループ を作られたりということの記録をきちんと取られまして、いま全国で施設から地域へ出 そうとしているプログラムに支援というか方法が提示できるようなものを作られるとい うことは、国としては、またとない機会ではないかと思うんですね。  3割ないし4割の方がどのように出られて、どのようなアウトカムがあったか、そこ までのことを記録されて、それを情報開示の時に、こんなところに課題があった、こん なところにプラスの面があった、こういうシステムを作ったら地域でできたというふう にお示しいただく。  単に予算を切ったとかではなくて、ミッションとして大型の施設を地域化するという 大きな実験をすることになりますので、特に御家族への説明をどういうふうにされたと か。こういう大型の施設におられる方の家族は高齢化されたり、一人になっておられた り、ケアをすることが難しい方々かと思いますけど、その方たちは非常に不安もおあり でしょう。どういうふうにしてコロニーからグループホームなり福祉ホームその他に行 かれたのか、その時に、この方たち自身にどういう説明をされたのかなどについて、そ こを成果としてお出しいただくこともお考えいただけると、地域の研修プログラム、あ るいはそうした方々の扱いについて参考になると思います。  精神障害者の方もそうですけど、長いこと施設の中で暮らした方は施設に過剰適応し ておられるので、学習しながら地域の中で暮らしていくためのプロセスをプログラム化 して御提示いただけると現場の人にとっては勇気と方法が見出せるのではないかと思い ます。目標の変換ですから、成果についてもお示しいただけるといいかなと思いまし た。 ○岡田部会長  高原課長から何かコメントをいただけますか。 ○高原障害福祉課長  いま先生がおっしゃったようなミッションを着実に具体化していくことが私どもに課 せられた大切な課題だと思っております。そういう意味で、私どもものぞみの園と一緒 にチャレンジをしていくわけです。プライバシーにかかわる部分は注意する必要があり ますが、プロセスと結果についてきちんとお伝えしていくことは当然のこととして心が けていきたいと思っております。 ○岡田部会長  ほかにいかがでしょうか。 ○山村委員  国立コロニーが日本全体の知的障害施設の唯一の国立施設として先導的に、障害の重 い方の地域移行の実践に取り組まれるという目標については高く評価されているところ でありますし、これから期待をしたいと思います。  9ページに養成・研修という目標が掲げられていますが、基本的なことを伺いたいと 思います。先駆的な実践を通じて、広く知的障害にかかわる全国の施設の職員の研修の 場としてプログラムを用意して実践していく。これはよくわかります。養成というのを 改めて目標に掲げられてはいるんですが、具体的なことに触れられていません。大学等 でも人材養成がなされている中で、国立コロニーが養成という視点で具体的にどのよう なイメージで取り組んでいくのか、そのあたりがいささか不明確なような気がするの で、コメントをお願いしたいと思います。 ○高原障害福祉課長  昨年成立しました法律の中で具体的な業務の1項として養成及び研修というのが法律 上の業務として明記されておりまして、それを受けて中期目標なり中期計画で具体化し ていくことを考えているわけです。実際のやり方につきましては、既存の養成機関等と どのように違う特色をもったものとしてやっていくのか、そのあたりは工夫をしていく 必要があろうかと思います。一からの養成というよりは、既にそういう業務についてお られる方の現任研修の部分に力を入れていくことになるのではないかと思っておりま す。 ○岡田部会長  山村先生がおっしゃったのは、専門性とか資格をバックにしたような意味での養成と いうのはあるのかということですが、今の御説明は必ずしもそうではなくて、知的障害 についての深い認識をもったそれぞれの専門家を研修のほうにウエイトを置いた形でと いう意味合いですが、そういうことでいいでしょうか。 ○山村委員  はい。 ○岡田部会長  それでは結構です。ほかにいかがでしょうか。 ○白石委員  これからのぞみの園が評価される一番のポイントは、地域移行にいかにうまく取り組 んでいただけるかということだと思います。単に入所者が3割、4割減って施設が縮小 していったという寂しいイメージではなくて、入所者が地域に移行されて、地域で幸せ にお暮らしになる。職員の方も地域移行という大きなミッションに向かって張り切って 働いていただくというのが一番のポイントだと思います。  5ページに、その一番大切なミッションにどう取り組んでいくかという実施計画の作 成と実践というのがあるんですが、その中にサービスメニューと家計負担に基づくライ フプランの作成という項目があります。  質問したい点はライフプランの作成というところなんですが、検討委員会でいろいろ 議論が出た中で、地域に出てグループホーム等でお暮らしになる場合、支援費の範囲内 で暮らすことは困難さがあるという話がありました。家計負担との兼ね合いでライフプ ランというのを具体的にどのように考えておられるのかということが1点目の質問で す。  調査・研究のところでは、成果を重視し定量的な目標は設定しないということです が、検討委員会でも論文を何本書いたということにどういう意味があるのかという議論 があって、定量的な目標を設定しないというところには賛成いたします。こういった調 査・研究の取り組みに対するチェック機能というと感じが悪いんですが、進捗状況など について、この評価委員会だけではなくて、ホームページでも構いませんし、ここにあ げておられるニュースレターとかいろんな情報発信のところで、こういう取り組みをし ているということを実践の一つとして情報公開なさるというような取り組みがあるのか というのが2点目の質問です。 ○高原障害福祉課長  まず2点目ですが、先生の御指摘のとおり、情報開示とか情報発信をやっていくとい うのは非常に大切なことだと思いますので、本評価委員会の場やホームページ等を通じ まして、そういうことに心がけていきたいと思っております。  1点目の家計負担に基づくライフプランの作成ですが、これから入所者一人ひとりに ついてケース・バイ・ケースで作成していく必要があります。かなり高齢になられてい る方が多いわけですが、施設から地域に移行した場合、施設にいた時よりも自己負担の 額が増えるという現状があります。一方、施設におられた間の年金をはじめとする蓄え があると考えられます。お金の面も含めて、ケース・バイ・ケースでライフプランを丁 寧に作っていく、これ自体が今までにない大事な仕事かなという気がしておりますの で、力を入れてやっていきたいと思っております。 ○高橋総務部長  心身障害者福祉協会総務部の高橋と申します。よろしくお願いいたします。いま課長 がお答えしましたライフプランの関係ですが、重度の知的障害者が地域のグループホー ムで生活する場合の家賃負担の問題とか自己負担が出てきます。そのほかにグループホ ームにおいてどのようなサービスが必要かということも一人ひとり見ていかなければい けないのかなと考えております。収入については基本的に障害基礎年金の収入でそれら をどのようにして賄っていくか。今まで施設を利用されていた時にどのくらいの蓄えを お持ちになっているか。そのへんを踏まえた上で、どういうサービスがどこで対応でき るかということを一人ひとりプランニングした上での支援が必要になってくると思いま す。  日中活動の場をどこに求めるか、ホームヘルプサービズがどの程度必要か、そういう ことも踏まえた上で検討していかなければいけないと考えております。 ○岡田部会長  ある地域へ行きますと、こういう人たちがグループホームで生活する場合、障害基礎 年金を受給すると同時に生活保護を受けることができるような仕組みをもっているとこ ろがあるということを聞いたことがありますが、そういうことについては可能性がある んでしょうか。 ○高橋総務部長  所得だけで最低生活費を賄えるかどうかというところにもかかわってくると思うんで す。個人個人が置かれている状況を踏まえた上で検討されることになると思います。 ○岡田部会長  そういう対象になりうる人もあるかもしれないということは考えておいていいんです ね。ほかに何かありませんでしょうか。 ○山村委員  8ページですが、先駆的な実践をやられるわけで、研究成果を広く同種の施設に広げ ていきたいという趣旨で、インターネットで公開するとか一般紙で普及を図るというこ とが書かれています。知的障害関係の施設の全国の集まりで知的障害者福祉協会という のがあって、私は副会長をしていますが、全国規模の研修会とか研究協議会等もありま す。固有名詞は出さないまでも、全国規模の研修会や関係学会に出向いていって批判を 仰ぐとか、成果を発表するとか、そのようなものをここに入れていただければと思いま す。  現状ですと国立コロニーはじっとしていて、そこで情報発信しますよということだけ ど、出向いていって、もっと積極的に成果を広く知ってもらう、そのような中身にして いただければありがたいなと思います。 ○高原障害福祉課長  御指摘はごもっともだと思いますので、こういう書きぶりの中で運用上対応できるの か、もう少し明確に記述をするのか、そのあたりを検討させていただきたいと思いま す。 ○宗林委員  私自身の見方は質が違うのかもしれませんけど、新たな業務としていろいろと書かれ ていることはよくわかりますし、大切なことが書かれていると思います。現状の業務か ら4年半以降の業務の推移という観点から見させていただきますと、パンフレットには 入所者の組織図はあるんですが、組織としてはどういう組織図になるのか。現状の業務 ではここにかなりウエイトが高いというところがあるんでしょうけど、これから組織と しての位置づけを変えていくことによって地域への支援などの業務が新たに出てきて、 それによって、どういう組織図に変わっていくのか。  今のお話の一つ一つはよくわかるんですが、今の業務と4年半以降の業務を比較した 場合、組織図としてどう変化していて、どこにウエイトづけがあるのか。それは予算と してのウエイトづけと近いのかもしれませんし、お金がかからなくても調査・研究であ るとか情報開示、情報発信というところは意味合い的には大きいのかもしれませんが、 業務の在り方としてどう変わっていくのか。もともと私は詳しくないのでこういう質問 になるのかもしれませんが。  人員削減が10%で抑えられてるにはそれなりの理由があって、ここを読みますと大事 なことがいっぱいあるんだろうと思うんですが、それが目に見える形でわからない部分 がありまして、組織図の移行とかウエイトづけの移行とか、予算がどういうふうに移行 して、こういう姿になっているのかということが今度までに具体的なものがあるとわか りやすいなと思います。 ○岡田部会長  これについてはまだ正確なものは描かれていませんが、それは十分考えてるはずで す。 ○高原障害福祉課長  10月からの独立行政法人化に向けて地域移行を推進するための準備室をつくっており まして、専任のスタッフが業務に携わっています。10月以降、これを正式な組織として 位置づけて、だんだん充実強化を図っていくことなどを柱としますプランは持っており ます。この場で言葉で御説明するよりは、資料を整理した上で別の機会に報告させてい ただくという形でよろしいでしょうか。 ○岡田部会長  そうしていただいたほいがいいと思います。素朴な疑問として3割から4割減ればそ れでいいのかということになると、そういう考え方は持ってないんですね。独立行政法 人として4、5年たった暁に、将来はどういうものになるのか。350人を入れていれば いいのか、そういう施設が存続するのかというと、今の考え方はそうじゃないんです。 350人なんていう大きな施設を維持することは社会の常識から見ると外れたことになる んですね。将来のコロニーというのは物理的にもどうなるのか、これは大きな関心事で す。閉鎖するのか、別のものに転用するのかというぐらいドラスティックなことを考え なければいけないのが、このプロセスの暁には残ってるという問題だと思いますので、 先生がおっしゃったことは誠にそのとおりなんです。これは整理をした上で報告してい ただくようにしたいと思います。  それでは吉田補佐に代わっていただきますので、よろしくお願いいたします。 ○遠藤委員  私もこの分野については全く素人なんですが、3割から4割の方に退所していただく というのが具体的な数値としてあがっておりまして、5ページを見ますと、真ん中の中 期計画(案)の中に定量的目標と書いてあります。これは3割から4割の方に退所して いただくということで定量的と書いたんだと思うんですが、中身を読みますと、すべて 定性的な対応が書いてあると私は理解するわけです。  評価をする時に定性的な評価というのはあやふやになりますので、定量的な3割から 4割の退所が達成されたかされなかったというところにウエイトが強く出てくるような 評価になってしまうのではないかという懸念を持つわけです。中期計画のところに定量 的目標と書いてあるならば、具体的な数量的なものも対策の中に盛ることはできないも のなのかどうが。  ほかのページを見てみますと定性的な目標と書いてあって定性的なことが書いてある んですが、ここに書いてある内容は、ほとんどほかと同じように定性的な設備を作ると いうような話ですので、唯一、数値が3〜4割ということだけが走ってしまう可能性を 私はちょっと危虞をしたということです。 ○吉田補佐  先ほど高原課長からも申し上げましたが、入所者一人ひとりに対して丁寧に取り組ん でいくということからしますと、量的な部分でいけば、(2)のアにあります本人及び保 護者等家族への説明を何回やればいいのかということにもなるわけです。そういうこと ではなくて、同意を得るためにどういう説明の仕方をしたのか、集合的にやるのか、個 別にお宅までお伺いしてやるのかとか、そういう中身の話で、そのくらいやってもなか なか同意が得られなかったということであれば、そこまで評価の対象としてお含みいた だければなという趣旨で、あえて定量的な数値は入れていないということもありますの で、そのへんは御理解いただければと思います。 ○岡田部会長  これは条件が多面的なものですから、年次ごとにどのくらいの数字でどういう取り組 みをするのか。どういう地域に対してどういうことを考えているのか。出身地の地方自 治体とどういう対応策を考えて年次計画をどういうふうにしているのか。このあたりが 問われてくると思いますので、今後こういったことを問題意識として持っていただいて 進めるということで今日のところは御理解いただければと思いますが、どうでしょう か。  この問題についての御議論はまた後でいただくことにして、山田評価官からお示しい ただいた柱建てに従って、次の問題にいきたいと思います。  (3)業務運営の効率化に関する事項 ○岡田部会長  「業務運営の効率化に関する事項」の部分について説明をお願いします。 ○吉田補佐  資料1−4の1ページ、1.業務運営の効率化に関する事項について説明いたしま す。  左の中期目標(案)の(1)ですが、冒頭に概要のところで御説明申し上げましたよう に、運営費交付金について、中期目標期間の最終年度である19年度にその額を、特殊法 人の時の平成14年度に比べて13%以上節減することとしています。  中期計画(案)のところを御覧いただきますと、(1)経費節減を図るため、人事評価 の仕組みの導入や非常勤職員の積極的な活用により効率的な職員体制の構築を行うほ か、給与水準の見直しに取り組む。  (2)運営費交付金以外の収入の確保として、利用者負担を求めることができるサービ スについては、社会一般情勢を踏まえ、有償化及び対価の引き上げを図る。こういうこ とを計画として掲げております。  右の目標設定の考え方ですが、中期目標期間が3.5年の法人の標準的な削減目標を10 %とした場合、中期目標期間を4.5年とする「のぞみの園」の節減目標は12.8%になり ますので、丸めて13%という数値を掲げています。  13%節減を図った場合に最終19年度の運営費交付金の額はどうなるかというと、14年 度決算ベースで29億3500万円が25億5300万円程度の規模に縮減されることになります。  この場合の評価の視点ですが、目標数値13%が達成できたかという評価をいただきま すと同時に、計画内容の中にありますような人事評価の仕組みの導入、非常勤職員の活 用、給与水準について見直しが図られたかどうかという点、あるいは利用者負担を求め ることができるサービスについて有償あるいは対価の引き上げがなされたかどうかとい うことを見ていただいて評価をいただく。  依願退職者が急にたくさん出るなど予期せぬ事情によって支出面が増えて数値目標が 達成できなかった場合は、そういう特別な事情を考慮していただきながら評価をいただ くことになるのかなと考えております。  2ページですが、(1)効率的な業務運営体制の確立として、効率的かつ柔軟な組織編 成を行うこと。また、職員の採用に当たっては、資質の高い人材を広く求めることがで きるよう工夫することとしています。  職員の採用に当たっての考え方として、のぞみの園の場合には退職者の後補充はしな いことを基本原則として考えています。来年度から地域移行に向けての取り組みが本格 稼働しますので、外部の実践経験者に来ていただくことも考えなければならないのかな という観点から、職員の採用に当たっては、資質の高い人材を広く求めるという記述を 入れております。  (2)効率的な施設・設備の利用については、せっかくの自財ですので、施設・設備を 有効活用し、業務運営の効率化を図ることとしています。  中期計画(案)の部分ですが、(1)組織体制のところで、重度知的障害者に対する自 立のための支援を先導的、総合的に行うため、業務部門の統合再編を柔軟かつ重点的な 職員配置により実施するとしています。これまでの入所部分に重点を置いた職員配置か ら地域移行に向けての地域生活支援室(仮称)を立ち上げていきますが、地域移行に取 り組む部署への再配置なども考慮に入れて進めていく必要があるということです。  (2)人事配置については、職員の能力と実績を適切かつ厳格に評価した適材適所の配 置とするとともに、外部の関係機関との人事交流等を実施することとしています。  人事評価制度の導入につきましては、(2)の関連でいきますと通則法57条にそういう 規定がありまして、それを受けた形で「職員の能力と実績を」という書き方を入れてお ります。  (2)効率的な施設・設備の利用ですが、(1)施設・設備について、地域の社会資源・公 共財として、福祉関係者、ボランティア等の活動の場として利用していただく。  (2)地域の知的障害者に対する支援の充実を図るため、現在有しております診療部門、 治療訓練部門、作業活動部門の活用を図ってまいりたい。  (3)職員宿舎等の空き室について利用者の自活訓練の場、外部からの実習生等の受け 入れの場としての活用を図ってまいりたい。  (4)その他、敷地についても膨大な敷地を有しておりますので、全国の知的障害者等 の療育キャンプ等の場として活用を図っていただきたいと考えています。  目標設定の考え方としては、職員の勤務条件や内部組織の編成については法人の裁量 に委ねられていることから定量的な目標を設定しておりませんが、年度計画等において 中期計画等の趣旨に沿って実施内容を明確にするということです。  施設・設備の利用についても法人の自主的な取り組みという観点から数値目標等につ いては記載しておりません。  3ページにいきまして、(1)内部進行管理の充実ですが、地域生活への移行がどの程 度進んでいるか、各部門間においてどういう体制で積極的な支援方策が講じられて、そ れが計画どおり進んでいるかということについて組織的かつ定期的にモニタリングを し、必要な措置を講ずる必要があれば適時かつ迅速に講じるための仕組みを導入する必 要があるということで、目標として掲げております。  (2)合理化の推進については、外部委託の拡大などによる合理化や単純作業にかかる 競争入札の実施を推進することとしています。  中期計画(案)の欄ですが、具体的には、(1)業務の進行状況を把握するため、各業 務部門にモニターを置くことを考えています。  (2)モニターと各業務部門の管理者及び役員によるモニタリング評価会議を年4回開 催する。評価会議において、各業務部門の業務の達成度を評価するとともに、評価の結 果により、業務の見直しを含めた必要な措置を講ずることとしています。  (2)合理化の推進ですが、重度知的障害者という利用者の特性に十分考慮しながら、 次のように外部委託の拡大などによる合理化や単純業務に係る競争入札の実施を推進す る。  (1)外部委託については、中期計画期間中に12業務以上の外部委託を実施する。  (2)競争入札については、中期計画期間中に5件以上の業務について競争入札を実施 することとしています。  目標設定の考え方ですが、(1)については法人の自主的な取り組みによって行われる ということで、定量的な目標を掲げている部分と、そうでない部分があります。  評価の視点としては、年度計画等によって業務の進行状況が明らかにされますので、 それに基づいて実施状況を評価していただく。  モニタリング、業務達成度の評価結果を踏まえた業務の見直しが行われていれば、そ の内容や進捗状況について評価していただくことになります。  外部委託の拡大等につきましては、各年度の業務の規模や性質に合わせて法人の自主 的な取り組みによって行われるということで、12業務、5件以上という目標を掲げてい ますが、ほかに何業務増やすのかとか、今後どういうものについて取り組むのかという こともあります。そういった点を含めて年度計画等の中で明確にしたいと考えておりま すので、年度計画に基づいて実施状況について評価していただくのかなと考えておりま す。  冒頭のほうで事業費の状況がどんな感じなのかというお話がありましたので、4ペー ジの「のぞみの園」収支構造の現状という表を御覧いただきたいと思います。  平成15年度をベースにしたもので、15年度の前期9月分までは特殊法人分、10月1日 以降は独立行政法人分として2段書きにしていますが、現状はこのような感じになって いるということで御理解いただければと思います。  運営費交付金ですが、15年度ベースですと61%であす。支出面で大部分を占めている のが人件費でありまして76%です。こういう構造にあるということをお含みおきいただ ければと思います。  今後、500名の入所者について計画期間中に3割から4割程度縮減を図るということ で、150名から200名程度を地域の生活に移行させることになりますと、左側の参考にあ りますように、1人当たり施設支援費の年額309万円が収入として入ってこなくなりま す。これを踏まえて、他の居宅生活支援費の収入を得るための努力をしながら、収支バ ランスを考えて最終的に13%の目標達成に向けて相当な努力をしていく必要があるとい うことです。以上です。 ○岡田部会長  ありがとうございました。ただいまの御説明について、御質問等がありましたらお願 いします。 ○川原委員  良く出来ている計画で、感心しておりますが、13%以上の節減をするということは大 変なことだと思うんです。ましてや4年半で13%ということになりますと、民間企業で も単変な努力を要する数値目標であると私はとらえております。  2ページに移らせていただきたいと思います。収支状況を拝見させていただきまし て、いかに人件費が膨大な率を占めているかということが理解できたわけですが、これ らについて今後の定性目標として人事配置をしっかりやっていく。その中でもとりわけ 「職員の能力と実績を適切かつ厳格に評価した適材適所の配置をとる」と表現されてい ます。一言で職員の能力と実績の評価といってもいろんな手法があるわけです。コロニ ーで実際に実績評価ということになりますと業績管理が絡んでくると思うんですね。各 部門及び各人の業績管理が出来て、はじめて実績が適切に評価しうる環境整備ができる と思うんですが、これについて今日現在、どのような手法による個人別あるいは部門別 の業績管理をお考えの上でこういう表現がなされたのか、お聞かせいただければありが たいと思います。 ○高橋総務部長  コロニーのほうからお答えいたします。今現在、利用者の支援というのは居住区、そ れと企画研究部、今度、地域生活移行ということになりますと、10月から正式発足しま す地域生活支援室ということで、縦断的な取り組みを行っていかなければいけない。利 用者個人に対しては指導員が支援をしていかなければいけないということも踏まえて、 地域移行に何名させたかというだけが業績評価になるのかどうか。  先ほど部会長からお話がありましたとおり、利用者本人への説明、あるいは保護者へ の説明、これは懇切丁寧な対応が求められます。そこで理解を得られる得られないだけ で果たして業績評価になるのかということもあります。今後、点数化するのか、どうい う評価をするのか、様々な有識者等からも御意見を聞きながら評価制度を構築してまい りたいと考えております。 ○岡田部会長  川原先生、それに対して何かアドバイスをいただけることはございますか。 ○川原委員  各論の論議になった時にそういうお話をさせていただきたいと思います。ほかの質問 があるんですが、よろしいでしょうか。3ページに例示されておりますが、合理化の推 進ということで、外部委託の拡大、競争入札の状況が書かれています。外部委託の拡大 につきましては、この期間中に12業務以上の委託を実施する。競争入札については5件 以上の業務について実施するという説明を受けました。私どもはコロニーの実態がよく わかりません。先ほど来、いろいろと説明を伺っておりますが、私自身、まだ全体像が 把握されないがゆえに、どうしても質問なりお話をさせていただくことが的はずれにな りがちです。これはやむを得ないと思うんですが。  現在の外部委託の状況はどうあって、その上で、さらに今後は12業務以上、どのよう な業務を委託することによって期待成果というものがどの程度見込まれているんだとい うことを考えた上での表現なのか。あるいはその方向で進むということが考えられてい るのか。競争入札についても同様のことが考えられると思うんですが、これについては いかがなものなんでしょうか。 ○吉田補佐  外部委託につきましては既に12業務の外部委託を行っております。それ以外に可能性 がなきにしもあらずなので、そういったものが出てくれば、それについても外部委託を 検討するということで、現行以上の外部委託を実施するという趣旨でございます。  競争入札につきましても現行5件の指名競争入札を実施しております。高崎市という 地域の関係もありますので業者数に限りのあるものも中にはありますが、指名競争入札 に適する業者の数ができてくるという状況がありますれば、現行の5件以外についても 指名競争入札を実施したいという考え方で、こういう記述にさせていただいておりま す。 ○岡田部会長  12業務、5件の中で、代表的なものはどんなものがありますか。 ○吉田補佐  外部委託につきましては清掃業務、入所者に対する給食、衣類等の洗濯の業務、廃棄 物処理の業務、施設の警備にあたる業務、車両運転の管理業務、ボイラー、電気設備の 保守、診療報酬の請求の関係の事務とか、そういった業務について外部委託を行ってい るところであります。  指名競争入札につきましては、そのうちの施設の警備業務、車両運転業務、ボイラー、 電気設備の管理業務などについて指名競争入札を導入しています。 ○川原委員  ありがとうございます。よくわかりました。これはあくまでも役務の提供としての業 務を委託という、そういうことでお考えなわけですね。現在、物品購入については相見 積りとか、いろんなところに見積り合わせをして、できうる限り安い値段で買うような 努力をされているのかどうか。物品購入についてはどのような状況であり、今後につい てはどのようにお考えなんでしょうか。 ○吉田補佐  一般の消耗物品につきましても、先おととし会計検査院の検査をいただいたわけです が、今年も9月にございます。随意契約によって契約をする場合には他業者間の相見積 りを取った上で比較対照しながら、できる限り安いほうを採用するという手法でこれま でもやってきておりますし、今後も随意契約によるものはそういう考え方で引き続き 行っていきたいと考えております。 ○岡田部会長  ほかにいかがでしょうか。 ○宗林委員  確認が1点と質問が2つございます。まず確認ですが、先ほどの運営費交付金がマイ ナス13%という御説明と自己収入を38%にという御説明を合わせて考えますと、中期目 標後の20年の時の予算というのは事業費全体では約10%減ということでしょうか。15年 度予算額から計算してみると、全体の予算費用というのはそういうことでよろしいで しょうか。  質問ですが、3割から4割の入所者が減るということで、4ページに利用者1人当た りの施設支援費収入の減少額が書いてありますが、これが年額で309万ぐらいというこ とで、それに人数分を掛けて減った分を居宅支援費収入でカバーするという御説明があ りましたが、ここをもう少し説明していただきたいというのが1点です。  もう1点は、10%の削減という石原行政大臣の発言のところで、全体ならば10%とい う発言もあったかと思いますが、一般管理費で事業費あるいは人件費を除いた場合の違 う数字の選択もあったような記憶があるんですね。ほかの法人で見たことがあるんです が、このあたりは選択をされて10%…。人件費が高い法人の場合ですと、人件費と何か を除いて一般管理費で、もう少し高い数字になるんですが、そういう選択をするという ことも伺ったような気がします。もしわかれば教えてください。人件費が非常に高いの で、ここの考え方がもう一つあったような気がしたんですが。 ○岡田部会長  それぞれ関連のある御質問なんですが、3つの点についてですね。1つは、運営費13 %はトータルでいったら10%程度の削減なのかどうか。 ○吉田補佐  冒頭に申し上げればよかったんですが、昨日、行革事務局のほうから、1ページの (1)の表現について各省統一的な記述の仕方として、一般管理費、○○費、事業費等の 経費(運営費交付金によって充当されるものに限る)という例が示されまして、それで 統一的に記述を揃えていこうじゃないかというお話がありました。この部分につきまし ては後ほど調整の上、そういった記述に改まることになろうかと思います。  最終的に運営費交付金といっておりますが、運営費交付金によって賄われない部分と いうのは、のぞみの園の場合で考えてみますと、総事業費がありますが、総事業費か ら、収入部門から入ってくるお金を控除して、残りの部分がすべて運営費交付金によっ て賄われるという構造であります。いわゆる収支差補助でこれまでやってきております ので、運営費交付金によって充当される部分に限るといわれた場合でも、運営費交付金 そのものを指すのだという理解ができるのかなと考えますと、13%と考えられるわけで す。  総事業費ベースだけで見ると10%程度になるのではないかというお話かと思います が、自己収入の比率の部分で10%だけしか削減が図れないのに13%をどうやってカバー するのかと申しますと、4ページにありました施設支援費収入は減りますが、その分、 居宅生活支援費の収入を増大させます。在宅サービスを充実することによって、地域に 出ていただいた方々に日中活動の場を提供することの対価として居宅生活支援費の収入 を受けるという形をとりますので、そこのところで自己収入を若干多めに増やせるので はないか。その相対の関係で総事業費としては10%程度の削減ですが、運営費交付金そ のものについては13%が達成できるような数値が確保されるという構図です。  その点につきましては絵に描いたものを御覧いただいたほうがよくわかるのではない かと思いますので、のちほど機会を得まして御提示したいと思います。 ○岡田部会長  最後の石原発言に関連した処理の仕方については何かありましたか。10%というのに 対して何か…。 ○吉田補佐  2つのやり方がありまして、人件費を除いた中でどういう目標設定をするかというこ とについては20%という数字が例として出されています。のぞみの園についてどういう 目標設定をするかということについては、人件費の割合が非常に高いものですから、そ このところも含めて、ある程度削減をしていくという考え方で、1番目のやり方をとっ ています。 ○岡田部会長  この部分についてほかに御質問等がありましたら、次の「財務内容の改善に関する事 項等」の後に再度時間をとることとします。それでは次の部分の審議に移ります。  (4)財務内容の改善に関する事項等について ○岡田部会長  「財務内容の改善に関する事項等」について説明をお願いします。 ○吉田補佐  資料1−4の13ページからになります。左の中期目標(案)ですが、(1)自己収入の 増加に努めることにより、中期目標期間中において、総事業費に占める自己収入の比率 を38%以上にすること。  真ん中の中期計画(案)の欄ですが、(1)中期計画の予算、収支計画及び資金計画に ついては現在調整中ですので、のちの機会に提示したいと考えております。  (2)短期借入金の限度額は5億円という数字を掲げております。  右の欄に目標設定の考え方を書いています。  ・本法人の中期目標の事項のうち、「国民に対して提供するサービスその他の業務の 質の向上に関する事項」の「(1)自立支援のための取組み」において、「入所者数を中 期目標期間中において3割から4割程度縮減する」こととしていますが、このような入 所者の地域移行の推進により、法人においては、自己収入のうち施設支援費収入が減少 することが見込まれます。  ・平成14年度の決算額を載せていますが、総事業費46億円に対して自己収入が16.7億 円ということで、比率で36.3%、これが出発点である14年度の決算の状況です。  ・自己収入16.7億円のうち施設支援費収入相当額が15.5億円弱あります。  ・このような状況の中で、先ほど申し上げましたように在宅サービス関係の充実を図 り、そちらからの収入を多く得る努力をして、それによって自己収入比率を36.3%から 38%台にしたいという考え方です。  ○短期借入金の限度額の考え方ですが、職員の平均年齢は45歳ですので、依願退職に よる退職手当の増等に備えるための経費として約2か月分の運営費相当額を5億円とい うことで提示させていただいております。  14ページにいきまして、中期計画(案)欄の定性的目標の(1)剰余金の使途ですが、 各年度において剰余金が発生した場合の使途については計画の中で記述をし、次のよう な場合に使わせていただくこととしています。  (1)職員の資質の向上のための学会、研修会等への参加及び外部の関係機関との人事   交流。  (2)施設・設備及び備品の補修、整備並びに備品の購入。  (3)施設入所者の個別支援計画の適切な運用や地域における支援体制づくりなどの   地域移行の取組み。  (4)退職手当(依願退職等)への充当。  評価の視点としては、定められた4つの剰余金の使途に沿っているか否かについて確 認していただきます。  財務内容の改善に関する事項につきましては以上です。  続きまして、15ページの4.その他業務運営に関する事項について御説明申し上げま す。中期目標(案)の欄ですが、定性的目標として(1)人員の適正配置により、業務運 営の効率化を図ること。  (2)利用者の処遇の充実を図り、業務運営の効率化を推進するための人事評価システ ムの導入に向けて検討を行うこと。  (3)施設整備や改修等を行う場合には、規模や経費の水準等について、入所者への適 切な処遇の確保に留意しつつ、社会経済情勢を踏まえた内容とすること。この3つをう たっております。  中期計画(案)欄の(1)人事に関する計画ですが、(1)方針については現在調整中で す。ただし、人員の適正配置により業務運営の効率化を図ることと、障害者の地域への 移行の推進とサービスの質の向上に資する新しい人事評価システムの構築に向けた検討 を行う、こういった内容を盛り込みたいと考えています。  (2)人員に係る指標として、期末の常勤職員数を期初の90%とする。ここの部分につ きましても、機会を設けまして、どういう形で職員がそれぞれの部署にシフトしていく のかということについてお示ししたいと考えています。  16ページの真ん中の(3)施設・設備に関する計画ですが、各年度において、社会経済 情勢等を踏まえ、必要性を個別に判断し、別途計画を策定することとしています。  15ページに戻りまして、目標設定の考え方です。職員の勤務条件や内部組織の編成に ついては法人の裁量に委ねられていることから定量的な目標を設定しておりませんが、 年度計画等において中期目標等の趣旨に沿って実施内容を明確にしたいと考えていま す。  評価の視点ですが、年度計画等の実施状況について評価をしていただく。また、人事 評価システムの構築に向けた検討や措置状況について評価の対象にしていただく。  16ページですが、(3)施設・整備に関する計画の目標設定の考え方として、施設整備 の改修等については、業務運営の規模や処遇面における取組み状況に合わせ、法人の自 主的な取組みによって行われることから定量的な目標を設定しないが、中期目標の趣旨 に沿った中期計画等に基づき、目標水準を明確に定めたいということです。  評価の視点としては、年度計画等の実施状況について評価をいただくこととしていま す。以上です。 ○岡田部会長  ありがとうございました。時間が迫っておりますが、御質問等がありましたらお願い します。よろしいでしょうか。それでは次に移らせていただきます。 (2)福祉医療機構の中期目標案等について ○岡田部会長  それでは次に、次回の部会において集中的に審議することとなる福祉医療機構の中期 計画案等について説明をお願いします。 ○村木福祉基盤課長  資料2−1「独立行政法人福祉医療機構の中期目標案の概要」と資料2−2「中期計 画案の概要」を使って説明させていただきます。資料2−3に福祉医療機構の現在の段 階における中期目標、中期計画について詳しいものをお付けしていますが、細かいとこ ろが詰めきれてないところがたくさんありますので、次回までに詰めて次回にお出しし たいと思います。今日は大きな枠組みと重点になる業務について簡単に説明させていた だきたいと思います。  前回、福祉医療機構の業務をざっと御説明しましたが、5つの勘定、8つの事業とい うことで非常に細かくなりますので、独立行政法人の基本的な業務を中心にアウトライ ンを説明させていただきたいと思います。  資料2−1は行政で作る中期目標の案ですが、これを御覧いただきたいと思います。  1.中期目標の期間ですが、のぞみの園と同じで、本年10月から平成20年3月までの 4年半となっています。  2.この法人の一番大きな事業は福祉医療の基盤整備のための貸付事業ですが、これ についていくつかの目標を定めています。  (1)事業目標ですが、特別養護老人ホーム等社会福祉施設、病院・診療所等医療施設 等の整備を促進するため、施設整備の資金を事業者に貸付け、そのことによって医療・ 福祉の基盤整備に貢献するということが大きな事業の目的です。そういう意味で、国の 福祉・医療政策目的に沿った形の貸付業務の実現というところが大きな目標となりす。  福祉・医療政策の実現を大前提にしつつも、一方でコストについてはできるだけ節減 して、効率性の高い事業を進めていただく、これをこの事業の大目的として掲げてあり ます。  もう一つ大きな課題として、貸付事業の原資は財投からのお金をいただいて貸付けを していますが、いま財政投融資改革ということで財投の資金をだんだん縮小するという ことがいわれています。また、行政改革の中において、民間でできることは民間で、独 立行政法人の役割は民業補完という観点が必要だといわれておりますので、こうした観 点から民間資金の一層の活用について検討し、その導入を図っていく、これを一つ大き な目標として掲げています。  (2)業務の質の向上のための目標ですが、貸付けの件数や額を目標として掲げるのか というと、実際には福祉や医療の政策の中でどれだけの基盤整備が必要かという国の行 政のほうが主たる変数でして、事業団の貸付けはそれに対する従属変数のような形にな りますので、これは目標設定にはしないということです。  そこで、実際に借入申込から貸付内定までの平均所要期間の短縮とか、そういった形 でサービスの向上を図っていくことを考えたいと思っています。  (3)貸付業務にとって一番大きな課題は財務内容が安定していることだろうというこ とで、財務内容の改善についていくつか目標を立てたいと考えています。  ア.リスク管理債権の増加の抑制です。こういった経済情勢ですのでリスク管理債権 が増えてきますが、中期計画の期間が終わった際の最終年度に、トレンドでリスク管理 債権が増えていく、そのトレンドよりは少し努力をして、それを下回るような数値目標 の設定ができればということで、延滞先債権と破綻先債権の合計額の比率を1.5%程度 という数値の目標を設定できればと考えています。  イ.財投が減っていく中で、長期の貸付けですので、財投以外の自己資金調達は難し いところもありますが、これに関しても努力をするということで、財投機関債の発行に ついて今よりは増額をしていくという形で目標設定をしたいと考えています。  ウ.ALM管理ということで、貸付原資の借入期間と貸付金の貸付期間との乖離を抑 制することで金利変動のリスクの発生を抑える手法をとっていますので、これの徹底と いうことを掲げたいと思っています。  3.長寿・子育て・障害者基金事業の目標ですが、福祉・医療の基盤整備という観点 で考えますと、この法人の業務の中で、これから大事になる業務がこの3つであると思 います。  税金や社会保険で国が行っていく福祉の事業だけではなくて、NPO等々を中心とし た民間の福祉サービスが発展していくことが福祉の基盤整備にとって大事なことです。 この基金は2,800億ほどございます。  基金が積まれました趣旨は(1)事業目標に書いてありますが、民間の創意工夫を活か したきめ細かな高齢者及び障害者に対する在宅福祉事業、子供が健全に育っていくため の子育て支援の事業、障害者のスポーツ振興の事業、こういった目的で資金が積まれて いますので、この基金を活用して地域で民間が自主的に行う福祉活動の活性化に向けて の助成金の支給業務を大きな柱として実施していくということです。  (2)サービスの質の向上については、これは基金の運用益を使っておりますので、助 成金の額を増やすとか件数をどんどん増やすという形の目標設定ができません。今年は 運用益が46億円ほどありますが、運用益の範囲内で、業務の処理のスピード化をするこ とと、もう一つは助成の内容を厳選していくという形でやっていく、こういう目標を立 てていきたいと思っています。  4.その他の事業の目標  機構が行う事業としては、上記以外にも退職手当の共済事業、福祉医療に関する情報 サービスの提供事業など様々なものがありますが、サービスの量が増やせるものは量を 増やしていく、利用者の満足度を高められるものは満足度の設定をする、サービスの処 理期間を短くできるものは業務処理の迅速化ということで、それぞれに対して目標設定 をしていきたいと思います。これは次回に細かく御説明させていただきたいと思いま す。  そういった形で事業の質の向上を図っていく一方で、最後の5.業務の効率化のため の目標ということで、全体のコストの削減については、のぞみの園と同じですが、中期 目標期間の最終の事業年度において、平成14年度と比べて13%程度のコストダウンを目 標にしたいと思っています。これは人件費など全部を含んでの13%のコストダウンとい うことです。  資料2−2は、独立行政法人の中期計画案です。目標に沿ったものになっております ので、ざっと御説明いたします。  1.福祉医療分野に対する融資業務の具体的な計画です。  国の政策と密接に連携し、国の様々な福祉プランに沿って融資を行うこと。一方でコ スト削減を図り、利差損が発生しないような形でやっていくという目標を掲げる。  できるだけ民間資金の活用をするということで、導入のための仕組みを検討し、順次 導入をしていく。  貸付けについては審査期間等を短縮して業務のスピード化を図ってサービスの質の向 上を図る。リスク管理をしっかりやる。  財投機関債の発行については、年間発行総額を平成15年度対比で1.5倍以上と目標制 定し、市場からの資金調達を積極的に実施する。  貸付業務は債権回収ができるかどうかが大事になりますので、機構のもう一つの機能 である経営指導事業を充実させる。セミナーの受講者を増やすとか、受講者の満足度を 高めるとか、個別の経営指導についても所要日数を短くするとか件数を増やすといった 形の目標設定をしていただいています。  2.もう一つの大きな柱として御説明しました基金について次のページに6つほど具 体的な目標設定を書いています。6つに共通するのは、助成金のばらまきにならないよ うにということが大きな考え方として設定されています。  1)その時々の国の政策等に合わせた重点分野を設定して、その重点分野に沿った形 で助成をする。  2)地域に密着したNPO法人等の独創的・先駆的な活動に7割以上のお金を割いて いこうという考え方。  3)お金を助成した時はよかったんだけど、そのNPO法人がいつのまにかなくなっ ていたということにならないように、きちんと事業が継続できるところを選んで、あと でフォローした時に8割以上の法人が事業が継続できているという目標。  4)一つの法人に助成金を出しても、それが波及効果があるように、よかった取組み についてPRをしていくという具体的な目標設定。  5)基金を運用していますので、基金を安全に安全に運用していくという目標。  6)民間のNPO等々を助成する団体としてはこの法人は大きな法人ですが、この法 人のほかにも日本財団とか自転車振興会とかオートレースの団体とかサポートしていく ところがたくさんあります。どこも利子で基金を捻出していますので、これから厳しい 状況になりますので、こうった団体同士の連携を深めていって、全体で見た時に効率的 な助成ができるような形にしようという具体的な目標を立てていただいております。  3.法人全体での共通の取組みとしては、国が掲げた13%のコストダウンに取り組ん でいただくことと、そのほかの業務のついても業務の迅速化を図っていただく。業務改 善の一つの目安になるということで、ISO9001の認証取得も具体的な目標として掲げ ています。  以上、はしょりましたが、このようなことで検討を進めているところでございます。 ○岡田部会長  ありがとうございました。内容的な審議は次回にさせていただきますが、ただいまの 御説明そのものに対する御質問はございませんでしょうか。よろしいですか。  それでは、時間も過ぎましたので、本日の会議はこれで終了させていただきます。 3.閉会 ○岡田部会長  次回の予定について再度事務局から説明してください。 ○大塚補佐  次回ですが、本日、委員の皆様方には開催通知を発送したいと思います。9月5日・ 金曜日、午前10時から12時まで、今度は厚生労働省の17階の第21会議室で開催させてい ただきたいと思います。議題は、福祉医療機構の中期目標案、中期計画案について御審 議をいただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○岡田部会長  それでは、本日は以上とさせていただきます。長時間にわたり、ありがとうございま した。次回もよろしくお願いいたします。                                      以上 照会先:政策統括官付政策評価官室 政策評価第二係 電話 :03-5253-1111(内線7780)