03/08/26 障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会(第6回)議事録         障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会                   (第6回)           日時:平成15年8月26日(火)14:05〜17:00           場所:厚生労働省18階専用第22会議室  江草座長  それではただいまから第6回の障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会 を開催させていただきたいと思います。皆様、大変お忙しく、また暑い中をお集まりい ただきましてありがとうございました。それでは事務局から本日の委員の出欠状況、進 め方、資料などについて御説明をいただきたいと思います。  高原課長  本日は有留委員、竹中委員、森貞述委員、渡辺委員が御欠席でございます。また高橋 委員は30分ほど遅れてお見えになる予定でございます。  次に傍聴の関係ですが、今回は傍聴の御希望をいただいた方全員に幸い会議室に入っ ていただいておりますことを御報告申し上げます。  本日の進め方でございますが、議事次第を御覧いただきたいと思います。議題の1と いたしまして、関係者からお話を聞かせていただくということで、今日は海外の動向に ついてでございます。順番はアメリカ、スウェーデン、イギリス、ドイツという順番 で、それぞれの先生方からお話を25分程度聞かせていただいて、質疑応答の時間を若干 取らせていただきたいと考えております。その次に議題の2といたしまして、検討会の 9月以降の進め方につきまして事務局から考え方を御説明して御議論をいただきたいと 考えております。  次にお手元にお配りしている資料ですが、資料1〜4までが今日お話をいただく先生 方から御提出いただいた資料でございます。あとは加えましてこの冊子が河東田先生か らの資料としていただいております。資料5につきましては9月以降の進め方について の事務局からの提出資料です。また中西委員から資料の御提供をいただいておりますの で、お配りをしております。以上、資料の不足等がございましたら事務局の方にお申し 付けをいただきたいと思います。  中西委員  こういう議事のペーパーなんかを事前に配っていただかないと、知的障害者もおりま すし、我々も頭に入らないものですから、今日当日手渡しという形で、この頃はずっと そうなので、できるだけ1週間前に関係書類をお送りいただきたいと思います。よろし くお願いします。  高原課長  私どももできるだけ事前にお手元に届くように心がけておるつもりでございます。時 間的な制約などで当日となってしまいましたが、今後できるだけ事前にお配りするよう に事務局としては努力していきたいと思いますので、各委員の先生方におかれましても 御協力をいただければと思います。  それから申し遅れましたが、私は今日国立コロニーの独立行政法人化の在り方を検討 する審議会とぶつかってしまったものですから、3時前から1時間強中座をさせていた だくことをお許しをいただきたいと思います。以上でございます。  江草座長  ありがとうございました。それではこれから関係者の方々からのヒアリングを始めた いと思います。お手元にあります資料にしたがってお話が進むと思いますので、よろし くお願いいたします。まずアメリカに関しましては、末光茂・社会福祉法人旭川荘副理 事長・川崎医療福祉大学(大学院)教授からお願いをいたしたいと思います。  末光氏  お手元に資料1を配布いただいております。限られた時間ですのでスライドを用意し てきたわけですが、御出席の方を拝見して、よかったのかどうかやや不安ではあります が、不十分な部分は資料1に全てこれからのスライドはコピーをしていただいておりま すので、後ほど御覧いただけたらと考えております。  今回私に与えられました課題にそって、いわゆる「脱施設化」と「地域生活支援」に 関する動向、それもアメリカを中心にお話をさせていただきます。しかし私自身、この 方面の全てを網羅できる立場にもありませんし、限られた時間でもありますので、いく つかの側面についての検証として受け止めてくだされば幸いです。(Slide1 以下「S. 1」と略す)  「脱施設化と地域生活」という本の表紙をコピーいただいております。この本の第3 章と第7章のコピーを、第1回のこの検討会で配布いただいたと伺っております。これ は中園康夫元四国学院学長と御一緒に私が監訳をいたしましたので、これを中心にお話 をするのがいいのかと考えております。(S.2))  この3枚目のスライドですが、この本の特徴を列挙してみました。副題にありますよ うに、北欧とイギリス、そしてアメリカでのこの方面での取組の歴史と現状を、1996年 時点で比較してまとめたものであります。それぞれの国の先駆的・リーダー的なものの 報告であり、それがその国の全てでも平均でもございません。(S.3)  例えば北欧四カ国だけを取り上げてもこんなに違いがあります。1つの国で440万人 から、885万人の国で、いずれも日本と比べますと小さな国といっていいのではないか と考えます。その中でもスウェーデン、ノルウェーのように既に知的障害入所施設をな くしてケアができている国と、一方では一部限定利用施設を残しているデンマーク、そ して大規模入所施設の新設にやっとストップがかかったフィンランドといったように大 きな違いがございます。(S.4))  5番目のスライドです。イギリスも1つの国ですが、その中に4つの国があるといっ てもいいぐらいに地域格差があるようです。地域生活支援の面ではウェールズ、イング ランド、スコットランド、アイルランドの順に、積極的な取組が進められているやに 伺っております。(S.5)  6枚目のスライドです。いよいよアメリカですが、アメリカ合衆国になりますと、大 国であり、合衆国なるがゆえの特徴と問題を抱えております。人口は2億8,000万人で 日本の約2倍、国土は937万キロ平米で日本の25倍あります。つまり人口密度は日本の 12分の1ということになります。また50州と1特別区で構成されており、連邦政府とし ての国の統一的な役割の一方で、州ごとの独立性は日本の都道府県に比べると格段に大 きく、そのことは地域移行と地域生活に関わる実態にも大きな格差をもたらしておりま す。(S.6)  7枚目のスライドです。障害を持つ人々に対する制度、政策につきましては、まず 1964年の「公民権法」、1973年の「リハビリテーション法」、1975年の「発達障害援助 ・権利法」や、1978年の「包括的リハビリテーション法」、(「発達障害法」とも言っ ておるようですが)などを経て1990年の「障害を持つアメリカ人法」として実を結び、 世界的にその人権尊重の思想が高く評価されております。また身体障害を持つ方々の、 「自立生活、Independent Living(IL)運動」は、支援を受けながらの社会生活、 社会参加の重要性が広く認知される上で画期的な役割を果たされました。(S.7)  8枚目のスライドです。今回は主として知的障害分野に焦点をあてて、施設ケアから 地域生活移行の歴史と現状、そして課題等について報告させていただくわけですが、こ れは朝日新聞の昨年の12月25日だったと記憶しておりますが、その「暮らし欄」の 記事に用いられた図表であります。先程の「脱施設化と地域生活」に取り上げられた図 表の中から、アメリカとスウェーデンを抜き出し、それに日本の推移を加えた図でし て、これは愛知県コロニーの渡辺先生が中心に作成したものを引用しておられます。も ともとはもっと他にイギリスとかいろいろあったのですが、その中の一部を抜き出して おります。その上に、アメリカにつきましては、公立の知的障害入所施設しかこれには 挙げておりません。(S.8)  そこで私の方ではさらに過去に遡って比較してみました。もともとはノルウェーとか イギリスもありましたので、ノルウェーを加えて1950年まで遡ったものがこの図でござ います。アメリカにつきましては、公立施設以外に民間施設もありますが、これは年度 によって変動がありますので、大体トータルとして1.5倍はあったということで、この 上の方に全施設の推計として挙げております。  アメリカでは統計が十分ありませんので、1.5倍に上乗せしたものを含めて、振り返 って見ますと、いずれもピークがスウェーデンの人口1,000人あたり1.8人分の入所施 設、アメリカでは少なくとも1.5人分ぐらいになってから、いわゆる減少、縮小に向っ ております。ノルウェーにつきましては1.3人ぐらいから一時下がり、また上がってか ら、再び急速に減少に向かっています。ノルウェーはスウェーデンを後追いするような 形で入所施設を整備し、次いでスウェーデンより遅れて脱施設化、施設の縮小を始めて おりますが、スウェーデンよりも数年早くそれを完了いたしております。  日本はこれでございます。ここだけを見ますと、「逆行」というような受け取り方を するわけですが、これを長い時間的なスパンで見ますと、「後追い」といえます。いま 人口1,000人あたり1.0人分の入所施設ですので、これからが我々日本にとってはいわゆ る正念場、大きな節目ではないかと考えております。これは私の考えでございます。 (S.9)  これはノーマライゼーション理念の理論的リーダーの一人、ウォルフェンスベルガー 教授が州立の知的障害入所施設の問題を告発したスライド集の1枚です。このように広 大な荒れ地の中にポツンと知的障害入所施設が建っております。それらは一施設1,000 人から最大約5,000人、平均2,000人以上という超マンモス施設でありました。(S.10)  これは欧米の知的障害施設と日本の知的障害施設の特色でして、違いはいろいろある わけですが、三つほど挙げてみました。まず一つはケアの主体が欧米では医師と看護師 が中心であり、いわゆる医療的ケアに限局していたわけであります。日本の知的障害施 設は主として保育士、指導員の手による生活支援中心のケアであったし、現在もそうい う状況にあります。そういう意味で全く異なった役割を結果として果たしていたといっ てもよいのではないかと考えます。規模のことはまあとで述べさせていただきます。 (S.11)  これはアメリカの施設、州立施設ですが、「煉獄のクリスマス」という写真集に取り 上げられた施設です。そこでの処遇の問題が出版されることによって、国民に広く周知 されることになり、州立施設の縮小、閉鎖が各方面で進む契機となっております。その 当時は法律に規定された職員数がきちんと配置されていなかったためもあって、その処 遇の劣悪さが大きな問題になっていたようであります。(S.12)  欧米の入所施設の規模をいくつか取り上げてみました。一番上はノルウェーですが、 地域ごとの拠点施設であった、いわゆる「中央施設」の平均が228人、その他の施設の 平均が25人。スウェーデンはその「中央施設」とかその他の施設全てをならした全施設 の平均が80人。デンマークの「中央施設」の平均が483人であります。これが北欧のそ れぞれの数字であります。  アメリカの、それもニューヨークを取り上げてみますと、州立の先程の1,000人とか 2,000人という州立施設に、民間の小さな施設も加えて全部を平均しますと、一施設平 均1,200人でありました。(S.13)  それに対して我が国の知的障害入所施設はどうなのか、定員規模別の分布を示してお ります。これを御覧いただきますと、50人から59人が最も多く、次いで60人から99人で す。これはかつてのノルウェーとスウェーデンの中間ぐらいに日本の全体像は位置づけ られるのではないかと考えます。右端に200人以上の知的障害入所施設のパーセンテー ジがあげられておりますが、それは1%程度であります。まして400人以上の施設は我 が国では例外中の例外といってよい。(S.14)  なお、「脱施設化」の進んでいるアメリカの州についてですが、全ての州で平均的に いっているわけではありません。人口61万人のヴァーモンド州から、人口182万人の ニューメキシコ州まで、ほとんどが人口100万人前後の小規模州で、「脱施設化」が具 体化しているといってよいと思います。そのような中で例外なのが人口規模の最も大き いニューヨーク州での取組であります。(S.15)  ニューヨーク州の州立施設「ウィローブルック」、これは当時のアメリカ全州で一番 規模の大きい州立施設で、最大時には一施設で実に4,727人の入所者を抱えておりまし た。その跡地を私は数年前に訪問いたしましたが、100メートルにも及ぶ長さの平屋の 居住棟に、このような3列のベッドがズラッと並んでいたように伺っております。  ニューヨーク州の「脱施設化」の詳細につきましては、先程の「脱施設化と地域生活 」の第3章に紹介されておりますし、この検討委員会の第1回目に委員のお一人から若 干のコメントがあったやにもれ伺っております。その内容をかいつまんでここで御紹介 し、その後の状況についても補足説明をさせていただけたらと考えております。 (S.16)  カステラニィという人がこの3章にその詳細を報告しておりますが、この「ウィロー ブルック」の施設閉鎖に始まり、逐次ニューヨーク州での州立施設の閉鎖が、ある程度 順調に進んだ経緯と理由、そして課題を分析して報告しておられます。  まず結論として述べておりますのが、「脱施設化=施設閉鎖ではない」という主張で あります。「まず施設閉鎖ありき」でなく、地域生活の受け皿づくり,そこへの移行の 結果として施設閉鎖がもたらされたということであります。  そして「施設」は過去の遺物ではなくて、機構そして政治的・経済的に大きな存在で あり、「脱施設化」の全過程で非常に大きな力を発揮したし、サービス体制の拡大や再 構築が政策主導でなされうることを示したとあります。(S.17)  さらに州内の全施設の閉鎖を同時並行的に行おうとしたわけではなくて、一つの施設 での地域移行と施設閉鎖を実現し、ついで別の施設へといった形で順次進めていく、そ の積み重ねであったと述べておられます。  そして何よりも最初の「ウィローブルック」での成功が他の施設の取組に安心と自信 と経験をもたらしたと述べております。  それに加えて州の最高責任者、つまり州知事にあたると思いますが、その人の方針決 定の不動性、それを実施する実施責任者、つまり「精神遅滞・発達障害局」の柔軟かつ 一貫した取組を進めた力量と経験、そして現場責任者、議会、職員組合、さらには市民 の理解と協力があったればこそとも述べております。  さらに従来の入所施設関係者のサポートと、特に保健医療サービスの確保なしには成 功しなかったと指摘しております。(S.18)  また同じニューヨーク州内でも、州北部の田園地帯ではグループホームや地域プログ ラムを住民が歓迎し、州主導で作業が進んだのに対して、ニューヨーク市を中心とする 南部の都市部では、この方面への関心が薄く、反対運動が起きると複雑化し、それに対 応できる政治的影響力も弱いため、民間主導で進めざるを得なかったと、具体的な取組 の違いと理由、そしてそれへの対応上の工夫についても紹介しております。(S.19)  より具体的には、地域内の新たな小規模施設建設への反対運動、居住者つまりここで は知的障害を持つ御利用の方々ですが、その方々の移転に親の理解を得ることの難し さ、州立施設職員の転職先の確保、そして地域生活をする障害者のための保健・医療サ ービス体制を確保するために、「精神遅滞・発達障害局」が独自の「ミニ病院」を直営 する必要もあったし、施設の跡地の活用法と地元への経済的ダメージを与えないための 財政出動の工夫等がつくされたと紹介されています。(S.20)  アメリカの医療制度については、日本のように「国民皆保険」でないため、勤務先か 個人が加入する医療保険によりその給付内容は大きく異なり、格差を生じております。  さらに医療保険に加入していない人が人口の約15%に及ぶやに伺っております。その 方々に対する公の支援はメディケア、メディケイド、あるいはマネージドケア等々、ア メリカ独自の大変複雑な制度に依存しているようであります。この方面につきましては 委員の方の中にお詳しい方がおられますので、ここでは省略させていただきます。  いずれにしてもそのサービス内容は、日本のように「いつでも、どこでも、誰でも、 平等に」といったものではなくて、かなり厳しい現実があるといわれております。その ためにニューヨーク州では独自の対応、つまり専門の「ミニ病院」の新設が余儀なくさ れたものと考えております。  さらに地域移行に対して、その受け皿としてのグループホーム整備とともに、家族の 代りをする「フォスターファミリー」というアメリカ独自の受け皿があったことも重要 な意味を持つと考えます。(S.21)  次に「グループホーム」への移行についてでありますが、日本のグループホームは大 体4人から6人規模でありますが、アメリカのそれは6人以下のものとともに7人から 15人前後のものがほぼ同数を占めております。やや大ぶりの「グループホーム」と言っ てよいかもしれませんし、日本型の小規模施設に近い、いわゆる「ミニ施設」といって もよい状態にある、そのようなところでの問題点も指摘されております。(S.22)  「グループホーム」のケアについてはこのあと御報告があるかと思いますが、イギリ スでは入所施設よりもサービスが低下しているところもあると、フェルシュ(Felce)教 授は指摘しております。ノルウェーでもグループホームの約半数が人里離れた元々の施 設の敷地内か、その隣接地にとどまっているために、必ずしも地域生活に溶け込めてい ない。一方、住宅地にあるグループホームでもNIMBY現象、Not in My Back Yard、 「私の裏庭に来ないで欲しい」という差別意識を克服できていないと問題点を指摘して おります。  これはノルウェーでの利用者と職員の対比の年次推移です。かつての利用者2.5人に 職員1人だったところから、40年かけて利用者1人に対して職員1.8人体制にまで充実 しており、日本の約5〜6倍の配置であります。  アメリカの入所施設ではこのノルウェーより少し良くて、利用者1人に職員2.23人体 制であります。入所施設とそれほど違わない職員配置をしていると考えますと、そのグ ループホームでのケアについては、いいケアをしていただいているはずですが、それで も職員の側の問題があるやに伺っております。  つまり、1年間でスタッフの半数が入れ替わり、ケアの質が十分確保できないと問題 視されております。これは北欧でもアメリカでも同じです。(S.23)  アメリカではいまそのグループホームでの「不審死」が社会問題になっております。 ここにはコネチカット州を挙げておりますが、経済的にも比較的豊かで、障害者分野の 予算の配分、さらには入所ケアから地域移行に向けた財政支出の比重のかけ方の面で も、全州で5位から9位とトップクラスの州であります。  地域サービスの費用は全国平均の1.5倍以上かけています。そのコネチカット州のグ ループホームで「不審死」が多発していると、地元の新聞紙に取り上げられ、大きな社 会問題になっているわけであります。(S.24)  これは過去10年間に「不審死」として問題になっている36例の主な死亡原因ですが、 窒息、肺炎、いろんな事故等々で占められております。その背景に先程来述べておりま す「グループホーム」の世話人の量と質の問題があると指摘されております。(S.25)  改めて2000年時点でのサービス受給内容の分布を全国レベル、アメリカ全州で見ます とこのようになっております。1人から6人、つまり1人で独立した生活をしておられ る、あるいは家族と一緒、あるいは先程の家族の代理機能を果たすフォスターファミリ ーとの生活、あるいは6人以下の小規模のグループホームの方々です。その方々が約6 割、61%で最も多くなっております。ついで公立入所施設の11%、民間の入所施設と ナーシングホームがともに8%づつ、7〜15人のやや大ぶりのグループホームが7%、 7〜15人の中間施設が5%となっております。(S.26)  なおアメリカ全州での入所ケアと地域サービスに支出している財政支出額の推移を見 ますと、たしかに「地域サービス」の費用はこのように右肩上がりで上昇しておりま す。しかし入所施設の費用はこのように1970年代から一時期増え、そこからやや下がっ ておりますが、ほとんどその時代と変わっていない、大きな落ち込みがない点も注目さ れます。(S.27)  改めて「脱施設化」は各国、そして各地の歴史、文化、経済、政治、そして国民の理 解等々の諸条件を背景とした課題への対応を総合的に積み重ねる必要があり、ただ単に 入所施設を縮小しグループホームを用意しさえすればいいといった問題ではないように 受け止められます。(S.28)  「脱施設化と地域生活」の本では、1996年時点の状況を報告していますが、その後ど うなっているかであります。  ニューヨーク州では2000年までに全ての州立施設を閉鎖する計画でしたが、残念なが らまだ州立施設が残っているようです。  また当時閉鎖が決定していたはずのテネシー州のアーリントン発達センターは連邦政 府の閉鎖方針と州議会の存続決定のどちらが有効なのか、裁判で係争中と聞いておりま す。  他にも州知事の交代、施設所在地の自治体の反対運動の活発化などにより、閉鎖がス トップしているところが何カ所もあります。それには経済的理由と雇用問題が大きく関 与しているといわれております。(S.29)  グループホームやフォスターファミリーとの地域生活をしている人たちへの支援の考 え方ですが、このように(1)施設やプログラム優先でなく個人を基本としながら、(2)柔 軟性のある支援サービスを創造する、(3)そして個人の選択に委ねる、(4)その際地域と のつながりを強化し、(5)住まいの部分と支援やサービスの分離をはかる、といった基 本に基づいており、その実際は先程の「脱施設化と地域生活」の第7章に紹介されてお りますので、ここでは省略させていただきます。(S.30)  ノーマライゼーション理念の具体化の一環としての「脱施設化」も施設入所か、地域 生活かという二者択一でなく、本人が選択できるサービス・メニューが十分に用意さ れ、自己選択できる、そしてその際に障害を持つ人の生活の質、Quarity of Life (QOL)を「人中心のプラン」として提供する。さらにはどんなに重い障害を持つ人で も積極的な日々が送れるように支援する、「Active Support」の考えに根ざした取組こ そを目指しつつあると私は理解しております。(S.31)  いずれにしてもアメリカの「地域生活支援」について我が国で講演した際に、オブラ イエン氏は「真の『脱施設化と生活の質、QOLの豊かな地域生活』の願いは現在のと ころ、どの国でも『未完成』である。それに向けた歩みの遅さに苦しむ人と、一方では 破壊的なほど急激な変化だと受け止める人とが、同時に存在するのも現実だ」とコメン トしております。  本来の「本人本位」の地域生活実現に向け、着実な歩みが図られますよう期待し、私 の報告を終ります。以上です。ありがとうございました。(S.32)  江草座長  ありがとうございました。ただいま末光教授からアメリカの事情について御説明をい ただいたわけでありますが、ただいまの御意見の発表について御質問御意見がありまし たら、どうぞどなたからでも。いかがでしょうか。  中西委員  施設の解体していく過程で政治がイニシアチブをとることをおっしゃった、それから 親と施設の職員の説得が難しいんだという話をされた、そこのところを具体的にどうい うふうにニューヨーク州は進めたか、もう少し細かく話していただくといいかと思いま す。  末光氏  ニューヨーク州だけではなくて、どの国でも同じ問題を抱えておりまして、この「脱 施設化と地域生活」の本では、イギリスとノルウェーの様子が一番参考になるんじゃな いかと思っております。そこにありますのは、一口で言いますと、例えばある施設のあ るお子さんを、「ぜひお子さんのためにはグループホームがいいよ」という形で御家族 に提案しますと、御家族が一番に言われたことは、「この子をいま施設に預かってもら っているからこそ、我が家庭は安心して暮らしておれるんだ。それをなぜ破壊するのか 」という声が一番に多かった。  その際にどの国でもどの施設の取組でもやったのは、「まずやってみましょう。やっ てダメだったら、もう一回もとに帰れる道が、Uターンの道がありますよ」ということ で、まず試してみましょうということでやられたようです。そしてその結果は、全員で はないのですが、ほとんど95%の人はやはりやって良かった。なかに1人か2人、僅か 数%の人はやはり施設で続けてもらった方がいいという方がおられるようであります。 最初にほとんどの方が、それも強い拒絶反応があった姿とは違う姿がそこにあると言わ れております。  その意味では、やはり御家族の理解はなかなか大変だった。ということは多分入所さ れる前のご家庭での生活の大変さが、頭から消えないのではないかという感じを私は受 けております。これはどの国でも共通だということが報告されております。  中西委員  結局、在宅へ行く時に、在宅のサービスで充実してないと、施設から出るのは怖いわ けですよね。それをやっぱり行政もあなたの子どもの命は完全に守りますという保証か 何かを与えたんですかね。そのサービスをきちんと地域に整備した上でということです か。  末光氏  そう思います。それに、ニューヨーク州の場合にはそのあたりを州政府がしっかり保 証する。具体的に日本にもよく来られますジャニッキ氏(Janicki)、いまニューヨー ク州の大学教授をしておりますが、この方が現場の交渉の窓口といいますか、責任者を しておられましたが、この方がそういう点での信用を得ておられたということがあるわ けです。やはり行政の責任者、州知事、それからいわゆるここでいいますと「精神遅滞 ・発達障害局」の局長さん、そしてもう一つ現場とのパイプ役のジャニッキさんのよう な人がおられたことが大きいんじゃないかという気がいたします。  江草座長  ありがとうございました。それではまだまだあると思いますが、次にスウェーデンで どのように進まれておるかということを河東田博立教大学コミュニティ福祉学部教授か ら御説明をいただきたいと思います。  河東田氏  お手元に報告書と報告書から抜粋をさせていただきましたレジュメがございますが、 その前にスウェーデンの社会福祉政策をある程度理解をしていただきたいなというふう に思いますので、まずそこから論を始めていきたいというふうに思います。  先程、末光さんからも報告がございましたように、私たちが海外から様々なものを学 ぼうとする時に、そのままストレートに学べない事情がたくさんございます。それはこ ちらにございますように、おそらくほぼ全ての習慣や文化やそれにまつわるものが我が 国と全く違う、ですから違ったものをその通り導入することはできない。ただその背後 にそれなりの歴史的なプロセスがあったり、そしてまたそれらを推進してきた立役者が いた、そしてまたそれらを報じたジャーナリストがあり、そしてまたそれらに基づいて 法制度をきちんと作り上げてきた、ただ、我々と同じ人間であり、人間社会がそうした 社会を作ってきたんだということをまずお互いに認識をしておきたいなというふうに思 います。  そしてまたそこで作られてきたスウェーデン福祉の歴史的な特徴や、そこにございま す考え方が当然ございますので、それらも押さえておかないといけないということでこ の画面を見ていただきますと、1967年にノーマライゼーションの考え方を盛り込んだ法 律が策定をされ、そして順次素晴らしい内容を伴ったものに改変がされていきます。つ まり法的具体化がきちんとなされて、そしてそのもとで政策が推進され、そして生活が 豊かになってきたという、そうした歴史的な経緯を見ることができるわけですが、それ 以前は、つまり1940年代50年代60年代の前半ぐらいまでは我が国と同じようなある種差 別的な考え方や法制度を持っていた、そうした事実も忘れてはならないのかなというふ うに思っております。  しかしながら一度立てられた理念、作り上げられてきた理念、やはりその中にはとて も素晴らしいものがございますので、そうしたものもあわせて見ておきたいというふう に思うわけですが、1982年に施行されたいわゆる総合立法の社会サービス法、これは現 在新たな法律となって改定されてきておりますが、とりあえず82年の考え方を見てまい りますと、国民の生活条件の平等というものが,考え方がまずこの法律の第1条に示さ れてきております。  実際はこの第1条の目的が、障害福祉年金その他の一般市民と同じような生活を送る ためのサービスを支えていくきっかけになってきているということを後ほどまた示させ ていただきたいというふうに思いますが、このような考え方がきちんと根底にあるとい うこと、そして地域社会に積極的に参加をしていくということ、そしてまた自己決定や プライバシーを尊重していくということがその中に盛り込まれているということでござ います。  そうした考え方のもとに、全ての人たち、ここでは児童や高齢者やハンディキャップ を持つ人、アルコール中毒患者云々というふうに書かれておりますが、そうした全ての 社会的な支援を必要とする人たちに提供されるようになった、その意味でこの法律は非 常に大きな意味をもっているというふうに思っております。  その背景にありましたのが、誰でもハンディキャップになるというハンディキャップ 思想であり、環境が悪ければ環境を作り替えていくという環境介入説、そして富のある ものはそうでないものに資産を分配していくという、資産の再分配という考え方が背後 にあったということを忘れてはならないし、そうした考え方をこの法律から学ぶことが できるとうことでございます。  それでハンディキャップ関係の法律を見ていきたいと思いますが、時間の関係もあり ますので、いま施行されております1993年に制定をされ、94年1月1日から施行されて おります一定の機能的なハンディキャップを持つ人々の援助とサービスに関する法律、 略称LSSというふうに我々は呼んでおりますが、その内容を見ていきますと、そのス ウェーデンの障害者福祉の考え方や実際にどのようなことが行われているのかというこ とがおわかりいただけるのではないかと思いますので、その紹介をさせていただきま す。  まず第一点目が、援護から権利の達成、これは非常に素晴らしい概念だと思います が、そうした概念をまず作りかえ、そして援助とサービスの内容に関わる新しい、しか も多様なサービスのメニューを示してきたということが言えると思います。それらは例 えばこのLSSの第9条というところを見ますと、例えばその第1項には重度で恒久的 な機能障害のある人々の諸問題や生活条件に関して特別な知識を必要とする際の助言や 人的な援助が必要だ、提供しよう。  それから二つ目に、パーソナルアシスタントによる援助、または同様の援助を受ける ために適正な経費でアシスタンス保障法によりその保障を行っていくということ、つま り経済的な援助または直接給付といわれるようなものを行っていこうということが書い てございますし、ガイドヘルプサービス、コンタクトパーソンによる援助、それからレ スパイトサービス、ショートステイ、それから短期学童保育、それからファミリーホー ムや特別サービス住宅での居住、そしてまた日中活動の充実といったものが、実は法律 の中に具体的に示されているんですね。そしてまた居住に関連しましては、余暇活動や 文化活動をもあわせて提供していこうということがこの法律に具体的に記されていると いう点で、このLSSの果たした役割はとても大きいというふうに言われております。  それからこれは御存知のように、全ての障害を持っている人たちに適用されているわ けですが、合わせましてこの法律の中で特別病院や入所施設の閉鎖計画を具体的にする とともに、1998年12月末までに施設を全面的に閉鎖をするようにという決定が示されて いるというところに大きな他の国々の持っている法律との違いがあるのではないかとい うふうに思っております。その決定に基づきまして1997年には特別病院、入所施設解体 法という法律まで策定をしております。  それから先程申し上げたパーソナルアシスタント制度の導入に関しましては、これは いわゆる能力の高い身体に障害をもっておられる方々だけではなくて、知的なハンディ を持つ方々、またはいわゆる重症心身障害というふうにいわれている方々にも広く適用 がなされまして、特に重心の方々はストックホルムから始まりました30名程度の組織、 略称ヤーグというふうに言っておりますが、その組織も全国に波及をいたしまして、全 国で重身の方たちが地域で暮らしていけるような、いわゆる直接給付を受けて地域で暮 らしていくための方策にまで発展をしてきているということをぜひ御承知おきいただき たいと思います。  それからハンディキャップオンブズマン法というものもあわせて作っていきました。 これは社会的な差別が起こった際に、国が指定をした特別な機関が調査に乗り出して、 そして調整を行って具体的な対応を示していく。これは実は一昨年私どもがスウェーデ ンのイエテボリに滞在をしている時に起こった出来事がございまして、ここに提訴をい たしましたところ、実は先日我々の全面勝訴という形で返ってまいりました。これは日 本から来られた車椅子の方々を実はその時電車に乗せないで排除してしまった、そのこ とに対する我々の提訴だったわけなんですが、そうしたことに対しても全面的に対応し てくださったということがございます。  そして日中活動の在り方も多様に変化をしてまいりました。例えば地方自治体立のデ イセンターなどが多様にございますが、当事者が代表となり、中西さんの資料でいいま すと当事者代表制といわれるような取組をしている知的な障害を持つ団体もいくつか出 てまいりまして、その主要なグループが協同組合方式をとっているわけですが、知的な 障害を持っていても組織の代表となって、その組織を切り回していくような、そういう 日中活動の組織体が生まれてきているという、そんな相互の発展もこの法律によって出 てきているということを御承知おきいただきたいと思います。  さて、次の資料にまいりますが、スウェーデンでは1986年の法律、そして先程申し上 げました94年のLSSの施行によりまして大幅に、特に知的障害者の入所施設が激減を してまいりまして、1999年12月末の段階でほぼ施設がなくなってしまうということが起 こってまいりました。  この統計を見ていただきたいのですが、2000年1月1日に実はまだ86名ほどの方々が 施設に入所しているという報告が社会庁から示されております。ところが2000年1月1 日以降の統計からは、実はほとんど何もなくなっている。つまり入所施設という項目が 削除されまして、そしてその他の項目に置き換えられている。ですから実態はまだ実は あるんですが、グループホームなどに進んでいるという形で統計上は処理をされ、そし て表向きは施設が全くなくなったという、そのようなことでこの数値を見ていただけれ ばなというふうに思います。  その際、なぜスウェーデンがこのように入所施設をなくしてきたのかということなん ですが、これも皆様のお手元の資料にございますように、様々な理由が示されておりま す。一言で申し上げますと、入所施設は当事者主体になり得ない構造的な問題を抱えて いるからなんだということだろうと思います。その構造的な問題を何らかの形で解消し ていくためには、これも限界はございますが、できるだけ小さい形にする、集中管理が できないような形にしていくという、そうした形態に切り換えていった、それが大きな 理由になっているのではないかなというふうに思っております。ですから今日言われて おります自己決定や当事者主体ということを具体的にスウェーデン社会として考えてい きたい、そのような思いからこのような決定や対応になってきたのだろうというふうに 押さえることができると思います。  そうした形で多くの方たち、施設で暮らしていた方たちのほぼ全てが地域に移行して いったわけですが,通常私たちのグループホームでのイメージは、できれば個室、8畳 から10畳ぐらいあるといいなという、そういうイメージを持たれるだろうというふうに 思いますが、実は最近のスウェーデンのグループホームは非常に変わってきておりま す。これは皆様の科研報告書の21頁に図が出ておりますので、その図を見ていただきな がら推測をしていただきたいというふうに思うわけですが、大体一人当たり平均でグル ープホームに住んでいても40平方メートルぐらいの自分の空間を持てるようにしよう、 これも住宅法に記載されている一人一人の持つ権利から準用されてこのような内容に、 また取組になってきているということをぜひ御承知おきいただきたいというふうに思い ます。  そしてその具体的な内容は、広いスペースを持っているだけではなくて、ドアには表 札があって、台所や寝室や居間や浴室が一人で使えるようになっている。そして新しい タイプのものは一緒に玄関から入るのではなくて、一人一人の部屋に自分で部屋とは言 えませんね、家だと思いますが、家に自分のドアから入って、中で出会おうという、そ ういう取組、作られ方もしているということを新しいタイプのグループホームとしてぜ ひ御承知おきいただきたいと思います。  それでは残りの時間をこの3年間に実はスウェーデンだけではなくて、イギリスやド イツ、そしてこの日本で,つまり4カ国の知的なハンディキャップを持つ方々、そして 親御さんや職員の方々に直接面接をし、そして面接の中で収集をした資料の内容によっ て分析をしたものがその報告書に示されているわけですが、とりあえず今回はスウェー デンのものだけの報告をさせていただきたいというふうに思います。  スウェーデンの文献や聞き取り調査の中ではっきりわかってきたことは、ここにござ いますように、はじめから法律や制度があって施設をなくそうという取組が始まったわ けではなくて、様々な問題点の指摘があり、そしてその問題点を受ける中で御本人と向 き合って試行的な取組がまず始められた。その試行的な取組があって、その良さを見い だしながら新しいものを作り上げていく時のその良さをさらに受け止めていった、そん な取組の経緯が調べていけばいくほどよくわかってまいりました。そうした試行的な取 組の上で、実は法律や制度が作られ、そして不十分な部分にメスを入れていったという ことが出てまいります。  ただ、法律や制度ができたからといって、そのことがその通り進むわけではございま せんので、そうした意を受けながら各施設ではリーダーシップをもった施設長さんがそ れなりの説明をし、そして理解を得る中で国の方針にそって対応を行っていったという ことがわかってきております。  もちろんその中にはノーマライゼーションという考え方、そのわかりやすさが大いに 役に立ったということは申すまでもございませんし、先程の報告でもありましたよう に、生活の質を高めていくための実は様々な調査や研究がなされてきている、そうした ことが大きな支えになってきているし、それらをマスメディアが大きく取り上げて、多 くの人たち、社会の理解を得るような取組がなされていったということが事実としてご ざいます。 ところが当事者、いわゆる御本人やそして親御さんや、そこで働いている 職員の方々は当然のことですが、とても否定的、もしくは反対をされる方々が多かった というふうに伺っておりますし、私どもの調査でもそうしたことが裏付けられました。 解体の作業が進んでいくうちに本人たちの表情が変わり、本人たちの施設に戻りたくな いという思いや、そしてまたそこで幸せに暮らしている様子を見、表情豊かな彼らを見 て反対だった親御さんや職員の方々もそのことを理解をして受け止めていくようになっ たということが調査の結果わかってまいりました。  細かなことは今日は報告できませんので、次にその大まかな結果について報告をさせ ていただいて、とりあえず私の報告をおしまいにさせていただきたいと思いますが、こ のスクリーンにございますように、多くの対象となった御本人たちは、実はいくつかの 施設を転々としているということがわかってまいりました。そしてまた地域に移行した あとも、実は同じ居住をしている方々との関係がうまくなかったとか、日本でいいます と、世話人さんなどとの関係があまり良くなかったということなどもございまして、グ ループホームもいくつか変わっておられるという結果も出てきております。しかし施設 には戻りたくないというふうに先程申し述べましたように、施設時代のことを尋ねます と途端にトーンが変わってくるんですね。よい思い出がなかったということのしるしだ ったろうというふうに思いますが、そのようなことをほぼ全員の方々がここにいま申し 上げたような結果として伝えてくださいました。  それから地域移行に関しましても、実はもう1970年代の後半ぐらいからなされ始めて いるわけですが、ここにございますように、半強制的、つまり方針があり、施設長から そのように言われたのである種やむを得ず自分の思いとは別にということもあるんで しょうが、半強制的に地域に移行せざるを得なかったという表現をされる方もおられま した。つまり御本人や親御さんの意向を十分に聞かずに方針にそって移行していったと いう事実が判明いたしました。ただし、これらは1990年代の前半ぐらいまでで、反省を ふまえながら1990年代の後半ぐらいからはしっかり御本人の意向を聞き、親御さんの意 向を聞きながら地域移行に対応していったということが、これもはっきりインタビュー の中でとらえることができました。  したがってここにございますように、本人の意思をしっかり確認をしながら地域移行 をなされる必要性があるということ、時間もかかるかもしれませんが、情報提供や本人 支援の在り方をしっかり検討しながらこの地域移行ということを考えていく必要性があ るということ、そしてまた地域生活を安定をさせるためには、その支えるシステムをや はりきちんと作っていく、これはどちらが先かということはわかりませんが、やりなが らシステムを作っていくということもあるでしょうし、ある程度の経験をふまえながら システムを用意をして、そしてそれらを作っていく、また強化をしていくということが 必要になる場合もあろうかもしれません。  細かなことはぜひその資料で対応していただきたいというふうに思いますが、先程先 に述べますというふうに申し上げた収入の件ですが、社会サービス法やLSSに基づい た知的なハンディの持つ方たちの月々の平均収入がやはり大きな意味合いを持ってくる のではないかな、それは地域生活を考える上でということなんですが、ここにございま すように年金が約6,000クローナぐらい、そしてそこに住宅手当が加算をされて、デイ センターなどから受け取ることのできる、いわゆるお給料に匹敵する手当て、それらを 合わせますと9,984クローナという平均的な額を資料から見いだすことができました。  この額は実は一般市民の平均収入とほぼ同額なんですね。したがいまして社会サービ ス法に記載をされております一般市民と同等の生活を得る権利、最低限の生活ではなく て同等ですね、そうしたことがこうした具体的な平均収入とその資料から見いだすこと ができました。ただし、彼らも実は支出の面で約800クローナぐらいの税金をこの中か ら払っている、したがって全てを国から、または自治体からの補助金その他または年金 などで賄っているわけではなくて、住民としての責任も全うしていこうという、そんな 対応が見受けられます。  今まで申し上げたことをまとめてみますと、またこれからの取組の参考になるかなと 思ってこの図を用意いたしました。入所施設から地域に様々な形で出ております。ある 方はグループホーム、ある方はアパート、ある方は個人の住宅を持ちながら、それらを 地域生活支援センターで支えていってるわけなんですね。  ところが多くの御本人、知的なハンディを持つ方々にいろんな御意見を伺っていきま すと、実は様々な制約を抱えているということがわかってまいりました。つまり、なか なか地域に溶け込めない御本人たちがいる、そしてまた彼らをかつての施設職員、つま りあまり意識の変わらない施設職員が彼らを支えて、そしてそこからあまり地域住民と しての広がりを持っていない、そうした実態が出てまいりました。したがって地域生活 がミニ施設化をしてしまっている実態があるということなんですね。  したがって地域に出ても施設的な構造を温存をしたままで地域生活を送る、地域化が 行われているという実態が浮かび上がってまいりましたので、私たちは今後地域に様々 なメニューを用意するだけではなくて、地域でどうしたら一般市民としての生活ができ るのかな、そうしたことを考えながら、この地域移行、または脱施設化ということを考 えていかないといけないのだなということに気付かされました。ぜひこうしたことを念 頭に入れながら、各委員の皆様におかれましては、ぜひ今後の障害福祉の有り様、そし てまた今後の地域生活の展開をお願いしたいというふうに思っております。以上です。  江草座長  どうもありがとうございました。それでは河東田先生に御質問があります方はどう ぞ。  太田委員  パーソナルアシスタントシステムについて,身体障害だけではなくて、障害の重い重 症心身と呼ばれる人たちにも適用されて成功しているとのこと。それはどういうやり方 で成功して、それを受けているのは何人ぐらいの、あるいは何割ぐらいの方がいるんで しょうか。  河東田氏  今のご質問に的確に応えられるかどうかわかりませんが、一つはどんな方も地域で暮 らせるという考え方をスウェーデンという国は持ったということなんですね。したがっ てどんな人たちでも地域で暮らして行けるような支え方をあの国は社会的に考え始めた ということだというふうに二つ目に押さえておいていただきたいと思います。  そして三点目には、そのための方策をとにかく創意工夫の上用意をしていったという ふうに考えてよろしいかと思います。先程申し上げましたように、重症心身障害者とい うふうに言われている方々、ヤーグというふうに先程紹介させていただきましたが、そ の方々はおそらくここにおられます皆様は施設でしか暮らせないんだろうなというふう に思っておられる方がいらっしゃるかもしれません。しかしその方たちは何らかの形で 意思表示ができ、その意思表示を私たちがどういうふうに受け止めていくのか、そして 受け止めたものをどんなふうに活かしていったらいいのかということを考えながら、社 会的に考えていったということだろうというふうに思います。したがいまして、まず最 初にどんな方々も地域で私たちと一緒に暮らせるんだという考え方を私はぜひもって いっていただきたいというふうに思っております。そしてまたそのための工夫を社会的 に、そしてぜひ皆様方の間で考えていっていただきたいなというふうに思うんですが、 その点よろしくお願いしたいと思います。  谷口委員  二点ばかりお伺いしたいのですが、一つは、介護の問題なんですが、知的障害の方々 の介護、特に見守りとか指示とか、そういうふうな概念をスウェーデンではどういうふ うにとらえているのかというのが一つと、もう一つは、先程末光先生の時にもお話が出 たのですが、グループホームが小さな施設であるというような御発表がありましたが、 その辺は肯定的にとらえていいのか、あるいは否定的にとらえるべきなのか、また施設 という分には施設という規定が感覚的なものなのか、例えばどのようなコンセプトで施 設というような、その施設みたいなようなことを言うのかというところをお伺いできれ ばと思います。  河東田氏  ごめんなさい、私は一点目の内容がよくとらえられませんでしたので、またあとで補 足をお願いしたいのですが、例えば先程御覧いただいたこの冊子の21頁にございますモ デルを見ていただきますと、これは本当にその年代ごと、60年代、70年代、80年代、90 年代というふうに、実は年々変わってきているんですね。しかもこの新しいグループホ ームの在り方に関して、これは93年の提案ですが、これもだんだん実は変わってきてい るんです。他の新しい提案がどんどん出されてきているという意味ですね。それはおそ らく私たちの暮らしがどうありたいのかということときっと密接に絡んでいるからだろ うなというふうに思っているんですね。  したがいましてスウェーデンの人たちが自分たちの生活を障害をもってらっしゃる 方々に置き換えて、どうあって欲しいのかということを考えて、そのグループホームや 住まいの在り方を大きく変えようとしてきているんだなということがわかります。それ は地域での暮らしの有り様、そこでどんなものを用意をし、どんなものを付加していっ たらいいのかということにも全て関わってきております。  したがいまして例えばこのグループホームということに関しても、私はもしこの21頁 のようなモデルが示された場合には、やや薄らいでいくのかなというふうに思っており ますが、ただスウェーデンのグループホームの在り方を考えますと、あの国では3タイ プぐらいに区分けされておりますが、とりあえず彼らがグループホームと言っているの は24時間介護を必要とする方々の住まい、それが大体4人、それに対して基本は6人の 職員が関わる、障害が重くなればなるほどその度合いが増えていって、中には4人に対 して10人とか12人とかいった介護者が配置をされているグループホームも実はたくさん あるんです。 そうなっていきますと、もしかするとこれは本人中心のグループホーム の運営の仕方をしたとしても、職員がそれだけ大勢いるということは、職員の集団がそ こに作られていく可能性があるわけですので、これはもしかするとミニ施設化する可能 性がある、私はそのように実は見ています。もうすでにミニ施設化しているところもあ る。  ですから今後私たちが考えなければいけないのは、肯定的に受け止めながらも、本当 に一人一人のそこに住んでらっしゃる方々の思いを実現させるためには、どういうソフ トの面での支援が必要なのかということを考えていかないといけないなということだろ うと思うんですね。  先程、施設から地域に移ってもなかなか施設的な要素が抜けきれないというふうに申 し上げましたが、それはそんなところから、つまり我々がやはりいつも何かのお世話を しているという考え方を持っている限り、そこには当事者主導の取組やそれからグルー プホームが3人ぐらいに減ったとしても、おそらくそのような要素が残っていってしま う、ですから本当に真に自己決定とは何かということを、そこで暮らしている方々のこ とを思い浮かべながら考えていかないと、施設と同じような二の舞を踏んでしまうのか なというふうに思います。その意味で皆様方にぜひ質の深い討議をお願いをしたいなと いうふうに思っておるところなんです。  中西委員  河東田さんがいまおっしゃった当事者の意識中心のサービスというのをなぜスウェー デンができたのか、またそれをやる上で何が一番必要だったのかという意味では、僕は スウェーデンで一番考える時にパーソナルアシスタンス法、これがあって直接お金を障 害者本人に渡すということを大胆にやったわけですね。また、施設のサービスに対して 一番果てにあるのがやっぱり国がサービスを本人に直接お金を払って、本人がサービス を買ってもらおうという考え方ですよね。  このパーソナルアシスタンス法はたしかに自分自身でサービスを選んで、自分自身で 介助者を選び調整し、そして生活していくということを始めさせたわけですが、こうい うのは一番逆の側にあったというか、だからこそスウェーデンの福祉サービスが腐敗し ないでいられるというか、そこにあるんじゃないかと思うんですが、僕の資料の何もス ウェーデンのそういう関係の資料を出してあって、一番最後を見てもらうと介助者の満 足度と本人の満足度というので、自分自身でお金を払って生活を維持した時にどれほど 満足できるのかというので、非常に満足は88%、大体満足は12%というふうな、100% 満足度だし、働く人たちの満足度もすごく重要だと思うんですね。  その人たちがそういうふうにやると融通がきいて、サービス利用者のために働けると か、利用者との関係がすごく良くなったとか、官僚的でなくて直接利用者と交渉できる とか、提供したサービスが同じでも感謝される度合いが大きいとか、こういう利用者と そのサービス提供をする側が本当に喜び合えるという環境を築き合うことが重要だと 思っているんですが、その点河東田さん、何かコメントはありませんか。  河東田氏  全くその通りだと思います。いま中西委員がおっしゃられたパーソナルアシスタンス 法は、いわゆる日本で言われている身体障害者というふうに言われている方々だけでは なくて、知的なハンディを持つ方々にも、それから先程申し上げたヤーグに匹敵する重 症心身障害者というふうに言われている人たちにも広く行き渡って対応されているとい うことなんですね。  私はこの取組を一言で言うと、人間の尊厳を守るためのとっても重要な法律なんだな というふうに思っております。しかもこの制度を利用されている方々が15%、もう2割 近い方々が既存のサービスでは不満だということで利用しはじめているということを考 えますと、これからもっともっと日本でも追求をしていかなければいけないサービスの 内容であり、考え方なのではないかなというふうに思っております。  江草座長  ありがとうございました。河東田先生はこれで御退席になります。どうもありがとう ございました。それでは続きましてイギリスの事情につきまして、小川喜道神奈川工科 大学福祉システム工学科教授にお願いしたいと思います。  小川氏  御紹介いただきました小川です。1時間たちまして、そろそろ皆さん集中力がだんだ ん欠いてくると思いますのでマイクに近づいて大きな声でお話をしていきたいと思いま す。与えられた時間は20分ということで非常に短いんですが、少しでもこの検討会にお 役に立てるような素材を提供したいと思っております。  イギリスについての情報というものは日本とはあまり関係ないというふうに思われる きらいがあるとしますと、かなり違いまして、御存知の通り、日本の介護保険にみるケ アマネジメントや、それから障害者の相談事業でいうケアマネジメントというのは、イ ギリスの地域生活支援の中核をなすケアマネジメントのプロセスそのものであります。 しかしイギリスにはそれなりの経過と具体的な方策がありますが、日本はやや形式的に 作られているきらいもあります。この検討会で障害者の地域生活支援を実あるシステム というふうにするわけですから、ここで一度イギリスのシステムを振り返っておくこと は意味があるのではないかなと思います。  私は1995年から6年にかけて約1年ロンドンの児童保健研究所というところに所属し ておりました。勉強していたのですが、そこでは地域に根ざしたリハビリテーション、 CBRと略しておりますが、それと地域障害学、コミュニティ、ディサビリティ、スタ ディーズというものを学んでおりました。その1年間の間にロンドンのある地域のある 障害者宅を繰り返し繰り返し訪問しておりました。相当な回数です。その家には18才の 青年がおりました。全盲の視覚障害、それから腕を支えると少し歩けるのですが、ほぼ 車椅子を常時使っていらっしゃる、そして言葉とか理解というのは非常に困難な複合し た障害を持っておりました。テレビなどで音楽が流れると体を揺すったりとかというこ とをして楽しむことができている方でした。お母さんは仲間と一緒にレスパイトケアの 仕事を運営していました。  この家庭に約半年ぐらい、毎週一回繰り返し繰り返し、何があってもなくても訪問す る意味、それは生身の人間というのは昨日と今日で体調が変わるということがありま す。時には家族の健康が崩れる、季節ごとに様々な出来事が起きる、利用している社会 資源が変わり担当者が変わる、多くの複雑な変化する中で暮らしているというのが人の 暮らしというふうにいえるかと思います。それらを把握してはじめて地域でのケアとい うのを検討できるのだということで、そういうことを学びました。  帰国後も毎年この地域を訪ねて障害のあるお子さんや大人の方のご家庭を訪問した り、またケアマネージャーさんと意見を交換をしたり、いくつかの機関を繰り返し訪ね る、そういうことをしてきました。あまり学問的なことをしている人間ではありません が、これらの経験を通して私が感じたことを伝えていきたいというふうに思います。  お手元の資料を御覧ください。今日配布した資料の主な項目が書いてありますが、ほ とんどイギリスの障害者団体及び自治体が出している資料を提供します。この検討会で 議論するのに参考にしていただこうということで、粗翻訳をしているもので、これまで 印刷物になったものはありません。今日の柱はコミュニティケア、障害者から見たコ ミュニティケアということと、それからイギリスのダイレクト・ペイメントの制度、こ の二つの柱を御報告したいというふうに思います。  3頁をお開きください。3頁の下の方にロンドンピープルファーストのコミュニティ ケアに関する資料の絵をコピーしました。真ん中に御本人がいて、回りに絵が書かれて います。これは何を意味してるのかといいますと、地域生活というのは友人とか家族と か、学校の先生とか病院の人など、多くの人間関係を築いて成り立っているというのが 一つと、それから自分の家とか、デイセンターとか、技術を身に付ける学校とか職場と か、そういう生活をする場というものがあります。三つ目にはお金を管理したり、お料 理をしたりお食事をしたりする生活技術というものがあります。これらに何らかの困難 な不自由がある場合に支援をするのがコミュニティケアということになります。これら はある年齢できっちりと必要、不必要というふうに分けられないものです。また障害別 に切り離して考えることができないものです。  したがってイギリスのコミュニティケアというのは、高齢者であろうが、身体障害、 知的障害、精神障害等含めて地域生活に援助が必要な人に、あるいはその介護にあたる 家族のサポートに使われるものです。そういうことで日本のように年齢とか障害で切り 分けた相談とか、あるいは制度とかということではなくて、それをひっくるめた形に なっております。  4頁ですが、コミュニティケアの法の流れというのは、実は河東田さんの御提供に なっている冊子に実は私の話をもっともっと詳しく書かれていますので、そちらを詳し く御覧いただきたいんですが、障害者の方が使われている法というものの中核に1990年 に国民保健サービス及びコミュニティケア法というのがありまして、これが3年後の93 年4月に施行されておりますが、それのサービスのもととなるのは上に書きました1970 年に慢性疾患及び障害者法、ここで社会サービス部はこういうものを情報提供をしなさ い、こういうサービスを提供しなさいというのがあります。同じく社会サービス法に は、自治体にその義務と機能を果たす上で必要なスタッフをもちなさいということがあ ります。  それをふまえてこのコミュニティケア法が成り立つわけですが、そこの切り分けとし てはサービスの提供者と購入者、つまり自治体がサービス提供をするのではなくて、自 治体の方はケアマネージャーがサービス購入をするというところが大きく変化していく ところです。それを補強するように1996年に介護者に関する法、御本人にニーズのアセ スメントをするというのに織り交ぜてしまうのではなくて、切り分けてニーズをアセス メントする、あるいはダイレクト・ペイメント法というものが重なって法が補強されて いるわけです。  次は5頁にいきまして、じゃあアセスメントというのは何かというふうに書かれてい ますが、このコミュニティケアの重要なポイントにアセスメントというものがありま す。ここにはロンドンのピープルファーストはどのように書いているかというと、たく さんの質問がされる場である、例えば何がうまくいってるのか、どんな援助が必要なの か、生活する上で何が望みなのかなど、こういったものがいろいろと聞かれていく、あ るいは話し合うという場になってきます。  こういう場が日本でいう支援費支給決定については行政職が行うかもしれませんが、 イギリスではケアマネージャーはソーシャルワーカーか作業療法士である場合が多いわ けですが、その人たちの教育に関わるテキスト、あるいは本、それからマニュアル、そ こには四つの項目がほとんど書いてあります。四つというのは、一番目が反差別的対 応、これは移民の方とか、そういう方も非常に多いものですから、いかなる人たちに対 しても差別をしてはならないということが最初に出てきます。それから障害の社会モデ ル、これが二番目です。三番目は提供者と利用者の障害者モデル、それから四番目にエ ンパワメントアプローチということで、当事者の力を内発的な力を引き出していくとい うことが書かれております。それに対して日本の支援費支給というのは行政職の役割と いうふうになっているので、十分できているのかどうかという問題があります。  このアセスメントについては、下のところにロンドンピープルファーストの資料によ ると、階段のところに人の絵が並んでいまして、ウェイティングリストというふうに書 いてありますが、イギリスのこのアセスメントの問題は長期に待たされるということが あります。知的障害者の団体で出されている資料によると、4カ月から、ひどい時には 9カ月というふうに書かれておりますが、私のたえず通っている地域は18万人の人口の ところですが、登録されている視覚障害の方が約1,000人ほどいますが、その人たちの アセスメントを希望してまだ待っている方が20人いて、長期には1年以上というような ことも言われております。そういうふうに若干優先順位が決まっておりますので、それ であとに回されるということがあります。その優先順位については後ほど配布資料の説 明をいたしますが、その2のところを参照してください。  次は6頁ですが、ピープルファーストの資料の絵がありまして、アセスメントの会合 しているところで、左から二番目に御本人がいるのですが、周りにお母さんがいたり、 ワーカーがいたり、グループホームのスタッフがいたりしますが、回りの人たちという のは勝手に自分のことを言うので、私の言うことを聞いてというふうな発言をしている シーンをイラストにしているものです。したがってこういうふうに自分の意見、考えを 十分に言えるように事前に準備しておきましょうというのが彼らの作っている資料であ ります。  7頁の下から5行目ぐらいに、このアセスメントとかケアを考えるプランニングの時 には、言いたいことをノートに書いておきなさい、なぜならば会合の中で全てのことを 思い出せないかもしれないから、場合によってはテープレコーダーにとっておくことも いいんじゃないかというのがあります。あるいは上から四行目ぐらいのところに、家族 のケアに当たっている方の資料によると、自分自身のことについて話しておく必要があ るので、場合によってはインタビューを受ける前に自分のニーズについて書いておい て、そのコピーを渡しましょうなんていうふうなことで、相手のぺース、ケアマネー ジャーさんのペースに乗らないように、こういうふうな対策も当事者側から作りましょ うというようなことが書かれております。  8頁にいきまして、下の方に脊損協会のコミュニティケアに関する課題というところ を少し読み上げたいと思います。このコミュニティケアの改革についてはいくつかの問 題点がある。1つは政府の主なモチベーションというのは財政引き締めであるというこ とがある。2番目にコミュニティケアと言いながら、家族友人という無料のインフォー マルケアに頼っていないか。それから地域に適切なサービス提供を用意する前に、地域 へというふうなことが強制されていないか。それから用語のコミュニティケアという言 葉は障害者を権利を持つ市民というよりも、むしろ依存とケアを必要としている人とい う意味を強化しているところがあるのではないか、このような問題提起をしておりま す。どれも若干そうだというようなところが感じられます。  次に9頁をお開きください。先程も御報告にありましたが、イギリスの場合は四つの 地域に分けられまして、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド というふうに分かれますが、イングランドにほぼ人口が集中しておりまして、約5,000 万人おりますが、そこの中での統計資料を下に示しております。ちょっと古く1999年度 ですが、その時の福祉的なサービスを提供した数は173万8,000人、そしてコミュニティ ケア、地域生活を支えるサービスは150万人ほどに提供される、本人アセスメントをし た数が約100万人、介護者のアセスメントが約25万人というふうになっております。  その下の表1を御覧ください。それの1行目だけを御覧ください。地域ベース、コ ミュニティケアのサービスを受けている人が150万人ほどいますが、65才以上の方たち が大方を占めます。一方で先程から話題の施設ケアということがありますが、そこに 69,900人という数が書かれております。その方たちの大半は65才以上というふうにはな りますが、この施設ケアというのは、先程からも話題になっているように、日本でいう 施設という建物、50人100人というものをイメージするとやや違うということがいえる かと思います。やはり少ない人数で、それからイギリスの前々からある民家、あるいは フラットと言われるようなところを改造したりして、そういったレジデンシャルケアが できるようになっております。  それから下にダイレクト・ペイメント、これは後ほど説明するのですが、実はこの時 点で4,400人というふうになっておりますが、実はダイレクト・ペイメントを実際に自 治体が施行を始めているのがここ2、3年ということで、それまでに制度としてありま した自立生活基金というのがありますが、そちらの方から受けているという段階の方も 多いのではないかと思いますが、コミュニティケア、ダイレクト・ペイメント法に基づ く人数はこの4,400人となっております。それを横に見ていただくと65才以上が1,400人 ということで、日本だとどうしても年齢で切って、片や介護保険、片やというふうに考 えがちですが、年齢を切らずに使えるようになっています。当初は64才までだったので すが、現在はこのようになっております。  それから下の方を見ていただくと、知的障害の概数ですが200人というふうになって います。障害者の団体、あるいは自立生活センターの関係者は知的障害の方たちが5% しか使ってない、これは問題だというふうな記述をしているものもありますが、先程河 東田さんが御報告いただいたように、イギリスにおいても障害を身体に限ってこのダイ レクト・ペイメント、パーソナルアシスタントの制度を使っているわけではないという ことであります。  10頁にいきまして、アセスメントを受けた推計数、これは全部推計であるので縦横合 計しても合いませんが、身体障害の方でアセスメントを受けた、この列だけを見てみま すと、やはり75万人のうち75才以上が274,000人、85才以上が219,600人というように、 もちろん御高齢の方がコミュニティケアを受けるということが多く見られるかと思いま す。  それから下の表4のところで、ホームヘルプを受けた方たちの数ですが、まず1行目 を見ていただいて、全体のサービスは150万人ですが、そのうちのホームヘルプを受け た推計数が68万人、そのうちやはり65才以上が多くを占めますが、18才から64才のとこ ろを下に見ていくと、知的障害のところに12,800人というふうになっておりまして、知 的障害の方たちがホームヘルプを受けているということがおわかりかと思います。  次の11頁にいきまして、デイケアの場合ですが、これも総数のところを横に見ると、 やはり65才以上で御利用の方が多いですが、知的障害の列を見ていただいて、18才から 64才までに約5万人の方が受けているということで、全体の中でも占める割合は高いの ではないかと思います。  それから表6のところでレスパイトケア、これはどちらかというと施設でケアを受け るという、あるいは病院等、一定のところに入ってレスパイトケアを受けるというふう に考えられるかと思いますガ、自宅でのレスパイトということも行われているというこ とで、数は少ないですが、挙げてみました。  12頁にいきまして、これらについて私なりの意見をと思って書いてあります。1つ目 はイギリスの法は1993年から施行されて、かなりの時間が経っていまして、高齢者、障 害者団体はそれをどのように活用するか、問題を指摘しつつも活用の仕方の方にシフト してきているのではないかなというふうに思っております。  それから2番目に、障害別とか年齢別になっておりませんので、相談窓口はワンス トップで受理するようになっております。私の毎年行っているところも福祉事務所は通 称ワンストップショップということで通っておりまして、18万人ですが、メインのワン ストップショップに、他にあとはブランチが3カ所あって、そこで総合的な受理をし て、そのあと細かく分かれていくということになっております。  それから3番目に利用者のアセスメントシートと介護者のアセスメントシートは別に 用意されていて、必要に応じてその両者を合わせて書類を作るということになっており ます。  日本で支援費の勘案事項、整理表などといいますと、介護者のニーズが主となってし まう危険があるかと思います。介護者のニーズ、肉体的精神的様々な課題があるかと思 いますが、それはそれで評価をし、御本人の快不快とか、あるいは望みとか、そういう ことは別途きちんと評価する必要があって、織り交ぜてしまうことで家族あるいは介護 者のニーズに引っ張られてしまうのではないかというようなことを感じます。  それから4番目にダイレクト・ペイメント、この制度がイギリスの方でも動いてい て、もちろん様々な問題があるわけですが、そういう動向も日本もとらえつつ、これま で行われていた介護人派遣制度、あるいは自薦ヘルパーといったものの利点を大いに発 揮した制度を作っていく必要があるのではないかというふうに思います。  13頁にいきまして、残りの時間をダイレクト・ペイメントについて少し説明をしてみ たいと思います。厚生労働省は支援費制度で代理受領のメリットとして次の3つを挙げ ています。利用者の立替えが不要であること、事業者が確実に費用取得できること、効 率的な事務執行が可能なことというふうになって、それを良しというふうに考えている かと思います。  イギリスの場合には、コミュニティケアの利用者はこの直接サービスを受けることも できれば、ダイレクト・ペイメントを受けて自らサービスを購入することもできる、ま た両者を併用することもできるようになっております。この制度の利用している人の声 というのが昨年のある雑誌に載っておりまして、それを引用してみたいと思います。  ダイレクト・ペイメントは多くの余分な仕事、余分なストレスや緊張を与えるが、私 がいま持っている生活の質やフレキシビリティは私個人ばかりでなくて、私の家族やラ イフスタイルに適合するようにデザインされたパッケージであるというふうに言ってお ります。そしてその下に、サービス利用者は自分の家に来る多くの異なる人々を欲しな いとの技術もあるということで、多くの異なる人々というのは入れ替わり立ち変わりそ のヘルパーさんが、違う人が来るということを望まないんだということを言っておりま す。  14頁にいきまして、上の方で、私は子どもに対して母親の役割が果たせる、ダイレク ト・ペイメントなしにはこのことはできなかった。私はお弁当やおやつや食事をベッド をきれいにすることを手配することができる、私は子どもたちが落ちこむような日には 情緒的なサポートをするし、気遣いをするし、愛するというケアをすることができるん だというふうに言っています。  一方で、ダイレクト・ペイメントは大変フレキシブルであり、私のレスパイトケアに ついてのニーズに対応している。でも全ての私のニーズに対してダイレクト・ペイメン トを用いる責任をとりたくなかった、それはあまりにもストレスフルだからというよう なことを言っている方もいます。  さてその真ん中のところで、私の行っている自治体でこの制度の基本方針というのを 出しておりますが、次のように書かれております。1番目に、この制度はサービス利用 者をエンパワーする方法なんだ、2番目に、この制度は障害の社会モデルを採用してい るんだ、3番目にサービス利用者は自立に向かう可能性を最大限を引き出すということ を、それを目的にしているんだ、4番目に自己決定をすることができるように、この制 度に関する包括的な情報提供をするんだ、5番目に利用者が自分のケアをマネージメン トするのに積極的に成功できるように、そういうサポートをすることをしていくんだ。 6番目に利用者の向かいたい方向や関心を表現することができサービス利用者の選択の 擁護ができるようにするんだ、7番目にダイレクト・ペイメント利用者がその費用を搾 取されないようにするために安全システムを確立する、これも実際の制度の中に非常に 細かく書かれています。その費用を別の人が利用してしまうということがないようにと いうことです。  そして次の15頁にいってください。このダイレクト・ペイメントはケアを買うという だけではなくて、自治体が認めれば福祉用具の購入とか移動とかのものも含まれます。 施設のケアには使用できない、それ以外には使用するというような形をとられていま す。下の5行ぐらいが若干私の言いたいことなのですが、我が国の支援費制度ではパー ソナルアシスタントに近似する、例えば重度障害者介護人派遣事業等がありますが、こ れらはこの4月から日常生活支援として実施されていますが、日常生活支援従事者養成 として、いわゆるヘルパー養成の僅かなコマをあてはめて形式的項目が並んでいます。  これらは障害者自身が雇用するパーソナルアシスタント制度を求めるならば若干違う のではないかな、つまり最初に雇用をして、その人をトレーニングする、その費用を含 めてペイするという形を向うではとっていますが、日本ではまずその中から、養成を受 けた人からチョイスするのかというと、これはまた若干違う動きになってしまうのでは ないかなという危惧をしております。  16頁に私なりにダイレクト・ペイメントと支援費の代理受領を比較してみました。イ ギリスでは選択とコントロールを与えるというふうな位置づけですが、我が国では事務 処理、行政側に処理がしやすいという形をとっているのではないかと思います。以下、 御覧になって下さい。  最後に17頁のところでまとめたいと思うんですが、イギリスのダイレクト・ペイメン トについては、銀行明細、小切手帳、収支記録、ケアサマリー、時間表、請求領収書、 パーソナル・アシスタントに対する給料支払い簿等を管理することになります。それら が作業としては非常に大変なんですが、それでも自分の主体性を持つということを求め ているわけですが、日本のいまの制度では記録として決められた様式に押印するという 形で日常生活支援についても行われているということで、主体的金銭管理はないという 形だと思います。  最初に申し上げました生身の人間の生活というのは、予め決められたスケジュールで 動くような機械的なものではないかと思います。援助を時間刻みで、あるいは内容刻み で全てを細切れにして暮らすということは、できる方はいらっしゃるでしょうけれど も、できない方も多いと思います。本来の自然な生活というものを取り戻す一つの仕組 みとしてダイレクト・ペイメント制度ということを検討してもよろしいのではないかな というふうに思います。  あとは資料なんですが、参考資料で一番目はイギリスのRNIB、視覚障害者協会が 出しているコミュニティケアとは何か、これはとてもわかりやすく書かれていますの で、そのままあげました。どの障害にもあてはまる内容ですので、中には視覚障害、弱 視とか出てきますが、ほとんどそれを置き換えれば全体にわかるものですので、御覧く ださい。  それから3と4の間に1つ資料が入っているのですが、項目を抜かしてしまったので すが、ダイレクト・ペイメント、ケアマネージャーのプロセスということで、ケアマネ ージャーはダイレクト・ペイメントをオリエンテーションの段階でちゃんと説明して、 利用するかどうか聞かなければいけないことになっているのですが、そういったことが 少し記述されている資料を入れました。  それから終わりから2番目に銀行振込されたものをどう扱うかというような収支報告 の書き方とか、ちょっと参考になるかなと思ったものを入れてみましたので、御参考ま でにお読みいただいて、何かの参考にしていただければよいかなというふうに思いま す。以上です。  江草座長  どうもありがとうございました。それでは小川先生にお尋ねがございましたらどう ぞ。  笹川委員  一点お尋ねをいたします。まず一点は先程の御報告の中で、18万人の中で視覚障害者 が1,000人と言われたように思うのですが、それは正確な数字なんでしょうか。もしそ うだとすれば大変数が多いような気がいたします。  それから金銭管理の問題ですが、我々視覚障害者の場合は金銭管理が一番大きな問題 なんですが、イギリスの場合は見えないものがどういう形で振込とか支払いとか、そう いった点を確認しているのか、もしわかりましたらお願いします。  小川氏  先程の地域の18万人のところというのは、実は細かい端数まで把握しているのです が、今日は持ってきていないのですが、レジスターされている人が1,000飛び何人ぐら いで、それで把握されている視覚障害者であろうという人を足すと1,100かもうちょい ぐらいになるんですね。そういうバランスです。私の言っている地域というのはちょっ と特異な地域で、非常に貧困の地域で、障害者の方も実は多い。それから高齢者の方も 多い。それからイギリスの風景というときれいな風景を思い浮かべるかもしれません が、ほとんどが公営住宅のところなんですね。ですから若干特異な地域かもしれません が、御関心がありましたらまた後ほど御連絡いたします。  それからダイレクト・ペイメントというのが小切手で支払うというのが原則で、ちょ っと頭の中で思い浮かべるのはいい加減なんですが、約3,000円未満でしたら現金を使 って、現金で処理していいのですが、それ以上は小切手で小切手帳を使って下さいとい うことになります。  向うではスーパーで買い物をするにしても、クレジットカードないしは小切手を使う 習慣がありますので、現金で処理するのではなくて、小切手を使うことが多いんです ね。そして視覚障害の方も私も何人かお会いしますが、スーパーで小切手を切っている 方もいます。普通のコンビニのようなところで小切手を切っております。それは簡単な サインにしていまして、枠にサインをしたり、聞いてサインをしたりしております。あ とはクレジットカードとか、そういうことの表記がどうなっているかというのはちょっ と把握していないんですが、小切手を使うという意味では障害をお持ちの方でも問題な くできるかと思います。  大濱委員  このダイレクト・ペイメントをよくわかるように説明していただいてありがとうござ います。それでこの16頁の比較表なんですが、このなかにある個人の利用者の責任とい うことについて説明していただければと思うんですが。  小川氏  ダイレクト・ペイメントを使う場合にはパーソナルアシスタントを広告を出したりし て募集をしたり、あるいは自分の身近なところでそれを雇用したりするわけですが、そ の時にその雇用法に基づいて一定の休暇とか、それから療養休暇とか、それから休み、 年次休暇とか、そういうことをきちんとしなければいけないわけです。そういう責任を 障害者の方が負いますよということです。適当な使い方ではなくて、雇用の基準に日本 で言うと労基法ですね、それにのっとっていなければいけないということです。  それから様々な変化とか、事態が変わったりした時には速やかに報告しなければいけ ないというのがあります。日本ではダイレクト・ペイメントがないので、障害者の方が ヘルパーさんとの関係で何か起きた時に書かれているものは何かと調べた時に、そのヘ ルパーに対して財物を損傷するなど、重大事情発生の時に解約できるというふうなこと が書かれていましたので、それぐらいの関係なのかなということで、ちょっと比較をし てみたということです。  太田委員  障害者の自立や自立意識ということを考えた時に、ダイレクト・ペイメントという制 度は非常に重要だと思いますが、これの制度を社会が、世間がどのようにして受け入れ ていったのでしょうか。その社会の側が受け入れていった過程についてお聞かせくださ い。  小川氏  社会がというとちょっと大きいので、法としてそれを成立させたとか、あるいは各自 治体がそれを取り入れていったというプロセスがあるかと思うんですが、これは何より もその前身の障害者運動がありまして、1988年に自立生活基金というのが設置されたん ですね。その自立生活基金がスタートで、その当時多分500人ぐらいだったと思うんで すが、その人たちがパーソナルアシスタントを使うということで発したのがスタートだ と思います。  それに対して日本では1970年代から東京都をはじめ重度障害者の介護人派遣事業を しっかりとやっているわけですから、どちらかと言ったらば障害当事者が自分たちの一 番ふさわしい人を雇用するというシステムは日本の方が早いのではないかと思うんです が、それでその自立生活基金をさらに進めていこうとする時に、コミュニティケア法が 1990年にできるわけですので、それに伴って自立生活基金もコミュニティケア法が施行 される1993年に若干シフトしていまして、制度がちょっと変わっているんですが、何回 か制度が変わっているのですが、必ずイギリス障害者団体協議会がそのパーソナルアシ スタントを進める、それから自立生活基金を進める、途中からダイレクト・ペイメント を押し進めるということで、向うで言うBCODPの働きによって動いてきたというこ とで、世間がと、巷でどの程度知られているかというのは非常に疑問でありますが、障 害者運動によって変化してきているということがあるかと思います。  中西委員  ちょっと補足させていただくと、これは施設の障害者が施設が40万かかるなら自分た ちに40万現金をくれ、地域で暮らすからというふうに南部のイギリスの方で、ある州で 声があがって、そこの20人ぐらいの障害者が最初やっていたのですが、そういう噂を聞 きつけて、だんだん数が多くなってきて、実際コミュニティケア法を施行する時に障害 者を組み込んだらどうなのか、その人たちが反対したために別立てのダイレクト・ペイ メント法を国が作らざるを得なくなったというのが実情だったと思います。  小川氏  もともとジシャホームから出るという人がいて、それで始まったとは思うんですが、 ちょっと細かな時間的な経過は…。  江草座長  いまは小川先生の御発表を伺って、それに対する質問ということでございますから、 深い議論はまた別の機会にやらせていただくとしましょう。よろしゅうございましょう か。それでこの際、先程ちょっと伺いまして、オブザーバーで御出席の方々に一気にお 三人の先生のお話を聞いていただいた後になるのですが、田中先生のお話の前に御質問 があればどうぞといま申し上げました。どうですか。  佐々木氏  ピープルファースト東京の佐々木信行です。ロンドンのピープルファーストの活動に ついてわかる範囲で教えていただきたいと思います。  小川氏  申し訳ないのですが、英国知的障害者協会というのがありまして、それはメインキャ ップと呼んでいるのですが、それは大きな団体なんですが、そこには何回も足を運んで いるのですが、ロンドンピープルファーストの方は資料のみ持っているということに なっておりまして、ちょうど今週の日曜日から再度ダイレクト・ペイメント等を調べる ためにイギリスに行くのですが、そのロンドンピープルファーストについても調べまし て、他の知的障害の方のところに行くことにはなっているので、その際に少し調べまし てフィードバックをいたしますので、それで御勘弁を願いたいと思います。  江草座長  よろしいですか。他の方、何かございませんか。  イナギ氏  ピープルファースト東久留米のイナギです。10頁11頁のところで、その10頁のところ でホームヘルプはずいぶん出ているというふうに印象を受けたのですが、こういった予 算はどこからどういうふうに出ているのか教えてください。  小川氏  予算は社会サービス部、SSDというソーシャル・サービス・デパートメントと呼ん でおりますが、そこから予算として出されておりますが、それでいいかと思うんです が、イギリスの全体の様々な福祉用具等々についての予算の執行、あるいはスタッフの 給与、それは非常に複雑です。いわゆる日本でいう衛生部と福祉部、それを絡めて出し 合っているというところがあります。向こうでいう保健省と、それから社会サービス部 の方から分け合っている。  例えば多くの社会サービス部に所属する作業療法士がいます。そういう人たちの給料 というのは、自分はこちらの方から出されている、自分はこちらの方から出されている というようなことがありますので、複雑になっておりますが、基本的にこういったコ ミュニティケアに関する費用というのは社会サービス部の予算から出されているという ふうに考えていいかと思います。  江草座長  よろしいですか。それでは小川先生ありがとうございました。次は田中先生からお話 を伺いたいと思います。田中先生は山口県立大学社会福祉学部の教授でいらっしゃいま す。田中先生からはドイツの状況についてお話をいただきます。どうぞよろしくお願い いたします。  田中氏  ただいま御紹介いただきました山口県立大学の田中と申します。もう会議が始まって 2時間近くたっていますので、皆さんお疲れだろうと思いますが、資料4に8頁程ドイ ツの障害者施策の展開と介護保険ということでレジュメを出させていただいておりま す。ドイツの社会保障については日本では主に年金ですとか、あるいは医療保険ですと か、最近ですと介護保険なんかはずいぶん紹介され、詳細な研究がなされているんです が、実は障害者施策についてはもともとの中心が地方自治体レベルであったということ もあって、必ずしも統一的なデータがなかったり、必ずしも詳しい調査研究の蓄積がな いのが実情なんですが、実は今日のレジュメにまとめさせていただいたように、ここ数 年ドイツの障害者施策の部分は非常にダイナミックな展開をしておりますので、最初に その全体の最近の動きをざっとお話をさせていただいて、後半のところで特に日本での これからの議論との関連で言うと、やはり介護保険の適用に若い40才未満の障害をもつ 人たちを対象にするかどうかということをおそらく政策的には大きな議論のあるところ だろうと思いますので、ドイツでこの障害を持つ人たちに対して介護保険がどういう関 わりをしているのか、その結果どういう課題が生じて来ているのかということを、日本 での議論をある程度頭におきながら説明をさせていただこうというふうに考えておりま す。  最初の1頁のところですが、定義として社会法典という、これは医療から年金から労 災から全部を含んだ大変大きな社会保障に関する法典なんですが、これの9編というと ころにリハビリテーション及び障害のある人の参加という、新しくこの編が設けられ て、従来の重要な法律がこの社会法典の中に盛り込まれました。その中に障害という定 義が設けられていて、その身体的機能、知的能力、または精神の健康が高い蓋然性で6 カ月以上にわたってその年齢相応の状態から乖離していて、それゆえに社会生活への参 加が阻害されている状態という定義の仕方をしています。したがってこれは日本の基本 法その他でもほぼ同様の対応をする概念で、区分としては日本でもよく用いられている ように身体的な障害、知的な障害、そして精神障害という大きな三つのカテゴリーを 持っています。  具体的なその認定については、ドイツの制度に基づいて、これは主に実は日本でいう と戦傷病者、戦争で障害を負った人たちに対する支援を中心に行っている、日本でいう と援護局のような役所なんですが、この援護庁というところが統一的にこの判断基準、 ガイドラインに基づく障害の認定ということを行います。  ただ、ちょっと日本と違っているのは、10から100までの10刻みでこの障害の重さと いうのを判定するのですが、一般的には障害者施策という形で対象になる、あるいは証 明書が発行されるのは原則として障害の程度が50以上の方、これを重度障害者というふ うにいっているのですが、原則的にはこの人たちが中心的な対象になっておりまして、 現在一番新しいデータで、全国で671万人ほどがこの障害の程度50以上に該当する重度 障害者というふうになっております。  これはいまドイツの人口が日本のちょうど三分の二ほどの8,200万人ですので、総人 口に対してはちょうど8%強という状況です。ですからやや日本よりも障害の概念が広 いのかな、重度障害者に限っても少し広いのかなというふうに思いますが、ほぼこの重 度障害者という対象者に対する施策が日本でいう障害者施策に考えていいのではないか と思っています。ちなみに、もちろん数の上では身体障害の方が一番多いのですが、知 的障害については約25万人という対象者の数が統計上計上されております。  それからドイツの障害者施策の基本的な特徴なんですが、これは二度にわたる大変大 きな世界大戦を経験をしてきております。それからドイツは御案内の通り労災保険とか 医療保険とか年金保険、いわゆる社会保険が世界に先駆けて作られた国ですので、それ ぞれの社会保険の仕組みの中でリハビリテーション給付というのを非常に重視をして給 付をしてきておるという特徴があります。  それにあとはもう一つの大きな分野であります、日本でいうと生活保護というとやや 正確ではないのですが、生活保護の中の特別扶助というカテゴリーがあるのですか、で すからあえて言えば日本の措置費的な、もともと生活保護の中だったのですが、一般の 生活保護、低所得者対策の生活保護とは少し所得ないしは資産の基準が緩められた形 で、緩やかな特別なニーズのある人に対する施策という形で別のカテゴリーができた分 野がありまして、ただし制度としてはまだ日本でいえば生活保護法、社会扶助法の中に 残っているという、狭義の生活保護からは独立しつつも、なお生活保護法の中に残って いるという、やや措置制度的なものというふうに言っていいかと思いますが、これが中 心的なサービスを支える資源を提供しています。  日本と比較をした時に、伝統的にドイツの障害者施策というのは、いま申し上げまし たようにリハビリテーション、これは労災保険であり、年金であり、医療保険でありと いうような様々な制度から医学的職業的社会的リハビリテーションという給付を行って います。それからもう一つは日本の、特に授産的なもの、福祉的雇用との関係でいう と、重度障害者の雇用義務というものが課され、これは日本では障害者雇用促進法とい う形でドイツをモデルにして立法化されたもともとのモデルになったものなんですが、 そういう作業所での福祉的就労よりも、原則として一般企業に対して重度障害を持つ人 の雇用を義務づけて、一般就労を可能な限り広げていこうというのがドイツの障害を持 つ人に対する就労支援としては大変特徴的かというふうに考えております。そうは言っ ても一般就労が困難な方もいらっしゃいますので、その福祉的就労の場としては、いわ ゆる障害者作業所というものが結構実態としては大きな機能を持っているということで あります。  それからいま申し上げましたように、ドイツの障害者施策というのは、これは日本も そうですし、多くのヨーロッパの国はそうなんですが、よくアメリカのいわゆるADA などのようなアプローチ、つまり機会の均等を保障するのか、したがってその結果の差 異は仕方ないという割り切りというか、機会の均等を重視するのか、結果の平等を重視 するのかというアプローチでいうと、アメリカとヨーロッパ、日本というのは少しアプ ローチの仕組みが違うのかなというふうに私自身は理解をしていますが、いわば後者 だった、つまり法律でいうと社会法的なアプローチ、つまり結果として障害ゆえに生じ ている社会的不利益を社会給付によって補てんをするという、いわば結果の平等を志向 した社会法的な社会保障、あるいは社会福祉的なアプローチが中心だったドイツに、こ こ数年それとは少し質の違う、いわゆる差別禁止、あるいは機会の均等、バリアフリー といったような、いわば従来のドイツの施策の中でいうと新たなパラダイムを伴った制 度改正が進んできているというのが大変面白い動きをしているなというふうに私自身は 見ております。  そのきっかけになったのは、ちょうど9年前でしょうか、94年に、これは日本と違っ てドイツでは結構憲法改正をするんですね。必要があれば、社会が変われば、それに対 応した憲法も改正するということをやっていますので、94年に憲法の改正をしちゃっ て、その時に従来の伝統的な法のもとの平等ということを決めている第3条の3項に、 障害に関連する法のもとの平等、差別禁止というのを新たに明文では起こして、何人も その障害ゆえに不利益を受けてはならないという文章を追加した。これが基本になっ て、その後90年代後半から2000年にかけて、いわばそれを具体化する形の新しい仕組み が動き始めてきているというのが全体の状況だろうというふうに理解をしております。  とりわけ、かつて1974年にやはり現在の重度障害者法だとか、あるいはリハビリテー ション調整法という政策をとって、これは当時の社会民主党の連立政権下で行ったわけ ですが、この98年に新しく今度は社会民主党が緑の党、いわば赤、緑政権といわれてい ますが、中道左派政権が出発をした、これは2002年にさらに4年間継続されましたが、 その政権下で重度障害者の失業問題に積極的に取り組む、新しい制度改正をし、さらに さっきお話をしましたように、これまでのリハビリテーション給付の調整法についても 見直しをする形で、全面的な見直しをした結果を社会法典の9編に新しく盛り込むとい うような、非常に意欲的な取組がここ2、3年続いてきております。  時間の関係もあって途中を少し端折りますが、3頁の関係でいうと、重度障害を持つ 方の雇用促進ということについて少し触れておきたいと思います。ドイツのもともとの 法定雇用率は6%です。これは日本の1.8%と比べると非常に高い水準なんですが、実 際にはドイツでも実際の雇用率が3.7%とか8%とかで未達成だ、未達成のところから調 整金をとって、それを障害者雇用の促進のために回すという、日本の制度と同じような 仕組みをやってきているのですが、なかなかこれが雇用を促進するという意味での実効 があがらなかったということがございまして、新しい法律改正をして、この未達成の事 業所に対する調整賦課金の徴収に非常に大きな傾斜をつけて、達成率が非常に低いとこ ろはグンと上げてという、三段階の傾斜をつける形で、そのかわり実効のある形でとい うことで、重度の障害をもつ失業している人を3年間で5万人減らそう、雇用を作ろう ということで、それが達成できればという条件つきでこの3年間やってきて、ほぼそれ が達成できたということで、現在は1%下げた5%の法定雇用率ということが法律上 2004年までの経過措置として設けられているということで、一般就労をできるだけ促進 しよう、それから先程の福祉的就労の場である重度障害を持つ人たちの作業所について も、できるだけそこから一般就労に向けてのトレーニング、あるいは移行を促進するべ きだということが法律上も明記されて努力されていますが、実はなかなかここの部分が 移行が難しいという現実の課題は抱えているようです。  それから4頁に移ってきますが、先程申し上げましたが、リハビリテーションを非常 に重視をしているということで、その中心の担い手群は社会保険制度なんですが、もう 一つの大きなカテゴリーとして、生活保護、社会扶助の中の障害者統合扶助という仕組 みがこれを主に担っております。  もともと実は高齢者を中心とした介護もこの介護扶助という、同じような社会扶助の 中の特別扶助の一種類としての介護扶助が担っていたわけですが、ここの介護扶助の費 用が非常に急増してきた、しかもドイツのこの社会扶助の費用というのは、中央政府の 費用負担が入っておりません。全額が自治体の負担になっているということがあって、 州と自治体ですが、そこの財政的な負担が非常に困難になってきたということが実はド イツで介護保険が作られた、いわば中心的な動機の一つだったわけですが、介護保険が 導入されたことに伴って、この介護扶助は急激に減少いたしました。したがっていまの ドイツの特別扶助の中では、その7割近くを障害者統合扶助が担っている、しかもこれ は毎年増加していますので、この障害者統合扶助の財政負担をどうするかということ で、新たな課題としては出てきておりますが、いまのところ特別な動きはございませ ん。  それから日本でも最近議論が少し行われるようになっていますが、生活保護の在り方 という問題に関連すると、一般の生計扶助自体も日本が8‰ぐらいですから、大体4倍 近い保護率とドイツでは狭義の生活保護の分野にも出ているのですが、それを越える額 が特別扶助という形で出ているということが全体の枠組みになってきております。  その費用は主に、先程申しましたが、福祉的就労の場である作業所、あるいは一部の 学校における特殊教育といったような部分、あるいは先程お話がありましたが、パーソ ナルアシスタント的なものにも一部出ております。こういった形で非常に様々なニーズ に社会扶助の中の障害者統合扶助、インテグレーションのための扶助というものが使わ れて、大変大きな役割をもっている分野です。17万人ぐらいの人がこの作業所で作業を しております。  それから今日の全体の、あるいはこの検討会自身の全体の中心的な議題であります地 域生活への移行、あるいは施設の在り方ということに関連していますが、実はずいぶん 調べたのですが、詳細な分析や、それについてのデータが限られているのですが、2000 年時点で高齢者介護施設だとか、あるいは老人ホームとは別のいわゆる障害者統合扶助 が支給されている。その対象になっている障害者施設、入所施設ですが、これが内訳は わかりません。身体あるいは知的といった内訳はわかりませんが、約16万人分が設置さ れているという状況になってきております。動向的には前年99年と比べると微増といっ た状況です。  それから最初に申し上げましたように、4頁の下のところからは新しいアプローチの ところを少し御紹介しておりますが、2002年5月から、これは全く新しい法律として、 障害者平等化法、厳密にいうと障害のある人を同等にする、平等にするための法律、こ ういう法律ですが、これでいわゆる差別禁止、あるいはバリアフリーアプローチといわ れるような、ADLに影響を受けた新しい、あるいはドイツ語、手話の義務化といった ようなことも含めた内容が盛り込まれています。ただ、これはまだできたばかりです し、これが実際の例えば物理的なバリアフリー、あるいは情報におけるバリアフリーに どれだけ、どういう形で効果が出てくるかというのは、まだこれからの動きを見なけれ ばいけないかなというふうに思っています。  ただ、手法としてとても面白いのは、日本のように何か規制をするといった場合に、 役所が画一的な基準を決めてそれを事業者に義務づけるというようなアプローチではな くて、具体的な目標値そのものから、これは事業者団体、日本でいえば日本経済団体連 合会的なところだろうと思いますが、あるいはそれの下部の各種別の事業者団体です が、その事業者団体と障害者団体、つまり当事者団体がその具体的な目標値のところか ら含めて議論をする、参加をするというアプローチがとられております。  ただ、これは何となく日本の目から見るとやや異質な面もあるかもしれませんが、こ れはもともとドイツでは社会的パートナーといわれている、要するに事業主団体、使用 者団体と労働組合とがもともと会社の在り方、労働条件の在り方自体について共同決 定、共同参画するという、労使共同決定法という、つまり役所が公権力が何かを一方的 に決めるのではなくて、できるだけ当事者が参加し、当事者が交渉していくというアプ ローチは、これは非常に幅広く社会の中にいわば根づいておりますので、いわば障害施 策の分野での当事者参加、当事者交渉方式というふうに言ってもよろしいんだろうと思 います。これが柔軟だというプラスの面と、それから直接的な強制を伴わないというマ イナスの面とそれぞれあろうかと思いますが、実際にどういう形で根づくかというの が、これからこの3、4年ぐらいドイツの動きはとても面白いかなというふうに考えて おります。  5頁からは、介護保険と障害を持つ人をどう捉えるかということについて、本当のポ イントだけを私なりに整理をいたしました。一つは5頁の?のところですが、日本と違 うのはほぼ全ての国民が介護保険に加入をしている、日本の場合には年齢で切っており ますが、赤ん坊であろうが高齢者であろうが若い人であろうが、子どもの場合には被扶 養者として医療保険と同じような仕組みで入っていますし、お金があって全く医療保険 自体に入らなくていいよ、入ってないという人約4%ぐらいが入っていませんが、これ は医療保険も一緒ですから、基本的には医療と介護と重なる形でほぼ全ての国民住民が 介護保険の対象になっている。したがって日本のような年齢による区別はない。  ただし介護の概念は、もちろん日本は導入に当たってドイツの制度を研究されました からそうであろうと思いますが、基本的な概念はドイツも日本も共通であります。それ は身体的、知的、または精神的な病気または障害のために毎日の生活の経過の中で、日 常的及び規則的に繰り返される活動を行うのに長期にわたって相当程度の援助を必要と する、食事をする、お風呂に入る、トイレに行く、身の回りを清潔にするといった、こ ういった日常の基礎的動作、毎日繰り返される基礎的動作のところについて人の援助を 必要とする部分を要介護というふうに考えています。  あとは日本との比較で、先程来ダイレクト・ペイメントの話が議論に出ております が、注意をしておく必要があるのはドイツの在宅給付では現物給付と金銭給付を完全に 選択できるようにしております。しかもこれはゼロか100かという、右か左かではなく て、例えば3割ほど現物給付を使う、じゃあ残り7割分は金銭給付を選ぶというよう な、どれだけの割合で組み合わせるかということも含めて、これは利用者本人、そして 家族も含めた、最終的にはもちろん利用者本人ですが、これが当事者がいわば金銭と現 物を選択できるという仕組みになってきております。  いま申し上げましたような全体の枠組みでやってきておりますので、基本的には要介 護に該当する限りにおいては年齢の差別はありません。ただし、実はドイツでも特に第 二段階で最初に在宅給付を入れて、第二段階で施設給付を入れたのですが、その二段階 の施設給付を入れる時には障害関連の施設を対象にするかどうか実は大議論がありまし た。  最終的には、政府は最初から当時1.7%の保険料が上限だった、近い将来これ以上は 絶対に上げられないという非常に財政的な制約を強く意識した中で制度をスタートしま したので、そういう議論の背景の中で入所型の障害施設については当初全く介護保険か らは、たとえその中にいる要介護児者、認定を受けた人についても対象から除外すると いうふうな整理をしたいというふうに言っておりました。  ただ、これに対しては自治体あるいは民間福祉団体から非常に強い批判がございまし たので、最終的には入所型の障害者施設に入ってらっしゃって、要介護1以上の認定を 受けた方については、そこの施設の費用の10%を介護保険から介護費用として払いま す。ただし上限は500マルク、260ユーロですから3万円ぐらいです。だから大した金額 じゃないです。こうして非常に中途半端な形でこの問題をスタートされ、すでに8年以 上経っていますが、そのまま現在に至っているという状況になっております。  ですから実は日本のように年齢で三つに区切られる、40才で切られ、65才で切られ、 しかも40才のところは同じ寝たきりになっても原因によって受けたり受けなかったりと いう、ある意味ではもちろんそれぞれの背景はあるわけですが、冷静に見れば非常に説 明の難しい、同じ寝たきりになっているにも関わらず、ある人は受けたり受けられなか ったりという、そういう問題はドイツについてはありません。  しかし、もともと広い子どもも含まれておりますし、教育から職業訓練から、あるい は医療的なリハビリテーションから様々な、特に若い障害を持つ方に対する援助ニーズ の中で、基本的にはさっき申し上げ介護のところでしか重ならない、じゃあ他のところ はどうするのかという問題が残る。それとの連携は残るということと、それから介護の 部分についても、さっきお話ししたように主にこれは財政的な制約が原因であります が、障害者施設は原則除外する、あるいはごく一部の費用だけは払うという、非常に中 途半端な妥協、調整をしてきているということで、痴呆の高齢者に対する介護サービ ス、そして障害を持つ人に対する介護サービスを介護保険の中でどう扱うかということ については、ドイツ自身もいろんな議論をやりましたし、いまも含めてなかなか難しい 課題を抱えつつ現在に至っているということが実情ではないかというふうに考えていま す。  最後のところに書いてありますが、日本ではまたドイツと違う事情がありますし、介 護保険を対象にすることに伴うプラスとマイナスと両方あるだろうと思いますが、日本 で議論をする時のいくつか気をつけなければいけない点というのは、ドイツの場合には もともと介護費用のうちの一部を払って、それによって生活保護に陥るのを防げればい いという部分保険で、だから足りないところはもともと生活保護はカバーするという仕 組みを前提にしているわけです。  しかし日本はそれとは全く違って、もともと措置の制度がかなり独立していたもので すから、足らないところをカバーするという仕組みを持っていませんので、それと介護 保険の給付限度額という仕組み、定型的なものに割り切らざるを得ないという、そこの ところがどういうふうに調整できるかというのはやはり大きな問題だろうということ と、それから先程のダイレクト・ペイメントに関連しますが、日本ではいまのところは 少なくとも金銭給付、当事者が自分でサービスの供給手段を選ぶという仕組みができま せんので、若い障害を持つ人の場合にはとりわけここをどう整理するかというのが制度 全体の枠組みに影響する形で議論を整理しなければいけないのではないかというふうに 考えております。以上で終ります。  江草座長  ありがとうございました。それでは皆さん御質問がありますか。  太田委員  私も、傍聴の人たちも車椅子に乗って今日ここに来ているのは多分支援費の移動介護 とか日常生活支援というものを使って来ていると思いますが、ドイツにおいては外出の 介護はどうなっているのですか。  田中氏  いわゆる介護というところに関わった部分については、一部移動の支援という形では 介護保険の対象から出る部分があります。ただ、ドイツの介護保険というのはもともと 対象者も、それから対象にする給付の内容もいわば割り切った仕組みで、しかも割り 切ってもそれを越えるもので、個別のニーズがあるものは生活保護、社会扶助の仕組み が足らないところをカバーするという仕組みを持っていますので、実際には介護保険よ りもむしろ社会扶助の中の障害者統合扶助という、社会扶助がいまおっしゃったような 点をカバーする上では大きな役割を果たしているのだろうというふうに思います。  江草座長  田中先生どうもありがとうございました。少し時間が押してまいりましたが、次の議 題に移りたいと思います。次回以降の日程について御説明をいただきたいと思います。  高原課長  それではお手元の資料5をご覧いただきたいと思います。今日でこの検討会は6回目 を迎えたわけですが、2回目から6回目まで各委員からの御発表、あるいは委員以外の 関係者からの御発表をいただいたわけで、ある意味で情報を共有化する作業を進めてき たわけですが、この9月以降は自主的に議論を進めていくお願いをする必要があるわけ で、その検討の進め方につきまして事務局としての案を資料5として整理をさせていた だいております。  この検討会自体は来年度にかけて少しじっくりと議論を進めていくということをお話 ししておったかと思いますが、当面の進め方としましては今年中、年内には一巡目の議 論を行いたいというふうに考えております。二巡目以降の議論の進め方については、ま た一巡目の議論の進み具合を踏まえまして改めて整理をさせていただきたいというふう に考えております。  その一巡目の議論の進め方ですが、大きく分けますと三つの項目があろうかと思って おります。第一の大きな柱は、地域生活を支えていく上でのサービスメニューと申しま すか、サービス体系の在り方、これがまず最初の大事な項目としてあろうかというふう に思っております。それから二番目の大きな項目としましては、そういうサービスメ ニュー、サービスをニーズと組み合わせまして、適切に供給していくためのシステムの 在り方、これが大きな二番目の検討項目になろうかと思っております。  それから三番目の大きな項目としては、じゃあ実際そういうサービスの供給を支えて いく基盤についてはどのように考えていくのか、基盤と申しますと財源もございます し、人材面、マンパワーの面の基盤もあろうかと思いますが、そういう実際にサービス 供給を支えていく基盤の在り方、これが第三の大きな項目ではないかと思っておりま す。  その大きな大括りな三つの検討項目にしたがって9月以降御議論をお願いできればと いうふうに思っておるわけですが、その大きな項目について多少補足をさせていただき ますと、まず地域生活を支えるサービス体系ですが、まずは現行の制度上どういうサー ビスメニューがあるのかという、これが一つの議論のベースの情報として必要かと思っ ております。  じゃあ実際そういうサービスメニューがどういうふうに利用され提供されているのか という意味での現状と課題、ここらへんを御議論をいただく必要があろうかと思ってお ります。注のところに書いておりますが、サービスメニューにつきましては、それに必 要なコスト、あるいは自助・共助・公的サービスの組み合わせの在り方なども含めて御 議論をいただければありがたいと思っております。  この検討項目とは多少離れますが、次回第7回の検討会は9月8日に予定させていた だいておるわけですが、今週末には厚生労働省の概算要求がまとまり、財務省に提出を するというふうな予定になっておりますので、次回の9月8日には16年度の概算要求に つきまして事務局から御報告をさせていただきたいと思っております。  併せまして、注3のところに書いておりますが、前々回、あるいは前回でしたでしょ うか、支援費制度の施行状況に関するデータを収集するということで、いま私ども実際 に調査を行っております。できるだけ、特に抽出調査ということで、一部の自治体を対 象にして調査をお願いしておるものにつきましては、早急にとりまとめまして9月30 日、第8回の検討会に御報告をさせていただいて、議論の材料を提供させていただきた いと思っております。  それから二番目の大きな項目ですが、サービスを適切に供給していくためのシステム の在り方ですが、これは相談支援事業でありますとか、ケアマネジメント、サービス調 整などの現状と課題について御議論をいただくということが主な内容になろうかと思っ ております。これは大きな目安としましては、先程のサービス体系の在り方を9月に予 定しております二回の検討会で主に御議論いただき、10月に入りまして少しシステムの 在り方についての御議論をお願いできればと思っております。  2頁目の注のところに書いておりますが、先程抽出調査の施行調査については9月末 に御報告をしたいというふうに申し上げましたが、10月下旬の会には全国調査の分につ きましてもできるだけ早急にまとめまして事務局から御報告をさせていただきたいと 思っております。  それから注2のところですが、精神障害者の地域生活支援の在り方につきまして、 近々検討会を発足する予定でございますので、その検討の状況につきまして情報を共有 化するという意味で御報告をさせていただくようなことも10月にはできるのではないか というふうに思っております。それから実際の事業の実施を担っていただいております 自治体の側から見たこの地域生活支援の現状と課題、これは支援費制度に必ずしも限る ことではないと思っておりますが、地域生活支援の現状と課題につきまして、地方三団 体、具体的には市長会、町村会、知事会からお話を聞かせていただくようなことも考え てみたいと思っております。  そういうある意味でサービスの体系論なり、システム論を議論した上で、あるいは多 少だぶった議論になる部分もあるかもしれませんが、サービス供給を支える財源なり人 材面の基盤面につきまして現状と課題をどう考えるか、こういうところを御議論をいた だくという、こういう大きな流れで年内一巡の議論をお願いできればと考えておりま す。  最後の※につけておりますのは、社会保障審議会の障害者部会というのがございま す。これは定例的に毎年開いておりますので、おそらく具体的な開催の日程はまだ固ま ってはおりませんが、年内に開催することになろうかと思いますので、本検討会におけ ます議論の状況ですとか支援費の施行状況、こういうものにつきましては社会保障審議 会の障害者部会にも御報告をすることになろうかと思っております。以上、大まかな検 討の進め方でございます。とりあえず当面の検討の進め方については以上でございま す。  江草座長  ただいまの御説明につきまして御質問御意見をどうぞ。  中西委員  いまいただいて初めて見たんですが、今後の検討の進め方という(1)のサービス体系 の在り方についてですが、いままでこれだけヒアリングを聞いてきて、そのことを全く 見直す、分析するということがやられないで先に進んでいくというのが非常に不安な気 がするんですね。やはりサービスメニューの在り方というのなら、いままで国内及び諸 外国の先進事例のサービスメニューが出てきたものですから、こういうものを分析して みんなで議論して、新たなサービスメニュー体系が日本でどういうふうに作っていける だろうというふうな具体的な議論に入れないんだろうか。  現行制度上のサービスメニューというのはもう重々承知しているので、こういうこと は報告してもらわなくていいかなと思いますし、利用状況とか、そういうものについて も大体データを見ればわかることなので、この内容をもう少し高度なものにして、僕の 提案書の中では知的障害者の地域生活支援についてはそういう先進事例の分析をやっ て、地域でのネットワークの在り方や知的障害者の地域支援、自立生活の事例検討など を含めて具体的にやっていった方がいいように思います。それでそういうふうな内容を 含めた具体的なものをやっていくについては、もう少しグループワークなどを深めてこ こに持ち上げてくるというふうなことも必要かと思います。  あとは第二番目のケアマネジメント等のシステムという在り方なんですが、ケアマネ ジメントというのはサービスがあってはじめてできるものなんですね。ところが知的の 地域サービスメニューというのはほとんどないという中で、サービスメニューをまず議 論して、こういうサービスメニューでケアマネジメントできるよというふうな入り方を しないと、現行のサービスの中でケアマネージャーがいて、どういうふうにやるんだと いう議論をやるとなると、もうこれはケアマネージャー検討委員会で4年間もやられて きた内容があるものですから、そこを参照すればいいのかなというふうな気がします。  また二番目の中で地方三団体からのヒアリングという、地方の行政からの意見を聞く ということなんですが、これもいままで三団体ぐらい聞いてきましたし、その中身をふ まえて議論はできるのではないか。現実にはサービス提供が進んでいないという実態が あからさまになってきたのかな、支援費制度を作ったけど実際にはサービスがなかなか 広がらない、知的においては非常に広がらないんだ、原因は何なんだということをここ でやはり究明する作業というのは支援費の現状分析というのは徹底的にやらなきゃあい けない第二の課題だというふうに思います。  サービス供給される基盤の問題、これは我々は早急にやらなきゃあいけないなと思い ます。財源問題、今年度の予算獲得はどのぐらい進んでいるのか、我々も非常に不安な ところですし、この問題をいくつかもう既にサービスレベルが低下した地域の問題がご ざいますので、そういう具体的な問題を地方の過疎的な小さな町、それからもう一つは 施設、よいサービスを持っているために近県から流入してきた障害者の自立のために財 政的な圧迫を受けている問題、こういう問題はやはり国の制度改革をはかる場であるこ こで議論しないと解決しない問題かなと思っています。  高原課長  いま中西委員から多岐にわたる御意見を頂戴したわけですが、まずグループホーム別 に分けて一種ワーキンググループみたいなものを検討していただくかどうか、これにつ いてはたしか以前にも御提案いただいたかと思いますが、その時もお答えしましたよう に、これだけお忙しい委員の先生方に大体月に二回ペースで精力的に御議論いただいて いる。やはり全ての委員の皆さんにできるだけ情報を共有化していただきながら、今後 の在り方を幅広く御議論いただくという意味でいいますと、私ども事務局としてはでき るだけ今後ともワーキンググループという形ではなくて、この検討会の場を精力的に開 催させていだたくことによって議論を深めていきたいと考えておるというのが第一点で ございます。  それから今後の望ましい在り方、いろいろな先進事例なんかも分析して議論をする必 要があるんじゃないかという、この御指摘はまさにその通りだというふうに私ども思っ ておりまして、別に大括りな整理をさせていただいておりますが、そういうことといま の御提案と私どもの考え方も特に違った点はないと思っております。  ただ、私どもとしてはやはり現状をきちんと整理をする、それもできるだけデータに 基づいて現状を把握し整理をして、課題を抽出して今後の在り方を考えていくというふ うに進めていきたいと思っておりますので、そういう意味でできるだけいまやっており ます調査を急ぎまして、秋口に順次データをお示ししながら御議論をさせていただく、 そういう形で進めていきたいと思っております。  江草座長  はい、安藤さん、どうぞ。  安藤委員  私はこの検討会の性格づけがはじめの時点からよくわからなかったわけです。国の社 会保障とか障害者関係の福祉については社会保障審議会があって、その下に障害者部会 などがあるわけですが、基本的な問題については、そこで決定するというようなことに なっていますが、今回の検討会についてはホームヘルプサービスの上限の問題に絞った 審議になるのかと思ったんですが、地域生活支援の在り方全般についての審議となって きているわけですね。  これからも結局社会保障審議会障害部会にいままでの経過を報告する、報告してそこ でどう決定するかわかりませんが、この検討会のゴールはどこにあるんでしょうか。検 討会で一定の結論が出たものの、拘束力とか予算の関係とか施策とかにどう関係してく るのか、つまりこの検討会の結論というものはこの障害者部会に報告をし、この障害者 部会での結論持ち越しになるのか、それがはっきりしないんですが、これは難しいん じゃないかと思うんですが、私ははじめの時に中西さんの意見について次年度まで持ち 込むのはこの検討会の荷が重いのではないかと言ったことがあるのですが、つまり検討 会のきちっとした位置づけを行われるということではどうでしょうか。  高原課長  いまの安藤委員の御指摘ですが、まずこの検討会の発足の経過からもございましたよ うに、ホームヘルプサービスとその国庫補助基準の在り方については、これは明確に具 体的な検討テーマとしてございますので、この検討会で御議論をいただき、その検討結 果を私どもの施策に反映を参考にさせていただくということだろうと思っております。  ただ、この1回目の時にも申し上げたかもしれませんが、ただこのホームヘルプの国 庫補助基準の在り方だけを御議論いただくということではなくて、おそらくそういう問 題を議論していく中で、当然、じゃあ地域生活を支えていく施策の在り方が全体的にど ういうふうに考えればいいのか、それをいろいろデータも見ながらオープンにその議論 をしていただく必要があるのではないかというふうに申し上げたかと思いますが、です からデータに基づきオープンに御議論をいただく中で、ホームヘルプの国庫補助基準に 限らない問題についても、いろいろ御意見を頂戴していくというのはこの検討会として ぜひお願いできればと思います。  ただ御指摘のように、じゃあそれをこの場でどうやって、どこまで決定できるのかと いうことにつきましては、これはやはり具体的な検討テーマでありますホームヘルプの 国庫補助基準の在り方とはやや違う面があるんだろうと思っております。それはやはり 御指摘のあったような社会保障審議会の部会なり何なりに御報告していく、そういう審 議会の中でお決めいただく部分が当然ございますでしょうし、ですからそこのところは 少し検討テーマに応じて、この検討会でどこまで結論めいたものをまとめていくかとい うのは、やや濃淡があるのかなと考えております。  江草座長  安藤さん、いいですか。では大濱さん、どうぞ。  大濱委員  いまの御回答があまりよくわからなくて、その濃淡があるという意味合いが非常によ くわからないんですが、要はこの検討会で、例えばサービスメニューも含めてなんです が、例えば新たなサービスメニューが必要だとか、そういうことが検討会としてある程 度結論が出たら、例えばそれは社会保障審議会の障害者部会の中で諮らなくても、その 検討会独自としてある程度縛りがあるのか、例えばそれと今度は予算と関係して、裁量 的な経費とか義務的な経費の問題もあると思うのですが、それもこの検討会の中でおか しいよということになったら、それはかなり縛られるものなのかどうなのか、そこらへ んをちょっとはっきりお答え願えればと思います。  高原課長  まずこの検討会は社会・援護局長の私的懇談会ということで設置をされておるわけで ございます。ここの検討会で出た御意見を参考にさせていただいて、局長の私的懇談会 ということでございますので、社会・援護局障害保健福祉部が施策を考えていく上での 参考にさせていただくというのが基本的な位置づけであろうかと思います。そういう意 味であまり範囲を絞っていくとかということではなくて、幅広く御議論をいただいて、 それを私ども役所として参考にさせていただくということかと、それが基本かと思って おります。  ただ、審議会といいますのは、これは法律に基づいて設置されている機関でございま すし、ある意味で権限が明確になっておるわけでございますから、その審議会で御議論 をいただいて決めなくてはいけないことというのは、これは自ずから審議会で委ねて御 議論をしていただく、そういう意味でこの検討会での検討状況も適宜御報告をしてい く、こういうことになるのではないかと思っております。  京極委員  私は障害者部会長なのでちょっと発言しにくいんですが、高原課長から先程ありまし たのは、中間報告をとりあえず障害者部会にしないと、開店休業になってしまいますの で、そういう意味だと思います。ただ、審議会全体としますと障害者部会もこの検討会 の成果を受けてやりたい、この検討会自身が河村局長の英断で積極的に開くということ で、こういう場を設けていただいたので、いろんな形で現場の意見が反映された大変素 晴らしい検討会だと思いますので、それを受けてじゃあどうするのか、その時にいまた しかにヘルパーの上限問題が契機になって開かれたのですが、例えば介護保険とのセッ ティングをどう考えたらいいかとか、いろんな課題がありました。  今日、山口県立大学の田中先生から非常に参考になる御意見も伺いましたので、そう いことも一つ材料に入れながら、もうちょっと突っ込んでいただいた方が我々審議会の メンバーとしても受け止めやすい、この中にも審議会のメンバーにダブッている方もい らっしゃいますので、そういうことでざっくばらんに言いたいことをきちっと言って、 最後にまとめていくということにしないといけないんじゃないか。  それから時間が限られていますので、たしかに予算上の問題はもう概算要求が出てき ますのでアレですが、ただいつまでも議論をしているわけにもいかないということにな りますと、今日事務局で出たような三つの柱に基づいて一応議論をして、それで必要に 応じて中西委員がおっしゃったようなことで、いいテーマがヒアリングでも必要な方が いればお呼びしてもいいだろうし、組み合わせてやっていけばどうかと思います。  特にこの検討会には事業を運営している方がいらっしゃいますので、もうちょっと詳 しい資料を提供していただくこともあり得るし、それからメニューだけじゃなくて、障 害類型別のサービスコストの試算とか、週間ケアプランというのは介護保険にはあるん ですが、そんなものがもしありましたら大胆な仮説に基づいてコスト計算なども議論し たい、コストを抜きに政策をいくら議論しても結局国家財政をどうするかということに なりますので、そこにもちょっと踏み込んだ議論を事務局の方から資料も提供していた だいて、細かい統計資料はないと思いますが、一応の試算みたいなものがありました ら、ちょっと作業をしていただいて、それも含めて議論したらどうかと思っておりま す。以上です。  江草座長  大変いいまとめといいますか、私たちがこうして議論したことを障害者部会の方へ申 し上げて、障害者部会ではそれを大いに参考にしていただいて、施策に、我々の言う施 策とはちょっと違った形の施策ですね、立場上多少違うわけですが、審議会と検討会は 違いますから、そこでやっていただくということであろうかと思います。  太田委員  私の記憶によれば、第3回、第4回については前回の議事録が配布されたのですが、 第5回以降は議事録が配布されてなくて、議事概要のみになっているのはどういう経緯 でしょうか。  高原課長  ちょっと作業が遅れていまして大変申し訳ございません。今日第4回目の議事録の案 をお配りをさせていただくというふうにしております。第5回の検討会の議事録につき ましては、いま作業をしておりますのでもう少し時間を頂戴したいと思います。  江草座長  それではそろそろ時間も迫りましたから、次回以降の日程について御説明をいただけ ますでしょうか。  高原課長  それでは9月は二回予定をさせていただいております。最初が9月8日の月曜日14時 からということで、厚生労働省内の会議室で開催をいたしたいと思っております。この 会におきましてはサービス体系の在り方につきまして御議論をいただくということで、 先程京極委員の方から御指摘のありました点につきましても少し事務局で工夫をした資 料を作りますのと、あとは本検討会の委員の先生方にも個別にお願いをして、いろんな データ提供をお願いをしたいと思っております。  あとはこれまでの検討会でもお話がございましたが、サービスメニューの議論をする 時に6月にまとまりました高齢者介護研究会の報告書、これも参考になろうかと思いま すので、ぜひ高橋紘士委員の方から御報告をしていただければと思っております。あわ せて事務局から概算要求についての御報告をさせていただくこととしたいと思っており ます。  それから9月後半は9月30日で、その回は恐縮ですが午前中、10時から12時というこ とで予定をさせていただいております。それから日程だけ申しますと、10月につきまし ても二回日程を頂戴できればというふうに思っておりまして、現時点で考えております のは10月14日午後、それから10月28日の午前、この二回日程を頂戴できればと考えてお ります。議事録につきましてはいま4回目の議事録はお配りしておりますので、お目通 しをいただければと思っております。また、本日の検討会の議事概要につきましては、 座長と御相談をいたしまして、事務局の方で早急にまとめましてホームページで公表さ せていただきたいと思っております。以上でございます。  江草座長  ありがとうございました。ちょうど時間がまいりましたので、今日は休みも取りませ ず引き続いてやって申し訳ございませんでした。何とか時間内に収まりそうでございま す。お疲れ様でした。これで閉会させていただきます。ありがとうございました。 照会先           [障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会事務局]                            厚生労働省社会・援護局                            障害保健福祉部障害福祉課                             川端、牧野(内線3043)                             TEL 03−5253−1111                             FAX 03−3591−8914