03/08/08 薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会　平成１５年８月８日議事録


薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録


１．日時及び場所
　　平成１５年８月８日（金）　１４：００～
　　医薬品医療機器審査センター第２会議室
  　　　　　
２．出席委員（１１名）五十音順
　　井　上　和　秀、◎河　村　信　夫、　小　嶋　茂　雄、　櫻　井　秀　也、
　　首　藤　紘　一、　谷川原　祐　介、○長　尾　　　拓、　長谷川　紘　司、
　　樋　口　輝　彦、　藤　上　雅　子、　村　勢　敏　郎　
　　（注）　◎部会長　○部会長代理
他　参考人２名
　 欠席委員（５名）
岩　﨑　　　学、　金　井　　　淳、　堺　　　秀　人、　南　部　鶴　彦、
早　川　　　浩

３．行政機関出席者
　　鶴　田　康　則（大臣官房審議官）、　安　倍　道　治（審査管理課長）、
　　黒　川　達　夫（安全対策課長）、
　　豊　 島　　 聰（医薬品医療機器審査センター長）、
　　姫　野　孝　雄（医薬品医療機器審査センター企画主幹）、
　　平　山　佳　伸（医薬品医療機器審査センター審査第一部長）、
　　森　　　和　彦（医薬品医療機器審査センター審査第二部長）、
　　辻　村　信　正（医薬品医療機器審査センター審査第三部長）　　他

４．備　　考
　　本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。


○審査管理課長　それでは定刻になりましたので、ただいまより薬事・食品衛生審議会
医薬品第一部会を開催させていただきます。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、
誠にありがとうございます。当部会の委員数は17名でございます。本日まだ長谷川委員
が御到着ではございませんけれども、10名の御出席をいただいておりますので、定足数
に達していることを御報告させていただきます。欠席委員といたしましては、岩﨑委員、
金井委員、堺委員、南部委員、早川委員、矢崎委員でございます。
　最初に委員の交代がございましたので、御紹介させていただきます。菅谷委員が御退
任されまして、その後任に日本医師会常任理事の櫻井委員が御参加されることになりま
した。先生、どうぞよろしくお願いいたします。
○櫻井委員　櫻井でございます。よろしくお願いします。
○審査管理課長　また本日の専門委員として、議題３で山形大学医学部眼科教授の山下
先生に、それから議題４で東京大学医学部附属病院感染症内科助教授の小池先生にお越
しいただくことになっております。どうぞよろしくお願いいたします。では、以後の進
行を河村部会長、どうぞよろしくお願いいたします。
○河村部会長　では本日の審議に入らせていただきますけれども、その前に事務局から
配付資料の確認と、資料作成に関与された委員の報告をお願いいたします。
○事務局　それでは資料の御確認をさせていただきます。資料１～７までがあらかじめ
お送りしたものでございます。本日の席上配付資料といたしまして、議事次第、当部会
の座席表、委員名簿、それから資料８といたしまして、「医薬品第一部会審議品目の薬
事分科会における取扱い、毒薬・劇薬の指定の要否及び生物由来製品/特定生物由来製品
の指定の要否について(案)」、それから資料９といたしまして専門委員の名簿をお配り
しております。それから、平成13年１月23日の薬事分科会申合せに基づく資料作成に
関与された委員の確認でありますが、本日の議題２に関しまして岩﨑委員、堺委員が関
与されております。そのほかの議題については関与委員はいらっしゃいません。以上で
ございます。
○河村部会長　ありがとうございました。御確認いただけましたでしょうか。本日は審
議事項が４議題、報告事項が３議題となっておりますけれども、山下先生が遠くからお
見えになっておりますので、お許しを賜って議題３から先にやらせていただこうと思い
ます。よろしくお願いいたします。では部会長の職権で、議題３から始めていただきま
す。事務局の方から御説明をお願いします。
──　長谷川委員着席　──
○事務局　それでは資料３、ビスダイン静注用15mgについて御説明させていただきます。
　本剤の有効成分ベルテポルフィンは690nm付近の光を吸収して活性化される光感受性
物質であり、薬剤投与後光照射することで、局所的に血管を閉塞させることを目的とした
光線力学的療法で、癌領域では同様の治療法が承認されております。本剤は希少疾病用医
薬品として指定されており、これまでに本邦で加齢黄斑変性症を効能・効果とする薬剤は
承認されておりません。なお、本剤は米国、英国等71か国で加齢黄斑変性症に対して承
認されております。
　審査内容でございますが、本品目の専門協議においては、本日お越しいただいている山
下委員を始め、別紙に示す青柳委員、久保田委員、齊藤委員、奈良間委員、林(邦)委員、
林(眞)委員、林(正)委員、森田委員、安田委員の10名の専門委員を部会長名で指名させ
ていただきました。
　規格でございますが、審査の過程で記載整備等を行っていますけれども、最終的に適切
に設定されたと判断しております。本剤は３年間までの安定性が確認されております。
　毒性については、本薬が光活性化されたことによる照射部の皮膚障害等が認められてお
りますが、通常の室内光等では問題ないと考えられました。また、血液毒性等についても
確認しております。
　薬理作用については、サルの脈絡膜新生血管モデル等で血管閉塞作用が確認されてお
り、作用機序としては、本薬が光活性化されることによって生成するラジカルが血管内皮
細胞を損傷させ、閉塞させると考えられております。なお、麻酔ブタにおいてアナフィラ
キシーショックが一部認められておりますけれども、これはブタ特有のものであり、ヒト
で発現する可能性は低いと考えられました。実際に、ヒトで発現したという報告はこれま
でに得られておりません。
　ＡＤＭＥについてですが、６mg/m2で10分間静脈内投与したとき血漿中濃度は1.32μ
g/mL、半減期は5.72時間ということでございました。本薬はエステラーゼにより代謝さ
れ、ＣＹＰによる代謝は関与していないと考えられます。審査では、薬物動態の変動要因
等について検討しております。
　臨床試験についてですが、海外での試験結果を踏まえて、国内で実施された第III相試験
における治療12か月後の新生血管進展率は18.8％であり、新生血管の閉塞効果と視力と
の相関性が確認されております。また、海外ではプラセボ対照試験が実施されており、24
か月までの期間で、プラセボと比較して有意な視力低下の抑制が確認されております。国
内での試験結果は、海外で実施されたプラセボ対照試験及び国内外での自然経過等と比較
した場合にも、有効性が示されていると考えられました。
　安全性については、本剤投与後の光過敏反応を防止するため、２日間は必ず強い光から
の暴露を避ける必要があり、また、視力低下等の視覚障害、注射部位に関連した痛み等が
認められており、これらの点につきましては添付文書で注意喚起をいたしました。
　したがって、本剤につきましてはレーザーによる光照射等の技術、本剤投与時に発現す
るリスクについて十分に理解し、治療方法について習熟した上で投与することが必要と考
えております。
　以上の審査を踏まえ、本剤については講習等を事前に実施すること、全例調査を実施し
て副作用、長期の影響等について検討することを承認条件として、承認して差し支えない
との結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本薬は新
有効成分含有医薬品で、製剤は劇薬に該当し、生物製剤には該当せず、再審査期間は希少
疾病用医薬品であることから10年間、薬事分科会には報告を予定しております。
　なお、本日御欠席でございますけれども、堺委員、金井委員からのコメントを頂いてお
りますので、簡単に御説明させていただきます。
　まず堺委員の方から、動物で認められた催奇形性について、添付文書上の記載を少し整
備してはどうかという御意見を頂いております。この点につきましては、実際に無眼球症
あるいは肋骨の湾曲増加等が見られておりますけれども、このＡＭＤ(加齢黄斑変性症)
患者そのものが高齢で、妊娠の可能性がある婦人等に本剤が投与される可能性はほとんど
ないと考えられること、それから実際に認められている所見が臨床用量よりもかなり高濃
度、10倍以上あるいは40倍以上の用量で認められておりますので、ヒトで発現する可能
性は低いだろうということ、それから他の同様の催奇形作用を有している薬剤の注意喚起
等を考えますと、現在実際に妊娠している可能性のある婦人の項において記載している注
意喚起で適切ではないかと考えております。
　それから金井委員の方から、一つは今「警告」等で講習を受けた医師のみが使用すると
いう、その医師については眼科専門医とすべきということで、この点については訂正させ
ていただきたいと考えております。それからもう一点は、角膜混濁で実際に眼底検査が困
難な患者は禁忌とすべきというお話がございまして、これについても白内障の混濁が強い
患者の場合には同様に禁忌としていますので、同様の並びでこの角膜混濁の患者について
も禁忌とさせていただきたいと考えております。
　それから規定の講習会を受講した医師のみが使用したときというこの講習会について
は、日本眼科学会がサポートすべきではないかというコメントを頂いております。この点
については事務局としても、全例調査や講習会等が適切に実施されるよう指導していきた
い、あるいは日本眼科学会と協力といったことも考えていきたいと思っております。
　それから「48時間以内に緊急手術を要する場合は、できる限り内部組織を強い光から
保護すること」と「警告」に書かせていただいておりまして、実際にはどのようにするの
かということでございます。実際にはシート等で覆ってやるということでございますが、
最終的に局所的に光が当たった場合の光過敏反応については起こる可能性はあるという
ことで、そのような場合にも手術室で即時に対応すれば問題となるようなものはないので
はないかと考えております。海外市販後にも48時間以内に緊急手術をしたという症例も
確認されておりますが、そのときに何か問題があったということは報告されておりませ
ん。
　それから承認条件として「市販後の一定期間」ということで、その期間についてはある
程度年限を明示した方がいいのではないかというコメントを頂いております。この点につ
いては、今まず１年程度全例調査をやってみるとしておりますので、その結果をもってい
つまで入院を義務付けるかということは再度検討させていただきたいと考えております。
１年程度の全例調査の結果に問題がなければ、その時点で解除するということも考えられ
るのではないかと思います。したがって、現時点で具体的に年限を明記することは困難と
考えております。
　それから薬剤の半減期は５時間程度ということで、入院時間は24時間程度でいいので
はないかという御質問を頂いております。確かに半減期は５時間ですけれども、定量限界
になるには48時間程度掛かるという結果が得られております。それと、実際の症例とし
ては３日目に光過敏反応を起こしたということも確認されておりますので、我々としては
最低48時間は入院管理をすべきであろうと判断しておりまして、その後３～５日程度は
なるべく光からの暴露を避けることが望ましいという注意喚起を添付文書で記載させて
いただいているところでございます。
　以上が堺委員、金井委員のコメント、及びそれに対する事務局の考えでございます。概
略は以上です。
○河村部会長　御苦労様でございました。お聞きのようにポルフィリン系の薬であって、
黄斑変性症に対してこの薬を静脈注射しておいてレーザーを照射するという器械と薬と
セットになっての治療のようでございますから、それほど反復投与するということはない
のだろうと思いますが、大体そうですね。
○事務局　この薬はまず単回投与で、投与10分後にレーザー照射すると。その後は３か
月間経過を見て、もし３か月後にまた漏出が見られたら再度治療するかもしれませんが、
連続で反復投与するということはないと思います。
○河村部会長　山下先生、何か御追加、コメントがございましたらお願いいたします。
○山下専門委員　この薬の対象になっている加齢黄斑変性症という病気について、ちょっ
とお話しさせていただきたいのです。失明の原因として余り聞き慣れない先生もいらっし
ゃるかもしれませんけれども、欧米、特に白人では非常に多くて、日本人ではまだそれほ
ど多いというわけではなくて、いわゆる糖尿病や緑内障に比べれば少ないのですが、生活
のパターンが欧米化するに従ってどんどん増えてきております。特にこの病気の一番困っ
た点は、中心窩といういわゆる視力を出すのに一番大事なところに病気が発生すると。そ
こにレーザー治療をそのままやりますと、治療によって視力を失ってしまうということが
あります。そのために今おっしゃっていただいたように、まずお薬を入れて非常にロード
ースのレーザーでも病気を治せるようにするという治療で、眼科領域では画期的であると
同時に、これのほかに代替の治療法が全く存在しませんので、眼科の臨床の面から言いま
すと非常に期待されているという状況であります。以上です。よろしくお願いいたします。
○河村部会長　各委員の先生、御質問、御討論がございましたらどうぞ。私が気になりま
したのは、60歳以上でＡＵＣがかなり広くなるということですけれども、これは別に広
くなってもよく効くという程度に考えていればよろしいですか。
○事務局　薬物動態の観点につきましては、確かに健康成人と比べると高齢者で多少高く
なるということはございますが、今回実際に臨床試験でエントリーされた症例はほとんど
60歳以上、65歳以上、あるいは70歳など、この疾病自体が高齢者に特有の疾病であると
いうことから、安全性や有効性の面では十分臨床試験で実証されたと考えています。ただ、
実際に日本人の患者の薬物動態の観点でどの程度影響があるのかという点については確
認すべきだということで、そこは市販後の中でモニターするように申請者の方に指導して
おりまして、実際に計画ができつつあるという状況でございます。
○河村部会長　どなたかございましょうか。山下先生に伺いたいのですが、これはまだ日
本では少ない病気であるということになると、眼科開業の各先生、眼科を持つ各病院が全
部この器械を備えてやれるという構えにはならないでしょうね。恐らく器械を貸し出すと
いうことになるのでしょうね。
○山下専門委員　そうですね、器械の値段にもよると思うのですけれども、現時点でほか
に治療法がないと言いましたが、中心窩といいますか、中心から少し外れたところはこの
薬を使わなくてもできますので、実際にレーザー治療をやっております。そういう病気の
治療法が非常に難しいものですから、その地区でのいわばセンター的な病院に患者さんが
集まってくる傾向がありまして、恐らくこういうシステムを認可していただきましたら、
今の時点ではまずそういうところに入って、このようなことを期待している患者さんをま
ず治療すると。ただ、実際に何倍になっているかというきちんとした数字はありませんけ
れども、かなりの数が出てきておりますし、そういう意味では一般の開業医さんでも、き
ちんと勉強して資格を取ればやりたいという方はかなり出てきておりますので、治療を担
当する医者はこれから増えていくとは思っております。
○河村部会長　きちんと勉強してきちんとやりたいという先生ばかりならいいのですけ
れども、この薬剤あるいは器械を売りたいという方ですと、先生、貸してあげますからと
にかくやってごらんなさいということになるのではないかと。発売後のことはこの部会で
考えるべきことでもないのですけれども、眼科の専門医と今縛りがありますが、命にかか
わらないからというので内科にも小児科にもお勧めになるという事態…、例えば眼科でこ
のように器械を貸し出して何かの治療をなさるということは多いですか。
○山下専門委員　今の時点ではそのようなことは余りありません。眼科医というのはいわ
ば中心窩が一番怖い存在なのです。普通の眼科医はここを触るという治療は余りやりたが
りません。今の時点でほかの病気で手術をするとか何とかという、全部やはり専門家に送
りますので、先生がおっしゃるように眼科医がどんどん無謀にやっていくという雰囲気は
ありません。ただ、正におっしゃっていただいたように、薬と器械を貸しますからどんど
んやりましょうと言われた場合にほかの科の先生が非常に困ると思いますので、今事務局
の方からも言っていただいたように、日本眼科学会の方でなるべくきちんとしたレギュレ
ーションをしたいと。これは私の権限でここで申し上げることはできませんけれども、日
本眼科学会の方から器械屋さん、薬屋さんにかなりアピールしていくということがやはり
必要になるのではないかと思っております。
○河村部会長　少々安心いたしました。事務局、どうぞ。
○事務局　少し補足させていただきますが、その点についても我々としては一応承認条件
を付けて、とにかくきちんとした講習を受けた医師の方にまずやっていただきたいと。眼
科領域ではこういうＰＤＴ治療が初めてであるということもありまして、今の部会長の御
懸念の点について、我々も審査の中でディスカッションしております。したがいまして、
まず最初は日本眼科学会、現在田野先生を中心としたメンバーで講習会が開催される予定
になっておりますけれども、そういったところできちんと講習を受けていただいて、この
ＰＤＴ治療のリスクと有効性を認識している方のところにしか納入しないということを
条件にしております。まずはそういう状況の中で、このＰＤＴ治療をきちんと安全かつ有
効にできる環境作りをしていっていただきたいと考えております。
○河村部会長　御説明を受けましたが、ほかに御発言はございますか。どうぞ、谷川原委
員。
○谷川原委員　１点お伺いしたいのですけれども、マウスの組織分布のデータが「資料概
要」のヘ-24ページにあるのですが、ターゲットとなる眼の組織に比べてそれ以上に濃度
が高くなる組織が幾つかありまして、特に肝臓への移行量が眼の濃度の100倍ぐらい高い
のですが、これは本当に光の照射がなかったら絶対に活性化しないというか、その辺りの
安全性はどうなのでしょう。副作用を見ると肝臓はＡＳＴ、ＡＬＴの上昇なども若干出て
いるのですけれども、その辺りの安全性はいかがなのでしょうか。
○事務局　おっしゃるように、確かに特に眼だけに分布するという薬ではありませんの
で、そのほかの臓器への影響は認められますけれども、この薬そのものの毒性試験をやっ
ておりますので、活性化されない場合のこの薬の毒性についても一応担保しているという
ことがございます。この薬は光を当てると光毒性、ラジカルが発生してその周囲の組織を
閉塞させるという作用がございまして、光の当たるような場合、例えば動物の皮膚などに
もこの薬は分布しますので、その皮膚に光照射すれば当然そこで毒性が認められる、皮膚
障害が起こるということは分かっております。
　しかし、内臓臓器の場合にはそこまで光が到達するということになっておりませんし、
実際に動物を少しランプの下で飼ってもそういったことは起こっておりませんので、そう
いう意味では毒性試験の結果からこの薬自体の毒性プロファイルは一応担保されている
と考えております。また、光活性化したときの毒性についても、一応スポット的な試験を
やっておりますので、その二つの試験を合わせれば従来の毒性学的な考え方からヒトへの
安全性は担保されると考えております。それは実際にヒトでの臨床試験のときに、確かに
今先生がおっしゃったようなパラメーターが動いていることは動いておりますけれども、
特に重篤なものは認められておりませんので、この薬が活性化されない状況で特に何か重
大な副作用が起こるとは我々は考えておりません。
○谷川原委員　よく分かりましたが、あともう一つ確認したいのはこの化合物のいわゆる
ケミカルな性質として、光が当たらないと活性化して活性酸素を出すことは絶対ないとい
う判断でよろしいですか。
○事務局　一重項酸素やスーパーオキシドラジカルの生成量を見た試験がございますけ
れども、光活性化しない状況では増えていないというデータがございますので、そういう
ものに対する組織障害は認められないだろうと思います。
○河村部会長　ほかに御発言はございますか。よろしゅうございますか。では、ここでは
一応承認を可として、薬事分科会の方へ報告ということにさせていただきます。どうもあ
りがとうございました。山下先生、お忙しいところどうもありがとうございました。
　議題１の方へ戻らせていただきたいと思います。議題１、塩酸プラミペキソール水和物、
シフロール錠というものでございます。御説明をお願いします。
──　山下専門委員退席　──
○事務局　資料１、塩酸プラミペキソール水和物、シフロール錠0.125mg及び0.5mg、
一般名塩酸プラミペキソール水和物について審査センターより御説明いたします。
　本薬は、ドイツ、ベーリンガーインゲルハイム社により開発された非麦角系ドパミン
Ｄ２受容体作動薬であり、1997年７月に初めて米国で承認され、2003年３月現在欧州連
合を含む45か国で承認されています。本邦における開発は、ICH E5ガイドラインを適
用し、国内におけるL-DOPA併用第III相比較試験を、海外で実施されたL-DOPA併用第III
相比較試験のブリッジング試験として実施し、海外で実施したL-DOPA非併用第III相比較
試験及びL-DOPA併用長期投与試験の結果を外挿するComplete Clinical Data Package
の構成で申請されました。
　本薬の専門協議については、本部会委員である岩﨑委員を始めとして、資料９の青柳
委員、岩田委員、江馬委員、小野委員、中島委員、長谷川委員、林委員、福島委員、松
本委員、安原委員の11名の専門委員が指名されました。
　次に、審査の概要について御説明いたします。規格、安定性、毒性及び薬理について
は、審査の過程において申請者から適切な対応がなされ、特に問題はないと判断いたし
ました。
　ＡＤＭＥに関しては、本薬はヒトにおいてバイオアベイラビリティが高く、食事の影
響を大きくは受けず、蛋白結合率は低く、代謝をほとんど受けず、未変化体として主に
尿中に排泄されるという特徴を有します。日本人と外国人との薬物動態の比較は、健康
成人への単回及び反復投与時の薬物動態パラメーター及びパーキンソン病患者における
定常状態時トラフ濃度の比較が行われ、大きな差はないと判断しました。また、本薬は
有機カチオン輸送系により尿細管分泌されることが推定されており、カチオン輸送系を
介して腎排泄される薬物については併用注意とされました。
　臨床試験については、ブリッジング試験として実施された国内L-DOPA併用第III相比較
試験と、海外のL-DOPA併用第III相比較試験の結果を比較したところ、共通の主要評価項
目であるUnified Parkinson's Disease Rating Scale、略してUPDRSのPartII及びPart
IIIの合計スコア変化量において、両試験ともプラセボに対する優越性及び対照薬ブロモ
クリプチンに対する非劣性が示されていたことから、L-DOPA併用患者における海外長期
投与試験成績の外挿は可能であると判断いたしました。
　L-DOPA非併用患者における海外臨床試験成績の外挿については、L-DOPA併用例におけ
る国内外ブリッジングが成立していること、海外におけるL-DOPA併用及び非併用患者を
それぞれ対象とした第III相比較試験の双方で、本薬のプラセボに対する優越性が検証さ
れていることから、海外のL-DOPA非併用試験の成績は外挿可能であり、また国内臨床試
験のL-DOPA非併用例において示されている成績も、本薬のL-DOPA非併用患者に対する
有効性を否定するものではないと判断いたしました。
　安全性については国内に特異的な有害事象は認められず、また国内臨床試験において
発現率が高かった傾眠については、すべてのドパミン作動性薬剤において副作用として
記載されている突発的睡眠と併せて、添付文書の「重要な基本的注意」において注意喚
起することで、安全性の確保は可能であると判断いたしました。
　以上のような検討を行った結果、審査センターは本申請を承認して差し支えないと判
断し、医薬品第一部会において審議されることが適当と判断いたしました。本薬は新有
効成分含有医薬品で、再審査期間は６年、原体及び製剤は劇薬に該当し、また生物由来
製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、分科会へは報告が適当と判断してお
ります。
　ここで本日御欠席の堺委員からのコメントを御紹介させていただきます。パーキンソ
ン病重症度の判定とスコア化については、欧米のUPDRSと同程度の水準であるものと了
解する。欧米の試験との患者背景の違いについては、重症度の分布や投与前からの変化
量に大きな差がないことから、有効性の判断への影響が少ないものと思われる。有害事
象については欧米とほぼ同様の発現頻度を示しており、特に傾眠・幻覚が欧米よりも高
頻度に認められることは、他の有害事象と併せて市販後調査にて追跡すべきと考えると
いう御意見をちょうだいしております。
　本剤に関しては既に申請者から、承認された場合には長期使用に対する特別調査を含
めた市販後調査が実施されることになっておりまして、その中で御指摘いただいた有害
事象等については重点的に調査するように進めていきたいと考えております。以上でご
ざいます。御審議よろしくお願いいたします。
○河村部会長　ありがとうございました。以上のような御報告を賜りましたけれども、
御意見、御発言はございますか。どうぞ、樋口委員。
○樋口委員　コメントを送らせていただいたのですが、今述べられたように安全性とい
いますか、「副作用」のところで「前兆のない突発的睡眠」というものがあって、これ
は本剤に特有のものではなくドパミン作動薬に共通のものであると。ですからそういう
意味では、これまでに市販されたドパミン作動薬と同様の「重要な基本的注意」という
格好で記載されていると伺ったのですが、基本的にはそれで問題がないかとは思ったの
です。ただ最近、これは薬剤によって起こっているものではないですけれども、睡眠時
無呼吸症候群で眠ってしまった新幹線の運転手がいたり、いろいろな睡眠との関係のア
クシデントが社会的にも非常に問題になっているということがあって、ここの「重要な
基本的注意」の書き方をよく見るとほかの、例えば抗ヒスタミン剤や精神安定剤なども
みんな眠気を催すので、注意として書かれている内容とそれほど大きく変わらないです
ね。下手をするとみんな慣れっこになっていて読み過ごして、余り注意喚起されないと
いう危険性もあるかと思ったものですから、これはこのままでいいのですけれども、こ
れを使うドクターと服用する患者さんに、何らかの形でもう少し注意喚起するような情
報提供をしていく必要があるのではないかと感じました。以上です。
○河村部会長　従来の薬剤、あるいはドパミンと比較してはどうですか。
○事務局　まず、本剤を他のドパミン受容体作動薬と比較して突発的睡眠の発現がどう
かということに関してなのですが、欧州のＥＭＥＡの方でかなり議論されておりまして、
そこの中では突発的睡眠がドパミン受容体作動薬で起こるのではないかとはっきりと言
われるきっかけになった薬ではあるのです。本剤で特に高いかどうかは結論できないけ
れども、本剤と国内では未承認のロピニロールの２剤では、発現の頻度がどうも高そう
だということになっておりまして、欧米においてはドパミン作動薬の中でも、本剤とロ
ピニロールに関しては特に厳しめの注意喚起がなされているという実態がございます。
　そこで、特に本剤に関しては市販後の調査などで、例えば服用を始めてから１年以上
何でもなかった患者さんで、突然突発的な眠り込みが起きてしまうという事象も報告さ
れておりますので、具体的な注意喚起として例えば１年以上投薬された患者さんで突発
的睡眠が何例発現しているといったような、具体的にこういうところを気を付けてくだ
さいというのが分かるような文章を添付文書に盛り込むということが１点。それから本
剤に関しては、既に治験中から患者さん向けの注意喚起のパンフレットを配布しており
ますし、市販後に関しても患者さん向けと医療機関向けに、特に突発的睡眠に関する情
報提供ができるようなものを配布したいと申請者の方も考えておりますので、本剤に関
してはそのような２点から注意喚起を進めていくという方向を考えております。
○河村部会長　ただいまの御返事でよろしゅうございますか。
○樋口委員　結構でございます。
○河村部会長　ほかにございますか。これは同じ会社でタリペキソールというものを出
していて、どうやって売るのかということを前にも一応伺ったのですけれども、どうい
う返事でしたか。こちらも売り方まで関係しなくていいのですけれども、同じところで
２種類出ているものですから。
○事務局　タリペキソールに関しては、全くの日本国内だけのローカルドラッグという
状態でして、ベーリンガーとしてはできれば本剤の方に切り替えたいという考えである
と聞いております。しかし、タリペキソールはどうしても眠気が強いので、使われる患
者さんはかなり限られてはいるのですが、タリペキソールできちんとコントロールされ
ている患者さんがいる限りはきちんと供給を続けていくと。また、タリペキソールから
本剤に切り替えるような患者さんについては、どういう切替え方がいいかということを
市販後に十分調査して、そのような情報提供もしていきたいという回答を得ています。
○河村部会長　タリペキソールの方が眠気は多いのだけれども、突発的睡眠はこの薬の
方が多いということですか。
○事務局　国内の臨床試験成績の「傾眠」と呼ばれるものの発現率自体は、本剤とタリ
ペキソールに大きな差はありませんので、特にタリペキソールよりも本剤の方が眠気が
少ないかどうかは、今の臨床試験成績ではちょっと明らかになっておりません。
○河村部会長　御意見はございますか。よろしゅうございますか。では、これも承認と
いうことにして薬事分科会に報告させていただきます。どうもありがとうございました。
　専門委員の小池先生がお見えになったそうですので、お許しを頂いて次は議題４の方
をやらせていただきたいと思います。議題４はペガシス皮下注というもので、ペグイン
ターフェロンでございます。小池先生、お忙しいところどうもありがとうございます。
よろしくお願いいたします。では事務局の方で御説明をお願いいたします。
──　小池専門委員着席　──
○事務局　それでは議題４、資料４、医薬品ペガシス皮下注180μg及び同90μgの輸入
承認の可否等について、審査センターより御説明申し上げます。
　本剤の有効成分ペグインターフェロンアルファ-２ａ(遺伝子組換え)は、血中薬物消失
時間の延長を目的に、既存のインターフェロンアルファ-２ａ(遺伝子組換え)に分枝メト
キシポリエチレングリコール１分子を共有結合させたインターフェロン誘導体であり、□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□のペグ
化技術を得て開発したものでございます。Ｃ型慢性肝炎に対する既存のインターフェロン
アルファの標準的な治療方法は、治療初期に２～４週間の連日投与を行い、以後週３回の
間歇投与を行うものでございますが、本剤においては投与開始時から週１回投与とされて
おり、患者のコンプライアンスの向上及び医療従事者の負担の軽減が期待されます。また、
本剤は対象疾患が将来的に肝癌に進行するおそれのある重篤な疾患であること、週１回投
与により最近承認されたインターフェロンアルファ製剤と同程度の有効性を示したこと
から、優先審査品目に指定されております。なお、海外においては、2001年７月にスイ
スで承認されたのを始めとして、米国では2002年10月に承認され、現在では60か国以
上で承認されております。
　本剤の専門協議では本日の配付資料９の４枚目に示しますように、川西委員、菅野委員、
小長谷委員、米谷委員、小池委員、佐藤委員、高木委員、与芝委員、吉村委員の９名が専
門委員として指名されております。
　本剤の規格及び試験方法、毒性、薬理、吸収・分布・代謝・排泄に関して提出された資
料の内容は妥当であると判断いたしましたので、臨床試験成績について述べさせていただ
きます。まず有効性に関してですが、インターフェロンによる治療歴のないＣ型慢性肝炎
患者241例を対象とした国内第II相試験において、主要評価項目である48週の投与期間
終了後、経過観察期間24週時のHCV-RNA陰性化率は、本剤90μg群で27.1％、180μg群
で36.1％であり、対照薬である既存のインターフェロンアルファ-２ａ製剤群における
20.3％に比べ高い効果が認められております。また、ジェノタイプ１ｂかつ高ウイルス量
の症例での本剤180μg群のHCV-RNA陰性化率15.5％は、最近承認されたコンセンサスイ
ンターフェロンα製剤での陰性化率16.7％及びインターフェロンアルファ-２ｂとリバビ
リン併用療法での陰性化率17％と比べても遜色のないものでございました。ただし、本
剤のこの結果は第II相試験１本での成績であり、またインターフェロン既治療例での成績
は得られていないことより、市販後に有効性の再現性の確認も兼ねて、既治療例も対象に
含めた臨床試験を実施することとしております。
　次に、本剤の安全性に関してですが、国内第II相試験において、本剤180μg群では既
存のインターフェロンアルファ-２ａ製剤群と比較して発熱、倦怠感等のインフルエンザ
様症状など患者が自覚できる有害事象の発生頻度は低い傾向が認められましたが、一方、
血小板、赤血球、リンパ球の減少等血球系臨床検査値異常の発現頻度は明らかに高く、特
に出血に関連する有害事象発現率は本剤群で高いことが示されております。また、出血イ
ベントの半数以上が投与８週間までに、因果関係が否定できない重篤な有害事象及び投与
の中止を要した有害事象について、半数以上が投与12週までに発現していることから、
投与初期には特に集中的な注意が必要と判断いたしました。
　そこで、血球系臨床検査値異常の発現率及び重症度と投与前の検査値との関連性が示さ
れたことも考慮して、添付文書の「用法・用量に関連する使用上の注意」において、血球
系検査値に関する本剤の開始基準、減量基準及び中止基準を明記するとともに、検査結果
から重篤な有害事象発現のおそれのある患者については、投与開始から２週間は原則入院
させるような記載といたしました。また、「重要な基本的注意」の項に記載したように、
血液学的検査は投与開始後２週間は週２回以上、以後は各投与直前に検査を行い、投与終
了後も検査値が回復するまで定期的な検査を行うこと、及び生化学的検査は４週間ごとに
定期的に行うことといたしました。
　さらに、海外で高い有効性が示されている本剤とリバビリンとの併用療法に関しては、
有害事象の発現頻度が増加することが予想されることから、国内臨床試験によって日本人
での安全性が確立するまでは併用しないよう注意喚起いたしました。また、海外での臨床
試験及び市販後安全性情報においては、本剤の有害事象に起因すると思われる死亡例が少
なからず報告されていることから、申請者に市販後の安全確保を徹底する体制を求めたと
ころ、市販後１年間は施設・医師要件を確認して納入医療機関を限定し、流通も管理した
上で全例調査する旨の回答がなされております。
　なお、当初180μg製剤のみが申請されておりましたが、審査の過程で減量用の製剤が
必要であるとの結論に達し、90μg製剤が追加申請されております。
　以上のとおり、審査センターでの審査の結果、Ｃ型慢性肝炎患者におけるウイルス血症
に対する本剤の有用性は認められ、本効能に対する本剤の国内における臨床的有効性及び
安全性の更なる明確化を目的として、国内で適切な市販後臨床試験を行い報告することを
条件に承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議することが妥当と判断いた
しました。なお、本剤は再審査期間６年、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生
物由来製品には該当しないと判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しておりま
す。
　それから本日御欠席の堺先生よりコメントを頂いておりますので、御紹介させていただ
きます。インターフェロンアルファ-２ａとしてＣ型慢性肝炎への有効性と安全性が検討
されており、市販に値するものと考えられるが、臨床試験中に本製剤との因果関係を否定
し得ない有害事象が観察されていることから、市販後調査における追跡が必須と思われま
す。これに関しては先ほど御説明したとおり、市販後１年間は医療機関を限定し全例調査
という体制を採ろうとしております。では、御審議をどうぞよろしくお願い申し上げます。
○河村部会長　御説明ありがとうございました。小池先生、何か御追加してコメントはご
ざいますか。
○小池専門委員　参考委員として、我が国のＣ型肝炎の現状についてごく簡単に説明させ
ていただきます。御存じのようにＣ型肝炎というのは非常に慢性化率が高くて、現在150
万～200万人のキャリアの方がいらっしゃいます。その特徴は一たび活動性が起きると自
然に寛解しないと。つまり進行性でありまして、非常に高率に肝硬変あるいは肝癌になる
という点があります。したがって、肝癌による死亡が今年間３万4,000人弱おりますけれ
ども、そういった医療経済的な損失もかなり大きいということです。
　そして今このＣ型肝炎の我が国での標準的治療というのは、インターフェロンを含む治
療によってウイルスを排除するということなのですけれども、現在では先ほど出たインタ
ーフェロンアルファ-２ｂ＋リバビリンによる治療がスタンダードで、いろいろな理由で
リバビリン併用のできない人がコンセンサスインターフェロンなどを使っております。今
回のこのペガシスに関しては、それらの製剤とほぼ同等の治療効果が上げられたというこ
とで、また同時に海外におけるこの薬の治療の成績ともほぼ同等だと思います。
　この製剤の一番いいところは週１回投与であるということで、これまでの製剤では少な
くとも週３回外来で注射に通わなければいけないという点が非常に軽減されます。実際に
は仕事をしながら治療している人が多いものですから、これはメリットとしてかなり大き
いと思います。それから、いわゆる自覚症状としての有害事象が比較的軽度であるのもい
い点だと思います。ただ、先ほど説明にもあったように血球系の減少がやや多くて、しか
も持続製剤であるために一度減ると回復するまでに時間が掛かります。その辺が少し問題
だと思いますので、非常に注意して使う必要があると思います。
　それからもう一点だけちょっと気になるのは、海外では既にこの薬ペガシスとリバビリ
ンを併用するのが標準になっておりまして、今回ペガシスだけが認可されてリバビリンと
の併用を勝手に行われる可能性が危惧されるので、強く「警告」としてお願いしたいとい
うことが一番の点だと思います。以上でございます。
○河村部会長　以上のようなお話で優先審査だそうでございますが、どなたか御発言はご
ざいますか。小池先生、これは180という単位で申請されてきて、180と90を見るとや
はり有害事象は180の方がちょっと多くなっていると。効果はそれよりもっと少ない程度
だけれども、180の方が多いというように見られるのですが…。
○小池専門委員　効果は180の方があるようです。
○河村部会長　専門協議の方でやはり90の製剤もという御意見が出たということです
が、その辺の経緯をちょっとお聞かせいただけますか。
○小池専門委員　やはり先ほど血球系の減少が、従来のインターフェロン製剤に比べて強
くてちょっと長期にわたるということで、もし血球の減少がある程度のレベルを超えた場
合には、減量して使うことが望ましいと。ただし、180μgの製剤１本だと医療機関で目
分量というのも変ですけれども、減らさなければいけないので、是非少ない量の製剤も用
意していただけると、医療の現場では非常にやりやすいということをお願い申し上げまし
た。
○河村部会長　分かりました。α型のインターフェロンに比べて投与間隔が少ないといい
ますか、週１回で済むということがメリットであって、すみ分けというわけではないと。
これは次第に変わっていくものであろうというお考えでございますか。
○小池専門委員　先ほど申しましたように、今世界の標準的な治療はこの一般名ペグイン
ターフェロンとリバビリンの併用が主体なので、そういうところはそこに行く途中のこと
だとは思います。ただ、今現在の治療成績を考えればこの薬の意義は非常にあると思いま
すし、医療の現場としては待っている、是非認可されて使えるようにしてほしいというの
が一般的な思いだと思います。
○河村部会長　いかがでございましょうか。
○首藤委員　細かいところといいますか、大事なところかもしれないのですが、添付文書
で今お話があったリバビリンとの併用について、「警告」の２に「安全性が確立していな
いため、併用しないこと」と書いてあるので、これははっきりしているのですけれども、
その下の「＜効能・効果に関連する使用上の注意＞」には「併用しないこと」というのが
抜けていまして、これは何かちょっと言葉遣いが心配かなと思ったのです。
○河村部会長　どういう思わくがあるのかとお聞きになりたいわけですね。
○首藤委員　どちらも同じにしたらいいのではないかと。
○事務局　審査センターより御説明いたします。この「＜効能・効果に関連する使用上の
注意＞」は、どちらかというと「警告」というよりは効能の縛りを説明する場所でござい
まして、そういう意味からして「併用しないこと」とまでは書いておりません。
○谷川原委員　私も同じようなことを感じていたのですけれども、海外でスタンダードに
なっているリバビリンの併用を、現時点では「禁忌」と明確に位置付けるわけですね。「警
告」にはそう書いてありますから。例えば「３.相互作用」の「(１)併用禁忌」には載っ
ていない…、「警告」には書いてあるのですけれども、「(１)併用禁忌」には「リバビリ
ン」という項目がないのですが、これはよろしいのですか。
○小池専門委員　リバビリン併用がスタンダードと言ったせいで、そのような質問が出て
いるかもしれません。私が思っているのは、恐らく日本人に合った投与法が決定されてい
ないために、併用した場合に有害事象が起こる危険性が非常に大きいということです。恐
らく欧米でやっているリバビリンの量はかなり多いのです。同じようにやると、日本人で
は有害事象が相当増えてしまうのではないかと。それがきちんと評価されない以上は、や
はり併用しないようにと警告した方がいいのではないかということだと思います。
○河村部会長　これは近日エバリュエートされるであろうということなのですね。
○事務局　現在リバビリン併用の第III相試験が継続中でございまして、再来年の３月に終
了する予定となっております。
○谷川原委員　ただ、添付文書上の形式的なことだけを見ますと、「警告」に「併用しな
いこと」とあれば「使用上の注意」の「併用禁忌」に入れておいていただいた方が、一応
整合性は合うと思うのですけれども、いかがでしょうか。しかし、そこまで余り積極的に
は書きたくないという…。
○河村部会長　そこは事務的な取扱いになると思いますが、通例はどうなりますか。
○事務局　この「相互作用」のところは、どちらかといえば危ないという情報がある場合
に書かれておりますけれども、今回のケースは危ないかどうかがまだ未確定だという段階
ですので、今回は「警告」欄のみにしているのですが、この辺は安全対策課とも相談して
もう一回検討してみたいと思います。
○河村部会長　「禁忌」にしてあるけれども、治験は進行しているというのは何かおかし
いと思います。話が合わないと思いますけれども、そういうことだそうでございます。ほ
かにございますか。よろしゅうございましたら、優先審査だそうですし随分患者さんが待
っていますから…。
○谷川原委員　すみません、もし時間があれば…。余りこの場でお伺いするのが適切かど
うか分からないのですが、このパッケージの中で「Roche」の上に緑色のひし形があるの
ですけれども、これは何でしょうか。気にはなるのですけれども…。ひし形のべた塗りの
緑のマークが、これはどういう意味なのでしょう。
○事務局　会社のマークではないかと思うのですが、確認はしておりません。
○河村部会長　これは180と90を分けているのですか。
○谷川原委員　いえ、両方とも緑のマークが…、特にロゴでもなさそうなのですけれども
…。
○事務局　これについてはちょっと不明ですので、確認させていただきます。
○河村部会長　不明だそうでございます。それは後ほど会社に問い合わせていただくこと
として、さしたる大問題でなければ、一応これは承認ということにさせていただきたいと
思います。薬事分科会の方には報告になります。よろしゅうございますか。小池先生、お
忙しいところどうもありがとうございました。
　では続いて議題２のランタス注について、御説明をお願いします。
──　小池専門委員退席　──
○事務局　それでは議題２、資料２、医薬品ランタス注カート300及び同キット300の輸
入承認の可否等について、審査センターより御説明申し上げます。
　本剤の有効成分インスリングラルギン(遺伝子組換え)は、ヒトインスリンのＡ鎖21番
目のアスパラギンをグリシンに置換し、Ｂ鎖Ｃ末端に２個のアルギニン残基を付加したイ
ンスリンアナログであり、製剤は透明な溶液ですが、投与後、皮下の生理的pHで直ちに
等電点沈殿を起こし、緩徐に溶解・吸収される特性を有しており、より生理的な基礎イン
スリン分泌パターンの再現を目指して、ドイツヘキスト社(現アベンティス ファーマ社)
が開発したものでございます。既存の中間型インスリン製剤においては、血中インスリン
レベルの推移は一定ではなくピークが存在すること、持続時間が不十分であること等の問
題点があるのに対し、本剤は１日１回投与で24時間安定した効果が発現するとされてお
ります。なお、本剤は海外においては2000年４月に米国で、2000年６月にＥＵで承認さ
れ、現在40か国以上で承認を取得しております。
　本剤の専門協議では本日の配付資料９の３枚目に示すように、川西委員、江馬委員、梅
村委員、林委員、大野委員、片山委員、西村委員、福井委員、山田委員、吉村委員の10
名が専門委員として指名されております。
　本剤の規格及び試験方法、毒性、薬理、吸収・分布・代謝・排泄に関して提出された資
料の内容は妥当であると判断いたしましたので、臨床試験成績について述べさせていただ
きます。まず有効性に関してですが、インスリン依存型糖尿病患者を対象とした国内第II
/III相試験では、中間型ヒトインスリン製剤１日１回就寝前と速効型ヒトインスリン製剤
１日３回投与によりコントロールされている293例について、中間型ヒトインスリン製剤
の使用を継続した群と本剤に切り替えた群での比較がなされており、主要評価項目である
28週後のヘモグロビンＡ１ｃの変化度において非劣性が示されております。また、イン
スリン非依存型糖尿病患者を対象とした国内第II/III相試験では、12週間以上ＳＵ剤を使
用しているインスリン治療が必要な患者335例について、中間型ヒトインスリン製剤を上
乗せした群と本剤を上乗せした群での比較がなされており、主要評価項目である28週後
のヘモグロビンＡ１ｃの変化度において非劣性が示されております。
　次に、本剤の安全性に関してですが、本剤特有の新たな有害事象は認められませんでし
たが、インスリン依存型糖尿病患者を対象とした国内第II/III相試験において、中間型ヒ
トインスリン製剤から本剤への切替え直後４週間に日中食前の症候性低血糖の発現が増
加しており、作用が24時間持続するという本剤のプロファイルに起因するものと考えら
れました。したがって、切替え直後は低血糖の発現に注意する必要があり、本剤の作用が
24時間持続すること、他のインスリン製剤からの切替え時には低血糖の発現状態の変化
に十分注意する旨、添付文書上で注意喚起することといたしました。
　なお、今回提出された資料では、中間型ヒトインスリン製剤を１日２回投与している患
者において本剤に切り替える場合、及び小児患者において中間型ヒトインスリン製剤から
本剤へ切り替える場合においては、日本人での使用経験がございません。そこで中間型製
剤１日２回投与からの切替え症例及び小児症例については、市販開始後６か月間に投与を
開始する全症例に特別調査を実施し、安全性及び切替え用量について調査し、収集した情
報を医療現場にフィードバックさせることといたしました。
　以上のとおり審査センターでの審査の結果、インスリン療法が適応となる糖尿病患者に
対する本剤の有用性は認められ、承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議
することが妥当と判断いたしました。なお、本剤は再審査期間６年、製剤は劇薬に該当し、
生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断いたしました。薬事分科会では
報告を予定しております。御審議どうぞよろしくお願い申し上げます。
○河村部会長　どうもありがとうございました。インスリン療法の薬ですけれども、御
意見、御質問はございますか。私はこの糖尿病の方はどうも余り治療しておりませんの
で、内科の先生の方から御意見がございましたら、どうぞお願いいたします。
○村勢委員　特にコメントというほどのことはございません。今説明していただいたと
おりでして、本剤の特徴は長期に、しかも持続的に大変安定したインスリン作用、血糖
降下効果が得られるという点にあろうかと思います。従来の持続型インスリンにしても
やはりピークがあって、本当の意味で平均した効果というのは得られなかったのですけ
れども、本製剤はかなり安定した持続的な効果が得られるので、基礎分泌に相当するイ
ンスリン補充療法として非常に好ましいものだろうと思います。
　それから、従来からインスリンを使っていて抗体ができて、そのために血糖のコント
ロールが困難であった症例に対してもこの製剤は有効だろうと思います。ということで、
臨床的に血糖のコントロールが不安定な症例に対しては、こういう薬剤が非常に期待さ
れるのではないかと思います。同じようにインスリンアナログですけれども、超速効型
のリスプロとこのインスリンアナログとを組み合わせると、恐らくコントロールの難し
い糖尿病の患者さんの血糖コントロールが従来以上にしやすくなるのではないかという
点でも、この製剤が期待されているのではないかと思います。従来のインスリン製剤か
ら本製剤へ切替えのときに多少まごつくことがあろうかと思いますけれども、慣れて習
熟してくれば非常に使いやすいインスリンになるのではないかと思います。
○河村部会長　どうもありがとうございました。御質問はございますか。どうぞ、櫻井
委員。
○櫻井委員　質問というより教えてもらいたいのですけれども、添付文書の４ページか
ら後ろに相互作用がたくさん書いてありますね。これがまたやたらに多くて…、一緒に
使うと血糖が下がってしまうのと上がってしまうのと、どちらか分からないけれどもど
ちらかになるというものがたくさん書いてありますが、これはインスリン製剤の特徴と
して全部そうなのか、それともこの製剤に特にということなのですか。
○村勢委員　この製剤に特徴的なものではないと思います。　　　
○櫻井委員　ほかのインスリン製剤を勉強していないのが悪いのですけれども、全部に
共通なのですか。特にこの製剤については、相互作用に気を付けろという意味ではない
わけですね。
○村勢委員　ないです。インスリン製剤に特徴的な併用注意ということになります。
○櫻井委員　本来は何かそういうものがあれば書くべきだし、そうでないならどこかに
一般のインスリン製剤と同様にということで書けば良いと思います。ほかを見ていない
から悪いのだと言われればおしまいなのですけれども、このインスリン製剤の能書だけ
見ると何かすごい薬剤だなという感じがします。
　それから、これもこうやって書くしかないのでしょうけれども、８ページの「４.副作
用」の「(１)重大な副作用」に「１)低血糖」とありますが、インスリン製剤の重大な副
作用が低血糖…。副作用なのでしょうけれども、これも適正に使っても副作用が起きる
という意味なのか、低血糖という作用はインスリンで起きるのですから、それを副作用
と言われても主作用ではないかという気もするのですが、これはこのように書くのか、
その辺のところも…。これは事務局でやはりこう書かざるを得ないのか、低血糖による
重大な障害の状態が起きるとかいうなら分かるけれども、低血糖が副作用と言われると
そうですかという気がするのです。大変つまらない質問で申し訳ありません。
○河村部会長　事務局の方で御返事できますか。
○事務局　まず相互作用の件ですけれども、これは村勢先生のおっしゃるとおりで、す
べてのインスリン製剤と共通のものでございます。本剤特有の副作用は特に記載されて
おりません。
○事務局　低血糖の件に関しては、まず先生が二つの場合をおっしゃいましたけれども、
その両者が考えられるということで、特に臨床試験という非常にコントロールされた条
件下でも低血糖が起こっていますので、適正に使っていても起こると考えるのが妥当で
はないかと思っております。
○河村部会長　だそうですが、よろしゅうございますか。
○櫻井委員　インスリンを使って下のように蕁麻疹が出たというなら、なるほど副作用
だなと分かるけれども、血糖が下がって副作用だと言われればそうですかと聞きたくな
る。
○河村部会長　下げるための薬ですからね。
○櫻井委員　そのような気もするのです。何か書き方が悪いのでは…。しかし、今まで
もこうやって書いてきたのでしょうから、急に変えるわけにもいかないでしょうけれど
も…。
○村勢委員　おっしゃるとおりで、従来こういう表現がされているので難しいのですけ
れども、確かに低血糖が副作用…。いい血糖コントロールを得るためには低血糖を起こ
すか起こさないか、ぎりぎりのところぐらいでコントロールするのが非常にいいことで
して、我々の方からすると１回ぐらい低血糖を経験しておいていただけるといいなとい
う、患者さんには逆にそのようなことも含めていろいろ説明するわけですけれども、や
はり重篤な副作用という部類には入ると思います。そのまま意識を回復しないというこ
とがありますので、そういう意味での警告は必要でしょうし、やはり副作用として扱わ
なければいけない問題なのでしょうけれども、ほかの普通のお薬の副作用とはちょっと
意味合いが違うかと思いますが、従来の表現なので仕方がないのではないかとは思いま
す。
○河村部会長　横並びだそうでございます。今ちょっと考えついたのですけれども、こ
の前イエローペーパーが出て、ガチフロキサシンというニューキノロンが糖尿病患者に
は気を付けて…、禁忌になったのですか。あれはインスリンと併用していたからではな
いですよね。単独で駄目だったのでしたか。ニューキノロン系はこの中に全然入ってい
ないですね。
○審査第一部長　あれはたしか併用ではなくて、ガチフロのみで血糖異常が起こったと
いうことです。
○河村部会長　そうするとここへは載せなくてよろしいと。ほかにございますか。よろ
しければ、ではこちらでお認めいただいたということにして、薬事分科会の方へ報告と
させていただきます。では報告事項の議題１、エピペン注射液についてよろしくお願い
します。
○事務局　これは報告事項ですので、従来どおり続けて御説明申し上げます。まず報告
事項の議題１、医薬品エピペン注射液0.3mgについて御報告いたします。資料５を御覧
ください。本剤はメルク株式会社から輸入申請があった、「蜂毒に起因するアナフィラ
キシー反応に対する補助療法(アナフィラキシーの既往のある人又はアナフィラキシー
を発現する危険性の高い人に限る。)」というものを効能・効果とした、エピネフリンの
注射液でございます。本剤の有効成分であるエピネフリン自体は日本薬局方に収載され
ており、注射液は各種疾患若しくは状態に伴う急性低血圧又はショック時の補助療法な
どに広く使用されているものでございます。今回申請の本剤はエピネフリンをシリンジ
に充てんすることなく、自動的に一定量を筋肉内に投与できるように設計され、アナフ
ィラキシー発現時に患者自らがその場で自己注射することを可能とした新剤型医薬品で
ございます。審査センターにおける審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断い
たしました。
　続きまして議題２、医薬品ノボラピッド30ミックス注及び同フレックスペンについて
御報告いたします。資料６を御覧ください。本剤はノボ ノルディスク ファーマ株式会
社から輸入申請があった、超速効型インスリンアナログである「インスリンアスパルト
(遺伝子組換え)」の混合製剤で、カートリッジ製剤及び注入器にセットされたキット製
剤でございます。本剤は平成13年10月２日に承認されたノボラピッド注100単位/mL
バイアル、同300及び同フレックスペンと同じ有効成分を含有しており、既存のインス
リン製剤と同様、硫酸プロタミンとの共結晶である中間型成分を配合することにより、
血糖降下作用の持続時間を調節した新用量及び剤型追加にかかわる医薬品でございま
す。配合比率は超速効型画分30％、中間型画分70％となっており、審査センターにおけ
る審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。なお、本剤は再審査
期間をノボラピッド注の残余期間とするものでございます。
　続きまして議題３、医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。資料とい
たしましては、資料7-1のエブランチル15、エブランチル30から、資料7-3の塩酸ベ
タキソロール、ケルロング錠５mg、ケルロング錠10mgまでの合計３成分の再審査報告書
でございます。これらの品目については、市販後の使用成績調査・特別調査の成績等に
基づいて再審査申請が行われ、それぞれ審査の結果、薬事法第14条第２項各号(承認拒
否事由)のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項に
ついては、変更の必要はない「カテゴリー１」と判定したものでございます。これらの
結果については、近く各々通知する予定といたしております。以上でございます。
○河村部会長　ありがとうございました。報告事項と再審査の結果について御質問はご
ざいますか。資料５は結局自己注射になるのですけれども、これは本日は剤型をお示し
いただけないのですね。これと同じようになっているのですか。
○事務局　ちょっと今お時間を頂ければお持ちいたします。
○河村部会長　これは素人さんが使うものになるようでございますから、一応見てみた
いと思います。ほかに御質問はございますか。では、一応これはお認めいただいたとい
うことにいたします。議題は以上ですが、事務局から何か報告がございましたらお願い
いたします。
○事務局　事務局より新医薬品の承認状況について御報告させていただきます。今年５
月９日に開催された当医薬品第一部会で御審議いただいたレミケード点滴静注用100等
８品目について、７月17日付けで承認いたしましたので御報告させていただきます。ど
うもありがとうございました。
○河村部会長　ありがとうございました。次の日程についてお願いします。
○審査管理課長　次回の日程でございますけれども、２か月後の10月17日金曜日10
時からということで予定しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○河村部会長　よろしゅうございますか。お控えください。では、今一つ持ってきてく
れるそうですけれども、御覧になりたい方だけちょっとお時間を頂きまして、本日はこ
れで終了ということにさせていただきます。本日はありがとうございました。
                                                                      (　了　)

連絡先：　医薬食品局　審査管理課　課長補佐　佐藤（内線２７３４）
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