(1) | 法人の社会に対する中長期的な役割に配慮して評価すること。 |
(2) | 法人の長のリーダーシップの発揮、独立行政法人の利点を生かしたマネジメントに留意すること。 |
(3) | 業務実績の目標数値がある場合にはその達成度合、定性的な目標の場合には具体的な業務実績を把握して評価すること。 |
(4) | 業務実績と中期計画との間に乖離が生じた場合にはその発生理由等を把握し、妥当性等について評価すること。 |
(5) | 予算計画等について業務ごとで計画と実績の差異がある場合にはその発生理由等を把握し、妥当性等について評価すること。 |
(6) | 経年比較が可能な事項については適宜その結果を参考にして評価すること。 |
(7) | 財務内容の評価にあたっては、法人の監事の監査報告書を参考にするとともに、必要に応じて意見を聴くこととすること。 |
(8) | 特に高い実績を上げた業務又は著しく実績が悪化した業務があった場合などについては、そのような業務の評価結果が人事や処遇等に適切に反映されているかなどについても考慮すること。 |
(9) | 中期目標期間の終了に向け、個々の業務(特に実績が悪化傾向にある業務や新規に立ち上げた業務)について、それぞれ中期的観点から法人業務全体の中でどのように扱われるべきか考慮しながら評価すること。 |
(1) | 調査研究に関する業務内容 平成14年度においては、当研究所の目的である国民の健康の保持、増進に資するための調査研究等の業務を行政ニーズ及び社会ニーズに即して着実に実施し、概ね前年度以上の実績が認められる。 社会的ニーズの把握については、意見交換会の対象をより現場に近い産業界、NPOなどにも広げ、栄養士会にも講師派遣を積極的に行うなど着実に進捗しているが、単発的な試行にとどまらず継続性に留意し、対象の拡大も検討すべきである。 重点的調査研究については、より精度の高いエネルギー消費量等の測定・解析のため我が国初のヒューマンカロリーメーターを用いるとともに世界的な技術の進歩に合わせ二重標識水法を導入したこと、食品成分表の改定等に合わせて国民栄養調査データ処理・解析システムを充実したこと、健康食品の安全性・有効性評価などアップツーデートな調査・情報提供をしたことなど有効な取組がなされた。今後は一般消費者が身近に活用できるように成果を還元していくことが期待される。また、コンピュータシステムのセキュリティの確保については引き続き注意を払っていく必要がある。 基盤的研究については、生活習慣病の遺伝子要因と食事・運動との関連など所内公募による将来発展性のある課題研究の推進、生活習慣改善のための自己学習システムの開発など、社会のニーズを踏まえ学術発表と社会一般への普及の双方を睨んで柔軟に取組を進めている。今後、自己学習システムの一般市民レベルへの早期普及や中長期的観点からの先見的研究への一層の取組を期待する。 栄養改善法に基づく国民栄養調査の集計業務については、対象となる栄養素の大幅増加にかかわらず迅速なシステムの切り替えや作業効率化を行うことにより集計期間の短縮を確保し、特別用途食品の表示の許可等に係る試験及び収去食品の試験については、2月以内の処理期間達成率を昨年度より向上させ90%を超えるなど、所期の目的を十分に達成し、高く評価できる。今後も中期目標達成に向け、なお取組を継続することが期待される。 また、新たな行政課題等に迅速に対応するため、新規に保健機能食品などについて消費者にアドバイスできるアドバイザー養成制度(NR)や健康食品に係る安全情報ネットワークシステムの構築を行うなど、積極的な取組がなされた。このような新規の取組については、独立行政法人としての機動的な対応と慎重・的確なニーズ把握及び財源の確保という双方向のトレードオフの関係に留意しつつ対応していくことが必要である。なお、具体的な評価については今後の実績を待たなければならない。 職員の資質の向上については、全員発表を前提にした研究員向けの所内セミナーの開催に加え、事務職員についても知的財産権研修を受けさせたほか人事院主催の研修など必要な対応を行っている。 また、外部評価委員会を設置し、研究課題はじめ業務・組織全般について年度の事前・事後に開催することにより、新規プロジェクトの立ち上げ等の業務運営の改善に反映させている。ただし、当該外部評価委員会については、独立行政法人評価委員会との役割分担を考慮し、評価の対象領域について検討するなどの配慮が必要である。 |
(2) | 調査研究成果の普及及び活用 平成14年度においても、調査研究成果の普及・活用について着実に実施され、所期の目的を達成していると考えられる。 学会発表、論文発表数等については、中期目標を大幅に上回っており、研究員一人当たりの発表数等の密度が高く、特にインパクトファクターの高い欧米誌への掲載が多いなど、水準も高い点が高く評価できる。 インターネット等による情報の発信については、前年度と比べてホームページの内容が充実し、機関誌、マスコミ等を通じた多面的な情報発信がなされ、講演会等への講師派遣も積極的に行っている。 講演会の開催や研究所の一般公開等については、対象者の拡大や地方での開催など工夫が見られ、中高生に対する見学機会の提供などは好事例といえる。今後は、さらなる戦略に基づく普及方策を考え、産業界、消費者団体、一般国民への普及を推進していくことが期待される。 知的財産権の取得等については、専門家を講師に招くなどして研究員自身の意識改革を進め、実績としては出願1件を行ったが、研究分野からしてパテントの取得は難しいという制約がある。国際・産学共同研究センターの設置など積極的な取組はなされているが、知的財産権についてはまだ具体的な成果には至っていない。我が国の国際的なバーゲニングパワーとして活用できる意味からも知的財産の獲得に今後とも努力すべきである。一方、知的財産の還元という意味では、健康づくりを行っている栄養士等への技術支援・相談等にも配慮していくことが重要である。 |
(3) | 外部機関との協力の推進 平成14年度においても外部機関との協力の推進を着実に実施している。 若手研究者等の育成については、特別研究員規程の見直しにより、より現場に還元できる形での多くの若手研究者の育成が図られるようになり、大学・大学院等との連携のための制度創設を図るなど、外部に対し人材の育成や協力に努めるとともに、これが研究所自体にとっても活力源となっている点が評価できる。今後は、特別研究員の自己評価も行い、さらなる改善につなげることを期待する。 研究協力については、アジア諸国、WHO等の国際機関などとの国際協力及び産業界との連携を重視した積極的な取組を行っている。ただし、協力件数、受託研究件数が多いため、マンパワー面で支障が出ないよう、他業務との配分等に注意する必要がある。 |