03/07/30 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会 平成15年7月30日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成15年7月30日  14:00〜   医薬品医療機器審査センター第2会議室              2.出席委員(14名)五十音順  ◎池 田 康 夫、 上 原 至 雅、 岡 田 義 昭、 折 笠 秀 樹、   守 殿 貞 夫、 川 嵜 敏 祐、 木 村   哲、 後 藤   元、   櫻 井 秀 也、 早 川 堯 夫、 藤 上 雅 子、○堀 内 龍 也、   三 瀬 勝 利、 吉 田 茂 昭   (注) ◎部会長 ○部会長代理  欠席委員(2名)   神 谷   齊、 溝 口 昌 子  3.行政機関出席者   鶴 田 康 則(大臣官房審議官)、 安 倍 道 治(審査管理課長)、   黒 川 達 夫(安全対策課長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器審査センター長)、   姫 野 孝 雄(医薬品医療機器審査センター企画主幹)、   平 山 佳 伸(医薬品医療機器審査センター審査第一部長)、   森   和 彦(医薬品医療機器審査センター審査第二部長)、   辻 村 信 正(医薬品医療機器審査センター審査第三部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは定刻になりましたので、ただいまより薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会を開催させていただきます。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、 誠にありがとうございます。  当部会の委員数は16名でございますけれども、13名の御出席を頂いておりまして、 定足数に達していることを御報告させていただきます。なお、御欠席は神谷委員、溝口 委員、吉田委員の3名でございます。  最初に委員の交替がございましたので、御紹介させていただきます。菅谷委員が御退 任されまして、その後任に日本医師会常任理事の櫻井委員が参加されることになりまし た。先生、一言ごあいさつをお願いいたします。 ○櫻井委員 櫻井でございます。よろしくお願いいたします。 ○審査管理課長 それでは池田部会長、以後の進行をどうぞよろしくお願いいたします。 ○池田部会長 先生方、お忙しいところを本当にありがとうございます。早速本日の審 議に入りたいと思います。その前にいつものように事務局から配付資料の確認と、資料 作成に関与された委員の報告をお願いしたいと思います。 ○事務局 それでは資料を確認させていただきます。資料1〜4までがあらかじめお送 りした資料でございます。本日の席上配付資料といたしましては、議事次第、座席表、 当部会の委員名簿、資料5としまして「医薬品第二部会審議品目の薬事分科会における 取扱い及び毒薬・劇薬の指定の要否ついて(案)」、資料6としまして「ケテック、ケテ ック錠300gの専門協議委員」。それから資料番号を振ってございませんが、「優先審 査品目の指定について」、「保存前白血球除去について」の資料をお配りしております。 よろしいでしょうか。  それから平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づく資料作成に関係された委員 の確認でございますが、本日の議題については関与委員はいないということでございま す。よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただいま御紹介ありましたように、本日の審 議事項は2議題、報告事項は1議題、その他が2議題ということで、要領良く進めたい と思います。最初の審議事項は、アベンティス ファーマ社から申請がございました一般 名テリスロマイシン、ケテック錠の審査でございます。早速事務局の方から御説明をお 願いいたします。 ○事務局 それでは議題1、資料1の医薬品ケテック、ケテック錠300mgの輸入承認の 可否等について、審査センターより御説明いたします。テリスロマイシンはケトライド 系抗生物質と称される新しいクラスの抗生物質であり、非定型微生物やペニシリン耐性 肺炎球菌、マクロライド耐性肺炎球菌などにも抗菌力を示すことを特徴としており、海 外では欧州で2001年7月に承認されております。  本申請では、呼吸器感染症、耳鼻科領域感染症のうち、副鼻腔炎及び歯科・口腔外科 領域感染症の適応について承認申請が行われました。  本申請の専門委員としては、資料6にございますとおり折笠委員、後藤委員を始め、 稲松委員、奥村委員、賀来委員、澤委員、谷本委員、奈良間委員、林委員、堀田委員、 渡辺委員の11名が指名されました。  臨床試験の成績としましては、添付資料としては国内で実施された17試験と海外で実 施された36試験、参考資料として国内外16試験の結果が提出され、申請後に6試験の 結果が追加提出されました。  日本人と外国人における薬物動態の比較の結果、体格の違いから同じ投与量では日本 人では本薬の血中濃度が高くなることが示唆されたため、国内で実施された肺炎を対象 とする用量確認試験においては、海外の承認用量である800mgと、それと同程度の薬物 動態パラメータが日本人で得られる600mgとの比較が行われました。その結果、臨床効 果では両群間に差を認めなかったものの、安全性では600mg群と比較して800mg群にお いて有害事象の発現率が15%以上高かったことから、600mg1日1回が本薬の推奨用量 であるとされました。  それに従いまして、第III相比較試験は市中肺炎の患者を対象に実施され、臨床効果で は対照薬であるレボフロキサシンに対する非劣性が検証されました。菌消失率では、レ ボフロキサシン群100%に対して本薬群73.9%と劣る結果となり、その要因は起炎菌と された57株のうち31株を占めるインフルエンザ菌で、菌消失率が67.7%と若干低かっ たためであるとされております。この結果を踏まえ審査センターは、インフルエンザ菌 については臨床効果では他の菌種と同程度の有効性が示されていたことから適応菌種と はするものの、MICの推移等について市販後調査でフォローアップを行う必要がある と判断しております。  また、投与期間が肺炎では最大7日間までとされていることについて、専門協議にお いてその妥当性が議論となりました。その議論も踏まえ、投与期間については臨床試験 におけるフォローアップの観察においても非定型肺炎も含めて大きな問題は見られてい ないこと、また耐性菌の出現の可能性を最小限にするために投与期間を明確にして適正 使用を促したいとの申請者の見解も考慮し、各適応症における投与期間を用法・用量と して設定しております。  一方安全性については、国内臨床試験の結果からは重篤な有害事象の発現は少ないも のの、本薬の特性からQT延長などの心血管系の副作用や眼の調節障害の発現のおそれ があること、類薬のマクロライド系抗生物質では肝機能障害や黄疸が重大な副作用とし て見られること、海外で重症筋無力症の悪化が報告されていることなどを考慮して、市 販後調査における安全性のフォローアップと添付文書等の注意喚起による適正使用の推 進が必要であると判断しております。  以上のような審査の結果、審査センターは本薬は市中呼吸器感染症の主たる原因菌に 対して抗菌力を有すること、また昨今問題となってきているペニシリン耐性肺炎球菌や マクロライド耐性菌に対しても抗菌力を有し、臨床効果が示されていることから、本薬 を承認して差し支えないと判断いたしました。  本申請は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は6年とすることが適当 であると判断しております。なお、原体は劇薬に該当し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれ にも該当せず、また本剤は生物由来製品又は特定生物由来製品に該当しないと判断して おります。薬事分科会では審議を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいた します。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただいま説明がありましたように、テリスロ マイシンは一応ケトライド系の抗生物質ということで、新しいクラスであると。と申し ましても、マクロライド系の抗生物質の化学構造を少しいじったものということです。 上気道の感染その他、副鼻腔炎も含めて適応があるということですが、これについて委 員の先生方に御議論いただきたいと思います。どなたか御質問、御議論ございますでし ょうか。後藤委員と折笠委員に専門協議に参加していただいたわけですが、何か御意見 ございますでしょうか。 ○後藤委員 今お話がありましたように、これは広い意味で言えばマクロライド系の抗 菌薬に入ると考えてよろしいと思います。日本は特殊な事情がございまして、びまん性 汎細気管支炎にマクロライドが有効だということで、抗菌薬、特にこのマクロライド抗 菌薬は少量を1年とか2年とか長期に使うという方法が一般的で、この結果として耐性 菌が大きな問題になっています。実際に肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、この辺の菌種に対 する抗菌力が大きな問題になってきています。そういう状況の中で、その辺のところを カバーできる新しい薬剤ということで、こういう薬剤が臨床現場に供給される意味は大 きいと思います。  拝見した限り、副作用の問題とかいろいろな面において現時点で特に大きな障害にな るようなデータはないと考えてよろしいと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。折笠委員、いかがでしょうか。 ○折笠委員 データの方から拝見させていただきました。まず薬物動態については、セ ンターがおっしゃったように、向こうの800mg、600mgに関して、この薬剤はAUCで見 るのがいいだろうということでAUCで見て、日本人に対しては大体300mgの2回が適 当だろうということを確認しました。また、フェーズIIの非劣性に関しても条件を満た しているというか、結果が出ていたと思いました。一か所投与期間に関して、ちょっと 忘れましたけれども、ある疾病によって期間を変えていたりしたのですが、最終的に同 様の5日間投与に決めたような気がしました。それから重症の肺炎に関しては1週間以 上使う必要があるだろうということですが、今のところデータが出されていないという ことで、取りあえず7日という投与期間になっていたかと思います。以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただいま専門協議に参加された本部会の委員 の先生方から御意見を伺ったのですが、その他の委員の先生方から何か御質問ございま すでしょうか。どうぞ、堀内委員。 ○堀内部会長代理 今非劣性というお話が出ましたけれども、他のマクロライドと強さ の問題で比較をするとどういう位置付けになるのでしょうか。 ○折笠委員 臨床的な位置付けのことはちょっとよく分かりませんけれども、臨床効果 に関しては良くて、抗菌効果がちょっといまいちかなという記憶がありますが、ちょっ とよく覚えておりません。 ○後藤委員 この試験は、レボフロキサシンを対照として非劣性ということでやってい ます。ですから、直接他のマクロライドを対照にしていないということですので、基本 的なデータとしてはin vitroのデータで比較するほかないと思います。in vitroのデ ータで申し上げると、一番大きなものは肺炎球菌で、この耐性の問題を克服できている ということが一番大きいと思います。 ○堀内部会長代理 希釈の度合いから見ると、in vitroでは違うものと比べてかなり強 いように見えますが、そう解釈してよろしいのですか。 ○後藤委員 in vitroでも強いですし、実際に臨床でペニシリン耐性の肺炎球菌、マク ロライド耐性の肺炎球菌に対する菌の除去率、それから臨床的な有効性、すべてそれを 裏付けるようなデータと見てよろしいかと思います。 ○池田部会長 よろしいですか。どうぞ。 ○堀内部会長代理 米国では90年代に申請され、リスク・ベネフィットを考慮してもう 一回治験をやり直すことになっていると思います。今米国では審査中だということです けれども、今回日本に出てきたのはそのデータも入っているのでしょうか。 ○池田部会長 審査センターの方、何かございますか。かなり大規模な臨床試験を現在 米国でもやられているとこちらの方に記載がありますね。 ○事務局 米国での申請後、米国の審査の結果を踏まえて1群2万例の試験が行われて おります。本申請の途中でその結果が出てきておりましたので、その試験結果について はこちらにも頂いた上で審査を行っております。 ○堀内部会長代理 それで一応安全性は確保されたということですね。要するに、リス ク・ベネフィットで問題になったのは安全性のところだと思います。 ○事務局 海外で大規模臨床試験が実施されたそもそもの理由としましては、マクロラ イド系でリスクがあると言われているQT延長について症例数を集めて確認することと されておりました。それから肝障害の発現率についてなど、幾つかの安全性について確 認することとされておりました。その臨床試験の結果、QT延長の発現率も他のリスク があると言われている医薬品と比較してもそう高くはないという結果が得られておりま す。 ○池田部会長 その大規模な臨床試験の中で、例えばここでも少し問題になっている視 力の調節障害のようなもの、あるいは重症筋無力症(myasthenia gravis)等の症状の悪化 など、その辺りもそちらの方のデータからある程度注意喚起がされているのですか。 ○事務局 眼の調節障害と重症筋無力症の話については、大規模臨床試験のほかにヨー ロッパの市販後成績も踏まえた上で注意喚起がなされております。 ○池田部会長 米国の2万何千人という大規模なところで、今までのヨーロッパなりあ るいは日本での臨床試験と比較して、更に特別に追加しなければいけないような副作用 はないのですね。 ○事務局 ございません。 ○池田部会長 そのほかいかがでしょうか。どうぞ、櫻井委員。 ○櫻井委員 「添付文書(案)」の2ページですが、本来この薬がという話ではないのか もしれませんけれども、ここに「3.相互作用」があって、併用禁忌が2品目と併用注意 が6品目ぐらい挙げられています。これについてどうというのではありませんし、これ を新しい薬剤として使うときには注意を見て使うのでしょうが、こういうものが認めら れると併用禁忌の相手方の薬剤の添付文書にも併用禁忌の記載が書かれるとか、注意が 回るということは行われるのかというのが一番知りたいところなので、それをお願いい たします。 ○池田部会長 重要なことだと思います。課長の方から…。 ○審査管理課長 今櫻井委員から御指摘のあった点でございますけれども、一般的なお 話をさせていただきますと、新薬を承認する際に「併用禁忌」とか「併用注意」という 記載がなされるものがございますが、これらについては本品は当然のことながら相手方 についても、新薬を申請し承認取得する企業に対して、併用する場合に問題が起こるよ うなものは企業を通じて情報提供して、速やかに現場に当該情報を提供していただくと いうことで対応しております。本品についても幾つか併用注意、併用禁忌というものが ございますので、申請企業を通じてそういった情報の周知徹底を図るということで対応 したいと考えております。 ○櫻井委員 確認ですが、企業を通じてというのはこのケテック錠を出した企業がやる という意味ですか。それともケテック錠を出した企業から相手方の企業へ伝わって、本 当の現場に伝えるのは相手方の企業が伝えるということになるのですか。 ○事務局 具体的に申し上げますと、この申請をしておりますアベンティス ファーマか ら先生御指摘の相手方の医薬品メーカーに連絡が行きまして、相手方のメーカーができ るだけ速やかに添付文書を改訂する等の措置を採って医療現場に情報提供するというこ とで、アベンティス ファーマから問題となる相手方の医薬品会社を通じて、その会社か ら情報提供するという流れになってございます。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。具体的には添付文書の改訂という作業が行われる と理解してよろしいのではないかと思います。 ○櫻井委員 特に「禁忌」という形で記載されていると、その辺は相当きちんとやって もらわないと問題が起きる可能性があるということです。単品の副作用も重要ですが、 現場ではこういう併用禁忌のようなことが一番悩ましいというか、間違えやすいところ なので、是非その辺をきちんとしてほしいと思います。  それからこれはしようがないのかもしれませんが、「使用上の注意」の「1.慎重投与」 で、先生方お話しのように広い意味ではマクロライド系なので、マクロライド系で副作 用があった人は注意しなさいということがあります。それから1ページの「禁忌」の「1. 本剤の成分に対し、過敏症の既往歴のある患者」というのはよく分かる気もしますし、 こう書かざるを得ないのでしょうけれども、外国で使っていれば別ですけれども、日本 で初めて発売されるわけですから、確かに禁忌なのでしょうが、本剤に対して禁忌と言 われると…、我々が使うときに禁忌の薬を使ったら一番困るなということで、一般の人 に少なくとも今度許可になれば日本では何年発売だということが、情報としてこれのど こかを見ると分かるのかどうか。それがあった方が少し安心して言えるのかなとか、少 なくともこういうことを聞いた場合に、患者さんとすれば…、患者さんだってよく分か らないわけですから、そういえば2年前に薬を飲んでショックを起こしたと言えば、そ れが日本の薬であれば、今度新しく出るこの薬でないことだけは確認できるわけですね。 これはもちろん何年かたてば、本剤による過敏症の既往のある者には禁忌と言われれば そのとおりだと思うのですけれども、日本で初めて使う薬でも杓子定規にこう書いて、 それでいいのかというのは、しようがないと思いつつ引っ掛かったのですが。 ○池田部会長 事務局の方から何かございますか。どういう書き方にするかという点も ありますね。 ○櫻井委員 これはしようがないとは思いますけれども…。 ○池田部会長 そうですね。分かりました。 ○堀内部会長代理 今櫻井委員のおっしゃった「(2)併用注意」のところの、例えば「血 中濃度が上昇した」という抽象的な表現ですが、今回の場合は2倍とか3倍とかかなり 大きく変動しているケースが多いですね。ですからもう少し具体的に、「上昇した」と 言っても1.5倍と5倍では考え方が全然違ってくると思うので、この添付文書のところ には、もう少し具体的な数値を入れるようにした方がいいのではないかと思います。現 場では判断がつかないですよね。 ○事務局 今得られているデータについては、各項目についても「【薬物動態】の項参 照」ということで7ページの方に記載はしているのですが、やはりこの文章中にも記載 した方がよいということでございましょうか。 ○池田部会長 7ページの「4.薬物相互作用」で、これは外国人のデータですが、一応 何倍ということは記載されていますね。 ○堀内部会長代理 どこかに書いてあればいいという問題でもないように思いますけれ ども。全部読まないですよね。 ○池田部会長 この「併用注意」のところで、「【薬物動態】の項参照」というふうに は書いてございますね。 ○事務局 では他の添付文書の記載等も検討しまして…。 ○池田部会長 そうですね。見やすいように、それはここに書いてありますよというこ とがパッと見て分かりやすい格好というのが大事かもしれません。 ○事務局 それではそれは検討させていただきます。 ○池田部会長 そのほかいかがでしょうか。どうぞ、上原委員。 ○上原委員 先ほど後藤委員の御説明の中で、マクロライド耐性菌にもこの薬は有効で あるということで、これは臨床での使用が待ち望まれている重要な薬だと思います。ま た、耐性菌が増えている理由の一つとして、1年、2年という長期に非常に低濃度で使 われることが原因というような御説明だったと思います。この薬に対してそういうこと が起きないような…、ですからこれも長期に低濃度で使われると、今耐性菌は出なくて もすぐに耐性菌が出るという心配がありますので、そういう使い方がされないような注 意ということについては、どのような対策が採られているのでしょうか。これはいわゆ る耐性菌に効く切り札的な、非常に重要な薬だと思いますので、そういう耐性菌を出す ようなことがあってはならないということで、どこかに適正使用を注意しなければいけ ないのではないかと思いますが、添付文書にもそういうことは書かれておりませんので、 御意見、コメントを頂きたいと思います。 ○池田部会長 審査センターの方から、用法・用量のことも含めて…。 ○事務局 一般の抗菌薬については、一部を除いて「用法・用量」の中では投与期間を 特に明示せずに、「使用上の注意」等でできるだけ短い期間でというような注意喚起を 行っているところですけれども、本品目については先ほど口頭でも御説明いたしました ように、「用法及び用量」欄の中に臨床試験で行った投与期間、実際には歯科領域では 3日間、そのほかの領域では5日間、肺炎については最大7日間という投与期間を既に 設定しております。申請者のアベンティス ファーマ社の方も、このケテックの適正使用 についてはかなり慎重に対応すると申しておりますので、その辺りの説明は臨床現場の ドクターの方への情報提供としてなされるものと思っております。 ○池田部会長 ありがとうございました。いかがですか、上原委員。 ○上原委員 長期間低濃度という使い方が、臨床の現場でどのくらい広まっているのか。 それから、それが原因で今使われているマクロライドの耐性菌がどのくらい広まってい るのか、その辺の把握はされているのでしょうか。 ○池田部会長 審査センターの方で何か御説明はありますか。あるいは後藤委員、その ことについて何か…。耐性菌の発現又は原因として、長期間低用量を使うということが 一般的な医療になっていますね。それがどれくらいコンティニューしているかという点 についていかがでしょうか。 ○後藤委員 今お話し申し上げたのは現象論ということで、日本で非常に特殊な使い方 がされていて、特殊な使い方がされている国においてペニシリンあるいはマクロライド 耐性の肺炎球菌が増えている。同じようにこの薬が非常に広範に使われている、例えば アメリカに関して言えば、耐性菌の問題でこの薬剤が使えないという状況にはまだ陥っ ていないわけです。ですから、普通の抗菌薬の使い方をしている国においては、肺炎球 菌、あるいはほかのグラム陽性球菌に関しても耐性が大きな問題になっていない。とい うことは、恐らく日本でそういうふうに使われていることがそれと結び付いている可能 性が考えられるということです。これに関してはまだ現象論であって、それが実際にど ういうメカニズムでどういう形で耐性化しているという証明はまだないと思います。 ○池田部会長 どうぞ。 ○三瀬委員 ちょっと上原委員の御意見に反するようですが、この薬が非常に大きなメ リットがあると思われるのは、多分ペニシリン耐性の肺炎球菌に効果があるということ ではないかと思っています。ですからマクロライドということではなくて、今肺炎球菌 の非常に大きな問題は、昔はペニシリンが肺炎球菌に効いたのですが、全然効かないも のが多くなってきています。これはPRSP(Penicillin-resistant Streptococcus pneumoniae)で効果があるということで、そういう点ではメリットが高いのではないかと 思っています。それから抗生物質というのは、残念ながら大量に使い出すと必ず耐性菌 が現れてきます。今までの歴史は皆そうだと思いますし、その例外はあり得ない。形質 転換や形質導入、接合など細菌にはいろいろ機構がありまして、どうしようもないとこ ろはあるのです。乱用をすればそれが早く効かなくなってしまうということで、絶対に 耐性菌が現れないような抗生物質というのは副作用が強くて人には使えません。 ○池田部会長 上原委員、どうぞ。 ○上原委員 この薬の意義というのはペニシリン、マクロライド耐性菌によく効くとい うことで、非常に重要な薬だという認識を持っていますし、これは臨床で早く使われる べき薬だと私も理解しております。ただ使い方として、一般的に使われているマクロラ イドのような低濃度を長期間という使い方がもし…、ここの添付文書に短期間でという 使い方がきちんと書かれておりますから、これを守っている以上は問題ないと思います が、それを外れて使われるようなことがあってはならないということで、注意喚起が必 要ではないかということでコメントさせていただきました。 ○池田部会長 ありがとうございます。確かにこの薬は期間をある程度限定しています。 5日間とか、あるいは歯科領域では3日間、肺炎でも最大7日間と、ある意味では今ま での抗生物質と違う使い方が明記されているところがありますので、上原委員がおっし ゃったように、そういう使い方が遵守されているかどうかということも含めて、やはり 企業の方でも調査をするということは必要なのではないかと思います。 ○堀内部会長代理 もう一つあります。今のこれに関連して、どうやって耐性になるの を延ばすかという手だてはやはり考えておかないといけないのですが、審査報告書の44 ページ、下から2段目ぐらいのところを見ますと、「本薬はこれらの領域において外来 治療が可能な患者に対するエンピリック療法に適した薬剤である」という言い方をして います。ペニシリン耐性菌などにかなり限定して使えばいいのですが、確かにかなり有 効だろうと思いますので、その可能性があるのではないかと思います。使う日数だけで はなくて、使用についてもう少し制限が付けられないかと思いますけれども、いかがで しょうか。 ○池田部会長 抗生剤の使い方はいつも議論になると思うのですが、先生方から御意見 を伺いたいと思いますけれども、いかがでしょうか。川嵜委員、どうぞ。 ○川嵜委員 同じようなことなのですが、ちょっと教えていただきたいと思いますのは、 結局この「用法及び用量に関連する使用上の注意」のところに、「2.本剤の使用に当た っては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認すること」と書いてある わけです。要するにこれは耐性菌にだけ使えということだと思うのですが、こういうこ とは現実にはどのように指導されているのか、そしてどの程度厳密に行われているもの なのか教えていただけたらと思ったのですが。 ○池田部会長 いかがでしょうか。今医療現場で実際の使い方がどうだということにな るかと思うのですが。後藤委員、何か御意見ございますか。 ○後藤委員 これは抗生物質ということで必然的な使い方として、患者さんがここに来 られて感染症ということになるとすぐ使わざるを得ないわけです。まず治療を始める。 つまりエンピリックに始めるというのは原則なのです。治療を始めて、そのときに採っ た検体に関して2、3日後に原因菌が判明して、なおかつその後に薬剤感受性が判明す る。これも抗生物質の免れない宿命です。ですから、エンピリックの中で、なおかつこ の患者さんのこの状況の中で、考えられる抗菌薬のリストからどの薬剤が選ばれるべき か。そういう経験的な意味でのベストの選択方法というのがそこに入ってくるというこ とだと思います。 ○上原委員 そういう状況の中ですから、こういう問題に対して十分な注意を払おうと いう意識があるかどうかということかと思うのですが。 ○後藤委員 その辺が大きな問題になってきていまして、例えば日本感染症学会、ある いは日本呼吸器学会といった学会がやはり懸念を持っています。抗菌薬の使い方に関し てガイドラインを決めようということで、この数年の間にいろいろな感染症に対するガ イドラインが作成され学会としてもそれに基づいて指導していこうということで、今い ろいろな活動が行われつつあるという状況です。 ○池田部会長 そうですね。ガイドラインの制定、あるいは考え方を学会レベルから情 報発信するということで、一般の医療現場での使い方も大分変わってくるのではないか と思います。どうぞ。 ○守殿委員 今の問題ですが、臨床的に申しますとin vitroでの感染実験とかではそう いうことがすぐに分からない状態ですので、先ほど堀内先生がおっしゃいまいした44ペ ージのエンピリックに関しましても、臨床医に具体的に指示するなら、前投薬を出され ていた場合に前投薬無効の症例とか、あるいは難治性と判断されるといいますか、外来 でもそういう症例ならエンピリックセラピーの一つに入れてもよろしいというぐらいの 規定をするなど、臨床医にこれを指導するような文章が必要だと私は思います。 ○池田部会長 そうですね。医療現場での医療の在り方の問題にもかかわり合ってくる と思いますけれども、この薬物の評価をここでしていただいて、それが医療現場に到達 することがいいかどうかというのがここでの議論の中心になります。もちろん医療現場 での使い方も含めて、なるべく適正に使われるような方向に持っていくことを意識して 添付文書、使用上の注意を書くようにということに、恐らく先生方の御議論が集中して いるのだろうと理解しますけれども、そのほかの先生方、何か御意見ございますか。こ れは先ほどインフルエンザ菌に多少効果が悪いということで、市販後にその点を調査を するということが審査センターの方からあったのですけれども、具体的にはどういう指 示を出しているのですか。 ○事務局 現状のMIC程度では、臨床試験の結果からも臨床効果としてはさほど問題 はないと思われますので、例えばMICが更に上がって効かなくなる可能性とか、また 今回の臨床試験は市中肺炎を対象にしておりますので、もしもう少し重症な患者さんが 入ったときに、そちらでの有効性がどうなるかということを調査の方で行いたいと申請 者の方に伝えたいと思います。 ○池田部会長 どうぞ、守殿委員。 ○守殿委員 今のこととちょっと論点が違いますが、いいでしょうか。効能書きに「血 液透析患者では、透析日には透析実施後に投与すること」となっているのですけれども、 これは前文にいろいろ書いてあるのですが、透析患者さんというのは透析を終えた当日 が一番脱水状態になっておりまして、2、3日後の透析前日に一番循環血液量が増える 溢水状態になるわけです。それを一律に「透析日には透析実施後に投与すること」とい うことは、血中濃度が一番上がるときに服用させることになります。こういうことにつ いては、21ページの上から3分の2ぐらいの「審査センターは」という、単回投与うん ぬんの記載があるところで、透析をすることによって肝細胞での細胞間浮腫の改善で循 環血液量が増大して、かつこの薬は肝排泄型なのでその時期だったら血中濃度が上がら ないだろうという意味で記載されていると思うのです。私自身の考えでは、透析を4時 間やって、水が抜けただけで肝機能がそれだけいろいろ前後するというのはちょっと考 えられません。本剤は腎排泄としては17〜18%でしょうか、それほど腎は代謝に関与し ていないということですが、クレアチニンクリアランスが30ccを切った症例では当然の ことですが、健康人に比べて血中濃度、Cmaxは上がると記載がございます。また、前 述の症例群には末期腎不全患者、透析患者を含むとなっていますが、そうしますと透析 患者さんではCcrが30未満の患者さんよりも更に血中濃度等が上がるはずなのです。 ですから、透析患者さんを含んだデータは健常者とほとんど変わらないというデータが 記載されているのですが、なかなかこの辺は理解しにくいのですね。まとめて言います と、要するに透析患者さんというのは毎回透析を終えますと、水分が除去されますから 大体体重が2、3キロ減るのです。それが3、4日たちまして、水分は一切尿から出ま せんので、汗とか不感蒸泄とかだけですので、2、3キロ体重が増えてくるわけです。 それでまた透析をするわけです。もちろんBUNやクレアチニンも下げるわけですけれ ども、そういう動態を考えると、当日が一番の脱水状態で、血中濃度が上がると思うの です。折笠委員も後藤委員も委員会に出ておられたので、そういう議論があったのかど うかということと、一応データ的に御説明願えたらと思います。 ○池田部会長 審査センターの方から何かございますか。使用上の注意に「血液透析患 者では、透析日には透析実施後に投与すること」とわざわざ書かれているわけですが。 ○事務局 こちらの方は先ほど御指摘いただきました審査報告書の21ページ辺りの議 論ですが、そもそものデータが海外で実施された腎機能障害の患者さんを対象とした薬 物動態試験で、その結果に基づいた議論でございます。その中で重症度を四つに分けま して、重症度が上がるに従って血中濃度が上がるというデータが得られているのですけ れども、一番重度の末期腎不全患者さんのところで、健常人と同じ程度の血中濃度にな ったということから議論は始まっております。その理由として、一番重度の群に透析患 者さんが含まれていたということで、こちらのやり取りが記載されております。結論と しましては、腎障害の程度が上がるに従って血中濃度が上がるのははっきりしておりま すので、その結果としてクレアチニンクリアランスが30未満の患者さんでは1日1回 300mgという半量に減量していただくよう、添付文書に記載をしております。透析患者 さんの方は、こちらの臨床試験は血液透析終了2時間後に本薬を投与したデータという ことで得られておりますので、それに従って添付文書の方も「透析実施後」という記載 をしていると思われます。こちらの方は、例えば本薬を投与した後に透析を行ってしま いますと血中濃度が下がるおそれがありますので、血中濃度を保って有効性をなるべく 損なわないようにするという意図でこのような記載をしているものと思われます。透析 患者さんの使い方については再度申請者の方とも確認いたしまして、もし記載の変更が 必要であれば適切に修正したいと思います。 ○池田部会長 いかがですか。一般的には透析後ということではないでしょうか。 ○守殿委員 それで一番不思議に思うのは、記載の中で末期腎不全患者で透析患者を含 むとなっているのですが、その比率が分かっていればお教え願いたいということです。 といいますのは、末期腎不全患者さん、あるいは透析を3、4年やっていますと尿の排 泄はなくなります。そういう人たちが混ざっているグループなのに血中濃度が高くなっ ていないこと自体が大体理解できないのです。  それから薬剤濃度を高くするためにという形であれば、透析患者さんにもし2時間後 に投与すれば1回投与で血中濃度は随分上がると思います。このことは副作用を心配し ないといけないということにつながると思います。 ○池田部会長 そうですね。そういうデータが欧米のスタディーではあるということで すか。 ○事務局 はい。 ○池田部会長 それでやはり臨床効果、あるいは安全性に特に支障はないということで、 この使用上の注意を書いたということですか。 ○事務局 血中濃度から有効性、安全性に問題がないであろうと判断して、このように 記載しております。 ○守殿委員 例えば透析していない患者さんでCcrが30ミリを切る人は、投与量はと もかく投与間隔を空けるという法則がありますから、透析している患者さんには慎重に 投与計画を組むべきなのです。別のところで600mgと800mgで体内動態が違うので600mg にされたという細かい心遣いがされておりながら、腎不全の患者さんに対する投与量の 記載の仕方が少し雑ではないかなという気がしています。本剤の有用性はすべていいと 思うのですが、その辺が少し…。 ○池田部会長 先生がおっしゃるのは、今までのデータから見て高度の腎機能障害患者 あるいは透析後の投与に関してこういう書き方で適切かという御指摘ですね。審査セン ターの方、そのコメントについて特に何かございますか。 ○事務局 今守殿委員の方から御指摘いただきましたCcrが30以下の症例について、 透析患者、非透析患者を分けてもう一度データについて精査して、適切な形で添付文書 の方に記載するように検討させていただきたいと思います。 ○池田部会長 そうですね。これはその点をかなり踏まえて使用上の注意を書かれてい ると思いますけれども、今そういう御意見が出ましたので、この記載についてもう一度 企業の方と検討していただけたらと思います。よろしいでしょうか。ありがとうござい ました。そのほかに何かございますか。本剤の有効性については、皆さんお認めになっ ていることだろうと思います。ただ、先生方が御心配されているのは、新しい抗生剤が できるたびにある意味では医療現場でまた耐性菌を生んでいるということがありますの で、それをなるべく少なくするためにどういう手だてを講じるかということも企業の一 つの…、もちろん医療現場での医師の責任も非常に大きいものではありますが、やはり 企業の方にもそういう点についての考慮をしてほしいという意見が大勢だったと思いま すけれども、よろしいでしょうか。藤上委員、どうぞ。 ○藤上委員 この薬剤の投与期間は最大肺炎で7日間までとなっていますよね。この中 に臨床試験の間はかなり純粋に…、余りいろいろなあれがない患者さんに使われますの で、7日間でかなり有効性はあるのだろうと思うのですが、市販後になりますといろい ろな条件の患者さんが出てきて、7日間ではとても無理だという部分も出てくるのでは ないかと思うのです。この中には、その場合には他剤に変えろと書いてあるのですけれ ども、そういうことを添付文書に記載することは無理ですか。7日間使ったとしてもま だ症状が治まっていない、まだ効果がいま一つというときに、続けて使うのではなくて 他剤に変えて使うようにとこの中に書いてあったのですけれども、そういうことを書く ということは…。 ○池田部会長 添付文書に記載をするということでしょうか。審査センター、期限をあ る程度記載しているというところが、今までの抗生剤と少し違うところだと思うのです けれども、どうでしょうか。 ○事務局 添付文書2ページ目の上の方、「用法及び用量に関連する使用上の注意」の 3として、設定された投与期間以降においても臨床症状が不変、若しくは悪化の場合に は医師の判断で適切な他の薬剤に変更することと記載はさせていただいております。 ○池田部会長 よろしいですか。そのほかにございますでしょうか。ただいまいろいろ 御意見を頂きましたが、それぞれ非常に貴重な御意見だったと思いますので、事務局の 方で是非問題点を整理して、もう一度企業の方にもきちんと伝えていただきたいと思い ます。 ○堀内部会長代理 先ほど守殿委員がおっしゃった制限を付けるということ、要するに 最初からこの薬を使わないで既に違う薬剤を使っていた場合とか重症な場合ということ は、私は大変適切ではないかと思いますが、そこをどちらにするのかをはっきりさせて いただきたいと思います。 ○池田部会長 もう一度…。 ○守殿委員 エンピリックのところが…。 ○池田部会長 エンピリックセラピーをしないということですか。 ○堀内部会長代理 する場合でも条件を付けてやったらどうですかということです。 ○池田部会長 具体的には、エンピリックセラピーをやる場合にはどういう条件が付く というふうに…。 ○守殿委員 そういうことではなく、もしメーカーが適応患者さんとして「エンピリッ ク」という言葉を使って宣伝したいなら、一切患者さんの枠なしに自由にエンピリック として使えるのではなく、前投薬されていた患者さんで前投薬無効の場合、あるいは医 者の判断で難治性と考えられる場合、そういう症例に限ってエンピリックという使い方 をしてもよろしいということです。ですから、堀内委員はそういう制限を付け加えたら どうですかということだと思います。 ○池田部会長 その場合だと、恐らく菌が同定されて…、同定されていない場合ももち ろんあり得ると思いますが。 ○守殿委員 同定されていない場合としての話なのです。 ○池田部会長 後藤委員、その点について御意見ございますか。 ○後藤委員 「エンピリック」という意味は、経験的に患者さんの状態を考えて、現在 日本の中で検出されている菌の頻度から考えて、最も適切な薬剤はどれかということが エンピリックであって、エンピリックそのものは薬の使用に関して枠をはめるという意 味なのです。ですから、基本的にそういう形でこの薬が適切な患者さんに使われること がエンピリックだと私は理解しています。 ○堀内部会長代理 ただ、実際上臨床の現場で使う場合には様々な使い方がされるわけ で、感染症の専門家以外の医師も使う場合があります。そのときの抗生剤の選び方は様 々だと思います。今我々のところで見ていても、様々な使い方がされます。専門家が使 う場合には何の問題もないだろうと思いますけれども、かえって専門家でない医師が使 う場合が問題になるのだろうと思いますので、そこから不適切、あるいは不必要な使用 などが起こり得て、それが耐性につながるということが考えられますので、そういう面 での心配をしているわけです。 ○池田部会長 その辺になると、広くは医療現場での抗生剤の使い方のガイドラインな りも含めた考え方になっていく問題ではないかと思います。 ○三瀬委員 いいですか。この薬はマクロライド系ですから、グラム陰性菌には効かな いのです。グラム陽性菌に効きますが、グラム陰性菌で肺炎を起こす菌は結構たくさん あります。一番有名なのは緑膿菌、肺炎桿菌です。私は臨床現場は全然分かりませんが、 そういう症状のときに第一選択剤としていきなりこの抗生剤を使うのはかなり危険が伴 うのではないかと思います。ですから、そういうときはまた別の、例えばペニシリン系 とかニューキノロン系とか、そういうものを使っていくのではないかと思います。 ○池田部会長 医療現場での抗生剤の使い方がどこまで浸透しているかという議論にも なっていくのかなと思います。 ○守殿委員 先ほど堀内先生が読まれた、44ページの「回答がなされた」というところ ですが、「本薬はこれらの領域において…」の「これら」というのは、1行上の「中等 度以上の耐性を示す」ということだと思うのです。そういう言葉を含んで書いてはある のですが、その後に「外来治療が可能な患者に対するエンピリック療法に適した薬剤で ある」という表現が…。 ○池田部会長 これが引っ掛かって…、これが余りに広く理解されて、何でもまず最初 に投与したらというふうに受け取りかねないという危惧ですね。 ○守殿委員 後藤委員が言われたことは、「エンピリック」というのは科学的な根拠に 基づいた治療ということなのですが、それをはっきり理解している方だったらいいので すけれども、そうでない場合が往々にしてあるものですから、単なる英語の「経験的」 という意味にしかとらえていない方がおられますので。 ○池田部会長 後藤先生、これは化学療法学会、その他感染症学会で、抗生剤のそうい うふうな使い方について今随分御議論されてガイドラインも作られていると思うのです が、抗生剤に関しては必ずそういう一文をこういうところに一般的な注意として入れる という、そういうような方向ではあるのでしょうか。その辺はどうですか。非常に一般 的な議論になってしまうのですが。 ○後藤委員 今この薬剤の適応を見ても、上気道炎から下気道炎が一つのメインストリ ームだと思うのです。そのときにエンピリックという意味で懸念されるのは、ウイルス 性の感染症に対して抗菌薬が非常に使われるという状況があるということです。それに 対しては、日本呼吸器学会が気道感染症に対するガイドラインを先月出しまして、ウイ ルス性のものに関しては原則使わないということを明確にうたっていますので、だんだ んそういう方向にはなってくると思います。  ただもう一方で、ではウイルス性の感染症に抗菌薬を使わなくていいかという議論に またなってくるわけです。例えばインフルエンザが非常にはやった時期に、65歳以上の 高齢者の死亡数が増えるわけですが、それは細菌性感染によって亡くなっているわけで すから、ウイルス性感染に対して100%使わないとか、そういう単純な議論ではないと 思うのです。ですから、やはり書き方としてはこういう書き方で、臨床現場で一例一例 その状況に合致した使い方を考えるということだと思います。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。 ○堀内部会長代理 なぜこういうことを言うかと申しますと、ここで議論をして承認を されると、メーカーは思ってもみない宣伝をするわけです。そんなこと言えないではな いかということを言うことが往々にしてあるのです。今の場合でも、できるだけたくさ ん使ってもらいたいということがあるわけですから、制限があって添付文書に書いてあ れば、それはここにこう書いてありますと言わざるを得なくなります。どういう意味で 「外来治療が可能な患者に対するエンピリック療法に適した薬剤である」と言ったのか 分かりませんけれども、外来で原因菌が分からないような場合にはまず使ったらどうで すかというような宣伝をすると、これは先ほどから議論されているようにいろいろな問 題点が生じてくると思います。やはりきちんと制限をかけておくべきだと私は思います。 この薬はそういうように使われる薬ではない、位置付けとしては違うのではないかと思 っています。 ○池田部会長 用法・用量の注意を見ると、一応そういうような書き方になっていると は思うのですね。ただ、確かにこの44ページでそういう回答がなされたということで、 堀内委員、守殿委員はそういう危惧を非常に持たれているということも事実かと思いま すので、その辺はやはり事務局からメーカーの方に、添付文書にのっとって使っていた だくようにきちんと指導していただきたい。 ○審査管理課長 御指摘いただいた本剤の適正使用というか、本剤の薬剤としての臨床 上の位置付け、そういったものを考慮した使い方ということでございますので、一つは 私ども事務局としまして、承認する際に現場での本剤の使用について企業サイドのいろ いろな情報提供もございますので、そういうものについて位置付けを明確にさせた上で、 過度な使用推進をするような情報提供はさせないということ。それからもう一つは、今 委員の方からも出ましたけれども、「エンピリック療法に適した薬剤である、との回答 がなされた」ということで文章が終わっていますので、実はこの評価がないのです。し たがって、今日出た御意見に対してそれを含めて、ここの回答がなされたところを審査 センターとしてはうんぬんということで、その評価を追記させていただくことでこの報 告書を少し修文させていただくと。このような対応をしたいと思いますけれども、いか がでございましょうか。 ○池田部会長 ありがとうございました。委員の方々はみんなその点に非常に懸念を持 たれていると思いますので、是非その点をしっかり企業の方に伝えて、それに対する回 答も頂いてほしいということですが、よろしいでしょうか。本剤の有効性に関しては、 皆さんあるべき薬であるということで御異存がないように思いましたので、もしこれ以 上御議論がなければ一応承認を可として、薬事分科会審議とさせていただきたいと思い ますけれども、よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは事務局の方で 今日の議論を踏まえて、是非企業側の方にきちんとした回答あるいは対応をしていただ きたいと思います。ありがとうございました。  それでは議題2について事務局から御説明いただきたいと思います。 ○事務局 それでは資料2でございますけれども、希少疾病用医薬品の指定について御 説明させていただきます。希少疾病用医薬品の指定制度は、難病等を対象とする医薬品 について、医療上の必要性が高いにもかかわらず患者数が少ないために開発が遅れがち な医薬品の研究開発を支援、促進するために設けられた制度でございます。患者数が5 万人未満、医療上の必要性が高い、開発の可能性が高い、この三つの要件を満たした場 合指定がなされるということでございまして、その後助成金の交付、あるいは承認まで の開発計画に対する指導・助言、その後の優先審査などのメリットが付与されます。  今回申請されておりますのは、麒麟麦酒株式会社のブスルファンでございます。それ では審査報告書をベースに御説明させていただきます。予定されております効能・効果 は造血幹細胞移植時の前処置です。造血幹細胞移植は、白血病等の造血器腫瘍や重症再 生不良性貧血等の難治性血液疾患に対する根治的治療法として行われております。造血 幹細胞移植に当たっては、全身放射線照射、あるいは高用量の抗悪性腫瘍薬による前処 置が必要とされております。当該製剤はこの造血幹細胞移植時の前処置を予定効能とす るものでございます。  まず一つ目の要件の患者数でございますが、日本造血細胞移植学会からの報告及び文 献等から推定される本剤の対象患者数は6,000例前後と考えられます。希少疾病用医薬 品の指定要件である5万人以下を満たすものと考えております。  二つ目の要件の医療上の必要性でございますが、造血幹細胞移植の前処置としては全 身性放射線照射が広く行われておりますが、全身性放射線照射設備を有していない施設 があること、あるいは間質性肺炎、二次発癌、甲状腺機能低下の発症率が高いこと、小 児においては発育遅延を起こすことなど、副作用の問題点も指摘されております。また、 現在造血幹細胞移植の前処置剤としてはメルファランが唯一承認されておりますが、副 作用として腎障害を起こす可能性が指摘されているということで、治療法としては十分 な状況にはないというところでございます。さらに、本資料の21ページに添付されてお りますが、日本血液学会等の3学会から早期承認が要望され、現に医療の現場ではブス ルファンの経口剤が適応外使用でありながら標準的な治療法として使用されている状況 ということで、医療上の必要性もあると考えられます。  最後に開発の可能性でございますが、本剤は造血器悪性腫瘍等における造血幹細胞移 植の前処置剤として海外を中心に臨床試験が実施され、米国等においてもオーファンド ラッグとして指定がなされた後に承認されております。また、国内においても現在第II 相の臨床試験が実施されているところでございます。以上の観点から開発の可能性もあ ると考えております。それでは本剤を希少疾病用医薬品として指定することの可否につ いて、御審議よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。ブスルファンというのは経口剤でもう既に臨 床で長い間使われているお薬ですけれども、その注射薬ということでございます、実際 にはブスルファンの経口薬を大量に用いて骨髄移植、造血幹細胞移植の前処置として使 われているものですが、この注射薬を前処置薬として認めていただきたいということで、 希少疾病用医薬品として指定することについて、先生方に御意見を伺いたいと思います。 いかがでしょうか。何か御意見ございませんか。ブスルファンというのは実際には造血 幹細胞移植の前処置として、経口薬がもう大体3〜4割ぐらいの患者さんに使われてい るものです。ただ、それを経口で投与することになりますと、吸収が一定しないという こととか、吐き気のある患者さんが多いので飲めないということもあって、そういうも のを加味するために静注薬としてきちんと認めてほしいということだと理解しておりま す。 ○事務局 補足でございますが、経口剤におきましても、現在の効能・効果はCMLあ るいは真性多血症の自覚ということで、適応外使用と…。 ○池田部会長 もちろんこれは適応外使用です。実際には、大量の経口薬というのは適 応外使用だということでございます。何か御意見ございますか。 ○堀内部会長代理 これ自体は結構だと思いますが、この報告書の中で名称は「ブスル ファン」だけですね。報告書の一般名はこういう書き方でよろしいのですか。剤型など は申請書には書いてありますけれども、これは別添であるから要らないと考えるのです か。審査センターから審査管理課長へ出すのですから、いいと言えばいいのかもしれま せんけれども、最終的には薬事・食品衛生審議会からの…。 ○事務局 最終的には、答申を頂いた後厚生労働大臣の告示という形で公表することに なります。 ○堀内部会長代理 告示ですか。 ○事務局 指定については、厚生労働大臣名で告示ということでいたします。 ○堀内部会長代理 そうすると、これは一般名でよろしいのですか。 ○事務局 剤型等で区別する必要がある場合に、剤型等も含めて記載する場合もござい ますけれども、この場合には申請者が限られておりますので、特に紛れることはないと いうことでこのように記載をしております。 ○池田部会長 そのほかに委員の先生方から何か御意見ございますでしょうか。希少疾 病用医薬品として指定する条件の状況は、今説明がありましたように満たしているとい うことで、その必要性も三つの学会からかなり強く要望が出ているということがあって、 もし御意見が特にございませんでしたら、この希少疾病用医薬品の指定を可として薬事 分科会報告とさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。ありがと うございました。それでは指定を可とさせていただいて、薬事分科会報告とさせていた だきたいと思います。  審議事項については本日は2議題でございますので、報告事項に移りたいと思います。 報告事項の議題1を事務局の方からお願いしたいと思います。 ○事務局 それでは資料3を御覧ください。希少疾病用医薬品の指定について、今度は 御報告をさせていただきます。HIV感染症治療薬については、平成11年5月に開催さ れた医薬品特別部会における申合せにより、報告事項という取扱いをさせていただいて おります。今回希少疾病用医薬品として指定を行うものは、ブリストル製薬有限会社よ り申請されました硫酸アタザナビルでございます。予定されております効能・効果はH IV感染症でございます。患者数は7,670例とされております。  医療上の必要性でございますが、我が国においては抗HIV感染症薬として核酸系逆 転写酵素阻害剤が8種類、非核酸系逆転写酵素阻害剤が3種類、プロテアーゼ阻害薬が 8種類上市されておりますが、耐性、副作用の問題などから医療現場では更なる選択肢 が望まれるところでございます。本剤においては、今までの臨床試験で有効性が確認さ れていること、1日1回投与のプロテアーゼ阻害剤であり、コンプライアンスの上昇に 貢献することが考えられること、また既存の抗HIV感染症薬に比べて耐性の発現の程 度が低いことなどから、医療上の必要性はあると考えられます。  最後に開発の可能性でございますが、本剤については海外で1,895例を対象とした五 つの第II、III相臨床試験が行われ、これらのデータを基に米国においては優先審査品目 として本年6月に承認され、またEU、スイス、オーストラリアにおいても既に承認申 請がなされているところでございます。したがって、本薬の開発の可能性はあると考え ております。以上、本品を希少疾病用医薬品として指定して差し支えないと判断してお りますことを御報告させていただきます。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただいま報告がございましたけれども、この 報告についてどなたか御質問ございますでしょうか。HIVの薬については、一応希少 疾病用医薬品の指定については報告ということでございますけれども、何か御質問ござ いますか。特にございませんか。ありがとうございました。  それでは「その他」ということで、次に報告をお願いしたいと思います。「5.その他」 については、まず最初に「承認条件に係る結果について」ということで、事務局の方か らよろしくお願いします。 ○事務局 それでは資料4-1について御説明いたします。販売名はザイボックス錠600mg ほかで、一般名はリネゾリドでございます。こちらはバンコマイシン耐性腸球菌の効能 について、平成13年4月に承認を頂いております。承認条件として四つございますけれ ども、今回はそのうちの三つ目、非げっ歯類を用いた非臨床生殖毒性試験の結果が提出 されたため御報告いたします。こちらの方は、承認申請時の資料においてはげっ歯類の みの2種類で実施されておりまして、ガイドラインで求めております非げっ歯類での生 殖毒性試験が実施されていなかったため、承認条件として試験の実施が付与されており ます。試験結果の方は、催奇形性を示唆する所見も認められなかったため、特段の問題 はないと判断しております。  続きまして資料4-2も併せて御説明させていただきます。こちらは販売名がプローゼ カプセル、一般名はアンプレナビルで、HIV-1感染症に対する効能について平成11年9 月に承認されております。こちらは四つの承認条件のうち、一つ目の臨床試験に関する 承認条件について今回結果が提出されたため御報告させていただきます。当時のエイズ 薬の審査におきましては、国内における第II/III相臨床試験が実施中の時点で承認を頂い ておりますので、臨床試験については試験終了次第試験成績を提出することが承認条件 とされております。  こちらの臨床試験の結果は、登録された症例は10例で、問題点としましてはエファビ レンツとの併用による本薬の血中濃度の低下が見られておりますけれども、こちらの方 は添付文書の「併用注意」欄に既に注意喚起がなされておりまして、対応が採られてお ります。本臨床試験は、目標症例数30例として計画されておりましたけれども、市販後 の本剤の服用患者数が少ないことから目標症例数の達成が困難であるということで、今 回試験の結果が提出されました。審査センターとしましては、これ以上の臨床試験の実 施は困難であると思われること、また市販後調査についても可能な限り全投与症例を対 象として行われていることも踏まえまして、特段の問題はないと判断しております。以 上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。2品目について、承認条件に係る審査報告書 が出ております。これについてどなたか御質問ございますか。どうぞ。 ○堀内部会長代理 そうすると、資料4-1については添付文書も変更されるということ ですか。承認条件が変更されると考えてよろしいですか。 ○事務局 今回報告された承認条件については、添付文書から削除することを考えてお ります。 ○堀内部会長代理 それから資料4-2の3ページに、承認条件の「変更前」と「変更後」 がありますね。「治療に当たっては、本剤は市販後調査において薬剤に関する科学的な データを収集することとされていること等患者に十分な説明を行い」という、ここの文 章が何かよく分からないのですが、もう少し文章を分かりやすく表記していただきたい。 「承認しつつあること」、これについてはやるわけですね。 ○事務局 これまで承認されておりますHIV感染症に対する治療薬について、臨床試 験の実施中に承認を頂いたものについては、この「変更前」の文章の「臨床試験が行わ れており…」という承認条件。それから国内の臨床試験は行わずに既に承認を頂いたも のについては、この「変更後」の文章をすべてのHIV感染症薬に統一した文章として 付けております。今回は臨床試験が終わったということで、下の文章に変更を行うこと といたしました。また、文章の表記については今後検討させていただきたいと思います。 ○池田部会長 少し読みにくい文章ですね。そのほかに何かございますでしょうか。臨 床試験が終わったということで、市販後調査において薬剤に関するデータを収集するこ とを患者さんに十分説明して、ICを取ってほしいということでございますね。よろし いでしょうか。特にございませんか。それではこの「承認条件に係る結果について」の 御報告はこれで終わりたいと思います。そのほか…。 ○事務局 続きまして、優先審査品目に指定したものについて御報告いたします。本日 お配りした「優先審査品目の指定について」という資料に基づきまして、御説明いたし ます。指定した品目でございますが、販売名がトリセノックス注10mg、一般名は三酸化 ヒ素でございます。申請者は日本新薬株式会社、医薬品として承認申請された日が平成 15年6月12日、効能・効果は再発又は難治性の急性前骨髄球性白血病でございます。  参考までに、優先審査という制度について簡単に御説明いたします。優先審査を行う 医薬品には大きく分けて二つございます。「(参考)」のところに書いてございますが、 希少疾病用医薬品又は医療用具ということでございまして、この希少疾病用医薬品等の 指定については先ほど御審議いただきましたように、審議会において指定について御審 議いただくという形になってございます。そのもう一つのカテゴリーとして「その他の 医療上特に必要性が高いと認められるもの」がございます。その内容でございますが、 「ア 適応疾病が重篤であると認められること」、それから「イ 既存の医薬品又は治療 方法と比較して、有効性又は安全性が医療上明らかに優れていると認められること」、 こういう二つの要件を満たすと判断したものについて、優先審査の品目に指定している ということでございます。今までの指定については、事務局でその要否について判定し て品目を指定するということになってございました。しかしながら、その指定について 透明性を高める等の話がございまして、本年の4月から専門の先生方にもお伺いすると いう流れに変えてございます。  その具体的な流れが「2.本年4月以降の優先審査品目指定の手続」でございます。(1) でございますが、医薬品として承認申請がなされまして、その際に優先審査希望を付け て提出された場合に品目ごとに専門委員を指名し、その意見を踏まえて優先審査にする かどうかという判断をいたします。その結果については、その時点では非公表という形 になっております。そして(2)でございますが、その優先審査にした判断について、事後 に薬事・食品衛生審議会の担当部会、今回でございますと医薬品第二部会に報告して、 その指定について御了解いただくと。この結果についても、その時点では非公表となっ ております。なお、その判断がよろしくないということで優先審査が認められないとい う御判断になりますと、その時点で優先審査を外れて通常審査に戻すということでござ います。(3)でございますが、優先審査にしたかどうかの公表については、医薬品部会に おいて医薬品としての審査、承認の可否等が判断された時点において、審議結果と共に 公表するという流れになっております。  次にこのトリセノックス注10mgを優先審査品目に指定した理由でございますが、二枚 めくっていただきまして、下に1ページと書いてあるところがございます。まず、適応 疾患が重篤であるかどうかということでございますが、対象となる急性前骨髄球性白血 病については、レチノイン酸等が用いられておりますが、10〜30%ぐらい再発するとい うことがございます。再発しますと予後はかなり良くなく、死亡に至る場合も多いとい うことから、適応疾患としては重篤だと判断いたしました。また、既存の医薬品と比較 して有効性又は安全性が医療上明らかに優れているかという点でございますが、2ペー ジに臨床試験の成績等が出ております。上の方では、米国で試験されたものについての 結果が出ております。二つの試験がございますが、これは再発又は難治性の患者でござ いますけれども、共に80%以上のCR率が得られているということでございます。日本 でも使用例数は14例でございますが、米国のフェーズIIIと同じ方法で試験をやっており まして、78%のCR率が得られているということで、有効性も認められるだろうと判断 いたしました。以上のようなことを踏まえまして、優先審査品目に指定してよろしいの ではないかということで指定しております。なお、本品目については、日本血液学会か ら早期の認可を望むという要望書も提出されております。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただいまの優先審査品目、トリセノックスに ついて、どなたか御質問ございますでしょうか。優先審査を行う医薬品はこういうもの があるということ、そしてその指定の手続について御説明いただいて、具体的にトリセ ノックス注がその優先審査希望に合致するということで指定したいということですが、 特に御質問はございませんでしょうか。よろしいですか。もし御質問がなければ、これ は先生方に御了解いただいたということにしたいと思います。  続きまして、保存前白血球除去の基準設定について、どうぞ。 ○事務局 血液対策課でございます。よろしくお願いいたします。私の方からは、資料 番号は付いておりませんけれども、お手元の「保存前白血球除去について」という資料 に基づきまして、去る6月4日に開催された血液事業部会において、保存前白血球除去 に関する生物製剤基準の策定について、この医薬品第二部会の方への申し送り事項が決 定されましたので、御報告させていただきたいと思います。  まず1ページを御覧いただきたいと思います。現在行っている輸血療法においては、 白血球に起因する有害事象として、患者に及ぼす副作用として発熱反応、あるいは肺障 害といったものが広く知られております。また、輸血用血液の品質そのものにおいても、 輸血用製剤に含まれている白血球によって凝血塊ができたり溶血を起こすということ で、品質管理上も問題になっているということでございます。こういったことについて、 諸外国における2002年1月現在の状況をまとめておりますけれども、供血者から血液を 採血した際にできるだけ速やかに含まれている白血球を除去する、いわゆる保存前白血 球除去を広く導入しておりまして、フランスにおいては赤血球、血小板製剤、FFPと も100%、そのほかの国においても広くこういったことが行われている状況にございま す。  2ページを御覧いただきたいと思いますけれども、このような状況に鑑みまして、血 液事業部会においては平成11年6月に保存前白血球除去を進めていくべきという御結 論を頂きまして、これに関して技術的な面での検討を小委員会、それからその下にある 安全技術調査会において御検討いただいてきております。また、厚生労働省本省におい ても、経済効果的な検討やその導入に際しての問題点等について研究を行うとともに、 関係学会、あるいは特にこれを実施することになる日本赤十字社等に対して意見の聴取 を行ってきたわけでございます。  4ページを御覧いただきたいと思いますが、安全技術調査会において検討の結果、こ れはすべての輸血用製剤でございますけれども、保存前白血球除去については1バッグ (1製剤)当たり白血球数を1×106個以下とするという基準案が示されまして、先ほど 申し上げた6月4日の血液事業部会において承認を頂いたという状況でございます。本 件については、本日は状況報告ということでさせていただいておりますけれども、今後 事務局の方で必要な資料等がそろい次第、医薬品第二部会の方において御審議いただけ るよう準備を進めているところでございます。以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。保存前白血球除去ということで血液事業部会 からの報告ですが、どなたか御質問ございますか。よろしいでしょうか。今承認条件に かかわる結果と優先審査品目の指定、そして保存前白血球除去の三つの御報告を頂いた のですが、まとめてどなたか御質問がございましたら、ここでお受けしたいと思います。 特にございませんでしょうか。それではこれら三つの事項については、御説明を先生方 に御了解いただいたということで進めたいと思います。一応本日用意いたしました議題 は以上でございますけれども、事務局の方から何か御報告はございますでしょうか。 ○事務局 最後に新薬の承認状況について御報告させていただきます。4月16日及び5 月23日に開催された当医薬品第二部会で御審議いただいた品目、ユーエフティほか、ロ イコボリン錠、グリベックカプセルでございますが、7月17日付けで承認いたしました ので御報告させていただきます。 ○池田部会長 ありがとうございました。堀内委員、何かございますか。 ○堀内部会長代理 承認された後、薬価算定組織で薬価を付けるのですが、実は昨日も その会議がありましたが、そのときに資料としてここの審査報告書が付いてきます。メ ーカー側からの資料と審査報告書を中心に薬価の算定をするわけですが、いろいろな形 での加算が最近少しできるようになってきております。承認されるまではいいのですが、 加算をどう付けるかというところで、メーカーの主張とそれを客観的にどう評価するか ということで大変大きな問題になっています。できればこの報告書に、そういうような 薬の位置付けについてもきちんと入れていただきたいということが、薬価算定組織の委 員の中からかなり強く出ておりましたので、一応御検討いただければと思います。  それから薬価算定組織に出される審査報告書に最終的にここで議論した内容は入って おりません。ここに出ているものがそのまま出ていると思います。ですから、最終的に ここでの議論が薬価算定組織の方に反映されていないと思いますので、できればこの議 論を入れた形での審査報告書を出していただければ有り難いと思います。 ○池田部会長 どうぞ、課長。 ○審査管理課長 確認させていただきたいのですが、時間的には十分ございますので、 もちろん承認と並行して薬価の方の作業が進むと思いますけれども、やはり確定版で評 価していただかないと私どもとしても困りますので、そこは周知徹底されるように企業 側にも申し伝えると同時に、実はこれは医政局経済課が中をとっておりますので、そち らにもその旨を徹底するように照会したいと思います。 ○堀内部会長代理 この審査報告書というのは、報告されるときには今日の議論を入れ たものが作られているわけですか。 ○事務局 原則的に、こちらの部会あるいは分科会で御議論がありまして、添付文書の 内容などが変更になったり、そういう御指摘があった場合には、審査センターが作成す る報告書とは別に審査管理課が作成する審査報告書がございます。 ○池田部会長 そちらが出ているのですよね。 ○堀内部会長代理 そうではなくて、今は審査センターの報告書が入っています。それ が薬価算定組織には出ておりますので…。 ○事務局 補足いたしますと、添付文書の改訂や承認事項の変更などの議論があったも のについては一つ審査報告書を加えまして、それが最終版の審査報告書として出回るこ とになります。もし添付文書の改訂やそういうことがない場合については、新たに審査 報告書を作らずに対応しているという状況でございます。2種類あるということです。 ○事務局 必ずしも審査報告書を新しく作るということではありませんので…。 ○審議官 そうではなくて、これは審査センターから報告されたので、直すときにはこ の部会の了承の下に直せばいいと思うのです。ただ、この部会の審査結果というものが ありますよね。そこはまた別途審査管理課で書いているわけですよね。それは当然…。 ○事務局 特段の議論があって必要がある場合に作成していますので、特に何もなく御 了承という場合には改めて作っておりません。 ○池田部会長 そうですね。ですから今日のように大分議論があって、承認するために こういうところを書き直してほしい、こういうところを注意してほしいというところは、 もちろん最終の審査報告書には上がってくることになりますよね。ですから、当然そう いうことで薬価算定の委員会の方にも出ていると思います。これは省内のことで事務的 なこともございますから、課長の方にお預けしたいと思いますので、よろしくお願いい たします。それでは本日の審議はこれで終了させていただきたいと思います。どうもあ りがとうございました。次回の日程は…。 ○審査管理課長 長時間にわたりまして御審議いただき、どうもありがとうございまし た。次回は9月5日金曜日、午前10時半からということでございますので、どうぞよろ しくお願いいたします。 ○池田部会長 それではどうもありがとうございました。                                   ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734) - 29 -